説明

ガスコンロ

【課題】ガスコンロにおいて、紫外線センサーを用いることによって、調理容器からはみ出した炎だけを検知することにより、調理容器の大きさに合わせて火力を自動的に調節することができるように工夫すること。
【解決手段】炎検知手段が調理容器の周囲からはみ出した炎を検知したとき、上記火力調節手段により自動的に火力を小さくするガスコンロを前提として、上記炎検知手段は、炎から発せられる紫外線を検出する紫外線センサーと、この紫外線センサーにより検出される紫外線の強度に応じてパルスを発生するパルス発生手段と、このパルス発生手段から所定時間内に出力されるパルスをカウントするパルス計測手段を備えて成り、このパルス計測手段のパルスカウント値が閾値を超えたとき、調理容器(P)の周囲から炎のはみ出しがあったと判定し、バーナ11の火力を自動的に小さくすることである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍋等の調理容器を加熱するガスコンロに関し、さらに詳しくは、調理容器の周囲からはみ出したバーナの炎を紫外線センサーで検知することにより、バーナの火力を自動的に調節するガスコンロに関するものである。
【背景技術】
【0002】
赤外線センサーで温度を検知して自動的にバーナの火力を調節するガスコンロは、既に従来から提案されている。このガスコンロについて、特開2006−38398号公報(「火力調節機能付きガスコンロ」、特許文献1)に記載されたものを例にとって、図9を参照しながら説明する。図9は、従来のガスコンロの概略説明図であり、斜視図と側面図と制御系ブロック図を示す。
この従来のガスコンロ50は、火力を自動的に調節することができるバーナ51を備えており、このバーナ51に対応して、物体の温度を非接触で測定する温度センサー(炎検出手段)52が設けられている。この温度センサー52は熱型赤外線検出器を備えており、物体から熱放射又は光放射の放射エネルギーが照射されると、これにより生じる温度上昇を電気信号に変換して温度を検出する。なお、符号55はバーナ51の五徳である。
上記バーナ51へのガス供給管61には、図9(c)に示されるように、サーモカップル66の起電力により開弁が維持される電磁弁62と、点消火操作部53により開閉される元弁63と、手動の火力調節子54により操作される流量調節弁64が設けられており、さらに、2つの細い管に分岐して合流し、その一方には電動でガス流量が開度制御される火力調整弁65が設けられている。
【0003】
点消火操作部53によりバーナ51が点火されると、温度センサー52は、調理容器Pの底面から5mm上方の外周面部分の温度を検出し、制御回路68へ送信する。
ここで、調理容器Pの径の大きさに対してバーナ51の火力が大きく、調理容器Pの外周面に沿って五徳載置面Fより上側に炎がはみ出す場合は(図9(b)を参照)、温度センサー52により炎の温度が検出される。
制御回路68は、温度センサー52からの所定値以上の検出温度を受信したとき、火力調整弁65を制御して単位開度だけ閉じる。この動作によっても、検出温度が所定値以下にならない場合には、該火力調整弁65をさらに単位開度だけ閉じる。この動作は、検出温度が所定値以下になるまで繰り返される。
【0004】
ところで、物体は温度が高くなればなるほど強い赤外線を放射しており、赤外線センサーはこの赤外線を利用して温度を測定しているため、雰囲気や炎の温度を測定することは困難である。また、炎付近の加熱された鍋などの物体からも赤外線が放射され、これを感知してしまうため炎の有無だけを識別することは極めて困難である。
温度センサー52で赤外線を検出して火力調整弁65を制御している上述した従来のガスコンロでは、バーナ51の炎からの光放射や熱放射による放射エネルギーだけでなく、加熱された調理容器Pからの熱放射による放射エネルギーも同時に検出してしまうので、バーナ51の炎が調理容器Pからはみ出していないにも拘わらず、はみ出していると誤検知して炎を必要以上に小さくしてしまうという問題があった。
【0005】
また、特許第2515850号公報(「自動換気装置」、特許文献2)には、紫外線センサーによりガスコンロの炎から放射される紫外線を検出して、ガスコンロの使用状態を判定する自動換気装置が記載されている。この自動換気装置はガスコンロの上部に設置され、紫外線センサー(パルス発生器を内蔵した紫外線検出管)から出力されるパルスをカウントすることにより紫外線の強さを検出して、これにより換気扇の運転をコントロールするものである。
したがって、上記自動換気装置に使用されている紫外線センサーは、炎から放射される紫外線を検出して、ガスコンロの使用状態を判定するものであって、ガスコンロに載せられた鍋の周囲からの炎のはみ出しを検知するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−38398号公報
【特許文献2】特許第2515850号公報(特開平1−273939号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の課題は、上記のような従来技術の問題点を解決するために、ガスコンロにおいて紫外線センサーを用いることによって、高温に加熱された調理容器からの熱放射に影響されないで、調理容器からはみ出した炎だけを検知することにより、調理容器の大きさに合わせて火力を自動的に調節することができるように工夫することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために講じた手段をその作用と共に説明する。
(1) 本発明に係るガスコンロ(請求項1に対応)は、燃料ガスを燃焼させて調理容器を加熱するバーナと、この調理容器の周囲からはみ出した炎を検知する炎検知手段と、上記バーナへのガス供給量を変更して火力を調節する火力調節手段と、この火力調節手段を制御する制御装置を備え、上記炎検知手段が調理容器の周囲からはみ出した炎を検知したとき、上記火力調節手段により自動的に火力を小さくするガスコンロを前提として、
上記炎検知手段は、炎から発せられる紫外線を検出する紫外線センサーと、この紫外線センサーにより検出される紫外線の強度に応じてパルスを発生するパルス発生手段と、このパルス発生手段から所定時間内に出力されるパルスをカウントするパルス計測手段を備えて成り、このパルス計測手段のパルスカウント値が閾値を超えたとき、調理容器の周囲から炎のはみ出しがあったと判定し、バーナの火力を自動的に小さくすることである。
【0009】
上記のように構成することにより、紫外線センサーにより検出される紫外線の強度に応じて、所定時間内にパルス発生手段から出力されるパルスをパルス計測手段によりカウントし、そのパルスカウント値が閾値を超えたとき、調理容器の周囲から炎のはみ出しがあったと判定するので、加熱された調理容器からの熱放射に影響されることなく、調理容器の周囲からはみ出した炎のみを検知することが可能であり、調理容器からの炎のはみ出しを正確に判定することができる。また、この正確な判定に基づいて火力調節手段を制御することにより、バーナの火力を自動的に小さくするので、適正に調理容器の周囲からの炎のはみ出しを防止することができ、省エネにもなる。
【0010】
(2) また、上記(1)のガスコンロにおいて、バーナへのガス供給量とパルス計測手段のパルスカウント値から調理容器の大きさを識別する調理容器直径識別手段を備え、この調理容器の大きさに対応する火力に自動的に調節することができる。(請求項2に対応)
このように構成することにより、バーナへのガス供給量とパルス計測手段のパルスカウント値に基づいて、使用している調理容器の大きさを識別することができるので、この調理容器の大きさに対応する適正なガス供給量に速やかに絞ることができる。
【0011】
(3) また、上記(1)又は(2)のガスコンロにおいて、炎検知手段の紫外線センサーをバーナの上方に設けることにより、調理容器の上方から炎のはみ出しを検知することができる。(請求項3に対応)
このように構成することにより、調理容器の上方から該調理容器のほぼ全周囲にわたって炎のはみ出しを検知することが可能であるので、調理容器が五徳に対し片寄って載せられて部分的に炎のはみ出しがある場合でも、それを確実に検知することができる。
【0012】
(4) また、上記(1)又は(2)のガスコンロにおいて、炎検知手段の紫外線センサーを調理容器の外周面に対向する位置に設けることにより、調理容器の径方向から炎のはみ出しを検知することができる。(請求項4に対応)
このように構成することにより、紫外線センサーを調理容器の外周面に対向して設けて、調理容器の外周面の限られた範囲を測定することによって、バーナ本体の炎を測定しなくなるので、炎のはみ出しを検知することができる。調理容器の周囲からはみ出した炎は、その外周面に沿って上方へ伸びるので、五徳の載置面より少し上方(例えば、5mm上方)の限られた範囲を測定することにより、炎のはみ出しの検知が可能である。また、鍋の周囲の特定の箇所に紫外線センサーを設けることにより、その特定箇所における炎のはみ出しを検知することができる。
この場合、紫外線センサーではレンズを使用するなどして、調理容器の外周面の限られた範囲(例えば、直径15〜20mm程度の円形の測定部位)を近距離(例えば、50〜220mm程度の距離)から測定する構成となる。
【0013】
(5) また、上記(1)〜(4)のいずれかのガスコンロにおいて、炎検知手段は、炎から発せられる紫外線を検出する複数の紫外線センサーと、各紫外線センサーにより検出される紫外線の強度に応じてパルスを発生するパルス発生手段と、各パルス発生手段から所定時間内に出力されるパルスをカウントするパルス計測手段を備えて成り、各パルス計測手段における複数の紫外線センサーに対応するパルスカウント値の少なくとも1つが閾値を超えたとき、調理容器の周囲から炎のはみ出しがあったと判定することができる。(請求項5に対応)
このように構成することにより、複数の紫外線センサーに対応して、調理容器の複数箇所において炎のはみ出しの有無を判定しているので、調理容器の片寄り等により部分的に炎のはみ出しがあった場合にも、誤りなく素早く判定することができる。
【0014】
(6) また、上記(5)のガスコンロにおいて、各パルス計測手段における複数の紫外線センサーに対応するパルスカウント値に基づいて、調理容器の片寄りの有無を判別する片寄り演算手段を備えることことができる。(請求項6に対応)
このように構成することにより、複数の紫外線センサーに対応するパルスカウント値を片寄り演算手段で比較演算することにより、調理容器がバーナに対して片寄って載置されているか否かを判別することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によって生じる特有の効果は、以下のとおりである。
本発明は、紫外線センサーにより検出される紫外線の強度に応じて、パルス発生手段から出力されるパルスをカウントすることにより、調理容器の周囲からはみ出した炎だけを検知することができるので、加熱された調理容器からの熱放射に影響されることなく、調理容器からの炎のはみ出しの有無を正確に判定することが可能である。また、この正確な判定に基づいて火力調節手段を制御することによりバーナの火力を自動的に小さくするので、的確に調理容器からの炎のはみ出しを防止することができる。
その結果、無駄に燃料ガスを使用することがなく加熱効率を高くすることが可能であり、炎による調理容器の取っ手の損傷、使用者の火傷や衣服の袖への着火を防止することができる。
【0016】
さらに、炎検知手段が複数の紫外線センサーを備えることにより、調理容器の複数箇所において炎のはみ出しの有無を判定しているので、調理容器の片寄り等により部分的に炎のはみ出しがあった場合にも、適正に判定することができるばかりでなく、複数の紫外線センサーに対応するパルスカウント値を比較することにより、調理容器がバーナに対して片寄って載置されているか否かを識別することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1−1】図1−1は、本発明の実施例1〜実施例3によるガスコンロの概略側面図であり、紫外線センサーを内蔵するセンサーユニットをそれぞれ異なる箇所に取り付けた各実施例について、1つの図面に模式的に示したものである。
【図1−2】図1−2は、同じく実施例4によるガスコンロの概略側面図であり、センサーユニットを手前の天板上に取り付けたものである。
【図1−3】図1−3は、同じく実施例5によるガスコンロの概略側面図であり、紫外線センサーを内蔵するセンサーユニットを手前の天板に取り付け、その一部分のみを天板上に突出させたものである。(a)は全体側面図、(b)は要部拡大断面図である。
【図2】図2は、同じく実施例1〜実施例6によるガスコンロの概略図であり、(a)はセンサーユニットを省略した平面図、(b)は操作パネルの拡大図である。
【図3】図3は、同じく実施例1〜実施例6によるガスコンロの制御系のブロック図である。
【図4−1】図4−1は、同じく実施例1〜実施例6によるガスコンロの動作を説明するフロー図である。
【図4−2】図4−2は、同じく実施例1〜実施例6によるガスコンロの動作を説明するフロー図であり、図4−1に示す動作の一部分を変更したものである。
【図5】図5は、同じく実施例2によるガスコンロの斜視図であり、紫外線センサーを後方上部に取り付けたものである。
【図6】図6は、同じく実施例6によるガスコンロにおいて、複数の紫外線センサーを用いて測定する場合の測定箇所を説明する概略平面図である。
【図7】図7は、紫外線センサーによる炎のはみ出し検知について、確認テストを行う場合のガスコンロに対する紫外線センサーの配置を示しており、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図8】図8は、大きさの異なる鍋に対してガス供給量を変更して行った確認テストの結果を示すグラフである。
【図9】図9は、従来のガスコンロの概略説明図であり、(a)は斜視図、(b)は調理容器を載せた側面図、(c)は制御系のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明はガスコンロにおいて、調理容器の周囲からはみ出した炎だけを検知するという目的を、紫外線センサーを用いることによって、高温に加熱された調理容器からの熱放射に影響されることなく実現したものである。
【0019】
〔紫外線センサーによる炎のはみ出し検知について〕
先ず、ガスコンロの五徳に載置された鍋などの調理容器の周囲からはみ出した炎(炎の大きさ)を紫外線センサーによって検知できることについて説明する。
本発明者は、調理容器の周囲からはみ出した炎を紫外線センサーによって検知できることを確認するために、以下のようなテストを行った。この確認テストについて、図7及び図8に基づいて説明する。図7は、確認テストを行う時のガスコンロに対する紫外線センサーの配置を示しており、図8は、大きさの異なる鍋に対してガス供給量を変更することにより行った確認テストの結果を示している。
【0020】
(確認テスト)
強火力バーナ3を備えるガスコンロ1と、大きさ(直径)の異なる6個の鍋P1〜P6を用意する。この6個の鍋は、直径が14cmから2cmずつ大きくなり、一番大きなものは24cmである。
調理容器の周囲からはみ出した炎を紫外線センサーを用いて検知することは、紫外線センサーから発生する出力電流が該紫外線センサーに入射する紫外線の強度に応じて増加するので、この出力電流をパルス発生手段によって単位時間当たりのパルス数に変換することにより行うことができる(サンプリング回数500回/秒)。紫外線センサー20は、図7に示されるように、ガスコンロの天板(トッププレート)5の略中央部の上方であって、鍋の周囲からはみ出した炎の紫外線を検出できる位置に配置する。なお、紫外線センサー20から斜め下方に伸びる二点鎖線は炎検知範囲を示している。
【0021】
最初に、ガスコンロ1の強火力バーナ3の五徳に鍋を載せない(鍋なし)状態で、該バーナ3へのガス供給量(kcal/h)を変更し、それぞれのガス供給量毎に紫外線センサー20から出力される電流値に応じて、パルス発生手段から発生されるパルスを3秒間カウントし、これを3回繰り返してその平均値を算出することにより、「3秒間のパルス数」とした。
次に、上記強火力バーナ3の五徳の中央に直径の異なる6個の鍋P1〜P6(直径14〜24cm)を順番に載せて、各鍋について同様に該バーナ3へのガス供給量を変更し(400〜3600kcal/h)、上記鍋なし状態の場合と同様に、それぞれのガス供給量毎に「3秒間のパルス数」を検出した。
【0022】
このように実行した確認テストの結果を図8に示す。この確認テストの結果によれば、3秒間のパルス数はどのような大きさの鍋であっても、ガス供給量が多いほど増加しており、直径が小さい鍋ほどその増加割合が高くなっている。そして、3秒間のパルス数が100を超えて大きくなればなるほど、鍋の周囲からはみ出す炎は大きくなり、3秒間のパルス数が100以下の場合には、鍋の大きさに関係なく鍋の周囲からはみ出す炎は殆どないことを目視によって確認することができた。
【0023】
以上の確認テストの結果について検討すれば、紫外線センサー20が紫外線を検出することにより発生される3秒間のパルス数が100以下の場合には、鍋P1〜P6の周囲からはみ出す炎は殆ど存在せず、パルス数が100を超えた場合に鍋の周囲から炎がはみ出すことが確認されている。
したがって、所定時間内での所定のパルス数(例えば、100)を閾値として、それ以上のパルス数が検出された場合には鍋の周囲から炎がはみ出した状態であり、それ以下の場合には炎のはみ出しがないことを確認することができた。
【0024】
また、図8に示した確認テストの結果ついてガス供給量に着目すれば、同じガス供給量での3秒間のパルス数は、鍋の大きさ(直径)が小さいほど大きく、また鍋の大きさが大きいほど小さくなっており、鍋の大きさに対応して増減している。そうすると、鍋の周囲から炎がはみ出している(パルス数が100を超えている)とき、ガス供給量と3秒間のパルス数との関係から、使用している鍋の大きさを識別(推測)することが可能である。例えば、ガス供給量が2100kcal/hのときパルス数が170前後であれば、使用している鍋の直径は16cmであり、ガス供給量が3100kcal/hのときパルス数が200前後であれば、使用している鍋の直径は18cmであることが分かる。
したがって、ガス供給量とパルス数との関係に基づいて、使用中の鍋の大きさを識別することができるので、この鍋の大きさに合う適正なガス供給量に調節することが可能となる。
【0025】
以下に、本発明の実施例1〜実施例6によるガスコンロについて説明する。
実施例1は紫外線センサーをレンジフードに取り付けたものであり、実施例2はガスコンロ本体の後部に固定したアンテナ状のロッドに紫外線センサーを取り付けたものである。また、実施例3〜実施例5は、紫外線センサーを調理容器の外周面に対向する位置(例えば、調理容器の後方又は前方)に取り付けたものである。そして、実施例6は、1つのバーナに対して複数の紫外線センサーを用いたものである。
【実施例1】
【0026】
先ず、本発明の実施例1について、図1−1、及び図2〜図4−2を参照しながら説明する。図1−1は、紫外線センサーを内蔵するセンサーユニットをそれぞれ異なる箇所に取り付けたガスコンロについて、1つの図面に模式的に示した概略側面図であり、図2は、センサーユニットの図示を省略したガスコンロの平面図と、操作パネルの概略図である。また、図3はガスコンロの制御系のブロック図であり、図4−1及び図4−2はガスコンロの動作を説明するフロー図である。
〔ガスコンロの構成〕
本実施例1は、図1−1及び図2に示されるように、システムキッチンのカウンターCに組み込まれたガスコンロ10の上方に設けられたレンジフードRに対して、紫外線センサー20を内蔵するセンサーユニット20aを取り付けたものである。このガスコンロ10は、鍋などの調理容器Pを加熱する2個のバーナ(コンロバーナ)11,12とグリルを備えており、その手前上面部には各バーナ11,12等の各種操作ボタンを有する操作パネル17と、天板の手前側に表示部18を備えている。符号13は天板(トッププレート)であり、符号15,16は調理容器Pを載せる五徳である。
【0027】
上記操作パネル17には中央に電源ボタン22が設けられており、左右に各バーナ11,12の操作部17a,17bが配置されている。これらの操作部17a,17bには、それぞれ点火/消火ボタン23a,23bや火力調節ボタン24a,24bなどの各種操作ボタンと、火力表示ランプ25a,25bが設けられている。
また、上記表示部18には、左右に各バーナ11,12用の表示窓18a,18bが設けられ、ガスコンロ10の動作状態や設定状態を表示すると共に、中央にも高温注意のランプが点灯する表示窓18cが設けられている。
【0028】
上記ガスコンロ10の各バーナ11,12に対応してレンジフードRにそれぞれ取り付けられたセンサーユニット20aは、それぞれの五徳15,16に載せられた各調理容器Pの周囲からはみ出した炎を検知することができるように設けられており、ガスコンロ10の制御装置との間で信号の送受信が行えるように構成されている。なお、センサーユニット20aから斜め下方に伸びる二点鎖線は、炎検知範囲を示している。
また、センサーユニット20aはレンジフードRに設けられているので、ガスコンロの使い勝手が損なわれることはなく、デザイン的にも優れたものとなる。一方、ガスコンロ10に対するレンジフードRの高さや取り付け位置などの設置状況によって、ガスコンロ10と紫外線センサー20との離間距離や前後位置が変わってくるので、それに伴って紫外線センサー20から発生する出力電流も変動する。そのため、レンジフードRの設置状況に合わせて、炎のはみ出しを検知する炎検知手段についても調整する必要がある。
【0029】
次に、ガスコンロ10のバーナ11,12への燃料ガスの供給とその制御系について、図3を参照しながら説明する。ここでは、一方のバーナ11の制御系について説明するが、他方のバーナ12の制御系も同様である。
ガス供給源に接続されるガス供給管30には、電磁開閉弁から成る元弁31が設けられている。このガス供給管30からは、各バーナ11,12へ燃料ガスを供給するために、分岐管32a,32bが分岐されている。これらの分岐管32a,32bには、分岐管32aを例にとって説明するように、電磁開閉弁から成るセーフティバルブ33と、ステッピングモータ34により駆動されガス供給量を制御する火力調節弁35が設けられている。
【0030】
上記ガスコンロ10の運転を制御する制御装置40は、CPU、RAM、ROM、及びタイマー等から成り、パルス計測手段44bや鍋の直径識別手段45等を備えている。この制御装置40は、操作手段41、紫外線センサー20に接続されるパルス発生手段44a、及び熱電対38等から入力信号を受けて演算処理を行い、元弁31、セーフティバルブ33、火力調節弁35、及びイグナイター36等を制御すると共に、表示手段42や報知手段43を動作させる。
上記元弁31は、操作部17a,17bの点火/消火ボタン23a,23bの操作により開弁される。上記セーフティバルブ33は、点火/消火ボタン23aの操作により開弁されると共に、バーナ11への点火後、このバーナ11に炎がある場合のみ熱電対(サーモカップル)38に発生する起電力によって開弁が維持される。また、上記火力調節弁35は、操作部17aの火力調節ボタン24aの操作に応答してガス供給量を制御すると共に、バーナ11において調理容器の周囲からの炎のはみ出しが検知されたとき、制御装置40からの指令信号によってガス供給量を減少させる。
【0031】
〔ガスコンロの動作〕
次に、ガスコンロ10の動作について、図2〜図4−2を参照しながら説明する。ここでも、一方のバーナ11の動作について説明するが、他のバーナ12の動作も同様である。
最初に、電源ボタン22を押すと電源スイッチがオンして(ステップS1)、電源ランプが点灯する(ステップS2)。次に、点火/消火ボタン23aを押すと(ステップS3)、火力表示ランプ25aが点灯すると同時に、元弁31とセーフティバルブ33が開弁し、かつステッピングモータ34とイグナイター36がオンする(ステップS4)。続いて、火力調節弁35がステッピングモータ34により点火位置(点火ポジション)に調節されたか否かを判断し(ステップS5)、点火位置に調節されるとステッピングモータ34はオフされる(ステップS6)。
【0032】
続いて、熱電対38の出力がDC2.5mV以上であるか否かを判断することにより、バーナ11が点火されたか否かを確認する(ステップS7)。この熱電対38の出力がDC2.5mV以上であって点火が確認できれば、イグナイター36はオフされる(ステップS8)。上記ステップS7において熱電対38の出力がDC2.5mV未満であれば、正常に点火できなかったと判断され、イグナイター36をオフして運転を中止する(ステップS9、S10)。
【0033】
上記の一連の動作によりバーナ11が正常に点火された後、イグナイター36がオフされると(ステップS8)、センサーユニット20aの紫外線センサー20がオンされて(ステップS11)、バーナ11での炎の検出が開始される。このバーナ11の五徳15に載せられた鍋Pの周囲から炎がはみ出すと、はみ出した炎の大きさに応じて紫外線センサー20から出力される電流値が増加し、これに伴ってパルス発生手段44aで発生するパルス数が増加する。
このパルス発生手段44aから出力されるパルスは、パルス計測手段44bにより3秒間カウントされ、このカウントされたパルスカウント値が閾値(例えば、100)以下か否かを判断して、炎が鍋Pの周囲からはみ出していないかどうかを判定する(ステップS12)。パルスカウント値が閾値以下であって炎がはみ出していないと判定されると、点火/消火ボタン23aが押されたか否かを判断する(ステップS13)。点火/消火ボタン23aが押されておらず運転が継続される場合には、上記ステップS12に戻り鍋Pからの炎のはみ出しの有無を引き続き監視する(ステップS12、S13)。上記ステップS13において点火/消火ボタン23aが押されると、セーフティバルブ33が閉じてバーナ11は消火される(ステップS17)。
【0034】
上記ステップS12において、パルスカウント値が閾値より大きく炎が鍋Pの周囲からはみ出していると判定されると、使用者に音声等で炎のはみ出しを報知すると共に(ステップS14)、ステッピングモータ34を駆動して火力調節弁35の開度を1段階絞って火力を弱める(ステップS15)。次に、パルス発生手段44aから出力されるパルスのパルスカウント値が、閾値(例えば、100)以下か否かを判断する(ステップS16)。このとき、パルスカウント値が閾値以下であって炎がはみ出していないと判定されると、上記ステップS13へ進む。
上記ステップS16において、パルスカウント値が閾値より大きければ、炎のはみ出しが解消されていないのでステップS14へ戻り、再度、使用者へ炎のはみ出しを報知して火力をさらに1段階弱める(ステップS15)。上記ステップS14〜S16は、パルスカウント値が閾値以下になるまで繰り返し行われる。
また、上記ステップS12において、パルスカウント値が閾値を遙かに超えて大きい場合(例えば、300以上の場合)には、上記ステップS15において火力調節弁35の開度を一度に2段階以上絞ることにより、急速に火力を弱めることも可能である。
【0035】
次に、上記ステップS12においてパルスカウント値が閾値より大きい場合における火力調節弁35の別の開度制御方法について、図4−2を参照しながら説明する。図4−2は、図4−1に示された動作フローと異なる部分を説明するフロー図であり、図4−1と共通する部分には同じ符号を用いている。
この場合の動作は図4−1の動作と殆ど共通するので、異なる部分の動作についてのみ説明する。ステップS12において、パルスカウント値が閾値より大きく炎が鍋Pの周囲からはみ出していると判定されると、使用者に対して音声等で炎のはみ出しを報知すると共に(ステップS14)、ガス供給量とパルスカウント値の関係から鍋の大きさ(直径)を識別する(ステップS25)。
なお、ガス供給量とパルスカウント値から鍋の大きさを識別するには、図8に示されている確認テストの結果に基づいて、ガス供給量とパルスカウント値と鍋の大きさ(直径)との関係を表すテーブルを作成し、これを制御手段40に記憶させることにより可能である。
【0036】
上記ステップS25において、使用している鍋の大きさを識別することができるので、この鍋の大きさに対応した適正なガス供給量になるように、ステッピングモータ34により火力調節弁35を所定の開度に絞る(ステップS26)。このようにしてガス供給量を鍋の大きさに合わせて調節した後、ステップ13へ進む。
なお、鍋の大きさに対応する適正なガス供給量は、上述したと同様に、図8に示されている確認テストの結果に基づいて、鍋の大きさに対応する適正なガス供給量を表すテーブルを作成し、これを制御手段40に記憶させることにより可能である。
【0037】
以上のように、紫外線センサーを用いて炎のはみ出しを検知する炎検知手段は、鍋の周囲からはみ出した炎だけを正確に検知することが可能であり、これに基づいてバーナの火力を適正に調節することができるので、鍋の周囲からの炎のはみ出しを防ぎ無駄な燃料ガスの使用を防止することにより、加熱効率を高くすることができる。また、炎が鍋からはみ出すことがないので、炎による鍋の取っ手の損傷、使用者の火傷や衣服の袖への着火を防止することが可能である。
【実施例2】
【0038】
次に、本発明の実施例2について図1−1及び図5を参照しながら説明する。図1−1は、紫外線センサーを内蔵するセンサーユニットをそれぞれ異なる箇所に取り付けた場合のガスコンロの概略側面図であり、図5はセンサーユニットを後方上部に取り付けたガスコンロの斜視図である。
本実施例2は、図1−1及び図5に示されるように、システムキッチンのカウンターCに組み込まれたガスコンロ10の後方上部に紫外線センサー20を内蔵するセンサーユニット20bを配置したものである。ガスコンロ本体の後方に、各バーナ11,12に対応して長さ40〜50cmのロッド部材48,48をアンテナ状に固定し、このロッド部材48,48の上端部にセンサーユニット20bをそれぞれ取り付けて、鍋Pの周囲からはみ出した炎を検知することができるように構成したものである。本実施例2の場合は、図1−1及び図5からも分かるように、紫外線センサー20が各バーナ11,12の後方上部に配置されているため、鍋Pの後部外周面や両側部外周面にはみ出した炎を検知することができる。
【0039】
本実施例2のガスコンロ10において、センサーユニット20bの取り付け箇所を除けば、その他の構成(操作パネル17、バーナ11,12への燃料ガスの供給やその制御系などの構成)や動作は、上記実施例1のガスコンロと同じである。(図2〜図4−2を参照)
【実施例3】
【0040】
次に、本発明の実施例3について図1−1を参照しながら説明する。図1−1は、紫外線センサーを内蔵するセンサーユニットをそれぞれ異なる箇所に取り付けた場合のガスコンロの概略側面図である。
本実施例3は、紫外線センサー20を内蔵するセンサーユニットを、各バーナ11,12の周辺であって鍋の外周面に対向する位置に取り付けて、鍋の周囲からはみ出した炎を鍋の径方向から検知するものである。(図1−1のセンサーユニット20cを参照)
【0041】
この場合、センサーユニットはレンズを使うなどの構成によって、鍋の外周面の限られたポイントだけの炎を検知するように、五徳15,16の載置面より少し上方位置(例えば、五徳の載置面から5mm上方位置)を測定するように配置されている。具体的には、紫外線センサー20から鍋までの離間距離(測定距離)は、50〜220mm程度であり、測定部位(測定範囲)は直径15〜20mm程度の円の範囲である。
鍋の周囲からはみ出した炎が、該鍋の外周面を五徳の載置面より上方へ伸びれば、その炎の大きさに応じて紫外線センサー20から出力される電流値が増加し、これによりパルス発生手段44aから発生するパルス数が増加するので、このパルスをカウントすることにより炎のはみ出し状態を検知することができる。
【0042】
本実施例3の1つの具体例を図1−1に示す。この具体例は、システムキッチンのカウンターCに組み込まれたガスコンロ10において、紫外線センサー20を内蔵するセンサーユニット20cを各バーナ11,12の後方にそれぞれ取り付けたものである。
この具体例では、各バーナ11,12の後方にセンサーユニット20cを設置することにより鍋の後方から炎を検知しているので、鍋の前方や側方側に位置することが多い鍋の取っ手によって炎が隠されることが少なくなる。また、ガスコンロ10に鍋を載せるとき、使用者の目と五徳15,16との位置関係によりどうしても鍋を手前側に片寄せて置くことが多くなり、鍋の周囲からはみ出す炎は鍋の後方側で大きくなるが、このような場合でも、炎のはみ出しを確実に検知することが可能となり、信頼性が向上する。
【0043】
本実施例3のガスコンロ10において、センサーユニットの取り付け箇所や測定範囲に関する点を除けば、その他の構成(操作パネル17、バーナ11,12への燃料ガスの供給やその制御系などの構成)や動作は、上記実施例1のガスコンロと同じである。(図2〜図4−2を参照)
【実施例4】
【0044】
次に、本発明の実施例4について図1−2を参照しながら説明する。図1−2は、センサーユニットが手前の天板上に取り付けられたガスコンロの概略側面図である。
上記実施例3の具体例(図1−1のセンサーユニット20cを参照)では鍋Pの後方から炎を検知しているため、鍋が後方へずらされて置かれ炎が手前側にはみ出した場合には、炎のはみ出しを検知することができないので、使用者の火傷や衣服の袖への着火等の心配がある。
そこで、本実施例4は、図1−2に示されるように、システムキッチンのカウンターCに組み込まれたガスコンロ10において、各バーナ11,12の手前側(操作パネル17側)に紫外線センサー20を内蔵するセンサーユニット20dをそれぞれ取り付けたものであり、鍋Pの前方(又はやや斜め前方)から該鍋の前方外周面の限られたポイント(例えば、直径15〜20mm程度の円の範囲)での炎のはみ出しを検知するものである。
この実施例4のセンサーユニット20dは、使用者の邪魔にならないように、五徳15,16の上面よりも下方に位置するように配置されており、鍋Pの前方下方側から斜めに炎を検知するように設けられている。
【0045】
本実施例4では、センサーユニット20d全体がガスコンロ10の天板13上に取り付けられており、このセンサーユニット20dは遮蔽筒27と紫外線センサー20を備えている。この遮蔽筒27は、遮蔽穴27aが形成された筒状のものであり、紫外線の入射する範囲を絞ることによって限られた範囲(鍋外周面において炎がはみ出す箇所)での炎検知が可能となり、鍋Pの周囲からはみ出していない炎(正常な大きさの炎)を検知することなく、はみ出した炎のみを検知することができる。
鍋Pの周囲から炎がはみ出せば、その炎の大きさに応じて紫外線センサー20から出力される電流値が増加し、これによりパルス発生手段44aから発生するパルス数が増加するので、このパルスをカウントすることにより炎のはみ出し状態を検知することができる。
本実施例4においては、ガスコンロ10における各バーナ11,12の手前側にセンサーユニット20dを設置して鍋Pの前方側から炎を検知しているので、鍋が後方へずれて手前側に炎がはみ出した場合にも、炎のはみ出しを確実に検知することができ、使用者の火傷や衣服の袖への着火等を未然に防止することができる。
【0046】
本実施例4のガスコンロ10において、センサーユニット20dの取り付け箇所やその検知範囲に関する点を除けば、その他の構成(操作パネル17、バーナ11,12への燃料ガスの供給やその制御系などの構成)や動作は、上記実施例1のガスコンロと同じである。(図2〜図4−2を参照)
【実施例5】
【0047】
次に、本発明の実施例5について図1−3を参照しながら説明する。図1−3は、センサーユニットが手前の天板上に取り付けられたガスコンロの概略側面図、及びセンサーユニットの要部拡大断面図である。
上記実施例4では、センサーユニット20dが手前の天板上に取り付けられており、該センサーユニット20d全体が天板13上に突出して各バーナ11,12の手前側に配置されているので、使用者にとって邪魔になる場合がある。
そこで、本実施例5は、図1−3に示されるように、センサーユニット20eの一部分が天板13から突出し、残りの部分は該天板13の下側に設置されたものである。このセンサーユニット20eは遮蔽筒28と紫外線センサー20から成り、他から入射してくる紫外線を遮蔽するセンサーユニット取付板21に取り付けられており、該遮蔽筒28の上側部分が天板13の表面から突出している。
【0048】
上記遮蔽筒28には、図1−3(b)に示されるように、その上部外周面に紫外線が入射する開口28aが形成されと共に、その下方に空間28cが形成されている。該開口28a内には反射レンズ29が設けられ、該開口28aと空間28cの間には小径の遮蔽穴28bが形成されている。
鍋Pの周囲からはみ出した炎からの紫外線が開口28aに入射してくると、この紫外線は反射レンズ29により下方へ反射され、小径の遮蔽穴28bと空間28cを通って紫外線センサー20に入射する。紫外線が遮蔽穴28bを通過するとき、紫外線の入射する範囲が絞られるので、鍋の前方外周面の限られた範囲(鍋外周面の炎がはみ出す箇所)での炎検知が可能となる。
【0049】
本実施例5では、紫外線センサー20が設けられているセンサーユニット20eの下側部分が、ガスコンロ10の天板13より下側に取り付けられているため、天板13からの突出寸法が小さくなるので、使用者の邪魔になることはなく使い勝手の良いものである。
鍋Pの周囲からの炎のはみ出しがあれば、その炎の大きさに応じて紫外線センサー20から出力される電流値が増加し、これによりパルス発生手段44aから発生するパルス数が増加するので、このパルスをカウントすることにより炎のはみ出し状態を検知することができる。
本実施例5においても、上記実施例4と同様に、ガスコンロ10における各バーナ11,12の手前側にセンサーユニット20eを設置して鍋Pの前方側から炎を検知しているので、鍋が後方へずれて手前側に炎がはみ出した場合にも、炎のはみ出しを確実に検知することができ、使用者の火傷や衣服の袖への着火等を未然に防止することができる。
【0050】
本実施例5のガスコンロ10において、センサーユニット20eの取り付け箇所やその検知範囲に関する点を除けば、その他の構成(操作パネル17、バーナ11,12への燃料ガスの供給やその制御系などの構成)や動作は、上記実施例1のガスコンロと同じである。(図2〜図4−2を参照)
【実施例6】
【0051】
次に、本発明の実施例6について、図6を参照しながら説明する。図6は、ガスコンロにおいて複数の紫外線センサーを用いて測定する場合の測定箇所を説明する概略平面図である。
〔ガスコンロの構成〕
本実施例6は、システムキッチンのカウンターCに組み込まれたガスコンロ10の各バーナ11,12に対して、それぞれ複数の紫外線センサーを用いて測定するものである。例えば、左側のバーナ11に対しては4個の紫外線センサーが、また右側のバーナ12に対しては3個の紫外線センサーが使用されており、各紫外線センサーの測定箇所20f〜20f,20g〜20gは、一点鎖線の円で示している。
上記7箇所の測定箇所20f〜20f,20g〜20gを測定するそれぞれの紫外線センサーを内蔵するセンサーユニットは、図1−1に示されるようなレンジフードR等に取り付けることができる。また、レンズを用いるなどの構成によって、測定できる範囲を必要な大きさに設定することができるので、直径14cmの小さな鍋P1や直径24cmの大きな鍋P6が載せられた場合でも、これらの鍋の周囲からはみ出した炎を検知することが可能である。
【0052】
図6に示されるように、左側のバーナ11では、ガスコンロ10の上方に設けられた4個の紫外線センサーにより、鍋Pの前後左右の4箇所20f〜20fにおいて測定する場合を示しており、右側のバーナ12では、同じく上方に設けられた3個の紫外線センサーにより、鍋Pの後方と左右斜め前方の3箇所20g〜20gにおいて測定する場合を示している。また、図6には示されていないが、ガスコンロ10の上方に設けた2個の紫外線センサーにより、鍋Pの前後の2箇所(測定箇所20f,20f)、又は左右の2箇所(測定箇所20f,20f)において測定することも可能である。
【0053】
〔ガスコンロの動作〕
ところで、鍋の周囲から炎がはみ出す現象は、鍋の大きさに対して火力が強すぎること、又は鍋が五徳に対して片寄って載せられていることが原因となって起こる。上記実施例1〜実施例5のように、1つの紫外線センサーで測定する場合は、その原因を識別することができない。
鍋が五徳に対して片寄って載せられているために鍋の周囲から炎がはみ出しているとき、火力調節弁を絞って火力を弱めることにより炎のはみ出しを解消した場合は、鍋の大きさに対して必要以上に火力を弱めることになり、加熱所要時間が長くなってしまう。
【0054】
本実施例6では、上記のように複数の紫外線センサーを用いて鍋Pの周囲の複数箇所で測定しているので、それぞれの測定箇所に対応するパルスカウント値により、各測定箇所での炎のはみ出し状態を検知することが可能である。また、それと同時にそれぞれの測定箇所でのパルスカウント値を比較演算することによって、五徳15,16に対する鍋Pの片寄りを判別することが可能であり、使用者に音声やブザー等により報知することができる。この場合、制御装置40は鍋の片寄りを判別する「鍋の片寄り演算手段46」を備えている(図3を参照)。
そして、図6に示されるように、鍋Pの周囲の3箇所以上において測定する場合には、全方向において鍋の片寄りを判別することができるが、鍋Pの前後又は左右の2箇所において測定する場合には、前後又は左右方向での鍋の片寄りを判別することができる。
なお、本実施例6では、複数の紫外線センサーが、上記実施例1、2のように各バーナ11,12の上方に設けられている場合について説明したが、これに限定されるものではなく、複数の紫外線センサーが、上記実施例3〜5のように鍋の外周面に対向する位置に設けられるものについても、同様に実施することが可能である。
【0055】
本実施例6のガスコンロ10において、各バーナ11,12に対してそれぞれ複数の紫外線センサーが設けられ、これらの紫外線センサーに対応するパルスカウント値に基づいて、鍋からの炎のはみ出しの有無を判定し、かつ五徳に対する鍋の片寄りを判別する点を除けば、その他の構成や動作は、上記実施例1のガスコンロと同じである。(図2〜図4−2を参照)
【符号の説明】
【0056】
10…ガスコンロ
11,12…バーナ(コンロバーナ)
13…天板(トッププレート) 15,16…五徳
17…操作パネル 17a,17b…操作部
18…表示部 18a〜18c…表示窓
20…紫外線センサー 20a〜20e…センサーユニット
20f〜20f,20g〜20g…紫外線センサーの測定箇所
21…センサーユニット取付板
22…電源ボタン
23a,23b…点火/消火ボタン 24a,24b…火力調節ボタン
25a,25b…火力表示ランプ 27…遮蔽筒
27a…遮蔽穴 28…遮蔽筒
28a…開口 28b…遮蔽穴
28c…空間 29…反射レンズ
30…ガス供給管 31…元弁
32a,32b…ガス分岐管 33…セーフティバルブ
34…ステッピングモータ 35…火力調節弁
36…イグナイター 38…熱電対(サーモカップル)
40…制御装置 41…操作手段
42…表示手段 43…報知手段
44a…パルス発生手段 44b…パルス計測手段
45…鍋の直径識別手段 46…鍋の片寄り演算手段
48…ロッド部材
C…カウンター R…レンジフード
P,P1〜P6…調理容器(鍋、やかん等)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスを燃焼させて調理容器を加熱するバーナと、この調理容器の周囲からはみ出した炎を検知する炎検知手段と、上記バーナへのガス供給量を変更して火力を調節する火力調節手段と、この火力調節手段を制御する制御装置を備え、上記炎検知手段が調理容器の周囲からはみ出した炎を検知したとき、上記火力調節手段により自動的に火力を小さくするガスコンロにおいて、
上記炎検知手段は、炎から発せられる紫外線を検出する紫外線センサーと、この紫外線センサーにより検出される紫外線の強度に応じてパルスを発生するパルス発生手段と、このパルス発生手段から所定時間内に出力されるパルスをカウントするパルス計測手段を備えて成り、このパルス計測手段のパルスカウント値が閾値を超えたとき、調理容器の周囲から炎のはみ出しがあったと判定し、バーナの火力を自動的に小さくすることを特徴とするガスコンロ。
【請求項2】
上記バーナへのガス供給量と上記パルス計測手段のパルスカウント値から調理容器の大きさを識別する調理容器直径識別手段を備え、この調理容器の大きさに対応する火力に自動的に調節することを特徴とする請求項1に記載のガスコンロ。
【請求項3】
上記炎検知手段の紫外線センサーをバーナの上方に設けることにより、調理容器の上方から炎のはみ出しを検知することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガスコンロ。
【請求項4】
上記炎検知手段の紫外線センサーを調理容器の外周面に対向する位置に設けることにより、調理容器の径方向から炎のはみ出しを検知することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガスコンロ。
【請求項5】
上記炎検知手段は、炎から発せられる紫外線を検出する複数の紫外線センサーと、各紫外線センサーにより検出される紫外線の強度に応じてパルスを発生するパルス発生手段と、各パルス発生手段から所定時間内に出力されるパルスをカウントするパルス計測手段を備えて成り、各パルス計測手段における複数の紫外線センサーに対応するパルスカウント値の少なくとも1つが閾値を超えたとき、調理容器の周囲から炎のはみ出しがあったと判定することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のガスコンロ。
【請求項6】
上記各パルス計測手段における複数の紫外線センサーに対応するパルスカウント値に基づいて、調理容器の片寄りの有無を判別する片寄り演算手段を備えることを特徴とする請求項5に記載のガスコンロ。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−106729(P2011−106729A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261691(P2009−261691)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】