説明

ガスタービン冷却システム及びガスタービン冷却方法

【課題】排熱回収ボイラで発生する高圧蒸気を用いたり、高圧蒸気の発生を減少させたりすることなく、効率良くガスタービンを蒸気によって冷却することが可能なガスタービン冷却システム及びガスタービン冷却方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ガスタービン冷却システムは、ガスタービン3と、ガスタービン3からの排熱と熱交換して高圧蒸気を発生させる高圧系統6と、高圧系統6へ水及び蒸気を供給する高圧ドラム11と、ガスタービン3からの排熱と熱交換して中圧蒸気を発生させる中圧系統7と、中圧系統7へ水及び蒸気を供給する中圧ドラム12とを有する排熱回収ボイラ2と、中圧系統7とガスタービン3の冷却系統とを接続し、中圧系統7から冷却系統へ中圧蒸気を供給する中圧蒸気管19と、高圧ドラム11と中圧ドラム12とを接続し、高圧ドラム11から中圧ドラム12へ高圧ドラム11内の飽和蒸気を供給する蒸気供給管20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排熱回収ボイラで発生した蒸気によってガスタービンを冷却するガスタービン冷却システム及びガスタービン冷却方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンコンバインドサイクル発電(GTCC)や石炭ガス化複合発電(IGCC)に設けられる排熱回収ボイラは、ガスタービンからの排熱を利用して蒸気タービンを駆動させるための蒸気を発生させている。ところで、高効率化が図られたガスタービンの高温化に伴い、機器保護の観点から、運転時に高温となるガスタービン燃焼器の尾筒やその他の部位などを冷却する必要がある。そこで、上記発電システムにおいて、ガスタービンを冷却するため、冷却媒体として空気を使用するだけでなく、排熱回収ボイラで発生した蒸気を冷却媒体として使用することがある。
【0003】
特許文献1では、稼動時において異常が発生した場合、排熱回収ボイラの高圧蒸気又は中圧蒸気を蒸気冷却システムに導くことによって、蒸気による冷却を維持する技術が開示されている。
【0004】
特許文献2では、蒸気による動翼と翼環部間のクリアランス制御と、蒸気による燃焼器等の高温部品の冷却制御とを両立させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−37711号公報
【特許文献2】特開2002−4807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
排熱回収ボイラで発生する4.0MPaから5.0MPa程度の中圧蒸気は、被冷却対象(ガスタービン)において要求される冷却条件と合致することから、排熱回収ボイラで発生した蒸気を冷却媒体として使用する場合、中圧蒸気が用いられることが多い。
【0007】
一方、プラント効率改善のため、排熱回収ボイラで発生する高圧蒸気量の増加が求められていることから、排熱回収ボイラで発生する中圧蒸気量は、被冷却対象(ガスタービン)において冷却に使用される必要蒸気量との差が可能な限り小さいことが要求されている。しかし、その結果、発電負荷や燃料条件によっては、被冷却対象における必要蒸気量に対して中圧蒸気量が不足する可能性が生じる。
【0008】
そこで、排熱回収ボイラで発生する高圧蒸気の一部を冷却媒体として用いることが考えられるが、高温かつ高圧である蒸気をわざわざ減温、減圧することになり、プラント効率の低下を招きかねない。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、排熱回収ボイラで発生する高圧蒸気を用いたり、高圧蒸気の発生を減少させたりすることなく、効率良くガスタービンを蒸気によって冷却することが可能なガスタービン冷却システム及びガスタービン冷却方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のガスタービン冷却システム及びガスタービン冷却方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係るガスタービン冷却システムは、ガスタービンと、ガスタービンからの排熱と熱交換して第1蒸気を発生させる第1系統と、第1系統へ水及び蒸気を供給する第1ドラムと、ガスタービンからの排熱と熱交換して第1蒸気よりも低圧の第2蒸気を発生させる第2系統と、第2系統へ水及び蒸気を供給する第2ドラムとを有する排熱回収ボイラと、第2系統とガスタービンの冷却系統とを接続し、第2系統から冷却系統へ第2蒸気を供給する第1流路と、第1ドラムと第2ドラムとを接続し、第1ドラムから第2ドラムへ第1ドラム内の飽和蒸気を供給する第2流路とを備える。
【0011】
この発明によれば、第2ドラムの水及び蒸気が、排熱回収ボイラの第2系統へ供給され、第2系統でガスタービンからの排熱と熱交換して第2蒸気が発生する。第2蒸気は、第1流路を介して第2系統からガスタービンの冷却系統へ供給されて、ガスタービンを冷却する。また、第1ドラム内の飽和蒸気が、第2流路を介して第1ドラムから第2ドラムへ供給される。その結果、第2ドラムから第2系統へ供給される蒸気の蒸気量を増加させることができることから、第2系統からガスタービンの冷却系統へ供給される蒸気の蒸気量も増加させることができる。
【0012】
上記発明において、ガスタービンの冷却状態に基づいて、第2流路を流れる飽和蒸気の蒸気量を調整する蒸気量調整手段を更に備えてもよい。
【0013】
この発明によれば、ガスタービンの冷却状況に応じて、第2流路を介して第1ドラムから第2ドラムへ供給される飽和蒸気の蒸気量が変化することから、ガスタービンを冷却するのに適切な量の飽和蒸気を第2ドラムへ供給できる。ガスタービンの冷却状況は、ガスタービンの出口温度をガスタービン側で監視・管理しており、例えばガスタービンの冷却系統から排出されたガスタービン冷却後の蒸気の蒸気量等に基づいて間接的に判断されてもよい。
【0014】
上記発明において、第2流路の下流であって、第2ドラムの上流又は第2ドラム内に汽水分離装置が設けられてもよい。
【0015】
この発明によれば、第2流路を介して第1ドラムから第2ドラムへ供給される飽和蒸気は、汽水分離装置によって水と蒸気に分離されるため、分離された蒸気をガスタービン冷却系統へ供給することができ、水を含まない蒸気によってガスタービンを冷却できる。その結果、蒸気に含まれる水を原因とする冷却系統の腐食や破損を防止できる。また、蒸気が凝縮することによって第2ドラム内で短時間に水位が上がることがないため、第2ドラムの水位変動を抑制できる。
【0016】
また、本発明に係るガスタービン冷却方法は、ガスタービンと、ガスタービンからの排熱と熱交換して第1蒸気を発生させる第1系統と、第1系統へ水及び蒸気を供給する第1ドラムと、ガスタービンからの排熱と熱交換して第1蒸気よりも低圧の第2蒸気を発生させる第2系統と、第2系統へ水及び蒸気を供給する第2ドラムとを有する排熱回収ボイラとを備えるガスタービン冷却システムにおけるガスタービン冷却方法であって、第2系統からガスタービンの冷却系統へ第2蒸気を供給するステップと、第1ドラムから第2ドラムへ第1ドラム内の飽和蒸気を供給するステップとを備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、排熱回収ボイラで発生する高圧蒸気を用いたり、高圧蒸気の発生を減少させたりすることなく、効率良くガスタービンを蒸気によって冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る排熱回収システム及びガスタービン冷却システムを示す概略構成図である。
【図2】同実施形態に係るガスタービン冷却システムを示す概略構成図である。
【図3】従来の排熱回収システム及びガスタービン冷却システムを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
本発明の一実施形態に係る排熱回収システム及びガスタービン冷却システムは、例えば、排熱回収ボイラ2とガスタービン3を有するガスタービンコンバインドサイクル発電(GTCC)や石炭ガス化複合発電(IGCC)等のプラント1に適用される。
【0020】
ガスタービン冷却システムは、例えば排熱回収ボイラ2と、ガスタービン3と、排熱回収ボイラ2の中圧系統7からガスタービン3へ中圧蒸気を供給する中圧蒸気管19(第1流路)と、高圧ドラム11から中圧ドラム12へ飽和蒸気を供給する蒸気供給管20(第2流路)等からなる。
【0021】
排熱回収ボイラ2は、排ガス供給路14を介してガスタービン3から排出された排ガスが供給される。そして、排熱回収ボイラ2は、排ガスの熱(排熱)と熱交換して蒸気を生成する。排熱回収ボイラ2には、図1に示すように、例えば再熱系統5、高圧系統6、中圧系統7、低圧系統8、高圧ドラム11、中圧ドラム12及び低圧ドラム13等が設けられる。
【0022】
排熱回収ボイラ2では、排ガスの流れ方向に沿って、再熱系統5、高圧系統6、中圧系統7、低圧系統8が順に配置される。再熱系統5は、再熱器を含み、蒸気タービン4から抽気された蒸気は、低温再熱蒸気管15を介して再熱系統5へ供給され、再熱系統5の再熱器で加熱される。再熱系統5で加熱された蒸気は、高温再熱蒸気管16を介して蒸気タービン4へ供給されて、蒸気タービン4を駆動する。
【0023】
高圧系統6は、高圧過熱器、高圧蒸発器を含み、高圧系統6の高圧蒸発器は、高圧ドラム11から水が供給される。高圧ドラム11から供給された水は、高圧系統6の高圧蒸発器で加熱され、蒸気が生成される。生成された蒸気は、高圧過熱器で加熱されて、高圧蒸気が生成される。生成された高圧蒸気は、高圧蒸気管17を介して蒸気タービン4へ供給されて、蒸気タービン4を駆動する。
【0024】
低圧系統8は、低圧蒸発器、低圧過熱器を含み、低圧系統8の低圧蒸発器は、低圧ドラム13から水が供給される。低圧ドラム13から供給された水は、低圧系統8の低圧蒸発器で加熱され、蒸気が生成される。生成された蒸気は、低圧過熱器で過熱されて、低圧蒸気が生成される。生成された低圧蒸気は、低圧蒸気管18を介して蒸気タービン4へ供給されて、蒸気タービン4を駆動する。
【0025】
中圧系統7は、中圧蒸発器、中圧過熱器を含み、中圧系統7の中圧蒸発器は、中圧ドラム12から水が供給される。中圧ドラム12から供給された水は、中圧系統7の中圧蒸発器で加熱され、蒸気が生成される。生成された蒸気は、中圧過熱器で過熱されて、中圧蒸気が生成される。生成された中圧蒸気の全量又は一部が、中圧蒸気管19を介してガスタービン3の冷却系統へ供給されて、該当箇所を冷却する。ガスタービン3の冷却系統は、例えば、ガスタービン3に設けられた燃焼器の尾筒、車室などの高温部分に設けられる。中圧蒸気管19を介して、中圧ドラム12からガスタービン3へ供給される中圧蒸気の必要蒸気量は、ガスタービン3の冷却状態に基づいて調整される。中圧蒸気管19には制御弁25が設けられ、蒸気量が調整される。
【0026】
ガスタービン3の冷却状態は、ガスタービン3の出口温度をガスタービン3側で監視・管理しており、例えばガスタービン3の冷却系統から排出されたガスタービン3冷却後の蒸気の蒸気量、温度、圧力などに基づいて間接的に判断される。例えば、ガスタービン3が冷却不足と判断された場合、制御弁25が開放側に調整されて、ガスタービン3の冷却系統へ供給する中圧蒸気の蒸気量を増加させる。一方、ガスタービン3を過剰に冷却していると判断された場合、制御弁25が閉鎖側に調整されて、中圧蒸気の蒸気量を減少させる。
【0027】
蒸気供給管20は、高圧ドラム11から中圧ドラム12へ飽和蒸気を供給する。ガスタービン3の冷却に要する蒸気量に対して、中圧ドラム12から供給された水に基づいて中圧系統7で生成される中圧蒸気だけでは、不足していると判断された場合、蒸気供給管20を介して、高圧ドラム11から中圧ドラム12へ飽和蒸気を供給する。これにより、ガスタービン3の冷却系統へ供給する中圧蒸気を高圧ドラム11から中圧ドラム12へ供給される蒸気によって補うことができる。
【0028】
ガスタービン3の冷却に使用された蒸気は、例えば高温再熱蒸気管16へ供給されて蒸気タービン4の駆動に再使用される。
【0029】
ガスタービン3は、燃料ガスを燃焼して、タービンを駆動し、発電機と連結された主軸がタービンと共に回転することで、発電機を駆動させて発電を行う。ガスタービン3にて燃焼された燃料ガスは、排ガスとして排出される。ガスタービン3は、燃料ガスの燃焼によって高温になることから、熱による影響を低減するため、冷却媒体によって冷却される。冷却媒体は、例えば排熱回収ボイラ2で生成された蒸気が使用される。
【0030】
蒸気タービン4は、排熱回収ボイラ2で生成された蒸気が供給されて、タービンを駆動する。蒸気タービン4の主軸は、発電機と連結され、タービンと共に回転することで、発電機を駆動させて発電を行う。なお、発電機は、1台の発電機がガスタービン3と蒸気タービン4の両者に連結されてもよいし、ガスタービン3と蒸気タービン4それぞれに異なる発電機が連結されてもよい。
【0031】
図1に示す例では、蒸気タービン4は、排熱回収ボイラ2の再熱系統5、高圧系統6、低圧系統8それぞれから再熱蒸気、高圧蒸気、低圧蒸気が供給されて、タービンを駆動する。
【0032】
次に、図2を参照して、本実施形態に係るガスタービン冷却システムについて説明する。
本実施形態では、高圧ドラム11(第1ドラム)と中圧ドラム12(第2ドラム)を連結する蒸気供給管20が設けられる。蒸気供給管20には、図2に示すように、制御弁21と、流量計22と、オリフィス23、汽水分離装置24などからなる。
【0033】
蒸気供給管20の制御弁21は、中圧蒸気管19の制御弁25の指令に応じて、開閉動作する。ガスタービン3の冷却において、中圧系統7で生成された蒸気では足りない場合は、蒸気供給管20を介して、高圧ドラム11内の飽和蒸気が、中圧ドラム12へ供給される。高圧ドラム11から中圧ドラム12へ供給される飽和蒸気の蒸気量は、中圧蒸気管19を流れる蒸気量に基づいて決定される。
【0034】
例えば、ガスタービン3の冷却に要する蒸気量に対して、中圧ドラム12から供給された水に基づいて中圧系統7で生成される中圧蒸気だけでは、不足していると判断された場合、制御弁21が開放側に調整されて、飽和蒸気の蒸気量を増加させる。一方、ガスタービン3を過剰に冷却していると判断されたとき、制御弁21が閉鎖側に調整されて、飽和蒸気の蒸気量を減少させる。
【0035】
流量計22は、蒸気供給管20に設けられ、蒸気供給管20を流れる飽和蒸気の蒸気量を測定する。オリフィス23は、蒸気供給管20のうち制御弁21の後段に設けられる。オリフィス23は、制御弁21における圧力の急激な低下を抑制でき、蒸気供給管20を流れる蒸気によって生じる制御弁21への飽和水の衝突を低減できる。その結果、制御弁21の破損や腐食を防止できる。なお、オリフィス23で飽和蒸気を減圧する際に発生する水によるトラブルを防止するため、オリフィス23の後段に邪魔板が設けられてもよい。
【0036】
汽水分離装置24は、蒸気供給管20の下流側であって、中圧ドラム12の上流側又は中圧ドラム12内に設けられる。汽水分離装置24は、蒸気供給管20を流れる飽和蒸気から蒸気と液体を分離する。汽水分離装置24は、流体を金網や波板に通過させて蒸気と液体を分離させる方式や、遠心力を利用して蒸気と液体を分離させる方式などいずれでもよい。分離して得られる蒸気は、中圧系統7へそのまま供給され、分離して得られる液体は、中圧ドラム12内に一旦貯留される。
【0037】
汽水分離装置24が設けられない場合、蒸気供給管20を介して供給された飽和蒸気の一部が中圧ドラム12にて凝縮し、その結果、最悪の条件下では、供給される飽和蒸気量によって、中圧ドラム12の水位が急激に上昇するおそれがある。一方、汽水分離装置24が設けられることによって、中圧ドラム12内の水位は、汽水分離装置24で分離された液体のみに影響を受ける。したがって、中圧ドラム12内の水位変動を最小化できる。
【0038】
また、中圧ドラム12内の水位は、通常三要素(水位、給水量、発生蒸気量)によって制御されるが、本実施形態では、高圧ドラム11から中圧ドラム12へ供給される飽和蒸気の蒸気量を測定することによって、高圧ドラム11も中圧ドラム12も通常と同じドラム水位制御が可能である。また、上述したとおり、汽水分離装置24が中圧ドラム12の上流側又は中圧ドラム12内に設けられることによって、中圧ドラム12内の水位変動を最小化できることから、中圧ドラム12への飽和蒸気の供給の有無による中圧ドラム12の運転変動も最小化できる。
【0039】
以下、本実施形態の作用効果について説明する。
ガスタービン3への冷却系統へ供給する蒸気合計量を増加させるため、本実施形態と異なり、図3の関連技術のプラント10に示すように、高圧系統6で発生した高圧蒸気を使用することが考えられる。すなわち、高圧系統6から蒸気タービン4までの高圧蒸気管17を分岐して、高圧蒸気を減温器31へ導き、高圧蒸気を減温、減圧する。そして、減温、減圧された高圧蒸気が蒸気管32及び中圧蒸気管19を介してガスタービン3の冷却系統へ供給される。しかし、この方法によれば、中圧系統7からガスタービン3への冷却系統へ供給する蒸気を増加させずにすむが、高温かつ高圧である蒸気をわざわざ減温、減圧することになり、このような減温プロセスは、プラント効率の低下を招きかねない。
【0040】
また、減温プロセスを要する高圧系統6からではなく、高圧ドラム11から低温の飽和蒸気を抽出してガスタービン3の冷却水とすることも考えられる。しかし、高圧ドラム11から飽和蒸気を抽出して減圧した後に飽和水が発生し、その発生した水が後段の機器や配管に損傷を与える可能性があり、採用することは困難である。
【0041】
一方、本実施形態によれば、高圧ドラム11の飽和蒸気を減圧して中圧ドラム12へ供給し、中圧ドラム12内にて汽水分離を行う。そして、中圧ドラム12自体の制御を従来方法と変更することなく、中圧蒸気をガスタービンの冷却蒸気として使用する。このとき、高圧蒸気量を抑制し、中圧蒸気量を増加させる設計を採用することなく、ガスタービン3を冷却する蒸気を増加させることができる。したがって、中圧蒸気量を増加させて、プラント性能への寄与度が高い高圧蒸気量を抑制することなく、経済的な排熱回収ボイラ2とすることができる。また、冷却用蒸気中に含まれる水滴やミスト状の水を低減できるため、高熱負荷にさらされている尾筒冷却系統等において、熱衝撃等によるトラブルを回避できる。
【0042】
なお、本実施形態では、高圧ドラム11と中圧ドラム12を連結して、高圧ドラム11から中圧ドラム12へ飽和蒸気を供給し、その蒸気を用いて、中圧系統7で生成する蒸気量を増加させる場合について説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、低圧ドラム13から他の機器類へ蒸気を供給するシステムにも、本発明を適用できる。この場合、高圧ドラム11と低圧ドラム13を連結、又は中圧ドラム12と低圧ドラム13を連結し、高圧ドラム11又は中圧ドラム12から低圧ドラム13へ飽和蒸気を供給することによって、低圧系統8で生成する蒸気量を増加させる。
【符号の説明】
【0043】
1,10 プラント
2 排熱回収ボイラ
3 ガスタービン
4 蒸気タービン
5 再熱系統
6 高圧系統(第1系統)
7 中圧系統(第2系統)
8 低圧系統
11 高圧ドラム(第1ドラム)
12 中圧ドラム(第2ドラム)
13 低圧ドラム
14 排ガス供給路
15 低温再熱蒸気管
16 高温再熱蒸気管
17 高圧蒸気管
18 低圧蒸気管
19 中圧蒸気管(第1流路)
20 蒸気供給管(第2流路)
21 制御弁(蒸気量調整手段)
22 流量計
23 オリフィス
24 汽水分離装置
25 制御弁
31 減温器
32 蒸気管


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンと、
前記ガスタービンからの排熱と熱交換して第1蒸気を発生させる第1系統と、前記第1系統へ水及び蒸気を供給する第1ドラムと、前記ガスタービンからの排熱と熱交換して前記第1蒸気よりも低圧の第2蒸気を発生させる第2系統と、前記第2系統へ水及び蒸気を供給する第2ドラムとを有する排熱回収ボイラと、
前記第2系統と前記ガスタービンの冷却系統とを接続し、前記第2系統から前記冷却系統へ前記第2蒸気を供給する第1流路と、
前記第1ドラムと前記第2ドラムとを接続し、前記第1ドラムから前記第2ドラムへ前記第1ドラム内の飽和蒸気を供給する第2流路と、
を備えるガスタービン冷却システム。
【請求項2】
前記ガスタービンの冷却状態に基づいて、前記第2流路を流れる前記飽和蒸気の蒸気量を調整する蒸気量調整手段を更に備える請求項1に記載のガスタービン冷却システム。
【請求項3】
前記第2流路の下流であって、前記第2ドラムの上流又は前記第2ドラム内に汽水分離装置が設けられる請求項1又は2に記載のガスタービン冷却システム。
【請求項4】
ガスタービンと、
前記ガスタービンからの排熱と熱交換して第1蒸気を発生させる第1系統と、前記第1系統へ水及び蒸気を供給する第1ドラムと、前記ガスタービンからの排熱と熱交換して前記第1蒸気よりも低圧の第2蒸気を発生させる第2系統と、前記第2系統へ水及び蒸気を供給する第2ドラムとを有する排熱回収ボイラと、
を備えるガスタービン冷却システムにおけるガスタービン冷却方法であって、
前記第2系統から前記ガスタービンの冷却系統へ前記第2蒸気を供給するステップと、
前記第1ドラムから前記第2ドラムへ前記第1ドラム内の飽和蒸気を供給するステップと、
を備えるガスタービン冷却方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−64328(P2013−64328A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201856(P2011−201856)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】