説明

ガスセンサ

【課題】素子に対する加温性能を損なうことなく、耐振動性を向上することができるガスセンサを提供する。
【解決手段】開口部24を有するハウジング20内に、検出素子31と補償素子32とが、それぞれステー33a,33aに接続されて支持されている。検出素子31の周囲には、コイルヒータ35が配設されて、その両端部35a,35aが検出素子31と同じステー33aに接続されて支持されている。また、補償素子32についても同様に、コイルヒータ36が設けられ、その両端部36a,36aが補償素子32と同じステー33aに接続されて支持されている。また、コイルヒータ35は、検出素子31の触媒31bに接触するようにして巻回され、コイルヒータ36は、補償素子32の担体32bに接触するようにして巻回されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触燃焼式のガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムでは、燃料電池から未反応の水素が排出されるので、燃料電池から排出されたオフガスの流路に水素センサを設けて、オフガス中の水素濃度を監視することが一般に行われている。また、接触燃焼式の水素センサでは、検出素子の触媒を活性温度まで迅速に上昇させる手段として、検出素子と補償素子を囲むようにコイル状のヒータを設ける技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭60−114757号公報(第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、水素センサの検出素子が細い電線により構成されているため、燃料電池自動車などに搭載した場合には、走行時の振動などによって、検出素子(センサ)が損傷するというおそれがあった。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、素子に対する加温性能を損なうことなく、耐振動性を向上することができるガスセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、検出対象ガスに活性である検出素子と、検出対象ガスに不活性である補償素子とが直列に接続された両端と、2つの抵抗素子が直列に接続された両端と、をそれぞれ接続し、両接続点を入力端子とすると共に、前記検出素子と前記補償素子との間、一方の前記抵抗素子と他方の前記抵抗素子との間の両中間点を出力端子とするガスセンサにおいて、前記検出素子の外側に接して前記検出素子を囲む第1の熱線ヒータと、前記補償素子の外側に接して前記補償素子を囲む、前記第1の熱線ヒータと抵抗値が同一に設定される第2の熱線ヒータと、を備え、前記検出素子および前記第1の熱線ヒータと、前記補償素子および前記第2の熱線ヒータとは、それぞれ支持部材に支持されていることを特徴とする。
【0006】
これによれば、検出素子は第1の熱線ヒータに接触して支持され、検出素子の両端から延びる配線と、第1の熱線ヒータの両端から延びる配線とが支持部材で支持されているので、従来よりも耐振動性を向上することができ、検出素子が断線するなどの不具合を防止することが可能になる。なお、補償素子についても、同様にして支持されるので、耐振動性を向上できる。しかも、検出素子や補償素子の周囲を囲むように第1の熱線ヒータや第2の熱線ヒータが設けられているので、加温性能が損なわれることもない。
【0007】
また、前記検出素子と前記第1の熱線ヒータ、および、前記補償素子と前記第2の熱線ヒータは、それぞれ同一の支持部材で支持されていてもよい。
【0008】
これによれば、検出素子(補償素子)を支持する支持部材と、第1の熱線ヒータ(第2の熱線ヒータ)を支持する支持部材と、を共有することで、部品点数を削減することができ、重量が増大するのを防止できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、素子に対する加温性能を損なうことなく、耐振動性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は本実施形態のガスセンサが搭載される燃料電池システムの一例を示す全体構成図、図2は本実施形態のガスセンサの外観を示す平面図、図3は本実施形態のガスセンサの内部構造を示す斜視図、図4は本実施形態のガスセンサの要部を示す拡大側面図、図5は本実施形態のガスセンサの回路構成図である。なお、本実施形態では、燃料電池自動車に搭載した場合を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではなく、船舶や航空機などに搭載された燃料電池システムに適用してもよく、家庭用や業務用の定置式の燃料電池システムに適用してもよい。ちなみに、定置式の場合であっても、組み立て工程における振動、エアコンプレッサの共鳴による振動などにおいて耐振動性が要求されるからである。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の水素センサ(ガスセンサ)1は、例えば、燃料電池自動車(車両)に搭載される燃料電池システムSに適用される。この燃料電池システムSは、燃料電池2と、燃料極(アノード)側の入口側配管3および出口側配管5と、酸素極(カソード)側の入口側配管4および出口側配管6と、システムを制御するECU20と、出口側配管6に設けられた水素(検出対象ガス)を検出する水素センサ1(ガスセンサ)と、を主に備えている。
【0012】
燃料電池2は、例えば陽イオン交換膜等からなる固体高分子電解質膜を燃料極と酸素極で挟持した膜電極接合体を、更に一対のセパレータで挟持してなる単セル(図示しない)を多数組積層して構成されたスタックからなる。
【0013】
燃料電池2には、例えば高圧の水素タンク等を備える水素供給装置(図示しない)から燃料極側の入口側配管3を介して燃料として水素が燃料極に供給されるとともに、コンプレッサ11により酸素極側の入口側配管4を介して酸化剤として空気が酸素極に供給される。燃料極の触媒電極上では、触媒反応により水素がイオン化され、生成された水素イオンが適度に加湿された固体高分子電解質膜を拡散・通過して酸素極まで移動する。そして、この水素イオンが移動する間に、電子が走行モータを含む外部回路に取り出され、直流の電気エネルギ(電力)として利用される。また、酸素極には酸素を含む空気が供給されているために、この酸素極において、水素イオン、電子および酸素が、酸素極の触媒の作用により電気化学的に反応して水が生成される。なお、コンプレッサ11は、ECU20により発電要求に対応して適宜に制御される。
そして、燃料極側の出口側配管5および酸素極側の出口側配管6から未反応の反応ガス(例えば、水素や空気等)を含むいわゆるオフガスが排出される。
【0014】
ここで、未反応の水素を含む水素オフガス(アノードオフガス)は、燃料電池2の燃料極側の出口側配管5から水素循環配管12に排出され、エゼクタ13を介して燃料極側の入口側配管3に戻され、再び燃料電池2の燃料極に供給されるようになっている。一方、反応済みの空気中に水分を多量に含んだ空気オフガス(カソードオフガス)は、希釈器16および出口側配管6を介して大気中へ排出される。
【0015】
さらに、燃料電池2の燃料極側の出口側配管5にはパージ弁14を介して水素排出配管15が接続され、この水素排出配管15には希釈器16が接続されている。そして、水素オフガスは、パージ弁14を介して水素排出配管15に排出可能とされ、さらに、水素排出配管15を通って希釈器16に導入可能とされている。希釈器16は、水素排出配管15から取り込んだ水素オフガスを、酸素極側の出口側配管6から排出された空気オフガスによって適宜の倍率で希釈し、希釈ガスとして排出することができるように構成されている。なお、パージ弁14は、ECU20によって開閉制御されている。
【0016】
そして、この希釈器16の下流側の出口側配管6には、水素を検出するガス接触燃焼式の水素センサ1が配置されており、これによりオフガス(空気オフガス、希釈ガス)中の水素濃度が監視されるようになっている。水素センサ1は、オフガスの流通方向が水平方向となるように配置された出口側配管6の鉛直方向上部に配置されている。また、水素センサ1は、燃料電池システムSの運転を制御するECU20(Electronic Control Unit、電子制御装置)の制御部21と1本の出力系統(いわゆる1ピン)で電気的に接続している。
【0017】
ECU20は、CPU、ROM、RAM、各種インタフェイス、電子回路などを含んで構成され、制御部21と、記憶部22とを主に備えている。制御部21は、コンプレッサ11およびパージ弁14と電気的に接続しており、これらを適宜に制御するようになっている。
【0018】
また、制御部21は前記のとおり1本の出力系統を介して水素センサ1と電気的に接続している。そして、制御部21は、水素センサ1から送られる水素濃度に対応した正常出力と、記憶部22に記憶された水素濃度マップとに基づいて水素濃度を算出し、算出した水素濃度を水素濃度表示モニタ(図示しない)に出力するようになっている。なお、水素濃度マップとは、水素センサ1から送られる正常出力と、水素濃度とが関連付けられたデータである。
【0019】
さらに、制御部21は、水素センサ1から送られる異常出力と、記憶部22に記憶された異常出力マップとに基づいて、水素センサ1がどのような異常状態にあるかを判定するようになっている。そして、制御部21は、水素センサ1が異常であると判断した場合、警報装置23(例えば警告灯)を作動させるようになっている。なお、異常出力マップとは、水素センサ1から送られる異常出力と、水素センサ1の異常状態とが関連付けられたデータである。
【0020】
次に、水素センサ1の構成について、図2から図4を参照して説明する。
図2に示すように、水素センサ1は、直方体形状のケース30を備え、ケース30内に樹脂で封止された制御基板(図示しない)が収容されている。ケース30は、例えばポリフェニレンサルファイド製であって、その長手方向両端部にフランジ部31を備えている。フランジ部31にはカラー32が取り付けられており、このカラー32内にボルト33が挿入されることで、フランジ部31は、酸素極側の出口側配管6に設けられた取付座(図示しない)に締結されて固定されるようになっている。
【0021】
図3に示すように、ケース30の厚さ方向における下面にはハウジング20が形成されている。このハウジング20は、略有底円筒状に形成され、出口側配管6に嵌合している(図1参照)。なお、ハウジング20と出口側配管6との間には、Oリング(図示しない)を介して気密性が高められて、オフガスが漏れないようになっている。
【0022】
また、ハウジング20は、合成樹脂などにより、筒状の周壁部22と環状の底壁部23とが一体に形成され、下端に周壁部22で囲まれる中央に円形の貫通孔を有している。この貫通孔がオフガスの出入口となる開口部24となっている。また、ハウジング20内は、オフガスが取り込まれるガス検出室25となっており、このガス検出室25内に検出素子31および補償素子32が設けられている。なお、検出素子31と補償素子32の詳細については後記する。
【0023】
なお、図示していないが、ハウジング20の開口部24には、例えば、防爆フィルタと撥水フィルタの積層体が設けられている。防爆フィルタは上側(ガス検出室25側)、撥水フィルタは下側に設けられている。防爆フィルタは、防爆性を確保するためのフィルタであり、液体状の水を通すことが可能な程度の金属製のメッシュや多孔質体などから構成されている。撥水フィルタは、ガス(水素)を透過しつつ、ガスに含まれる液体を透過しないフィルタであり、例えば、テトラフルオロエチレン膜から構成される。これにより、気体状のオフガスをガス検出室25に取り込みつつ、オフガス中に含まれる液体の水分が撥水フィルタではじかれ、ガス検出室25内に侵入しないようになっている。
【0024】
前記検出素子31は、金属などで形成された導電性のステー33a,33aを介して、ガス検出室25の天井部を構成するベース34に固定されている。また、補償素子32も同様に、ステー33a,33aを介して、検出素子31と所定の間隔を開けて、ベース34に固定されている。なお、図示していないが、各ステー33aは、ベース34を貫通して、前記したケース30内に設けられた制御基板(図示せず)と接続されている。
【0025】
図4に示す検出素子31は、周知の素子であって、電気抵抗に対する温度係数が高い白金等を含む金属線のコイル31aが、触媒31bを坦持したアルミナ等の坦体で被覆されて形成されている。触媒31bは、水素(検出対象ガス)に対して活性な貴金属などからなり、コイル31aを覆うように楕円球状に形成されている。なお、触媒31bは、コイル31aの軸方向(図示水平方向)が長径となる楕円球状である。一方、補償素子32は、水素(検出対象ガス)に対して不活性とされ、例えば検出素子31と同等のコイル32aの表面が、アルミナ等の坦体32bで被覆されている。なお、触媒31bの形状は、楕円球状に限定されるものではなく、球状などであってもよい。
【0026】
また、検出素子31は、検出対象ガスが触媒31bに接触した際に生じる反応熱により高温になると、検出素子31と補償素子32との抵抗値に差が生じるので、この差から水素濃度を検出することができるようになっている。なお、雰囲気温度による電気抵抗値の変化は、補償素子32を利用することにより相殺されるようになっている。
【0027】
また、コイル31a(32a)の両端部31a1,31a1(32a1,32a1)は、それぞれステー33a,33aに向けて水平方向に延びて形成され、金属製のステー(支持部材)33a,33aに半田付けや溶接などによって電気的に接続されている。なお、検出素子31と補償素子32は、ベース34(図3参照)から所定距離離間して、互いにベース34に対して同じ高さに位置している。
【0028】
また、検出素子31(補償素子32)の周囲には、この検出素子31(補償素子32)を取り囲むようにしてコイルヒータ35(36)が設けられている。このコイルヒータ35(36)は、例えば、金属製(ステンレスなど)の細いパイプに、発熱線(ニクロム線など)を挿入し、絶縁粉末(MgO)を充填して構成したものである。また、コイルヒータ35(36)は、その巻き線の径がすべて同じになるように形成され、その一部において検出素子31(補償素子32)の触媒31b(担体32b)と接触するように構成されている。つまり、図4に示す実施形態では、楕円球状を呈する触媒31b(担体32b)の水平方向の中央部分Qにおいて、コイルヒータ35(36)と検出素子31(補償素子32)とが接触するようになっている。よって、お互いに接触することによって検出素子31(補償素子32)がコイルヒータ35,36によって支持されている。
【0029】
また、コイルヒータ35(36)は、触媒31b(担体32b)の全体を覆うように巻回されている。また、コイルヒータ35(36)の両端部35a(36a)は、ステー33a,33aに向けて水平方向に直線状に延びて形成され、ステー33aに内部の発熱線とともに半田付けや溶接などによって電気的に接続されている。なお、図4に示すように、検出素子31(補償素子32)のコイル31a(32a)の巻き線による軸方向と、コイルヒータ35(36)の巻き線による軸方向とが一致している。このように、互いの軸方向を一致させることにより、触媒31b(担体32b)に対する昇温特性を向上させることができる。
【0030】
さらに、図5の回路図を参照して説明すると、検出素子31(抵抗値R4)と補償素子32(抵抗値R3)とが直列に接続されてなる枝辺の両端と、抵抗素子41(抵抗値R1)と抵抗素子42(抵抗値R2)とが直列に接続されてなる枝辺の両端とが接続されている。なお、抵抗素子41,42は、それぞれ図示しない制御基板に設けられている。そして、両接続点P1,P2は、入力端子として構成され、基準電圧発生回路51を介して、水素センサ1の外部の電源50(例えば、12ボルトバッテリ)と接続されている。また、検出素子31と補償素子32との中間点P3と、抵抗素子41と抵抗素子42との中間点P4は、出力端子として構成され、これら中間点P3,P4間の電圧を検出する検出回路52と接続されている。
【0031】
また、コイルヒータ35は、検出素子31を迂回するように並列に接続され、コイルヒータ36も同様に補償素子32を迂回するように並列に接続されている。また、コイルヒータ35,36は、互いに同じ抵抗値R5となるように設定され、電源50から電力が供給されるようになっている。
【0032】
なお、コイルヒータ35,36を検出素子31、補償素子32と並列に接続せず、電源50から分岐した電力線を介してコイルヒータ35,36に接続するようにしてもよい。この場合には、検出素子31(補償素子32)が接続されたステー33a,33aとコイルヒータ35(36)とが導通しないようにコイルヒータ35(36)を構成する必要がある。
【0033】
ここで、ガス検出室25(図3参照)内に導入された検出対象ガス中に水素が存在しないときには、ブリッジ回路はバランスして、R1×(R4・R5/(R4+R5))=R2×(R3・R5/(R3+R5))の状態となり、検出回路52の出力がゼロとなる。一方、水素が存在すると、検出素子31の触媒31bにおいて水素が燃焼することでコイル31aの温度が上昇し、抵抗値R4が増大する。これに対して補償素子32においては水素が燃焼せず、抵抗値R3は変化しない。これにより、ブリッジ回路の平衡が破れ、検出回路52に、水素濃度の増大変化に応じた電圧が印加される。このようにして出力された電圧が検出回路52によって検出され、制御部21に出力されるようになっている。
【0034】
次に、本実施形態に係る水素センサ1の動作について説明する。まず、燃料電池自動車のイグニッションスイッチがONにされると、水素センサ1に電源50から電力が供給され、検出素子31および補償素子32が起動し、同時に検出素子31がコイルヒータ35によって、補償素子32がコイルヒータ36によって、それぞれ加熱される。なお、コイルヒータ35,36は、所定時間通電後に通電がオフにされる。所定時間は、検出素子31の触媒が活性するまでの時間であり、予め実験等で決められる値である。
【0035】
このように、検出素子31の触媒31bを、コイルヒータ35によって直接に加熱できるので、外気温度などによって大きく左右されることなく、触媒31bを活性化温度まで迅速に上昇させることができ、水素センサ1の起動速度を短縮することができる。起動速度とは、水素センサ1がオンされてから検出可能な状態(触媒31bが活性化温度)になるまでの速さを意味している。ちなみに、検出素子31の触媒31bを楕円球状に形成することによって、より長いコイルヒータ35で巻くことができ、触媒31bに対する昇温性を上げることができる。
【0036】
また、本実施形態では、コイルヒータ35(36)が検出素子31(補償素子32)に対して一部(図4に示す領域Q)において接して支持されているので、検出素子31(補償素子32)が端部31a1,31a1,35a,35a(32a1,32a1,36a,36a)によってステー33a,33aに対して4点で支持されることになり、保持強度および剛性を高めることができる。よって、本実施形態の水素センサ1を燃料電池自動車などに搭載した場合、耐振動性を向上させることができ、検出素子31(補償素子32)が断線するなどの不具合を防止することが可能になる。
【0037】
また、本実施形態では、コイルヒータ35を用いたことにより、出口側配管6(オフガス配管)からハウジング20内に取り込まれた水素が、コイルヒータ35の巻き線(配線)と巻き線(配線)との隙間を通って触媒31bに到達できるので、板状(壁状)のヒータと比較して、水素センサ1の検出性能が損なわれることがない。
【0038】
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、図6ないし図8に示す実施形態としてもよい。図6は本実施形態の変形例に係るガスセンサの要部を示す側面図、図7は本実施形態の変形例に係る他のガスセンサの要部を示す側面図、図8は本実施形態の変形例に係るさらに他のガスセンサの要部を示す上面図である。
【0039】
図6に示す変形例は、コイルヒータ35A(36A)を、触媒31b(担体32b)の曲面に沿って巻回するように構成したものである。すなわち、コイルヒータ35A(36A)が触媒31b(担体32b)の一部において接するのではなく、コイルヒータ35A(36A)の端部31a1,31a1(32a1,32a1)を除く全体で触媒31b(担体32b)に接しているので、保持強度および剛性をさらに高めることができ、しかも触媒31bをさらに直接的に加熱することができ、触媒31bを活性化温度までさらに迅速に上昇させることができる。よって、水素センサ1の起動速度をさらに向上できる。
【0040】
また、図7に示す変形例は、検出素子31(補償素子32)に対して交差する方向にコイルヒータ35B(36B)を配置するように構成したものである。すなわち、検出素子31(補償素子32)がX方向(水平方向)に支持されている場合、コイルヒータ35B(36B)の軸方向がZ方向(上下方向)となるように検出素子31(補償素子32)の周囲に巻回され、コイルヒータ35B(36B)の一方の端部35a(36a)が、一方のステー33aの壁面に水平方向(X方向)に突設された固定部33b1に溶接などで電気的に接続され、コイルヒータ35B(36B)のもう一方の端部35a(36a)が、もう一方のステー33aの壁面に水平方向に突設された固定部33b2に溶接などで電気的に接続されている。また、固定部33b1は、検出素子31(補償素子32)の上部まで延び、固定部33b2は、検出素子31(補償素子32)の下部まで延びている。
【0041】
なお、図7では、コイルヒータ35B(36B)の巻き線の径が軸方向に同じ径となるように形成され、コイルヒータ35B(36B)の一部が検出素子31(補償素子32)と接するようにして支持されている。なお、コイルヒータ35B(36B)は、楕円球状の触媒31b(担体32b)の曲面に沿って径を変えて形成されていてもよい。
【0042】
このように、検出素子31(補償素子32)に対してコイルヒータ35(36)を交差するように配置することで、Z方向(上下方向)に対する検出素子31(補償素子32)の耐振動性を向上できる。つまり、図7に示す実施形態によれば、検出素子31(補償素子32)をX方向とZ方向との2方向に対する耐振動性を向上できるようになる。
【0043】
また、図8に示す変形例は、検出素子31(補償素子32)に対してコイルヒータ35C(36C)が交差するように配置され、検出素子31(補償素子32)がステー33a,33aで支持され、コイルヒータ35C(36C)が、前記ステー33a,33aとは別のステー37a,37aにより支持される構成となっている。これにより、水平面(X−Y平面)方向に対する耐振動性を向上できる。
【0044】
なお、前記した実施形態では、検出対象ガスが水素である場合を説明したが、検出対象ガスは水素に限定されるものではなく、例えば、一酸化炭素、硫化水素など他のガスであってもよい。
【0045】
前記した実施形態では、水素センサ1が、燃料電池システムSのオフガスが流通する出口側配管6に設けられた場合を例示したが、水素センサ1の設置位置はこれに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施形態のガスセンサが搭載される燃料電池システムの一例を示す全体構成図である。
【図2】本実施形態のガスセンサの外観を示す平面図である。
【図3】本実施形態のガスセンサの内部構造を示す斜視図である。
【図4】本実施形態のガスセンサの回路構成図である。
【図5】本実施形態のガスセンサの要部を示す側面図である。
【図6】本実施形態の変形例に係るガスセンサの要部を示す側面図である。
【図7】本実施形態の変形例に係る他のガスセンサの要部を示す側面図である。
【図8】本実施形態の変形例に係るさらに他のガスセンサの要部を示す上面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 水素センサ(ガスセンサ)
31 検出素子
32 補償素子
33a,37a ステー(支持部材)
41,42 抵抗素子
35,35A,35B,35C コイルヒータ(第1の熱線ヒータ)
36,36A,36B,36C コイルヒータ(第2の熱線ヒータ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象ガスに活性である検出素子と、検出対象ガスに不活性である補償素子とが直列に接続された両端と、
2つの抵抗素子が直列に接続された両端と、をそれぞれ接続し、
両接続点を入力端子とすると共に、前記検出素子と前記補償素子との間、一方の前記抵抗素子と他方の前記抵抗素子との間の両中間点を出力端子とするガスセンサにおいて、
前記検出素子の外側に接して前記検出素子を囲む第1の熱線ヒータと、
前記補償素子の外側に接して前記補償素子を囲む、前記第1の熱線ヒータと抵抗値が同一に設定される第2の熱線ヒータと、を備え、
前記検出素子および前記第1の熱線ヒータと、前記補償素子および前記第2の熱線ヒータとは、それぞれ支持部材に支持されていることを特徴とするガスセンサ。
【請求項2】
前記検出素子と前記第1の熱線ヒータ、および、前記補償素子と前記第2の熱線ヒータは、それぞれ同一の支持部材で支持されていることを特徴とする請求項1に記載のガスセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−8248(P2010−8248A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−168255(P2008−168255)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】