説明

ガスタービンの吸気システムのコイル構造及びその方法

ガスタービンの吸気システムであって、入口構造と気流連通する1つ以上のコイルを含む。各コイルは、その他のコイルの20%以内の上流側面速度をそれぞれ有するように構成され、配列される。各コイルは、そのコイルを通過して搬送される所定の温度範囲の作動流体と、互いに離間した複数のフィンとを利用する。隣接するフィンの間を通過して空気がコイルを通過するように、フィンは互いに離間して配置される。コイルのうち少なくとも1つのコイルは、他のコイルの1インチ当たりのフィン数とは異なる1インチ当たりのフィン数を有する。あるいは、各コイルは、その少なくとも一部が、そのコイルの他の部分よりも1インチ当たりのフィン数が少ない又は多い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国以外の全ての指定国に対する出願人を米国国内企業のDonaldson Company, Inc.としたPCT国際特許出願であり、米国を指定国とした出願人は、米国国民であるベザット、セオドア、フィリップである。本願は、2010年2月15日出願の米国特許仮出願第61/304,602号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、ガスタービンの吸気システムに関する。特に、本発明は、ガスタービンの吸気システムにおいて使用するための改良された加熱コイル構造又は冷却コイル構造及びその方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ガスタービンは、通常定容積の機械である。ガスタービンは、動作速度で圧縮機部分を介して一定の体積の空気を引き込む。空気の密度が高くなると、体積が同一であっても質量は大きくなるので、タービンの質量流量は増加する。空気を冷却することにより空気の密度は高くなるので、タービンは、より大きな質量流量で動作し、より大きな出力を発生する。しかし、環境条件によっては、空気の温度が低くなりすぎた場合、タービンで空気を使用するために空気を加熱する必要がある。更に別の用途では、高湿度の環境で、同時に空気の温度が凝固点に近くなりすぎた場合、ベルマウスの氷結の危険を低減するために空気を加熱しなければならない。
【0004】
空気を冷却又は加熱するために、コイルを使用可能である。冷却する場合、各コイルは冷却コイルとも呼ばれる。加熱する場合、各コイルは加熱コイルと呼ばれる。
【0005】
空気がガスタービンへ搬送される前に空気の温度に影響を与えるために、ガスタービン吸気システムが使用されている。通常、吸気システムは濾過システムの下流側でコイルを利用する。冷却コイルは、空気の露点より低い温度まで空気を冷却する場合もあり、ほぼ完全に飽和した空気を発生する。冷却コイルの下流側には、コイルから放出された凝縮液が小滴として空気に侵入するキャリーオーバーとして知られる現象を防止する装置が配置される。加熱コイルは、空気を加熱することにより相対湿度を低下させる。
【0006】
ガスタービンの吸気システムは、吸気口から発電装置に至る気流ダクトまでの間に非対称形の移行出口を有する場合が多い。改良が望まれる。
【発明の概要】
【0007】
ガスタービンの吸気システムは、入口構造と気流連通する複数のコイルを含む。各コイルは、その他のコイルの面速度の20%以内に入る上流側面速度をそれぞれ有するように構成され、配置される。
【0008】
各コイルは、そのコイルを通過して搬送される所定の温度範囲の作動流体と、互いに離間した複数のフィンとを利用する。隣接するフィンの間を空気が流れて空気がコイルを通過するように、フィンは互いに離間して配置される。コイルのうち少なくとも1つのコイルは、その他のコイルの1インチ当たりのフィン数とは異なる1インチ当たりのフィン数を有する。
【0009】
一実現形態において、コイルは、吸気システムの頂部から吸気システムの底部まで垂直に配列される。吸気システムの頂部のコイルは、吸気システムの底部のコイルとは異なる1インチ当たりのフィン数を有する。
【0010】
コイルは、入口構造の上流側又は下流側のいずれかに配置される。
【0011】
別の態様において、ガスタービンの空気の熱含量を変化させる方法は、入口構造を通過させて空気を取り込むことを含む。空気の熱含量に影響を与えるために、空気は、入口構造と気流連通する複数のコイルの互いに離間して配置されたフィンを通過して搬送される。コイルのうち少なくとも1つのコイルは、その他のコイルの1インチ当たりのフィン数とは異なる1インチ当たりのフィン数を有する。更に、ガスタービンにより使用するために、空気を出口ダクトへ搬送する工程がある。コイルは、入口構造の上流側又は下流側のいずれかに配置される。
【0012】
一例において、それぞれ異なるフィン搭載密度を有する領域を各々が含むコイルを使用する方法が適用される。コイルは、典型的なコイル組み立て方法を使用して構成されるが、コイルのフィン長さに渡ってフィン搭載密度は均一ではなく、この方法が適用されるシステムの空気流路により判定される段階ごとに変動するという点で異なる。気流速度が高くなると考えられる領域では高いフィン搭載密度が使用され、気流速度が遅くなると考えられる領域では低いフィン搭載密度が使用される。
【0013】
別の態様において、ガスタービンの吸気システムを改造する方法が提供される。吸気システムは、濾過システムを保持する空気入口構造と、濾過システムの下流側の出口ダクトと、濾過システムと出口ダクトとの間の出口移行ダクトとを含む。出口ダクトの中心軸は、濾過システムの中心軸と整列していない。方法は、出口移行ダクトの上流側に空気入口構造と気流連通する1つ以上の(例えば、1つ又は複数の)コイルを挿入することを含む。各コイルは、そのコイルを通過して搬送される所定の温度範囲の作動流体と、互いに離間した複数のフィンとを利用する。空気が隣接するフィンの間を通過して空気がコイルを通過するように、フィンは互いに離間して配置される。コイルのうち少なくとも1つのコイルは、その他のコイルの1インチ当たりのフィン数とは異なる1インチ当たりのフィン数を有する。
【0014】
1つの方法において、動作中、各コイルからの空気がその他のコイルの面速度の20%以内の所期の上流側面速度をそれぞれ有するようにコイルを配列する工程が含まれる。
【0015】
コイルは、入口構造の上流側又は下流側のいずれかに配置される。
【0016】
尚、本明細書の開示に従ったいくつかの選択された利点を有する構成を実現するために、本明細書において説明される特定の特徴のすべてが1つの構成に組み込まれる必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の原理に従って構成されたガスタービンの吸気システムの第1の実施形態を示す概略側面図である。
【図2】図2は、図1の吸気システムで利用されるコイルの一実施形態を示す概略斜視図である。
【図3】図3は、図1の吸気システムで利用されるコイルの別の実施形態を示す概略斜視図である。
【図4】図4は、本発明の原理に従って構成された吸気システムの別の実施形態を示す概略側面図である。
【図5】図5は、本発明の原理に従って構成された吸気システムの別の実施形態を示す概略平面図である。
【図6】図6は、本発明の原理に従って構成されたガスタービンの吸気システムの別の実施形態を示す概略平面図である。
【図7】図7は、本発明の原理に従って構成された吸気システムの別の実施形態を示す概略側面図である。
【図8】図8は、本発明の原理に従って構成されたガスタービンの吸気システムの別の実施形態を示す概略平面図である。
【図9】図9は、本発明の原理に従って構成されたガスタービンの吸気システムの別の実施形態を示す概略側面図である。
【図10】図10は、本発明の原理に従って構成されたガスタービンの吸気システムの別の実施形態を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
A.既存の構成の問題点
吸気システムから出口ダクトに至る出口移行構造は、加熱コイルシステム又は冷却コイルシステムに適さない場合が多い。加熱コイルシステム又は冷却コイルシステム、代表的には空気を冷却するための冷却システムでは、気流の分散が不足するために面における速度が変動する場合が多い。この変動によって出口温度に差が生じる。下流側では混合がほとんど起こらないので、その温度差は、出口温度の均一性に関するシステムの仕様を超えるほどになる。これに加え、コイルの面速度の局所的な変動は、場合によっては、コイルのフィンが気流の中へ水滴を滴下させる現象(「キャリーオーバー」又は「ドリフト」)を大幅に悪化させる。従来、この問題に対処するために採用されてきた方法として、対称形の出口移行部分を使用する構成があるが、そのような構成では、垂直配管長の増加が必要となり、非常に大きな追加費用が見込まれる。あるいは、出口移行領域を延長するという方法もあるが、これも同様に非常に大きなコスト増につながる。従来使用されている別の方法は、コイルの出口領域の付近に穴あき板を配置する。しかし、この方法は、システム全体の圧力降下を増加させるので、望ましくない。
【0019】
必要とされているのは、速度プロファイルを均一にし、出口温度を均一にし、システム全体の圧力降下に与える影響が最小限に抑えられた吸気システムである。
【0020】
B.問題を解決する方法及び図1〜図10
各コイルは複数のフィンを利用する。従来、加熱コイルシステム又は冷却コイルシステムを構成するコイル列内のすべての個々のコイルは、通常1インチ当たり同一数のフィンを使用してきた。均一な速度プロファイルを実現できれば、均一な出口温度が得られる。これをシステムの圧力降下にほとんど影響を与えずに実現できることが望ましい成果である。個々のコイルの1インチ当たりのフィン数を調整することにより、圧力降下に影響を与えずに均一な面速度と、均一な出口温度とを実現するように、吸気システムに個々のコイルを配列できる。すなわち、速度が速くなる冷却コイルシステムの領域では、1インチ当たりのフィン数が増加され、面速度が遅い冷却コイルシステムの領域では、1インチ当たりのフィン数が減らされる。これにより、コイルは、冷却コイルシステム全体にわたり均一な速度プロファイルが得られるように配列される。
【0021】
図1は、ガスタービンの吸気システム10の第1の実施形態を示す。吸気システム10は、ガスタービンにより使用される空気を取り込む向きに配置された入口構造12を含む。図示される実施形態において、入口構造12は、複数の入口フード14と、濾過システム16とを含む。一般に、吸気システム10は、点検用モジュール18と、ドリフトモジュール48とを含む。ドリフトモジュール48は、コイルと、ドリフト除去要素、排水受け皿などの他の構成要素とを支持し、保持する。
【0022】
濾過システム16は、空気がガスタービンに取り入れられる前に空気から異物又はごみ又は他の微粒子を除去するために利用される種々の種類のエアフィルタを含む。図示される実施形態において、濾過システム16のフィルタエレメント20は、想像線で示され、円錐形エレメント24に軸方向に当接する円筒形エレメント22の形態を有する。限定されないが、一例として、フィルタエレメント20は襞付きセルロースから形成される。適切なエレメントは、本出願の譲受人であるミネソタ州ブルーミントンのDonaldson Company社から入手可能である。フィルタエレメント20は、管状シート26に当接するように配列される。通常、フィルタエレメント20は管状シート26に対して密封されるので、フィルタエレメント20は汚染空気ボリューム28の中に装着されるが、管状シート26の他方の側の空気は清浄空気ボリューム30である。フィルタエレメントは、汚染空気ボリューム28を清浄空気ボリューム30から分離する。
【0023】
他の実施形態において、フィルタエレメント20は、本明細書に参考として全内容が取り入れられている米国特許第7,282,075号公報に記載される要素のようなz媒体から形成された要素である。
【0024】
濾過システム16の下流側に点検用モジュール18が配置される。点検用モジュール18は、フレーム構造を含み、保守点検のためにコイルの上流側に担当者が立ち入り可能なスペースを形成すると共に、構造を支持する。通常、点検用モジュール18は、個別のコイルの上流側で作業を実施する際のプラットフォームを形成するために使用される足場のような部材を挿入できるようにするための支え又は他の構造を含む。
【0025】
コイル構造34は濾過システム16と気流連通する。本実施形態において、コイル構造34は濾過システム16の下流側に位置するものとして図示される。コイル構造34は、入口構造12から下流側のガスタービンまで空気が流通する間に空気中の熱の量に影響を与えるように(温度を下降させる又は上昇させることにより)構成され、配置される。コイル構造は複数のコイル36を含む。本実施形態において、コイル36は、入口構造12の下流側にあり、入口構造12から空気を受け取り、その空気の温度に影響を与えるように構成され、配置される。
【0026】
一実施形態において、各コイル36は、そのコイルを通過して搬送される所定の温度範囲の作動流体を利用する。図2と図3に注目する。コイルの例示的な一実施形態が図中符号36により示される。本実施形態において、コイル36はフレーム38を含み、フレーム38は、フレーム38により保持され且つフレーム38を貫通する配管40を有する。本実施形態において、フレーム38は矩形の箱形として示される。配管40は、概略的に示され、配管40を介して作動流体を搬送するために他の機器と流体連通する。例えば、作動流体は、貯蔵タンクに貯留され、ポンプにより制御される適切な凍結防止剤を含む水である。作動流体混合物は、水と、
−防食エチレングリコール溶液
−防食プロピレングリコール溶液
−防食蟻酸溶液
−防食アルコール溶液
との混合物を含むが、それらに限定されない。本明細書において、「防食」という用語は、コイル配管の内面の腐食を防止するための市販の腐食防止剤の包装済み溶液を表す。作動流体は、それらの腐食防止剤を含有する必要はないが、腐食防止剤は、当該技術では周知である。
【0027】
図示される配管は1本であるが、通常、作動流体は複数の配管を介して個々のコイルを通るように搬送される。
【0028】
作動流体は、配管40を介して各コイル36を通って搬送される。通常、作動流体は、流入する空気に対して所望の効果を得るために調整された所定の温度範囲を有する。コイル36が搬送する熱の量を変化させるために、所定の温度範囲を有する作動流体は、配管40を通過して搬送される。
【0029】
詳細には、本実施形態において、各コイル36は、複数の互いに離間して配置されたフィン42を含む。フィン42は、コイル36のフレーム38の中に保持される。空気が隣接するフィン42の間を通過して空気がコイル36を通過するように、フィン42は、互いに対して離間して配置される。通常、配管40はフィン42と接触しており、配管40を介して作動流体が搬送される間、作動流体は、フィン42の温度に影響を与える。フィン42の温度は、フィン42の間を通過している空気の流れに含まれる熱の量に影響を与える。コイル36から空気へ伝達される熱と、コイル36を通過している空気が受ける圧力降下の双方は、1インチ当たりのフィン42の数により非常に大きな影響を受ける。
【0030】
本発明の原理によれば、吸気システム10には1つ又は2つ以上の(複数の)コイル36がある。コイル36のうち少なくとも1つのコイルは、その他のコイル36の1インチ当たりのフィン42の数とは異なる1インチ当たりのフィン42の数を有する。あるいは、コイル36のうち1つ以上のコイルは、1つのコイル36のセグメントの中でそれぞれ異なるフィン密度を有するように構成される。あるいは、それら2つの異なるコイル構造の組み合わせが使用される。コイル36の1インチ当たりのフィン42の数を変えることにより、特に、各コイル36への流入時の上流側面速度を均一にすることができ、その結果、各コイル36の面速度をそれぞれ他のコイル36の20%以内におさめられるという利点が得られる。これは、吸気システム10全体の総圧力降下に影響を与えずに均一な出口温度を実現するのに効果的である。
【0031】
図2と図3とを比較すると、図2のコイル36の1インチ当たりのフィン42の数は、図3のコイル36より多いことがわかる。多くの例示的な実施形態において、各コイル36の高さは約5〜7フィートであり、長さは360インチ以下である。これとは異なる大きさも可能である。標準的なコイル36の場合、通常、1インチ当たりのフィン数は約8である。本発明の原理を適用する場合、通常、フィン42の密度は、1インチ当たり4〜11枚である。
【0032】
再び図1を参照すると、本実施形態において、コイル36は、吸気システム10の底部44から吸気システム10の頂部46に至るまで積み重ねられた垂直のコイル列として配列される。フィン42は、吸気システム10を垂直に貫通する。他の実施形態も可能であり、それらの実施形態については後に詳細に説明する。
【0033】
図1の実施形態において、コイル構造34の下流側にドリフトモジュール48が配置される。「ドリフト」という用語は、空気により小滴の形で搬送される水分を表す。ドリフトモジュール48は、水滴の形のキャリーオーバーがガスタービンに到達することを防止するのに有用である。そのようなドリフトモジュールは、当該技術分野では周知である。吸気システム10を通過する空気の速度が速すぎると、水滴が吸気システムを通過してガスタービンに侵入するする確率は高くなる。コイル36も、空気の速度を制御することにより、水滴の形のキャリーオーバーを減少する働きをする。
【0034】
更に図1を参照すると、出口ダクト50は、コイル構造34の下流側にあり、コイル36から出た空気をガスタービンへ誘導するような向きに配置される。図示される実施形態において、出口ダクト50は、出口移行ダクト52とドリフトモジュール48との間に延出する。図示される実施形態において、出口ダクト50の中心軸54は、コイル構造34の中心軸56とは整列していない(中心軸56に関してずれている)。すなわち、出口ダクト50は吸気システム10全体に関して非対称である。このように非対称であるため、コイル36が可変フィン搭載密度を有するように調整されない場合、吸気システム10を通過する空気の速度と出口温度は変化するだろう。詳細には、吸気システム10を通過する空気の速度は、出口ダクト50と整列している底部44の付近ではより速くなり、出口ダクト50と整列していない頂部46の付近では最低になるだろう。
【0035】
図1からわかるように、出口移行ダクト52は傾斜しており、出口ダクト50に至るまでフレーム構造18から鋭角58を成して延出する。本実施形態において、傾斜領域60と出口ダクト50との間に湾曲領域62(通常は設けられるが、必須ではない)がある。特定の吸気システム10に応じて種々の形状が可能であるが、傾斜領域60の角度58は90度未満であり、通常45度未満である。角度58が小さくなるほど、コイル構造34を通過する空気の速度の変化は大きくなる。
【0036】
図1の実施形態において、出口移行ダクト52は、吸気システム10の底部44に向かう方向に偏向される。そのような実施形態において、吸気システム10の頂部46のコイル64は、吸気システム10の底部44のコイル66より少ない1インチ当たりのフィン42の数を有する。頂部のコイル64は、吸気システム10の他のどのコイル36よりも少ない1インチ当たりのフィン42の数を有するのが好ましい。多くの実現形態では、どのコイル36もその下方の隣接するコイルより少ない1インチ当たりのフィン42の数を有する。例えば、通常、頂部のコイル64の下方でコイル64に隣接するコイル68は、頂部のコイル64より多い1インチ当たりのフィン数を有する。コイル68は、通常コイル68のすぐ下方にある隣接コイル70より少ない1インチ当たりのフィン数を有する。
【0037】
限定されないが、一例として、吸気システム10の頂部のコイル64の1インチ当たりのフィン数は5以下であると有用であることが判明した。更に、底部のコイル66の1インチ当たりのフィン数は少なくとも10であることも判明した。この構成において、頂部のコイル64と底部のコイル66との間にあるコイル36の1インチ当たりのフィン数は5〜10であることが判明した。
【0038】
図4〜図6は、それぞれ異なるフィン搭載密度を有するコイルを利用する吸気システムの他の実施形態を示す。図4には、吸気システム80が側面図で示される。フード82は吸気システム80に空気が取り込まれる場所である。図4からわかるように、吸気システム80の両側は共に中央清浄空気ダクト81に通じる。清浄空気ダクト81は出口ダクト86に通じる。
【0039】
フード82の2つの構成の各々の下流側に、2つの濾過システム84の構成が配置される。コイル88は、濾過システム84の下流側に示されているが、濾過システム84の上流側に配置されることも可能だろう。コイル88は先に説明した通りである。少なくとも1つのコイル88は、その他のコイル88の1インチ当たりのフィン数とは異なる1インチ当たりのフィン数を有する。図4からわかるように、コイル88は、互いに対向する2つの垂直のコイル列として配置されており、2つのコイル列は清浄空気ダクト81により互いに分離され、出口ダクト86は清浄空気ダクト81を貫通する。出口ダクト86の中心軸90はコイル88の2つの列の中心軸92と交差する。本実施形態において、中心軸90は中心軸92に対してほぼ垂直である。
【0040】
目的の1つは、各コイル88にその他のコイル88の上流側面速度の20%以内の上流側面速度を持たせることである。図4の構成において、一般に、各コイル88のフィン42の1インチ当たりのフィン数を同一に保つと、面速度は、出口ダクト86に最も近い領域で最大になり、吸気システムの上部のコイルで最低になる。従って、図4の実施形態の場合、最大速度を有するコイル88は、通常それより低い速度を有するコイル88より多い1インチ当たりのフィン42の数を有することになるので、各コイル88で、より均一な面速度が実現される。
【0041】
図5は、吸気システム100の別の実施形態を示す平面図である。本実施形態には、両側に入口、すなわち第1の入口102と第2の入口104とが配置される。第1の入口102と第2の入口104とは、互いに対して角度106を成す。第1の入口102と第2の入口104とが頂点105で交差し、角度106を成して接合されている場所の反対側には、出口ダクト108がある。
【0042】
本実施形態において、各入口102、104は、前述のように、フード110、112と、濾過システム114、116とを有する。
【0043】
濾過システム114、116の下流側には、前述のように、コイル構造118、120が配置される。コイル88は、濾過システム114、116の下流側にあるものとして示されるが、コイル88は、濾過システム114、116の上流側にも配置可能である。熱モジュール構成118、120は、複数のコイル122を含む。コイル122のうち少なくとも1つのコイルは、その他のコイル122のフィン数とは異なるフィン数を有する。
【0044】
出口ダクト108の中心軸124は、コイル118の中心軸126とコイル構造120の中心軸128の双方と交差する。コイル構造118の中心軸126は、コイル構造120の中心軸128と交差する。この種の構成では、出口ダクト108に最も近いコイル構造118、120の面速度が頂点105に最も近いコイル構造118、120の面速度より速くなるので、面速度は不均一になる。そこで、各コイル122のフィンの密度を調整することにより、各コイル122の上流側面速度は、その他のコイル122の上流側面速度の20%以内におさめられる。
【0045】
図6は、吸気システム130の3面入口の一実施形態を示す。図6は、吸気システム130の平面図を示す。
【0046】
図6において、第1の入口構造131と、第2の入口構造132と、第3の入口構造133とが配置されている。各入口構造131、132、133は、入口フード135、136、137を含めて、先に説明したような構成要素と機器を有する。各入口フードの下流側には、濾過システム141、142、143がある。各濾過システムの下流側には、コイル構造145、146、147がある。コイル構造145、146、147は、濾過システム141、142、143の下流側にあるものとして示されるが、コイル構造145、146、147は、濾過システム141、142、143の上流側に配置されることも可能だろう。
【0047】
各コイル構造は複数のコイル150を含む。
【0048】
出口ダクト152は、清浄空気ボリューム154から延出する。清浄空気ボリューム154は、第1の入口構造131、第2の入口構造132及び第3の入口構造133の各々の下流側にある。図示される本実施形態において、出口ダクト152の中心軸156は、第2の入口構造132のコイル構造146の中心軸158とほぼ整列している。本実施形態において、第1の入口構造131のコイル構造145と、第3の入口構造133のコイル構造147とは、共通の中心軸160を有する。この中心軸160は、中心軸156、158と交差する。図示される実施形態において、中心軸160は、中心軸156、158に対してほぼ垂直である。
【0049】
この構成において、コイル150のうち少なくとも1つのコイルは、その他のコイル150とは異なる1インチ当たりのフィン数を有する。各コイル150は、その他のコイル150の上流側面速度の20%以内の所期の上流側面速度をそれぞれ有するのが好ましい。コイル150のフィン密度を調整しないと、出口ダクト152に最も近い領域に配置されたコイル150は、その他のコイル150より速い速度を有することになる。
【0050】
図7は、吸気システム170の別の実施形態を示す。本実施形態においてコイル構造172が入口構造174の上流側に位置することを除いて、吸気システム170は図1の吸気システム10に類似している。
【0051】
入口構造174は濾過システム176を含み、濾過システム176はフィルタエレメント178を含む。本実施形態において、コイル構造172と濾過システム176との間に、フィルタエレメント点検用通路180が示される。フィルタエレメント178の改良や交換などの保守点検作業を可能にするために、点検用通路180を使用して濾過システム176を操作できる。
【0052】
コイル構造172は、先に説明したような複数のコイル182を含む。各コイル182は、1インチ当たり多数のフィンを含む。コイル182のうち少なくとも1つのコイルは、その他のコイル182とは異なる1インチ当たりのフィン数を有する。図1の実施形態と同様に、各コイル182は、その他のコイル182の上流側面速度の20%以内の所期の上流側面速度をそれぞれ有するのが好ましい。
【0053】
図7の実施形態において、出口ダクト188の中心軸186と整列する場所184に配置されたコイル182は、最大の1インチ当たりのフィン数(最大フィン密度)を有する。頂部のコイル182である場所190に配置されたコイル182は、最小の1インチ当たりのフィン数(最小フィン密度)を有する。
【0054】
図7において、濾過システム176の下流側に清浄空気プレナム192が配置される。出口移行ダクト194は、清浄空気プレナム192から出口ダクト188に通じる。出口移行ダクトは傾斜している。コイル182のフィン密度を調整しないと、出口ダクト188に最も近い場所に配置されたコイル182は、その他のコイル182より速い速度を有することになる。図7からわかるように、コイル構造172を通る中心軸196は、出口ダクト188の中心軸186に関してずれており、中心軸186と平行である。
【0055】
コイル構造172の上流側に、フードを支持すると共に、コイルの点検を可能にするモジュール198が配置される。モジュール198の上流側に入口フード200がある。
【0056】
使用中、空気は入口フード200を通り、モジュール198を通過してコイル構造172に流入する。空気中の熱含量は、コイル構造172のコイル182により左右される。各コイルの所期の上流側速度は、互いに関して20%以内である。コイル構造172は、所望の効果に応じて空気を冷却か又は加熱する。コイル構造172を出た空気は、濾過システム176を有する入口構造174を通って流れる。そこで、空気からごみ又は他の異物が除去される。濾過された空気は、清浄空気プレナム192を介して出口移行ダクト94へ搬送され、その後出口ダクト188を通過して搬送される。空気は、出口ダクト188からガスタービンの中へ搬送される。
【0057】
図8は、吸気システム220の別の実施形態を示す平面図である。入口構造は濾過システム222を含み、濾過システム222はフィルタエレメント224を含む。濾過システムの上流側には、通常、フード又は他の入口処理構成(図示せず)を支持する通路がある。空気の流れは、矢印221により示され、軸223とほぼ平行な方向に流れて濾過システム222に入るように誘導される。図示されるように、濾過システム222の下流側のプレナム227とも呼ばれる空気出口領域227の直前に、コイル構造226が配置される。軸229は、プレナム227の中心を通り、軸223に対して垂直である。プレナム227は出口ダクト228を含み、空気は出口ダクト228を介して垂直に(図の平面に進入する方向に)引き込まれる。この出口ダクト228は、非対称に配置されるか、又はプレナム227の内部に対称に配置される。
【0058】
コイル構造226は、先に説明したような複数のコイル230を含む。各コイル230は、1インチ当たり多数のフィンを含む。コイル230のうち少なくとも1つのコイルは、その他のコイル230とは異なる1インチ当たりのフィン数を有する。図1の実施形態と同様に、各コイル230は、その他のコイル230の上流側面速度の20%以内の所期の上流側面速度をそれぞれ有するのが好ましい。本実施形態において、コイル230は垂直に配列される(コイル配管は垂直方向に延在し、フィンは水平である)。
【0059】
図8の実施形態において、出口ダクト228の中心軸と整列して最も近接して配置されたコイル232は、最大の1インチ当たりのフィン数(最大フィン密度)を有する。出口ダクト228から最も遠い位置に配置されたコイル234は、最小の1インチ当たりのフィン数(最小フィン密度)を有する。コイル234とコイル232との間に位置するコイル236は、その中間のフィン密度を有するのが好ましい。
【0060】
コイルのフィン密度を調整しないと、出口ダクト228に最も近い場所に配置されたコイル232は、その他のコイルより速い速度を有することになる。図8からわかるように、出口ダクト228の中心軸は、その直前に位置するコイル232のみと整列しており、出口ダクトの直前に位置していないコイル234、236は、出口ダクトに関して位置がずれている。
【0061】
使用中、空気は、入口フード(又は他の処理構成)を介して流入し、濾過システム222を通過する。濾過システム222において、空気からごみ又は他の異物が除去され、その後、空気はコイル構造226へ流れる。空気中の熱含量はコイル構造226のコイルにより変化される。各コイルの所期の上流側速度は互いに関して約20%以内である。所望の効果に応じて、コイル構造226は空気を冷却又は加熱する。コイル構造226を出た空気は、清浄空気プレナム227を介して出口ダクト228に流入する。空気は、出口ダクト228からガスタービンの中へ搬送される。
【0062】
図9は、吸気システム250の別の実施形態を示す側面図である。入口構造252は濾過システム254を含み、濾過システム254はフィルタエレメント256を含む。濾過システム254の上流側には、通常フード258又は他の入口処理構成を支持する通路がある。図示されるように、コイル構造260は、濾過システム254の下流側の出口領域262(「出口移行領域」262とも呼ばれる)の直前に配置される。出口移行領域262は出口ダクト264に接続され、空気は出口ダクト264を介して水平方向に引き込まれる。この出口ダクト264は、非対称に配置されるか、又は出口移行領域262の背後に対称に配置される。
【0063】
コイル構造260は、先に説明したような複数のコイル266を含む。各コイル266は、1インチ当たり多数のフィンを含む。本実施形態において、吸気システムの幅の中で、各コイル266は、それぞれ異なるフィン搭載密度を有する複数の部分を有する。図1の実施形態と同様に、各コイル266は、その他のコイルの上流側面速度の20%以内の上流側面速度をそれぞれ有するのが好ましい。本実施形態において、コイル266は垂直に配列され、コイル配管は垂直方向に延在し、フィンは水平である。
【0064】
図9の実施形態において、出口ダクト264の中心軸274と整列する場所から最も遠い場所である図面の頂部に配置されたコイル構造260の部分268は、最小の1インチ当たりのフィン数(最小フィン密度)を有する。コイル構造260の最下部である底部に配置されたコイル構造260の部分270は、最大の1インチ当たりのフィン数(最大フィン密度)を有する。部分268と部分270との間に位置するコイル構造260の部分272は、その中間の1インチ当たりのフィン数を有する。
【0065】
コイルのフィン密度を調整しないと、出口ダクト264に最も近い場所に配置されたコイル構造260の部分270は、その他の部分268、272より速い速度を有することになるだろう。図9からわかるように、清浄空気プレナム出口264の中心軸274は、その直前に位置するコイル266の部分270のみと整列しており、出口ダクト264の直前に位置していないコイル266の部分272、268は、出口ダクト264に対して位置がずれている。
【0066】
使用中、空気は、入口フード258(又は他の処理構成)を介して濾過システム254に流入する。濾過システム254において、空気からごみ又は他の異物が除去され、その後空気はコイル構造260へ流れる。空気中の熱含量はコイル構造260のコイル266により変化される。各コイルの所期の上流側速度は、互いに関して約20%以内である。所望の効果に応じて、コイル構造260は空気を冷却又は加熱する。コイル構造260を出た空気は、出口移行領域262を介して出口ダクト264に流入する。その後、空気は出口ダクト264からガスタービンの中へ搬送される。
【0067】
図10は、吸気システム280の別の実施形態を示す平面図である。入口構造281は濾過システム282を含み、濾過システム282はフィルタエレメント284を含む。濾過システムの上流側には、通常フード又は他の入口処理構成(図示せず)を支持する通路がある。図示されるように、コイル構造286は、濾過システム282の下流側の空気出口領域288(「プレナム288」と呼ばれる場合もある)の直前に配置される。プレナム288は出口ダクト290を含み、空気は出口ダクト290を介して垂直方向に(図の平面に進入する方向に)引き込まれる。この出口ダクト290は、非対称に配置されるか、又はプレナム288の内部に対称に配置される。
【0068】
コイル構造286は、先に説明したような複数のコイル292を含む。各コイル292は、1インチ当たり多数のフィンを含む。各コイル292は、それぞれ異なるフィン搭載密度を有する複数の部分を有する。図1の実施形態と同様に、各コイルは、その他のコイルの上流側面速度の20%以内の上流側面速度をそれぞれ有するのが好ましい。本実施形態において、コイル292は水平に配列される(コイル配管は水平方向に延在し、フィンは垂直である)。
【0069】
図10の実施形態において、出口ダクト290の中心軸と整列して最も近い場所に配置されたコイル構造286の部分294は、最大の1インチ当たりのフィン数(最大フィン密度)を有する。プレナム出口290から最も遠い場所にあるコイル構造286の部分296は、最小の1インチ当たりのフィン数(最小フィン密度)を有する。部分294と部分296との間にある部分298は、その中間の1インチ当たりのフィン数を有する。
【0070】
コイル292のフィン密度を調整しないと、出口ダクトに最も近い場所に配置されたコイル構造286の部分294は、その他の部分296、298より速い速度を有することになる。図10からわかるように、清浄空気プレナム出口290の中心軸は、その直前に位置するコイルの部分294のみと整列しており、プレナム出口290の直前に位置していないコイルの部分296、298は、出口ダクト290に関して位置がずれている。
【0071】
使用中、空気は、入口フード(又は他の処理構成)を介し、濾過システム282を通って流れる。濾過システム282において、空気からごみ又は他の異物が除去され、その後空気はコイル構造286へ流れる。空気中の熱含量はコイル構造のコイルにより変化される。各コイル292の所期の上流側速度は、互いに関して約20%以内である。所望の効果に応じて、コイル構造286は空気を冷却又は加熱する。コイル構造286を出た空気は、清浄空気プレナム288を介して出口ダクト290に流入する。その後、空気は出口ダクト290からガスタービンの中へ搬送される。
【0072】
C.方法
一般に、本明細書において説明される原理を利用して、ガスタービンの空気の熱含量を変化させる方法を実施可能である。空気は、入口構造12(図1)などの、先に説明した入口構造の1つのような入口構造を介して取り込まれる。
【0073】
空気の熱含量を変化させるために、空気は、入口構造と気流連通する複数のコイルの互いに離間して配置されたフィンを通過して搬送される。コイルのうち1つ以上のコイルは、その他のコイルのフィン数とは異なるフィン数を有する。別の構成において、各コイルは、同じコイルの他の部分とは異なる1インチ当たりのフィン数を有する部分を有する。コイルは、入口構造の下流側に配置されるか又は入口構造の上流側に配置される。その後、空気は、ガスタービンで使用するために出口ダクトへ搬送される。
【0074】
入口構造を介して空気を取り込む工程は、通常空気中の異物の少なくとも一部を除去するために、まず濾過システムを通過させて空気を誘導する工程を含む。
【0075】
互いに離間したフィンを通過させて空気を搬送する工程は、空気を冷却するコイルを通過させて空気を搬送することを含む。他の方法において、互いに離間したフィンを通過させて空気を搬送する工程は、空気を加熱するためにコイルを通過させて空気を搬送することを含む。
【0076】
通常、各コイルの上流側、すなわち、入口面における速度の変化が20%を超えることはありえない(しかし、厳密な許容速度範囲は、特定のタービンの基準に応じて変動する場合がある)。コイルから流出する空気の温度が+5°F又は−5°Fを超えて変化することはありえない(同様に、厳密な許容温度範囲は、特定のタービンの基準に応じて変化する場合がある)。
【0077】
好適な1つの方法において、空気を搬送する工程は、第1の吸気システムと同一の条件の下で動作するが、それぞれ同一の1インチ当たりのフィン数を有するコイルを有する、ガスタービンの第2の吸気システムと比較して少ない数の凝縮水の滴をフィンの下流側縁部から滴下させることを含む。
【0078】
本発明の原理に従って、ガスタービンの吸気システムを改造する方法も実施可能である。通常、吸気システムは濾過システムを保持する空気入口構造を含む。濾過システムの下流側には出口ダクトがある。濾過システムと出口ダクトとの間に、出口移行ダクトが配置される。出口ダクトの中心は濾過システムの中心軸と整列していない。改造する方法は、空気入口構造の上流側、又は空気入口構造の下流側で、出口移行ダクトの上流側の場所に複数のコイルを挿入することを含む。各コイルは、そのコイルを通過して搬送される所定の温度範囲の作動流体と、複数の互いに離間したフィンとを利用する。空気が隣接するフィンの間を通過して空気がコイルを通過して流れるようにするために、フィンは互いに離間して配置される。コイルのうち少なくとも1つのコイルは、その他のコイルの1インチ当たりのフィン数とは異なる1インチ当たりのフィン数を有する。あるいは、各コイルは、そのコイルの他の領域とは異なる1インチ当たりのフィン数を有する1つ以上の部分を有する。
【0079】
1つ以上のコイルを挿入する工程は、動作中、各コイルを出た空気がその他のコイルの20%以内の又は1つのコイルの面領域内に入る上流側面速度をそれぞれ有するようにコイルを配列することを含むのが好ましい。
【0080】
一実施形態において、1つ以上のコイルを挿入する工程は、吸気システムの頂部から吸気システムの底部まで垂直のコイル列としてコイルを配列する工程を含む。移行ダクトは、吸気システムの底部に向かう方向に偏向される。吸気システムの頂部のコイルは、吸気システムの底部のコイルより少ない数のフィンを有する。フィン数は、コイルに沿って1インチ当たりのフィン数の勾配ができるように調整される。あるいは、中間ダクトは吸気システムの頂部に向かって偏向される。その場合、吸気システムの底部のコイルは、吸気システムの頂部のコイルより少ない数のフィンを有する。
【0081】
一実施形態において、1つ以上のコイルを挿入する工程は、各コイルがそのコイルの下方の隣接するコイルより少ない1インチ当たりのフィン数を有するようにコイルを配列する工程を含む。
【0082】
ガスタービンの吸気システムを改造する場合に考慮すべき要点は、吸気口への流入時の空気の温度と、吸気口からの流出時の空気の温度と、コイルを通過して搬送される作動流体の種類とを含む。作動流体の流入温度と、作動流体の流量とを含めて、コイルの特性が考慮される。タービンを流れる空気の質量流量などの事項も考慮に入れられる。利用されるフィルタの種類、濾過システムが静止型であるか又はパルス洗浄型であるか、吸気口を介する圧力降下を含めて、濾過システムの特性も考慮に入れられる。出口ダクトの場所と、出口ダクトの寸法とを含めて、中間ダクトの幾何学的構造も考慮される。
【0083】
以上の明細書と、例と、数値とにより、本発明の製造方法と用途を説明した。多くの実施形態を実現可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンの吸気システムであって、
(a)前記ガスタービンにより使用される空気を取り込む向きに配置された入口構造を備え、
(b)前記入口構造と気流連通し、前記空気の温度に影響するように構成されて配置された1つ以上のコイルを備え、
(i)各コイルは、前記コイルを通過して搬送される所定の温度範囲の作動流体と、互いに離間して配置された複数のフィンとを利用し、
(A)隣接するフィンの間を空気が流れて空気が前記コイルを通過するように、前記フィンは互いに離間し、
(ii)前記コイルのうち少なくとも1つのコイルは、他のコイルの1インチ当たりのフィン数とは異なる1インチ当たりのフィン数を有するか、あるいは、前記コイルのうち1つ以上のコイルは、その少なくとも一部が、そのコイルの他の部分の1インチ当たりのフィン数とは異なる1インチ当たりのフィン数を有し、
(c)前記コイルと前記入口構造の双方の下流側に配置され、前記コイルから前記ガスタービンへ前記空気を向ける向きに配置された出口ダクトを備えることを特徴とする吸気システム。
【請求項2】
(a)各コイルはその他のコイルの20%以内の上流側面速度を有することを特徴とする請求項1記載の吸気システム。
【請求項3】
(a)前記コイルは前記入口構造の上流側に配置されることを特徴とする請求項1及び2のいずれか1項に記載の吸気システム。
【請求項4】
(a)前記コイルは前記入口構造の下流側に配置されることを特徴とする請求項1及び2のいずれか1項に記載の吸気システム。
【請求項5】
(a)前記コイルと前記出口ダクトとの間に配置された出口移行ダクトを更に備え、
(i)前記出口ダクトは、前記コイルの中心軸と整列しない中心軸を有することを特徴とする請求項4記載の吸気システム。
【請求項6】
(a)前記入口構造と前記出口ダクトとの間に配置された出口移行ダクトを更に備え、
(i)前記出口ダクトは、前記コイルの中心軸と整列しない中心軸を有することを特徴とする請求項3記載の吸気システム。
【請求項7】
(a)前記コイルは、前記吸気システムの頂部から前記吸気システムの底部まで垂直に配列され、
(b)前記移行ダクトは、前記吸気システムの前記底部に向かう方向に偏向され、
(c)前記吸気システムの前記頂部にあるコイルは、前記吸気システムの前記底部にあるコイルより1インチ当たりのフィン数が少ないことを特徴とする請求項5及び6のいずれか1項に記載の吸気システム。
【請求項8】
(a)前記吸気システムの前記頂部にあるコイルは、他のどのコイルよりも1インチ当たりのフィン数が少なく、
(b)各コイルは、そのすぐ下方に隣接するコイルよりも1インチ当たりのフィン数が少ないことを特徴とする請求項7記載の吸気システム。
【請求項9】
(a)各コイルは、そのすぐ下方に隣接するコイルよりも1インチ当たりのフィン数が少ないことを特徴とする請求項7記載の吸気システム。
【請求項10】
(a)各コイルは、冷却コイル又は加熱コイルのうちいずれか一方であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の吸気システム。
【請求項11】
(a)前記入口構造は、前記空気から少なくとも一部のごみを除去する向きに動作可能に配置された複数のフィルタを含むことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の吸気システム。
【請求項12】
ガスタービンにおける空気の熱含量を変化させる方法であって、
(a)入口構造を通過させて空気を取り込む工程を備え、
(b)前記空気の熱含量に影響させるために、前記入口構造と気流連通する1つ以上のコイルにおける、互いに離間したフィンを通過させて前記空気を搬送する工程を備え、
(i)前記コイルのうち1つ以上のコイルは、他のコイルの1インチ当たりのフィン数とは異なる1インチ当たりのフィン数を有するか、あるいは前記コイルのうち1つ以上のコイルは、その少なくとも一部が、そのコイルの他の部分の1インチ当たりのフィン数とは異なる1インチ当たりのフィン数を有し、
(c)前記ガスタービンで使用するために、熱含量に影響が与えられた前記空気を出口ダクトまで搬送する工程を備えることを特徴とする方法。
【請求項13】
(a)前記入口構造を通過させて空気を取り込む工程は、前記1つ以上のコイルにおける、互いに離間したフィンを通過させて前記空気を搬送する工程の前に生じることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
(a)前記入口構造を通過させて空気を取り込む工程は、前記1つ以上のコイルにおける、互いに離間したフィンを通過させて前記空気を搬送する工程の後に生じることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項15】
(a)前記互いに離間したフィンを通過させて空気を搬送する工程は、各コイルからの前記空気がその他の1又は複数のコイルの20%以内の上流側面速度をそれぞれ有するように前記空気を搬送する工程を含むことを特徴とする請求項12から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
(a)前記空気を出口ダクトまで搬送する工程は、前記出口ダクトに至る出口移行ダクトを通過させて前記空気を搬送する工程を含み、
(i)前記出口ダクトは、前記コイルの中心軸と整列しない中心軸を有することを特徴とする請求項12から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
(a)前記互いに離間したフィンを通過させて空気を搬送する工程は、前記吸気システムの頂部から前記吸気システムの底部まで垂直に配列されたコイルを通過させて前記空気を搬送する工程を含み、
(i)前記吸気システムの前記頂部にあるコイルは、前記吸気システムの前記底部にあるコイルよりも1インチ当たりのフィン数が少ないことを特徴とする請求項12から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
(a)前記入口構造を介して空気を取り込む工程は、少なくとも一部のごみを除去するために前記空気を濾過システムに通過させる工程を含み、
(b)前記互いに離間したフィンを通過させて空気を搬送する工程は、前記空気を冷却する1つ以上のコイルを通過させて前記空気を搬送する工程を含むことを特徴とする請求項12から17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
(a)前記方法は、ガスタービンの第1の吸気システムにおいて実行され、
(b)前記空気を搬送する工程は、ガスタービン用の第2の吸気システムと比較して少ない数の凝縮水滴を前記フィンの下流側縁部から滴下させる工程を含み、前記第2の吸気システムは、前記第1の吸気システムと同一の条件の下で動作し、1インチ当たりのフィン数が同じ1つ以上のコイルを有することを特徴とする請求項12から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
ガスタービンの吸気システムを改造する方法であって、
前記吸気システムは、濾過システムを保持する空気入口構造と、前記濾過システムの下流側に配置された出口ダクトと、前記濾過システムと前記出口ダクトとの間に配置された出口移行ダクトとを含み、前記出口ダクトは、前記濾過システムの中心軸と整列しない中心軸を有し、前記方法は、
(a)前記出口移行ダクトの上流側に、前記空気入口構造と気流連通するように1つ以上のコイルを挿入する工程を備え、
(i)各コイルは、前記コイルを通過して搬送される所定の温度範囲の作動流体と、互いに離間した複数のフィンとを利用し、
(A)隣接するフィンの間を空気が流れて空気が前記コイルを通過するように、前記フィンは互いに離間し、
(ii)前記コイルのうち少なくとも1つのコイルは、他のコイルの1インチ当たりのフィン数とは異なる1インチ当たりのフィン数を有するか、あるいは、各コイルは、その少なくとも一部が、そのコイルの他の部分よりも1インチ当たりのフィン数が少ない又は多いことを特徴とする方法。
【請求項21】
(a)前記1つ以上のコイルを挿入する工程は、動作中、各コイルからの空気がその他のコイルの20%以内の上流側面速度をそれぞれ有するように前記コイルを配列する工程を含み、
(b)前記1つ以上のコイルを挿入する工程は、
・前記吸気システムの頂部から前記吸気システムの底部まで垂直に前記コイルを配列する工程であって、
(i)前記出口移行ダクトは、前記吸気システムの前記底部に向かって偏向され、
(ii)前記吸気システムの前記頂部にあるコイルは、前記吸気システムの前記底部にあるコイルよりも1インチ当たりのフィン数が少ない、工程と、
・各コイルが次に隣接するコイルより1インチ当たりのフィン数が少なくなるように前記コイルを配列する工程と、
・前記1つ以上のコイルを前記空気入口構造の上流側に挿入する工程と、
・前記1つ以上のコイルを前記空気入口構造の下流側に挿入する工程と、
のいずれか1つの工程を含むことを特徴とする請求項20記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−519824(P2013−519824A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553070(P2012−553070)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【国際出願番号】PCT/US2011/024716
【国際公開番号】WO2011/100663
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(591163214)ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド (96)