ガスクロマトグラフィーを用いた分析方法、及びガスクロマトグラフィーを用いた分析装置
【課題】本発明は、短時間で連続して分析可能で、かつ容易に自動化が可能なガスクロマトグラフィーを用いた分析方法、及びガスクロマトグラフィーを用いた分析装置を提供することを課題とする。
【解決手段】第1のキャリアガスにより、試料採取管19により採取された試料ガスをプレカラム32に移動させ、試料ガスに含まれる成分のうち、必要な成分を吸着させる工程と、切り替えバルブ14により、第1のキャリアガスから加熱された第2のキャリアガスに切り替え、第2のキャリアガスにより、プレカラム32に吸着した成分を分離カラム34に移動させ、その後、プレカラム32に吸着した成分を分離カラム34により分離させる工程と、検出器35により、分離カラム34を通過した成分を検出する工程と、を含む。
【解決手段】第1のキャリアガスにより、試料採取管19により採取された試料ガスをプレカラム32に移動させ、試料ガスに含まれる成分のうち、必要な成分を吸着させる工程と、切り替えバルブ14により、第1のキャリアガスから加熱された第2のキャリアガスに切り替え、第2のキャリアガスにより、プレカラム32に吸着した成分を分離カラム34に移動させ、その後、プレカラム32に吸着した成分を分離カラム34により分離させる工程と、検出器35により、分離カラム34を通過した成分を検出する工程と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスクロマトグラフィーを用いた分析方法、及びガスクロマトグラフィーを用いた分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスクロマトグラフィーを用いた分析方法は、ガス分析において最も使われている手法である。上記ガス分析には、分析計であるガスクロマトグラフ(以下、「GC」という)を備えた分析装置を用いる。
従来のGCとしては、オーブン内に全てのカラムを配置したものがある(例えば、特許文献1参照。)。
また、従来の分析装置としては、高感度な検出器を備え、試料の計量、濃縮、水分除去、及び分析カラムへの移送を順次行った後に、さらにパージガスによりバックフラッシュ操作を行なってプレカラムの再生を行なうものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
さらに、従来、濃縮法や大量のサンプルを導入して分析する場合、サンプル中の測定対象成分を一旦捕集カラムに吸着させ、捕集カラムを加熱することで吸着させた成分の追出しを行なっていた(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2006/077912号パンフレット
【特許文献2】特許第3678762号公報
【特許文献3】特許第3108794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、オーブン内に全てのカラムを配置した従来のGCの場合、オーブン内は同じ温度で制御されているため、カラム剤に吸着した成分を追出す際、オーブンの温度を操作してカラム自体を加熱する必要があった。
このため、分析時間に加え、昇温操作によるオーブン内の温度が安定するまでの待機時間が必要となり、連続して分析を行なう際、多くの時間を要するという問題があった。
【0006】
また、カラムだけでなく、分析する成分によってはバルブ全体もオーブン内に設置する場合がある。この場合、オーブン内での複数のカラムを設置及び交換する手間やオーブン内のスペース的な問題があった。
【0007】
また、分離カラム剤に吸着しやすい微量成分を分析する場合、あらかじめ測定する高濃度の成分ガスを数回導入し、分離カラム剤となじませるパッシベーションが必要なため、GCを安定化させるまでに多くの時間を要するという問題があった。
また、カラム剤に分離の妨害となる水や二酸化炭素が吸着した場合、一晩以上オーブンを加熱して、水及び二酸化炭素の追出しを行う必要があった。つまり、エージングを行なう必要があった。
【0008】
また、オーブンを昇温しないでバックフラッシュにより、これらの不要な成分を追い出す場合、多くの時間が必要であるという問題があった。また、分析時のオーブンの温度では、不要な成分を十分に除去できない虞があった。
【0009】
また、濃縮法では、濃縮管を専用の冷却装置を用いて冷却する必要があるため、濃縮管全体を冷却及び加熱する操作は専用の装置で行う必要があった。
【0010】
さらに、大容量サンプルを導入する場合、一旦サンプル中の測定対象成分を常温、或いは低温にした捕集カラムの捕集剤に吸着させ、この捕集カラムを加熱、或いは温水中に浸して吸着した成分の追出しを行うため、簡単に自動化することは難しく、また、専用の加熱冷却装置が必要であった。
【0011】
そこで、本発明は、分析装置を大型化することなく、簡便な方法により短時間で連続分析が可能で、かつ連続分析の自動化を容易に行なうことが可能なガスクロマトグラフィーを用いた分析方法、及びガスクロマトグラフィーを用いた分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明によれば、ガスクロマトグラフィーを用いた分析方法であって、試料採取管に試料ガスを供給することで前記試料ガスを採取する工程と、第1のキャリアガスにより、前記試料採取管により採取された前記試料ガスをプレカラムに移動させ、該試料ガスに含まれる成分のうち、必要な成分を前記プレカラムに吸着させる工程と、自動切り替え手段により、前記プレカラムに供給するキャリアガスを、前記第1のキャリアガスから加熱された第2のキャリアガスに切り替え、該第2のキャリアガスにより、前記プレカラムに吸着した成分を分離カラムに移動させ、その後、前記プレカラムに吸着した成分を前記分離カラムにより分離させる工程と、検出器により、前記分離カラムを通過した成分を検出する工程と、を含むことを特徴とするガスクロマトグラフィーを用いた分析方法が提供される。
【0013】
また、請求項2に係る発明によれば、前記第2のキャリアガスの加熱は、筒状部に蓄熱剤が充填されたキャリアガス加熱用カラムを加熱し、前記第2のキャリアガスを、加熱された前記キャリアガス加熱用カラムを通過させることで行なうことを特徴とする請求項1記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法が提供される。
【0014】
また、請求項3に係る発明によれば、前記蓄熱剤は、粒状とされた金属であることを特徴とする請求項2記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法が提供される。
【0015】
また、請求項4に係る発明によれば、前記金属は、銅、亜鉛、アルミニウム、鉄のうち、少なくとも1種よりなることを特徴とする請求項3記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法が提供される。
【0016】
また、請求項5に係る発明によれば、前記第1のキャリアガスを冷却し、冷却した前記第1のキャリアガスにより、前記試料採取管に採取された前記試料ガスを前記プレカラムに移動させ、前記試料ガスに含まれる成分のうち、前記必要な成分を前記プレカラムに吸着させることを特徴とする請求項1ないし4のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法が提供される。
【0017】
また、請求項6に係る発明によれば、前記第1のキャリアガスの冷却は、筒状部に蓄熱剤が充填されたキャリアガス冷却用カラムを冷却し、前記第1のキャリアガスを、冷却された前記キャリアガス冷却用カラムを通過させることで行なうことを特徴とする請求項5記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法が提供される。
【0018】
また、請求項7に係る発明によれば、前記自動切り替え手段は、少なくとも1つの切り替えバルブよりなることを特徴とする請求項1ないし6のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法が提供される。
【0019】
また、請求項8に係る発明によれば、プレカラム、分離カラム、及び該分離カラムと接続された検出器を備えたガスクロマトグラフィーを用いた分析装置であって、試料採取管を介して、前記プレカラムに第1のキャリアガスを供給する第1のキャリアガス供給管と、前記プレカラムを介して、前記分離カラムに第2のキャリアガスを供給する第2のキャリアガス供給管と、両端が前記第2のキャリアガス供給管と接続され、かつ筒状部に前記第2のキャリアガスが通過する蓄熱剤が充填されたキャリアガス加熱用カラムと、前記キャリアガス加熱用カラムを加熱する加熱手段と、前記プレカラムに供給する前記第1及び第2のキャリアガスの切り替えを行なう自動切り替え手段と、を有することを特徴とするガスクロマトグラフィーを用いた分析装置が提供される。
【0020】
また、請求項9に係る発明によれば、前記蓄熱剤は、粒状とされた金属であることを特徴とする請求項8記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置が提供される。
【0021】
また、請求項10に係る発明によれば、前記金属は、銅、亜鉛、アルミニウム、鉄のうち、少なくとも1種よりなることを特徴とする請求項9記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置が提供される。
【0022】
また、請求項11に係る発明によれば、前記キャリアガス加熱用カラムを、前記第2のキャリアガス供給管が接続される前記自動切り替え手段の近傍に配置したことを特徴とする請求項8ないし10のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置が提供される。
【0023】
また、請求項12に係る発明によれば、前記加熱手段を制御する温度制御部を有することを特徴とする請求項8ないし11のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置が提供される。
【0024】
また、請求項13に係る発明によれば、前記プレカラム、前記分離カラム、及び前記検出器を収容するオーブンを有することを特徴とする請求項8ないし12記載のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置が提供される。
【0025】
また、請求項14に係る発明によれば、前記分離カラム及び前記検出器を収容するオーブンを有し、前記オーブンの外部に、前記プレカラムを配置したことを特徴とする請求項8ないし12記載のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置が提供される。
【0026】
また、請求項15に係る発明によれば、両端が前記第1のキャリアガス供給管と接続され、かつ筒状部に蓄熱剤が充填されたキャリアガス冷却用カラムと、前記キャリアガス冷却用カラムを冷却する冷却手段と、を有することを特徴とする請求項8ないし14記載のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置が提供される。
【0027】
また、請求項16に係る発明によれば、前記キャリアガス冷却用カラムを、前記第1のキャリアガス供給管が接続される前記自動切り替え手段の近傍に配置したことを特徴とする請求項15記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置が提供される。
【0028】
また、請求項17に係る発明によれば、前記自動切り替え手段は、少なくとも1つの切り替えバルブよりなることを特徴とする請求項8ないし16のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置が提供される。
【0029】
また、請求項18に係る発明によれば、前記検出器は、TCD(Thermal Conductivity Detector)、FID(Flame Ionization Detector)、ECD(Electron Capture Detector)、FPD(Flame Photometric Detector)、PID(Photo Ionization Detector)、MS(Mass spectrometer)、PDD(Pulsed Discharge Detector)のうち、いずれか1つであることを特徴とする請求項8ないし17のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置が提供される。
【発明の効果】
【0030】
本発明のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法、及びガスクロマトグラフィーを用いた分析装置によれば、加熱された第2のキャリアガスの温度を利用して分離カラムに吸着した成分を放出させることが可能となる。
これにより、昇温による待機時間やガスクロマトグラフを安定化させる時間等が不要となるので、短時間で連続して分析することができる。
【0031】
また、自動切り替え手段により、第1のキャリアガスと加熱された第2のキャリアガスとの切り替えを行なうことにより、連続分析を容易に自動化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るガスクロマトグラフィーを用いた分析装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】図1に示すキャリアガス加熱用カラムの切断面を示す拡大図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るガスクロマトグラフィーを用いた分析装置の概略構成を示す模式図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係るガスクロマトグラフィーを用いた分析装置の概略構成を示す模式図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態に係るガスクロマトグラフィーを用いた分析装置の概略構成を示す模式図である。
【図6】図5に示すキャリアガス冷却用カラムの切断面を示す拡大図である。
【図7】実施例1による硫化水素の検量線を示す図である。
【図8】実施例1によるアセチレン中ホスフィン及び硫化水素を分析した時のクロマトグラムを示す図である。
【図9】実施例1の条件で複数回分析を行なった際の硫化水素(H2S)のピーク面積、及び比較例1の条件で複数回分析を行なった際の硫化水素(H2S)のピーク面積を示す図である。
【図10】実施例1の条件でホスフィン(PH3)の標準ガスを用いて連続分析を行った際のホスフィン(PH3)のピーク面積を示す図である。
【図11】比較例2の条件でホスフィン(PH3)の標準ガスを用いて連続分析を行った際のホスフィン(PH3)のピーク面積を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の分析装置の寸法関係とは異なる場合がある。また、本明細書中で用いる単位については、濃度は体積濃度を表している。
【0034】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るガスクロマトグラフィーを用いた分析装置の概略構成を示す模式図である。
図1を参照するに、第1の実施の形態のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置10(以下、単に「分析装置10」という)は、ガス供給装置11と、分析計であるガスクロマトグラフ12と、を有する。
【0035】
ガス供給装置11は、自動切り替え手段である切り替えバルブ14と、第1のキャリアガス供給管15と、第1のガス排出管16と、第2のキャリアガス供給管18と、試料採取管19と、第2のガス排出管22と、試料ガス供給管23と、キャリアガス加熱用カラム25と、加熱手段26と、温度制御部27と、を有する。
【0036】
切り替えバルブ14は、十方弁切り替えバルブであり、第1ポート14−1、第2ポート14−2、第3ポート14−3、第4ポート14−4、第5ポート14−5、第6ポート14−6、第7ポート14−7、第8ポート14−8、第9ポート14−9、及び第10ポート14−10を有する。
切り替えバルブ14は、ガスクロマトグラフ12に設けられた後述するプレカラム32に、第1のキャリアガス供給管15を介して供給される第1のキャリアガスを供給するか、或いは第2のキャリアガス供給管18を介して供給される第2のキャリアガスを供給するかの切り替えを行なうバルブである。
【0037】
第1のキャリアガス供給管15は、切り替えバルブ14の第1ポート14−1と接続されている。第1のキャリアガス供給管15は、第1ポート14−1を介して、ガスクロマトグラフ12を構成するプレカラム32に第1のキャリアガスを供給する。第1のキャリアガスとしては、例えば、ヘリウム(He)、水素(H2)、窒素(N2)、アルゴン(Ar)等を用いることができる。
【0038】
第1のガス排出管16は、第1のキャリアガス及び試料ガスを排出するための排出管であり、第2ポート14−2と接続されている。
第2のキャリアガス供給管18は、キャリアガス加熱用カラム25を介して、第5ポート14−5と接続されている。第2のキャリアガス供給管18は、キャリアガス加熱用カラム25を介して、ガスクロマトグラフ12を構成する分離カラム34に第2のキャリアガスを供給する。第2のキャリアガスとしては、例えば、ヘリウム(He)、水素(H2)、窒素(N2)、アルゴン(Ar)等を用いることができる。
【0039】
試料採取管19は、第7ポート14−7及び第10ポート14−10と接続されている。第2のガス排出管22は、試料ガスを排出するための排出管であり、第8ポート14−8と接続されている。
試料ガス供給管23は、切り替えバルブ14に試料ガスを供給するための管路であり、第9ポート14−9と接続されている。試料ガスとしては、例えば、アセチレンを用いることができる。
【0040】
キャリアガス加熱用カラム25は、第2のキャリアガス供給管18に設けられており、その両端が第2のキャリアガス供給管18と接続されている。キャリアガス加熱用カラム25は、第2のキャリアガスを供給する第2のキャリアガス供給源(図示せず)と第5ポート14−5との間に配置されている。
【0041】
図2は、図1に示すキャリアガス加熱用カラムの切断面を示す拡大図である。次に、キャリアガス加熱用カラム25の具体的な構成について説明する。
図2を参照するに、キャリアガス加熱用カラム25は、加熱手段26により加熱されるカラムであり、筒状部28と、蓄熱剤29と、を有する。
【0042】
筒状部28は、第2のキャリアガスを加熱する蓄熱剤29を充填するための管である。筒状部28の材料としては、例えば、金属を用いることができる。筒状部28の材料となる金属としては、例えば、ステンレスや銅等を用いることができる。
また、第2のキャリアガスの加熱効率の観点から、筒状部28の太さは、ある程度太くしてガスの線速度を遅くするか、或いは、筒状部28の径が細い場合には、筒状部28の長さを長くするとよい。
【0043】
具体的には、太さの太い筒状部28を使用する場合、筒状部28として、例えば、3/8インチの金属パイプ(外形が9.53mm、内径が7.53mm)を用いることができる。なお、この場合、内径を10mm以上にしてもよい。
また、太さの細い筒状部28を使用する場合、筒状部28として、例えば、外径が4mmで内径が3mmのパイプ、或いは、1/8インチ(外形が3.18mm、内径が2.18mm)で長さが0.5〜3m程度の金属パイプを用いることができる。
【0044】
蓄熱剤29は、粒状とされており、第2のキャリアガスが通過可能な状態で筒状部28を充填している。蓄熱剤29は、加熱手段26により加熱されることで蓄熱し、該蓄熱により蓄熱剤29を通過する第2のキャリアガスを加熱する。
蓄熱剤29の材料としては、熱伝導率の高い材料で、かつ水分を吸着しない材料であることが好ましく、金属、及び金属以外の材料を用いることが可能である。蓄熱剤29の材料として金属を用いる場合、例えば、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)のうち、少なくとも1種よりなる金属を用いることができる。
【0045】
このように、加熱手段26に加熱されることで蓄熱し、該蓄熱により第2のキャリアガスを加熱するキャリアガス加熱用カラム25を設けることにより、オーブン31を昇温して直接分離カラム34を加熱することなく、加熱された第2のキャリアガスの温度を利用して分離カラム34に吸着した成分を放出させることが可能となる。
これにより、昇温による待機時間やガスクロマトグラフ12を安定化させる時間等が不要となるので、短時間で連続して分析することができる。
【0046】
また、キャリアガス加熱用カラム25は、切り替えバルブ14の第5ポート14−5の近傍に配置するとよい。
ここでいう近傍とは、空間的にキャリアガス加熱用カラム25を配置可能な範囲での、第5ポート14−5とキャリアガス加熱用カラム25とを接続する配管の最短長さのことをいう。
【0047】
空間的にキャリアガス加熱用カラム25を配置できない場合としては、例えば、キャリアガス加熱用カラム25と配管継手等とが干渉する場合がある。
第5ポート14−5とキャリアガス加熱用カラム25とを接続する配管の長さが長くなる程、キャリアガス加熱用カラム25で加熱された第2のキャリアガスの温度が低下しやすくなる。仮に、第2のキャリアガスの温度が室温に戻ってしまうと、第2のキャリアガスを加熱することによる効果が得られない。
【0048】
一般的にGC用途の配管はその直径が1/16インチや2mmといった細い配管が使われており、例えば、1/16インチ、長さ5cmの配管で接続すると好適である。
また、第5ポート14−5とキャリアガス加熱用カラム25とを接続する配管の長さがどうしても1mや2mと長くなってしまう場合には、当該配管に断熱材を巻く等して対処してもよい。
【0049】
このように、切り替えバルブ14の第5ポート14−5の近傍にキャリアガス加熱用カラム25を配置することにより、キャリアガス加熱用カラム25と分離カラム34との距離が短くなるため、分離カラム34に流入する加熱された第2のキャリアガスの温度低下を抑制できる。
【0050】
なお、図1及び図2では、筒状部28の一例として、一方向に延在する棒状の筒状部28を例に挙げて図示したが、筒状部28をU字形状にしてもよい。つまり、キャリアガス加熱用カラム25の形状をU字形状にしてもよい。
このように、キャリアガス加熱用カラム25をU字形状にすることにより、キャリアガス加熱用カラム25がコンパクトな形状となるので、分析装置10の小型化を図ることができる。
【0051】
加熱手段26は、キャリアガス加熱用カラム25の周囲に配置されている。加熱手段26は、キャリアガス加熱用カラム25を加熱することで、キャリアガス加熱用カラム25内を移動する第2のキャリアガスを間接的に加熱する。加熱手段26としては、例えば、マントルヒーターやリボンヒーター等のヒーターを用いることができる。
温度制御部27は、加熱手段26と電気的に接続されている。温度制御部27は、加熱手段26の温度を制御することで、第2のキャリアガスの温度を調整する。
【0052】
ガスクロマトグラフ12は、オーブン31と、プレカラム32と、分離カラム34と、検出器35と、を有する。オーブン31は、プレカラム32、分離カラム34、及び検出器35を収容している。これにより、オーブン31は、プレカラム32及び分離カラム34を所定の温度に加熱可能な構成とされている。
【0053】
プレカラム32は、その一方の端部が第3ポート14−3と接続されており、他方の端部が第6ポート14−6と接続されている。プレカラム32は、切り替えバルブ14を介して、試料採取管19と接続されている。
分離カラム34は、その一方の端部が第4ポート14−4と接続されており、他方の端部が検出器35と接続されている。分離カラム34は、筒状部に試料ガスをガス成分ごとに分離するための充填剤が充填された構成とされている。
【0054】
検出器35は、分離カラム34の他方の端部(出口側)と接続されている。検出器35は、分離カラム34を通過した成分を検出するためのものである。検出器35としては、例えば、TCD(Thermal Conductivity Detector)、FID(Flame Ionization Detector)、ECD(Electron Capture Detector)、FPD(Flame Photometric Detector)、PID(Photo Ionization Detector)、MS(Mass spectrometer)、PDD(Pulsed Discharge Detector)のうち、いずれか1つを用いることができる。検出器35は、図示していない記録計と接続されている。
【0055】
第1の実施の形態のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置によれば、両端が第2のキャリアガス供給管18と接続され、かつ筒状部28に第2のキャリアガスが通過する蓄熱剤29が充填されたキャリアガス加熱用カラム25と、キャリアガス加熱用カラム25を加熱する加熱手段26と、プレカラム32に供給するキャリアガスを、第1のキャリアガスから加熱された第2のキャリアガスに切り替える切り替えバルブ14と、を設けることにより、オーブン31を昇温して直接分離カラム34を加熱することなく、加熱された第2のキャリアガスにより、プレカラム32に吸着した成分を分離カラム34に移動させ、その後、プレカラム32に吸着した成分を分離カラム34により分離させ、分離カラム34に吸着した成分を放出させることが可能となる。
これにより、昇温による待機時間やガスクロマトグラフ12を安定化させる時間等が不要となるので、短時間で連続して分析することができる。
【0056】
また、第1のキャリアガスと、加熱された第2のキャリアガスとの切り替えを行なう切り替えバルブ14を設けたことにより、キャリアガスの切り替えを自動化で行なうことが可能となるので、連続分析を容易に自動化できる。
【0057】
また、キャリアガス加熱用カラム25及び加熱手段26をオーブン31の外部に配置することにより、オーブン31とは独立して、第2のキャリアガスの温度を調整することができる。
【0058】
次いで、図1に示す分析装置10を用いた第1の実施の形態の分析方法(ガスクロマトグラフィーを用いた分析方法)について説明する。
始めに、図1に示す切り替えバルブ14の点線部分を接続することで、試料採取管19に試料ガスを導入する。このとき、第1のキャリアガスは、第1のガス排出管16から排出され、加熱された第2のキャリアガスは、プレカラム32及び分離カラム34を介して、検出器35に送られる。
【0059】
次いで、切り替えバルブ14を切り替えて、切り替えバルブ14の実線部分が接続された状態(図1に示す切り替えバルブ14の状態)にすることで、第1のキャリアガスにより、試料採取管19に採取された試料ガスがプレカラム32に送られる。プレカラム32では、試料ガスの成分が分離され、先に溶出した不要な成分が排気される。このとき、加熱された第2のキャリアガスは、分離カラム34を介して、検出器35に送られる。
【0060】
プレカラム32により不要な成分が排気された後、切り替えバルブ14を点線部分が接続された状態に切り替えることで、加熱された第2のキャリアガスによりプレカラム32に残存する成分が一気に分離カラム34に送られ、分離カラム34により該成分が分離され、その後、検出器35により検出される。
【0061】
第1の実施の形態のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法によれば、第1のキャリアガスを試料採取管19に供給して、試料採取管19により採取された試料ガスをプレカラム32に移動させ、試料ガスに含まれる成分のうち、必要な成分を吸着させ、かつ不要な成分を排気させ、次いで、切り替えバルブ14を切り替えて、キャリアガス加熱用カラム25により加熱された第2のキャリアガスをプレカラム32に供給することで、プレカラム32に吸着した成分を分離カラム34に移動させ、次いで、プレカラム32に吸着した成分(分析対象成分)を分離カラム34により分離させることで、加熱された第2のキャリアガスの温度を利用して分離カラム34に吸着した成分を放出させることが可能となる。
これにより、昇温による待機時間やガスクロマトグラフ12を安定化させる時間等が不要となるので、短時間で連続して分析することができる。
【0062】
また、プレカラム32に供給する2つのキャリアガス(具体的には、第1のキャリアガス、及び加熱された第2のキャリアガス)の切り替えを、切り替えバルブ14を用いて行なうことにより、連続分析を容易に自動化できる。
【0063】
(第2の実施の形態)
図3は、本発明の第2の実施の形態に係るガスクロマトグラフィーを用いた分析装置の概略構成を示す模式図である。図3において、図1に示す第1の実施の形態の分析装置10と同一構成部分には同一符号を付す。
図3を参照するに、第1の実施の形態のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置40(以下、単に「分析装置40」という)は、ガス供給装置41と、ガスクロマトグラフ42と、を有する。
【0064】
ガス供給装置41は、第1の実施の形態で説明したガス供給装置11に設けられた切り替えバルブ14の替わりに、第1及び第2の切り替えバルブ45,47、及びバルブ間接続管48を設けた以外は、ガス供給装置11と同様な構成とされている。
つまり、ガス供給装置41は、自動切り替え手段として2つの切り替えバルブ(第1及び第2の切り替えバルブ45,47)を有する。
【0065】
第1の切り替えバルブ45は、六方弁切り替えバルブであり、第1ポート45−1、第2ポート45−2、第3ポート45−3、第4ポート45−4、第5ポート45−5、及び第6ポート45−6を有する。
第1ポート45−1は、第1のキャリアガス供給管15と接続されている。第2ポート45−2は、バルブ間接続管48を介して、第2の切り替えバルブ47と接続されている。第3ポート45−3及び第6ポート45−6は、試料採取管19と接続されている。第4ポート45−4は、第2のガス排出管22と接続されている。第5ポート45−5は、試料ガス供給管23と接続されている。
【0066】
なお、図3に示す第1の切り替えバルブ45では、第1ポート45−1と第6ポート45−6との間、第2ポート45−2と第3ポート45−3との間、及び第4ポート45−4と第5ポート45−5との間が接続された状態を模式的に図示している。
また、図3に示す状態から第1の切り替えバルブ45を切り替えることで、第1ポート45−1と第2ポート45−2との間、第3ポート45−3と第4ポート45−4との間、及び第5ポート45−5と第6ポート45−6との間が接続(言い換えれば、図3に示す第1の切り替えバルブ45の点線部分が接続)される。
【0067】
第2の切り替えバルブ47は、六方弁切り替えバルブであり、第1ポート47−1、第2ポート47−2、第3ポート47−3、第4ポート47−4、第5ポート47−5、及び第6ポート47−6を有する。
第1ポート47−1は、第1のガス排出管16と接続されている。第2ポート47−2は、第2のキャリアガス供給管18と接続されている。また、第2ポート47−2は、第2のキャリアガス供給管18を介して、第2ポート47−2の近傍に配置され、かつ両端が第2のキャリアガス供給管18と接続されたキャリアガス加熱用カラム25と接続されている。
【0068】
第3ポート47−3及び第6ポート47−6は、プレカラム32と接続されている。第4ポート47−4は、分離カラム34と接続されている。第5ポート47−5は、バルブ間接続管48と接続されると共に、バルブ間接続管48を介して、第1の切り替えバルブ45の第2ポート45−2と接続されている。
バルブ間接続管48は、第1のキャリアガスにより、試料採取管19で採取された試料ガスをプレカラム32に移動させるための管路である。
【0069】
なお、図3に示す第2の切り替えバルブ47では、第1ポート47−1と第2ポート47−2との間、第3ポート47−3と第4ポート47−4との間、及び第5ポート47−5と第6ポート47−6との間が接続された状態を模式的に図示している。
また、図3に示す状態から第2の切り替えバルブ47を切り替えることで、第1ポート47−1と第6ポート47−6との間、第2ポート47−2と第3ポート47−3との間、及び第4ポート47−4と第5ポート47−5との間が接続(言い換えれば、図3に示す第2の切り替えバルブ47の点線部分が接続)される。
【0070】
ガスクロマトグラフ42は、オーブン31内に分離カラム34及び検出器35を収容し、プレカラム32をオーブン31の外部に配置した以外は、第1の実施の形態で説明したガスクロマトグラフ12と同様な構成とされている。
【0071】
第2の実施の形態のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置によれば、第1のキャリアガス供給管15と接続された第1の切り替えバルブ45と、キャリアガス加熱用カラム25を介して、第2のキャリアガス供給管18と接続された第2の切り替えバルブ47と、を設けることにより、2つの切り替えバルブ(第1及び第2の切り替えバルブ45,47)を用いて、プレカラム32に供給するキャリアガスである第1のキャリアガス(温度調整されていないキャリアガス)と加熱された第2のキャリアガスとの切り替えを行なうことが可能となる。
これにより、1つの切り替えバルブを用いて、1回のバルブ操作で第1のキャリアガス及び加熱された第2のキャリアガスとの切り替えを行なう場合と比較して、第1及び第2のキャリアガスの圧力変動を小さくした上で、第1及び第2のキャリアガスの切り替えを行なうことができる。
【0072】
また、水や二酸化炭素を吸着したプレカラム32に加熱した第2のキャリアガスを供給することにより、水及び二酸化炭素の追出しを容易に行なうことができる。
さらに、プレカラム32に吸着させた水及び二酸化炭素は、1回の分析毎にバックフラッシュ時にバルブ切替えた際、加熱された第2のキャリアガスにより放出される。これにより、分析中に不要な成分の追出しを行なうことが可能となるので、プレカラム32に不要な成分が蓄積されることを抑制できる。
【0073】
また、オーブン31の外部にプレカラム32を配置することにより、オーブン31内の温度、加熱された第2のキャリアガスの温度、及びプレカラム32の初期温度の3条件を変化させることが可能となるので、より広範囲な分析を行なうことができる。
【0074】
なお、第2の実施の形態の分析装置40は、第1の実施の形態の分析装置10と同様な効果(具体的には、短時間で連続して分析でき、かつ容易に連続分析を自動化することができるという効果)を得ることができる。
【0075】
次に、図3を参照して、図3に示す分析装置40を用いた第2の実施の形態の分析方法(ガスクロマトグラフィーを用いた分析方法)について説明する。
始めに、図3に示す第1の切り替えバルブ45の状態からバルブを切り替えることで、図3に示す第1の切り替えバルブ45の点線部分を接続する。これにより、試料採取管19に、試料ガス供給管23を介して、試料ガスが供給され、第1のキャリアガスが第2の切り替えバルブ47に送られる。
【0076】
次いで、第1の切り替えバルブ45を切り替えて、図3に示す第1の切り替えバルブ45の実線部分が接続された状態にする。次いで、試料採取管19に第1のキャリアガスを供給することで、第1のキャリアガスにより、試料採取管19に採取された試料ガスを第2の切り替えバルブ47と接続されたプレカラム32に移動させる。
【0077】
次いで、第2の切り替えバルブ47の実線部分を接続した状態(図3に示す第2の切り替えバルブ47の状態)にして、プレカラム32により、第1のキャリアガスで送られた試料ガスを分離する、次いで、先に溶出される成分(測定対象成分)から順に分離カラム34に送られ、検出器35により検出される。
【0078】
測定対象成分がプレカラム32から分離カラム34に移動した段階で、第2の切り替えバルブ47を切り替えて、図3に示す第2の切り替えバルブ47の点線部分が接続された状態にする。これにより、加熱された第2のキャリアガスがプレカラム32に供給され、プレカラム32に残存する成分が、加熱された第2のキャリアガスにより排出される。
【0079】
第2の実施の形態のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法によれば、2つの切り替えバルブ(第1及び第2の切り替えバルブ45,47)を用いて、プレカラム32に供給するキャリアガス(具体的には、第1のキャリアガス及び加熱された第2のキャリアガス)を切り替えることにより、1つの切り替えバルブを用いて、1回のバルブ操作で第1及び第2のキャリアガスの切り替えを行なう場合と比較して、第1及び第2のキャリアガスの圧力変動を小さくした上で、第1及び第2のキャリアガスの切り替えを行なうことができる。
【0080】
また、オーブン31内の温度、加熱された第2のキャリアガスの温度、及びプレカラム32の初期温度の3条件を変化させることが可能となるので、より広範囲な分析を行なうことができる。
【0081】
また、水や二酸化炭素を吸着したプレカラム32に加熱した第2のキャリアガスを供給することにより、水及び二酸化炭素の追出しを容易に行なうことができる。
さらに、プレカラム32に吸着させた水及び二酸化炭素は、1回の分析毎にバックフラッシュ時にバルブ切替えることで、加熱された第2のキャリアガスにより放出されるため、分析中に不要な成分の追出しを行なうことが可能となり、プレカラム32に不要な成分が蓄積されることを抑制できる。
【0082】
なお、第2の実施の形態のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法は、第1の実施の形態のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法と同様な効果(具体的には、短時間で連続して分析でき、かつ容易に連続分析を自動化することができるという効果)を得ることができる。
また、第2の実施の形態では、プレカラム32をオーブン31の外部に配置した場合を例に挙げて説明したが、プレカラム32はオーブン31の内部に配置してもよい。
【0083】
(第3の実施の形態)
図4は、本発明の第3の実施の形態に係るガスクロマトグラフィーを用いた分析装置の概略構成を示す模式図である。図4において、図3に示す第2の実施の形態の分析装置40と同一構成部分には同一符号を付す。
図4を参照するに、第3の実施の形態のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置50(以下、単に「分析装置50」という)は、第2の実施の形態の分析装置40に設けられたガス供給装置41の替わりに、ガス供給装置51を設けた以外は、分析装置40と同様に構成される。
【0084】
ガス供給装置51は、第2のキャリアガス供給管18を第1ポート47−1に接続し、分離カラム34を第2ポート47−2に接続し、第1のガス排出管16を第4ポート47−4に接続した以外は、第2の実施の形態の分析装置40に設けられたガス供給装置41と同様に構成される。
【0085】
第3の実施の形態のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置によれば、第2のキャリアガス供給管18を第1ポート47−1に接続し、分離カラム34を第2ポート47−2に接続し、第1のガス排出管16を第4ポート47−4に接続することで、プレカラム32を介して、第1のキャリアガス1により、分析の妨害となる成分を排気した後に、分析を行なうことができる。
なお、第3の実施の形態の分析装置50は、第1の実施の形態の分析装置10と同様な効果(具体的には、短時間で連続して分析でき、かつ容易に連続分析を自動化することができるという効果)を得ることができる。
【0086】
第3の実施の形態のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法は、プレカラム32を介して、第1のキャリアガス1により、分析の妨害となる成分を排気した後に、分析を行なうこと以外は、先に説明した第2の実施の形態のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法と同様な手法により行なうことができる。
【0087】
(第4の実施の形態)
図5は、本発明の第4の実施の形態に係るガスクロマトグラフィーを用いた分析装置の概略構成を示す模式図である。図5において、図4に示す第3の実施の形態の分析装置50と同一構成部分には同一符号を付す。
図5を参照するに、第4の実施の形態のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置60(以下、単に「分析装置60」という)は、第3の実施の形態の分析装置50に設けられたガス供給装置51の替わりに、ガス供給装置61を設けた以外は、分析装置50と同様に構成される。
【0088】
ガス供給装置61は、第3の実施の形態の分析装置50に設けられたガス供給装置51の構成に、さらに、冷却媒体用容器62、冷却用媒体63、及びキャリアガス冷却用カラム65を設けた構成とされている。
冷却媒体用容器62は、冷却用媒体63、第1のキャリアガス供給管15の一部、及びキャリアガス冷却用カラム65を収容するための容器である。
冷却用媒体63は、キャリアガス冷却用カラム65を冷却するための媒体であり、冷却媒体用容器62に収容されている。冷却用媒体63としては、例えば、液体窒素、冷媒等を用いることができる。
なお、図示してはいないが、チラーを用いて、冷却用媒体63となる液体の温度を管理し、該液体を循環させることで、キャリアガス冷却用カラム65を冷却してもよい。
【0089】
キャリアガス冷却用カラム65は、第1のキャリアガス供給管15に設けられており、その両端が第1のキャリアガス供給管15と接続されている。キャリアガス冷却用カラム65は、第1のキャリアガスを供給すする第1のキャリアガス供給源(図示せず)と第1ポート45−1との間に配置されており、冷却用媒体63に浸漬されている。
キャリアガス冷却用カラム65は、第1のキャリアガス供給管15のうち、第1ポート45−1の近傍に位置する部分に設けるとよい。これにより、プレカラム32に到達する前に冷却された第1のキャリアガスの温度が上昇することを抑制できる。
【0090】
ここでいう近傍とは、空間的にキャリアガス冷却用カラム65を配置可能な範囲での、第1ポート45−1とキャリアガス冷却用カラム65とを接続する配管の最短長さのことをいう。空間的にキャリアガス冷却用カラム65を配置できない場合としては、例えば、キャリアガス冷却用カラム65と配管継手等とが干渉する場合がある。
【0091】
第1ポート45−1とキャリアガス冷却用カラム65とを接続する配管の長さが長くなる程、キャリアガス冷却用カラム65で冷却された第1のキャリアガスの温度が上昇しやすくなる。仮に、第1のキャリアガスの温度が室温に戻ってしまうと、第1のキャリアガスを冷却することによる効果が得られない。
【0092】
一般的にGC用途の配管はその直径が1/16インチや2mmといった細い配管が使われており、例えば、1/16インチ、長さ5cmの配管で接続すると好適である。
また、第1ポート45−1とキャリアガス冷却用カラム65とを接続する配管の長さがどうしても1mや2mと長くなってしまう場合には、当該配管に断熱材を巻く等して対処してもよい。
【0093】
図6は、図5に示すキャリアガス冷却用カラムの切断面を示す拡大図である。次に、キャリアガス冷却用カラム65の構成について説明する。
図2を参照するに、キャリアガス冷却用カラム65は、冷却媒体63により冷却されるカラムであり、筒状部28と、蓄熱剤29と、を有する。つまり、キャリアガス冷却用カラム65は、先に説明した図2に示すキャリアガス加熱用カラム25と同様な構成とされている。
キャリアガス冷却用カラム65を構成し、かつ冷却された蓄熱剤29は、第1のキャリアガスがキャリアガス冷却用カラム65を通過する際に、第1のキャリアガスを冷却する。
【0094】
第4の実施の形態のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置によれば、第1のキャリアガス供給管15に設けられ、かつ冷却用媒体63に浸漬されたキャリアガス冷却用カラム65と、第1のキャリアガス供給管15と接続された第1の切り替えバルブ45と、第2のキャリアガス供給管18に設けられ、かつ加熱手段26により加熱されるキャリアガス加熱用カラム25と、第1及び第2の切り替えバルブ45,47と、を有することにより、専用の冷却機での冷却、及びカラム自体(具体的には、プレカラム32)を冷媒中に浸すことなく、冷却した第1のキャリアガスにより間接的にプレカラム32に設けられた吸着剤を冷やして、該吸着剤に試料ガスの成分を吸着させることが可能となるので、短時間で連続して分析でき、かつ容易に連続分析を自動化することができる。
【0095】
次に、図5を参照して、図5に示す分析装置50を用いた第3の実施の形態の分析方法(ガスクロマトグラフィーを用いた分析方法)について説明する。
始めに、図5に示す第1の切り替えバルブ45の状態からバルブを切り替えることで、図5に示す第1の切り替えバルブ45の点線部分を接続する。これにより、試料採取管19に、試料ガス供給管23を介して、試料ガスが供給され、冷却された第1のキャリアガスが第2の切り替えバルブ47に送られる。
【0096】
次いで、第1の切り替えバルブ45を切り替えて、図5に示す第1の切り替えバルブ45の実線部分を接続した状態にする。次いで、試料採取管19に、冷却された第1のキャリアガスを供給することで、冷却された第1のキャリアガスにより、試料採取管19に採取された試料ガスを第2の切り替えバルブ47と接続されたプレカラム32に送る。
【0097】
次いで、第1の切り替えバルブ45を実線部分が接続された状態(図5に示す第1の切り替えバルブ45の状態)に切り替える。これにより、冷却された第1のキャリアガスにより、試料採取管19に採取された試料ガスが、第2の切り替えバルブ47と接続されたプレカラム32に送られる。そして、プレカラム32では、冷却されたプレカラム32の充填剤に沸点の低い成分が吸着、或いは吸着した成分の移動速度が遅くなり、吸着しない成分が第1のキャリアガスと共に排気される。
【0098】
次いで、測定対象成分がプレカラム32に吸着している状態で、第2の切り替えバルブ47を切り替えて、図5に示す第2の切り替えバルブ47の点線部分が接続された状態にする。これにより、プレカラム32に吸着していた成分が、加熱された第2のキャリアガスにより一気に排気され、そのまま後段の分離カラム34に送られ、分離後、検出器35により検出される。
【0099】
第4の実施の形態のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法によれば、第1及び第2の切り替えバルブ45,47を切り替えることで、冷却した第1のキャリアガスにより、間接的にプレカラム32に設けられた吸着剤を冷やして、該吸着剤に試料ガスの成分を吸着させることが可能となるので、短時間で連続して分析でき、かつ容易に連続分析を自動化することができる。
【0100】
また、通常の濃縮法では、測定対象成分の捕集のために捕集カラムを0℃以下に冷却し、捕集した成分を追出しするために、カラムをお湯に浸すなどの温度操作が必要であったが、第4の実施の形態の分析装置60によれば、冷却した第1のキャリアガス、及び加熱した第2のキャリアガスを用いて、捕集した成分の吸着及び追い出しを容易に行なうことができる。
【0101】
また、オーブン31の外部に設けられたプレカラム32に、温度の異なる第1及び第2のキャリアガスを供給することにより、ガスクロマトグラフ42のオーブン31の温度に左右されることなく、プレカラム32に設けられた吸着剤に、試料ガスの成分の吸着、及び該成分の放出を容易に行なうことができる。
【0102】
さらに、第1及び第2のキャリアガスの温度を個々に変更することが可能なため、ガスクロマトグラフ42の温度条件(具体的には、分離カラム34の温度条件)を変更することなく、従来、困難であった成分の分離を行なうことが可能となる。
【0103】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0104】
第1乃至第4の実施の形態では、自動切り替え手段として切り替えバルブを用いる場合を例に挙げて説明したが、第1のキャリアガス供給管15及び第2のキャリアガス供給管18をそれぞれプレカラム32及び分離カラム34に接続し、第1のキャリアガス供給管15及び第2のキャリアガス供給管18にそれぞれ自動切り替え弁を設けることで、第1及び第2のキャリアガスの切り替えを行なってもよい。
つまり、六方ロータリーバルブや十方ロータリーバルブではなく、複数の開閉弁や分流弁を組み合わせて、試料ガスやキャリアガスの流路を制御し、自動で切替えることで連続分析を行なうことも可能である。
【0105】
また、第1乃至第4の実施の形態では、切り替えバルブが1つまたは2つの場合を例に挙げて説明したが、3つ以上の切り替えバルブを用いて、複数のキャリアガス(第1及び第2のキャリアガス以外のキャリアガスも含む)の切り替えを行ってもよい。
【0106】
(実施例1)
第1の実施の形態で説明した図1に示す分析装置10を用いて、プレカット法によりアセチレン中に含まれる硫化水素の分析を行った。
このとき、ガスクロマトグラフ31として、検出器35としてPIDを備えた日立製作所社製のガスクロマトグラフ263−50型を用いた。
また、プレカラム32として、Cromosorb 102, 60/80#,1/8インチΦ×1m(ジーエルサイエンス株式会社製)を用い、分離カラム34として、Sunpak S,80/100#,1/8インチΦ×2m(信和化工株式会社製)を用いた。
【0107】
また、キャリアガス加熱用カラム25として、3/8インチΦ×30cmのステンレスよりなる筒状部28と、粒径が420〜840nmの砂状亜鉛よりなる蓄熱剤29と、を備えたキャリアガス加熱用カラムを用いた。また、第1及び第2のキャリアガスとして、ヘリウム(He)を用いた。
【0108】
また、分析条件として、キャリアガス加熱用カラム25の加熱温度を80℃、オーブン31の温度を60℃、検出器35の温度を120℃、PID印加電圧を750V、第1及び第2のキャリアガスの流速を26ml/min、PID放電ガスを40ml/min、サンプルループの計量管の内容積を0.38mlとした。
【0109】
硫化水素(H2S)の標準ガスをヘリウム(He)で希釈し、濃度2〜100ppmに調整した試料ガスを測定し、硫化水素(H2S)の検量線を作成した結果を図7に示す。
図7は、実施例1による硫化水素の検量線を示す図である。図7の横軸は、硫化水素(H2S)の濃度を示しており、縦軸は硫化水素のピーク面積を示している。
図7に示すように、硫化水素(H2S)の検量線の直線性は、良好であることが確認できた。
【0110】
アセチレン中に含まれるホスフィン(PH3)、及び硫化水素(H2S)を分析した時のクロマトグラムを図8に示す。
図8を参照するに、ホスフィン(PH3)及び硫化水素(H2S)の分析の再現性が良好であることが確認できた。
【0111】
図9に、上記実施例1の装置及び条件で複数回分析を行なった際の硫化水素(H2S)のピーク面積を示す。
図9に示すように、実施例1(キャリアガス加熱用カラム25を80℃の温度に加熱して、加熱された第2のキャリアガスを用いた場合)では、2回目の分析で硫化水素(H2S)のピーク面積が安定することが確認できた。
【0112】
図10に、アセチレンに含まれるホスフィン(PH3)の分析をするにあたり、ホスフィン(PH3)の標準ガスを用いて連続分析を行った結果を示す。
図10には、ヘリウムで希釈した標準ガス中のホスフィン(PH3)の濃度が99ppm、52ppm、23ppmの3点の濃度でそれぞれ複数回分析した結果を示す。
図10に示すように、分析回数に依存することなく、各濃度でのホスフィン(PH3)のピーク面積が安定していることが確認できた。
【0113】
(実施例2)
第2の実施の形態で説明した図4に示す分析装置40を用いて、水分及び二酸化炭素を含む試料ガスを用いて、該試料ガス中に含まれる水素、酸素、及び窒素の分析を行った。
このとき、検出器35としてPDDを用いた。また、プレカラム32の長さを10cm、分離カラム34の長さを2mにすると共に、プレカラム32及び分離カラム34を構成する充填剤29としてMS−5A(商品名;Molecular Sieve 5A、信和化工株式会社製)を用いた。また、キャリアガス加熱用カラム25は、120℃に加熱した。
【0114】
図4に示す分析装置40において、水分及び二酸化炭素は、プレカラム32に吸着される。よって、分離カラム34には、水素、酸素、及び窒素のみが送られ、検出器35で測定される。
上記条件で連続分析を行なったところ、分離カラム34をエージングすることなく、長期間安定して測定できることが確認できた。これは、加熱された第2のキャリアガスにより、プレカラム32に吸着した水分及び二酸化炭素が分析毎に追い出されるためと推測される。
【0115】
(実施例3)
第4の実施の形態で説明した図5に示す分析装置60を使用して、試料ガスとして微量アルコール類を含む窒素ガスを用いた分析を行なった。
このとき、検出器35としてPIDを用いた。また、プレカラム32の蓄熱剤29として、ガス成分の捕集に使用されるTENAX GC(信和化工株式会社製)を用い、プレカラム32の温度を常温(25℃)とした。また、試料採取管19として、大容量(10〜20ml)の計量管を用いた。
【0116】
実施例3では、試料採取管19により試料ガスとして微量アルコール類を含む窒素ガスを採取し、冷却された第1のキャリアガスにより、アルコール類のみをプレカラム32に捕集すると共に、窒素を排気した。次いで、バルブの切換えにより、加熱された第2のキャリアガスをプレカラム32に供給することで、捕集したアルコール類を一気にオーブン31内の分離カラム34に送った。
これにより、測定対象である微量のアルコール類のみが捕集され、大容量サンプリングの影響を受けることなく、微量分析のための試料の大量注入による捕集濃縮が簡単にできることが確認できた。
【0117】
(比較例1)
図1に示す分析装置10の構成からキャリアガス加熱用カラム25を除去した分析装置を用いて、つまり、加熱していない第2のキャリアガス(常温(25℃))を使用して、実施例1と同様に、アセチレン中に含まれる硫化水素の分析を複数回行なった。この結果を図9に示す。
常温(25℃)とされた第2のキャリアガスを用いた場合、プレカラム32での硫化水素(H2S)の吸着が確認された。
また、図9に示すように、分析回数が増加すると硫化水素(H2S)のピークは徐々に大きくなったが、分析回数が10回を超えても硫化水素(H2S)を完全に検出することはできなかった。
【0118】
(比較例2)
図1に示す分析装置10の構成からキャリアガス加熱用カラム25を除去した分析装置を用いて、つまり、加熱していない第2のキャリアガス(常温(25℃))を使用して、アセチレン中に含まれるホスフィン(PH3)の分析をするにあたり、ホスフィン(PH3)の標準ガスを用いて連続分析を行った。この結果を図11に示す。
図11には、ヘリウムで希釈した標準ガス中のホスフィン(PH3)の濃度が99ppm、52ppm、23ppmの3点の濃度でそれぞれ複数回分析した結果を示す。
図11に示すように、常温(25℃)とされた第2のキャリアガスを用いた場合、ホスフィン(PH3)のピーク面積に大きなばらつきがみられ、検量線を作成することが困難であった。
【0119】
上記実施例1〜3、及び比較例1,2の結果から、比較例1,2では連続して安定して分析すること困難であり、実施例1〜3では、連続して安定した分析を行なうことが可能であることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明は、ガスクロマトグラフィーを用いた分析方法、及びガスクロマトグラフィーを用いた分析装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0121】
10,40,50,60…分析装置、11,41,51,61…ガス供給装置、12,42…ガスクロマトグラフ、14…切り替えバルブ、14−1,45−1,47−1…第1ポート、14−2,45−2,47−2…第2ポート、14−3,45−3,47−3…第3ポート、14−4,45−4,47−4…第4ポート、14−5,45−5,47−5…第5ポート、14−6,45−6,47−6…第6ポート、14−7…第7ポート、14−8…第8ポート、14−9…第9ポート、14−10…第10ポート、15…第1のキャリアガス供給管、16…第1のガス排出管、18…第2のキャリアガス供給管、19…試料採取管、22…第2の排出管、23…試料ガス供給管、25…キャリアガス加熱用カラム、26…加熱手段、27…温度制御部、28…筒状部、29…蓄熱剤、31…オーブン、32…プレカラム、34…分離カラム、35…検出器、45…第1の切り替えバルブ、47…第2の切り替えバルブ、48…バルブ間接続管、62…冷却媒体用容器、63…冷却用媒体、65…キャリアガス冷却用カラム
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスクロマトグラフィーを用いた分析方法、及びガスクロマトグラフィーを用いた分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスクロマトグラフィーを用いた分析方法は、ガス分析において最も使われている手法である。上記ガス分析には、分析計であるガスクロマトグラフ(以下、「GC」という)を備えた分析装置を用いる。
従来のGCとしては、オーブン内に全てのカラムを配置したものがある(例えば、特許文献1参照。)。
また、従来の分析装置としては、高感度な検出器を備え、試料の計量、濃縮、水分除去、及び分析カラムへの移送を順次行った後に、さらにパージガスによりバックフラッシュ操作を行なってプレカラムの再生を行なうものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
さらに、従来、濃縮法や大量のサンプルを導入して分析する場合、サンプル中の測定対象成分を一旦捕集カラムに吸着させ、捕集カラムを加熱することで吸着させた成分の追出しを行なっていた(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2006/077912号パンフレット
【特許文献2】特許第3678762号公報
【特許文献3】特許第3108794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、オーブン内に全てのカラムを配置した従来のGCの場合、オーブン内は同じ温度で制御されているため、カラム剤に吸着した成分を追出す際、オーブンの温度を操作してカラム自体を加熱する必要があった。
このため、分析時間に加え、昇温操作によるオーブン内の温度が安定するまでの待機時間が必要となり、連続して分析を行なう際、多くの時間を要するという問題があった。
【0006】
また、カラムだけでなく、分析する成分によってはバルブ全体もオーブン内に設置する場合がある。この場合、オーブン内での複数のカラムを設置及び交換する手間やオーブン内のスペース的な問題があった。
【0007】
また、分離カラム剤に吸着しやすい微量成分を分析する場合、あらかじめ測定する高濃度の成分ガスを数回導入し、分離カラム剤となじませるパッシベーションが必要なため、GCを安定化させるまでに多くの時間を要するという問題があった。
また、カラム剤に分離の妨害となる水や二酸化炭素が吸着した場合、一晩以上オーブンを加熱して、水及び二酸化炭素の追出しを行う必要があった。つまり、エージングを行なう必要があった。
【0008】
また、オーブンを昇温しないでバックフラッシュにより、これらの不要な成分を追い出す場合、多くの時間が必要であるという問題があった。また、分析時のオーブンの温度では、不要な成分を十分に除去できない虞があった。
【0009】
また、濃縮法では、濃縮管を専用の冷却装置を用いて冷却する必要があるため、濃縮管全体を冷却及び加熱する操作は専用の装置で行う必要があった。
【0010】
さらに、大容量サンプルを導入する場合、一旦サンプル中の測定対象成分を常温、或いは低温にした捕集カラムの捕集剤に吸着させ、この捕集カラムを加熱、或いは温水中に浸して吸着した成分の追出しを行うため、簡単に自動化することは難しく、また、専用の加熱冷却装置が必要であった。
【0011】
そこで、本発明は、分析装置を大型化することなく、簡便な方法により短時間で連続分析が可能で、かつ連続分析の自動化を容易に行なうことが可能なガスクロマトグラフィーを用いた分析方法、及びガスクロマトグラフィーを用いた分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明によれば、ガスクロマトグラフィーを用いた分析方法であって、試料採取管に試料ガスを供給することで前記試料ガスを採取する工程と、第1のキャリアガスにより、前記試料採取管により採取された前記試料ガスをプレカラムに移動させ、該試料ガスに含まれる成分のうち、必要な成分を前記プレカラムに吸着させる工程と、自動切り替え手段により、前記プレカラムに供給するキャリアガスを、前記第1のキャリアガスから加熱された第2のキャリアガスに切り替え、該第2のキャリアガスにより、前記プレカラムに吸着した成分を分離カラムに移動させ、その後、前記プレカラムに吸着した成分を前記分離カラムにより分離させる工程と、検出器により、前記分離カラムを通過した成分を検出する工程と、を含むことを特徴とするガスクロマトグラフィーを用いた分析方法が提供される。
【0013】
また、請求項2に係る発明によれば、前記第2のキャリアガスの加熱は、筒状部に蓄熱剤が充填されたキャリアガス加熱用カラムを加熱し、前記第2のキャリアガスを、加熱された前記キャリアガス加熱用カラムを通過させることで行なうことを特徴とする請求項1記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法が提供される。
【0014】
また、請求項3に係る発明によれば、前記蓄熱剤は、粒状とされた金属であることを特徴とする請求項2記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法が提供される。
【0015】
また、請求項4に係る発明によれば、前記金属は、銅、亜鉛、アルミニウム、鉄のうち、少なくとも1種よりなることを特徴とする請求項3記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法が提供される。
【0016】
また、請求項5に係る発明によれば、前記第1のキャリアガスを冷却し、冷却した前記第1のキャリアガスにより、前記試料採取管に採取された前記試料ガスを前記プレカラムに移動させ、前記試料ガスに含まれる成分のうち、前記必要な成分を前記プレカラムに吸着させることを特徴とする請求項1ないし4のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法が提供される。
【0017】
また、請求項6に係る発明によれば、前記第1のキャリアガスの冷却は、筒状部に蓄熱剤が充填されたキャリアガス冷却用カラムを冷却し、前記第1のキャリアガスを、冷却された前記キャリアガス冷却用カラムを通過させることで行なうことを特徴とする請求項5記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法が提供される。
【0018】
また、請求項7に係る発明によれば、前記自動切り替え手段は、少なくとも1つの切り替えバルブよりなることを特徴とする請求項1ないし6のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法が提供される。
【0019】
また、請求項8に係る発明によれば、プレカラム、分離カラム、及び該分離カラムと接続された検出器を備えたガスクロマトグラフィーを用いた分析装置であって、試料採取管を介して、前記プレカラムに第1のキャリアガスを供給する第1のキャリアガス供給管と、前記プレカラムを介して、前記分離カラムに第2のキャリアガスを供給する第2のキャリアガス供給管と、両端が前記第2のキャリアガス供給管と接続され、かつ筒状部に前記第2のキャリアガスが通過する蓄熱剤が充填されたキャリアガス加熱用カラムと、前記キャリアガス加熱用カラムを加熱する加熱手段と、前記プレカラムに供給する前記第1及び第2のキャリアガスの切り替えを行なう自動切り替え手段と、を有することを特徴とするガスクロマトグラフィーを用いた分析装置が提供される。
【0020】
また、請求項9に係る発明によれば、前記蓄熱剤は、粒状とされた金属であることを特徴とする請求項8記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置が提供される。
【0021】
また、請求項10に係る発明によれば、前記金属は、銅、亜鉛、アルミニウム、鉄のうち、少なくとも1種よりなることを特徴とする請求項9記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置が提供される。
【0022】
また、請求項11に係る発明によれば、前記キャリアガス加熱用カラムを、前記第2のキャリアガス供給管が接続される前記自動切り替え手段の近傍に配置したことを特徴とする請求項8ないし10のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置が提供される。
【0023】
また、請求項12に係る発明によれば、前記加熱手段を制御する温度制御部を有することを特徴とする請求項8ないし11のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置が提供される。
【0024】
また、請求項13に係る発明によれば、前記プレカラム、前記分離カラム、及び前記検出器を収容するオーブンを有することを特徴とする請求項8ないし12記載のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置が提供される。
【0025】
また、請求項14に係る発明によれば、前記分離カラム及び前記検出器を収容するオーブンを有し、前記オーブンの外部に、前記プレカラムを配置したことを特徴とする請求項8ないし12記載のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置が提供される。
【0026】
また、請求項15に係る発明によれば、両端が前記第1のキャリアガス供給管と接続され、かつ筒状部に蓄熱剤が充填されたキャリアガス冷却用カラムと、前記キャリアガス冷却用カラムを冷却する冷却手段と、を有することを特徴とする請求項8ないし14記載のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置が提供される。
【0027】
また、請求項16に係る発明によれば、前記キャリアガス冷却用カラムを、前記第1のキャリアガス供給管が接続される前記自動切り替え手段の近傍に配置したことを特徴とする請求項15記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置が提供される。
【0028】
また、請求項17に係る発明によれば、前記自動切り替え手段は、少なくとも1つの切り替えバルブよりなることを特徴とする請求項8ないし16のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置が提供される。
【0029】
また、請求項18に係る発明によれば、前記検出器は、TCD(Thermal Conductivity Detector)、FID(Flame Ionization Detector)、ECD(Electron Capture Detector)、FPD(Flame Photometric Detector)、PID(Photo Ionization Detector)、MS(Mass spectrometer)、PDD(Pulsed Discharge Detector)のうち、いずれか1つであることを特徴とする請求項8ないし17のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置が提供される。
【発明の効果】
【0030】
本発明のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法、及びガスクロマトグラフィーを用いた分析装置によれば、加熱された第2のキャリアガスの温度を利用して分離カラムに吸着した成分を放出させることが可能となる。
これにより、昇温による待機時間やガスクロマトグラフを安定化させる時間等が不要となるので、短時間で連続して分析することができる。
【0031】
また、自動切り替え手段により、第1のキャリアガスと加熱された第2のキャリアガスとの切り替えを行なうことにより、連続分析を容易に自動化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るガスクロマトグラフィーを用いた分析装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】図1に示すキャリアガス加熱用カラムの切断面を示す拡大図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るガスクロマトグラフィーを用いた分析装置の概略構成を示す模式図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係るガスクロマトグラフィーを用いた分析装置の概略構成を示す模式図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態に係るガスクロマトグラフィーを用いた分析装置の概略構成を示す模式図である。
【図6】図5に示すキャリアガス冷却用カラムの切断面を示す拡大図である。
【図7】実施例1による硫化水素の検量線を示す図である。
【図8】実施例1によるアセチレン中ホスフィン及び硫化水素を分析した時のクロマトグラムを示す図である。
【図9】実施例1の条件で複数回分析を行なった際の硫化水素(H2S)のピーク面積、及び比較例1の条件で複数回分析を行なった際の硫化水素(H2S)のピーク面積を示す図である。
【図10】実施例1の条件でホスフィン(PH3)の標準ガスを用いて連続分析を行った際のホスフィン(PH3)のピーク面積を示す図である。
【図11】比較例2の条件でホスフィン(PH3)の標準ガスを用いて連続分析を行った際のホスフィン(PH3)のピーク面積を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の分析装置の寸法関係とは異なる場合がある。また、本明細書中で用いる単位については、濃度は体積濃度を表している。
【0034】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るガスクロマトグラフィーを用いた分析装置の概略構成を示す模式図である。
図1を参照するに、第1の実施の形態のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置10(以下、単に「分析装置10」という)は、ガス供給装置11と、分析計であるガスクロマトグラフ12と、を有する。
【0035】
ガス供給装置11は、自動切り替え手段である切り替えバルブ14と、第1のキャリアガス供給管15と、第1のガス排出管16と、第2のキャリアガス供給管18と、試料採取管19と、第2のガス排出管22と、試料ガス供給管23と、キャリアガス加熱用カラム25と、加熱手段26と、温度制御部27と、を有する。
【0036】
切り替えバルブ14は、十方弁切り替えバルブであり、第1ポート14−1、第2ポート14−2、第3ポート14−3、第4ポート14−4、第5ポート14−5、第6ポート14−6、第7ポート14−7、第8ポート14−8、第9ポート14−9、及び第10ポート14−10を有する。
切り替えバルブ14は、ガスクロマトグラフ12に設けられた後述するプレカラム32に、第1のキャリアガス供給管15を介して供給される第1のキャリアガスを供給するか、或いは第2のキャリアガス供給管18を介して供給される第2のキャリアガスを供給するかの切り替えを行なうバルブである。
【0037】
第1のキャリアガス供給管15は、切り替えバルブ14の第1ポート14−1と接続されている。第1のキャリアガス供給管15は、第1ポート14−1を介して、ガスクロマトグラフ12を構成するプレカラム32に第1のキャリアガスを供給する。第1のキャリアガスとしては、例えば、ヘリウム(He)、水素(H2)、窒素(N2)、アルゴン(Ar)等を用いることができる。
【0038】
第1のガス排出管16は、第1のキャリアガス及び試料ガスを排出するための排出管であり、第2ポート14−2と接続されている。
第2のキャリアガス供給管18は、キャリアガス加熱用カラム25を介して、第5ポート14−5と接続されている。第2のキャリアガス供給管18は、キャリアガス加熱用カラム25を介して、ガスクロマトグラフ12を構成する分離カラム34に第2のキャリアガスを供給する。第2のキャリアガスとしては、例えば、ヘリウム(He)、水素(H2)、窒素(N2)、アルゴン(Ar)等を用いることができる。
【0039】
試料採取管19は、第7ポート14−7及び第10ポート14−10と接続されている。第2のガス排出管22は、試料ガスを排出するための排出管であり、第8ポート14−8と接続されている。
試料ガス供給管23は、切り替えバルブ14に試料ガスを供給するための管路であり、第9ポート14−9と接続されている。試料ガスとしては、例えば、アセチレンを用いることができる。
【0040】
キャリアガス加熱用カラム25は、第2のキャリアガス供給管18に設けられており、その両端が第2のキャリアガス供給管18と接続されている。キャリアガス加熱用カラム25は、第2のキャリアガスを供給する第2のキャリアガス供給源(図示せず)と第5ポート14−5との間に配置されている。
【0041】
図2は、図1に示すキャリアガス加熱用カラムの切断面を示す拡大図である。次に、キャリアガス加熱用カラム25の具体的な構成について説明する。
図2を参照するに、キャリアガス加熱用カラム25は、加熱手段26により加熱されるカラムであり、筒状部28と、蓄熱剤29と、を有する。
【0042】
筒状部28は、第2のキャリアガスを加熱する蓄熱剤29を充填するための管である。筒状部28の材料としては、例えば、金属を用いることができる。筒状部28の材料となる金属としては、例えば、ステンレスや銅等を用いることができる。
また、第2のキャリアガスの加熱効率の観点から、筒状部28の太さは、ある程度太くしてガスの線速度を遅くするか、或いは、筒状部28の径が細い場合には、筒状部28の長さを長くするとよい。
【0043】
具体的には、太さの太い筒状部28を使用する場合、筒状部28として、例えば、3/8インチの金属パイプ(外形が9.53mm、内径が7.53mm)を用いることができる。なお、この場合、内径を10mm以上にしてもよい。
また、太さの細い筒状部28を使用する場合、筒状部28として、例えば、外径が4mmで内径が3mmのパイプ、或いは、1/8インチ(外形が3.18mm、内径が2.18mm)で長さが0.5〜3m程度の金属パイプを用いることができる。
【0044】
蓄熱剤29は、粒状とされており、第2のキャリアガスが通過可能な状態で筒状部28を充填している。蓄熱剤29は、加熱手段26により加熱されることで蓄熱し、該蓄熱により蓄熱剤29を通過する第2のキャリアガスを加熱する。
蓄熱剤29の材料としては、熱伝導率の高い材料で、かつ水分を吸着しない材料であることが好ましく、金属、及び金属以外の材料を用いることが可能である。蓄熱剤29の材料として金属を用いる場合、例えば、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)のうち、少なくとも1種よりなる金属を用いることができる。
【0045】
このように、加熱手段26に加熱されることで蓄熱し、該蓄熱により第2のキャリアガスを加熱するキャリアガス加熱用カラム25を設けることにより、オーブン31を昇温して直接分離カラム34を加熱することなく、加熱された第2のキャリアガスの温度を利用して分離カラム34に吸着した成分を放出させることが可能となる。
これにより、昇温による待機時間やガスクロマトグラフ12を安定化させる時間等が不要となるので、短時間で連続して分析することができる。
【0046】
また、キャリアガス加熱用カラム25は、切り替えバルブ14の第5ポート14−5の近傍に配置するとよい。
ここでいう近傍とは、空間的にキャリアガス加熱用カラム25を配置可能な範囲での、第5ポート14−5とキャリアガス加熱用カラム25とを接続する配管の最短長さのことをいう。
【0047】
空間的にキャリアガス加熱用カラム25を配置できない場合としては、例えば、キャリアガス加熱用カラム25と配管継手等とが干渉する場合がある。
第5ポート14−5とキャリアガス加熱用カラム25とを接続する配管の長さが長くなる程、キャリアガス加熱用カラム25で加熱された第2のキャリアガスの温度が低下しやすくなる。仮に、第2のキャリアガスの温度が室温に戻ってしまうと、第2のキャリアガスを加熱することによる効果が得られない。
【0048】
一般的にGC用途の配管はその直径が1/16インチや2mmといった細い配管が使われており、例えば、1/16インチ、長さ5cmの配管で接続すると好適である。
また、第5ポート14−5とキャリアガス加熱用カラム25とを接続する配管の長さがどうしても1mや2mと長くなってしまう場合には、当該配管に断熱材を巻く等して対処してもよい。
【0049】
このように、切り替えバルブ14の第5ポート14−5の近傍にキャリアガス加熱用カラム25を配置することにより、キャリアガス加熱用カラム25と分離カラム34との距離が短くなるため、分離カラム34に流入する加熱された第2のキャリアガスの温度低下を抑制できる。
【0050】
なお、図1及び図2では、筒状部28の一例として、一方向に延在する棒状の筒状部28を例に挙げて図示したが、筒状部28をU字形状にしてもよい。つまり、キャリアガス加熱用カラム25の形状をU字形状にしてもよい。
このように、キャリアガス加熱用カラム25をU字形状にすることにより、キャリアガス加熱用カラム25がコンパクトな形状となるので、分析装置10の小型化を図ることができる。
【0051】
加熱手段26は、キャリアガス加熱用カラム25の周囲に配置されている。加熱手段26は、キャリアガス加熱用カラム25を加熱することで、キャリアガス加熱用カラム25内を移動する第2のキャリアガスを間接的に加熱する。加熱手段26としては、例えば、マントルヒーターやリボンヒーター等のヒーターを用いることができる。
温度制御部27は、加熱手段26と電気的に接続されている。温度制御部27は、加熱手段26の温度を制御することで、第2のキャリアガスの温度を調整する。
【0052】
ガスクロマトグラフ12は、オーブン31と、プレカラム32と、分離カラム34と、検出器35と、を有する。オーブン31は、プレカラム32、分離カラム34、及び検出器35を収容している。これにより、オーブン31は、プレカラム32及び分離カラム34を所定の温度に加熱可能な構成とされている。
【0053】
プレカラム32は、その一方の端部が第3ポート14−3と接続されており、他方の端部が第6ポート14−6と接続されている。プレカラム32は、切り替えバルブ14を介して、試料採取管19と接続されている。
分離カラム34は、その一方の端部が第4ポート14−4と接続されており、他方の端部が検出器35と接続されている。分離カラム34は、筒状部に試料ガスをガス成分ごとに分離するための充填剤が充填された構成とされている。
【0054】
検出器35は、分離カラム34の他方の端部(出口側)と接続されている。検出器35は、分離カラム34を通過した成分を検出するためのものである。検出器35としては、例えば、TCD(Thermal Conductivity Detector)、FID(Flame Ionization Detector)、ECD(Electron Capture Detector)、FPD(Flame Photometric Detector)、PID(Photo Ionization Detector)、MS(Mass spectrometer)、PDD(Pulsed Discharge Detector)のうち、いずれか1つを用いることができる。検出器35は、図示していない記録計と接続されている。
【0055】
第1の実施の形態のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置によれば、両端が第2のキャリアガス供給管18と接続され、かつ筒状部28に第2のキャリアガスが通過する蓄熱剤29が充填されたキャリアガス加熱用カラム25と、キャリアガス加熱用カラム25を加熱する加熱手段26と、プレカラム32に供給するキャリアガスを、第1のキャリアガスから加熱された第2のキャリアガスに切り替える切り替えバルブ14と、を設けることにより、オーブン31を昇温して直接分離カラム34を加熱することなく、加熱された第2のキャリアガスにより、プレカラム32に吸着した成分を分離カラム34に移動させ、その後、プレカラム32に吸着した成分を分離カラム34により分離させ、分離カラム34に吸着した成分を放出させることが可能となる。
これにより、昇温による待機時間やガスクロマトグラフ12を安定化させる時間等が不要となるので、短時間で連続して分析することができる。
【0056】
また、第1のキャリアガスと、加熱された第2のキャリアガスとの切り替えを行なう切り替えバルブ14を設けたことにより、キャリアガスの切り替えを自動化で行なうことが可能となるので、連続分析を容易に自動化できる。
【0057】
また、キャリアガス加熱用カラム25及び加熱手段26をオーブン31の外部に配置することにより、オーブン31とは独立して、第2のキャリアガスの温度を調整することができる。
【0058】
次いで、図1に示す分析装置10を用いた第1の実施の形態の分析方法(ガスクロマトグラフィーを用いた分析方法)について説明する。
始めに、図1に示す切り替えバルブ14の点線部分を接続することで、試料採取管19に試料ガスを導入する。このとき、第1のキャリアガスは、第1のガス排出管16から排出され、加熱された第2のキャリアガスは、プレカラム32及び分離カラム34を介して、検出器35に送られる。
【0059】
次いで、切り替えバルブ14を切り替えて、切り替えバルブ14の実線部分が接続された状態(図1に示す切り替えバルブ14の状態)にすることで、第1のキャリアガスにより、試料採取管19に採取された試料ガスがプレカラム32に送られる。プレカラム32では、試料ガスの成分が分離され、先に溶出した不要な成分が排気される。このとき、加熱された第2のキャリアガスは、分離カラム34を介して、検出器35に送られる。
【0060】
プレカラム32により不要な成分が排気された後、切り替えバルブ14を点線部分が接続された状態に切り替えることで、加熱された第2のキャリアガスによりプレカラム32に残存する成分が一気に分離カラム34に送られ、分離カラム34により該成分が分離され、その後、検出器35により検出される。
【0061】
第1の実施の形態のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法によれば、第1のキャリアガスを試料採取管19に供給して、試料採取管19により採取された試料ガスをプレカラム32に移動させ、試料ガスに含まれる成分のうち、必要な成分を吸着させ、かつ不要な成分を排気させ、次いで、切り替えバルブ14を切り替えて、キャリアガス加熱用カラム25により加熱された第2のキャリアガスをプレカラム32に供給することで、プレカラム32に吸着した成分を分離カラム34に移動させ、次いで、プレカラム32に吸着した成分(分析対象成分)を分離カラム34により分離させることで、加熱された第2のキャリアガスの温度を利用して分離カラム34に吸着した成分を放出させることが可能となる。
これにより、昇温による待機時間やガスクロマトグラフ12を安定化させる時間等が不要となるので、短時間で連続して分析することができる。
【0062】
また、プレカラム32に供給する2つのキャリアガス(具体的には、第1のキャリアガス、及び加熱された第2のキャリアガス)の切り替えを、切り替えバルブ14を用いて行なうことにより、連続分析を容易に自動化できる。
【0063】
(第2の実施の形態)
図3は、本発明の第2の実施の形態に係るガスクロマトグラフィーを用いた分析装置の概略構成を示す模式図である。図3において、図1に示す第1の実施の形態の分析装置10と同一構成部分には同一符号を付す。
図3を参照するに、第1の実施の形態のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置40(以下、単に「分析装置40」という)は、ガス供給装置41と、ガスクロマトグラフ42と、を有する。
【0064】
ガス供給装置41は、第1の実施の形態で説明したガス供給装置11に設けられた切り替えバルブ14の替わりに、第1及び第2の切り替えバルブ45,47、及びバルブ間接続管48を設けた以外は、ガス供給装置11と同様な構成とされている。
つまり、ガス供給装置41は、自動切り替え手段として2つの切り替えバルブ(第1及び第2の切り替えバルブ45,47)を有する。
【0065】
第1の切り替えバルブ45は、六方弁切り替えバルブであり、第1ポート45−1、第2ポート45−2、第3ポート45−3、第4ポート45−4、第5ポート45−5、及び第6ポート45−6を有する。
第1ポート45−1は、第1のキャリアガス供給管15と接続されている。第2ポート45−2は、バルブ間接続管48を介して、第2の切り替えバルブ47と接続されている。第3ポート45−3及び第6ポート45−6は、試料採取管19と接続されている。第4ポート45−4は、第2のガス排出管22と接続されている。第5ポート45−5は、試料ガス供給管23と接続されている。
【0066】
なお、図3に示す第1の切り替えバルブ45では、第1ポート45−1と第6ポート45−6との間、第2ポート45−2と第3ポート45−3との間、及び第4ポート45−4と第5ポート45−5との間が接続された状態を模式的に図示している。
また、図3に示す状態から第1の切り替えバルブ45を切り替えることで、第1ポート45−1と第2ポート45−2との間、第3ポート45−3と第4ポート45−4との間、及び第5ポート45−5と第6ポート45−6との間が接続(言い換えれば、図3に示す第1の切り替えバルブ45の点線部分が接続)される。
【0067】
第2の切り替えバルブ47は、六方弁切り替えバルブであり、第1ポート47−1、第2ポート47−2、第3ポート47−3、第4ポート47−4、第5ポート47−5、及び第6ポート47−6を有する。
第1ポート47−1は、第1のガス排出管16と接続されている。第2ポート47−2は、第2のキャリアガス供給管18と接続されている。また、第2ポート47−2は、第2のキャリアガス供給管18を介して、第2ポート47−2の近傍に配置され、かつ両端が第2のキャリアガス供給管18と接続されたキャリアガス加熱用カラム25と接続されている。
【0068】
第3ポート47−3及び第6ポート47−6は、プレカラム32と接続されている。第4ポート47−4は、分離カラム34と接続されている。第5ポート47−5は、バルブ間接続管48と接続されると共に、バルブ間接続管48を介して、第1の切り替えバルブ45の第2ポート45−2と接続されている。
バルブ間接続管48は、第1のキャリアガスにより、試料採取管19で採取された試料ガスをプレカラム32に移動させるための管路である。
【0069】
なお、図3に示す第2の切り替えバルブ47では、第1ポート47−1と第2ポート47−2との間、第3ポート47−3と第4ポート47−4との間、及び第5ポート47−5と第6ポート47−6との間が接続された状態を模式的に図示している。
また、図3に示す状態から第2の切り替えバルブ47を切り替えることで、第1ポート47−1と第6ポート47−6との間、第2ポート47−2と第3ポート47−3との間、及び第4ポート47−4と第5ポート47−5との間が接続(言い換えれば、図3に示す第2の切り替えバルブ47の点線部分が接続)される。
【0070】
ガスクロマトグラフ42は、オーブン31内に分離カラム34及び検出器35を収容し、プレカラム32をオーブン31の外部に配置した以外は、第1の実施の形態で説明したガスクロマトグラフ12と同様な構成とされている。
【0071】
第2の実施の形態のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置によれば、第1のキャリアガス供給管15と接続された第1の切り替えバルブ45と、キャリアガス加熱用カラム25を介して、第2のキャリアガス供給管18と接続された第2の切り替えバルブ47と、を設けることにより、2つの切り替えバルブ(第1及び第2の切り替えバルブ45,47)を用いて、プレカラム32に供給するキャリアガスである第1のキャリアガス(温度調整されていないキャリアガス)と加熱された第2のキャリアガスとの切り替えを行なうことが可能となる。
これにより、1つの切り替えバルブを用いて、1回のバルブ操作で第1のキャリアガス及び加熱された第2のキャリアガスとの切り替えを行なう場合と比較して、第1及び第2のキャリアガスの圧力変動を小さくした上で、第1及び第2のキャリアガスの切り替えを行なうことができる。
【0072】
また、水や二酸化炭素を吸着したプレカラム32に加熱した第2のキャリアガスを供給することにより、水及び二酸化炭素の追出しを容易に行なうことができる。
さらに、プレカラム32に吸着させた水及び二酸化炭素は、1回の分析毎にバックフラッシュ時にバルブ切替えた際、加熱された第2のキャリアガスにより放出される。これにより、分析中に不要な成分の追出しを行なうことが可能となるので、プレカラム32に不要な成分が蓄積されることを抑制できる。
【0073】
また、オーブン31の外部にプレカラム32を配置することにより、オーブン31内の温度、加熱された第2のキャリアガスの温度、及びプレカラム32の初期温度の3条件を変化させることが可能となるので、より広範囲な分析を行なうことができる。
【0074】
なお、第2の実施の形態の分析装置40は、第1の実施の形態の分析装置10と同様な効果(具体的には、短時間で連続して分析でき、かつ容易に連続分析を自動化することができるという効果)を得ることができる。
【0075】
次に、図3を参照して、図3に示す分析装置40を用いた第2の実施の形態の分析方法(ガスクロマトグラフィーを用いた分析方法)について説明する。
始めに、図3に示す第1の切り替えバルブ45の状態からバルブを切り替えることで、図3に示す第1の切り替えバルブ45の点線部分を接続する。これにより、試料採取管19に、試料ガス供給管23を介して、試料ガスが供給され、第1のキャリアガスが第2の切り替えバルブ47に送られる。
【0076】
次いで、第1の切り替えバルブ45を切り替えて、図3に示す第1の切り替えバルブ45の実線部分が接続された状態にする。次いで、試料採取管19に第1のキャリアガスを供給することで、第1のキャリアガスにより、試料採取管19に採取された試料ガスを第2の切り替えバルブ47と接続されたプレカラム32に移動させる。
【0077】
次いで、第2の切り替えバルブ47の実線部分を接続した状態(図3に示す第2の切り替えバルブ47の状態)にして、プレカラム32により、第1のキャリアガスで送られた試料ガスを分離する、次いで、先に溶出される成分(測定対象成分)から順に分離カラム34に送られ、検出器35により検出される。
【0078】
測定対象成分がプレカラム32から分離カラム34に移動した段階で、第2の切り替えバルブ47を切り替えて、図3に示す第2の切り替えバルブ47の点線部分が接続された状態にする。これにより、加熱された第2のキャリアガスがプレカラム32に供給され、プレカラム32に残存する成分が、加熱された第2のキャリアガスにより排出される。
【0079】
第2の実施の形態のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法によれば、2つの切り替えバルブ(第1及び第2の切り替えバルブ45,47)を用いて、プレカラム32に供給するキャリアガス(具体的には、第1のキャリアガス及び加熱された第2のキャリアガス)を切り替えることにより、1つの切り替えバルブを用いて、1回のバルブ操作で第1及び第2のキャリアガスの切り替えを行なう場合と比較して、第1及び第2のキャリアガスの圧力変動を小さくした上で、第1及び第2のキャリアガスの切り替えを行なうことができる。
【0080】
また、オーブン31内の温度、加熱された第2のキャリアガスの温度、及びプレカラム32の初期温度の3条件を変化させることが可能となるので、より広範囲な分析を行なうことができる。
【0081】
また、水や二酸化炭素を吸着したプレカラム32に加熱した第2のキャリアガスを供給することにより、水及び二酸化炭素の追出しを容易に行なうことができる。
さらに、プレカラム32に吸着させた水及び二酸化炭素は、1回の分析毎にバックフラッシュ時にバルブ切替えることで、加熱された第2のキャリアガスにより放出されるため、分析中に不要な成分の追出しを行なうことが可能となり、プレカラム32に不要な成分が蓄積されることを抑制できる。
【0082】
なお、第2の実施の形態のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法は、第1の実施の形態のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法と同様な効果(具体的には、短時間で連続して分析でき、かつ容易に連続分析を自動化することができるという効果)を得ることができる。
また、第2の実施の形態では、プレカラム32をオーブン31の外部に配置した場合を例に挙げて説明したが、プレカラム32はオーブン31の内部に配置してもよい。
【0083】
(第3の実施の形態)
図4は、本発明の第3の実施の形態に係るガスクロマトグラフィーを用いた分析装置の概略構成を示す模式図である。図4において、図3に示す第2の実施の形態の分析装置40と同一構成部分には同一符号を付す。
図4を参照するに、第3の実施の形態のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置50(以下、単に「分析装置50」という)は、第2の実施の形態の分析装置40に設けられたガス供給装置41の替わりに、ガス供給装置51を設けた以外は、分析装置40と同様に構成される。
【0084】
ガス供給装置51は、第2のキャリアガス供給管18を第1ポート47−1に接続し、分離カラム34を第2ポート47−2に接続し、第1のガス排出管16を第4ポート47−4に接続した以外は、第2の実施の形態の分析装置40に設けられたガス供給装置41と同様に構成される。
【0085】
第3の実施の形態のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置によれば、第2のキャリアガス供給管18を第1ポート47−1に接続し、分離カラム34を第2ポート47−2に接続し、第1のガス排出管16を第4ポート47−4に接続することで、プレカラム32を介して、第1のキャリアガス1により、分析の妨害となる成分を排気した後に、分析を行なうことができる。
なお、第3の実施の形態の分析装置50は、第1の実施の形態の分析装置10と同様な効果(具体的には、短時間で連続して分析でき、かつ容易に連続分析を自動化することができるという効果)を得ることができる。
【0086】
第3の実施の形態のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法は、プレカラム32を介して、第1のキャリアガス1により、分析の妨害となる成分を排気した後に、分析を行なうこと以外は、先に説明した第2の実施の形態のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法と同様な手法により行なうことができる。
【0087】
(第4の実施の形態)
図5は、本発明の第4の実施の形態に係るガスクロマトグラフィーを用いた分析装置の概略構成を示す模式図である。図5において、図4に示す第3の実施の形態の分析装置50と同一構成部分には同一符号を付す。
図5を参照するに、第4の実施の形態のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置60(以下、単に「分析装置60」という)は、第3の実施の形態の分析装置50に設けられたガス供給装置51の替わりに、ガス供給装置61を設けた以外は、分析装置50と同様に構成される。
【0088】
ガス供給装置61は、第3の実施の形態の分析装置50に設けられたガス供給装置51の構成に、さらに、冷却媒体用容器62、冷却用媒体63、及びキャリアガス冷却用カラム65を設けた構成とされている。
冷却媒体用容器62は、冷却用媒体63、第1のキャリアガス供給管15の一部、及びキャリアガス冷却用カラム65を収容するための容器である。
冷却用媒体63は、キャリアガス冷却用カラム65を冷却するための媒体であり、冷却媒体用容器62に収容されている。冷却用媒体63としては、例えば、液体窒素、冷媒等を用いることができる。
なお、図示してはいないが、チラーを用いて、冷却用媒体63となる液体の温度を管理し、該液体を循環させることで、キャリアガス冷却用カラム65を冷却してもよい。
【0089】
キャリアガス冷却用カラム65は、第1のキャリアガス供給管15に設けられており、その両端が第1のキャリアガス供給管15と接続されている。キャリアガス冷却用カラム65は、第1のキャリアガスを供給すする第1のキャリアガス供給源(図示せず)と第1ポート45−1との間に配置されており、冷却用媒体63に浸漬されている。
キャリアガス冷却用カラム65は、第1のキャリアガス供給管15のうち、第1ポート45−1の近傍に位置する部分に設けるとよい。これにより、プレカラム32に到達する前に冷却された第1のキャリアガスの温度が上昇することを抑制できる。
【0090】
ここでいう近傍とは、空間的にキャリアガス冷却用カラム65を配置可能な範囲での、第1ポート45−1とキャリアガス冷却用カラム65とを接続する配管の最短長さのことをいう。空間的にキャリアガス冷却用カラム65を配置できない場合としては、例えば、キャリアガス冷却用カラム65と配管継手等とが干渉する場合がある。
【0091】
第1ポート45−1とキャリアガス冷却用カラム65とを接続する配管の長さが長くなる程、キャリアガス冷却用カラム65で冷却された第1のキャリアガスの温度が上昇しやすくなる。仮に、第1のキャリアガスの温度が室温に戻ってしまうと、第1のキャリアガスを冷却することによる効果が得られない。
【0092】
一般的にGC用途の配管はその直径が1/16インチや2mmといった細い配管が使われており、例えば、1/16インチ、長さ5cmの配管で接続すると好適である。
また、第1ポート45−1とキャリアガス冷却用カラム65とを接続する配管の長さがどうしても1mや2mと長くなってしまう場合には、当該配管に断熱材を巻く等して対処してもよい。
【0093】
図6は、図5に示すキャリアガス冷却用カラムの切断面を示す拡大図である。次に、キャリアガス冷却用カラム65の構成について説明する。
図2を参照するに、キャリアガス冷却用カラム65は、冷却媒体63により冷却されるカラムであり、筒状部28と、蓄熱剤29と、を有する。つまり、キャリアガス冷却用カラム65は、先に説明した図2に示すキャリアガス加熱用カラム25と同様な構成とされている。
キャリアガス冷却用カラム65を構成し、かつ冷却された蓄熱剤29は、第1のキャリアガスがキャリアガス冷却用カラム65を通過する際に、第1のキャリアガスを冷却する。
【0094】
第4の実施の形態のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置によれば、第1のキャリアガス供給管15に設けられ、かつ冷却用媒体63に浸漬されたキャリアガス冷却用カラム65と、第1のキャリアガス供給管15と接続された第1の切り替えバルブ45と、第2のキャリアガス供給管18に設けられ、かつ加熱手段26により加熱されるキャリアガス加熱用カラム25と、第1及び第2の切り替えバルブ45,47と、を有することにより、専用の冷却機での冷却、及びカラム自体(具体的には、プレカラム32)を冷媒中に浸すことなく、冷却した第1のキャリアガスにより間接的にプレカラム32に設けられた吸着剤を冷やして、該吸着剤に試料ガスの成分を吸着させることが可能となるので、短時間で連続して分析でき、かつ容易に連続分析を自動化することができる。
【0095】
次に、図5を参照して、図5に示す分析装置50を用いた第3の実施の形態の分析方法(ガスクロマトグラフィーを用いた分析方法)について説明する。
始めに、図5に示す第1の切り替えバルブ45の状態からバルブを切り替えることで、図5に示す第1の切り替えバルブ45の点線部分を接続する。これにより、試料採取管19に、試料ガス供給管23を介して、試料ガスが供給され、冷却された第1のキャリアガスが第2の切り替えバルブ47に送られる。
【0096】
次いで、第1の切り替えバルブ45を切り替えて、図5に示す第1の切り替えバルブ45の実線部分を接続した状態にする。次いで、試料採取管19に、冷却された第1のキャリアガスを供給することで、冷却された第1のキャリアガスにより、試料採取管19に採取された試料ガスを第2の切り替えバルブ47と接続されたプレカラム32に送る。
【0097】
次いで、第1の切り替えバルブ45を実線部分が接続された状態(図5に示す第1の切り替えバルブ45の状態)に切り替える。これにより、冷却された第1のキャリアガスにより、試料採取管19に採取された試料ガスが、第2の切り替えバルブ47と接続されたプレカラム32に送られる。そして、プレカラム32では、冷却されたプレカラム32の充填剤に沸点の低い成分が吸着、或いは吸着した成分の移動速度が遅くなり、吸着しない成分が第1のキャリアガスと共に排気される。
【0098】
次いで、測定対象成分がプレカラム32に吸着している状態で、第2の切り替えバルブ47を切り替えて、図5に示す第2の切り替えバルブ47の点線部分が接続された状態にする。これにより、プレカラム32に吸着していた成分が、加熱された第2のキャリアガスにより一気に排気され、そのまま後段の分離カラム34に送られ、分離後、検出器35により検出される。
【0099】
第4の実施の形態のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法によれば、第1及び第2の切り替えバルブ45,47を切り替えることで、冷却した第1のキャリアガスにより、間接的にプレカラム32に設けられた吸着剤を冷やして、該吸着剤に試料ガスの成分を吸着させることが可能となるので、短時間で連続して分析でき、かつ容易に連続分析を自動化することができる。
【0100】
また、通常の濃縮法では、測定対象成分の捕集のために捕集カラムを0℃以下に冷却し、捕集した成分を追出しするために、カラムをお湯に浸すなどの温度操作が必要であったが、第4の実施の形態の分析装置60によれば、冷却した第1のキャリアガス、及び加熱した第2のキャリアガスを用いて、捕集した成分の吸着及び追い出しを容易に行なうことができる。
【0101】
また、オーブン31の外部に設けられたプレカラム32に、温度の異なる第1及び第2のキャリアガスを供給することにより、ガスクロマトグラフ42のオーブン31の温度に左右されることなく、プレカラム32に設けられた吸着剤に、試料ガスの成分の吸着、及び該成分の放出を容易に行なうことができる。
【0102】
さらに、第1及び第2のキャリアガスの温度を個々に変更することが可能なため、ガスクロマトグラフ42の温度条件(具体的には、分離カラム34の温度条件)を変更することなく、従来、困難であった成分の分離を行なうことが可能となる。
【0103】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0104】
第1乃至第4の実施の形態では、自動切り替え手段として切り替えバルブを用いる場合を例に挙げて説明したが、第1のキャリアガス供給管15及び第2のキャリアガス供給管18をそれぞれプレカラム32及び分離カラム34に接続し、第1のキャリアガス供給管15及び第2のキャリアガス供給管18にそれぞれ自動切り替え弁を設けることで、第1及び第2のキャリアガスの切り替えを行なってもよい。
つまり、六方ロータリーバルブや十方ロータリーバルブではなく、複数の開閉弁や分流弁を組み合わせて、試料ガスやキャリアガスの流路を制御し、自動で切替えることで連続分析を行なうことも可能である。
【0105】
また、第1乃至第4の実施の形態では、切り替えバルブが1つまたは2つの場合を例に挙げて説明したが、3つ以上の切り替えバルブを用いて、複数のキャリアガス(第1及び第2のキャリアガス以外のキャリアガスも含む)の切り替えを行ってもよい。
【0106】
(実施例1)
第1の実施の形態で説明した図1に示す分析装置10を用いて、プレカット法によりアセチレン中に含まれる硫化水素の分析を行った。
このとき、ガスクロマトグラフ31として、検出器35としてPIDを備えた日立製作所社製のガスクロマトグラフ263−50型を用いた。
また、プレカラム32として、Cromosorb 102, 60/80#,1/8インチΦ×1m(ジーエルサイエンス株式会社製)を用い、分離カラム34として、Sunpak S,80/100#,1/8インチΦ×2m(信和化工株式会社製)を用いた。
【0107】
また、キャリアガス加熱用カラム25として、3/8インチΦ×30cmのステンレスよりなる筒状部28と、粒径が420〜840nmの砂状亜鉛よりなる蓄熱剤29と、を備えたキャリアガス加熱用カラムを用いた。また、第1及び第2のキャリアガスとして、ヘリウム(He)を用いた。
【0108】
また、分析条件として、キャリアガス加熱用カラム25の加熱温度を80℃、オーブン31の温度を60℃、検出器35の温度を120℃、PID印加電圧を750V、第1及び第2のキャリアガスの流速を26ml/min、PID放電ガスを40ml/min、サンプルループの計量管の内容積を0.38mlとした。
【0109】
硫化水素(H2S)の標準ガスをヘリウム(He)で希釈し、濃度2〜100ppmに調整した試料ガスを測定し、硫化水素(H2S)の検量線を作成した結果を図7に示す。
図7は、実施例1による硫化水素の検量線を示す図である。図7の横軸は、硫化水素(H2S)の濃度を示しており、縦軸は硫化水素のピーク面積を示している。
図7に示すように、硫化水素(H2S)の検量線の直線性は、良好であることが確認できた。
【0110】
アセチレン中に含まれるホスフィン(PH3)、及び硫化水素(H2S)を分析した時のクロマトグラムを図8に示す。
図8を参照するに、ホスフィン(PH3)及び硫化水素(H2S)の分析の再現性が良好であることが確認できた。
【0111】
図9に、上記実施例1の装置及び条件で複数回分析を行なった際の硫化水素(H2S)のピーク面積を示す。
図9に示すように、実施例1(キャリアガス加熱用カラム25を80℃の温度に加熱して、加熱された第2のキャリアガスを用いた場合)では、2回目の分析で硫化水素(H2S)のピーク面積が安定することが確認できた。
【0112】
図10に、アセチレンに含まれるホスフィン(PH3)の分析をするにあたり、ホスフィン(PH3)の標準ガスを用いて連続分析を行った結果を示す。
図10には、ヘリウムで希釈した標準ガス中のホスフィン(PH3)の濃度が99ppm、52ppm、23ppmの3点の濃度でそれぞれ複数回分析した結果を示す。
図10に示すように、分析回数に依存することなく、各濃度でのホスフィン(PH3)のピーク面積が安定していることが確認できた。
【0113】
(実施例2)
第2の実施の形態で説明した図4に示す分析装置40を用いて、水分及び二酸化炭素を含む試料ガスを用いて、該試料ガス中に含まれる水素、酸素、及び窒素の分析を行った。
このとき、検出器35としてPDDを用いた。また、プレカラム32の長さを10cm、分離カラム34の長さを2mにすると共に、プレカラム32及び分離カラム34を構成する充填剤29としてMS−5A(商品名;Molecular Sieve 5A、信和化工株式会社製)を用いた。また、キャリアガス加熱用カラム25は、120℃に加熱した。
【0114】
図4に示す分析装置40において、水分及び二酸化炭素は、プレカラム32に吸着される。よって、分離カラム34には、水素、酸素、及び窒素のみが送られ、検出器35で測定される。
上記条件で連続分析を行なったところ、分離カラム34をエージングすることなく、長期間安定して測定できることが確認できた。これは、加熱された第2のキャリアガスにより、プレカラム32に吸着した水分及び二酸化炭素が分析毎に追い出されるためと推測される。
【0115】
(実施例3)
第4の実施の形態で説明した図5に示す分析装置60を使用して、試料ガスとして微量アルコール類を含む窒素ガスを用いた分析を行なった。
このとき、検出器35としてPIDを用いた。また、プレカラム32の蓄熱剤29として、ガス成分の捕集に使用されるTENAX GC(信和化工株式会社製)を用い、プレカラム32の温度を常温(25℃)とした。また、試料採取管19として、大容量(10〜20ml)の計量管を用いた。
【0116】
実施例3では、試料採取管19により試料ガスとして微量アルコール類を含む窒素ガスを採取し、冷却された第1のキャリアガスにより、アルコール類のみをプレカラム32に捕集すると共に、窒素を排気した。次いで、バルブの切換えにより、加熱された第2のキャリアガスをプレカラム32に供給することで、捕集したアルコール類を一気にオーブン31内の分離カラム34に送った。
これにより、測定対象である微量のアルコール類のみが捕集され、大容量サンプリングの影響を受けることなく、微量分析のための試料の大量注入による捕集濃縮が簡単にできることが確認できた。
【0117】
(比較例1)
図1に示す分析装置10の構成からキャリアガス加熱用カラム25を除去した分析装置を用いて、つまり、加熱していない第2のキャリアガス(常温(25℃))を使用して、実施例1と同様に、アセチレン中に含まれる硫化水素の分析を複数回行なった。この結果を図9に示す。
常温(25℃)とされた第2のキャリアガスを用いた場合、プレカラム32での硫化水素(H2S)の吸着が確認された。
また、図9に示すように、分析回数が増加すると硫化水素(H2S)のピークは徐々に大きくなったが、分析回数が10回を超えても硫化水素(H2S)を完全に検出することはできなかった。
【0118】
(比較例2)
図1に示す分析装置10の構成からキャリアガス加熱用カラム25を除去した分析装置を用いて、つまり、加熱していない第2のキャリアガス(常温(25℃))を使用して、アセチレン中に含まれるホスフィン(PH3)の分析をするにあたり、ホスフィン(PH3)の標準ガスを用いて連続分析を行った。この結果を図11に示す。
図11には、ヘリウムで希釈した標準ガス中のホスフィン(PH3)の濃度が99ppm、52ppm、23ppmの3点の濃度でそれぞれ複数回分析した結果を示す。
図11に示すように、常温(25℃)とされた第2のキャリアガスを用いた場合、ホスフィン(PH3)のピーク面積に大きなばらつきがみられ、検量線を作成することが困難であった。
【0119】
上記実施例1〜3、及び比較例1,2の結果から、比較例1,2では連続して安定して分析すること困難であり、実施例1〜3では、連続して安定した分析を行なうことが可能であることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明は、ガスクロマトグラフィーを用いた分析方法、及びガスクロマトグラフィーを用いた分析装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0121】
10,40,50,60…分析装置、11,41,51,61…ガス供給装置、12,42…ガスクロマトグラフ、14…切り替えバルブ、14−1,45−1,47−1…第1ポート、14−2,45−2,47−2…第2ポート、14−3,45−3,47−3…第3ポート、14−4,45−4,47−4…第4ポート、14−5,45−5,47−5…第5ポート、14−6,45−6,47−6…第6ポート、14−7…第7ポート、14−8…第8ポート、14−9…第9ポート、14−10…第10ポート、15…第1のキャリアガス供給管、16…第1のガス排出管、18…第2のキャリアガス供給管、19…試料採取管、22…第2の排出管、23…試料ガス供給管、25…キャリアガス加熱用カラム、26…加熱手段、27…温度制御部、28…筒状部、29…蓄熱剤、31…オーブン、32…プレカラム、34…分離カラム、35…検出器、45…第1の切り替えバルブ、47…第2の切り替えバルブ、48…バルブ間接続管、62…冷却媒体用容器、63…冷却用媒体、65…キャリアガス冷却用カラム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスクロマトグラフィーを用いた分析方法であって、
試料採取管に試料ガスを供給することで前記試料ガスを採取する工程と、
第1のキャリアガスにより、前記試料採取管により採取された前記試料ガスをプレカラムに移動させ、該試料ガスに含まれる成分のうち、必要な成分を前記プレカラムに吸着させる工程と、
自動切り替え手段により、前記プレカラムに供給するキャリアガスを、前記第1のキャリアガスから加熱された第2のキャリアガスに切り替え、該第2のキャリアガスにより、前記プレカラムに吸着した成分を分離カラムに移動させ、その後、前記プレカラムに吸着した成分を前記分離カラムにより分離させる工程と、
検出器により、前記分離カラムを通過した成分を検出する工程と、
を含むことを特徴とするガスクロマトグラフィーを用いた分析方法。
【請求項2】
前記第2のキャリアガスの加熱は、筒状部に蓄熱剤が充填されたキャリアガス加熱用カラムを加熱し、前記第2のキャリアガスを、加熱された前記キャリアガス加熱用カラムを通過させることで行なうことを特徴とする請求項1記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法。
【請求項3】
前記蓄熱剤は、粒状とされた金属であることを特徴とする請求項2記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法。
【請求項4】
前記金属は、銅、亜鉛、アルミニウム、鉄のうち、少なくとも1種よりなることを特徴とする請求項3記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法。
【請求項5】
前記第1のキャリアガスを冷却し、冷却した前記第1のキャリアガスにより、前記試料採取管に採取された前記試料ガスを前記プレカラムに移動させ、前記試料ガスに含まれる成分のうち、前記必要な成分を前記プレカラムに吸着させることを特徴とする請求項1ないし4のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法。
【請求項6】
前記第1のキャリアガスの冷却は、筒状部に蓄熱剤が充填されたキャリアガス冷却用カラムを冷却し、前記第1のキャリアガスを、冷却された前記キャリアガス冷却用カラムを通過させることで行なうことを特徴とする請求項5記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法。
【請求項7】
前記自動切り替え手段は、少なくとも1つの切り替えバルブよりなることを特徴とする請求項1ないし6のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法。
【請求項8】
プレカラム、分離カラム、及び該分離カラムと接続された検出器を備えたガスクロマトグラフィーを用いた分析装置であって、
試料採取管を介して、前記プレカラムに第1のキャリアガスを供給する第1のキャリアガス供給管と、
前記プレカラムを介して、前記分離カラムに第2のキャリアガスを供給する第2のキャリアガス供給管と、
両端が前記第2のキャリアガス供給管と接続され、かつ筒状部に前記第2のキャリアガスが通過する蓄熱剤が充填されたキャリアガス加熱用カラムと、
前記キャリアガス加熱用カラムを加熱する加熱手段と、
前記プレカラムに供給する前記第1及び第2のキャリアガスの切り替えを行なう自動切り替え手段と、
を有することを特徴とするガスクロマトグラフィーを用いた分析装置。
【請求項9】
前記蓄熱剤は、粒状とされた金属であることを特徴とする請求項8記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置。
【請求項10】
前記金属は、銅、亜鉛、アルミニウム、鉄のうち、少なくとも1種よりなることを特徴とする請求項9記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置。
【請求項11】
前記キャリアガス加熱用カラムを、前記第2のキャリアガス供給管が接続される前記自動切り替え手段の近傍に配置したことを特徴とする請求項8ないし10のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置。
【請求項12】
前記加熱手段を制御する温度制御部を有することを特徴とする請求項8ないし11のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置。
【請求項13】
前記プレカラム、前記分離カラム、及び前記検出器を収容するオーブンを有することを特徴とする請求項8ないし12記載のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置。
【請求項14】
前記分離カラム及び前記検出器を収容するオーブンを有し、
前記オーブンの外部に、前記プレカラムを配置したことを特徴とする請求項8ないし12記載のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置。
【請求項15】
両端が前記第1のキャリアガス供給管と接続され、かつ筒状部に蓄熱剤が充填されたキャリアガス冷却用カラムと、
前記キャリアガス冷却用カラムを冷却する冷却手段と、
を有することを特徴とする請求項8ないし14記載のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置。
【請求項16】
前記キャリアガス冷却用カラムを、前記第1のキャリアガス供給管が接続される前記自動切り替え手段の近傍に配置したことを特徴とする請求項15記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置。
【請求項17】
前記自動切り替え手段は、少なくとも1つの切り替えバルブよりなることを特徴とする請求項8ないし16のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置。
【請求項18】
前記検出器は、TCD(Thermal Conductivity Detector)、FID(Flame Ionization Detector)、ECD(Electron Capture Detector)、FPD(Flame Photometric Detector)、PID(Photo Ionization Detector)、MS(Mass spectrometer)、PDD(Pulsed Discharge Detectorのうち、いずれか1つであることを特徴とする請求項8ないし17のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置。
【請求項1】
ガスクロマトグラフィーを用いた分析方法であって、
試料採取管に試料ガスを供給することで前記試料ガスを採取する工程と、
第1のキャリアガスにより、前記試料採取管により採取された前記試料ガスをプレカラムに移動させ、該試料ガスに含まれる成分のうち、必要な成分を前記プレカラムに吸着させる工程と、
自動切り替え手段により、前記プレカラムに供給するキャリアガスを、前記第1のキャリアガスから加熱された第2のキャリアガスに切り替え、該第2のキャリアガスにより、前記プレカラムに吸着した成分を分離カラムに移動させ、その後、前記プレカラムに吸着した成分を前記分離カラムにより分離させる工程と、
検出器により、前記分離カラムを通過した成分を検出する工程と、
を含むことを特徴とするガスクロマトグラフィーを用いた分析方法。
【請求項2】
前記第2のキャリアガスの加熱は、筒状部に蓄熱剤が充填されたキャリアガス加熱用カラムを加熱し、前記第2のキャリアガスを、加熱された前記キャリアガス加熱用カラムを通過させることで行なうことを特徴とする請求項1記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法。
【請求項3】
前記蓄熱剤は、粒状とされた金属であることを特徴とする請求項2記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法。
【請求項4】
前記金属は、銅、亜鉛、アルミニウム、鉄のうち、少なくとも1種よりなることを特徴とする請求項3記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法。
【請求項5】
前記第1のキャリアガスを冷却し、冷却した前記第1のキャリアガスにより、前記試料採取管に採取された前記試料ガスを前記プレカラムに移動させ、前記試料ガスに含まれる成分のうち、前記必要な成分を前記プレカラムに吸着させることを特徴とする請求項1ないし4のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法。
【請求項6】
前記第1のキャリアガスの冷却は、筒状部に蓄熱剤が充填されたキャリアガス冷却用カラムを冷却し、前記第1のキャリアガスを、冷却された前記キャリアガス冷却用カラムを通過させることで行なうことを特徴とする請求項5記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法。
【請求項7】
前記自動切り替え手段は、少なくとも1つの切り替えバルブよりなることを特徴とする請求項1ないし6のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析方法。
【請求項8】
プレカラム、分離カラム、及び該分離カラムと接続された検出器を備えたガスクロマトグラフィーを用いた分析装置であって、
試料採取管を介して、前記プレカラムに第1のキャリアガスを供給する第1のキャリアガス供給管と、
前記プレカラムを介して、前記分離カラムに第2のキャリアガスを供給する第2のキャリアガス供給管と、
両端が前記第2のキャリアガス供給管と接続され、かつ筒状部に前記第2のキャリアガスが通過する蓄熱剤が充填されたキャリアガス加熱用カラムと、
前記キャリアガス加熱用カラムを加熱する加熱手段と、
前記プレカラムに供給する前記第1及び第2のキャリアガスの切り替えを行なう自動切り替え手段と、
を有することを特徴とするガスクロマトグラフィーを用いた分析装置。
【請求項9】
前記蓄熱剤は、粒状とされた金属であることを特徴とする請求項8記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置。
【請求項10】
前記金属は、銅、亜鉛、アルミニウム、鉄のうち、少なくとも1種よりなることを特徴とする請求項9記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置。
【請求項11】
前記キャリアガス加熱用カラムを、前記第2のキャリアガス供給管が接続される前記自動切り替え手段の近傍に配置したことを特徴とする請求項8ないし10のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置。
【請求項12】
前記加熱手段を制御する温度制御部を有することを特徴とする請求項8ないし11のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置。
【請求項13】
前記プレカラム、前記分離カラム、及び前記検出器を収容するオーブンを有することを特徴とする請求項8ないし12記載のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置。
【請求項14】
前記分離カラム及び前記検出器を収容するオーブンを有し、
前記オーブンの外部に、前記プレカラムを配置したことを特徴とする請求項8ないし12記載のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置。
【請求項15】
両端が前記第1のキャリアガス供給管と接続され、かつ筒状部に蓄熱剤が充填されたキャリアガス冷却用カラムと、
前記キャリアガス冷却用カラムを冷却する冷却手段と、
を有することを特徴とする請求項8ないし14記載のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置。
【請求項16】
前記キャリアガス冷却用カラムを、前記第1のキャリアガス供給管が接続される前記自動切り替え手段の近傍に配置したことを特徴とする請求項15記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置。
【請求項17】
前記自動切り替え手段は、少なくとも1つの切り替えバルブよりなることを特徴とする請求項8ないし16のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置。
【請求項18】
前記検出器は、TCD(Thermal Conductivity Detector)、FID(Flame Ionization Detector)、ECD(Electron Capture Detector)、FPD(Flame Photometric Detector)、PID(Photo Ionization Detector)、MS(Mass spectrometer)、PDD(Pulsed Discharge Detectorのうち、いずれか1つであることを特徴とする請求項8ないし17のうち、いずれか1項記載のガスクロマトグラフィーを用いた分析装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−132781(P2012−132781A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284911(P2010−284911)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000231235)大陽日酸株式会社 (642)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000231235)大陽日酸株式会社 (642)
[ Back to top ]