ガスバリア積層体及び面光源装置
【課題】高温高湿の環境下における経時的なガスバリア性能の低下が抑制されたガスバリア積層体、並びに高温高湿の環境下においても経時的な性能の低下が少ない面光源装置を提供する。
【解決手段】基材フィルムと、前記基材フィルムの少なくとも一方の面に設けられた無機バリア層とを備えるガスバリア積層体であって、前記基材フィルムが、脂環式オレフィン樹脂からなる二軸延伸フィルムであり、且つ、前記基材フィルムの、波長550nmにおける面内レターデーションRe、波長550nmにおける厚み方向のレターデーションRth、及びフィルム厚さdがRe/d<0.003、Rth/d>0.001の関係を満たすフィルムである、ガスバリア積層体;並びに前記ガスバリア積層体を備える面光源装置。
【解決手段】基材フィルムと、前記基材フィルムの少なくとも一方の面に設けられた無機バリア層とを備えるガスバリア積層体であって、前記基材フィルムが、脂環式オレフィン樹脂からなる二軸延伸フィルムであり、且つ、前記基材フィルムの、波長550nmにおける面内レターデーションRe、波長550nmにおける厚み方向のレターデーションRth、及びフィルム厚さdがRe/d<0.003、Rth/d>0.001の関係を満たすフィルムである、ガスバリア積層体;並びに前記ガスバリア積層体を備える面光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスバリア積層体及びそれを備える面光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置並びに有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」ということがある。)を有する表示装置及び光源装置においては、装置を構成する素子の保護などの目的で、水分及び酸素の透過を妨げる機能を有するガスバリア層を用いることが知られている。
【0003】
かかるガスバリア層としては、透湿度(水分を透過する割合)が小さい材料が好ましい。そのような材料として、脂環式オレフィンを含む樹脂及び各種の無機材料が知られており、これらを交互に積層した構造を有するガスバリア積層体が提案されている(例えば特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−190186号公報
【特許文献2】特開2005−327687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかるガスバリア層は、表示装置内において高温に曝されうるため、耐熱性が求められる。しかしながら、脂環式オレフィン樹脂と無機材料との積層体は、高温高湿の環境に曝された後に、透湿度が大きく低下することがある。
【0006】
したがって、本発明の目的は、高温高湿の環境下における経時的なガスバリア性能の低下が抑制されたガスバリア積層体を提供することにある。
【0007】
本発明の別の目的は、高温高湿の環境下においても経時的な性能の低下が少ない面光源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために本発明者らは鋭意検討した結果、ガスバリア積層体を構成する脂環式オレフィン樹脂の層として、特定の延伸フィルムを用いることにより、当該課題を解決しうることを見出し、本発明を完成した。
本発明によれば、下記のものが提供される。
〔1〕 基材フィルムと、前記基材フィルムの少なくとも一方の面に設けられた無機バリア層とを備えるガスバリア積層体であって、
前記基材フィルムが、脂環式オレフィン樹脂からなる二軸延伸フィルムであり、且つ、
前記基材フィルムの、波長550nmにおける面内レターデーションRe、波長550nmにおける厚み方向のレターデーションRth、及びフィルム厚さdが下記式(1)及び(2):
Re/d<0.003 (1)
Rth/d>0.001 (2)
の関係を満たすフィルムである、ガスバリア積層体。
〔2〕 〔1〕に記載のガスバリア積層体であって、
前記基材フィルムを複数枚備える、ガスバリア積層体。
〔3〕 〔1〕又は〔2〕に記載のガスバリア積層体であって、
光拡散層をさらに備える、ガスバリア積層体。
〔4〕 〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のガスバリア積層体であって、
凹凸構造層をさらに備える、ガスバリア積層体。
〔5〕 〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のガスバリア積層体、及び有機エレクトロルミネッセンス素子を備える面光源装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明のガスバリア積層体は、高温高湿の環境下における経時的なガスバリア性能の低下が抑制されているという効果を奏する。したがって、本発明のガスバリア積層体を備える本発明の面光源装置は、高温高湿の環境下においても経時的な性能の低下が少ないという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明のガスバリア積層体の一例を模式的に示す断面図である。
【図2】図2は、本発明のガスバリア積層体の別の一例を模式的に示す断面図である。
【図3】図3は、本発明のガスバリア積層体のさらに別の一例を模式的に示す断面図である。
【図4】図4は、本発明のガスバリア積層体のさらに別の一例を模式的に示す断面図である。
【図5】図5は、本発明のガスバリア積層体のさらに別の一例を模式的に示す断面図である。
【図6】図6は、本発明のガスバリア積層体のさらに別の一例を模式的に示す断面図である。
【図7】図7は、凹凸構造を有する光拡散層を備える本発明のガスバリア積層体の一例を概略的に示す斜視図である。
【図8】図8は、図7に示したガスバリア積層体を線1a−1bを通る面で切断した断面を示す断面図である。
【図9】図9は、図7に示すガスバリア積層体の光拡散層の表面の構造を拡大して模式的に示す部分上面図である。
【図10】図10は、図9に示す光拡散層を、図9の線10aを通りガスバリア積層体の主面に垂直な面で切断した断面を示す部分断面図である。
【図11】図11は、図10に示す凹部の変形例を示す部分断面図である。
【図12】図12は、図10に示す凹部の別の変形例を示す部分断面図である。
【図13】図13は、本発明の面光源装置の一例を模式的に示す斜視図である。
【図14】図14は、図13に示す面光源装置10を、図13中の線1a−1bを通り、透明基材の面方向と垂直な面で切断した断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔概要〕
本発明のガスバリア積層体は、基材フィルムと、前記基材フィルムの少なくとも一方の面に設けられた無機バリア層とを備える。
図1は、本発明のガスバリア積層体の一例を模式的に示す断面図である。図1における断面は、薄く平坦で表裏の主面(面21A及び面31B)を有する本発明のガスバリア積層体を、主面に垂直な面で切断した断面を示す面である。図1において、ガスバリア積層体100は、基材フィルム131及びその一方の面31A上に設けられた無機バリア層121を備えている。
本発明のガスバリア積層体は、かかる構成における前記基材フィルムが、以下に述べる特定の、脂環式オレフィン樹脂からなるフィルムである。それにより、無機バリア層及び脂環式オレフィン樹脂のそれぞれの良好なガスバリア性能が、高温高湿の環境下においても長期間維持される。
【0012】
〔基材フィルム;脂環式オレフィン樹脂〕
前記基材フィルムは、脂環式オレフィン樹脂からなる二軸延伸フィルムである。
脂環式オレフィン樹脂とは、脂環式オレフィン重合体と、必要に応じてその他の任意の成分とを含有する樹脂である。
【0013】
脂環式オレフィン重合体は、主鎖及び/又は側鎖に脂環構造を有する非晶性の熱可塑性重合体である。脂環式オレフィン重合体中の脂環構造としては、飽和脂環炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和脂環炭化水素(シクロアルケン)構造などが挙げられるが、機械強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造が好ましい。脂環構造を構成する炭素原子数には、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個であるときに、機械強度、耐熱性、及びフィルムの成形性の特性が高度にバランスされ、好適である。
【0014】
脂環式オレフィン重合体を構成する脂環構造を有する繰り返し単位の割合は、好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。脂環式オレフィン重合体中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合がこの範囲にあると、透明性および耐熱性の観点から好ましい。
【0015】
脂環式オレフィン重合体としては、例えば、ノルボルネン重合体、単環の環状オレフィン重合体、環状共役ジエン重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、及び、これらの水素化物等が挙げられる。これらの中で、ノルボルネン重合体は、透明性と成形性が良好なため、好適に用いることができる。
【0016】
ノルボルネン重合体としては、例えば、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との開環共重合体、又はそれらの水素化物;ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との付加共重合体、又はそれらの水素化物等が挙げられる。これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環(共)重合体水素化物は、透明性、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、特に好適に用いることができる。
脂環式オレフィン樹脂は、脂環式オレフィン重合体として、これらの重合体のうち1種類のみを単独で含有してもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて含有してもよい。
【0017】
脂環式オレフィン樹脂に含まれる脂環式オレフィン重合体の分子量は使用目的に応じて適宜選定されるが、溶媒としてシクロヘキサンを用いて(但し、重合体がシクロヘキサンに溶解しない場合にはトルエンを用いてもよい)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレン換算(溶媒がトルエンのときは、ポリスチレン換算)の重量平均分子量(Mw)で、通常10,000以上、好ましくは15,000以上、より好ましくは20,000以上であり、通常100,000以下、好ましくは80,000以下、より好ましくは50,000以下である。重量平均分子量がこのような範囲にあることにより、得られる基材フィルムの機械的強度及び成型加工性などが高度にバランスされるため好ましい。
【0018】
脂環式オレフィン樹脂が含有しうる任意の成分としては、例えば酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、塩素捕捉剤、難燃剤、結晶化核剤、強化剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、離型剤、顔料、有機又は無機の充填剤、中和剤、滑剤、分解剤、金属不活性化剤、汚染防止剤、抗菌剤やその他の樹脂、熱可塑性エラストマーなどの公知の添加剤を挙げることができる。
これらの添加剤の量は、本発明の効果を損なわない範囲とすることができる。例えば、樹脂Aに含まれる重合体100重量部に対して、通常0〜50重量部、好ましくは0〜30重量部である。
【0019】
脂環式オレフィン樹脂は、高い透明性を有するものに必ずしも限られないが、本発明のガスバリア積層体を表示装置や光源装置において光を透過することが求められる部分に用いうる有用なものとするという観点から、高い透明性を有するものが好ましい。例えば、脂環式オレフィン樹脂を厚み1mmの試験片として測定した全光線透過率が、通常70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である透明性を有するものが好ましい。
【0020】
〔基材フィルム;延伸〕
脂環式オレフィン樹脂を、原反フィルムに成形し、かかる原反フィルムを二軸延伸することにより、本発明のガスバリア積層体用の基材フィルムとして用いうる二軸延伸フィルムを得ることができる。
【0021】
かかる原反フィルムの形状は、所望の延伸倍率により所望の寸法の基材フィルムが得られるよう、適宜設定することができる。好ましくは、長尺のフィルム状の形状とすることができる。原反フィルムは、脂環式オレフィン樹脂のみからなる単層のフィルムでもよく、複数種類の脂環式オレフィン樹脂の層からなる複層フィルムでもよく、脂環式オレフィン樹脂の層及び脂環式オレフィン以外の樹脂の層からなる複層フィルムであってもよく、さらにこれらの組み合わせであってもよい。脂環式オレフィン以外の樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、フルオレン変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、メタクリル-マレイミド共重合体、ポリスチレン、トリアセチルセルロース、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド等の樹脂を挙げることができる。
【0022】
二軸延伸は、原反フィルムを、その面に平行であって且つ互いに直交する2の方向に延伸することにより行うことができる。ここで、「直交」する方向とは、90°の角度をなすことが好ましいが、加えて、±10°程度の誤差を含む場合をも含むことができる。
通常、直交する2の方向は、それぞれ、長尺のフィルムのMD方向(フィルムの流れ方向、即ち長尺のフィルムの長さ方向)及びTD方向(MD方向に直交する、フィルムの幅方向)とされるが、これに限られず、MD及びTD方向に対して斜めの、互いに直交する2方向であってもよい。
【0023】
二軸延伸の態様は、逐次二軸延伸(2方向の延伸のそれぞれを別々の工程として行う)であってもよく、同時二軸延伸(2方向の延伸の工程の少なくとも一部を同時に行う延伸)であってもよい。製造の効率の点からは同時二軸延伸が好ましいが、Re値をなるべく少ない値とすることが求められる場合など、2方向の延伸を独立して精密に制御する必要がある場合には、かかる制御が容易という点から、逐次二軸延伸が好ましい場合もある。
【0024】
二軸延伸の、好ましい延伸倍率は、2方向それぞれにおいて1.05〜4.5倍であることが好ましく、1.5〜3.5倍であることがより好ましい。また、2方向の倍率の比は、1:1〜2:1の範囲内であることが、高温高湿条件下での透湿度変化を最小とするため、及びガスバリア積層体を透過する光を均質なものとするために好ましい。
【0025】
二軸延伸を行う際の温度は、原反フィルムのTg(ガラス転移温度)を基準に適宜設定することができる。具体的には例えば、Tg以上Tg+30℃以下の範囲、より好ましくはTg以上Tg+20℃以下の範囲とすることができる。原反フィルムが脂環式オレフィン樹脂の層及びそれ以外の樹脂の層からなる複層フィルムである場合は、脂環式オレフィン樹脂の層のTgを原反フィルムのTgとすることができる。原反フィルムが複数種類の異なるTgを有する脂環式オレフィン樹脂の層を有する場合は、最も低いTgを有する脂環式オレフィン樹脂の層のTgを原反のTgとすることができる。
【0026】
二軸延伸を行うのに用いる装置として、例えば、テンター延伸機、及びその他の、ガイドレールと当該ガイドレールに沿って移動する把持子を有する延伸機を好ましく挙げることができる。またその他に、縦一軸延伸機、バブル延伸機、ローラ延伸機等の任意延伸機を使用することができる。
【0027】
〔基材フィルム;物性等〕
基材フィルムの、波長550nmにおける面内レターデーションRe、波長550nmにおける厚み方向のレターデーションRth、及びフィルムの厚さdは、下記式(1)及び(2)の関係を満たす。
【0028】
Re/d<0.003 (1)
Rth/d>0.001 (2)
【0029】
本発明者らが見出したところによれば、脂環式オレフィン樹脂からなる二軸延伸フィルムたる基材フィルムが、上記式(1)及び(2)の関係を満たすことにより、無機バリア層と積層された際に、高温高湿の環境下においてのガスバリア性能を経時的に維持しうるという有利な性能を呈する。Re/d及びRth/は、好ましくは下記式(3)及び(4)を満たす:
【0030】
0.00003<Re/d<0.003 (3)
0.001<Rth<0.0045 (4)
【0031】
Re/d及びRth/dの値が上記範囲内である基材フィルムは、原反フィルムの厚さ及び二軸延伸の倍率、延伸温度、及び延伸速度を適宜調節することにより得ることができる。
【0032】
基材フィルムの厚さdは、好ましくは10μm〜500μmであり、より好ましくは30μm〜250μmとすることができる。ガスバリア積層体が複数枚の基材フィルムを有する場合は、かかる複数の基材フィルムのそれぞれが、上記好ましい範囲の厚さを有することが好ましい。
【0033】
基材フィルムの厚さdは、接触式膜厚計により測定することができる。具体的には、TD方向に平行な線状において等間隔で10点測定し、その平均値を求め、これを厚さdとすることができる。
【0034】
基材フィルムの波長550nmにおける面内レターデーションReは、好ましくは0nm〜160nmであり、より好ましくは5nm〜80nm、更に好ましくは10nm〜50nmとすることができる。基材フィルムの波長550nmにおける厚み方向のレターデーションRthは、好ましくは0nm〜500nmであり、より好ましくは10nm〜300nm、更に好ましくは20nm〜200nmとすることができる。基材フィルムの波長550nmにおける面内レターデーションRe及び波長550nmにおける厚み方向のレターデーションRthは、王子計測機器(株)製 KOBRA−21ADH等の計測機器により求めることができる。
【0035】
基材フィルムの、上記以外の物性は、特に限定されないが、熱膨張率が70ppm/k以下であることが好ましく、50ppm/k以下であることがより好ましく、40ppm/k以下であることが更に好ましく、湿度膨張率は30ppm/RHであることが好ましく、10ppm/RHであることがより好ましく、1.0ppm/RHであることが、更に好ましい。かかる熱膨張率は、基材フィルムを20mm×5mmの試料片とし、荷重5.0g、窒素100cc/分、昇温速度0.5℃/分の条件で、30℃から130℃にわたり昇温した際の試料片の長さの伸びを測定することにより測定した値とすることができる。かかる湿度膨張率は、基材フィルムを20mm×5mmの試料片とし、荷重5.0g、窒素100cc/分、温度25℃、速度5.0%RH/分の条件で、30%RHから80%RHにわたり湿度を上昇した際の試料片の長さの伸びを測定することにより測定した値とすることができる。基材フィルムのRe/d及びRth/dを上記好ましい範囲内に適宜調節することにより、かかる好ましい熱膨張率を得ることができる。かかる好ましい熱膨張率を得ることにより、高温高湿の環境下における経時的なガスバリア性能の低下が抑制されたガスバリア積層体を得ることができる。
【0036】
〔無機バリア層〕
本発明のガスバリア積層体が備える無機バリア層は、無機材料を主成分とし、水分及び酸素等の、外気中に存在する成分であって表示装置及び発光装置等の装置の内部の構成要素(例えば、有機EL素子の発光層等)を劣化させうる成分をバリアする能力を有する層である。
無機バリア層の水蒸気透過率は、その上限が1.0g/m2・day以下であることが好ましく、0.2g/m2・day以下であることがより好ましい。一方水蒸気透過率の下限は、0g/m2・dayであることが最も好ましいが、それ以上の値であっても、上記上限以下の範囲内であれば、好ましく機能しうる。
【0037】
無機バリア層の材料は、特に限定されないが、好ましい材料として、珪素の酸化物、窒化物、窒化酸化物、アルミニウムの酸化物、窒化物、窒化酸化物、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)及びこれらの2以上が混合した材料とすることができる。透明性の点では、珪素の酸化物、窒化酸化物が特に好ましく、一方基材フィルムの材料である脂環式オレフィン樹脂との親和性の点では、DLCが特に好ましい。
【0038】
珪素の酸化物、窒化物、窒化酸化物、としては、SiOx(透明性、水蒸気バリア性を両立するためには、1.4<x<2.0が好ましい。)、SiNy(透明性、水蒸気バリア性を両立するためには、0.5<y<1.5が好ましい。)、SiOxNy(密着性向上を重視するときは1<x<2.0,0<y<1.0として酸素リッチの膜とすることが好ましく、水蒸気バリア性向上を重視するときは0<x<0.8、0.8<y<1.3として窒素リッチの膜とすることが好ましい。)等を挙げることができる。アルミニウムの酸化物、窒化物、窒化酸化物としては、AlOx、AiNy、やAlOxNyを挙げることができる。無機バリア性の観点からはSiOxNyやAlOx、およびそれらの混合物をより好ましい材料として用いることができる。
【0039】
無機バリア層の厚さは、3〜500nmであることが好ましく、10〜100nmであることがより好ましい。
この程度の厚さの透明な無機バリア層は、通常の基材フィルムに比べて十分薄く、また、ガスバリア積層体の光学的数値(Re、Rth等)にほとんど影響しないので、本発明のガスバリア積層体が基材フィルムと無機バリア層のみからなる場合は、ガスバリア積層体全体の光学的数値を測定し、それを基材フィルムの光学的数値とみなすことができる。
【0040】
無機バリア層の形成方法は、特に限定されないが、好ましくは、基材フィルム上に、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、イオンビームアシスト蒸着、アーク放電プラズマ蒸着、熱CVD、プラズマCVD法等の成膜方法により形成することが好ましい。アーク放電プラズマを用いると適度なエネルギーを有する蒸発粒子が生成され高密度の膜を形成することができる。複数種類の成分を含む無機バリア層を形成する場合、これらを同時に蒸着又はスパッタリングすることができる。
【0041】
無機バリア層は、一枚の基材フィルムの表裏の両面のうち、少なくとも一方の面に設けられるが、両面に設けられてもよい。例えば、図2に示すガスバリア積層体200の通り、基材フィルム131の表裏の両面に、それぞれ、無機バリア層121及び122を有してもよい。
【0042】
本発明において、無機バリア層は、ガスバリア積層体の表裏の一方の面から他方の面への、水分及び酸素等の成分の透過をバリアするのに加えて、基材フィルム自体を保護し、基材フィルムが外気の水蒸気を吸収して膨張することを防止し、ひいては装置の変形を防止する効果をも発現しうる。
加えて、本発明のガスバリア積層体を基板としてその上に透明電極層を形成する場合は、蒸着、スパッタリング等の、透明電極層の形成の工程の条件下において、基材フィルムからアウトガスが放出されるのを防止することができるので、透明電極層の形成の条件を自由に選択することができ、その結果、透明電極層の抵抗値を低減することができる、または透明電極層を容易に製造することが可能となる、等の効果を奏しうる。
さらに、一般に、脂環式ポリオレフィン樹脂は他の材料との親和性が低いことが多いところ、無機バリア層は脂環式ポリオレフィン樹脂ともその他の材料とも高い親和性を有し得るため、無機バリア層が脂環式ポリオレフィン樹脂からなる層とその他の材料からなる層との間に設けられることにより、脂環式ポリオレフィン樹脂と他の材料からなる層との密着性が良好となるという効果も奏されうる。
【0043】
〔光拡散層、凹凸構造層〕
本発明のガスバリア積層体は、基材フィルム及び無機バリア層の他に、任意の層をさらに備えることができる。具体的には、光拡散層、又は凹凸構造層を備えることができる。また、本発明のガスバリア積層体は、光拡散層及び凹凸構造層の双方を備えることができる。また、本発明のガスバリア積層体は、凹凸構造層であって光拡散層としての機能をも有するものを備えることができる。
光拡散層、及び凹凸構造層は、基材フィルム及び無機バリア層より外側の層として設けることができる。例えば、図3に示すガスバリア積層体300の通り、基材フィルム131及びその一方の面上の無機バリア層121に加えて、さらにその上に設けられた光拡散層又は凹凸構造層111を備える構成とすることができる。又は、図4に示す通り、基材フィルム131及びその一方の面上の無機バリア層121に加えて、基材フィルム131の、無機バリア層121が設けられた面とは反対側の面上に設けられた光拡散層又は凹凸構造層111を備える構成とすることもできる。
【0044】
〔光拡散層〕
光拡散層の材料は、光拡散性のある樹脂組成物とすることができる。具体的には、各種樹脂、または当該樹脂と拡散子とを含む組成物とすることができる。かかる樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、並びに紫外線硬化性樹脂及び電子線硬化性樹脂等のエネルギー線硬化性樹脂を挙げることができる。なかでも熱可塑性樹脂は熱による変形が容易であるため、また紫外線硬化性樹脂は硬化性が高く効率が良いため、凹凸構造を有する光拡散層層の効率的な形成が可能となり、それぞれ好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、脂環式構造含有重合体樹脂を挙げることができる。また紫外線硬化性樹脂としては、エポキシ系、アクリル系、ウレタン系、エン/チオール系、イソシアネート系の樹脂を挙げることができる。これらの樹脂としては、複数個の重合性官能基を有するモノマーを重合した重合体を好ましく用いることができる。前記樹脂の製造にあたり原料として用いうるモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジベンジルアミノ)メチル、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル等の不飽和置換の置換アミノアルコールエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の化合物、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等の多官能性化合物、及び/又は分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物、例えばトリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等が挙げられる。通常、以上の化合物を必要に応じて、1種若しくは2種以上を混合して用いる。フレキシビリティーが要求されるときは、モノマー量を減らすか、官能基の数が1又は2のアクリレートモノマーを使用するとよい。耐摩耗性、耐擦傷性、耐熱性、耐溶剤性が要求されるときは、官能基の数が3つ以上のアクリレートモノマーを使うと良い。高屈折率が要求される場合には、芳香環、フルオレン骨格を有するアクリレートモノマーを好適に用いることが出来る。ここで、官能基が1のものとして、フェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化o−フェニルフェノールアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート及びイソボルニルアクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート及びブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。官能基が2のものとして、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル)フルオレンが挙げられる。官能基が3以上のものとして、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクレリート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
光拡散層の材料は、必要に応じて、マット剤、スリップ剤、帯電防止剤、界面活性剤を含むことができる。
【0045】
光拡散層の材料としては、その表面の耐擦傷性を得やすいという観点から、硬度が高い材料が好ましい。具体的には、7μmの膜厚の層を基材上に凹凸構造が無い状態で形成した際に、鉛筆硬度でHB以上になるような材料が好ましく、H以上になる材料がさらに好ましく、2H以上になる材料がより好ましい。特に、光拡散層を、凹凸構造層であって光拡散層としての機能をも有する層とする場合には、このような硬度が高い材料を採用することにより、耐久性の高い凹凸構造を容易に形成することができる。
【0046】
光拡散層が含有しうる拡散子としては、各種の粒子を挙げることができる。当該粒子は、透明であっても、不透明であってもよい。粒子の材料としては、金属及び金属化合物、並びに樹脂等を用いることができる。金属化合物としては、金属の酸化物及び窒化物を挙げることができる。金属及び金属化合物としては、具体的には例えば銀、アルミのような反射率が高い金属、酸化ケイ素、酸化アルミ、酸化ジルコニウム、窒化珪素、錫添加酸化インジウム、酸化チタンなどの金属化合物を挙げることができる。一方樹脂としては、メタクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。
【0047】
粒子の形状は、球状、円柱状、立方体状、直方体状、角錐状、円錐状、星型状等の形状とすることができる。
粒子の粒径は好ましくは0.1μm以上10μm以下であり、より好ましくは5μm以下であり、更に好ましくは、1μm以下である。ここで粒径とは、体積基準の粒子量を、粒子径を横軸にして積算した積算分布における50%粒子径のことである。粒径が大きいほど、所望の効果を得るために必要な粒子の含有割合は多くなり、粒径が小さいほど、含有量は少なくてすむ。従って、粒径が小さいほど、観察角度による色味の変化の低減、及び光取り出し効率の向上等の所望の効果を、少ない粒子で得ることができる。なお、粒径は、粒子の形状が球状以外である場合には、その同等体積の球の直径を粒径とする。
【0048】
粒子が透明な粒子であり、且つ粒子が樹脂中に含まれる場合において、粒子の屈折率と、樹脂の屈折率は、それらの差が0.05〜0.5であることが好ましく、0.07〜0.5であることがより好ましい。ここで、粒子及び樹脂の屈折率は、どちらがより大きくても良い。粒子と樹脂の屈折率が近すぎると拡散効果が得られず色味ムラは抑制されず、逆に差が大きすぎると拡散が大きくなり色味ムラは抑制されるが光取出効果が低減することになる。
【0049】
光拡散層が樹脂と拡散子とを含む場合における、光拡散層中の拡散子の配合割合は、3〜50重量%であることが好ましい。
【0050】
光拡散層の厚さは、その下限が1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、一方その上限が50μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましく、15μm以下であることがさらにより好ましい。特に、前記上限以下の厚さであることにより、硬化収縮によるガスバリア積層体のカール等の変形を防ぎ、良好な形状の積層体とすることができる。
【0051】
光拡散層のヘイズは、80%〜95%とすることができる。
【0052】
本発明のガスバリア積層体が前記光拡散層を備える場合において、当該ガスバリア積層体を有する面発光体(例えば有機EL発光体)を構成し、この面発光体を液晶表示装置等のバックライト装置として使用し、このバックライト装置に、3M社製のDBEFや、ワイヤーグリッド偏光子、コレステリック液晶を用いたもの、多重散乱のものを含む輝度向上フィルムを組み合わせて用いた場合には、当該ガスバリア積層体を構成する基材フィルムのレターデーションを低減する効果を有するため、上記輝度向上フィルムによる輝度向上効果をより一層高めることができるという効果を奏することができる。
【0053】
〔凹凸構造層の凹凸構造〕
前記凹凸構造層は、その表面に凹凸構造を有する。ここでいう、層の「表面」とは、通常、かかる層の、基材フィルム側の面と反対側の面である。当該凹凸構造としては、斜面を含む複数の凹部と、前記凹部の周囲に位置する平坦部とを含む凹凸構造を好ましく挙げることができる。ここで「斜面」とは、基材フィルムの面方向と平行でない角度をなす面である。一方、平坦部上の面は、基材フィルムの面方向と平行な面とすることができる。
【0054】
図7は、凹凸構造層を備える本発明のガスバリア積層体の一例を概略的に示す斜視図であり、図8は、図7に示したガスバリア積層体を線1a−1bを通る面で切断した断面を示す断面図である。図7に示すガスバリア積層体700は、基材フィルム131、無機バリア層121、及び凹凸構造層111がこの順に積層された構造を有し、凹凸構造層111の表面10Uは、凹部113及び凹部113の周囲に位置する平坦部114からなる凹凸構造を有している。
【0055】
かかる凹凸構造を、図9及び図10を参照してより詳細に説明する。図9は、凹凸構造層111の表面構造により規定される、ガスバリア積層体700の表面10Uの構造を拡大して模式的に示す部分上面図である。図10は、凹凸構造層111を、図9の線10aを通りガスバリア積層体の主面に垂直な面で切断した断面を示す部分断面図である。
【0056】
複数の凹部113のぞれぞれは正四角錐形状の窪みであり、従って凹部113の斜面11A〜11Dは同一の形状であり、底辺11E〜11Hは正方形を構成する。線10aは、一列の凹部113の全ての頂点11Pの上を通る線であり、且つ凹部113の底辺11E及び11Gと平行な線である。
【0057】
凹部113は、一定の間隔をおいて、直交する2配置方向に連続して配置されている。かかる2配置方向のうち一方の方向Xは底辺11E及び11Gと平行である。この方向Xにおいて、複数の凹部113は一定の間隔11Jをおいて整列している。2配置方向のうちの他方の方向Yは11F及び11Hと平行である。この方向Yにおいて複数の凹部113は一定の間隔11Kをおいて整列している。
【0058】
凹部113のそれぞれを構成する斜面11A〜11Dが平坦部114となす角(斜面11B及び11Dについては、それぞれ図10に示す角11L及び11M)は例えば60°に設定され、これにより、凹部113を構成する正四角錐の頂角、即ち頂点11Pにおいて相対向する斜面がなす角(斜面11B及び11Dがなす角については、図10に示す角11N)も60°となっている。
【0059】
このように、ガスバリア積層体が、面光源装置の装置出光面にあたる表面において、複数の凹部と、各凹部の周囲に位置する平坦部とを含む構成を有することにより、光取り出し効率を高め、且つ観察角度による色味の変化を低減することができ、しかも、外部衝撃により凹凸構造の欠け等が生じるのを防止でき、ひいては装置出光面の機械的強度を向上させることができる。
【0060】
本発明のガスバリア積層体は、上記の凹凸構造を有する凹凸構造層を備えることにより、これらの層側から出光する光における半球状全方位での色度座標のx座標およびy座標の少なくともいずれかの変位を、上記の構成をとらない場合に比べ低減させることができる。このため、本発明のガスバリア積層体を備える本発明の面光源装置において、観察角度による色味の変化を抑えることができる。かかる半球状全方位での色度の変位を測定する方法として、例えば装置出光面の法線方向(即ち凹部を無視して巨視的に見た装置出光面に垂直な方向)上に分光放射輝度計を設置し、法線方向を0°とした時その装置出光面を−90〜90°まで回転させられる機構を付与することで、各方向で測定した発光スペクトルから色度座標を算出できるため、その変位を算出できる。
【0061】
凹凸構造を、ガスバリア積層体に垂直な方向から観察した場合における、平坦部が占める面積と凹部が占める面積との合計に対する、平坦部が占める面積の割合(以下、「平坦部割合」という。)を適宜調節することにより、面光源装置の光取り出し効率を向上させることができる。具体的には、平坦部割合を10〜75%とすることにより、良好な光取り出し効率を得ることができ、且つ装置出光面の機械的強度を高めることができる。
【0062】
凹凸構造において、凹部は、例えば、上に述べた角錐形状に加え、円錐形状、球面の一部の形状、溝状の形状、及びこれらを組み合わせた形状を有しうる。角錐形状は、前記凹部113として例示するように底面が正方形である四角錐としうるが、これに限られず、三角錐、五角錐、六角錐、底面が正方形でない四角錐などの角錐形状とすることもできる。
【0063】
さらに、本願でいう円錐及び角錐は、その頂部が尖った通常の円錐及び角錐のみならず、先端が丸みを帯びた形状、又は平らに面取りされた形状(錐台状の形状等)をも包含する。例えば、図10に示す凹部113では四角錐の頂部11Pは尖った形状となっているが、これが、図11に示す凹部613の頂部61Pのように丸みを帯びた形状になっていてもよい。また、図12に示す凹部713のように、角錐の頂部に平坦な部分71Pを設け、平らに面取りされた形状とすることもできる。
【0064】
図11に示すように角錐の頂部が丸みを帯びた形状である場合、その頂部61Pと、当該角錐が丸みを帯びず尖った形状となっていた場合の頂部61Qとの高さの差61Rは、当該角錐が丸みを帯びず尖った形状となっていた場合の角錐の高さ61Sの20%以下とすることができる。図12に示すように角錐の頂部が平らに面取りされた形状である場合、平坦な部分71Pと、当該角錐の頂部が平坦で無く尖った形状となっていた場合の頂部71Qとの高さの差71Rは、当該角錐の頂部が平坦で無く尖った形状となっていた場合の角錐の高さ71Sの20%以下とすることができる。
【0065】
凹凸構造における凹部の深さは、特に限定されないが、凹凸構造が形成された表面を様々な方向(出光面と平行な面内の様々な方向)に沿って測定した中心線平均粗さの最大値(Ra(max))として、1〜50μmの範囲内とすることができる。好ましい凹部の深さは、凹凸構造層の厚さに対して相対的に定めることができる。例えば、凹凸構造層の材料として、凹凸構造の耐久性の維持に有利な硬質の材料を用いた場合、凹凸構造層の厚さを薄くしたほうが、ガスバリア積層体の可撓性を高めることが可能となり、面光源装置の製造工程におけるガスバリア積層体の取り扱いが容易となる。具体的には、図10に示す凹部の深さ16Dに対する凹凸構造層111の厚さ16Eの割合は、1:1〜1:3であることが好ましい。凹凸構造層の厚さは、その下限が1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、一方その上限が50μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましく、15μm以下であることがさらにより好ましい。特に、前記上限以下の厚さであることにより、硬化収縮によるガスバリア積層体のカール等の変形を防ぎ、良好な形状の積層体とすることができる。
【0066】
本発明において、凹部の斜面と、出光面とがなす角は40〜70°であることが好ましく、45〜60°であることがより好ましい。例えば凹部の形状が、図10に示す四角錐である場合、その頂角(図10における角11P)は、60〜90°となることが好ましい。また、観察角度による色味の変化を最小限にしつつ光取り出し効率も高めるという観点からは、斜面と基材フィルムの面とがなす角は大きいほうが好ましく、具体的には例えば55°以上とすることが好ましく、60°以上とすることがさらにより好ましい。この場合、かかる角の上限は、凹凸構造層の耐久性の維持を考慮し、70°程度とすることができる。
【0067】
凹部の形状が、頂部において丸みを帯びた又は平らに面取りされた角錐形状、円錐形状又は溝状の形状である場合は、当該丸みを帯びた部分又は面取りされた部分を除く斜面の角度を、斜面の角度とする。例えば、図11及び図12に示す例では、面613a、613b、713a及び713bを、角錐の斜面とする。斜面の角度をこのような角度とすることにより、光取り出し効率を高めることができる。凹凸構造の斜面は、必ずしも全てが同じ角度である必要は無く、上記範囲内で、異なる角度を有する斜面が共存していてもよい。なお、円錐形状の斜面と基材フィルムの面とがなす角とは、かかる円錐の母線と基材フィルムの面とがなす角とすることができる。
【0068】
凹凸構造層の表面において、複数の凹部は、任意の態様で配列することができる。例えば、複数の凹部を、表面上の2以上の方向に沿って配列することができる。より具体的には、図7及び図9に示した凹部113のように、直交する2方向に沿って配列することができる。
【0069】
2以上の方向に凹部を配列した場合において、それらのうち1方向以上の方向に、隣り合う凹部間の隙間を設け、かかる隙間により平坦部を構成することができる。例えば、図9に示す凹部113の配列では、直交する2方向において、それぞれ間隔11J及び11Kの隙間を設けて、かかる隙間により平坦部114を構成している。このような構成を採用することにより、良好な光取り出し効率と、積層体表面の機械的強度とを両立させることができる。
【0070】
凹凸構造層の材料は、光拡散層の材料として上に例示した各種樹脂とすることができる。凹凸構造層として、光拡散層としての機能を有するものを設ける場合は、上に例示した光拡散層の材料と同様の、樹脂及び拡散子を含む組成物とすることができる。
【0071】
本発明のガスバリア積層体が、凹凸構造層と、光拡散層とを、別々の層として備える場合、凹凸構造層がガスバリア積層体の最外層となり、凹凸構造がガスバリア積層体の表面に位置することが好ましい。かかる構成を有することにより、上に述べた、観察角度による色味の変化の抑制等の凹凸構造層の効果を良好に得ることができる。
【0072】
(光拡散層及び凹凸構造層の形成方法)
光拡散層及び凹凸構造層は、例えば、かかる層を形成するのに適した樹脂組成物(1)を調製し、これを用いて、ガスバリア積層体を構成する他の層上に形成することができる。光拡散層及び凹凸構造層を形成するのに適した樹脂組成物(1)としては、硬化することにより上に列挙したそれぞれの層の材料を構成しうる、樹脂、モノマー、またはこれらと拡散剤とを含む組成物を用いることができる。樹脂組成物(1)は、必要に応じて、溶媒を含むことができる。しかしながら、樹脂組成物(1)は、溶媒を添加せず調製し、形成工程において揮発することが必要な成分が、少ないか又は存在しない組成物とすることが、後述するフォトポリマー法を円滑に行いうる等の観点から好ましい。
【0073】
樹脂組成物(1)を、第1のガスバリア層の面上に塗布して塗膜を得、もし必要であれば塗膜中の溶媒を揮発させ、さらに必要に応じてエネルギー線の照射等による硬化処理を行うことにより、光拡散層及び/又は凹凸構造層を得ることができる。
【0074】
凹凸構造層の凹凸構造の形成は、所望の形状を有する金型等の型を調製し、前記塗膜を得た後の任意の段階で前記型の形状を転写することにより行うことができる。
【0075】
より具体的には、前記塗膜を得た後硬化処理を行う前に、フォトポリマー法(2P法)による凹凸構造の形成を行うことが好ましい。即ち、形成した前記塗膜に型を当て、その状態で塗膜を硬化させ、凹凸構造を有する硬化した層を形成することが好ましい。この場合、樹脂組成物(1)としては、紫外線等のエネルギー線により硬化しうる組成物を用いることが好ましい。かかる樹脂組成物(1)を、基材フィルム又は無機バリア層上に塗布して塗膜を得、当該塗膜に型を当てた状態で、塗布面の裏側に位置する光源から、紫外線等のエネルギー線を照射し、樹脂組成物(1)を硬化させ、その後型を剥離することにより、型の凹凸構造が反転した形状の凹凸構造を有する、凹凸構造層を得ることができる。
【0076】
〔その他の任意の層〕
本発明のガスバリア積層体は、上記各層に加えて、他に任意の層を備えうる。かかる任意の層としては、例えば、2軸延伸フィルムである基材フィルムに加えて備えうる、1軸延伸又は非延伸の脂環式オレフィン樹脂からなるフィルム、又は他の材料からなるフィルムを設けることができる。その他、帯電防止層、ハードコート層、導電性付与層、汚染防止層を設けることが出来る。かかる任意の層は、基材フィルム上にかかる任意の層の材料を塗布し硬化させる方法、又は、後述する熱圧着により貼付する方法などの方法により設けることができる。
【0077】
〔ガスバリア積層体の物性〕
本発明のガスバリア積層体全体の水蒸気透過率は、1×10−6〜1×10−2g/m2・dayとすることができる。このような積層体全体の水蒸気透過率は、無機バリア層及びその他の層の材質及び厚さを適宜選択することにより達成しうる。
【0078】
〔その他の態様〕
本発明のガスバリア積層体は、基材フィルム及び無機バリア層をそれぞれ1枚ずつのみ備えていてもよいが、これらのいずれか又は両方を複数枚備えることもできる。無機バリア層を複数層備えることにより、ガスバリア性能をより高めることができる。
【0079】
無機バリア層を複数層備え、且つ基材フィルムを複数備えることにより、ガスバリア性能が高く、強度が高く、且つ容易に製造しうるガスバリア積層体とすることができる。つまり、無機バリア層を、基材フィルム上にスパッタリング等の方法により設ける場合、基材フィルムの表面及び裏面の両方に無機バリア層を設けることは製造工程上困難であるところ、複数の基材フィルムのそれぞれに一層ずつ無機バリア層を設け、これを貼付することにより、複数の無機バリア層を有するガスバリア積層体を容易に得ることができる。とくに、スパッタリング等の低圧の工程を含む製造方法の場合、ガス引きの工程が少なくて済むため、効率的な製造を行うことができる。
【0080】
複数層の基材フィルムを貼付する場合、かかる貼付は、熱圧着などにより達成することができる。即ち、複数の基材フィルムのそれぞれの、貼り合せる面を、必要に応じて酸素プラズマ処理、UVオゾン処理、及びコロナ処理等の処理を施した後、真空ラミネート装置を用いて、加熱しながら圧着することにより、貼付を達成することができる。この際、貼り合せる面のどちらか一方又は両方は、基材フィルムが露出した面とすることができる。貼付工程は、生産性の観点から、ロールトゥロールで行うことが好ましい。
【0081】
複数層の基材フィルムを貼付する場合、それらの延伸方向は揃えた状態(具体的には角度誤差10°以内)とすることが、良好な低熱膨張率を得るなどの観点から好ましい。
【0082】
基材フィルムが複数層存在する場合、無機バリア層はそれらの間に存在してもよい。また、基材フィルム及び無機バリア層がいずれも複数層存在する場合、無機バリア層は最外層のみに存在していてもよく、最外層と、基材フィルムの間の両方に存在していてもよい。
【0083】
図5及び図6のそれぞれは、本発明のガスバリア積層体であって、基材フィルム及び無機バリア層を2層ずつ備える場合の一例を示す断面図である。
【0084】
図5に示すガスバリア積層体500は、基材フィルム131、無機バリア層121、基材フィルム132、及び無機バリア層122がこの順に積層された層構成を有している。
ガスバリア積層体500は、下記の方法により製造することができる。即ち、基材フィルム131上に無機バリア層121を設けて第1の積層体を得て、一方基材フィルム132上に無機バリア層122を設けて第2の積層体を得て、第1の積層体の無機バリア層121側の面及び/又は第2の積層体の基材フィルム132側の面に必要に応じて酸素プラズマ処理、UVオゾン処理、及びコロナ処理等の処理を施し、これらの面を合わせて貼付することにより、ガスバリア積層体500を得ることができる。
【0085】
図6に示すガスバリア積層体600は、無機バリア層121、基材フィルム131、基材フィルム132、及び無機バリア層122がこの順に積層された層構成を有している。
ガスバリア積層体600は、下記の方法により製造することができる。即ち、基材フィルム131上に無機バリア層121を設けて第1の積層体を得て、一方基材フィルム132上に無機バリア層122を設けて第2の積層体を得て、第1の積層体の機材フィルム131側の面及び/又は第2の積層体の基材フィルム132側の面に必要に応じて酸素プラズマ処理、UVオゾン処理、及びコロナ処理等の処理を施し、これらの面を合わせて貼付することにより、ガスバリア積層体600を得ることができる。
【0086】
〔用途〕
本発明のガスバリア積層体の用途は、特に限定されないが、液晶表示装置並びに有機EL素子を有する表示装置及び光源装置等の装置の構成要素として用いることができる。具体的には、装置を構成する他の構成要素を、水分及び酸素から保護するために封止するための層として用いることができる。
特に、本発明のガスバリア積層体が光拡散層を有する場合、かかる光拡散層を有する面を装置の最外層とするよう配置し、封止の機能と光取り出し効率を高める機能とを発揮する構成要素として用いることができる。
【0087】
〔面光源装置;概要〕
本発明の面光源装置は、前記本発明のガスバリア積層体、及び有機EL素子を備える。
図13は、図7及び図8に示した、凹凸構造層111を備える本発明のガスバリア積層体700を備える、本発明の面光源装置の一例を模式的に示す斜視図であり、図14は、図13に示す面光源装置10を、図13中の線1a−1bを通り、基材フィルムの面方向と垂直な面で切断した断面を示す断面図である。
【0088】
面光源装置10は、矩形の平板状の構造を有する装置であり、装置出光面側に位置する本発明のガスバリア積層体700と、ガスバリア積層体700の基材フィルム131側の面146に接して設けられた透明電極層141と、透明電極層141に接して設けられた発光層142と、発光層142に接して設けられた反射電極層143とを備える。透明電極層141、発光層142及び反射電極層143は、有機EL素子140を構成する。面光源装置10はさらに、任意の構成要素として、有機EL素子140の、装置出光面とは反対側の表面145側に封止基板151を有する。
【0089】
発光層142からの光は、透明電極層141を透過するか、又は反射電極層143で反射され、発光層142及び透明電極層141を透過して、装置出光面側に向かう。有機EL素子140から出光した光の多くは、基材フィルム131、無機バリア層121、及び凹凸構造層111を、この順に透過して、表面10Uから出光する。したがって、ガスバリア積層体700の表面10Uは、面光源装置10の装置出光面となる。
【0090】
このように、発光層142からの光が、ガスバリア積層体700を透過して出光することにより、ガスバリア積層体700の表面10Uの凹凸構造により、光取り出し効率を向上させることができる。また、凹凸構造層111等の層が拡散性を有する場合は、それによりさらに光が拡散された状態で出光され、その結果、観察角度による出光面の色味の変化を抑制することができる。
【0091】
また、ガスバリア積層体700が、水蒸気及び酸素等の外気中の発光層を劣化させる成分が装置出光面側から発光層へ到達することを防止するので、寿命の長い装置とすることができる。特に、本発明のガスバリア積層体は、高温高湿の環境下における経時的なガスバリア性能の低下が抑制された積層体であるため、かかる積層体を有する本発明の面光源装置は、高温高湿の長期間の使用下においても有機EL素子がそれを劣化させる成分から有効に保護され、その結果高温高湿の環境下においても経時的な性能の低下が少ない面光源装置とすることができる。
【0092】
〔面光源装置;有機EL素子〕
前記有機EL素子140として例示するように、本発明の面光源装置においては、透明電極層と、反射電極層等の前記透明電極層に対向する電極層と、これらの電極層間に設けられ、電極から電圧を印加されることにより発光する発光層と、により、有機EL素子が構成される。
【0093】
有機EL素子は、基板上に素子を構成する電極、発光層等の層を形成し、さらにそれらの層を覆う封止部材を設け、基板と封止部材で発光層等の層を封止した構成とされるのが一般的である。通常、ここでいう基板側から出光する素子はボトムエミッション型、封止部材側から出光する素子はトップエミッション型と呼ばれる。本発明の面光源装置は、これらのいずれであってもよいが、通常、基材フィルムを基板としたボトムエミッション型とすることができる。
【0094】
本発明において、有機EL素子を構成する発光層としては、特に限定されず既知のものを適宜選択することができる。発光層中の発光材料は1種類に限られず、また発光層も1層に限られず、光源としての用途に適合すべく、一種の層単独又は複数種類の層の組み合わせとすることができる。これにより、白色又はそれに近い色の光を発光するものとしうる。
【0095】
有機EL素子はさらに、電極間に、発光層に加えてホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、電子注入層及びガスバリア層等の他の層をさらに有することもできる。有機EL素子はさらに、電極に通電するための配線、発光層の封止のための周辺構造等の任意の構成要素を備えることもできる。
【0096】
有機EL素子の、ガスバリア積層体中の透明電極層に対向する電極は、特に限定されず既知のものを適宜選択することができる。図13及び図14に示す有機EL素子140のように、透明電極層141に対向する電極143を反射電極とすることにより、光拡散層又は凹凸構造層111側に出光する有機EL素子とすることができる。また、両方の電極を透明電極とし、さらに光拡散層と反対側に反射部材を有することにより、光拡散層側への出光を達成することもできる。
【0097】
電極及びその間に設ける層を構成する材料としては、特に限定されないが、具体例として下記のものを挙げることができる。
透明電極の材料としてはITO等を挙げることができる。
正孔注入層の材料としてはスターバースト系芳香族ジアミン化合物等を挙げることができる。
正孔輸送層の材料としてはトリフェニルジアミン誘導体等を挙げることができる。
黄色発光層のホスト材料としては同じくトリフェニルジアミン誘導体等を挙げることができ、黄色発光層のドーパント材料としてはテトラセン誘導体等を挙げることができる。
緑色発光層の材料としては、ピラゾリン誘導体などがあげられる。
青色発光層のホスト材料としてはアントラセン誘導体等を挙げることができ、青色発光層のドーパント材料としてはペリレン誘導体等を挙げることができる。
赤色発光層の材料としては、ユーロピウム錯体などを上げることができる。
電子輸送層の材料にはアルミニウムキノリン錯体(Alq)等を挙げることができる。
陰極材料にはフッ化リチウムおよびアルミニウムをそれぞれ用い、これらを順次真空成膜により積層させたものを挙げることができる。
【0098】
上記のもの又はその他の発光層を適宜組み合わせて積層型又はタンデム型と呼ばれる、補色関係にある発光色を発生する発光層を得ることができる。補色関係の組み合わせは、黄/青、又は緑/青/赤等とすることができる。
【0099】
本発明のガスバリア積層体を有する本発明の面光源装置は、照明器具及びバックライト装置等の用途に用いうる。
前記照明器具は、本発明の面光源装置を光源として有し、さらに、光源を保持する部材、電力を供給する回路等の任意の構成要素を含むことができる。前記バックライト装置は、本発明の面光源装置を光源として有し、さらに、筐体、電力を供給する回路、出光する光をさらに均一にするための拡散板、拡散シート、プリズムシート等の任意の構成要素を含むことができる。前記バックライト装置の用途は、液晶表示装置等、画素を制御して画像を表示させる表示装置、並びに看板等の固定された画像を表示させる表示装置のバックライトとして用いることができる。
【0100】
〔その他〕
本発明は、前記具体例には限定されず、本願の特許請求の範囲及びその均等の範囲内で、任意の変更を施すことができる。
例えば、本発明のガスバリア積層体は、無機バリア層及び基材フィルムに加えて、上述した光拡散層の他にも任意の層をさらに含むものであってもよい。かかる任意の層は、光拡散層、ガスバリア層、及び基材フィルムの間に位置する層のみならず、例えば光拡散層の表面の凹凸構造の上にさらに設けられたコーティング層であってもよく、かかるコーティング層が、本発明の面光源装置の装置出光面の凹凸構造を規定するものであってもよい。
また、上記実施形態の例示において、光拡散層の表面の全面に分布する凹部として、同一の形状からなるもののみが分布しているものを示したが、凹凸構造において、異なる形状の凹部が混在していてもよい。例えば、大きさの異なる角錐形状の凹部が混在していたり、角錐形状の凹部と円錐形状の凹部が混在していたり、複数の角錐が組み合わされた形状のものと単純な角錐形状とが混在していてもよい。
また、上記具体例において、凹凸構造を構成する平坦部の幅、及び隣り合う平坦部の間隔については、常に一定のものを示したが、平坦部の幅が狭いものと広いものとが混在していてもよく、また、平坦部の間隔が狭い箇所と広い箇所とが混在していてもよい。そのようにして、平坦部の高さ、幅、及び間隔の1以上の要素において、出射光の干渉をもたらす差異を超える寸法差が設けられている態様とすることにより、干渉による虹ムラを抑制することができる。
また、上記具体例中の反射電極層を、透明電極層と反射層に置き換えても、反射電極層と同様の効果を有する装置を構成することができる。
【実施例】
【0101】
以下、実施例及び比較例を参照して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0102】
実施例及び比較例において、諸物性の測定は、下記の通り行った。
【0103】
(厚みの測定)
接触式膜厚計でTD方向に10点測定し、その平均値を算出した。
【0104】
(Re及びRthの算出)
王子計測機器(株)製 KOBRA−21ADHにより、波長550nmにおけるRe及びRthをTD方向に10点測定した。
【0105】
(熱膨張率の測定)
測定対象を20mm×5mmの試料片に切り出し、熱機械分析装置(ブルカー・エイエックスエス社製、商品名「HC−TMA4000SA」)を用いて、荷重5.0g、窒素100cc/分、昇温速度0.5℃/分の条件で、30℃から130℃の熱膨張率(線膨張率)を測定した。
【0106】
(透湿度)
JIS K7129Bに基づいて、「PERMATRAN W3/33」(モコン社製)を用いて、40℃/90%RHの条件で測定を行った。測定は、測定対象の製造が完了した直後と、その後測定対象を高温高湿の環境に暴露した後に実施した。
高温高湿の環境への暴露は、「EHS−211MD」(エスペック社製)を用い、80℃、90%RHで1時間保持し、続いて120℃、30%RHで1時間保持することにより行った。
高温高湿の環境に暴露した前後の透湿度の変化率を下記式から算出した。
暴露前後の透湿度変化率(%)=(暴露後透湿度−暴露前透湿度)/(暴露前透湿度)×100
【0107】
<実施例1>
(1−1.基材フィルム)
ノルボルネン系樹脂(商品名「ZEONOR1600」、日本ゼオン社製、Tg163℃、屈折率1.53)のペレットを100℃で5時間乾燥した。
得られたペレットを押し出し機に供給し、押し出し機内で溶融させてから押出成形することにより未延伸フィルムを製膜し、インラインで同時二軸延伸機に供給した。延伸機において、ライン速度30m/分、延伸温度168℃、流れ方向(MD方向)2.0倍、幅方向(TD方向)2.0倍にて二軸延伸し、巻き取って基材フィルム1を得た。
得られた基材フィルムの厚み、Re、Rth、MD方向の熱膨張率、及びTD方向の熱膨張率を測定すると、それぞれ100.0μm、10.0nm、120.0nm、40.2ppm/k、及び41.0ppm/kであった。Re/d及びRth/dは、それぞれ、0.000100及び0.001200であった。
【0108】
(1−2.ガスバリア積層体)
上記(1−1)で得られた基材フィルム1の一方の面に、フィルム巻き取り式マグネトロンスパッタ装置を用いて、Siターゲットを用いて、アルゴン流量150sccm、酸素流量10sccm、出力4.0kW、真空度0.3Pa、巻きとり速度0.5m/分、張力30Nの条件で厚さ50nmのSiOx層を成膜し、ガスバリア積層体1を得た。ガスバリア積層体1は、図1に概略的に示すガスバリア積層体100の通り、基材フィルム1(図1中の基材フィルム131に相当)と、その一方の面に設けられたSiOx膜(図1中の無機バリア層121に相当)とを有する積層体であった。得られたガスバリア積層体の、高温高湿環境への暴露前後の透湿度を測定すると、それぞれ、4.2×10−2g/m2/day、4.3×10−2g/m2/dayであり、暴露前後の透湿度の変化率は、2.4%であった。
【0109】
<実施例2>
TD方向の延伸倍率を1.8倍に変更した以外は、実施例1の(1−1)と同様にして、基材フィルム2を得た。得られた基材フィルムの厚み、Re、Rth、MD方向の熱膨張率、及びTD方向の熱膨張率を測定すると、それぞれ、100.0μm、35.0nm、145.0nm、41.0ppm/k、及び43.0ppm/kであった。Re/d及びRth/dは、それぞれ、0.000350及び0.001450であった。
基材フィルム1に代えて基材フィルム2を用いた以外は、実施例1の(1−2)と同様にして、ガスバリア積層体2を得た。得られたガスバリア積層体の高温高湿環境への暴露前後の透湿度を測定すると、それぞれ、4.9×10−2g/m2/day、5.3×10−2g/m2/dayであった。暴露前後の透湿度の変化率は、8.2%であった。
【0110】
<実施例3>
TD方向の延伸倍率を1.6倍に変更し、且つ未延伸フィルム成膜時の樹脂の押出成形時の吐出速度を変更して未延伸フィルムの厚みを変更した以外は、実施例1の(1−1)と同様にして、基材フィルム3を得た。得られた基材フィルムの厚み、Re、Rth、MD方向の熱膨張率、及びTD方向の熱膨張率を測定すると、それぞれ、70.0μm、55.0nm、85.0nm、41.3ppm/k、及び48.0ppm/kであった。Re/d及びRth/dは、それぞれ、0.000786及び0.001214であった。
基材フィルム1に代えて基材フィルム3を用いた以外は、実施例1の(1−2)と同様にして、ガスバリア積層体3を得た。得られたガスバリア積層体の高温高湿環境への暴露前後の透湿度を測定すると、それぞれ、5.2×10−2g/m2/day、5.8×10−2g/m2/dayであった。暴露前後の透湿度の変化率は、11.5%であった。
【0111】
<実施例4>
MD方向の延伸倍率を2.4倍に変更し、且つ未延伸フィルム成膜時の樹脂の押出成形時の吐出速度を変更して未延伸フィルムの厚みを変更した以外は、実施例1の(1−1)と同様にして、基材フィルム4を得た。得られた基材フィルムの厚み、Re、Rth、MD方向の熱膨張率、及びTD方向の熱膨張率を測定すると、それぞれ、33.0μm、55.0nm、136.0nm、39.0ppm/k、及び41.0ppm/kであった。Re/d及びRth/dは、それぞれ、0.001667及び0.004121であった。
基材フィルム1に代えて基材フィルム4を用いた以外は、実施例1の(1−2)と同様にして、ガスバリア積層体4を得た。得られたガスバリア積層体の高温高湿環境への暴露前後の透湿度を測定すると、それぞれ、4.2×10−2g/m2/day、4.8×10−2g/m2/dayであった。暴露前後の透湿度の変化率は、14.3%であった。
【0112】
<実施例5>
MD方向の延伸倍率を2.2倍に、TD方向の延伸倍率を1.7倍に変更し、且つ未延伸フィルム成膜時の樹脂の押出成形時の吐出速度を変更して未延伸フィルムの厚みを変更した以外は、実施例1の(1−1)と同様にして、基材フィルム5を得た。得られた基材フィルムの厚み、Re、Rth、MD方向の熱膨張率、及びTD方向の熱膨張率を測定すると、それぞれ、70.0μm、63.0nm、225.0nm、40.3ppm/k、49.0ppm/kであった。Re/d及びRth/dは、それぞれ、0.000900及び0.003214であった。
基材フィルム1に代えて基材フィルム5を用いた以外は、実施例1の(1−2)と同様にして、ガスバリア積層体5を得た。得られたガスバリア積層体の高温高湿環境への暴露前後の透湿度を測定すると、それぞれ、4.8×10−2g/m2/day、5.9×10−2g/m2/dayであった。暴露前後の透湿度の変化率は、22.9%であった。
【0113】
<実施例6>
実施例1で得られたガスバリア積層体1を、200mm×200mmのサイズで2枚切り出し、それぞれを積層体1−1及び積層体1−2とした。積層体1−1の脂環式ポリオレフィン樹脂フィルム側の面(図1の面31Bに相当)、及び積層体1−2のSiOx側の面(図1の面21Aに相当)のそれぞれに、リモート式の常圧プラズマ装置を用いて窒素流量200L/分、ドライエアー流量200mL/分、出力1.5kW、1.5m/分の条件で表面処理を実施した。積層体1−1及び積層体1−2の表面処理された面を合わせてこれらを重ねて、真空ラミネート装置を用いて、0.9MPa、130℃、360秒の条件で圧着し、ガスバリア積層体6を得た。
ガスバリア積層体6は、図5に概略的に示すガスバリア積層体500の通り、基材フィルム1(図5中の基材フィルム131及び132に相当)と、SiOx膜(図5中の無機バリア層121及び122に相当)とが交互に設けられた構造を有する積層体であった。
得られたガスバリア積層体の厚み、Re、Rth、MD方向の熱膨張率、TD方向の熱膨張率、及び高温高湿環境への暴露前後の透湿度を測定するとそれぞれ、200.0μm、20.3nm、215.0nm、40.8ppm/k、40.2ppm/k、0.19×10−2g/m2/day、及び0.20×10−2g/m2/dayであった。高温高湿環境への暴露前後の透湿度の変化率は、5.3%であった。Re/d及びRth/dは、それぞれ、0.000102及び0.001075であった。
【0114】
<比較例1>
MD方向の延伸倍率を1.7倍、TD方向の延伸倍率を1.3倍に変更し、且つ未延伸フィルム成膜時の樹脂の押出成形時の吐出速度を変更して未延伸フィルムの厚みを変更した以外は、実施例1の(1−1)と同様にして、基材フィルム7を得た。得られた基材フィルムの厚み、Re、Rth、MD方向の熱膨張率、及びTD方向の熱膨張率を測定すると、それぞれ、32.0μm、141.0nm、158.0nm、44.0ppm/k、及び55.0ppm/kであった。Re/d及びRth/dは、それぞれ、0.004406及び0.004938であった。
基材フィルム1に代えて基材フィルム7を用いた以外は、実施例1の(1−2)と同様にして、ガスバリア積層体7を得た。得られたガスバリア積層体の高温高湿環境への暴露前後の透湿度を測定すると、それぞれ、4.5×10−2g/m2/day、7.5×10−2g/m2/dayであった。暴露前後の透湿度の変化率は、66.7%であった。
【0115】
<比較例2>
TD方向の延伸倍率を1.4倍に変更し、且つ未延伸フィルム成膜時の樹脂の押出成形時の吐出速度を変更して未延伸フィルムの厚みを変更した以外は、実施例1の(1−1)と同様にして、基材フィルム8を得た。得られた基材フィルムの厚み、Re、Rth、MD方向の熱膨張率、及びTD方向の熱膨張率を測定すると、それぞれ、44.0μm、290.0nm、300.0nm、41.3ppm/k、及び54.0ppm/kであった。Re/d及びRth/dは、それぞれ、0.006591及び0.006818であった。
基材フィルム1に代えて基材フィルム8を用いた以外は、実施例1の(1−2)と同様にして、ガスバリア積層体8を得た。得られたガスバリア積層体の高温高湿環境への暴露前後の透湿度を測定すると、それぞれ、4.5×10−2g/m2/day、8.5×10−2g/m2/dayであった。暴露前後の透湿度の変化率は、88.9%であった。
【0116】
<比較例3>
実施例1の(1−1)で得た未延伸フィルムを、延伸することなくそのまま、基材フィルム9とした。得られた基材フィルムの厚み、Re、Rth、MD方向の熱膨張率、及びTD方向の熱膨張率を測定すると、それぞれ、80.0μm、2.0nm、6.0nm、63.5ppm/k、及び63.0ppm/kであった。Re/d及びRth/dは、それぞれ、0.000025及び0.000075であった。
基材フィルム1に代えて基材フィルム9を用いた以外は、実施例1の(1−2)と同様にして、ガスバリア積層体9を得た。得られたガスバリア積層体の高温高湿環境への暴露前後の透湿度を測定すると、それぞれ、4.8×10−2g/m2/day、10.5×10−2g/m2/dayであった。暴露前後の透湿度の変化率は、118.8%であった。
【0117】
<比較例4>
実施例1の(1−1)中の未延伸フィルムの成形において、押出成形の条件を変更し、膜厚188.0μmの未延伸フィルムを得て、これを延伸することなくそのまま基材フィルム10とした。得られた基材フィルムの厚み、Re、Rth、MD方向の熱膨張率、及びTD方向の熱膨張率を測定すると、それぞれ、188.0μm、4.5nm、15.0nm、63.5ppm/k、及び62.0ppm/kであった。Re/d及びRth/dは、それぞれ、0.000024及び0.000080であった。
基材フィルム1に代えて基材フィルム10を用いた以外は、実施例1の(1−2)と同様にして、ガスバリア積層体10を得た。得られたガスバリア積層体の高温高湿環境への暴露前後の透湿度を測定すると、それぞれ、4.8×10−2g/m2/day、9.5×10−2g/m2/dayであった。暴露前後の透湿度の変化率は、97.9%であった。
【0118】
以上の結果から、Re/d及びRth/dの両方が本発明の規定の範囲内である実施例1〜6においては、これらいずれかが本発明の規定の範囲外である比較例1〜4に比べて、高温高湿条件に暴露する前後の透湿度変化率が顕著に低いことがわかる。
【0119】
<実施例7>
(7−1.拡散層分散液)
ウレタンアクリレートを主成分としたUV硬化樹脂(屈折率1.54)70重量部に直径2μmの粒子(シリコン樹脂)を30重量部添加し、攪拌し、拡散層分散液を得た。
【0120】
(7−2.拡散層)
実施例6で得られたガスバリア積層体6の、SiOx膜が露出している側の面(図5の面22A)に、上記(7−1)で得た拡散層分散液をバーコーターで塗布して拡散層分散液の層を形成し、これに積算光量1.5J/cm2の紫外線を照射することで、拡散層分散液の層を硬化させ、拡散層を形成し、(基材フィルム)−(SiOx膜)−(基材フィルム)−(SiOx膜)−(拡散層)の層構成を有する積層体7Aを得た。積層体7A上の拡散層の膜厚は、20μmであった。
【0121】
(7−3.面光源装置)
上記(7−2)で得られた積層体7Aの基材フィルム側の面に、スパッタ装置を用いて、ITOターゲット、アルゴン流量150sccm、酸素流量5sccm、出力1.5kWの条件で、ITO層を厚さ100nmになるように形成し、(ITO層)−(基材フィルム)−(SiOx膜)−(基材フィルム)−(SiOx膜)−(拡散層)の層構成を有する積層体7Bを得た。ついで、得られた積層体7BのITO層側の面に、ホール輸送層10nm、黄色発光層20nm、青色発光層15nm、電子輸送層15nm、電子注入層1nm、及び反射電極層100nmをこの順に形成した。ホール輸送層から電子輸送層までは全て有機材料により形成した。黄色発光層及び青色発光層はそれぞれ異なる発光スペクトルを有している。
ホール輸送層から反射電極層までの各層を形成した材料は、それぞれ下記の通りである:
【0122】
・ホール輸送層;4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)
・黄色発光層;ルブレン1.5重量%添加 α−NPD
・青色発光層;イリジウム錯体10重量%添加 4,4’−ジカルバゾリル−1,1’−ビフェニル(CBP)
・電子輸送層;フェナンスロリン誘導体(BCP)
・電子注入層;フッ化リチウム(LiF)
・反射電極層;Al
【0123】
ホール注入層から反射電極層までの形成は、真空蒸着装置内に積層体7Bを設置し、上記のホール輸送層から反射電極層までの材料を抵抗加熱式により順次蒸着させることにより行なった。系内圧は5x10−3Paで、蒸発速度は0.1〜0.2nm/sとした。さらに、ITO層及び反射電極層に通電のための配線を取り付け、さらにホール輸送層から反射電極層までを封止部材により封止し、面光源装置1を得た。得られた面光源装置は、拡散層から白色の光を出光しうる出光面を有していた。得られた面光源装置に、直流電圧5Vを印加し発光させ、出光面からの正面方向の輝度を輝度計(大塚電子社製、MCPD−7000)を用いて測定すると、262cd/m2であった。
【0124】
<実施例8>
下記の点を変更した以外は、実施例7と同様にして、面光源装置2を得た。
本実施例においては、上記(7−2)中の拡散層分散液の層の硬化を、拡散層分散液の層に金属モールドを押し付けながら、ガスバリア積層体6の基材フィルム側の面(図5の面11B)に紫外線を入射させ、積算光量1.5J/cm2で拡散層分散液の層に紫外線を照射して行った。
金属モールドには、表面の形状が、頂角60°、底辺25μmの正四角錐が30μmのピッチで並んだ(即ち、隣接する四角錐間に5μmの平坦部が存在する)形状であるものを用いた。そして、得られた拡散層の表面には、かかる正四角錐が反転した形状が形成され、図7及び図8に概略的に示すような凹凸構造が得られた。
得られた面光源装置の輝度を、実施例7における評価方法と同様の方法で評価したところ、その輝度は、282cd/m2であった。
【0125】
<実施例9>
上記(7−1)を行わず、粒子を添加しないUV硬化樹脂をそのまま拡散層分散液の代わりに(7−2)において用いた他は、実施例7と同様にして、面光源装置3を得た。
得られた面光源装置の輝度を、実施例7における評価方法と同様の方法で評価したところ、その輝度は、200cd/m2であった。
拡散層を有しない実施例9に比べて、拡散層を有する実施例7は、輝度が約30%高く、拡散層に凹凸パターンを付与した実施例8は、輝度が約40%高かった。
【符号の説明】
【0126】
10:面光源装置
10U:面光源装置用積層体表面
11A〜11D:斜面
11E〜11H:凹部底辺
100、200、300、400、500、600、700:ガスバリア積層体
111:光拡散層又は凹凸構造層
113:凹部
114:平坦部
121、122:無機バリア層
131、132:フィルム基材
140:有機EL素子
141:透明電極層
142:発光層
143:反射電極層
144:透明電極層
151:封止基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスバリア積層体及びそれを備える面光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置並びに有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」ということがある。)を有する表示装置及び光源装置においては、装置を構成する素子の保護などの目的で、水分及び酸素の透過を妨げる機能を有するガスバリア層を用いることが知られている。
【0003】
かかるガスバリア層としては、透湿度(水分を透過する割合)が小さい材料が好ましい。そのような材料として、脂環式オレフィンを含む樹脂及び各種の無機材料が知られており、これらを交互に積層した構造を有するガスバリア積層体が提案されている(例えば特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−190186号公報
【特許文献2】特開2005−327687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかるガスバリア層は、表示装置内において高温に曝されうるため、耐熱性が求められる。しかしながら、脂環式オレフィン樹脂と無機材料との積層体は、高温高湿の環境に曝された後に、透湿度が大きく低下することがある。
【0006】
したがって、本発明の目的は、高温高湿の環境下における経時的なガスバリア性能の低下が抑制されたガスバリア積層体を提供することにある。
【0007】
本発明の別の目的は、高温高湿の環境下においても経時的な性能の低下が少ない面光源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために本発明者らは鋭意検討した結果、ガスバリア積層体を構成する脂環式オレフィン樹脂の層として、特定の延伸フィルムを用いることにより、当該課題を解決しうることを見出し、本発明を完成した。
本発明によれば、下記のものが提供される。
〔1〕 基材フィルムと、前記基材フィルムの少なくとも一方の面に設けられた無機バリア層とを備えるガスバリア積層体であって、
前記基材フィルムが、脂環式オレフィン樹脂からなる二軸延伸フィルムであり、且つ、
前記基材フィルムの、波長550nmにおける面内レターデーションRe、波長550nmにおける厚み方向のレターデーションRth、及びフィルム厚さdが下記式(1)及び(2):
Re/d<0.003 (1)
Rth/d>0.001 (2)
の関係を満たすフィルムである、ガスバリア積層体。
〔2〕 〔1〕に記載のガスバリア積層体であって、
前記基材フィルムを複数枚備える、ガスバリア積層体。
〔3〕 〔1〕又は〔2〕に記載のガスバリア積層体であって、
光拡散層をさらに備える、ガスバリア積層体。
〔4〕 〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のガスバリア積層体であって、
凹凸構造層をさらに備える、ガスバリア積層体。
〔5〕 〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のガスバリア積層体、及び有機エレクトロルミネッセンス素子を備える面光源装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明のガスバリア積層体は、高温高湿の環境下における経時的なガスバリア性能の低下が抑制されているという効果を奏する。したがって、本発明のガスバリア積層体を備える本発明の面光源装置は、高温高湿の環境下においても経時的な性能の低下が少ないという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明のガスバリア積層体の一例を模式的に示す断面図である。
【図2】図2は、本発明のガスバリア積層体の別の一例を模式的に示す断面図である。
【図3】図3は、本発明のガスバリア積層体のさらに別の一例を模式的に示す断面図である。
【図4】図4は、本発明のガスバリア積層体のさらに別の一例を模式的に示す断面図である。
【図5】図5は、本発明のガスバリア積層体のさらに別の一例を模式的に示す断面図である。
【図6】図6は、本発明のガスバリア積層体のさらに別の一例を模式的に示す断面図である。
【図7】図7は、凹凸構造を有する光拡散層を備える本発明のガスバリア積層体の一例を概略的に示す斜視図である。
【図8】図8は、図7に示したガスバリア積層体を線1a−1bを通る面で切断した断面を示す断面図である。
【図9】図9は、図7に示すガスバリア積層体の光拡散層の表面の構造を拡大して模式的に示す部分上面図である。
【図10】図10は、図9に示す光拡散層を、図9の線10aを通りガスバリア積層体の主面に垂直な面で切断した断面を示す部分断面図である。
【図11】図11は、図10に示す凹部の変形例を示す部分断面図である。
【図12】図12は、図10に示す凹部の別の変形例を示す部分断面図である。
【図13】図13は、本発明の面光源装置の一例を模式的に示す斜視図である。
【図14】図14は、図13に示す面光源装置10を、図13中の線1a−1bを通り、透明基材の面方向と垂直な面で切断した断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔概要〕
本発明のガスバリア積層体は、基材フィルムと、前記基材フィルムの少なくとも一方の面に設けられた無機バリア層とを備える。
図1は、本発明のガスバリア積層体の一例を模式的に示す断面図である。図1における断面は、薄く平坦で表裏の主面(面21A及び面31B)を有する本発明のガスバリア積層体を、主面に垂直な面で切断した断面を示す面である。図1において、ガスバリア積層体100は、基材フィルム131及びその一方の面31A上に設けられた無機バリア層121を備えている。
本発明のガスバリア積層体は、かかる構成における前記基材フィルムが、以下に述べる特定の、脂環式オレフィン樹脂からなるフィルムである。それにより、無機バリア層及び脂環式オレフィン樹脂のそれぞれの良好なガスバリア性能が、高温高湿の環境下においても長期間維持される。
【0012】
〔基材フィルム;脂環式オレフィン樹脂〕
前記基材フィルムは、脂環式オレフィン樹脂からなる二軸延伸フィルムである。
脂環式オレフィン樹脂とは、脂環式オレフィン重合体と、必要に応じてその他の任意の成分とを含有する樹脂である。
【0013】
脂環式オレフィン重合体は、主鎖及び/又は側鎖に脂環構造を有する非晶性の熱可塑性重合体である。脂環式オレフィン重合体中の脂環構造としては、飽和脂環炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和脂環炭化水素(シクロアルケン)構造などが挙げられるが、機械強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造が好ましい。脂環構造を構成する炭素原子数には、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個であるときに、機械強度、耐熱性、及びフィルムの成形性の特性が高度にバランスされ、好適である。
【0014】
脂環式オレフィン重合体を構成する脂環構造を有する繰り返し単位の割合は、好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。脂環式オレフィン重合体中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合がこの範囲にあると、透明性および耐熱性の観点から好ましい。
【0015】
脂環式オレフィン重合体としては、例えば、ノルボルネン重合体、単環の環状オレフィン重合体、環状共役ジエン重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、及び、これらの水素化物等が挙げられる。これらの中で、ノルボルネン重合体は、透明性と成形性が良好なため、好適に用いることができる。
【0016】
ノルボルネン重合体としては、例えば、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との開環共重合体、又はそれらの水素化物;ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との付加共重合体、又はそれらの水素化物等が挙げられる。これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環(共)重合体水素化物は、透明性、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、特に好適に用いることができる。
脂環式オレフィン樹脂は、脂環式オレフィン重合体として、これらの重合体のうち1種類のみを単独で含有してもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて含有してもよい。
【0017】
脂環式オレフィン樹脂に含まれる脂環式オレフィン重合体の分子量は使用目的に応じて適宜選定されるが、溶媒としてシクロヘキサンを用いて(但し、重合体がシクロヘキサンに溶解しない場合にはトルエンを用いてもよい)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレン換算(溶媒がトルエンのときは、ポリスチレン換算)の重量平均分子量(Mw)で、通常10,000以上、好ましくは15,000以上、より好ましくは20,000以上であり、通常100,000以下、好ましくは80,000以下、より好ましくは50,000以下である。重量平均分子量がこのような範囲にあることにより、得られる基材フィルムの機械的強度及び成型加工性などが高度にバランスされるため好ましい。
【0018】
脂環式オレフィン樹脂が含有しうる任意の成分としては、例えば酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、塩素捕捉剤、難燃剤、結晶化核剤、強化剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、離型剤、顔料、有機又は無機の充填剤、中和剤、滑剤、分解剤、金属不活性化剤、汚染防止剤、抗菌剤やその他の樹脂、熱可塑性エラストマーなどの公知の添加剤を挙げることができる。
これらの添加剤の量は、本発明の効果を損なわない範囲とすることができる。例えば、樹脂Aに含まれる重合体100重量部に対して、通常0〜50重量部、好ましくは0〜30重量部である。
【0019】
脂環式オレフィン樹脂は、高い透明性を有するものに必ずしも限られないが、本発明のガスバリア積層体を表示装置や光源装置において光を透過することが求められる部分に用いうる有用なものとするという観点から、高い透明性を有するものが好ましい。例えば、脂環式オレフィン樹脂を厚み1mmの試験片として測定した全光線透過率が、通常70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である透明性を有するものが好ましい。
【0020】
〔基材フィルム;延伸〕
脂環式オレフィン樹脂を、原反フィルムに成形し、かかる原反フィルムを二軸延伸することにより、本発明のガスバリア積層体用の基材フィルムとして用いうる二軸延伸フィルムを得ることができる。
【0021】
かかる原反フィルムの形状は、所望の延伸倍率により所望の寸法の基材フィルムが得られるよう、適宜設定することができる。好ましくは、長尺のフィルム状の形状とすることができる。原反フィルムは、脂環式オレフィン樹脂のみからなる単層のフィルムでもよく、複数種類の脂環式オレフィン樹脂の層からなる複層フィルムでもよく、脂環式オレフィン樹脂の層及び脂環式オレフィン以外の樹脂の層からなる複層フィルムであってもよく、さらにこれらの組み合わせであってもよい。脂環式オレフィン以外の樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、フルオレン変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、メタクリル-マレイミド共重合体、ポリスチレン、トリアセチルセルロース、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド等の樹脂を挙げることができる。
【0022】
二軸延伸は、原反フィルムを、その面に平行であって且つ互いに直交する2の方向に延伸することにより行うことができる。ここで、「直交」する方向とは、90°の角度をなすことが好ましいが、加えて、±10°程度の誤差を含む場合をも含むことができる。
通常、直交する2の方向は、それぞれ、長尺のフィルムのMD方向(フィルムの流れ方向、即ち長尺のフィルムの長さ方向)及びTD方向(MD方向に直交する、フィルムの幅方向)とされるが、これに限られず、MD及びTD方向に対して斜めの、互いに直交する2方向であってもよい。
【0023】
二軸延伸の態様は、逐次二軸延伸(2方向の延伸のそれぞれを別々の工程として行う)であってもよく、同時二軸延伸(2方向の延伸の工程の少なくとも一部を同時に行う延伸)であってもよい。製造の効率の点からは同時二軸延伸が好ましいが、Re値をなるべく少ない値とすることが求められる場合など、2方向の延伸を独立して精密に制御する必要がある場合には、かかる制御が容易という点から、逐次二軸延伸が好ましい場合もある。
【0024】
二軸延伸の、好ましい延伸倍率は、2方向それぞれにおいて1.05〜4.5倍であることが好ましく、1.5〜3.5倍であることがより好ましい。また、2方向の倍率の比は、1:1〜2:1の範囲内であることが、高温高湿条件下での透湿度変化を最小とするため、及びガスバリア積層体を透過する光を均質なものとするために好ましい。
【0025】
二軸延伸を行う際の温度は、原反フィルムのTg(ガラス転移温度)を基準に適宜設定することができる。具体的には例えば、Tg以上Tg+30℃以下の範囲、より好ましくはTg以上Tg+20℃以下の範囲とすることができる。原反フィルムが脂環式オレフィン樹脂の層及びそれ以外の樹脂の層からなる複層フィルムである場合は、脂環式オレフィン樹脂の層のTgを原反フィルムのTgとすることができる。原反フィルムが複数種類の異なるTgを有する脂環式オレフィン樹脂の層を有する場合は、最も低いTgを有する脂環式オレフィン樹脂の層のTgを原反のTgとすることができる。
【0026】
二軸延伸を行うのに用いる装置として、例えば、テンター延伸機、及びその他の、ガイドレールと当該ガイドレールに沿って移動する把持子を有する延伸機を好ましく挙げることができる。またその他に、縦一軸延伸機、バブル延伸機、ローラ延伸機等の任意延伸機を使用することができる。
【0027】
〔基材フィルム;物性等〕
基材フィルムの、波長550nmにおける面内レターデーションRe、波長550nmにおける厚み方向のレターデーションRth、及びフィルムの厚さdは、下記式(1)及び(2)の関係を満たす。
【0028】
Re/d<0.003 (1)
Rth/d>0.001 (2)
【0029】
本発明者らが見出したところによれば、脂環式オレフィン樹脂からなる二軸延伸フィルムたる基材フィルムが、上記式(1)及び(2)の関係を満たすことにより、無機バリア層と積層された際に、高温高湿の環境下においてのガスバリア性能を経時的に維持しうるという有利な性能を呈する。Re/d及びRth/は、好ましくは下記式(3)及び(4)を満たす:
【0030】
0.00003<Re/d<0.003 (3)
0.001<Rth<0.0045 (4)
【0031】
Re/d及びRth/dの値が上記範囲内である基材フィルムは、原反フィルムの厚さ及び二軸延伸の倍率、延伸温度、及び延伸速度を適宜調節することにより得ることができる。
【0032】
基材フィルムの厚さdは、好ましくは10μm〜500μmであり、より好ましくは30μm〜250μmとすることができる。ガスバリア積層体が複数枚の基材フィルムを有する場合は、かかる複数の基材フィルムのそれぞれが、上記好ましい範囲の厚さを有することが好ましい。
【0033】
基材フィルムの厚さdは、接触式膜厚計により測定することができる。具体的には、TD方向に平行な線状において等間隔で10点測定し、その平均値を求め、これを厚さdとすることができる。
【0034】
基材フィルムの波長550nmにおける面内レターデーションReは、好ましくは0nm〜160nmであり、より好ましくは5nm〜80nm、更に好ましくは10nm〜50nmとすることができる。基材フィルムの波長550nmにおける厚み方向のレターデーションRthは、好ましくは0nm〜500nmであり、より好ましくは10nm〜300nm、更に好ましくは20nm〜200nmとすることができる。基材フィルムの波長550nmにおける面内レターデーションRe及び波長550nmにおける厚み方向のレターデーションRthは、王子計測機器(株)製 KOBRA−21ADH等の計測機器により求めることができる。
【0035】
基材フィルムの、上記以外の物性は、特に限定されないが、熱膨張率が70ppm/k以下であることが好ましく、50ppm/k以下であることがより好ましく、40ppm/k以下であることが更に好ましく、湿度膨張率は30ppm/RHであることが好ましく、10ppm/RHであることがより好ましく、1.0ppm/RHであることが、更に好ましい。かかる熱膨張率は、基材フィルムを20mm×5mmの試料片とし、荷重5.0g、窒素100cc/分、昇温速度0.5℃/分の条件で、30℃から130℃にわたり昇温した際の試料片の長さの伸びを測定することにより測定した値とすることができる。かかる湿度膨張率は、基材フィルムを20mm×5mmの試料片とし、荷重5.0g、窒素100cc/分、温度25℃、速度5.0%RH/分の条件で、30%RHから80%RHにわたり湿度を上昇した際の試料片の長さの伸びを測定することにより測定した値とすることができる。基材フィルムのRe/d及びRth/dを上記好ましい範囲内に適宜調節することにより、かかる好ましい熱膨張率を得ることができる。かかる好ましい熱膨張率を得ることにより、高温高湿の環境下における経時的なガスバリア性能の低下が抑制されたガスバリア積層体を得ることができる。
【0036】
〔無機バリア層〕
本発明のガスバリア積層体が備える無機バリア層は、無機材料を主成分とし、水分及び酸素等の、外気中に存在する成分であって表示装置及び発光装置等の装置の内部の構成要素(例えば、有機EL素子の発光層等)を劣化させうる成分をバリアする能力を有する層である。
無機バリア層の水蒸気透過率は、その上限が1.0g/m2・day以下であることが好ましく、0.2g/m2・day以下であることがより好ましい。一方水蒸気透過率の下限は、0g/m2・dayであることが最も好ましいが、それ以上の値であっても、上記上限以下の範囲内であれば、好ましく機能しうる。
【0037】
無機バリア層の材料は、特に限定されないが、好ましい材料として、珪素の酸化物、窒化物、窒化酸化物、アルミニウムの酸化物、窒化物、窒化酸化物、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)及びこれらの2以上が混合した材料とすることができる。透明性の点では、珪素の酸化物、窒化酸化物が特に好ましく、一方基材フィルムの材料である脂環式オレフィン樹脂との親和性の点では、DLCが特に好ましい。
【0038】
珪素の酸化物、窒化物、窒化酸化物、としては、SiOx(透明性、水蒸気バリア性を両立するためには、1.4<x<2.0が好ましい。)、SiNy(透明性、水蒸気バリア性を両立するためには、0.5<y<1.5が好ましい。)、SiOxNy(密着性向上を重視するときは1<x<2.0,0<y<1.0として酸素リッチの膜とすることが好ましく、水蒸気バリア性向上を重視するときは0<x<0.8、0.8<y<1.3として窒素リッチの膜とすることが好ましい。)等を挙げることができる。アルミニウムの酸化物、窒化物、窒化酸化物としては、AlOx、AiNy、やAlOxNyを挙げることができる。無機バリア性の観点からはSiOxNyやAlOx、およびそれらの混合物をより好ましい材料として用いることができる。
【0039】
無機バリア層の厚さは、3〜500nmであることが好ましく、10〜100nmであることがより好ましい。
この程度の厚さの透明な無機バリア層は、通常の基材フィルムに比べて十分薄く、また、ガスバリア積層体の光学的数値(Re、Rth等)にほとんど影響しないので、本発明のガスバリア積層体が基材フィルムと無機バリア層のみからなる場合は、ガスバリア積層体全体の光学的数値を測定し、それを基材フィルムの光学的数値とみなすことができる。
【0040】
無機バリア層の形成方法は、特に限定されないが、好ましくは、基材フィルム上に、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、イオンビームアシスト蒸着、アーク放電プラズマ蒸着、熱CVD、プラズマCVD法等の成膜方法により形成することが好ましい。アーク放電プラズマを用いると適度なエネルギーを有する蒸発粒子が生成され高密度の膜を形成することができる。複数種類の成分を含む無機バリア層を形成する場合、これらを同時に蒸着又はスパッタリングすることができる。
【0041】
無機バリア層は、一枚の基材フィルムの表裏の両面のうち、少なくとも一方の面に設けられるが、両面に設けられてもよい。例えば、図2に示すガスバリア積層体200の通り、基材フィルム131の表裏の両面に、それぞれ、無機バリア層121及び122を有してもよい。
【0042】
本発明において、無機バリア層は、ガスバリア積層体の表裏の一方の面から他方の面への、水分及び酸素等の成分の透過をバリアするのに加えて、基材フィルム自体を保護し、基材フィルムが外気の水蒸気を吸収して膨張することを防止し、ひいては装置の変形を防止する効果をも発現しうる。
加えて、本発明のガスバリア積層体を基板としてその上に透明電極層を形成する場合は、蒸着、スパッタリング等の、透明電極層の形成の工程の条件下において、基材フィルムからアウトガスが放出されるのを防止することができるので、透明電極層の形成の条件を自由に選択することができ、その結果、透明電極層の抵抗値を低減することができる、または透明電極層を容易に製造することが可能となる、等の効果を奏しうる。
さらに、一般に、脂環式ポリオレフィン樹脂は他の材料との親和性が低いことが多いところ、無機バリア層は脂環式ポリオレフィン樹脂ともその他の材料とも高い親和性を有し得るため、無機バリア層が脂環式ポリオレフィン樹脂からなる層とその他の材料からなる層との間に設けられることにより、脂環式ポリオレフィン樹脂と他の材料からなる層との密着性が良好となるという効果も奏されうる。
【0043】
〔光拡散層、凹凸構造層〕
本発明のガスバリア積層体は、基材フィルム及び無機バリア層の他に、任意の層をさらに備えることができる。具体的には、光拡散層、又は凹凸構造層を備えることができる。また、本発明のガスバリア積層体は、光拡散層及び凹凸構造層の双方を備えることができる。また、本発明のガスバリア積層体は、凹凸構造層であって光拡散層としての機能をも有するものを備えることができる。
光拡散層、及び凹凸構造層は、基材フィルム及び無機バリア層より外側の層として設けることができる。例えば、図3に示すガスバリア積層体300の通り、基材フィルム131及びその一方の面上の無機バリア層121に加えて、さらにその上に設けられた光拡散層又は凹凸構造層111を備える構成とすることができる。又は、図4に示す通り、基材フィルム131及びその一方の面上の無機バリア層121に加えて、基材フィルム131の、無機バリア層121が設けられた面とは反対側の面上に設けられた光拡散層又は凹凸構造層111を備える構成とすることもできる。
【0044】
〔光拡散層〕
光拡散層の材料は、光拡散性のある樹脂組成物とすることができる。具体的には、各種樹脂、または当該樹脂と拡散子とを含む組成物とすることができる。かかる樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、並びに紫外線硬化性樹脂及び電子線硬化性樹脂等のエネルギー線硬化性樹脂を挙げることができる。なかでも熱可塑性樹脂は熱による変形が容易であるため、また紫外線硬化性樹脂は硬化性が高く効率が良いため、凹凸構造を有する光拡散層層の効率的な形成が可能となり、それぞれ好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、脂環式構造含有重合体樹脂を挙げることができる。また紫外線硬化性樹脂としては、エポキシ系、アクリル系、ウレタン系、エン/チオール系、イソシアネート系の樹脂を挙げることができる。これらの樹脂としては、複数個の重合性官能基を有するモノマーを重合した重合体を好ましく用いることができる。前記樹脂の製造にあたり原料として用いうるモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジベンジルアミノ)メチル、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル等の不飽和置換の置換アミノアルコールエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の化合物、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等の多官能性化合物、及び/又は分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物、例えばトリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等が挙げられる。通常、以上の化合物を必要に応じて、1種若しくは2種以上を混合して用いる。フレキシビリティーが要求されるときは、モノマー量を減らすか、官能基の数が1又は2のアクリレートモノマーを使用するとよい。耐摩耗性、耐擦傷性、耐熱性、耐溶剤性が要求されるときは、官能基の数が3つ以上のアクリレートモノマーを使うと良い。高屈折率が要求される場合には、芳香環、フルオレン骨格を有するアクリレートモノマーを好適に用いることが出来る。ここで、官能基が1のものとして、フェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化o−フェニルフェノールアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート及びイソボルニルアクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート及びブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。官能基が2のものとして、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル)フルオレンが挙げられる。官能基が3以上のものとして、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクレリート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
光拡散層の材料は、必要に応じて、マット剤、スリップ剤、帯電防止剤、界面活性剤を含むことができる。
【0045】
光拡散層の材料としては、その表面の耐擦傷性を得やすいという観点から、硬度が高い材料が好ましい。具体的には、7μmの膜厚の層を基材上に凹凸構造が無い状態で形成した際に、鉛筆硬度でHB以上になるような材料が好ましく、H以上になる材料がさらに好ましく、2H以上になる材料がより好ましい。特に、光拡散層を、凹凸構造層であって光拡散層としての機能をも有する層とする場合には、このような硬度が高い材料を採用することにより、耐久性の高い凹凸構造を容易に形成することができる。
【0046】
光拡散層が含有しうる拡散子としては、各種の粒子を挙げることができる。当該粒子は、透明であっても、不透明であってもよい。粒子の材料としては、金属及び金属化合物、並びに樹脂等を用いることができる。金属化合物としては、金属の酸化物及び窒化物を挙げることができる。金属及び金属化合物としては、具体的には例えば銀、アルミのような反射率が高い金属、酸化ケイ素、酸化アルミ、酸化ジルコニウム、窒化珪素、錫添加酸化インジウム、酸化チタンなどの金属化合物を挙げることができる。一方樹脂としては、メタクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。
【0047】
粒子の形状は、球状、円柱状、立方体状、直方体状、角錐状、円錐状、星型状等の形状とすることができる。
粒子の粒径は好ましくは0.1μm以上10μm以下であり、より好ましくは5μm以下であり、更に好ましくは、1μm以下である。ここで粒径とは、体積基準の粒子量を、粒子径を横軸にして積算した積算分布における50%粒子径のことである。粒径が大きいほど、所望の効果を得るために必要な粒子の含有割合は多くなり、粒径が小さいほど、含有量は少なくてすむ。従って、粒径が小さいほど、観察角度による色味の変化の低減、及び光取り出し効率の向上等の所望の効果を、少ない粒子で得ることができる。なお、粒径は、粒子の形状が球状以外である場合には、その同等体積の球の直径を粒径とする。
【0048】
粒子が透明な粒子であり、且つ粒子が樹脂中に含まれる場合において、粒子の屈折率と、樹脂の屈折率は、それらの差が0.05〜0.5であることが好ましく、0.07〜0.5であることがより好ましい。ここで、粒子及び樹脂の屈折率は、どちらがより大きくても良い。粒子と樹脂の屈折率が近すぎると拡散効果が得られず色味ムラは抑制されず、逆に差が大きすぎると拡散が大きくなり色味ムラは抑制されるが光取出効果が低減することになる。
【0049】
光拡散層が樹脂と拡散子とを含む場合における、光拡散層中の拡散子の配合割合は、3〜50重量%であることが好ましい。
【0050】
光拡散層の厚さは、その下限が1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、一方その上限が50μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましく、15μm以下であることがさらにより好ましい。特に、前記上限以下の厚さであることにより、硬化収縮によるガスバリア積層体のカール等の変形を防ぎ、良好な形状の積層体とすることができる。
【0051】
光拡散層のヘイズは、80%〜95%とすることができる。
【0052】
本発明のガスバリア積層体が前記光拡散層を備える場合において、当該ガスバリア積層体を有する面発光体(例えば有機EL発光体)を構成し、この面発光体を液晶表示装置等のバックライト装置として使用し、このバックライト装置に、3M社製のDBEFや、ワイヤーグリッド偏光子、コレステリック液晶を用いたもの、多重散乱のものを含む輝度向上フィルムを組み合わせて用いた場合には、当該ガスバリア積層体を構成する基材フィルムのレターデーションを低減する効果を有するため、上記輝度向上フィルムによる輝度向上効果をより一層高めることができるという効果を奏することができる。
【0053】
〔凹凸構造層の凹凸構造〕
前記凹凸構造層は、その表面に凹凸構造を有する。ここでいう、層の「表面」とは、通常、かかる層の、基材フィルム側の面と反対側の面である。当該凹凸構造としては、斜面を含む複数の凹部と、前記凹部の周囲に位置する平坦部とを含む凹凸構造を好ましく挙げることができる。ここで「斜面」とは、基材フィルムの面方向と平行でない角度をなす面である。一方、平坦部上の面は、基材フィルムの面方向と平行な面とすることができる。
【0054】
図7は、凹凸構造層を備える本発明のガスバリア積層体の一例を概略的に示す斜視図であり、図8は、図7に示したガスバリア積層体を線1a−1bを通る面で切断した断面を示す断面図である。図7に示すガスバリア積層体700は、基材フィルム131、無機バリア層121、及び凹凸構造層111がこの順に積層された構造を有し、凹凸構造層111の表面10Uは、凹部113及び凹部113の周囲に位置する平坦部114からなる凹凸構造を有している。
【0055】
かかる凹凸構造を、図9及び図10を参照してより詳細に説明する。図9は、凹凸構造層111の表面構造により規定される、ガスバリア積層体700の表面10Uの構造を拡大して模式的に示す部分上面図である。図10は、凹凸構造層111を、図9の線10aを通りガスバリア積層体の主面に垂直な面で切断した断面を示す部分断面図である。
【0056】
複数の凹部113のぞれぞれは正四角錐形状の窪みであり、従って凹部113の斜面11A〜11Dは同一の形状であり、底辺11E〜11Hは正方形を構成する。線10aは、一列の凹部113の全ての頂点11Pの上を通る線であり、且つ凹部113の底辺11E及び11Gと平行な線である。
【0057】
凹部113は、一定の間隔をおいて、直交する2配置方向に連続して配置されている。かかる2配置方向のうち一方の方向Xは底辺11E及び11Gと平行である。この方向Xにおいて、複数の凹部113は一定の間隔11Jをおいて整列している。2配置方向のうちの他方の方向Yは11F及び11Hと平行である。この方向Yにおいて複数の凹部113は一定の間隔11Kをおいて整列している。
【0058】
凹部113のそれぞれを構成する斜面11A〜11Dが平坦部114となす角(斜面11B及び11Dについては、それぞれ図10に示す角11L及び11M)は例えば60°に設定され、これにより、凹部113を構成する正四角錐の頂角、即ち頂点11Pにおいて相対向する斜面がなす角(斜面11B及び11Dがなす角については、図10に示す角11N)も60°となっている。
【0059】
このように、ガスバリア積層体が、面光源装置の装置出光面にあたる表面において、複数の凹部と、各凹部の周囲に位置する平坦部とを含む構成を有することにより、光取り出し効率を高め、且つ観察角度による色味の変化を低減することができ、しかも、外部衝撃により凹凸構造の欠け等が生じるのを防止でき、ひいては装置出光面の機械的強度を向上させることができる。
【0060】
本発明のガスバリア積層体は、上記の凹凸構造を有する凹凸構造層を備えることにより、これらの層側から出光する光における半球状全方位での色度座標のx座標およびy座標の少なくともいずれかの変位を、上記の構成をとらない場合に比べ低減させることができる。このため、本発明のガスバリア積層体を備える本発明の面光源装置において、観察角度による色味の変化を抑えることができる。かかる半球状全方位での色度の変位を測定する方法として、例えば装置出光面の法線方向(即ち凹部を無視して巨視的に見た装置出光面に垂直な方向)上に分光放射輝度計を設置し、法線方向を0°とした時その装置出光面を−90〜90°まで回転させられる機構を付与することで、各方向で測定した発光スペクトルから色度座標を算出できるため、その変位を算出できる。
【0061】
凹凸構造を、ガスバリア積層体に垂直な方向から観察した場合における、平坦部が占める面積と凹部が占める面積との合計に対する、平坦部が占める面積の割合(以下、「平坦部割合」という。)を適宜調節することにより、面光源装置の光取り出し効率を向上させることができる。具体的には、平坦部割合を10〜75%とすることにより、良好な光取り出し効率を得ることができ、且つ装置出光面の機械的強度を高めることができる。
【0062】
凹凸構造において、凹部は、例えば、上に述べた角錐形状に加え、円錐形状、球面の一部の形状、溝状の形状、及びこれらを組み合わせた形状を有しうる。角錐形状は、前記凹部113として例示するように底面が正方形である四角錐としうるが、これに限られず、三角錐、五角錐、六角錐、底面が正方形でない四角錐などの角錐形状とすることもできる。
【0063】
さらに、本願でいう円錐及び角錐は、その頂部が尖った通常の円錐及び角錐のみならず、先端が丸みを帯びた形状、又は平らに面取りされた形状(錐台状の形状等)をも包含する。例えば、図10に示す凹部113では四角錐の頂部11Pは尖った形状となっているが、これが、図11に示す凹部613の頂部61Pのように丸みを帯びた形状になっていてもよい。また、図12に示す凹部713のように、角錐の頂部に平坦な部分71Pを設け、平らに面取りされた形状とすることもできる。
【0064】
図11に示すように角錐の頂部が丸みを帯びた形状である場合、その頂部61Pと、当該角錐が丸みを帯びず尖った形状となっていた場合の頂部61Qとの高さの差61Rは、当該角錐が丸みを帯びず尖った形状となっていた場合の角錐の高さ61Sの20%以下とすることができる。図12に示すように角錐の頂部が平らに面取りされた形状である場合、平坦な部分71Pと、当該角錐の頂部が平坦で無く尖った形状となっていた場合の頂部71Qとの高さの差71Rは、当該角錐の頂部が平坦で無く尖った形状となっていた場合の角錐の高さ71Sの20%以下とすることができる。
【0065】
凹凸構造における凹部の深さは、特に限定されないが、凹凸構造が形成された表面を様々な方向(出光面と平行な面内の様々な方向)に沿って測定した中心線平均粗さの最大値(Ra(max))として、1〜50μmの範囲内とすることができる。好ましい凹部の深さは、凹凸構造層の厚さに対して相対的に定めることができる。例えば、凹凸構造層の材料として、凹凸構造の耐久性の維持に有利な硬質の材料を用いた場合、凹凸構造層の厚さを薄くしたほうが、ガスバリア積層体の可撓性を高めることが可能となり、面光源装置の製造工程におけるガスバリア積層体の取り扱いが容易となる。具体的には、図10に示す凹部の深さ16Dに対する凹凸構造層111の厚さ16Eの割合は、1:1〜1:3であることが好ましい。凹凸構造層の厚さは、その下限が1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、一方その上限が50μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましく、15μm以下であることがさらにより好ましい。特に、前記上限以下の厚さであることにより、硬化収縮によるガスバリア積層体のカール等の変形を防ぎ、良好な形状の積層体とすることができる。
【0066】
本発明において、凹部の斜面と、出光面とがなす角は40〜70°であることが好ましく、45〜60°であることがより好ましい。例えば凹部の形状が、図10に示す四角錐である場合、その頂角(図10における角11P)は、60〜90°となることが好ましい。また、観察角度による色味の変化を最小限にしつつ光取り出し効率も高めるという観点からは、斜面と基材フィルムの面とがなす角は大きいほうが好ましく、具体的には例えば55°以上とすることが好ましく、60°以上とすることがさらにより好ましい。この場合、かかる角の上限は、凹凸構造層の耐久性の維持を考慮し、70°程度とすることができる。
【0067】
凹部の形状が、頂部において丸みを帯びた又は平らに面取りされた角錐形状、円錐形状又は溝状の形状である場合は、当該丸みを帯びた部分又は面取りされた部分を除く斜面の角度を、斜面の角度とする。例えば、図11及び図12に示す例では、面613a、613b、713a及び713bを、角錐の斜面とする。斜面の角度をこのような角度とすることにより、光取り出し効率を高めることができる。凹凸構造の斜面は、必ずしも全てが同じ角度である必要は無く、上記範囲内で、異なる角度を有する斜面が共存していてもよい。なお、円錐形状の斜面と基材フィルムの面とがなす角とは、かかる円錐の母線と基材フィルムの面とがなす角とすることができる。
【0068】
凹凸構造層の表面において、複数の凹部は、任意の態様で配列することができる。例えば、複数の凹部を、表面上の2以上の方向に沿って配列することができる。より具体的には、図7及び図9に示した凹部113のように、直交する2方向に沿って配列することができる。
【0069】
2以上の方向に凹部を配列した場合において、それらのうち1方向以上の方向に、隣り合う凹部間の隙間を設け、かかる隙間により平坦部を構成することができる。例えば、図9に示す凹部113の配列では、直交する2方向において、それぞれ間隔11J及び11Kの隙間を設けて、かかる隙間により平坦部114を構成している。このような構成を採用することにより、良好な光取り出し効率と、積層体表面の機械的強度とを両立させることができる。
【0070】
凹凸構造層の材料は、光拡散層の材料として上に例示した各種樹脂とすることができる。凹凸構造層として、光拡散層としての機能を有するものを設ける場合は、上に例示した光拡散層の材料と同様の、樹脂及び拡散子を含む組成物とすることができる。
【0071】
本発明のガスバリア積層体が、凹凸構造層と、光拡散層とを、別々の層として備える場合、凹凸構造層がガスバリア積層体の最外層となり、凹凸構造がガスバリア積層体の表面に位置することが好ましい。かかる構成を有することにより、上に述べた、観察角度による色味の変化の抑制等の凹凸構造層の効果を良好に得ることができる。
【0072】
(光拡散層及び凹凸構造層の形成方法)
光拡散層及び凹凸構造層は、例えば、かかる層を形成するのに適した樹脂組成物(1)を調製し、これを用いて、ガスバリア積層体を構成する他の層上に形成することができる。光拡散層及び凹凸構造層を形成するのに適した樹脂組成物(1)としては、硬化することにより上に列挙したそれぞれの層の材料を構成しうる、樹脂、モノマー、またはこれらと拡散剤とを含む組成物を用いることができる。樹脂組成物(1)は、必要に応じて、溶媒を含むことができる。しかしながら、樹脂組成物(1)は、溶媒を添加せず調製し、形成工程において揮発することが必要な成分が、少ないか又は存在しない組成物とすることが、後述するフォトポリマー法を円滑に行いうる等の観点から好ましい。
【0073】
樹脂組成物(1)を、第1のガスバリア層の面上に塗布して塗膜を得、もし必要であれば塗膜中の溶媒を揮発させ、さらに必要に応じてエネルギー線の照射等による硬化処理を行うことにより、光拡散層及び/又は凹凸構造層を得ることができる。
【0074】
凹凸構造層の凹凸構造の形成は、所望の形状を有する金型等の型を調製し、前記塗膜を得た後の任意の段階で前記型の形状を転写することにより行うことができる。
【0075】
より具体的には、前記塗膜を得た後硬化処理を行う前に、フォトポリマー法(2P法)による凹凸構造の形成を行うことが好ましい。即ち、形成した前記塗膜に型を当て、その状態で塗膜を硬化させ、凹凸構造を有する硬化した層を形成することが好ましい。この場合、樹脂組成物(1)としては、紫外線等のエネルギー線により硬化しうる組成物を用いることが好ましい。かかる樹脂組成物(1)を、基材フィルム又は無機バリア層上に塗布して塗膜を得、当該塗膜に型を当てた状態で、塗布面の裏側に位置する光源から、紫外線等のエネルギー線を照射し、樹脂組成物(1)を硬化させ、その後型を剥離することにより、型の凹凸構造が反転した形状の凹凸構造を有する、凹凸構造層を得ることができる。
【0076】
〔その他の任意の層〕
本発明のガスバリア積層体は、上記各層に加えて、他に任意の層を備えうる。かかる任意の層としては、例えば、2軸延伸フィルムである基材フィルムに加えて備えうる、1軸延伸又は非延伸の脂環式オレフィン樹脂からなるフィルム、又は他の材料からなるフィルムを設けることができる。その他、帯電防止層、ハードコート層、導電性付与層、汚染防止層を設けることが出来る。かかる任意の層は、基材フィルム上にかかる任意の層の材料を塗布し硬化させる方法、又は、後述する熱圧着により貼付する方法などの方法により設けることができる。
【0077】
〔ガスバリア積層体の物性〕
本発明のガスバリア積層体全体の水蒸気透過率は、1×10−6〜1×10−2g/m2・dayとすることができる。このような積層体全体の水蒸気透過率は、無機バリア層及びその他の層の材質及び厚さを適宜選択することにより達成しうる。
【0078】
〔その他の態様〕
本発明のガスバリア積層体は、基材フィルム及び無機バリア層をそれぞれ1枚ずつのみ備えていてもよいが、これらのいずれか又は両方を複数枚備えることもできる。無機バリア層を複数層備えることにより、ガスバリア性能をより高めることができる。
【0079】
無機バリア層を複数層備え、且つ基材フィルムを複数備えることにより、ガスバリア性能が高く、強度が高く、且つ容易に製造しうるガスバリア積層体とすることができる。つまり、無機バリア層を、基材フィルム上にスパッタリング等の方法により設ける場合、基材フィルムの表面及び裏面の両方に無機バリア層を設けることは製造工程上困難であるところ、複数の基材フィルムのそれぞれに一層ずつ無機バリア層を設け、これを貼付することにより、複数の無機バリア層を有するガスバリア積層体を容易に得ることができる。とくに、スパッタリング等の低圧の工程を含む製造方法の場合、ガス引きの工程が少なくて済むため、効率的な製造を行うことができる。
【0080】
複数層の基材フィルムを貼付する場合、かかる貼付は、熱圧着などにより達成することができる。即ち、複数の基材フィルムのそれぞれの、貼り合せる面を、必要に応じて酸素プラズマ処理、UVオゾン処理、及びコロナ処理等の処理を施した後、真空ラミネート装置を用いて、加熱しながら圧着することにより、貼付を達成することができる。この際、貼り合せる面のどちらか一方又は両方は、基材フィルムが露出した面とすることができる。貼付工程は、生産性の観点から、ロールトゥロールで行うことが好ましい。
【0081】
複数層の基材フィルムを貼付する場合、それらの延伸方向は揃えた状態(具体的には角度誤差10°以内)とすることが、良好な低熱膨張率を得るなどの観点から好ましい。
【0082】
基材フィルムが複数層存在する場合、無機バリア層はそれらの間に存在してもよい。また、基材フィルム及び無機バリア層がいずれも複数層存在する場合、無機バリア層は最外層のみに存在していてもよく、最外層と、基材フィルムの間の両方に存在していてもよい。
【0083】
図5及び図6のそれぞれは、本発明のガスバリア積層体であって、基材フィルム及び無機バリア層を2層ずつ備える場合の一例を示す断面図である。
【0084】
図5に示すガスバリア積層体500は、基材フィルム131、無機バリア層121、基材フィルム132、及び無機バリア層122がこの順に積層された層構成を有している。
ガスバリア積層体500は、下記の方法により製造することができる。即ち、基材フィルム131上に無機バリア層121を設けて第1の積層体を得て、一方基材フィルム132上に無機バリア層122を設けて第2の積層体を得て、第1の積層体の無機バリア層121側の面及び/又は第2の積層体の基材フィルム132側の面に必要に応じて酸素プラズマ処理、UVオゾン処理、及びコロナ処理等の処理を施し、これらの面を合わせて貼付することにより、ガスバリア積層体500を得ることができる。
【0085】
図6に示すガスバリア積層体600は、無機バリア層121、基材フィルム131、基材フィルム132、及び無機バリア層122がこの順に積層された層構成を有している。
ガスバリア積層体600は、下記の方法により製造することができる。即ち、基材フィルム131上に無機バリア層121を設けて第1の積層体を得て、一方基材フィルム132上に無機バリア層122を設けて第2の積層体を得て、第1の積層体の機材フィルム131側の面及び/又は第2の積層体の基材フィルム132側の面に必要に応じて酸素プラズマ処理、UVオゾン処理、及びコロナ処理等の処理を施し、これらの面を合わせて貼付することにより、ガスバリア積層体600を得ることができる。
【0086】
〔用途〕
本発明のガスバリア積層体の用途は、特に限定されないが、液晶表示装置並びに有機EL素子を有する表示装置及び光源装置等の装置の構成要素として用いることができる。具体的には、装置を構成する他の構成要素を、水分及び酸素から保護するために封止するための層として用いることができる。
特に、本発明のガスバリア積層体が光拡散層を有する場合、かかる光拡散層を有する面を装置の最外層とするよう配置し、封止の機能と光取り出し効率を高める機能とを発揮する構成要素として用いることができる。
【0087】
〔面光源装置;概要〕
本発明の面光源装置は、前記本発明のガスバリア積層体、及び有機EL素子を備える。
図13は、図7及び図8に示した、凹凸構造層111を備える本発明のガスバリア積層体700を備える、本発明の面光源装置の一例を模式的に示す斜視図であり、図14は、図13に示す面光源装置10を、図13中の線1a−1bを通り、基材フィルムの面方向と垂直な面で切断した断面を示す断面図である。
【0088】
面光源装置10は、矩形の平板状の構造を有する装置であり、装置出光面側に位置する本発明のガスバリア積層体700と、ガスバリア積層体700の基材フィルム131側の面146に接して設けられた透明電極層141と、透明電極層141に接して設けられた発光層142と、発光層142に接して設けられた反射電極層143とを備える。透明電極層141、発光層142及び反射電極層143は、有機EL素子140を構成する。面光源装置10はさらに、任意の構成要素として、有機EL素子140の、装置出光面とは反対側の表面145側に封止基板151を有する。
【0089】
発光層142からの光は、透明電極層141を透過するか、又は反射電極層143で反射され、発光層142及び透明電極層141を透過して、装置出光面側に向かう。有機EL素子140から出光した光の多くは、基材フィルム131、無機バリア層121、及び凹凸構造層111を、この順に透過して、表面10Uから出光する。したがって、ガスバリア積層体700の表面10Uは、面光源装置10の装置出光面となる。
【0090】
このように、発光層142からの光が、ガスバリア積層体700を透過して出光することにより、ガスバリア積層体700の表面10Uの凹凸構造により、光取り出し効率を向上させることができる。また、凹凸構造層111等の層が拡散性を有する場合は、それによりさらに光が拡散された状態で出光され、その結果、観察角度による出光面の色味の変化を抑制することができる。
【0091】
また、ガスバリア積層体700が、水蒸気及び酸素等の外気中の発光層を劣化させる成分が装置出光面側から発光層へ到達することを防止するので、寿命の長い装置とすることができる。特に、本発明のガスバリア積層体は、高温高湿の環境下における経時的なガスバリア性能の低下が抑制された積層体であるため、かかる積層体を有する本発明の面光源装置は、高温高湿の長期間の使用下においても有機EL素子がそれを劣化させる成分から有効に保護され、その結果高温高湿の環境下においても経時的な性能の低下が少ない面光源装置とすることができる。
【0092】
〔面光源装置;有機EL素子〕
前記有機EL素子140として例示するように、本発明の面光源装置においては、透明電極層と、反射電極層等の前記透明電極層に対向する電極層と、これらの電極層間に設けられ、電極から電圧を印加されることにより発光する発光層と、により、有機EL素子が構成される。
【0093】
有機EL素子は、基板上に素子を構成する電極、発光層等の層を形成し、さらにそれらの層を覆う封止部材を設け、基板と封止部材で発光層等の層を封止した構成とされるのが一般的である。通常、ここでいう基板側から出光する素子はボトムエミッション型、封止部材側から出光する素子はトップエミッション型と呼ばれる。本発明の面光源装置は、これらのいずれであってもよいが、通常、基材フィルムを基板としたボトムエミッション型とすることができる。
【0094】
本発明において、有機EL素子を構成する発光層としては、特に限定されず既知のものを適宜選択することができる。発光層中の発光材料は1種類に限られず、また発光層も1層に限られず、光源としての用途に適合すべく、一種の層単独又は複数種類の層の組み合わせとすることができる。これにより、白色又はそれに近い色の光を発光するものとしうる。
【0095】
有機EL素子はさらに、電極間に、発光層に加えてホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、電子注入層及びガスバリア層等の他の層をさらに有することもできる。有機EL素子はさらに、電極に通電するための配線、発光層の封止のための周辺構造等の任意の構成要素を備えることもできる。
【0096】
有機EL素子の、ガスバリア積層体中の透明電極層に対向する電極は、特に限定されず既知のものを適宜選択することができる。図13及び図14に示す有機EL素子140のように、透明電極層141に対向する電極143を反射電極とすることにより、光拡散層又は凹凸構造層111側に出光する有機EL素子とすることができる。また、両方の電極を透明電極とし、さらに光拡散層と反対側に反射部材を有することにより、光拡散層側への出光を達成することもできる。
【0097】
電極及びその間に設ける層を構成する材料としては、特に限定されないが、具体例として下記のものを挙げることができる。
透明電極の材料としてはITO等を挙げることができる。
正孔注入層の材料としてはスターバースト系芳香族ジアミン化合物等を挙げることができる。
正孔輸送層の材料としてはトリフェニルジアミン誘導体等を挙げることができる。
黄色発光層のホスト材料としては同じくトリフェニルジアミン誘導体等を挙げることができ、黄色発光層のドーパント材料としてはテトラセン誘導体等を挙げることができる。
緑色発光層の材料としては、ピラゾリン誘導体などがあげられる。
青色発光層のホスト材料としてはアントラセン誘導体等を挙げることができ、青色発光層のドーパント材料としてはペリレン誘導体等を挙げることができる。
赤色発光層の材料としては、ユーロピウム錯体などを上げることができる。
電子輸送層の材料にはアルミニウムキノリン錯体(Alq)等を挙げることができる。
陰極材料にはフッ化リチウムおよびアルミニウムをそれぞれ用い、これらを順次真空成膜により積層させたものを挙げることができる。
【0098】
上記のもの又はその他の発光層を適宜組み合わせて積層型又はタンデム型と呼ばれる、補色関係にある発光色を発生する発光層を得ることができる。補色関係の組み合わせは、黄/青、又は緑/青/赤等とすることができる。
【0099】
本発明のガスバリア積層体を有する本発明の面光源装置は、照明器具及びバックライト装置等の用途に用いうる。
前記照明器具は、本発明の面光源装置を光源として有し、さらに、光源を保持する部材、電力を供給する回路等の任意の構成要素を含むことができる。前記バックライト装置は、本発明の面光源装置を光源として有し、さらに、筐体、電力を供給する回路、出光する光をさらに均一にするための拡散板、拡散シート、プリズムシート等の任意の構成要素を含むことができる。前記バックライト装置の用途は、液晶表示装置等、画素を制御して画像を表示させる表示装置、並びに看板等の固定された画像を表示させる表示装置のバックライトとして用いることができる。
【0100】
〔その他〕
本発明は、前記具体例には限定されず、本願の特許請求の範囲及びその均等の範囲内で、任意の変更を施すことができる。
例えば、本発明のガスバリア積層体は、無機バリア層及び基材フィルムに加えて、上述した光拡散層の他にも任意の層をさらに含むものであってもよい。かかる任意の層は、光拡散層、ガスバリア層、及び基材フィルムの間に位置する層のみならず、例えば光拡散層の表面の凹凸構造の上にさらに設けられたコーティング層であってもよく、かかるコーティング層が、本発明の面光源装置の装置出光面の凹凸構造を規定するものであってもよい。
また、上記実施形態の例示において、光拡散層の表面の全面に分布する凹部として、同一の形状からなるもののみが分布しているものを示したが、凹凸構造において、異なる形状の凹部が混在していてもよい。例えば、大きさの異なる角錐形状の凹部が混在していたり、角錐形状の凹部と円錐形状の凹部が混在していたり、複数の角錐が組み合わされた形状のものと単純な角錐形状とが混在していてもよい。
また、上記具体例において、凹凸構造を構成する平坦部の幅、及び隣り合う平坦部の間隔については、常に一定のものを示したが、平坦部の幅が狭いものと広いものとが混在していてもよく、また、平坦部の間隔が狭い箇所と広い箇所とが混在していてもよい。そのようにして、平坦部の高さ、幅、及び間隔の1以上の要素において、出射光の干渉をもたらす差異を超える寸法差が設けられている態様とすることにより、干渉による虹ムラを抑制することができる。
また、上記具体例中の反射電極層を、透明電極層と反射層に置き換えても、反射電極層と同様の効果を有する装置を構成することができる。
【実施例】
【0101】
以下、実施例及び比較例を参照して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0102】
実施例及び比較例において、諸物性の測定は、下記の通り行った。
【0103】
(厚みの測定)
接触式膜厚計でTD方向に10点測定し、その平均値を算出した。
【0104】
(Re及びRthの算出)
王子計測機器(株)製 KOBRA−21ADHにより、波長550nmにおけるRe及びRthをTD方向に10点測定した。
【0105】
(熱膨張率の測定)
測定対象を20mm×5mmの試料片に切り出し、熱機械分析装置(ブルカー・エイエックスエス社製、商品名「HC−TMA4000SA」)を用いて、荷重5.0g、窒素100cc/分、昇温速度0.5℃/分の条件で、30℃から130℃の熱膨張率(線膨張率)を測定した。
【0106】
(透湿度)
JIS K7129Bに基づいて、「PERMATRAN W3/33」(モコン社製)を用いて、40℃/90%RHの条件で測定を行った。測定は、測定対象の製造が完了した直後と、その後測定対象を高温高湿の環境に暴露した後に実施した。
高温高湿の環境への暴露は、「EHS−211MD」(エスペック社製)を用い、80℃、90%RHで1時間保持し、続いて120℃、30%RHで1時間保持することにより行った。
高温高湿の環境に暴露した前後の透湿度の変化率を下記式から算出した。
暴露前後の透湿度変化率(%)=(暴露後透湿度−暴露前透湿度)/(暴露前透湿度)×100
【0107】
<実施例1>
(1−1.基材フィルム)
ノルボルネン系樹脂(商品名「ZEONOR1600」、日本ゼオン社製、Tg163℃、屈折率1.53)のペレットを100℃で5時間乾燥した。
得られたペレットを押し出し機に供給し、押し出し機内で溶融させてから押出成形することにより未延伸フィルムを製膜し、インラインで同時二軸延伸機に供給した。延伸機において、ライン速度30m/分、延伸温度168℃、流れ方向(MD方向)2.0倍、幅方向(TD方向)2.0倍にて二軸延伸し、巻き取って基材フィルム1を得た。
得られた基材フィルムの厚み、Re、Rth、MD方向の熱膨張率、及びTD方向の熱膨張率を測定すると、それぞれ100.0μm、10.0nm、120.0nm、40.2ppm/k、及び41.0ppm/kであった。Re/d及びRth/dは、それぞれ、0.000100及び0.001200であった。
【0108】
(1−2.ガスバリア積層体)
上記(1−1)で得られた基材フィルム1の一方の面に、フィルム巻き取り式マグネトロンスパッタ装置を用いて、Siターゲットを用いて、アルゴン流量150sccm、酸素流量10sccm、出力4.0kW、真空度0.3Pa、巻きとり速度0.5m/分、張力30Nの条件で厚さ50nmのSiOx層を成膜し、ガスバリア積層体1を得た。ガスバリア積層体1は、図1に概略的に示すガスバリア積層体100の通り、基材フィルム1(図1中の基材フィルム131に相当)と、その一方の面に設けられたSiOx膜(図1中の無機バリア層121に相当)とを有する積層体であった。得られたガスバリア積層体の、高温高湿環境への暴露前後の透湿度を測定すると、それぞれ、4.2×10−2g/m2/day、4.3×10−2g/m2/dayであり、暴露前後の透湿度の変化率は、2.4%であった。
【0109】
<実施例2>
TD方向の延伸倍率を1.8倍に変更した以外は、実施例1の(1−1)と同様にして、基材フィルム2を得た。得られた基材フィルムの厚み、Re、Rth、MD方向の熱膨張率、及びTD方向の熱膨張率を測定すると、それぞれ、100.0μm、35.0nm、145.0nm、41.0ppm/k、及び43.0ppm/kであった。Re/d及びRth/dは、それぞれ、0.000350及び0.001450であった。
基材フィルム1に代えて基材フィルム2を用いた以外は、実施例1の(1−2)と同様にして、ガスバリア積層体2を得た。得られたガスバリア積層体の高温高湿環境への暴露前後の透湿度を測定すると、それぞれ、4.9×10−2g/m2/day、5.3×10−2g/m2/dayであった。暴露前後の透湿度の変化率は、8.2%であった。
【0110】
<実施例3>
TD方向の延伸倍率を1.6倍に変更し、且つ未延伸フィルム成膜時の樹脂の押出成形時の吐出速度を変更して未延伸フィルムの厚みを変更した以外は、実施例1の(1−1)と同様にして、基材フィルム3を得た。得られた基材フィルムの厚み、Re、Rth、MD方向の熱膨張率、及びTD方向の熱膨張率を測定すると、それぞれ、70.0μm、55.0nm、85.0nm、41.3ppm/k、及び48.0ppm/kであった。Re/d及びRth/dは、それぞれ、0.000786及び0.001214であった。
基材フィルム1に代えて基材フィルム3を用いた以外は、実施例1の(1−2)と同様にして、ガスバリア積層体3を得た。得られたガスバリア積層体の高温高湿環境への暴露前後の透湿度を測定すると、それぞれ、5.2×10−2g/m2/day、5.8×10−2g/m2/dayであった。暴露前後の透湿度の変化率は、11.5%であった。
【0111】
<実施例4>
MD方向の延伸倍率を2.4倍に変更し、且つ未延伸フィルム成膜時の樹脂の押出成形時の吐出速度を変更して未延伸フィルムの厚みを変更した以外は、実施例1の(1−1)と同様にして、基材フィルム4を得た。得られた基材フィルムの厚み、Re、Rth、MD方向の熱膨張率、及びTD方向の熱膨張率を測定すると、それぞれ、33.0μm、55.0nm、136.0nm、39.0ppm/k、及び41.0ppm/kであった。Re/d及びRth/dは、それぞれ、0.001667及び0.004121であった。
基材フィルム1に代えて基材フィルム4を用いた以外は、実施例1の(1−2)と同様にして、ガスバリア積層体4を得た。得られたガスバリア積層体の高温高湿環境への暴露前後の透湿度を測定すると、それぞれ、4.2×10−2g/m2/day、4.8×10−2g/m2/dayであった。暴露前後の透湿度の変化率は、14.3%であった。
【0112】
<実施例5>
MD方向の延伸倍率を2.2倍に、TD方向の延伸倍率を1.7倍に変更し、且つ未延伸フィルム成膜時の樹脂の押出成形時の吐出速度を変更して未延伸フィルムの厚みを変更した以外は、実施例1の(1−1)と同様にして、基材フィルム5を得た。得られた基材フィルムの厚み、Re、Rth、MD方向の熱膨張率、及びTD方向の熱膨張率を測定すると、それぞれ、70.0μm、63.0nm、225.0nm、40.3ppm/k、49.0ppm/kであった。Re/d及びRth/dは、それぞれ、0.000900及び0.003214であった。
基材フィルム1に代えて基材フィルム5を用いた以外は、実施例1の(1−2)と同様にして、ガスバリア積層体5を得た。得られたガスバリア積層体の高温高湿環境への暴露前後の透湿度を測定すると、それぞれ、4.8×10−2g/m2/day、5.9×10−2g/m2/dayであった。暴露前後の透湿度の変化率は、22.9%であった。
【0113】
<実施例6>
実施例1で得られたガスバリア積層体1を、200mm×200mmのサイズで2枚切り出し、それぞれを積層体1−1及び積層体1−2とした。積層体1−1の脂環式ポリオレフィン樹脂フィルム側の面(図1の面31Bに相当)、及び積層体1−2のSiOx側の面(図1の面21Aに相当)のそれぞれに、リモート式の常圧プラズマ装置を用いて窒素流量200L/分、ドライエアー流量200mL/分、出力1.5kW、1.5m/分の条件で表面処理を実施した。積層体1−1及び積層体1−2の表面処理された面を合わせてこれらを重ねて、真空ラミネート装置を用いて、0.9MPa、130℃、360秒の条件で圧着し、ガスバリア積層体6を得た。
ガスバリア積層体6は、図5に概略的に示すガスバリア積層体500の通り、基材フィルム1(図5中の基材フィルム131及び132に相当)と、SiOx膜(図5中の無機バリア層121及び122に相当)とが交互に設けられた構造を有する積層体であった。
得られたガスバリア積層体の厚み、Re、Rth、MD方向の熱膨張率、TD方向の熱膨張率、及び高温高湿環境への暴露前後の透湿度を測定するとそれぞれ、200.0μm、20.3nm、215.0nm、40.8ppm/k、40.2ppm/k、0.19×10−2g/m2/day、及び0.20×10−2g/m2/dayであった。高温高湿環境への暴露前後の透湿度の変化率は、5.3%であった。Re/d及びRth/dは、それぞれ、0.000102及び0.001075であった。
【0114】
<比較例1>
MD方向の延伸倍率を1.7倍、TD方向の延伸倍率を1.3倍に変更し、且つ未延伸フィルム成膜時の樹脂の押出成形時の吐出速度を変更して未延伸フィルムの厚みを変更した以外は、実施例1の(1−1)と同様にして、基材フィルム7を得た。得られた基材フィルムの厚み、Re、Rth、MD方向の熱膨張率、及びTD方向の熱膨張率を測定すると、それぞれ、32.0μm、141.0nm、158.0nm、44.0ppm/k、及び55.0ppm/kであった。Re/d及びRth/dは、それぞれ、0.004406及び0.004938であった。
基材フィルム1に代えて基材フィルム7を用いた以外は、実施例1の(1−2)と同様にして、ガスバリア積層体7を得た。得られたガスバリア積層体の高温高湿環境への暴露前後の透湿度を測定すると、それぞれ、4.5×10−2g/m2/day、7.5×10−2g/m2/dayであった。暴露前後の透湿度の変化率は、66.7%であった。
【0115】
<比較例2>
TD方向の延伸倍率を1.4倍に変更し、且つ未延伸フィルム成膜時の樹脂の押出成形時の吐出速度を変更して未延伸フィルムの厚みを変更した以外は、実施例1の(1−1)と同様にして、基材フィルム8を得た。得られた基材フィルムの厚み、Re、Rth、MD方向の熱膨張率、及びTD方向の熱膨張率を測定すると、それぞれ、44.0μm、290.0nm、300.0nm、41.3ppm/k、及び54.0ppm/kであった。Re/d及びRth/dは、それぞれ、0.006591及び0.006818であった。
基材フィルム1に代えて基材フィルム8を用いた以外は、実施例1の(1−2)と同様にして、ガスバリア積層体8を得た。得られたガスバリア積層体の高温高湿環境への暴露前後の透湿度を測定すると、それぞれ、4.5×10−2g/m2/day、8.5×10−2g/m2/dayであった。暴露前後の透湿度の変化率は、88.9%であった。
【0116】
<比較例3>
実施例1の(1−1)で得た未延伸フィルムを、延伸することなくそのまま、基材フィルム9とした。得られた基材フィルムの厚み、Re、Rth、MD方向の熱膨張率、及びTD方向の熱膨張率を測定すると、それぞれ、80.0μm、2.0nm、6.0nm、63.5ppm/k、及び63.0ppm/kであった。Re/d及びRth/dは、それぞれ、0.000025及び0.000075であった。
基材フィルム1に代えて基材フィルム9を用いた以外は、実施例1の(1−2)と同様にして、ガスバリア積層体9を得た。得られたガスバリア積層体の高温高湿環境への暴露前後の透湿度を測定すると、それぞれ、4.8×10−2g/m2/day、10.5×10−2g/m2/dayであった。暴露前後の透湿度の変化率は、118.8%であった。
【0117】
<比較例4>
実施例1の(1−1)中の未延伸フィルムの成形において、押出成形の条件を変更し、膜厚188.0μmの未延伸フィルムを得て、これを延伸することなくそのまま基材フィルム10とした。得られた基材フィルムの厚み、Re、Rth、MD方向の熱膨張率、及びTD方向の熱膨張率を測定すると、それぞれ、188.0μm、4.5nm、15.0nm、63.5ppm/k、及び62.0ppm/kであった。Re/d及びRth/dは、それぞれ、0.000024及び0.000080であった。
基材フィルム1に代えて基材フィルム10を用いた以外は、実施例1の(1−2)と同様にして、ガスバリア積層体10を得た。得られたガスバリア積層体の高温高湿環境への暴露前後の透湿度を測定すると、それぞれ、4.8×10−2g/m2/day、9.5×10−2g/m2/dayであった。暴露前後の透湿度の変化率は、97.9%であった。
【0118】
以上の結果から、Re/d及びRth/dの両方が本発明の規定の範囲内である実施例1〜6においては、これらいずれかが本発明の規定の範囲外である比較例1〜4に比べて、高温高湿条件に暴露する前後の透湿度変化率が顕著に低いことがわかる。
【0119】
<実施例7>
(7−1.拡散層分散液)
ウレタンアクリレートを主成分としたUV硬化樹脂(屈折率1.54)70重量部に直径2μmの粒子(シリコン樹脂)を30重量部添加し、攪拌し、拡散層分散液を得た。
【0120】
(7−2.拡散層)
実施例6で得られたガスバリア積層体6の、SiOx膜が露出している側の面(図5の面22A)に、上記(7−1)で得た拡散層分散液をバーコーターで塗布して拡散層分散液の層を形成し、これに積算光量1.5J/cm2の紫外線を照射することで、拡散層分散液の層を硬化させ、拡散層を形成し、(基材フィルム)−(SiOx膜)−(基材フィルム)−(SiOx膜)−(拡散層)の層構成を有する積層体7Aを得た。積層体7A上の拡散層の膜厚は、20μmであった。
【0121】
(7−3.面光源装置)
上記(7−2)で得られた積層体7Aの基材フィルム側の面に、スパッタ装置を用いて、ITOターゲット、アルゴン流量150sccm、酸素流量5sccm、出力1.5kWの条件で、ITO層を厚さ100nmになるように形成し、(ITO層)−(基材フィルム)−(SiOx膜)−(基材フィルム)−(SiOx膜)−(拡散層)の層構成を有する積層体7Bを得た。ついで、得られた積層体7BのITO層側の面に、ホール輸送層10nm、黄色発光層20nm、青色発光層15nm、電子輸送層15nm、電子注入層1nm、及び反射電極層100nmをこの順に形成した。ホール輸送層から電子輸送層までは全て有機材料により形成した。黄色発光層及び青色発光層はそれぞれ異なる発光スペクトルを有している。
ホール輸送層から反射電極層までの各層を形成した材料は、それぞれ下記の通りである:
【0122】
・ホール輸送層;4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)
・黄色発光層;ルブレン1.5重量%添加 α−NPD
・青色発光層;イリジウム錯体10重量%添加 4,4’−ジカルバゾリル−1,1’−ビフェニル(CBP)
・電子輸送層;フェナンスロリン誘導体(BCP)
・電子注入層;フッ化リチウム(LiF)
・反射電極層;Al
【0123】
ホール注入層から反射電極層までの形成は、真空蒸着装置内に積層体7Bを設置し、上記のホール輸送層から反射電極層までの材料を抵抗加熱式により順次蒸着させることにより行なった。系内圧は5x10−3Paで、蒸発速度は0.1〜0.2nm/sとした。さらに、ITO層及び反射電極層に通電のための配線を取り付け、さらにホール輸送層から反射電極層までを封止部材により封止し、面光源装置1を得た。得られた面光源装置は、拡散層から白色の光を出光しうる出光面を有していた。得られた面光源装置に、直流電圧5Vを印加し発光させ、出光面からの正面方向の輝度を輝度計(大塚電子社製、MCPD−7000)を用いて測定すると、262cd/m2であった。
【0124】
<実施例8>
下記の点を変更した以外は、実施例7と同様にして、面光源装置2を得た。
本実施例においては、上記(7−2)中の拡散層分散液の層の硬化を、拡散層分散液の層に金属モールドを押し付けながら、ガスバリア積層体6の基材フィルム側の面(図5の面11B)に紫外線を入射させ、積算光量1.5J/cm2で拡散層分散液の層に紫外線を照射して行った。
金属モールドには、表面の形状が、頂角60°、底辺25μmの正四角錐が30μmのピッチで並んだ(即ち、隣接する四角錐間に5μmの平坦部が存在する)形状であるものを用いた。そして、得られた拡散層の表面には、かかる正四角錐が反転した形状が形成され、図7及び図8に概略的に示すような凹凸構造が得られた。
得られた面光源装置の輝度を、実施例7における評価方法と同様の方法で評価したところ、その輝度は、282cd/m2であった。
【0125】
<実施例9>
上記(7−1)を行わず、粒子を添加しないUV硬化樹脂をそのまま拡散層分散液の代わりに(7−2)において用いた他は、実施例7と同様にして、面光源装置3を得た。
得られた面光源装置の輝度を、実施例7における評価方法と同様の方法で評価したところ、その輝度は、200cd/m2であった。
拡散層を有しない実施例9に比べて、拡散層を有する実施例7は、輝度が約30%高く、拡散層に凹凸パターンを付与した実施例8は、輝度が約40%高かった。
【符号の説明】
【0126】
10:面光源装置
10U:面光源装置用積層体表面
11A〜11D:斜面
11E〜11H:凹部底辺
100、200、300、400、500、600、700:ガスバリア積層体
111:光拡散層又は凹凸構造層
113:凹部
114:平坦部
121、122:無機バリア層
131、132:フィルム基材
140:有機EL素子
141:透明電極層
142:発光層
143:反射電極層
144:透明電極層
151:封止基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムと、前記基材フィルムの少なくとも一方の面に設けられた無機バリア層とを備えるガスバリア積層体であって、
前記基材フィルムが、脂環式オレフィン樹脂からなる二軸延伸フィルムであり、且つ、
前記基材フィルムの、波長550nmにおける面内レターデーションRe、波長550nmにおける厚み方向のレターデーションRth、及びフィルム厚さdが下記式(1)及び(2):
Re/d<0.003 (1)
Rth/d>0.001 (2)
の関係を満たすフィルムである、ガスバリア積層体。
【請求項2】
請求項1に記載のガスバリア積層体であって、
前記基材フィルムを複数枚備える、ガスバリア積層体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のガスバリア積層体であって、
光拡散層をさらに備える、ガスバリア積層体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスバリア積層体であって、
凹凸構造層をさらに備える、ガスバリア積層体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスバリア積層体、及び有機エレクトロルミネッセンス素子を備える面光源装置。
【請求項1】
基材フィルムと、前記基材フィルムの少なくとも一方の面に設けられた無機バリア層とを備えるガスバリア積層体であって、
前記基材フィルムが、脂環式オレフィン樹脂からなる二軸延伸フィルムであり、且つ、
前記基材フィルムの、波長550nmにおける面内レターデーションRe、波長550nmにおける厚み方向のレターデーションRth、及びフィルム厚さdが下記式(1)及び(2):
Re/d<0.003 (1)
Rth/d>0.001 (2)
の関係を満たすフィルムである、ガスバリア積層体。
【請求項2】
請求項1に記載のガスバリア積層体であって、
前記基材フィルムを複数枚備える、ガスバリア積層体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のガスバリア積層体であって、
光拡散層をさらに備える、ガスバリア積層体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスバリア積層体であって、
凹凸構造層をさらに備える、ガスバリア積層体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスバリア積層体、及び有機エレクトロルミネッセンス素子を備える面光源装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−201043(P2011−201043A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68147(P2010−68147)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]