説明

ガスバリア性フィルム、包装材料、包装体

【課題】液体含有内容物を包装した場合のフィルム間の密着力低下により積層フィルム全体が伸びにくくなり破断を生じやすくなることを防止するために、ガスバリア性フィルムにおいて、ポリアミド樹脂からなる基材フィルムに対する無機酸化物層の密着性を高めること。
【解決手段】透明ガスバリア性フィルムが、ポリアミド系樹脂基材層の少なくとも片面に易接着層、アンカーコート層、金属酸化物層がこの順に設けられた構成であり、シーラント層を積層した構造を有する積層フィルムとした場合に、シーラント層を熱融着させ、水浸漬させた後にヒートシール強度の最大エネルギー値が一定範囲である透明ガスバリア性フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスバリア性フィルム、包装材料、及び包装体に係り、特には、透明ガスバリア性フィルム、透明包装材料、及びこの透明包装材料を用いた包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、医薬品及び精密電子部品の包装には、ガスバリア性に優れた包装材料を使用することがある。たとえば、高ガスバリア性包装材料で食品を包装した場合には、食品が含むタンパク質及び油脂の変質などを抑制し、風味や鮮度を長期にわたって維持することができる。また、高ガスバリア性包装材料で医薬品を包装した場合には、有効成分の変質及び散逸などを防止でき、高ガスバリア性包装材料で電子部品を包装した場合には、金属の腐食及び絶縁不良等を防止できる。
【0003】
高ガスバリア性包装材料は、ガスバリア層を含んだ多層構造を有している。このガスバリア層としては、たとえば、アルミニウム箔などの金属箔、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)層、エチレンービニルアルコール共重合体けん化物(EVOH)層、及びメタキシレンジアミンとアジピン酸との重縮合反応により得られるポリアミドであるナイロンMXD6からなる層が使用されている。これら高ガスバリア性包装材料は、比較的高いガスバリア性を示すものの、何らかの欠点を有している。
【0004】
たとえば、金属箔を含んだ高ガスバリア性包装材料は、温度及び湿度などの環境の如何に関わらず、優れたガスバリア性を示す。しかしながら、この包装材料を用いて形成した包装体には、内容物を視認できない、廃棄の際に不燃物として扱わなければならない、内容物を入れた後の異物検査に金属探知機を使用できないなどの欠点がある。また、この包装体で内容物を包装してなる包装品は、マイクロ波加熱には不向きである。
【0005】
PVDC層を含んだ高ガスバリア性包装材料は、安価であり、比較的高いガスバリア性を有している。しかしながら、この包装材料は、焼却した際に有害ガスを発生する可能性がある。
【0006】
EVOH層またはナイロンMXD6層を含んだ高ガスバリア性包装材料は、そのガスバリア性の環境依存度が大きい。特に、高温高湿度環境では、ガスバリア性が著しく劣化する。
【0007】
特許文献1及び2には、真空蒸着やスパッタリングなどの気相堆積法により、プラスチック基材フィルム上に、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又は酸化マグネシウムからなる無機酸化物層を形成してなるガスバリア性フィルムが記載されている。このガスバリア性フィルムは、透明に形成することができると共に、ガスバリア性に優れている。したがってこのガスバリア性フィルムは、高ガスバリア性包装材料として適している。
【0008】
ところで、このガスバリア性フィルムは、単独で使用されることは殆どない。通常、このガスバリア性フィルムには、他のフィルムをラミネートするか、又は、印刷層を形成する。たとえば、ガスバリア性フィルムとヒートシール性樹脂層とを、プラスチック基材フィルムとヒートシール性樹脂層との間に無機酸化物層が介在するようにラミネートすることがある。本発明者は、本発明を為すに際し、たとえば、このような構造を採用した包装材料は、ポリアミド樹脂からなるプラスチック基材フィルムを使用した場合、以下の問題を生じ得ることを見出している。
【0009】
ポリアミド樹脂フィルムは、じん性、耐衝撃性、耐突刺性、耐屈曲疲労性、耐摩耗性などに優れている。そのため、先のガスバリア性フィルムを含んだ包装材料では、ポリアミド樹脂からなる基材フィルムを使用することが有利である。
【0010】
但し、ポリアミド樹脂からなる基材フィルムと無機酸化物層とは、密着性、特には湿潤時の密着性が低い。そのため、たとえば、先のガスバリア性フィルムにおいてポリアミド樹脂からなる基材フィルムを使用し、このガスバリア性フィルムを含んだ包装材料で液体含有内容物を包装した場合、フィルム間の密着力が低下して、デラミネーションを生じることがある。
【0011】
特許文献3には、この問題を解決するべく、ポリアミド樹脂からなる基材フィルムと無機酸化物層との間にアンカーコート層を介在させることが記載されている。この構成を採用した場合、基材フィルム上に直に無機酸化物層を形成した場合と比較すれば、より高い密着性を達成できる。しかしながら、この構成を採用して得られる密着性は、必ずしも十分ではない。
【0012】
また一方で、ガスバリア性フィルムを含んだ包装材料で液体含有内容物を包装した場合には、フィルム間の密着力が低下して、デラミネーションを生じるだけでなく、輸送時の振動や衝撃、あるいは流通途上の落下などにより包装体が破断してしまうことがある。
【0013】
包装体の破断には、シール部の強度(ヒートシール強度)のみならず、破断にいたるまでの伸びが大きく影響する。したがって、シール部が伸びれば、輸送時等における衝撃が分散されるため、包装体の破袋を防止することができる。すなわち、ヒートシールエネルギーが小さいということは、シール部が伸びにくいことを意味しており、このような場合には衝撃を分散することができず、シール部に局所的に負荷が加わるため、かかる積層フィルムで重量物を包装した場合には破袋が発生し易くなる。ここで、ヒートシールエネルギーとは、積層フィルムのシール部に作用する応力に対する抵抗力を示すもので、フィルムのヒートシール強度測定の際にフィルムが破断にいたるまでのヒートシール強度とフィルムの伸びとの関係から導き出されるものであり、シール部が破断(あるいは降伏)するまでのフィルム吸収エネルギーを意味するものである。
【0014】
ポリアミド樹脂からなる基材フィルムと無機酸化物層とは、密着性、特には湿潤時の密着性が低い。そのため液体含有内容物を包装した場合には特にフィルム間の密着力が低下し、低下した個所から剥離しやすくなるため積層フィルム全体が伸びにくくなり、破断を生じやすくなる。従って、包装材料のフィルムの伸びやすさの指標であるヒートシールエネルギーが小さければ、包装の破袋が生じやすく、大きければ生じにくいといえる。
【特許文献1】米国特許第3442686号明細書
【特許文献2】特開昭49−041469号公報
【特許文献3】特開2001−81217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、ガスバリア性フィルムにおいて、ポリアミド樹脂からなる基材フィルムに対する無機酸化物層の密着性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1の発明は、ポリアミド系樹脂基材層の少なくとも片面に易接着層が設けられ、易接着層上にアンカーコート層が設けられ、アンカーコート層上に気相成長法により成膜された金属酸化物から成る被覆層が設けられた構成のガスバリア性フィルムであって、ガスバリア性フィルムの被覆層の面とシーラント層とを積層した2層からなる積層構造を有す
る積層フィルムとした場合に、シーラント層を熱融着させ、水浸漬させた後にJIS Z1707に基づいて測定したヒートシール強度の最大エネルギー値が0.03〜0.5N・mであることを特徴とするガスバリア性フィルムである。
請求項2の発明は、易接着層が、窒素原子とアジピン酸とビスフェノールグリシジルエーテルとを含んでいることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性フィルムである。
請求項3の発明は、アンカーコート層が、アクリルポリオールとイソシアネート化合物と金属アルコキシド又はその加水分解生成物との反応生成物を含んでいることを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリア性フィルムである。
請求項4の発明は、アンカーコート層が、少なくとも2種以上の金属アルコキシドを含有するものであり、前記金属アルコキシドの一種がアミノ基を有するアルコキシシランを用いていることを特徴とする、請求項1または2に記載のガスバリア性フィルムである。
請求項5の発明は、前記金属酸化物から成る被覆層は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム或いはそれらの混合物のいずれかからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルムである。
請求項6の発明は、請求項1記載のフィルムの金属酸化物から成る被覆層の上に、透明樹脂と無機物とを含んだ混合物からなるガスバリア性被膜を具備したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィルムである。
請求項7の発明は、前記ガスバリア性被膜は、水溶性高分子とテトラアルコキシシランまたはその加水分解生成物とトリアルコキシシランまたはその加水分解生成物とを含有した溶液を前記金属酸化物から成る被覆層上に塗布し、これにより得られた塗膜を乾燥させることにより形成されたことを特徴とする請求項6に記載のガスバリア性フィルムである。請求項8の発明は、前記トリアルコキシシランのケイ素と結合したアルコキシ基以外の有機官能基は疎水性有機官能基であることを特徴とする請求項7に記載のガスバリア性フィルムである。
請求項9の発明は、前記ガスバリア性被膜は、水と、水溶性高分子と、金属アルコキシド、その加水分解生成物、及び塩化錫からなる群より選択される少なくとも1つの化合物とを含有した溶液を前記無機酸化物層上に塗布し、これにより得られた塗膜を乾燥させることにより形成されたことを特徴とする請求項6に記載のガスバリア性フィルムである。
請求項10の発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルムと、前記ガスバリア性フィルムに貼り合わされると共に前記無機酸化物層を間に挟んで前記基材フィルムと向き合ったヒートシール性樹脂層とを具備したことを特徴とする透明包装材料である。
【0017】
請求項11の発明は、請求項10に記載の透明包装材料を具備したことを特徴とする包装体である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、ガスバリア性フィルムにおいて、ポリアミド樹脂からなる基材フィルムに対する無機酸化物層の密着を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同様または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
図1は、本発明の一形態に係る透明包装材料を概略的に示す断面図である。
【0021】
この透明包装材料10は、透明ガスバリアフィルム11と、接着剤層12と、ヒートシール性樹脂層13とを含んでいる。
【0022】
透明ガスバリア性フィルム11は、基材フィルム111と、易接着層112と、アンカーコート層113と、金属酸化物から成る被覆層114と、ガスバリア性被膜115とを含んでいる。なお、用語「フィルム」と用語「シート」とは厚さに応じて使い分けることがあるが、ここでは、厚さの大小とは無関係に用語「フィルム」を使用している。
【0023】
基材フィルム111は、ポリアミド樹脂からなる透明フィルムである。ポリアミドとしては、ホモポリアミド、コポリアミド、又はそれらの混合物を使用することができる。
【0024】
ホモポリアミドとしては、たとえば、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロン9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリラウリンラクタム(ナイロン12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン2,6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン4,6)、ポリヘキサメチレンジアジパミド(ナイロン6,6)、ポリヘキサミエチレンセバカミド(ナイロン6,10)、ポリへキサメチレンデカミド(ナイロン6,12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン8,6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン10,6)、ポリデカメチレンセバカミド(ナイロン10,10)、ポリデカメチレンドデカミド(ナイロン12,12)、メタキシレンジアミン−6ナイロン(MXD6)を使用することができる。
【0025】
コポリアミドとしてはたとえば、カプロラクタム/ラウリンラクタム共重合体、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体、ラウリンラクタム/ヘキサミチレンジアンモニウムセバケート共重合体、ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/へキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体を使用することができる。
【0026】
基材フィルム111は、ポリアミド以外の材料をさらに含んでいても良い。たとえば、基材フィルム111は、可塑剤、低弾性率のエラストマー、ラクタム類、又はそれらの混合物をさらに含んでいてもよい。
【0027】
可塑剤としては、たとえば芳香族スルホンアミド類、p−ヒドロキシ安息香酸、又はエステル類の可塑剤を使用することができる。低弾性率のエラストマーとしては、たとえば、アイオノマー樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、熱可塑性ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミド、ポリエステルブロックアミド、ポリエーテルエステルアミド系エラストマー、変性アクリルゴム、又は変性エチレンプロピレンゴムを使用することができる。
【0028】
基材フィルム111の厚さに制限はないが、基材フィルム111は、基材として十分な強度を達成しうる厚さを有している必要がある。また、基材フィルム111が厚い場合、透明包装材料10又は透明ガスバリア性フィルム11の柔軟性が不十分となることがある。基材フィルム111の厚さは、たとえば10μmないし100μmの範囲内とする。
【0029】
易接着層112は、基材フィルム111の一方の主面上に形成された透明な層である。易接着層112は、アンカーコート層113と共に、無機酸化物層114と基材フィルム111との密着性を向上させる。そして、易接着層112は、アンカーコート層113と共に、透明包装材料10を用いて液体を含有した内容物を長期保存した場合に、基材フィルム111に対する無機酸化物層114の密着性が低下するのを抑制する。
【0030】
易接着層112は、窒素原子とアジピン酸とビスフェノールグリシジルエーテルとを含んでいる。窒素原子は、たとえば、ウレタン基および又はアミド基に由来している。
【0031】
易接着層112の材料は、たとえば、アジピン酸をポリエステルの二塩基酸として含んだ水分散性ポリエステルポリウレタン、そのプレポリマー、アジピン酸をポリエステルの二塩基酸として含んだ水分散性ポリエステルポリウレタン、ポリ尿素樹脂、そのプレポリマー、または、それらの2以上を含んだ混合物を主成分として含有している。密着性を向上させるために、これらポリマーの主鎖または末端に、水酸基、カルボキシ基、またはアミノ基を導入してもよい。
【0032】
易接着層112の材料は、ビスフェノールグリシジルエーテルをさらに含有している。ビスフェノールグリシジルエーテルは、先の主成分の硬化を促進する硬化剤である。ビスフェノールグリシジルエーテルを使用することにより架橋を生じさせ、これにより、耐水性、耐熱性、接着性及び被膜凝集性に優れた易接着層112が得られる。
【0033】
ビスフェノールグリシジルエーテルとしては、例えば、ビスフェノール類とエピクロルヒドリンとを反応させ、その反応生成物の分子末端をエポキシ化させたものを使用することができる。ビスフェノール類としては、例えば、4,4‘−ジヒドロキシ−フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−ジフェニル)−エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−ジフェニル)−エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ブタン、またはビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキシル−メタンを使用することができる。これらの中でも、一般に「ビスフェノールA」と呼ばれている2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンまたは一般に「ビスフェノールF」と呼ばれている4,4‘−ジヒドロキシ−フェニルメタンが好適である。
【0034】
易接着層112は例えば、基材フィルム111上に、上述した成分を含有したコーティング液を塗布し、この塗膜を乾燥させることにより得られる。なお、このコーティング液は、上述した成分に加え、添加剤をさらに含有していてもよい。この添加剤としては、例えば、帯電防止剤、滑剤、消泡剤、界面活性剤を使用することができる。また、コーティング液の塗布には、例えば、グラビアロール法、リバースグラビアコート法、ロールコート法、エアーナイフ法、マイヤーバーコート法、を利用することができる。
【0035】
コーティング液の塗布に先立ち、例えば濡れ性およびまたは密着性を改善するために、基材フィルム111の被塗布面に前処理を施しておいてもよい。この前処理としては、例えば、コロナ放電処理またはプラズマ処理を挙げることができる。
【0036】
基材フィルム111を延伸する場合、易接着層112を形成するためのコーティング液は、延伸した基材フィルム111に塗布してもよく、基材フィルム111の延伸中にこれに塗布してもよい。後者の方法は、前者の方法と比較して、生産性が高く、効率的であるだけでなく、この延伸成膜工程において易接着層112が高温で熱処理されるため、前者の方法と比較して、基材フィルム111と易接着層112との密着力を強くすることができる転で優れている。
【0037】
延伸成膜工程中に易接着層112を形成する方法としては、例えば、以下の方法をあげることができる。まず、ポリアミド樹脂フィルムを基材フィルム111として形成する。次いで、易接着層112を形成するためのコーティング液を基材フィルム111に塗布し、これを予熱後、塗膜と共に基材フィルム111を同時二軸延伸処理に供する。さらに、ヒートセット処理を行うことにより、基材フィルム111上に形成された易接着112を得る。
【0038】
延伸成膜工程中に易接着層112を形成するほかの方法としては、例えば、逐次二軸延伸法を挙げることができる。この方法では、まず、ポリアミド系樹脂フィルムを基材フィ
ルム111として形成する。次いで、基材フィルム111を周速度が異なる加熱ローラ間に通して縦延伸を行う。続いて、易接着層112を形成するためのコーティング液を縦延伸した基材フィルム111に塗布し、これを予熱後、塗膜と共に基材フィルム111を横延伸処理に供する。さらに、ヒートセット処理を行うことにより、基材フィルム111上に形成された易接着層112を得る。
【0039】
易接着層112の厚さは、例えば、0.01μmないし0.2μmの範囲内とする。薄い接着層112を厚さが均一な連続膜として形成することは難しく、十分な密着性を得がたい。また、易接着層112をある程度厚くすると、その膜厚の増加に伴う密着性向上の効果が小さくなる。それゆえ、過剰に厚い易接着層112は経済的ではない。
【0040】
アンカーコート層113は、易接着層112上に形成された透明な層である。アンカーコート層113は易接着層112と共に、無機酸化物層114と基材フィルム111との密着性を向上させる。
請求項3に関わる実施形態ではアンカーコート層113は、ポリオールとイソシアネート化合物を含んだ組成物の反応生成物を含んでいる。この組成物は、例えば、アクリルポリオールとイソシアネート化合物とシランカップリング剤またはその加水分解生成物とを含んでいる。
請求項4に関わる実施形態ではアンカーコート層113は、少なくとも2種以上の金属アルコキシドを含有するものであり、前記金属アルコキシドの1種がアミノ基を有するアルコキシシランを用いている。
【0041】
ここではまず請求項3に関わる実施形態すなわち、アンカーコート層113が、ポリオールとイソシアネート化合物を含んだ組成物の反応生成物を含んでいる場合、例えば、アクリルポリオールとイソシアネート化合物とシランカップリング剤またはその加水分解生成物とを含んでいる場合について説明する。
【0042】
シランカップリング剤またはその加水分解生成物は、典型的には、ポリオールの水酸基及びまたはイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応する有機官能基を有している。そのようなシランカップリング剤としては、例えば、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン及びγ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランなどのイソシアネート基を有している化合物、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、及びγ−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基を有している化合物、γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン及びβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基を有している化合物、あるいはビニルトリメトキシシラン又はビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シランなどのビニル基を有しているシランカップリング剤にアルコール等を作用させて水酸基等を付加してなる化合物を使用することができる。これら化合物は、単独で使用してもよく、複数を混合して使用してもよい。
【0043】
このシランカップリング剤が含む官能基のうちケイ素と結合したアルコキシ基以外の有機官能基は、ポリオールの水酸基及びまたはイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応し、これによりアンカーコート層113の凝集力を高める。また、このシランカップリング剤のアルコキシ基またはその加水分解によって生じたシラノール基は、金属酸化物からなる被覆層114が含んでいる金属や無機酸化物表面に存在している水酸基などの極性基と強い相互作用を形成し、これにより、アンカーコート層113と金属酸化物からなる被覆層114との密着性を高める。
【0044】
シランカップリング剤は、典型的には、アルコキシ基とそれ以外の有機官能基とがケイ
素原子に結合してなる化合物であるが、アルコキシ基がハロゲン基やアセトキシ基などで置換されたものを使用してもよい。すなわち、加水分解によりシラノール基を生ずるものであればよい。なお、シランカップリング剤は金属アルコキシドと共に、加水分解して使用してもよい。
【0045】
アクリルポリオールは、アクリル酸誘導体モノマーを重合させて得られるポリオール、または、アクリル酸誘導体モノマーとその他のモノマーとを共重合させて得られるものである。アクリルポリオールとしては、例えば、エチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、及びヒドロキシブチルメタクリレートなどのアクリル酸誘導体モノマーとを重合させてなるアクリルポリオールや、このアクリル酸誘導体モノマーとスチレンなどのその他のモノマーとを共重合させてなるアクリルポリオールを使用することができる。
【0046】
アクリルポリオールは、イソシアネート化合物のイソシアネート基と反応させる。イソシアネート基との反応性及びシランカップリング剤との相溶性を考慮すると、アクリルポリオールとして、水酸基価が例えば20mgKOH/gないし350mgKOH/gの範囲内にあるものが好ましく使用出来る。
【0047】
アクリルポリオールとシランカップリング剤との配合比は、質量比で、例えば2/1ないし100/1の範囲とする。
【0048】
更にイソシアネート化合物は、アクリルポリオールなどのポリオールと反応してできるウレタン結合によりプラスチック基材や無機酸化物との密着性を高めるために添加されるもので主に架橋剤もしくは硬化剤として作用する。前記機能を発揮するイソシアネート化合物の具体例としては、芳香族系のトリレンジイソシアネート(TDI)やジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、脂肪族系のキシリレンジイソシアネート(XDI)やヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などのモノマー類、これらの重合体、もしくは誘導体の1種、またはこれらの2種以上用いることができる。
【0049】
ここで、アクリルポリオールとイソシアネート化合物の配合比は特に制限されるのもではないが、イソシアネート化合物が少なすぎると硬化不良になる場合があり、またそれが多すぎるとブロッキング等が発生し加工上問題がある。そこでアクリルポリオールとイソシアネート化合物との配合比としては、イソシアネート化合物由来のNCO基がアクリルポリオール由来のOH基の50倍以下であることが好ましく、特に好ましいのはNCO基とOH基が当量で配合される場合である。混合方法は、周知の方法が使用可能で特に限定しない。
【0050】
アンカーコート層113は、例えば上述したアクリルポリオールとイソシアネート化合物とシランカップリング剤とを含有したコーティング液を易接着層112上に塗布し、塗膜を乾燥硬化させることにより得られる。このコーティング液は例えば、シランカップリング剤とアクリルポリオールとを混合し、この混合物に溶媒を加え、さらに、イソシアネート化合物と混合することにより得られる。あるいは、シランカップリング剤とアクリルポリオール溶媒とを混合してシランカップリング剤とアクリルポリオールとを反応させ、この混合液に溶媒を加え、さらに、この混合液とイソシアネート化合物を混合することにより得られる。またあるいは、2種類以上のシランカップリング剤のみからなる混合液に溶媒を加えることにより得られる。
【0051】
このコーティング液の溶媒としては、例えば、酢酸エチル及び酢酸ブチルなどのエステル、メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコールなどのアルコール、メチルエチ
ルケトンなどのケトン、トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素、またはそれらの混合物を使用することができる。シランカップリング剤を加水分解するために塩酸水溶液などの水溶液を使用する場合、共溶媒としてイソプロピルアルコールなどのアルコールと極性溶媒である酢酸エチルとの混合液を使用してもよい。
【0052】
このコーティング液は、添加剤をさらに含有することができる。この添加剤としては、例えば、3級アミン、イミダゾール誘導体、カルボン酸の金属塩化合物、4級アンモニウム塩及び4級ホスホニウム塩などの硬化促進剤、フェノール系、硫黄系及びホスファイト系の酸化防止剤、レベリング剤、レオロジー調整剤、触媒、架橋反応促進剤、充填剤、またはそれらの混合物を使用することができる。
【0053】
このコーティング液の易接着層112への塗布には、一般的な方法を利用することが出来る。たとえば、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、またはグラビアオフセット法を利用することができる。
【0054】
コーティング液の塗布に先立ち、たとえば濡れ性及びまたは密着性を改善するために易接着層112の表面に前処理を施しておいてもいい。この前処理としては、例えばコロナ放電処理またはプラズマ処理を挙げることができる。
【0055】
アンカーコート層113が薄い場合、アンカーコート層113を厚さが均一な連続膜として形成することは難しく、十分な密着性が得られないことがある。厚いアンカーコート層113は柔軟性が低く、透明ガスバリアフィルム11を撓ませた場合や引っ張った場合に亀裂を生じる可能性がある。アンカーコート層113の厚さは、例えば0.01μmないし1μmの範囲内とし、典型的には0.05μmないし0.5μmの範囲内とする。
【0056】
次に、請求項4に関わる実施形態、すなわち、アンカーコート層113が、少なくとも2種以上の金属アルコキシドを含有するものであり、前記金属アルコキシドの1種がアミノ基を有するアルコキシシランを用いている場合について説明する
金属アルコキシドは、一般式M(OR)nで表される化合物である。ここで、Mは、チ
タン、アルミニウム、及びジルコニウムなどの金属又は珪素を示し、Rは、CH3基及び
25基などのアルキル基を示している。また、nは、元素Mの価数を示している。
【0057】
金属アルコキシドとしてアルコキシシランを使用する場合、このアルコキシシランとしては、例えば、一般式Si(OR14又はR2Si(OR33で表される化合物或いは
それらの混合物を使用することができる。ここで、R1及びR3は、CH3基、C35
、及びC24OCH3基などの加水分解性基を示し、R2は、有機官能基を示している。
【0058】
アルコキシシランの例に、ビニルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が上げられる。イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランのようなイソシアネート基を含むもの、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランのようなメルカプト基を含むものや、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランのようなアミノ基を含むものがある。
【0059】
さらに、γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランやβ−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のようにエポキシ基を含むものや、ビニルト
リメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等のような金属アルコキシドにアルコール等を付加し水酸基等を付加したものでも良く、これらのうち2種以上を用いることができる。
【0060】
これらのアルコキシシランは、一端に存在する有機官能基が、2種以上を混合することで相互作用を示し更に、金属酸化物から成る被覆層の金属や、金属酸化物から成る被覆層の表面の極性の高い水酸基等との強い相互作用を示すことにより金属酸化物から成る被覆層および基材フィルム111及び易接着層112との高い密着性を発現し、目的の物性を得ることができるものである。
【0061】
請求項4に係る発明においては、アンカーコート層113が少なくとも2種以上の金属アルコキシドを含有するものであり、前記金属アルコキシドの一種がアミノ基を含有するアルコキシシランを用いていることから、アミノ基を含有するアルコキシシラン以外の金属アルコキシドは、アミノ基と反応し得る官能基を分子内に有する化合物である。該官能基とはエポキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基、オキサゾリニル基等である。
【0062】
前記アミノ基と反応し得る官能基を分子内に有する化合物の具体例としてはフェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類;アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル等のグリシジルエステル類;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリイソプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシ基とSi(OR4 )基(R4 は、水素原子、低級アルキル基またはアシル基)を有するシランカップリング剤(以下エポキシ基含有シランカップリング剤と省略することがある);γ−イソシアノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアノプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアノプロピルメチルジエトキシシラン等のイソシアネート基とSi(OR4 )基含有シランカップリング剤(以下イソシアネート基含有シランカップリング剤と省略することがある);トリレンジイソシアネート、1,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート類が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。また、化合物がアミノ基と反応し得る官能基を有する高分子有機化合物、またはさらにSi(OR4 )基を有する高分子有機化合物であってもよい。
【0063】
このコーティング液の溶媒としては、例えば、酢酸エチル及び酢酸ブチルなどのエステル、メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコールなどのアルコール、メチルエチルケトンなどのケトン、トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素、水、またはそれら
の混合物を使用することができる。
【0064】
このコーティング液は、添加剤をさらに含有することができる。この添加剤としては、例えば、3級アミン、イミダゾール誘導体、カルボン酸の金属塩化合物、4級アンモニウム塩及び4級ホスホニウム塩などの硬化促進剤、フェノール系、硫黄系及びホスファイト系の酸化防止剤、レベリング剤、レオロジー調整剤、触媒、架橋反応促進剤、充填剤、またはそれらの混合物を使用することができる。
【0065】
このコーティング液の易接着層112への塗布には、一般的な方法を利用することが出来る。たとえば、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、またはグラビアオフセット法を利用することができる。
【0066】
コーティング液の塗布に先立ち、たとえば濡れ性及びまたは密着性を改善するために易接着層112の表面に前処理を施しておいてもいい。この前処理としては、例えばコロナ放電処理またはプラズマ処理を挙げることができる。
【0067】
アンカーコート層113が薄い場合、アンカーコート層113を厚さが均一な連続膜として形成することは難しく、十分な密着性が得られないことがある。厚いアンカーコート層113は柔軟性が低く、透明ガスバリアフィルム11を撓ませた場合や引っ張った場合に亀裂を生じる可能性がある。アンカーコート層113の厚さは、例えば0.01μmないし1μmの範囲内とし、典型的には0.05μmないし0.5μmの範囲内とする。
【0068】
金属酸化物からなる被覆層114は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウム、或いはそれらの混合物などの金属酸化物の蒸着膜からなり、透明性を有しかつ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有するものであればよい。その中では、特に酸化アルミニウム及び酸化珪素が好ましい。ただし本発明の金属酸化物からなる被覆層114は、上述した金属酸化物に限定されず、上記条件に適合する材料であれば用いることができる。
【0069】
金属酸化物からなる被覆層114の厚さは、用いられる無機化合物の種類、構成により最適条件が異なるが、一般的には5〜300nmの範囲内が望ましく、その値は適宜選択される。ただし膜厚が5nm未満であると均一な膜が得られないことや膜厚が十分ではないことがあり、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合がある。また膜厚が300nmを越える場合は金属酸化物からなる被覆層にフレキシビリティを保持させることができず、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、金属酸化物からなる被覆層に亀裂を生じるおそれがある。好ましくは、10〜150nmの範囲内である。
【0070】
金属酸化物からなる被覆層114をアンカーコート層113上に形成する手段としては各種手段が可能であるが、真空蒸着法により形成することが一般的である。この真空蒸着法以外の手段としてスパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いることもできる。但し生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。この真空蒸着法による真空蒸着装置の加熱手段としては電子線加熱方式、抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかを適宜用いればよい。また金属酸化物からなる被覆層とプラスチック基材の密着性及び金属酸化物からなる被覆層の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いることも可能である。また、金属酸化物からなる被覆層の透明性を上げるために蒸着の際、酸素ガスなどを吹き込んだりする反応蒸着を行っても一向に構わない。
【0071】
ガスバリア性被膜115の形成材料としては、例えば水溶性高分子と1種以上の金属ア
ルコキシド及び/又はその加水分解物からなるもの、さらには前記金属アルコキシドが、テトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウム、またはこれらの混合物のいずれかからなる溶液を塗布形成したものである。高いガスバリア性を付与する被膜層の他の例としては、水溶性高分子と塩化錫からなるもの、さらには前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールからなる溶液を塗布形成したものである。具体的には、水溶性高分子と塩化錫を水系(水あるいは水/アルコール混合)溶媒で溶解させた溶液、或いは前記溶液に金属アルコキシドを直接、或いは予め加水分解させるなど処理を行ったものを混合した溶液を金属酸化物からなる被覆層114にコーティング、加熱乾燥し形成したものである。
【0072】
ガスバリア性被膜115を形成する各成分について更に詳細に説明する。
【0073】
本発明の被膜層を形成するために用いられる水溶性高分子の具体例として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。特にポリビニルアルコール(以下、PVAという)がガスバリア性が最も優れる。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルをけん化して得られるもので、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分けん化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全けん化PVAまでを含み、特に限定されない。
【0074】
また塩化錫は塩化第一錫(SnCl2 )、塩化第二錫(SnCl4 )、或いはそれらの混合物であってもよく、無水物でも水和物でも用いることができる。
【0075】
更に金属アルコキシドは、テトラエトキシシラン〔Si(OC2 5 4 〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O−2'−C3 7 3 〕などの一般式、M(OR)n (M:Si、Ti、Al、Zr等の金属、R:CH3 、C2 5 等のアルキル基)で表せるものである。中でもテトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムが加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
【0076】
上述した各成分を単独又はいくつかを組み合わせて被膜層を形成することができ、さらに被膜層のガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤などの添加剤を加えてもよい。
【0077】
例えばガスバリア性被膜115に加えられるイソシアネート化合物は、その分子中に2個以上のイソシアネート基(NCO基)を有するものであり、例えばトリレンジイソシアネート(以下TDIという)、トリフェニルメタントリイソシアネート(以下TTIという)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(以下TMXDIという)などのモノマー類と、これらの重合体、または誘導体などがある。
【0078】
ガスバリア性被膜115を形成するためのコーティング剤の塗布方法には、通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法などの従来公知の手段を用いることができる。また被膜層の厚さは、被膜層を形成するコーティング剤の種類や加工条件によって異なるが、乾燥後の厚さが0.01μm以上あれば良いが、厚さが50μm以上では膜にクラックが生じ易くなるため、0.01〜50μmの範囲が好ましい。
【0079】
金属酸化物からなる被覆層114、またはガスバリア性被膜115上に他の層を積層することも可能である。例えば印刷層、介在フィルム、ヒートシール層等である。印刷層は包装袋などとして実用的に用いるために形成されるものであり、ウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系、塩化ビニル系等の従来から用いられているインキバインダー樹脂に各種顔料、体質顔料及び可塑剤、乾燥剤、安定剤等の添加剤などが添加されてなるインキにより構成される層であり、文字、絵柄等が形成されている。形成方法としては、例えば印刷層に関してはオフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式を用いることが出来、他の層に関してはロールコート、ナイフエッジコート、グラビアコート等の周知の塗布方式を用いることができる。厚さは0.1〜2.0μmで良い。
【0080】
また介在フィルムはボイルおよびレトルト殺菌時の破袋強度を高めるために設けられるもので、一般的に機械強度及び熱安定性の面から二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの内から選ばれることが多い。厚さは、材質や要求品質等に応じて決められるが、一般的には10〜30μmの範囲である。形成方法としては2液硬化型ウレタン系樹脂等の接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法等の公知の方法により積層できる。
【0081】
またヒートシール層は袋状包装体などを形成する際に密封層として設けられるものである。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体またはそれらの金属架橋物等の樹脂の1種からなるフィルムが用いられる。厚さは目的に応じて決められるが、一般的には15〜200μmの範囲である。形成方法としては、ヒートシール層を形成するフィルムを2液硬化型ウレタン樹脂などの接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法等を用いることが一般的であるがいずれも公知の方法により積層することができる。
【実施例】
【0082】
以下に、本発明のいくつかの実施形態の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0083】
<コーティング液A1の調製>
アジピン酸をポリエステルの二塩基酸成分とした水分散性ポリエステルポリウレタンとビスフェノールAグリシジルエーテルとを100:6の固形分質量比で含有した水溶液を調製した。以下、この水溶液を「コーティング液A1」と呼ぶ。
【0084】
<コーティング液B1の調製>
水酸基価が140mgKOH/gのアクリルポリオールを50質量%の濃度で含有した6gのアクリルポリオール溶液を準備した。このアクリルポリオール溶液と0.5gのγ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランとを混合し、この混合液に酢酸エチルを添加して固形分濃度を20質量%とした。この溶液を7g計量し、これに、キシリレンジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートとを60:40の質量比で含有した1.5gの混合物を混合した。次いで、この溶液を、固形分濃度が2質量%となるように酢酸エチルで希釈し、さらに、10分間攪拌した。以下、このようにして得られた溶液を、「コーティング液B1」と呼ぶ。
【0085】
<コーティング液B2の調製>
水酸基価が140mgKOH/gのアクリルポリオールを50質量%の濃度で含有した6gのアクリルポリオール溶液を準備した。このアクリルポリオール溶液と0.6gのγ−アミノプロピルトリエトキシシランとを混合し、この混合液に酢酸エチルを添加して固形分濃度を20質量%とした。この溶液を7g計量し、これに、キシリレンジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートとを60:40の質量比で含有した1.5gの混合物を混合した。次いで、この溶液を、固形分濃度が2質量%となるように酢酸エチルで希釈し、さらに10分間攪拌した。以下、このようにして得られた溶液を、「コーティング液B2」と呼ぶ。
【0086】
<コーティング液B3の調製>
水酸基価が140mgKOH/gのアクリルポリオールを50質量%の濃度で含有した6gのアクリルポリオール溶液を準備した。このアクリルポリオール溶液と0.6gのビス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミンとを混合し、この混合液に酢酸エチルを添加して固形分濃度を20質量%とした。この溶液を7g計量し、これに、0.75gのキシリレンジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートとを60:40の質量比で含有した1.5gの混合物を混合した。次いで、この溶液を、固形分濃度が2質量%となるように酢酸エチルで希釈し、さらに10分間攪拌した。以下、このようにして得られた溶液を、「コーティング液B3」と呼ぶ。
【0087】
<コーティング液B4の調製>
水酸基価が140mgKOH/gのアクリルポリオールを50質量%の濃度で含有した6gのアクリルポリオール溶液を準備した。このアクリルポリオール溶液と0.6gのビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミンとを混合し、この混合液に酢酸エチルを添加して固形分濃度を20質量%とした。この溶液を7g計量し、これに、0.75gのキシリレンジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートとを60:40の質量比で含有した1.5gの混合物を混合した。次いで、この溶液を、固形分濃度が2質量%となるように酢酸エチルで希釈し、さらに10分間攪拌した。以下、このようにして得られた溶液を、「コーティング液B4」と呼ぶ。
【0088】
<コーティング液B5の調製>
水酸基価が7mgKOH/gのポリエステル樹脂を50質量%の濃度で含有した7gの酢酸エチル溶液を準備した。この溶液に、キシリレンジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートとを60:40の質量比で含有した1.5gの混合物を混合した。次いで、この溶液を、固形分濃度が2質量%となるように酢酸エチルで希釈し、さらに、10分間攪拌した。以下、このようにして得られた溶液を、「コーティング液B5」と呼ぶ。
<コーティング液b1の調製>
ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミンとビニルトリエトキシシランを等量混合し、この混合液を、水とエタノールの混合物に添加し、固形分が10%となるように調製した。以下、この水溶液を「コーティング液b1」と呼ぶ。
【0089】
<コーティング液b2の調製>
ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミンとビニルトリエトキシシランを等量混合し、この混合液を、水とエタノールの混合物に添加し、固形分が5%となるように調製した。以下、この水溶液を「コーティング液b2」と呼ぶ。
【0090】
<コーティング液b3の調製>
ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミンとビニルトリエトキシシランを等量混合し、この混合液を、水とエタノールの混合物に添加し、固形分が15%となるように調製した。以下、この水溶液を「コーティング液b3」と呼ぶ。
【0091】
<コーティング液b4の調製>
ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミンとメチルトリエトキシシランを等量混合し、この混合液を、水とエタノールの混合物に添加し、固形分が10%となるように調製した。以下、この水溶液を「コーティング液b4」と呼ぶ。
<コーティング液b5の調製>
ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミンとビニルトリエトキシシランを等量混合し、この混合液を、水とエタノールの混合物に添加し、固形分が10%となるように調製した。以下、この水溶液を「コーティング液b5」と呼ぶ。
【0092】
<コーティング液b6の調製>
ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミンを、水とエタノールの混合物に添加し、固形分が10%となるように調製した。以下、この水溶液を「コーティング液b6」と呼ぶ。
【0093】
<コーティング液C1の調製>
10gのテトラエトキシシランに、90gの0.1N塩酸水溶液を添加した。次いで、この混合液を30分間攪拌して、テトラエトキシシランの加水分解を生じさせた。これにより、SiO2換算で固形分を3質量%の濃度で含有した加水分解溶液を得た。
【0094】
PVAと水とイソプロピルアルコールとを混合して、65gのPVA溶液を調整した。水とイソプロピルアルコールとの質量比は90:10とした。また、このPVA溶液のPVA濃度は、4質量%とした。
【0095】
これら加水分解溶液とPVA溶液とを混合して、コーティング液を調製した。以下、このコーティング液を、「コーティング液C1」と呼ぶ。
【0096】
<コーティング液C2の調製>
17.9gのテトラエトキシシランと10gのメタノールと72.1gの0.1N塩酸水溶液とを混合した。次いで、この混合液を30分間攪拌して、テトラエトキシシランの加水分解を生じさせた。これにより、SiO2換算で固形分を5質量%の濃度で含有した加水分解溶液を得た。以下、この加水分解溶液を「溶液S1」と呼ぶ。
【0097】
PVAと水とイソプロピルアルコールとを混合して、PVA溶液を調整した。水とイソプロピルアルコールとの質量比は95:5とした。また、このPVA溶液の固形分濃度、すなわち、PVA濃度は5質量%とした。以下、このPVA溶液を、「溶液S2」と呼ぶ。
【0098】
1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートと水とイソプロピルアルコールとを混合した。水とイソプロピルアルコールとの質量比は50:50とした。また、この混合液における1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートの濃度は、R2Si(OH)3換算濃度で5質量%とした。次いで、この混合液を30分間攪拌して、1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートの加水分解を生じさせた。これにより、R2Si(OH)3換算で固形分を5質量%の濃度で含有した加水分解溶液を得た。以下、この加水分解溶液を「溶液S3」と呼ぶ。
【0099】
その後、溶液S1と溶液S2と溶液S3とを、それらの固形分の質量比が70:20:10となるように混合した。以下、この混合液を、「コーティング液C2」と呼ぶ。
【0100】
<コーティング液C3の調製>
γ−グリシドキシプロビルトリメトキシシランのイソプロピルアルコール溶液に、1N塩酸水溶液を徐々に加えた。水とイソプロピルアルコールとの質量比は50:50とした。また、この混合液におけるγ−グリシドキシプロビルトリメトキシシランの濃度は、R2Si(OH)3換算濃度で5質量%とした。次いで、この混合液を30分間攪拌して、γ−グリシドキシプロビルトリメトキシシランの加水分解を生じさせた。これにより、R2Si(OH)3換算で固形分を5質量%の濃度で含有した加水分解溶液を得た。以下、この加水分解溶液を、「溶液S4」と呼ぶ。
【0101】
その後、溶液S1と溶液S2と溶液S4とを、それらの固形分の質量比が70:20:
10となるように混合した。以下、この混合液を、「コーティング液C3」と呼ぶ。
【0102】
<透明ガスバリア性フィルムBF1及び透明包装材料PM1の製造>
まず、Tダイ法により、ナイロン6からなる厚さが150μmの未延伸基材フィルムを成膜した。
【0103】
次に、この基材フィルムの一方の主面上に、マイヤーバーコート法によりコーティング液A1を塗布した。この塗膜を乾燥させた後、基材フィルムを、基材フィルムを縦方向に3.0倍に及び横方向に3.3倍に同時二軸延伸した。さらに、210℃の温度でヒートセット処理を行った。このようにして、基材フィルムの厚さを15μmとすると共に、その上に厚さが0.05μmの易接着層を形成した。
【0104】
その後、易接着層上に、グラビアコート法によりコーティング液B1を塗布した。この塗膜を乾燥させることにより、厚さが0.05μmのアンカーコート層を得た。
【0105】
続いて、電子線加熱方式を用いた真空蒸着装置により、易接着層上に、酸化アルミニウムからなる厚さが15nmの無機酸化物層を形成した。
【0106】
次に、グラビアコート法により、無機酸化物層上に、コーティング液C1を塗布した。この塗膜を加熱乾燥させることにより、厚さが0.3μmのガスバリア性被膜を得た。
【0107】
以上のようにして、透明ガスバリア性フィルムを完成した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF1」と呼ぶ。
【0108】
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1とヒートシール性樹脂層とを、ヒートシール性樹脂層がガスバリア性被膜と向き合うように、ドライラミネーション法により貼り合わせた。ヒートシール性樹脂層としては、厚さが50μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(東セロ社製、TUX−FCS)を使用し、接着剤としては、二液硬化型ポリウレタン系ラミネート用接着剤(三井化学ポリウレタン社製、A515/A50)を使用した。接着剤は、グラビアコート法により、乾燥後の塗布量が4.0g/m2となるようにガスバ
リア性被膜上に塗布した。
【0109】
その後、この積層体を、40℃の恒温室で7日間養生した。以上のようにして、透明包装材料を完成した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM1」と呼ぶ。
【0110】
<透明ガスバリア性フィルムBF2及び透明包装材料PM2の製造>
易接着層の厚さを0.20μmとしたこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF2」と呼ぶ。
【0111】
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF2を使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM2」と呼ぶ。
【0112】
<透明ガスバリア性フィルムBF3及び透明包装材料PM3の製造>
コーティング液B1を用いて厚さが0.05μmのアンカーコート層を形成する代わりに、コーティング液B2を用いて厚さが0.1μmのアンカーコート層を形成したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバ
リア性フィルムBF3」と呼ぶ。
【0113】
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF3を使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM3」と呼ぶ。
【0114】
<透明ガスバリア性フィルムBF4及び透明包装材料PM4の製造>
コーティング液B1を用いて厚さが0.05μmのアンカーコート層を形成する代わりに、コーティング液B3を用いて厚さが0.1μmのアンカーコート層を形成したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF4」と呼ぶ。
【0115】
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF4を使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM4」と呼ぶ。
【0116】
<透明ガスバリア性フィルムBF5及び透明包装材料PM5の製造>
コーティング液B1を用いて厚さが0.05μmのアンカーコート層を形成する代わりに、コーティング液B4を用いて厚さが0.1μmのアンカーコート層を形成したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF5」と呼ぶ。
【0117】
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF5を使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM5」と呼ぶ。
【0118】
<透明ガスバリア性フィルムBF6及び透明包装材料PM6の製造>
コーティング液C1を用いて厚さが0.3μmのガスバリア性被膜を形成する代わりに、コーティング液C2を用いて厚さが0.5μmのガスバリア性被膜を形成したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF6」と呼ぶ。
【0119】
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF6
を使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM6」と呼ぶ。
【0120】
<透明ガスバリア性フィルムBF7及び透明包装材料PM7の製造>
コーティング液B1の代わりにコーティング液B2を使用してアンカーコート層を形成し、コーティング液C1を用いて厚さが0.3μmのガスバリア性被膜を形成する代わりにコーティング液C2を用いて厚さが0.5μmのガスバリア性被膜を形成したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。すなわち、コーティング液B1の代わりにコーティング液B2を使用してアンカーコート層を形成したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF6について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以
下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF7」と呼ぶ。
【0121】
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF7を
使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透
明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM7」と呼ぶ。
【0122】
<透明ガスバリア性フィルムBF8及び透明包装材料PM8の製造>
コーティング液B1の代わりにコーティング液B3を使用してアンカーコート層を形成し、コーティング液C1を用いて厚さが0.3μmのガスバリア性被膜を形成する代わりにコーティング液C2を用いて厚さが0.5μmのガスバリア性被膜を形成したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。すなわち、コーティング液B1の代わりにコーティング液B3を使用してアンカーコート層を形成したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF6について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以
下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF8」と呼ぶ。
【0123】
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF8を使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM8」と呼ぶ。
【0124】
<透明ガスバリア性フィルムBF9及び透明包装材料PM9の製造>
コーティング液B1の代わりにコーティング液B4を使用してアンカーコート層を形成し、コーティング液C1を用いて厚さが0.3μmのガスバリア性被膜を形成する代わりにコーティング液C2を用いて厚さが0.5μmのガスバリア性被膜を形成したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。すなわち、コーティング液B1の代わりにコーティング液B4を使用してアンカーコート層を形成したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF6について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以
下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF9」と呼ぶ。
【0125】
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF9を使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM9」と呼ぶ。
【0126】
<透明ガスバリア性フィルムBF10及び透明包装材料PM10の製造>
コーティング液C1を用いて厚さが0.3μmのガスバリア性被膜を形成する代わりに、コーティング液C3を用いて厚さが0.5μmのガスバリア性被膜を形成したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF10」と呼ぶ。
【0127】
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF10を使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM10」と呼ぶ。
【0128】
<透明ガスバリア性フィルムBF11及び透明包装材料PM11の製造>
易接着層を省略したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF11」と呼ぶ。
【0129】
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF11を使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM11」と呼ぶ。
【0130】
<透明ガスバリア性フィルムBF12及び透明包装材料PM12の製造>
アンカーコート層を省略したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF12」と呼ぶ。
【0131】
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF12を使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM12」と呼ぶ。
【0132】
<透明ガスバリア性フィルムBF13及び透明包装材料PM13の製造>
コーティング液B1の代わりにコーティング液B5を使用したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF13」と呼ぶ。
【0133】
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF13を使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM13」と呼ぶ。
【0134】
<透明ガスバリア性フィルムbF1及び透明包装材料pM1の製造>
まず、Tダイ法により、ナイロン6からなる厚さが150μmの未延伸基材フィルムを成膜した。
【0135】
次に、この基材フィルムの一方の主面上に、マイヤーバーコート法によりコーティング液A1を塗布した。この塗膜を乾燥させた後、基材フィルムを、基材フィルムを縦方向に3.0倍に及び横方向に3.3倍に同時二軸延伸した。さらに、210℃の温度でヒートセット処理を行った。このようにして、基材フィルムの厚さを15μmとすると共に、その上に厚さが0.05μmの易接着層を形成した。
【0136】
その後、易接着層上に、グラビアコート法によりコーティング液B1を塗布した。この塗膜を乾燥させることにより、厚さが0.05μmのアンカーコート層を得た。
【0137】
続いて、電子線加熱方式を用いた真空蒸着装置により、易接着層上に、酸化アルミニウムからなる厚さが15nmの無機酸化物層を形成した。
【0138】
次に、グラビアコート法により、無機酸化物層上に、コーティング液C1を塗布した。この塗膜を加熱乾燥させることにより、厚さが0.3μmのガスバリア性被膜を得た。
【0139】
以上のようにして、透明ガスバリア性フィルムを完成した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムbF1」と呼ぶ。
【0140】
次に、透明ガスバリア性フィルムbF1とヒートシール性樹脂層とを、ヒートシール性樹脂層がガスバリア性被膜と向き合うように、ドライラミネーション法により貼り合わせた。ヒートシール性樹脂層としては、厚さが50μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(東セロ社製、TUX−FCS)を使用し、接着剤としては、二液硬化型ポリウレタン
系ラミネート用接着剤(三井化学ポリウレタン社製、A515/A50)を使用した。接着剤は、グラビアコート法により、乾燥後の塗布量が4.0g/m2となるようにガスバ
リア性被膜上に塗布した。
【0141】
その後、この積層体を、40℃の恒温室で7日間養生した。以上のようにして、透明包装材料を完成した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料pM1」と呼ぶ。
【0142】
<透明ガスバリア性フィルムbF2及び透明包装材料pM2の製造>
アンカーコート層の厚さを0.10μmとしたこと以外は、透明ガスバリア性フィルムbF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムbF2」と呼ぶ。
【0143】
次に、透明ガスバリア性フィルムbF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムbF2を使用したこと以外は、透明包装材料pM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料pM2」と呼ぶ。
【0144】
<透明ガスバリア性フィルムbF3及び透明包装材料pM3の製造>
コーティング液B1を用いてアンカーコート層を形成する代わりに、コーティング液B2を用いてアンカーコート層を形成したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムbF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムbF3」と呼ぶ。
【0145】
次に、透明ガスバリア性フィルムbF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムbF3を使用したこと以外は、透明包装材料pM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料pM3」と呼ぶ。
【0146】
<透明ガスバリア性フィルムbF4及び透明包装材料pM4の製造>
コーティング液B1を用いてアンカーコート層を形成する代わりに、コーティング液B3を用いてアンカーコート層を形成したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムbF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムbF4」と呼ぶ。
【0147】
次に、透明ガスバリア性フィルムbF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムbF4を使用したこと以外は、透明包装材料pM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料pM4」と呼ぶ。
【0148】
<透明ガスバリア性フィルムbF5及び透明包装材料pM5の製造>
コーティング液B1を用いてアンカーコート層を形成する代わりに、コーティング液B4を用いてアンカーコート層を形成したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムbF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムbF5」と呼ぶ。
【0149】
次に、透明ガスバリア性フィルムbF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムbF5を使用したこと以外は、透明包装材料pM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料pM5」と呼ぶ。
【0150】
<透明ガスバリア性フィルムbF6及び透明包装材料pM6の製造>
コーティング液B1を用いてアンカーコート層を形成する代わりに、コーティング液B5を用いてアンカーコート層を形成したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムbF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、こ
の透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムbF6」と呼ぶ。
【0151】
次に、透明ガスバリア性フィルムbF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムbF6を使用したこと以外は、透明包装材料pM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料pM6」と呼ぶ。
【0152】
<透明ガスバリア性フィルムbF7及び透明包装材料pM7の製造>
コーティング液C1を用いてガスバリア性被膜を形成する代わりに、コーティング液C2を用いてガスバリア性被膜を形成したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムbF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムbF7」と呼ぶ。
【0153】
次に、透明ガスバリア性フィルムbF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムbF7を使用したこと以外は、透明包装材料pM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料pM7」と呼ぶ。
【0154】
<透明ガスバリア性フィルムbF8及び透明包装材料pM8の製造>
コーティング液C1を用いてガスバリア性被膜を形成する代わりに、コーティング液C2を用いてガスバリア性被膜を形成したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムbF5について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムbF8」と呼ぶ。
【0155】
次に、透明ガスバリア性フィルムbF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムbF8を使用したこと以外は、透明包装材料pM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料pM8」と呼ぶ。
【0156】
<透明ガスバリア性フィルムbF9及び透明包装材料pM9の製造>
コーティング液C1を用いてガスバリア性被膜を形成する代わりに、コーティング液C2を用いてガスバリア性被膜を形成したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムbF6について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムbF9」と呼ぶ。
【0157】
次に、透明ガスバリア性フィルムbF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムbF9を使用したこと以外は、透明包装材料pM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料pM9」と呼ぶ。
【0158】
<透明ガスバリア性フィルムbF10及び透明包装材料pM10の製造>
電子線加熱方式を用いた真空蒸着装置により酸化アルミニウムからなる厚さが15nmの無機酸化物層を形成する代わりに、抵抗加熱方式を用いて真空蒸着装置により酸化珪素からなる厚さが50nmの無機酸化物層を形成し、コーティング液C1を用いてガスバリア性被膜を形成する代わりにコーティング液C2を用いてガスバリア性被膜を形成したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムbF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。すなわち、電子線加熱方式を用いた真空蒸着装置により酸化アルミニウムからなる厚さが15nmの無機酸化物層を形成する代わりに、抵抗加熱方式を用いて真空蒸着装置により酸化珪素からなる厚さが50nmの無機酸化物層を形成したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムbF7について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムbF10」と呼ぶ。
【0159】
次に、透明ガスバリア性フィルムbF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムbF1
0を使用したこと以外は、透明包装材料pM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料pM10」と呼ぶ。
【0160】
<透明ガスバリア性フィルムbF11及び透明包装材料pM11の製造>
コーティング液C1を用いてガスバリア性被膜を形成する代わりに、コーティング液C3を用いてガスバリア性被膜を形成したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムbF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムbF11」と呼ぶ。
【0161】
次に、透明ガスバリア性フィルムbF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムbF11を使用したこと以外は、透明包装材料pM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料pM11」と呼ぶ。
【0162】
<透明ガスバリア性フィルムbF12及び透明包装材料pM12の製造>
易接着層を省略したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムbF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムbF12」と呼ぶ。
【0163】
次に、透明ガスバリア性フィルムbF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムbF12を使用したこと以外は、透明包装材料pM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料pM12」と呼ぶ。
【0164】
<透明ガスバリア性フィルムbF13及び透明包装材料pM13の製造>
アンカーコート層を省略したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムbF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムbF13」と呼ぶ。
【0165】
次に、透明ガスバリア性フィルムbF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムbF13を使用したこと以外は、透明包装材料pM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料pM13」と呼ぶ。
【0166】
<透明ガスバリア性フィルムbF14及び透明包装材料pM14の製造>
コーティング液B1の代わりにコーティング液B6を使用したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムbF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムbF14」と呼ぶ。
【0167】
次に、透明ガスバリア性フィルムbF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムbF14を使用したこと以外は、透明包装材料pM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料pM14」と呼ぶ。
【0168】
<ヒートシールエネルギーの測定>
製造した透明包装材料の各々について、日本工業規格 JIS Z1707:1997「食品包装用プラスチックフィルム通則」」で規定されている試験方法に従ってヒートシール強度を測定した。その後測定で得られたチャートからヒートシールエネルギーを求めた。
【0169】
すなわち、まず、透明包装材料の各々から寸法100mm×100mmのサンプルを切り出した。次いで、前記サンプルを中央部で折り、ヒートシール試験器(テスター産業(
株)製)を使用し、シールバー幅5mm・圧力2kg/cm2・温度180℃で1秒間シール後、放冷した。それらを12時間水に漬けた後に水から出し、各々のサンプルから幅が15mmの短冊状の試験片を準備した。次いで、引張試験機にて30mm/minでシール部を剥離し、ヒートシール強度を測定した。つぎに、ヒートシール強度の測定で得られたチャートからヒートシールエネルギーを導いた。本発明では、ヒートシール強度を示す曲線と、チャート移動距離とで囲まれた面積をヒートシールエネルギー(N・m)とした。以下の表1に、透明包装材料PM1乃至PM13の測定結果を、表3に透明包装材料pM1乃至PM14の測定結果を纏める。
【0170】
<酸素透過度の測定>
製造した透明ガスバリア性フィルムの各々について、日本工業規格 JIS K7126−1987「プラスチックフィルム及びシートの気体透過度試験方法」で規定されているB法(等圧法)に従って酸素透過度を測定した。この測定は、温度が30℃であり相対湿度が70%の環境中で、Modern Control社製のOxtran2/21を使用して行った。以下の表1に、透明ガスバリア性フィルムBM1乃至BM13の測定結果を、表3に透明ガスバリア性フィルムbM1乃至bM14の測定結果を纏める。
【0171】
<湿潤ラミネート強度の測定>
透明包装材料の各々について、日本工業規格 JIS K6854−3:1999「接着剤−はく離接着強さ試験方法−第3部:T形はく離」で規定されている試験方法に従って湿潤ラミネート強度を測定した。
【0172】
すなわち、まず、透明包装材料の各々から幅が15mmの短冊状の試験片を準備した。次いで、各試験片の一端でヒートシール性樹脂層と透明ガスバリア性フィルムとを互いから剥離し、これらをそれぞれ引張試験機のつかみ具に取り付けた。その後、剥離界面を水で湿潤させながら、引張応力を加えて、ヒートシール性樹脂層と透明ガスバリア性フィルムとを互いから剥離させ、剥離長さ(つかみ移動距離)と引張応力との関係を記録した。ここでは、剥離速度は300mm/minとした。そして、最初及び最後の25mmを除いた100mm以上の剥離長さに亘って、力−つかみ移動距離曲線から平均剥離力(N)を求めた。この平均剥離力(N)を湿潤ラミネート強度とした。以下の表1に、透明包装材料PM1乃至PM13の測定結果を、表3に透明包装材料pM1乃至pM14の測定結果を纏める。
【0173】
<煮沸処理後における酸素透過度の測定>
透明包装材料の各々を用いて、寸法が100mm×150mmの四方シール袋を作成した。各四方シール袋には、150gの水を充填した。次に、これら包装品を95℃で30分間の煮沸処理に供した。一昼夜放置した後、上述したのと同様の方法により、酸素透過度を測定した。以下の表2に、透明包装材料PM1乃至PM13の測定結果を、表4に透明包装材料pM1乃至pM14の測定結果を纏める。
【0174】
<煮沸処理後における常態または湿潤ラミネート強度の測定>
透明包装材料の各々を用いて、寸法が100mm×150mmの四方シール袋を作成した。各四方シール袋には、150gの水を充填した。次に、これら包装品を95℃で30分間の煮沸処理に供し、その後、透明包装材料PM1乃至PM13について常態ラミネート強度及び透明包装材pM1乃至pM14については湿潤ラミネート強度を測定した。
具体的には、剥離界面を水で湿潤させなかったこと以外は、湿潤ラミネート強度につい
て説明したのと同様の方法により平均剥離力(N)を求め、この平均剥離力(N)を常態ラミネート強度とした。なお、常態ラミネート強度の測定は、煮沸処理を終了してから1時間以内に行った。以下の表2に、透明包装材料PM1乃至PM13の測定結果を、表4に透明包装材料pM1乃至pM14の測定結果を纏める。
【0175】
【表1】

【0176】
【表2】

【0177】
【表3】

【0178】
【表4】

表1および表2に示すように、比較例の透明包装材料PM11ないしPM13は、ヒートシール強度のエネルギー値、湿潤ラミネート強度ならびに煮沸処理後における常態ラミネート強度が低かった。
【0179】
これに対し、本発明の透明包装材料PM1ないしPM10は、比較例の透明包装材料PM11ないしPM13と比較して、ヒートシール強度のエネルギー値、湿潤ラミネート強度ならびに煮沸処理後における常態ラミネート強度が高かった。
表3および表4に示すように、比較例の透明包装材料pM12ないしpM14は、ヒートシール強度のエネルギー値、湿潤ラミネート強度ならびに煮沸処理後における常態ラミネート強度が低かった。
これに対し、本発明の透明包装材料pM1ないしpM11は、比較例の透明包装材料pM12ないしpM14と比較して、ヒートシール強度のエネルギー値、湿潤ラミネート強度ならびに煮沸処理後における常態ラミネート強度が高かった。
本発明の透明ガスバリア性フィルムを用いることによって、ポリアミド樹脂からなる基材フィルムと無機酸化物層との密着性、特に湿潤時の密着性が向上した。その結果液体含有内容物を包装した場合のフィルム間の密着力低下による積層フィルム全体が伸びにくくなり破断を生じやすくなることを防止できた。このことを、包装材料のフィルムの伸びやすさの指標であるヒートシールエネルギーの数値によって判断して、包装の破袋が生じにくいという範囲を設定することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【0180】
【図1】本発明の一形態に係る透明包装材料を概略的に示す断面模式図。
【符号の説明】
【0181】
10…透明包装材料
11…透明ガスバリア性フィルム
12…接着剤層
13…ヒートシール性樹脂層
111…基材フィルム
112…易接着層
113…アンカーコート層
114…無機酸化物層
115…ガスバリア性被膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド系樹脂基材層の少なくとも片面に易接着層が設けられ、易接着層上にアンカーコート層が設けられ、アンカーコート層上に気相成長法により成膜された金属酸化物から成る被覆層が設けられた構成のガスバリア性フィルムであって、ガスバリア性フィルムの被覆層の面とシーラント層とを積層した積層構造を有する積層フィルムとした場合に、シーラント層を熱融着させ、水浸漬させた後にJIS Z1707に基づいて測定したヒートシール強度の最大エネルギー値が0.03〜0.5N・mであることを特徴とするガスバリア性フィルム。
【請求項2】
易接着層が、窒素原子とアジピン酸とビスフェノールグリシジルエーテルとを含んでいることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
【請求項3】
アンカーコート層が、アクリルポリオールとイソシアネート化合物と金属アルコキシド又はその加水分解生成物との反応生成物を含んでいることを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリア性フィルム。
【請求項4】
アンカーコート層が、少なくとも2種以上の金属アルコキシドを含有するものであり、前記金属アルコキシドの一種がアミノ基を有するアルコキシシランを用いていることを特徴とする、請求項1または2に記載のガスバリア性フィルム。
【請求項5】
前記金属酸化物から成る被覆層は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム或いはそれらの混合物のいずれかからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
【請求項6】
請求項1記載のフィルムの金属酸化物から成る被覆層の上に、透明樹脂と無機物とを含んだ混合物からなるガスバリア性被膜を具備したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項7】
前記ガスバリア性被膜は、水溶性高分子とテトラアルコキシシランまたはその加水分解生成物とトリアルコキシシランまたはその加水分解生成物とを含有した溶液を前記金属酸化物から成る被覆層上に塗布し、これにより得られた塗膜を乾燥させることにより形成されたことを特徴とする請求項6に記載のガスバリア性フィルム。
【請求項8】
前記トリアルコキシシランのケイ素と結合したアルコキシ基以外の有機官能基は疎水性有機官能基であることを特徴とする請求項7に記載のガスバリア性フィルム。
【請求項9】
前記ガスバリア性被膜は、水と、水溶性高分子と、金属アルコキシド、その加水分解生成物、及び塩化錫からなる群より選択される少なくとも1つの化合物とを含有した溶液を前記無機酸化物層上に塗布し、これにより得られた塗膜を乾燥させることにより形成されたことを特徴とする請求項6に記載のガスバリア性フィルム。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルムと、前記ガスバリア性フィルムに貼り合わされると共に前記無機酸化物層を間に挟んで前記基材フィルムと向き合ったヒートシール性樹脂層とを具備したことを特徴とする透明包装材料。
【請求項11】
請求項10に記載の透明包装材料を具備したことを特徴とする包装体。

【図1】
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【公開番号】特開2009−202519(P2009−202519A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−49483(P2008−49483)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】