説明

ガスケット用基材の製造方法、このガスケット用基材を用いたガスケット、及びガスケットの使用方法

【課題】ガスケット用基材の製造方法、このガスケット用基材を用いたガスケット、及びガスケットの使用方法を提供する。
【解決手段】ポリオールの全量を100質量%とした場合に、ポリブタジエンポリオール及びポリイソプレンポリオールのうちの少なくとも一方を20質量%以上含有し、且つ水及び発泡剤が配合されていないフォーム原料と、気体とを混合、攪拌し、その後、生成した気液混合物をキャリアフィルム上に供給し、次いで、上下両側から加熱し、キャリアフィルム上にポリウレタンフォーム層を形成してガスケット用基材を製造する。このガスケット用基材から打ち抜くことで、ポリウレタンフォーム層(フォームシート)が、両面にスキン層を有し、且つ密度が150〜500kg/mであり、25%圧縮時の硬さが0.1MPa以下であるガスケット1とし、携帯電話等の筐体部材間の止水等に用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスケット用基材の製造方法、このガスケット用基材を用いたガスケット、及びガスケットの使用方法に関する。更に詳しくは、本発明は、特定の疎水性ポリオールを所定量含有するフォーム原料を使用するガスケット用基材の製造方法、このガスケット用基材を用いてなり、密度及び硬度が低く、且つ十分な止水性を有するガスケット、及び電子機器の筐体部材の間に介在されたときでも、過度に圧縮することなく、十分な止水性が得られるガスケットの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話等の携帯通信機器、デジタルカメラ、カーナビゲーション等の電子機器では、内部への水分及び塵埃等の侵入を抑えるため、筐体の周縁部等にガスケットが配設されている。このガスケットとして、連続気泡タイプのフォームからなる製品も用いられているが、水分及び特に微小な塵埃等の侵入を十分に抑えるためには高い圧縮率で筐体部材間に介在させる必要がある。また、ガスケットを介在させる面に溝を形成し、この溝に断面円形等のゴム製の緻密質のガスケットを嵌め込み、介在させることも多いが、成形品であるため高価であり、介在時の作業性も低いという問題がある。
【0003】
更に、電子機器の分野では、ポリウレタン若しくはシリコーン系フォーム・オレフィン系フォームが緩衝材として多用されている。これらのフォームはガスケットとしても使用されるが、ガスケットとして独立気泡タイプの製品と連続気泡タイプの製品とがある。独立気泡タイプでは、十分な緩衝性と止水性とを有する反面、経時とともに、硬度の上昇及び圧縮残留歪の悪化等の問題を生じることがある。一方、ポリウレタンフォームの連続気泡タイプでは、エステル系ポリオールを用いたときは、加水分解し、耐水性が低下することがあり、エーテル系ポリオールを用いたときは、十分な止水性及び親水性を有するフォームとすることができないという問題がある。
【0004】
より具体的には、携帯電話等のケースの気密性及び防水性能等を向上させるため、特定の物性を有するポリウレタンフォーム等からなる弾性シートに、紙等の剛性を有する基材を積層し、所定形状に打ち抜いてなるパッキンが知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、水中に没した場合等に、優れた防水性を確保するため、一方のケース部材の外周部にガスケット保持溝を周設し、ゴム状弾性材料からなる特定の構造のガスケットを、ケース部材と、ガスケット保持溝の底面に密接させてなる防水構造も知られている(例えば、特許文献2参照。)。更に、取り扱いが容易であって、シール性能が維持されるようにするため、電子装置の筐体を構成する部材の間に設けられ、ゴム状弾性材製のガスケット本体と、その表面が反応性表面処理剤で処理された表面層を備える防水ガスケットも知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−42297号公報
【特許文献2】特開2007−255482号公報
【特許文献3】特開2008−218633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載されたパッキンでは、剛性を有する基材があることで、ケースに密着させることが容易ではないと考えられ、フォームの密度及び硬度が高いため、十分に加圧して配設する必要があり、組み付けの作業が容易ではない。また、特許文献2に記載された防水構造では、ガスケット保持溝が必須であり、ガスケットが独立気泡タイプであるため、気泡を変形させて圧縮する必要があり、経時とともに歪が残留し、防水性が低下することがある。更に、特許文献3に記載された防水ガスケットでは、長さ方向に凹部が設けられているため、周方向において筐体部材との接触面積が少なくなり、十分なシール性能が維持されないことがある。
【0007】
本発明は、上記の従来の状況に鑑みてなされたものであり、特定の疎水性ポリオールを所定量含有するフォーム原料を使用するガスケット用基材の製造方法、このガスケット用基材を用いてなり、密度及び硬度が低く、且つ十分な止水性を有するガスケット、及び電子機器の筐体部材の間に介在されたときでも、過度に圧縮することなく、十分な止水性が得られるガスケットの使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下のとおりである。
1.ポリオールの全量を100質量%とした場合に、ポリブタジエンポリオール及びポリイソプレンポリオールのうちの少なくとも一方を20質量%以上含有し、且つ水及び発泡剤が配合されていないフォーム原料と、気体とを混合、攪拌し、その後、生成した気液混合物をキャリアフィルム上に供給し、次いで、該キャリアフィルム側及び反対側の両側から加熱し、該キャリアフィルム上にポリウレタンフォーム層を形成することを特徴とするガスケット用基材の製造方法。
2.上記ポリブタジエンポリオール及び上記ポリイソプレンポリオールのうちの少なくとも一方の含有量が35質量%以上である上記1.に記載のガスケット用基材の製造方法。
3.上記ポリウレタンフォーム層から上記キャリアフィルムを剥離する上記1.又は2.に記載のガスケット用基材の製造方法。
4.上記1.乃至3.のうちのいずれか1項に記載のガスケット用基材の製造方法により製造されたガスケット用基材を用いたガスケットであって、上記ポリウレタンフォーム層は、両面にスキン層を有し、且つ密度が150〜500kg/mであり、25%圧縮時の硬さが0.1MPa以下であることを特徴とするガスケット。
5.上記ポリウレタンフォーム層の70℃、50%圧縮時の圧縮残留歪が20%以下である上記4.に記載のガスケット。
6.上記硬さが0.002〜0.08MPaであり、且つ上記圧縮残留歪が3〜15%である上記5.に記載のガスケット。
7.上記ポリウレタンフォームの平均セル径が50〜300μmである上記4.乃至6.のうちのいずれか1項に記載のガスケット。
8.上記4.乃至7.のうちのいずれか1項に記載のガスケットの使用方法であって、上記ガスケットを、電子機器の筐体部材の間に介在させ、介在前の厚さの20〜50%の厚さに圧縮して用いることを特徴とするガスケットの使用方法。
9.上記介装前の厚さが0.5〜3.0mmである上記8.に記載のガスケットの使用方法。
10.上記電子機器がモバイル系電子機器である上記8.又は9.に記載のガスケットの使用方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明のガスケット用基材の製造方法によれば、特定の疎水性ポリオールを所定量含有し、且つ水及び発泡剤が配合されていないフォーム原料と、気体とを混合、攪拌し、その後、気液混合物をキャリアフィルム上に供給し、次いで、両側から加熱し、ポリウレタンフォーム層を形成して、ガスケット用基材を製造する。そのため、両面にスキン層を有し、且つ十分な疎水性を有するとともに、密度及び硬度の低いポリウレタンフォーム層を形成することができ、優れた止水性を有するガスケットを得ることができるガスケット用基材を製造することができる。
ここで、スキン層とは、表層部に形成された、見かけ密度を超える密度を有する層をいう。スキン層は、平均セル径が200μm以下、好ましくは100μm以下の微細孔層部となる。
また、ポリブタジエンポリオール及びポリイソプレンポリオールのうちの少なくとも一方の含有量が50質量%以上である場合は、気液混合時の泡化が安定しており、その結果、物性のばらつきが少なく、より均質なポリウレタンフォーム層を形成することができ、品質の安定したガスケット用基材を製造することができる。
更に、ポリウレタンフォーム層からキャリアフィルムを剥離する場合は、ポリウレタンフォーム層のみからなるガスケット用基材とすることができ、優れた密着性及び止水性等を有し、筐体部材間等に介在させるときの作業が容易なガスケットが得られるガスケット用基材を製造することができる。
本発明のガスケットは、ポリウレタンフォーム層が両面にスキン層を有し、且つポリウレタンフォームは疎水性が高く、密度及び硬度が低い。そのため、小さい応力で電子機器の筐体部材間等に容易に介在させることができ、介在時の作業性も良好であり、且つ優れた止水性を有する。
また、ポリウレタンフォーム層の70℃、50%圧縮時の圧縮残留歪が20%以下である場合は、経時による歪の残留も少ないため、優れた止水性が長期間維持される。
更に、硬さが0.002〜0.1MPaであり、且つ圧縮残留歪が3〜15%である場合は、より小さい応力で電子機器の筐体部材間等に介在させることができ、且つより優れた止水性を有し、十分な止水性がより長期間維持されるガスケットとすることができる。
また、ポリウレタンフォームの平均セル径が50〜300μmである場合は、特に微小な塵埃であっても、透過し難く、優れた止水性と防塵性とを併せて有するガスケットとすることができる。
本発明のガスケットの使用方法によれば、ポリウレタンフォームの密度及び硬度が低いため、特に強く圧縮して介在させなくても、電子機器の筐体部材の間に、通常の圧縮率で十分に密着させることができ、併せて優れた止水性が得られる。即ち、低い圧縮力若しくは低い圧縮率で止水性が得られるため、電子機器の筐体部材に、多少の段差があっても、また高い嵌合精度を求めなくても、止水用ガスケットとしての性能が発揮される。
また、介装前の厚さが0.5〜3.0mmである場合は、所定の圧縮率で、電子機器の筐体部材の間に、十分に密着させ、介在させることができ、優れた止水性が得られる。
更に、電子機器がモバイル系電子機器である場合は、筐体部材に設けられた溝にゴム製のパッキンが嵌装されていた従来の防水構造と比べて、溝が不要であるため、筐体の設計の自由度が高くなり、意匠性の観点でも好ましく、コスト面でも有利である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ポリウレタンフォームシートからなるガスケットの一例の斜視図である。
【図2】ポリウレタンフォーム層とキャリアフィルム層とからなるガスケットの一例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図も参照しながら本発明を詳しく説明する。
[1]ガスケット用基材の製造方法
ガスケット用基材は、ポリオールの全量を100質量%とした場合に、ポリブタジエンポリオール及びポリイソプレンポリオールのうちの少なくとも一方を20質量%以上含有し、且つ水及び発泡剤が配合されていないフォーム原料と、気体とを混合、攪拌し、その後、生成した気液混合物をキャリアフィルム上に供給し、次いで、キャリアフィルム側及び反対側の両側から加熱し、キャリアフィルム上にポリウレタンフォーム層を形成することにより製造することができる。
尚、フォーム原料には、発泡剤として作用する水及び発泡剤は配合されていないが、これらのうち、水は意図せず混入することがあるかもしれないが、これは配合された水ではないとする。
【0012】
(1)フォーム原料
上記「ポリオール」は、ポリオールの全量を100質量%とした場合に、20質量%以上のポリブタジエンポリオール及び/又はポリイソプレンポリオールを含有する。ポリブタジエンポリオール及び/又はポリイソプレンポリオールの含有量は、35質量%以上、特に50質量%以上、更に65質量%であることが好ましく、100質量%、即ち、ポリオールの全量がポリブタジエンポリオール及び/又はポリイソプレンポリオールであってもよい。また、ポリブタジエンポリオールとポリイソプレンポリオールとの割合は特に限定されず、任意の割合でよく、合計量を100質量%とした場合に、いずれか一方が100質量%であってもよい。
尚、ポリブタジエンポリオール及びポリイソプレンポリオールは、それぞれ水素化されていてもよい。
【0013】
ポリブタジエンポリオール及び/又はポリイソプレンポリオールを除く他のポリオールが含有されている場合、この他のポリオールは特に限定されず、ポリウレタンフォームの製造に用いられる各種のポリオールを用いることができる。
他のポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、及びポリエーテルポリオールとポリエステルポリオールとを共重合させたポリエーテルエステルポリオール等を用いることができる。更に、十分な引張強度等を有するフォームとすること等を目的として、ポリマーポリオールを併用することもできる。このポリマーポリオールは、ポリエーテルポリオールにアクリロニトリル、スチレン、メチルメタアクリレート等のエチレン性不飽和化合物を、固形分換算で10〜40質量%、好ましくは15〜30質量%、グラフト重合させたポリオールであり、各種のポリマーポリオールを特に限定されることなく用いることができる。また、ポリオールとして、ひまし油ポリオール、ダイマー酸ポリオール等の疎水性ポリオールを併用することもできるが、泡化の安定性及びフォームの物性等を考慮して用いることが好ましい。他のポリオールは1種のみ用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
【0014】
上記「フォーム原料」には、ポリオールの他、架橋剤、整泡剤、触媒等が含有されるポリオール成分及びポリイソシアネートなどが含有される。尚、整泡剤は、ポリオール成分には配合せず、別途、供給することもある。
架橋剤としては、エチレングリコール、トリメチロールプロパン等を開始剤として、ε−カプロラクトンで鎖延長したエステル系オリゴマー、及び分子量400〜700程度の3官能ポリエーテルポリオール等の分子量の大きい架橋剤を使用することが好ましい。これらの架橋剤を用いた場合、より硬度の低いフォームとすることができる。また、架橋剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の短鎖ジオール系のものを使用することもできる。この短鎖ジオール系の架橋剤を用いた場合、ハードセグメントの割合が高くなる傾向があるため、この点を考慮して配合量を設定することが好ましい。架橋剤は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
架橋剤の配合量は、その種類、及び所望のフォーム物性等にもよるが、ポリオールを100質量部とした場合に、1.0〜10質量部、特に2.0〜5.0質量部とすることが好ましい。
【0015】
整泡剤としては、ジメチルポリシロキサンとポリエーテルのブロック共重合体が用いられることが多い。また、ポリシロキサンに有機官能基を付加した整泡剤を使用することもできる。このように、整泡剤としては、通常、シリコーン系整泡剤が用いられる。
整泡剤の配合量は、その種類、及び所望のフォーム物性等にもよるが、ポリオールを100質量部とした場合に、5.0〜20質量部、特に7.0〜15質量部とすることが好ましい。
【0016】
触媒としては、スタナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート等の有機錫化合物、オクチル酸亜鉛等の有機亜鉛化合物、ニッケルアセチルアセトエート、ニッケルジアセチルアセトエート等の有機ニッケル化合物、鉄アセチルアセトエート等の有機鉄化合物、酢酸ナトリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコキシド、フェノキシドなどの金属触媒を使用することができる。更に、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリンジメチルアミノメチルフェノール、イミダゾール、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン等の3級アミン系触媒を使用することもできる。この他、有機酸塩等の触媒を用いることもできる。触媒は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
触媒の配合量は、その種類、及びポリウレタンフォーム層形成時の反応条件等にもよるが、ポリオールを100質量部とした場合に、0.1〜5.0質量部、特に0.5〜3.0質量部とすることが好ましい。
【0017】
ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、粗TDI、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗MDI等が用いられることが多い。この他、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、粗HDI、1,5−ナフタレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素化MDI、イソホロンジイソシアネート等の芳香族系及び脂肪族系の各種のポリイソシアネートを使用することができる。これらの他、プレポリマー型のポリイソシアネートを用いることもできる。このポリイソシアネートは2種以上を併用することもあるが、1種のみであることが多い。
ポリイソシアネートは、イソシアネートインデックスが0.8〜1.2、特に0.9〜1.1となるように配合される。
【0018】
フォーム原料には、上記の各種の成分の他、紫外線吸収剤、酸化防止剤、有機及び無機充填剤、着色剤等のポリウレタンフォームの製造において一般に用いられる各種の添加剤等を適量配合することができる。これらの添加剤等は、ポリオール成分及びポリイソシアネートのいずれに配合してもよいが、通常、ポリオール成分に配合されて用いられる。また、整泡剤が別途配合される場合は、添加剤等は整泡剤に配合してもよい。
【0019】
(2)製造方法
本発明では、特定のポリオール等を含有し、且つ水及び発泡剤が配合されていないポリオール成分及びポリイソシアネート等が含有されるフォーム原料を、チャンバー11に供給し、同時に、気体を供給し、攪拌器により混合、攪拌し、気液混合させ、その後、チャンバー11内で気液混合されて生成した気液混合物21aをキャリアフィルム22上に供給し、次いで、気液混合物にナイフコーター12等を接触させて厚さを調整し、その後、キャリアフィルム22と、このキャリアフィルム22上に形成された気液混合物の未硬化層21bとからなる積層体を加熱し、キャリアフィルム22上にポリウレタンフォーム層21を形成してガスケット用基材2を製造する。
【0020】
上記「気体」は特に限定されず、窒素ガス、不活性ガス、乾燥空気等を用いるこができる。この気体とフォーム原料との混合割合により泡化を制御することができ、フォームの密度を容易に調整することができる。また、チャンバーに供給されたフォーム原料と気体との混合、攪拌に用いる攪拌器も特に限定されないが、通常、オークスミキサ、ホバートミキサ等が用いられる。これらのミキサにより混合、攪拌することで、フォーム原料と気体とを均一に混合することができ、泡化された均質な上記「気液混合物」を生成させることができる。
【0021】
フォームの密度は、上記気体の混合量により調整することができる。即ち、原料配合各成分の密度(真比重)の加重平均を求め、原料配合全体の密度とし、この密度で原料配合物の総質量を除して、原料配合の総体積を推定する。この原料配合物の総体積から、目標とするフォームの密度(目標密度)を差し引くことで、混合攪拌される気体の体積量を求めることができる。実際の製造では、原料配合各成分の密度の加重平均を1と見なすこともできる。尚、後記の実施例では、上記計算方法に従い、原料配合各成分の密度の加重平均を1と見なして、配合に関係なく、発泡体の密度を調整した。
【0022】
気液混合物が供給される上記「キャリアフィルム」は、ポリウレタンフォーム層形成時の支持材としての引張強度、引裂強度等を有し、且つ十分な耐熱性を有しておればよく、材質、厚さ等は特に限定されない。このキャリアフィルムとしては、通常、合成樹脂製のフィルムが用いられる。合成樹脂も特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアミド等の各種の合成樹脂を用いることができる。これらの合成樹脂のうちでは、強度、耐熱性等の観点で、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミドが好ましい。また、キャリアフィルムがポリウレタンフォーム層とともにガスケットの一部を構成することとなる場合は、強度、耐熱性の他、粘着剤の接着性等の観点で、ポリエステル、ポリウレタンが特に好ましい。
【0023】
キャリアフィルムの厚さも特に限定されないが、15〜500μmであればよく、25〜300μm、特に25〜150μmであることが好ましい。この厚さが15〜500μmであれば、成形方向への引張応力にも十分に耐え、伸長することもなく、安定な製造が可能となる。更に、キャリアフィルムがポリウレタンフォーム層とともにガスケット用基材の一部を構成することとなる場合は、キャリアフィルムの厚さは、15〜500μm、特に25〜125μmであることが好ましい。この厚さが15〜500μmであれば、この基材を用いてなるガスケットが過度に剛直になることがなく、筐体部材間等に介在させるときの作業が容易であり、且つ止水性が阻害されることもない。
【0024】
上記「加熱」は、キャリアフィルムと、このキャリアフィルム上に形成された気液混合物の未硬化層とからなる積層体の、キャリアフィルム側及び反対側、即ち、未硬化層の側、の両側からなされる。この加熱は、加熱炉内を移動させる、遠赤外線を照射する、及び熱風を吹き付ける等の各種の方法により実施することができるが、積層体の全体を均一に加熱し、より均質なガスケット用基材を製造するためには、加熱炉内を移動させる方法が好ましい。また、加熱温度は特に限定されず、フォーム原料が硬化し、所定の密度及び硬度等を有するポリウレタンフォーム層が形成されればよい。この加熱温度は、120〜200℃とすることができ、140〜180℃、特に150〜170℃とすることが好ましい。
【0025】
ガスケット用基材の製造方法は、気液混合物の調製、気液混合物のキャリアフィルム上への供給及び加熱の工程を、この順に備えるが、これらの工程は、通常、連続している。即ち、チャンバー内で調製された気液混合物は、連続的に送出され、移動するキャリアフィルム上に所定の供給速度で連続的に供給され、ナイフコーター等により厚さが調整され、そのまま、近接して配置された加熱炉の一方の開口部から導入され、キャリアフィルムの移動速度で加熱炉内を移動し、他方の開口部から導出されたキャリアフィルムとポリウレタンフォーム層との積層体からなるガスケット用基材が製造される。また、製造されたガスケット用基材は引取ロールにより引き取られ、巻取ロールにより、例えば、紙管等に巻き取られる。
【0026】
上記のようにして製造したガスケット用基材は、キャリアフィルムが積層されたままでもよく、キャリアフィルムをポリウレタンフォーム層から剥離し、ポリウレタンフォーム層のみからなるガスケット用基材としてもよい。キャリアフィルムが積層されたままであれば、ガスケット(図2のポリウレタンフォーム層11と、キャリアフィルム層12とからなるガスケット1参照)として用いたときに、被シール材との接触面からの漏水をより十分に防止することができる。また、キャリアフィルムを剥離した場合(図1のポリウレタンフォームシートからなるガスケット1参照)も、ポリウレタンフォーム層が両面にスキン層を有しているため、被シール材との接触面からの漏水は十分に防止される。従って、キャリアフィルムは剥離してもよく、そのままガスケット用基材の一部を構成する部材としてもよい。
【0027】
更に、キャリアフィルムは、気液混合物の下面側のみに供給してもよいが、気液混合物の上面側から他のキャリアフィルムを供給し、ロールコーター等を用いて、未硬化層の両面にキャリアフィルムが積層された積層体とし、同様にして、加熱して、ガスケット用基材を製造することもできる。この場合、上面側から供給されるキャリアフィルムは、下面側のキャリアフィルムと同様の合成樹脂からなり、同様の厚さのフィルムとすることができる。また、両キャリアフィルムは、材質及び/又は厚さが異なっていてもよい。更に、前記のとおり、下面側のキャリアフィルムは、積層したままでもよく、剥離してもよい。上面側のキャリアフィルムも、積層したままでもよく、剥離してもよい。尚、キャリアフィルムは、圧縮面に弾性を与えるために、通常、剥離される。
【0028】
[2]ガスケット
本発明のガスケット1(図1、2参照)は、本発明の方法により製造されたガスケット用基材を用いて得られ、ポリウレタンフォーム層11(図1のキャリアフィルムが剥離されたガスケット用基材を用いてなるガスケット1ではポリウレタンフォームシート)は、両面にスキン層を有し、且つその密度が150〜500kg/mであり、25%圧縮時の硬さが0.1MPa以下である。
ガスケット用基材からガスケットを得る方法は特に限定されず、打ち抜き型を用いて打ち抜く方法、裁断機により連続的に切り出す方法等があるが、所定の形状及び寸法を有するガスケットが容易に得られる打ち抜き法が好ましい。
【0029】
上記「ポリウレタンフォーム層」は、気液混合物が加熱され、硬化するときに、未硬化層の一面(下面)がキャリアフィルムに接触しており、他面(上面)はキャリアフィルムに接触しているときと、接触していないときとがあるが、いずれにしても両面から加熱されるため、表面近傍に上記「スキン層」が形成される。従って、キャリアフィルムが剥離されても、被シール材との接触面からの漏水は十分に防止される。また、フォームの疎水性が高いため、多孔質部分への水の侵入、移動も十分に抑えられ、全体として優れた止水性を有するガスケットとすることができる。
尚、スキン層が形成されていることは、シートの断面をマイクロスコープ等で観察することにより確認することができる。
【0030】
キャリアフィルムが剥離されたガスケット用基材を用いてなるガスケットから50×50mmの寸法の試験片を打ち抜き、重量を体積で除して算出したポリウレタンフォーム層の上記「密度」は、150〜500kg/mであり、170〜400kg/m、特に200〜300kg/mであることが好ましい。この密度が150〜500kg/mであれば、十分に硬度が低く柔軟なガスケットとすることができる。また、キャリアフィルムが剥離されたガスケット用基材を用いてなるガスケットから直径50mmの試験片を打ち抜き、10mm/分の速度で25%圧縮したとき(圧縮前の75%の厚さになる。)の上記「硬さ」(ASTM D 3754に準拠した25%CLD硬さ)は、0.1MPa以下であり、0.002〜0.1MPa、特に0.002〜0.08MPa、更に0.005〜0.07MPaであることが好ましい。この硬さが0.1MPa以下、特に0.002〜0.1MPaであれば、適度な硬さであるため、被シール材間に介装させるときの作業が容易である。
【0031】
更に、キャリアフィルムが剥離されたガスケット用基材を用いてなるガスケットを試験片として、50%圧縮し、70℃で22時間静置し、その後、開放したときの圧縮残留歪(JIS K 6401に準拠)は、20%以下であり、3〜15%、特に5〜12%であることが好ましい。この圧縮残留歪が20%以下、特に3〜15%であれば、経時に伴う止水性の低下が十分に抑えられる。また、ポリウレタンフォーム層の平均セル径は特に限定されないが、発泡剤を用いて製造された軟質ポリウレタンフォームと比べて、密度が同程度である場合に、セル径の小さいフォームとすることができ、平均セル径は、50〜300μm、特に50〜200μmとすることができる。この平均セル径が50〜300μmであれば、緻密層を除いた多孔質部への水の侵入、移動がより十分に抑えられ、全体としてより優れた止水性を有するガスケットとすることができる。
圧縮残留歪(%)=[(圧縮前の厚さ−開放後の厚さ)/圧縮前の厚さ]×100
尚、平均セル径は、フォームの断面を、走査型電子顕微鏡により倍率200倍で観察したときの、セル径の累計をセルの個数で除して算出することができる。
【0032】
[3]ガスケットの使用方法
本発明のガスケットの使用方法は、本発明のガスケットを、電子機器の筐体部材の間に介在させ、介装前の厚さの20〜50%の厚さに圧縮して用いることを特徴とする。
【0033】
上記「電子機器」は特に限定されず、携帯電話、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯型パソコン、携帯型ゲーム機、ナビゲーション装置等のモバイル系電子機器などが挙げられる。これらの電子機器のうちでは、特に多くの人が所有し、且つ外出時に持ち歩くことが多く、水分及び塵埃の侵入の可能性が高い携帯電話の場合に、本発明のガスケットの使用方法は特に有用である。
【0034】
電子機器の筐体は、通常、対向する複数の筐体部材により構成されており、筐体部材間にはガスケットが介装されているが、近年、電子機器の小型化、高性能化に伴って、介装時の作業が容易であり、筐体部材にガスケットを嵌め込むための溝を必要とせず、且つ優れた止水性を有するガスケットが必要とされている。本発明のガスケットは、本発明のガスケットの使用方法のように、電子機器の筐体部材の間に介在させて用いることができる。そのため、電子機器の設計の自由度が高く、より優れた意匠性を有する電子機器とすることができる。また、電子機器の小型化、特に薄型化という面でも有利である。
【0035】
更に、このガスケットの使用方法では、ガスケットが低密度、低硬度であるにもかかわらず、より強い押圧力を加え、より圧縮させて用いる必要がなく、従来の軟質ポリウレタンフォームからなるガスケットの場合と同程度の圧縮率で、十分な止水性が得られる。即ち、筐体部材の間に、介在前の厚さの20〜50%の厚さに圧縮して介在させ、用いることができる。また、高い圧縮率で介在させる必要がないため、経時に伴うガスケットの物性の低下が抑えられ、優れた止水性が長期間維持される。更に、ガスケットの厚さは特に限定されないが、介在前の厚さの20〜50%の厚さに圧縮して用いる場合、この厚さは0.5〜3.0mm、特に0.5〜1.5mmであることが好ましい。ガスケットの厚さが0.5〜3.0mmであれば、所定の圧縮率が十分な止水性が得られる。
【0036】
また、ガスケットの圧縮率が同じである場合、ポリウレタンフォームシート又はポリウレタンフォーム層の密度が低くなるとともに、ガスケットの止水性が低下する傾向がある。そのため、圧縮率が20〜50%である場合、密度は150〜500kg/m、特に240〜500kg/mであることが好ましい。密度が150〜500kg/mであれば、圧縮率が低くても、優れた止水性が得られ、経時に伴う止水性の低下も十分に抑えられる。
【実施例】
【0037】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1〜8及び比較例1〜3
表1に記載された疎水性ポリオール、ポリエーテルポリオール、架橋剤、整泡剤、触媒及び着色剤を、表1に記載された配合量となるように、混合、攪拌し、ポリオール成分を調製した。尚、表1の数値は、疎水性ポリオールとポリエーテルポリオールとの合計量を100質量部とした場合の数値であり、単位は質量部である。
【0038】
表1に記載された各々の成分は、具体的には以下のとおりである。
疎水性ポリオールA;ポリブタジエンポリオール(出光興産社製、商品名「Poly bd」)と、ポリイソプレンポリオール(出光興産社製、商品名「Poly ip」)との混合物である。
疎水性ポリオールB;ひまし油ポリオール(伊藤製油社製、商品名「URIC H−30」)
疎水性ポリオールC;ダイマー酸ポリオール(CRODA社製、商品名「PRIPOL−2033」)
ポリエーテルポリオールA;(三洋化成社製、商品名「GP−3000」)
ポリエーテルポリオールB;(三洋化成社製、商品名「GP−600」)
架橋剤;1,4−ブタンジオール
整泡剤;シリコーン系(モメンティヴ社製、商品名「L−5614」)
触媒;スタナスオクトエート(城北化学社製)
添加剤;水酸化アルミニウム(昭和電工社製、商品名「ハイジライト H−10」)
【0039】
【表1】

【0040】
その後、このポリオール成分と、イソシアネートインデックスが0.9〜1.1となる配合量のポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製、商品名「C−1130」、粗MDI、イソシアネート基含有量;31%)をチャンバーに投入し、このフォーム原料に、0℃、0.1MPaにおいて表1の体積割合となる流量で気体を注入した。
尚、表1の目標密度は、150〜500kg/mまで6段階ある。また、それぞれの目標密度に応じた気体混合割合が、86.0〜52.0体積%まであり、比較例1〜3及び実施例1〜8の配合の総質量に関係なく、上記体積%で気体を混合することで、目標密度のフォームが得られる。
次いで、チャンバーにおいて混合、攪拌されて、調製され、泡化された気液混合物を、10m/分の速度で送出されているPET製の厚さ500μmのキャリアフィルム上に供給し、ナイフコーター等により未硬化層を形成した。次いで、キャリアフィルムと未硬化層との積層体を、遠赤外線ヒータにより150℃に調温されている加熱炉に導入して加熱し、その後、積層体からキャリアフィルムを剥離し、厚さ0.5〜3.0mm、密度150〜500kg/m、セル径50〜300μm、硬さ0.002〜0.1MPa、圧縮残留歪3〜15%のポリウレタンフォームシートからなるガスケット用基材を紙管に巻き取った。
【0041】
上記のようにして製造したガスケット用基材から試験片を切り出し、前記の方法により、密度、硬さ及び圧縮残留歪を測定した。また、JIS C 0920のカテゴリーIPX7相当の条件で止水性を評価した。更に、深さ100mmとなるように水を投入した容器の底面に100×100mmの寸法の試験片を7日間(168時間)静置し(そのままでは浮上してしまうため、試験片の中心部に重量50gの錘を載せた。)、浸漬前後の重量変化に基づいて吸水率を算出した。結果は表2に記載のとおりである。
吸水率=[(浸漬後の試験片の重量−浸漬前の試験片の重量)/浸漬前の試験片の重量]×100
尚、密度はJIS K6401、硬度は、JIS K6254、圧縮残留歪は、JIS K6401に準拠する測定方法で求めた。
【0042】
【表2】

【0043】
表2の比較例、実施例では、原料配合に関係なく、気体混合割合を77.0体積%で気体を混合攪拌して、密度240kg/mのフォームを得た。
ポリエーテルポリオールを使用し、疎水性ポリオールを含まない比較例1のガスケット用基材では、止水性が劣っており、吸水率も大きい。
また、疎水性ポリオールとしてダイマー酸ポリオールのみを用いた比較例2のガスケット用基材では、止水性が劣っており、圧縮残留歪が大きいため、経時とともに止水性が更に低下することが推測される。
更に、疎水性ポリオールAを用いているものの、その割合が20重量%未満(15重量%)である比較例3のガスケット用基材では、密度、硬度及び圧縮残留歪のいずれも良好であるにもかかわらず、止水性が劣っている。
【0044】
実施例1〜7のガスケット基材では、所望の硬度でありながら、圧縮残留歪の小さいガスケットが得られている。また、いずれも、止水性の評価として、JIS C0920のカテゴリーIPX7相当の試験に合格した。
【0045】
また、比較例1及び実施例2〜3、6〜7のガスケット用基材について、圧縮率を10%、20%、30%、40%及び50%と変化させたときの止水性を、上記と同様にして評価した。比較例1及び実施例2〜3、6〜7のガスケット用基材の各々の評価結果は、それぞれ表3〜7のとおりである。
【0046】
【表3】

表3は、比較例1の配合で、気体混合割合を変量し、密度を変量した。密度が低くなると、硬度も低くなっている。密度が低くなると、空隙も増え、セル径が大きくなるので、止水性・防塵性ともに低下する。
【0047】
【表4】

【0048】
【表5】

【0049】
【表6】

【0050】
【表7】

【0051】
表3〜7の結果によれば、いずれの場合も、密度が低く、硬度も低いガスケットを低い圧縮率で圧縮した場合は、止水性が低下する。
表3に示す比較例1のガスケット用基材では、密度が500kg/mのときは圧縮率が40%及び50%のとき、密度が320kg/mのときは圧縮率が50%のときのみ、十分な止水性が得られているが、この圧縮領域では、実質、従来のゴム製の緻密なガスケットと同様な極めて剛直な弾性のないガスケットとなっている。
一方、表4は実施例2の配合からなるガスケット用基材、表5は実施例3の配合からなるガスケット用基材、表6は実施例6の配合からなるガスケット基材、表7は実施例7の配合からなるガスケット基材において、気体混合割合を変量して密度を調整したものの止水性評価を示す。
表4〜7によると、実施例2〜3及び6〜7のガスケット用基材では、少なくとも、密度が240kg/m、圧縮率が20%で良好な止水性が得られ、特に、実施例2、3(表4,5)のガスケット用基材では、密度が280kg/m、圧縮率が10%で良好な止水性が得られており、低い圧縮応力かつ低い圧縮率による、極めて優れた止水性を示している。
【0052】
尚、本発明においては、上記の具体的な実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。例えば、キャリアフィルムの送出速度、即ち、ガスケット用基材が製造される速度は、1.0〜20m/分とすることができ、この範囲の送出速度であれば、同様に、優れた止水性を有するガスケットが得られるガスケット用基材とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、水及び塵埃等の侵入を防止する必要のある各種の製品分野において利用することができる。また、近年、小型化、高性能化が著しく、優れた意匠性をも必要とされる各種の電子機器の分野においてより利用価値が高く、携帯電話、デジタルカメラ、ナビゲーション装置等の多くの人が所有し、且つ持ち歩くことの多い電子機器、特に普及が著しく、常に持ち歩く携帯電話では特に有用である。
【符号の説明】
【0054】
1;ガスケット、11;ポリウレタンフォーム層、12;キャリアフィルム層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオールの全量を100質量%とした場合に、ポリブタジエンポリオール及びポリイソプレンポリオールのうちの少なくとも一方を20質量%以上含有し、且つ水及び発泡剤が配合されていないフォーム原料と、気体とを混合、攪拌し、その後、生成した気液混合物をキャリアフィルム上に供給し、次いで、該キャリアフィルム側及び反対側の両側から加熱し、該キャリアフィルム上にポリウレタンフォーム層を形成することを特徴とするガスケット用基材の製造方法。
【請求項2】
上記ポリブタジエンポリオール及び上記ポリイソプレンポリオールのうちの少なくとも一方の含有量が35質量%以上である請求項1に記載のガスケット用基材の製造方法。
【請求項3】
上記ポリウレタンフォーム層から上記キャリアフィルムを剥離する請求項1又は2に記載のガスケット用基材の製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載のガスケット用基材の製造方法により製造されたガスケット用基材を用いたガスケットであって、
上記ポリウレタンフォーム層は、両面にスキン層を有し、且つ密度が150〜500kg/mであり、25%圧縮時の硬さが0.1MPa以下であることを特徴とするガスケット。
【請求項5】
上記ポリウレタンフォーム層の70℃、50%圧縮時の圧縮残留歪が20%以下である請求項4に記載のガスケット。
【請求項6】
上記硬さが0.002〜0.08MPaであり、且つ上記圧縮残留歪が3〜15%である請求項5に記載のガスケット。
【請求項7】
上記ポリウレタンフォームの平均セル径が50〜300μmである請求項4乃至6のうちのいずれか1項に記載のガスケット。
【請求項8】
請求項4乃至7のうちのいずれか1項に記載のガスケットの使用方法であって、
上記ガスケットを、電子機器の筐体部材の間に介在させ、介在前の厚さの20〜50%の厚さに圧縮して用いることを特徴とするガスケットの使用方法。
【請求項9】
上記介装前の厚さが0.5〜3.0mmである請求項8に記載のガスケットの使用方法。
【請求項10】
上記電子機器がモバイル系電子機器である請求項8又は9に記載のガスケットの使用方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−174146(P2010−174146A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−18805(P2009−18805)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【出願人】(593139123)株式会社ロジャースイノアック (13)
【Fターム(参考)】