説明

ガスセンサー

このガスセンサーは、少なくとも2つの光源と、投影光学部品と、少なくとも1つの光の入口を備える光反射室と、を備える。このガスセンサーは光反射室と共に働く検出器をさらに備え、この検出器を用いて光源からの光が検出され得る。前記投影光学部品を用いて室の光の入口にそれぞれ投影され得る少なくとも2つの光源を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの光源と、投影光学部品と、少なくとも1つの光の入口を備える光反射室と、を備えるガスセンサーに関する。このガスセンサーは光反射室と協力する検出器をさらに備え、この検出器を用いて光源からの光が検出される。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から知られるガスセンサーの場合は、光源が鏡を経由して光反射室の光の入口に投影される。光源からの光は光室内の鏡格子によって偏向され、検出器に向けられる。光は検出器を用いて分析され、分析された光から少なくともガスのガス濃度が決定される。
【0003】
ガスは赤外分光計、例えば、赤外スペクトル範囲におけるそれらの特有の吸収特性を使用することによって選択的に検出され得る。
【0004】
光の吸収が光源と検出器との間の光路に存在するガスで起こる。前記光路の長さは検出されるガスによって決まる。
【特許文献1】米国特許第5,734,165号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ガスセンサーの安定性および精度は、とりわけ、機械的強度、熱ドリフト、湿度水準の変化、光源と検出器との間の光路にある部品の付着物、光源および検出器の経年変化などによって影響される。これらの作用は検出器を用いて検出される光に影響し、従って検出されるガスのガス濃度の決定にずれを引き起こす。
【0006】
例えば熱的効果に起因する、光源の位置の検出器に対する特別な変化では、前述の特許文献1によるガスセンサーを用いる場合に、検出器を用いて検出される光の制御されない変化を引き起こすことになり、これはそれから決定されるガス濃度の望ましくないずれを引き起こすことになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、熱ドリフト、付着物、経年変化、および機械的変化のような影響に比較的鈍感であるガスセンサーを提供することである。
【0008】
本発明によるガスセンサーの熱ドリフト、付着物、および経年変化に対して比較的鈍感であることが、ガスセンサーは少なくとも2つの光源を備え、これらの光源は投影光学部品を用いて室の光の入口にそれぞれ投影され得ることで達成される。
【0009】
このような方法で、1つの光源を基準光源として使用することが可能であり、その上少なくとも1つの他の光源が、例えば関連する波長決定素子と協力して、ガスを検出するのに適している。
【0010】
機械的変化に対して比較的鈍感であることが、光学部品を用いて室の光の入口に投影される光源からの光は室内で平均して多数回反射され、この結果として配光が、元のように、均質化されることで達成される。
【0011】
投影光学部品の使用は比較的大きい光源を使用することを可能にし、この光源は比較的小さい光の入口に縮小されて投影され得る。このような方法で、また、機械的変化に対する敏感さが低下される。
【0012】
2つの光源および単一の検出器の使用はどんな可動部も含まないガスセンサーを得ることを可能にし、これは故障に対するガスセンサーの敏感さを低下させる。
【0013】
光源は年月が経つにつれて依然として比較的安定したままであり、これはガスセンサーの長期にわたる精度に寄与することがさらに明かになった。
【0014】
本発明によるガスセンサーの一実施形態は、ガスセンサーは少なくとも2つの光源を備え、これらの光源は投影光学部品を用いて室の同じ光の入口にそれぞれ投影され得ることを特徴とする。
【0015】
両光源とも同一の光の入口に投影され得るので、ガスセンサーはガスセンサー機構の小さい変化に対してなおさら敏感でなくなり、光源と検出器との間の光路はほぼ同一である。
【0016】
本発明によるガスセンサーの別の実施形態は、波長決定素子が少なくとも1つの光源と検出器との間に配置されることを特徴とする。
【0017】
これは様々な波長を有する光線を使用することを可能にし、これらの光線は基準光線および所望のガスを測定するための光線としてそれぞれ機能する。
【0018】
本発明によるガスセンサーの別の実施形態は、投影光学部品が少なくとも1つの投影鏡を備えることを特徴とする。
【0019】
レンズの使用と関連する光吸収現象の発生が鏡を用いることによって阻止される。
【0020】
本発明によるガスセンサーのさらに別の実施形態は、鏡は多くのセグメントより成り、これらのセグメントの第1グループが第1光源と協力するのに対して、セグメントの第2グループが第2光源と協力することを特徴とする。
【0021】
このような方法で、光源からの光線の光路はほぼ同一になる。さらに、鏡の経年変化および付着物の影響が、かかるセグメント化された鏡が使用される場合に両光源について同じになり、光反射室内に光の対称入射を得ることが可能である。これはガスセンサーをガスセンサー機構の変化に対して比較的鈍感にする。
【0022】
第1グループのセグメントは第1焦点を有することが好ましいのに対して、第2グループのセグメントは第2焦点を有する。
【0023】
2つのグループのセグメントは鏡一面に一様に分布されることが好ましい。
【0024】
本発明によるガスセンサーのさらに別の実施形態は、両光源とも検出器の同じ側に配置されることを特徴とする。
【0025】
このような方法で、光源を比較的接近して定置することが可能であり、そのため光源からの光線はほぼ同じ光路を室へとたどることになる。これは機構の変化に対する敏感さをさらにもっと低下させる。
【0026】
光源は光源のほぼ直径程度の中心間距離を置いて配置されることが好ましい。これにより、光源からの光線はほぼ一致することが達成することができる。
【0027】
本発明によるガスセンサーのさらに別の実施形態は、光反射室の断面は方形であり、この断面の少なくとも1つの辺は、検出器の受光素子の寸法または光源の投影の寸法程度の寸法を有することを特徴とする。
【0028】
光反射室のこの形状の結果として、最適な均質化効果が得られる。室は先細りであることが好ましく、この結果として光は検出器の方向に集中される。
【0029】
このような方法で、室内にある光は室の様々な位置で様々な角度で反射され、この結果として検出器によって測定される光度は、光の入口に投影される光源の位置と実質上関係なく同じままである。
【0030】
室の光の出口が検出器の面に近接して配置されるので、相対位置が保証され、この結果としてどんな機械的変化もセンサーのこの部分に影響を与えないはずであり、従って検出器の面上で変化する光に起因する測定のずれが阻止される。
【0031】
本発明はこれから図面を参照してさらに詳細に説明される。
【0032】
類似部品は同じ数字によって図に示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図1は本発明によるガスセンサー1の基本原理を示し、このガスセンサーは光源2および検出器3を備える。光路が光源2と検出器3との間を延び、この光路に、赤外フィルター4の形をした波長決定素子、レンズ5の形をした投影光学部品、およびチャンネル形の光反射室6が配置される。光反射室6は細長い形状であり、レンズ5に向いた側に光の入口7を、そして検出器3に向いた側に光の出口8を有する。光源2はレンズ5を用いて光源2´として光の入口7に投影される。室6は多くの光反射壁9より成り、これらの光反射壁は空洞10を界接し、この空洞内で、光が光の出口8を経由して室6を出て前に、光源2からの光は多数回反射され、検出器3の感光性面11に入る。光源2は光を放射し、この光はフィルター4によってフィルターをかけられ、それによって特定の所望の波長を有する赤外光だけが検出器3の方向に伝えられることになり、前記波長は検出されるガスによって決まる。ガスセンサー1が在る空間に存在し、検出されるべきガスの濃度に応じて、赤外光の特定部分が吸収されることになる。検出器3によって測定された赤外光の量に基づいて、例えば、空間に存在するガス中のCOガスの濃度が決定される。これは、例えば、リビングルーム、事務所などのような、人がいる空間内のガスの品質を決定するために重要である。前記ガスはリビングルームに存在する空気である。室6内の光路は比較的長いので、室6内の光は比較的十分に均質化され、この結果として光路は機械的変化に対して比較的鈍感である。
【0034】
室6はチャンネル形であることが好ましく、長さは、室6内の光が適切に混合されることを確実にするように、断面寸法の少なくとも3倍よりも大きいことが好ましい。前記断面寸法は検出器3の感光性面11の寸法と同じ程度であることが好ましい。市販の検出器3は数平方ミリメートルの感光性面11を有する。室6の壁9は光をよく反射する金属、例えば金から作られることが好ましく、そのため最適の反射が得られる。室6の断面は方形、例えば長方形または正方形であることが好ましい。室は室6の長手方向に先細りであり、入口7近くの断面積と出口近くの断面積は5倍以下だけ互いとは異なることが好ましい。
【0035】
図2は本発明によるガスセンサー21の第1実施形態を示し、このガスセンサーは、2つの光源22、23と、光源22、23の前に配置されるフィルター24、25と、前記フィルター24、25の前に配置される曲面鏡26、27の形をした投影光学部品と、室28と、検出器29と、を備える。室28は2つの光の入口30、31を備え、これらの光の入口に光源22、23は鏡26、27を用いて光源22´、23´として投影される。室28は、検出器29の受光面33に対向して、光の入口30、31の間の中心に配置される光の出口32をさらに備える。
【0036】
フィルター24、25はそれぞれ異なる波長の赤外光を伝える。COの存在がセンサーを用いて検出される場合は、フィルター24の波長は例えば4.3μmとなり、フィルター25の波長は例えば4μmとなる。
【0037】
光源22および関連するフィルター24を用いて、COが最大限に吸収する波長を有する光が伝えられ、この光は鏡26によって光の入口30に向けられ、この後に、光が検出器29の感光面33に達する前に、光は室28によって界接される空洞内で多数回反射される。検出器29を用いて、ガスセンサー21を囲むガス(空気)中に存在するCOガスの濃度が決定される。COが最小に吸収する光がフィルター25を用いて伝えられ、続いてこの光は検出器29を用いて同じように分析される。光源23は基準として機能する。光源23によって放射され、かつ検出器29によって検出される光に変化が起きる場合は、これは、検出器の感度の低下、センサーの1つ以上の部品の付着物などのような変化がガスセンサー21で起きたことの表れである。その後に、測定された変化は光源22を用いてCO濃度を決定する際に考慮され得る。光源22、23は短い間隔で交互にオンオフされることが好ましく、そのため単一光源23または24からの光だけが検出器29を用いて分析される必要がある。また一方、両光源22、23からの光が同時に測定、分析され得る検出器を使用することもまた可能である。
【0038】
図3は本発明によるガスセンサー34の第2実施形態を示し、このガスセンサーは、2つの光源22、23は室36の同じ光の入口35に投影されるということで、図2に示すガスセンサー21と異なる。室36は光の入口35から離れた側に光の出口37を備え、この光の出口に対向して検出器29の感光面33が配置される。ガスセンサー21と比べて、ガスセンサー34は実用的な全く同じ光路が形成されるという利点を有する。
【0039】
図4は本発明によるガスセンサー41の第3実施形態を示し、このガスセンサーは、切子面の鏡42が2つの鏡26,27の代わりに設けられ、この切子面の鏡の鏡面43が光源23からの光を光の入口35の方向に反射するのに対して、鏡面44が光源23からの光を光の入口35の方向に反射するということで、図3に示すガスセンサー34と異なる。切子面の鏡42の経年変化および付着物が両光源22、23に関して同じ程度に起きるはずであり、そのため光源23に基づいて決定されるガス濃度は基準光源23を用いて容易に補正され得る。
【0040】
さらに、光の入口35への光の対称的入射が切子面の鏡を用いて得られて、チャンネルの最適効果を引き起こす。
【0041】
図5は本発明によるガスセンサー51の第4実施形態を示し、このガスセンサーは、検出器29と、チャンネル形の光反射室36と、セグメント化された切子面の鏡54と、2つの光源22、23と、を備え、これらの光源22、23の各々の前にフィルター24,25が配置される。チャンネル形の室36の断面は方形であり、室36の断面積は鏡54から検出器29への方向に向って減少する。光源22、23は室36の同じ側に比較的近接して配置される。鏡54は4つのセグメント57、58、59、60より成り、これらのセグメントは鏡54の領域にわたっておおよそ対称に分布される。セグメント57、59はセグメントの第1グループを形成し、この第1グループは光源22と協力するのに対して、セグメント58、60はセグメントの第2グループを形成し、この第2グループは光源23と協力する。セグメントの2つのグループは2つの異なる焦点を有する。
【0042】
光源22、23からの光線61,62が、それぞれセグメント58、60および57、59によって受光室36の光の入口35に投影される。続いて、光はチャンネル形の室36内で均質化され、検出器29を用いて分析される。
【0043】
光源22、23と鏡54との間の距離は検出されるガスおよびその濃度によって決まる。
【0044】
3つ以上の光源を使用することも可能であり、これは1つのガスセンサーを用いて様々なガスを検出することを可能にする。
【0045】
切子面の鏡により少ない、またはより多い鏡面を設けることも可能である。
【0046】
もちろん、本発明によるガスセンサーを用いてCO以外のガスを使用することも可能であり、フィルター24は、例えば、COの場合に4.64μm、HCの場合に3.4μmの波長を有する光を伝える。
【0047】
光源を拡大して、同じ大きさで、または縮小して光の入口に投影することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明によるガスセンサーの基本原理の略図である。
【図2】本発明によるガスセンサーの第1実施形態の略図である。
【図3】本発明によるガスセンサーの第2実施形態の略図である。
【図4】本発明によるガスセンサーの第3実施形態の略図である。
【図5】本発明によるガスセンサーの第4実施形態の略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの光源と、
投影光学部品(26、27、42、54)と、
少なくとも1つの光の入口を備える光反射室(28、36)と、
前記室と協力する検出器(29)と、を備え、
前記検出器により前記光源からの光を検出し、
前記投影光学部品により前記室の光の入口(30、31、35)にそれぞれ投影される、少なくとも2つの光源(22、23)を備えることを特徴とするガスセンサー(21、34、41、51)。
【請求項2】
前記投影光学部品が前記光源の各々を前記室の光の入口に縮小して投影することを特徴とする、請求項1に記載のガスセンサー。
【請求項3】
少なくとも2つの前記光源(22、23)が、投影光学部品(26,27)を用いて前記室(36)の同じ前記光の入口(35)にそれぞれ投影されることを特徴とする、請求項1または2に記載のガスセンサー。
【請求項4】
前記光源(22、23)と前記検出器(29)との間の光路がほぼ同一であることを特徴とする、請求項3に記載のガスセンサー。
【請求項5】
前記投影光学部品が少なくとも1つの投影鏡(26、27、42、54)を備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスセンサー(21、34、41、51)。
【請求項6】
前記投影鏡(42、54)が切子面であることを特徴とする、請求項5に記載のガスセンサー(41、51)。
【請求項7】
前記鏡(54)が複数のセグメント(57、58、59、60)より成り、これらのセグメントの第1グループが前記第1光源(22)を前記光の入口(35)に投影するために使用され、前記セグメント(58、60)の第2グループが第2の前記光源(23)を前記光の入口(35)に投影するために使用されることを特徴とする、請求項5または6に記載のガスセンサー(51)。
【請求項8】
前記セグメントの前記2つのグループが2つの異なる焦点を有することを特徴とする、請求項7に記載のガスセンサー。
【請求項9】
前記光源(22、23)が前記室(36)の同じ側に配置されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のガスセンサー。
【請求項10】
前記光源(22、23)が前記光源のほぼ直径程度の中心間距離を置いて配置されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のガスセンサー。
【請求項11】
3つ以上の前記光源を備えることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載のガスセンサー。
【請求項12】
前記室(36)の断面は方形であり、この断面の少なくとも1つの辺は、前記検出器の受光素子の寸法または前記光源の投影の寸法程度の寸法を有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載のガスセンサー。
【請求項13】
前記室(36)の断面積が前記光の入口(35)から前記検出器(29)への方向に向って減少することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載のガスセンサー。
【請求項14】
前記室(36)の長さが前記室の断面寸法の少なくとも3倍よりも大きいことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載のガスセンサー。
【請求項15】
前記室(36)がチャンネル形であり、前記室の少なくとも1つの寸法が前記検出器(29)の受光面(33)の寸法程度であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載のガスセンサー。
【請求項16】
前記室(28、36)が光の出口(32、37)を備え、この光の出口の近くに前記検出器(29)が取り付けられることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載のガスセンサー。
【請求項17】
波長決定素子(24、25)が、少なくとも1つの前記光源(22、23)と前記検出器(29)との間に配置されることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載のガスセンサー。
【請求項18】
前記波長決定素子(24、25)がフィルターであることを特徴とする、請求項17に記載のガスセンサー。
【請求項19】
前記波長決定素子(24、25)が前記光源と前記投影光学部品との間に配置されることを特徴とする、請求項17または18に記載のガスセンサー。
【請求項20】
前記波長決定素子が前記投影光学部品と前記検出器との間に配置されることを特徴とする、請求項17または18に記載のガスセンサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−506966(P2007−506966A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527928(P2006−527928)
【出願日】平成16年9月20日(2004.9.20)
【国際出願番号】PCT/NL2004/000652
【国際公開番号】WO2005/029048
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(506090820)ベルリ ビー.ヴイ. (1)
【Fターム(参考)】