説明

ガスメータ及びその制御方法

【課題】ファンヒーター等の比例制御を行う機器において、着火後に、緩やかなガス流量の減少及び増加が生じた場合であっても、着火時だけでなく実際の流量状態を踏まえた上で、適切な安全継続時間を設定可能とする。
【解決手段】着火後、平均流量算出部220はガス流量Qiに基づいて所定の時間間隔毎の平均流量Qaveを算出する。登録流量補正判定部280の判定手段281は、平均流量Qaveが閾値Qd1以下であるかを判定する。カウンタ手段282は連続して閾値以下となるカウント値をアップし、連続して閾値以下となるカウント値が所定の設定値Nに達するかを判定し、この設定値Nに達している場合には、保安部250に登録流量の補正要求信号を出力する。保安部250は、記憶部270の個別流量テーブル271に登録されている個別流量Q0、Q1、・・・を全て削除し、新たに現在の平均流量Qaveを最大流量Q0として登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各家庭へのガス供給ライン中に設置されるガスメータ及びその制御方法に係り、特に、ガスの消し忘れに対して適切なタイミングで安全継続時間遮断を実現する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、現行のガスメータは、ガスの消し忘れを判定することで当該ガスを遮断する機能(安全継続時間遮断機能)を搭載する。この機能は、ガスの流量に所定値以上(例えば3%以上)の変化があった場合に、着火又は火力調整があったと判断し、その際の変化量に応じて予め設定された安全継続時間(制限時間とも言う)を決定し、その後、所定値以上(例えば、3%以上)の流量の変化がない状態で、当該安全継続時間が過ぎた場合にガスを遮断する。
【0003】
具体的には、機器の着火を判断後、その際の変化量を、例えば、図22に示すように7区分に分けて登録し(あるいは更新する処理を行い)、この登録流量に応じて予め設定された安全継続時間を決定する。その後、所定値以上の流量の変化がない状態で、当該安全継続時間が経過した場合にガスを遮断する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年のファンヒーターや給湯器等のガス器具の中には、着火後に比例制御を行い、ガス流量が徐々に減少することで設定温度になると、燃焼をこの設定温度の状態で維持するようガス流量を少量に制御するものが提案されている(通称、比例制御機器)。この比例制御機器では、また、燃焼が一定状態(設定温度の状態)に維持された後、窓を開けるなどして室温が下がってしまうと、比例制御により流量を徐々に上昇させ、室温が設定温度になるよう制御する。
【0005】
しかしながら、この比例制御機器において上記のような安全継続時間遮断機能を実行する場合、図23に示す通り、ファンヒーターの着火(600L/h)後、比例制御により、ガスの流量変化が例えば3%以下の状態で、当該ガス流量を徐々に減少させ、燃焼が一定状態(200L/h)になると下記のような問題が生じる。
【0006】
すなわち、このように、着火後、ガス流量が3%以下の状態で減少することで燃焼が一定状態に達した場合、着火時の登録流量(600L/h)は、一定燃焼時の実際の流量(200L/h)に対して大きくなるため、この実際の流量に対して設定される安全継続時間が着火時の登録流量に対応したものとなってしまう。
【0007】
これにより、実際のガス流量(200L/h)に対して、安全継続時間である遮断時間が短くなるという「早切れ」現象とった問題が生じる。この「早切れ」現象は、ファンヒーターのような比例制御を行う暖房器具の利便性を低下させ、さらにはユーザへのサービス低下にも繋がる。
【0008】
一方、図24に示すように、ファンヒーター等の比例制御機器が一定状態で燃焼しているとき(200L/h)に、窓が開くなどにより室温が低下すると、比例制御が働くことで、ガス流量が例えば3%以下の状態で徐々に増加し、燃焼が一定状態(600L/h)になった場合には、下記のようになる。
【0009】
すなわち、比例制御により、3%以下の状態で流量が増加することで燃焼が再度一定状態(600L/h)になると、登録流量(200L/h)が実際の流量(600L/h)よりも小さくなるため、実際の流量に対して設定される安全継続時間は登録流量に対応したものとなってしまう。これにより、実際のガス流量(600L/h)に対して、安全継続時間である遮断時間が長くなる。
【0010】
本発明は、上記のような課題を解消するために提案されたものであって、その目的は、ファンヒーター等の比例制御を行う機器において、着火後に、緩やかなガス流量(例えば3%以下)の減少及び増加が生じた場合であっても、着火時だけでなく実際の流量状態を踏まえた上で、適切な安全継続時間(制限時間)を設定可能なガスメータ及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した目的を達成するために、本発明は、ガス流量を監視し、登録した登録流量の流量区分に応じて予め設定された使用制限時間を設定し、当該使用制限時間を超えて使用した場合に遮断弁によりガスを遮断するガスメータであって、ガス流量を検出する流量検出手段と、前記流量検出手段により検出されたガス流量を所定の時間間隔で平均化することで平均流量を算出する平均流量算出手段と、前記所定の時間間隔前後の前記平均流量の変化量を算出し、当該変化量が流量変化に相当する第1の閾値以上であるかを判定する流量変化判定手段と、前記流量変化判定手段により前記変化量が第1の閾値以上であると判定された場合に、この変化の増減方向に基づいて前記変化量を登録又は削除する登録手段と、前記登録手段により登録された前記変化量である登録流量を補正する補正手段と、を備え、前記補正手段は、前記平均流量算出手段により算出された平均流量がゆるやかな流量変化に相当する第2の閾値以下であるかを判定する判定手段と、前記平均流量が連続して前記判定手段により第2の閾値以下であると判定される回数をカウントし、このカウントされた回数が所定の設定回数に達するかを判定するカウンタ手段と、を有し、前記カウンタ手段により所定の設定回数に達すると判定された場合に、前記登録流量を当該平均流量に補正することを特徴とする。
【0012】
また、前記流量変化判定手段により前記変化量が流量変化に相当する第1の閾値以上と判定される場合に、その際に既に登録されている登録流量が1つであるかを判定する登録判定手段と、前記登録判定手段により登録流量が1つであると判定された場合に、前記流量変化判定手段による判定時の直前の前記平均流量が当該登録流量を上回るかを判定する直前流量判定手段と、を備え、前記補正手段が、前記直前流量判定手段により前記平均流量が前記登録流量を上回ると判定される場合に、当該登録流量を前記直前の平均流量に補正する点も本発明の一態様として包含する。
【0013】
さらに、本発明は、前記補正手段による補正時、又は前記流量変化判定手段による前記変化量が第1の閾値以上であるとの判定時を基準として、前記使用制限時間を設定する設定手段を備える点も包含する。
【発明の効果】
【0014】
以上のような本発明によれば、着火後、ガス流量が例えば3%以下の状態で徐々に減少した場合であっても、記憶部に登録される登録流量を補正することができ、その上で、当該補正後の登録流量に対応する制限時間の開始基準を補正時に設定することができるので、着火時のガス流量に対応する制限時間を設定することで実際の制限時間が短くなるといった「早切れ」現象を抑制することが可能となる。それ故、ファンヒーターのような比例制御を行う暖房器具の利便性を向上させ、さらにはユーザへのサービス向上にも貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る構成例を示す機能ブロック図
【図2】本発明の実施形態に係る登録流量補正処理の実施例1を示すフローチャート(流量減少)
【図3】本発明の実施形態に係る登録流量補正処理の実施例2の概略図
【図4】本発明の実施形態に係る登録流量補正処理の実施例2を示すフローチャート(流量減少)(1)
【図5】本発明の実施形態に係る登録流量補正処理の実施例2を示すフローチャート(流量減少)(2)
【図6】本発明の実施形態に係る登録流量補正処理の実施例3の概略図
【図7】本発明の実施形態に係る登録流量補正処理の実施例3を示すフローチャート(流量減少)(1)
【図8】本発明の実施形態に係る登録流量補正処理の実施例3を示すフローチャート(流量減少)(2)
【図9】本発明の実施形態に係る登録流量補正処理の実施例1〜3の概略図
【図10】本発明の実施形態に係る制限時間の再設定処理の実施例1を示すフローチャート
【図11】本発明の実施形態に係る制限時間の再設定処理の実施例1〜3の概略図
【図12】本発明の実施形態に係る制限時間の再設定処理の実施例3の概略図
【図13】本発明の実施形態に係る記憶部の制限時間テーブルを示す図
【図14】本発明の実施形態に係る登録流量補正処理の実施例1を示すフローチャート(流量増加)
【図15】本発明の実施形態に係る登録流量補正処理の実施例1の概略図
【図16】本発明の実施形態に係る登録流量補正処理の実施例1における個別流量テーブルを示す図
【図17】本発明の実施形態に係る登録流量補正処理の実施例2を示すフローチャート(流量増加)
【図18】本発明の実施形態に係る登録流量補正処理の実施例2の概略図
【図19】本発明の実施形態に係る登録流量補正処理の実施例2における個別流量テーブルを示す図
【図20】本発明の他の実施形態に係る構成例を示す機能ブロック図
【図21】本発明の他の実施形態に係る登録流量の補正処理を示すフローチャート
【図22】本発明の従来技術であるガス流量と制限時間の関係及び制限時間テーブルを示す図
【図23】本発明の従来技術である比例制御機器における流量減少を示す図
【図24】本発明の従来技術である比例制御機器における流量増加を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
[本実施形態]
[1.構成]
本発明を実施するための実施形態に係るガスメータの構成について図1を参照して以下に説明する。図1は、本実施形態に係るガスメータの構成例を示す機能ブロック図である。
【0017】
図1に示す通り、本実施形態のガスメータは、対象ガス流路を流れるガスに関する物理量を計測する計測部100と、当該ガスメータの各種機能を実現するコントローラ(制御器)200と、ガスを遮断する遮断弁300と、から構成されている。
【0018】
計測部100は、図1の通り、対象ガス流路中のガス流量を計測するガス流量センサ110と、他の各種の物理量として、例えば、供給圧力、加速度等を計測する各種センサ120を備えている。
【0019】
コントローラ200は、後述する各機能として、流量積算部210、平均流量算出部220、流量変化検出部230、表示部240、継続時間計測部260、保安部250、記憶部270、及び登録流量補正判定部280を備えている。
【0020】
流量積算部210は、計測部100のガス流量センサ110により得られた計測テータQiに基づいて、需要家において使用したガス使用量を積算する手段である。なお、この流量積算部210により積算された積算値は、保安部250と表示部240へ送信される。
【0021】
平均流量算出部220は、計測部100のガス流量センサ110により得られた計測データQiに基づいて、ガス流量の平均流量Qaveを算出する手段である。この平均流量算出部220は、予め設定された所定の時間間隔毎(例えば30秒間毎)に、ガス流量の連続する計測データQiの平均値を平均流量Qaveとして算出する。
【0022】
流量変化検出部230は、平均流量算出部220により算出された所定の時間間隔の前後の平均流量Qave(n)と平均流量Qave(n−1)の差分を算出し、この差分を流量変化検出用の予め設定された閾値(例えば3%)と対比することで、ガス流量の変化を検出する手段である。
【0023】
具体的には、この流量変化検出部230は、算出した平均流量Qave(n)と平均流量Qave(n−1)との差分が、予め設定された閾値(例えば3%)以上であると判定する場合に、ガス流量の変化を検出する(流量変化有りと判定する)。なお、流量変化検出部230は、流量変化を検出すると保安部250に流量変化有り信号と、その変化量(ΔQave(n)=Qave(n)−Qave(n−1))を出力する機能を備えている。
【0024】
表示部240は、液晶表示器等により実現され、流量積算部210により積算された積算値等を表示する機能などを備えている。
【0025】
保安部250は、前記流量変化検出部230によりガス流量の変化が検出されると、流量変化有り信号及び流量変化量を受信し、当該変化量が増加又は減少しているかを判定する機能を備えている。この保安部250は、また、前記変化量が増加していると判定する場合には、記憶部270の個別流量テーブル271に当該変化量を登録し、減少していると判定する場合には、減少したガスの平均流量Qave(n)を削除する機能を備えている。
【0026】
また、保安部250は、前記流量変化検出部230によりガス流量の変化が検出されると、記憶部270の個別流量テーブル271に記憶されている最大流量Q0に対応した制限時間(図13参照)を、後述する継続時間計測部260のタイマにセットしスタートさせる機能を備えている。さらに、保安部250は、この継続時間計測部260からの制限時間の経過信号に基づき、遮断弁300に対して、遮断信号を出力しガスを遮断させる機能も備えている。なお、保安部250が有する、これ以外の各種機能は[2.作用]の項目において説明する。
【0027】
継続時間計測部260は、前記保安部250により最大流量Q0に対応した制限時間がセットされると、当該制限時間をスタートさせ、制限時間を経過するかを判定する機能を備えている。なお、この継続時間計測部260は、制限時間を経過すると判定する場合に保安部250に対して、この経過信号を送信する。
【0028】
記憶部270は、各種のメモリまたは記憶装置により実現され、ガス流量の変化が検出された際に、保安部250により変化量が増加している場合に当該変化量が登録され、減少している場合に減少したガスの平均流量Qave(n)が削除されることで形成される個別流量テーブル271と、図13に示すような、個別流量の流量区分毎に対応した制限時間が記憶された制限時間テーブル(図1には示していない)と、を備えている。
【0029】
登録流量補正判定部280は、平均流量算出部220により算出された平均流量Qaveが、予め設定された閾値Qd1(例えば、600L/h)以下であるかを判定する判定手段281と、平均流量Qaveが連続して当該閾値以下になった回数(カウント値)をカウントするカウンタ手段282と、を備えている。
【0030】
この登録流量補正判定部280の判定手段281により平均流量Qaveが閾値を上回ると判定された場合には、カウンタ手段282において、カウント値をゼロにリセットするする機能も備えている。また、登録流量補正判定部280のカウンタ手段282は、平均流量Qaveが連続して当該閾値以下になった回数であるカウント値が所定の設定値Nに達すると判定する場合に、保安部250に登録流量補正要求信号を出力する機能を備えている。
【0031】
なお、以上のようなコントローラ200のうち、流量積算部210、平均流量算出部220、流量変化検出部230、安部250、継続時間計測部260、及び登録流量補正判定部280は、これらの各部の機能を実現するために特化されたプログラムとそれを組み込んだ電子回路またはコンピュータにより実現される。
【0032】
[2.作用]
次に、上記のような構成を有するガスメータの作用を図2〜19を参照して、以下に説明する。なお、本作用は、流量が減少する場合の登録流量の補正処理([2.1.」)と、流量が増加する場合の登録流量の補正処理(「2.3.」)と、登録流量補正後の制限時間の設定処理(「2.2.」)と、に分けて説明する。
【0033】
[2.1.登録流量の補正処理(ゆるやかな流量減少に対応)]
[2.1.1.実施例1]
まず、図2及び9(a)を参照して、ゆるやかにガス流量が減少する場合(例えば、3%以下)における実施例1に係る登録流量の補正処理について説明する。なお、記憶部270の個別流量テーブル271には、所定の範囲で区分された個別流量(登録流量とも言う)Q0、Q1、・・・が登録されているものとする。
【0034】
図2に示す通り、着火後、計測部100のガス流量センサ110により対象ガス流路を流れるガス流量(計測データ)Qiが取得されると、コントローラ200の平均流量算出部220は、このガス流量Qiに基づいて、所定の時間間隔毎の平均流量(例えば、30秒間毎の平均流量)Qaveを算出する(S201)。そして、コントローラ200の登録流量補正判定部280の判定手段281は、平均流量算出部220により平均流量が算出される毎に(30秒毎に)、当該平均流量Qaveが閾値Qd1(例えば、600L/h)以下であるかを判定する(S202)。
【0035】
この登録流量補正判定部280の判定手段281により平均流量Qaveが閾値Qd1以下であると判定された場合には(S202のYES)、カウンタ手段282が、連続して閾値以下となるカウント値をアップする(S203)。
【0036】
一方、登録流量補正判定部280の判定手段281により平均流量Qaveが閾値Qd1を上回ると判定された場合には(S202のNO)、カウンタ手段282が、カウント値をゼロにリセットする(S204)。
【0037】
そして、カウンタ手段282は、連続して閾値以下となるカウント値がアップされることにより、当該カウント値が所定の設定値N(例えば、N=3)に達するかを判定し(S205)、この設定値Nに達している場合には(S205のYES)、保安部250に登録流量の補正要求信号を出力する。
【0038】
保安部250は、登録流量補正判定部280からの補正要求信号を検出すると、記憶部270の個別流量テーブル271に登録されている個別流量Q0、Q1、・・・を全て削除し、新たに現在の平均流量Qaveを最大流量Q0として登録する(S206、S207)。これにより、記憶部270の個別流量テーブル271における登録流量の補正処理は完了する。その後、後述する[2.2.登録流量補正後の制限時間の再設定処理]が行われる。
【0039】
なお、S205において、カウンタ手段282によりカウント値が所定の設定値N(例えば、N=3)に達していないと判定された場合は(S205のNO)、上記S201〜204が、取得したガス流量Qiに基づいて算出される平均流量の時間間隔毎に繰り返される。
【0040】
以上のような実施例1に係る登録流量の補正処理によれば、着火後、ガス流量が例えば3%以下の状態で徐々に減少した場合であっても、記憶部に登録される登録流量を補正することができるので、着火時のガス流量に対応する制限時間を設定することにより実際の制限時間が短くなるといった「早切れ」現象を抑制することが可能となる。それ故、ファンヒーターのような比例制御を行う暖房器具の利便性を向上させ、さらにはユーザへのサービス向上にも貢献することができる。
【0041】
[2.1.2.実施例2]
また、前記実施例1では、平均流量を算出する毎に(例えば、30秒毎に)、登録流量補正処理を行う態様を示したが、次のように、所定の周期(例えば、60分)で、登録流量の補正を行うことも可能であり、図3〜5及び9(b)を参照して、実施例2に係る補正処理を説明する。
【0042】
具体的には、図3に示す通り、コントローラ200の保安部250が、所定時間(例えば60分)毎に、登録流量補正判定部280に対して登録流量の補正処理を実行する起動信号を送信し、上記実施例1のS202以降のような登録流量の補正処理が行われる。
【0043】
より詳細に示すと、図4の通り、まず、計測部100のガス流量センサ110により対象ガス流路を流れるガス流量(計測データ)Qiが取得されると、コントローラ200の平均流量算出部220は、このガス流量Qiに基づいて、所定の時間間隔毎の平均流量(例えば、30秒間毎の平均流量)Qaveを算出する(S401)。
【0044】
そして、流量変化検出部230が、平均流量算出部220により算出された所定の時間間隔の前後の平均流量Qave(n)と平均流量Qave(n−1)の差分を算出し、この差分が予め設定された閾値(例えば、3%)以上であるかを判定する(S402)。
【0045】
流量変化検出部230により、差分が予め設定された閾値(例えば3%)以上でないと判定された場合には(S402のNO)、保安部250において、所定の周期(例えば、60分)で、登録流量補正処理を実行する起動信号を送信するタイミングを判断する(S403)。すなわち、保安部250は、登録流量の補正処理が実行されるタイミングであるかを判断する。
【0046】
起動信号の送信タイミングであると判定されると(S403のYES)、当該保安部250は、起動信号をONとして登録流量補正判定部280に送信し、図5に示すような登録流量の補正処理が行われる(S404)。
【0047】
実施例2に係る登録流量の補正処理は、図5に示す通り、前記実施例1のS202以降の処理とほぼ同様であるが、カウンタ手段282によりカウント値が所定の設定値N8(例えば、N=3)に達していると判定された場合には(S505のYES)、カウンタ値をリセットする共に、起動信号をOFFとする(S504、S505)。
【0048】
また、S501において、登録流量補正判定部280の判定手段281により平均流量Qaveが閾値Qd1を上回ると判定された場合においても(S501のNO)、カウンタ値をリセットする共に、起動信号をOFFとする(S506、507)。これ以外の処理は実施例1と同様であるため説明は省略する。
【0049】
一方、図4のS403において、起動信号の送信タイミングにないと判断された場合は(S403のNO)、登録流量の補正処理は行われずにS401〜403の処理が繰り返される。また、S402において、流量変化検出部230により、差分が予め設定された閾値(例えば、3%)以上であると判定された場合には(S402のYES)、起動信号の送信にあたり所定周期で計測していたタイマをリセットし(S405)、登録流量の補正処理は行われずにS401〜402の処理が繰り返される。
【0050】
以上のような実施例2に係る登録流量の補正処理によれば、下記の通り、30秒毎に補正を行う実施例1と比較して消費電力を低減することが可能となる。例えば、平均流量の算出時間が30秒毎であり、カウンタ手段282によるカウント回数Nが3回であり、補正処理を実行する所定の周期が60分であるとすれば、このような状況下では、消費電力を1/120(=30秒×3回÷3600秒÷3)に低減することが可能となる。
【0051】
[2.1.3.実施例3]
また、次のように、継続時間計測部260により経過判定される制限時間を超過する(遮断成立)前に登録流量の補正処理の判定を行うことも可能であり、図6〜8及び9(c)を参照して、実施例3に係る補正処理を説明する。
【0052】
図6に示す通り、実施例3では、継続時間計測部260に、登録流量の補正処理の開始時間を設定可能な登録流量補正判定タイマ261を設け、補正処理を実施する時点を制限時間の満了前(例えば、10分前)に設定することを特徴とする。
【0053】
具体的には、図7の通り、コントローラ200の平均流量算出部220が、取得されたガス流量Qiに基づいて、所定の時間間隔毎の平均流量(例えば、30秒間毎の平均流量)Qaveを算出し(S701)、流量変化検出部230が、所定の時間間隔の前後の平均流量Qave(n)と平均流量Qave(n−1)の差分を算出し、この差分が予め設定された閾値(例えば3%)以上であるかを判定する(S702)。
【0054】
ここで、流量変化検出部230により、差分が予め設定された閾値(例えば3%)以上であると判定された場合には(S702のYES)、保安部250は、登録流量補正判定タイマ251に補正処理の開始時間(例えば、制限時間満了の10分前)を設定することで、当該登録流量補正判定タイマ251をゼロスタートさせ(S703)、図8に示すようなカウントアップ処理が行われる。
【0055】
すなわち、登録流量補正判定タイマ251は、保安部により補正処理の開始時間(例えば、制限時間満了の10分前)が設定されると、経過時間をカウントアップし(S801)、補正処理の開始時間に達したかを判定する(S802)。補正処理の開始時間に達していると判定される場合には(S802のYES)、登録流量補正処理の起動信号(タイムオーバー信号とも言う)をONとして(S803)、当該起動信号を保安部250に出力する。なお、起動信号がONされると、当該登録流量補正判定タイマ251によるカウントアップは終了する(S804)。
【0056】
保安部250は、前記起動信号を受信すると、登録流量補正判定部280に対して、次のように、登録流量の補正処理の起動信号を送信し補正処理が行われる。すなわち、その後、流量変化検出部230により、差分が予め設定された閾値(例えば3%)以上でないと判定された場合には(S702のNO)、保安部250において、図8に示した補正処理開始を示す起動信号がONされているか(起動信号を受信したか)を判断する(S704)。
【0057】
保安部250により起動信号がONである判定されると(S704のYES)、当該保安部250は、この起動信号を登録流量補正判定部280に送信し、図5に示すような実施例2と同様の登録流量補正処理が行われる(S705)。
【0058】
以上のような実施例3によれば、例えば、制限時間が満了する10分前(ガス遮断が発生する10分前)に、登録流量の補正処理を実行することができるので、夜間等のガス使用のない状況下における遮断を抑制でき、登録流量補正に係わる消費電力を大幅に低減することが可能となる。
【0059】
[2.2.登録流量補正後の制限時間の再設定処理]
次に、上記のような登録流量の補正処理が実行された後の制限時間の再設定処理について、図10〜13を参照して以下に説明する。なお、以下では、コントローラ200の平均流量算出部220により算出された所定の時間間隔前後の平均流量の差分が流量変化検出部230により予め設定された閾値(例えば3%)以上であると判定され(着火状態にあると判定され)、保安部250が既に当該流量に対応した記憶部270の制限時間テーブルに記憶された制限時間を継続時間計測部260のタイマにセットしスタートさせているものとして説明する。
【0060】
[2.2.1.実施例1]
実施例1に係る制限時間の再設定処理について説明すると、まず、コントローラ200では、前記図2に示したように、保安部250が、登録流量補整判定部280からの補正要求信号を検出し、記憶部270の個別流量テーブル271に登録されている個別流量Q0〜Q4を全て削除し、新たに現在の平均流量Qaveを最大流量Q0として登録する。そして、この保安部250は、記憶部270の個別流量テーブル271に記憶されている最大流量Q0に対応した制限時間(図13参照)を、継続時間計測部260のタイマにセットする。
【0061】
継続時間計測部260では、図10に示す通り、前記保安部250により最大流量Q0に対応した制限時間がセットされると、当該制限時間をゼロスタートさせる(S1001)。その後、当該継続時間計測部260は、この制限時間が経過するかを判定し(S1002)、制限時間が経過する判定する場合に(S1002のYES)、保安部250に対して、その旨を示す経過信号を送信すると共に、制限時間の経過判定処理をリセットする(S1003)。
【0062】
そして、保安部250は、この継続時間計測部260からの制限時間の経過信号に基づき、遮断弁300に対して遮断信号を出力し、ガスを遮断する(S1004)。
【0063】
例えば、図11に示す通り、始めに設定した現行制限時間が、ガス流量1000L/hに対応する220分であった場合に(図13参照)、現在のガス流量が500L/hであれば、制限時間を登録流量の補正時を開始基準として660分(図13参照)に再設定することができる。
【0064】
以上のような実施例1に係る制限時間の設定処理によれば、補正後の登録流量に対応する制限時間の開始基準を補正時に設定することができるので、現行の場合において、着火時に流量1000L/hが登録され、その後比例制御によりゆるやかな(例えば3%以下の)流量変化で減少することにより生じる「早切れ」現象を抑制することが可能となる。
【0065】
[2.2.2.実施例2]
また、登録流量の補正前に流れていたガス流量を考慮し、再設定した制限時間の開始基準を下記のように変更した実施例2に係る制限時間の設定処理について、以下に説明する。具体的には、実施例2では、再設定した制限時間の開始基準を、登録流量の補正処理の実行時ではなく、現行の制限時間の基準である着火時、すなわち、所定の時間間隔前後の平均流量の差分が流量変化検出部230により予め設定された閾値(例えば、3%)以上であると判定した時点に設定する。
【0066】
前記図10で言えば、S1001において、継続時間計測部260では、前記保安部250により最大流量Q0に対応した制限時間がセットされた場合に、当該制限時間をゼロスタートさせるのではなく、着火時を基準として、この制限時間をスタートさせる。
【0067】
以上のような実施例2に係る制限時間の再設定処理によれば、例えば、図11に示す通り、始めに設定した現行の制限時間が、ガス流量1000L/hに対応する220分であった場合であっても(図13参照)、現在のガス流量が500L/hであるため、制限時間を着火時を基準とした660分(図13参照)に再設定することが可能となる。これにより、着火時から補正時までに流れていたガス流量を考慮した制限時間を設定することができ、必要以上の制限時間の設定を防止することができる。
【0068】
[2.2.3.実施例3]
また、登録流量の補正前に流れていたガス量をさらに具体的に考慮し、再設定した制限時間の開始基準を下記のように変更した実施例3に係る制限時間の設定処理について、以下に説明する。なお、実施例3は、着火時から登録流量の補正時までのガス流量に応じて制限時間を再設定することを特徴とする。以下、図12及び13を参照して、詳述する。
【0069】
まず、前提として、着火時において、流量積算部210が、計測部100のガス流量センサ110により得られた計測テータQiに基づいてガス使用量の積算値を算出し保安部250に送信することで、当該保安部250を通じて当該積算値を記憶部270に保存しておく。すなわち、保安部250は、流量変化検出部230により流量変化が検出されると、この流量変化の検出時の流量積算部210による積算値を読み込み、最新の流量変化有り時の積算値を記憶部270に保存する。
【0070】
その後、保安部250において、前記図2に示すように継続時間計測部260から登録流量の補正要求信号を受信すると、流量積算部210が、この時点(補正時と呼ぶ)のガス使用量の積算値を算出する。そして、保安部250は、この補正時の積算値と記憶部270を通じて読み出した流量変化有り時の積算値との差に基づいて、着火時から補正時までに流れたガス流量を計算し、当該流量に応じて制限時間を設定する。
【0071】
例えば、図12に示すように、着火時の流量が1000L/hであり、補正時の流量が600L/h(閾値Qd1に対応する)である場合において、流量積算部210は、補正時のガス流量600L/hの制限時間が660分(11時間)(図13参照)であることを踏まえ、流すことが可能なガスの総流量は下記式により算出される。
[数1]
600L/h×11時間=6600L
【0072】
一方、保安部250は、記憶部270から読み出した着火時のガス流量を基に、当該着火時から補正時までに流れたガス流量が3000Lであると算出された場合(図12の斜線部分)、流すことができる残流量は下記式で計算される。
[数2]
6600L−3000L=3600L
【0073】
以上から、保安部250は、補正時に設定される制限時間を、上記残流量3600Lと閾値Qd1(600L/h)から以下のように算出する。
[数3]
3600L÷600L/h=6時間(360分)
【0074】
このように、保安部250により、着火時から補正時までの流量に応じて制限時間が設定されると、当該制限時間が継続時間計測部260のタイマにセットされスタートする。これ以降は前記実施例1と同様である。
【0075】
以上のような実施例3に係る制限時間の再設定処理によれば、着火時から補正時までに流れたガス流量の総和に応じて、遮断までの制限時間を調整することができるので、必要以上に長い制限時間の設定を防止することができ、さらには、ガス流量の増加も抑制することができるので、遮断までに係る必要電力を低減することが可能となる。なお、上記の制限時間の計算方法は一例であり、流量に応じた制限時間を示す表であったり、流量Qと制限時間tの関数t=f(Q)に基づいて制限時間を算出するものであっても構わない。
【0076】
[2.3.登録流量の補正処理(ゆるやかな流量増加に対応)]
[2.3.1.実施例1]
次に、前記[2.1.登録流量の補正処理(ゆるやかな流量減少に対応)]で示した流量の減少とは逆に、ゆるやかな流量(例えば、3%)で増加する場合の実施例1に係る登録流量の補正処理について、図14〜16を参照して説明する。
【0077】
なお、実施例1は、記憶部270に登録されている登録流量が1つの場合(かつ、器具が1台だけ使用されていると想定される場合)において、3%以上の流量変化がない状態から3%以上の流量変化が生じた際に、登録流量(例えば、200L/h)と流量変化直前の流量(例えば、600L/h)を比較し登録流量よりも大きい場合は、3%以下のゆるやかな流量上昇が発生していたと判断し、登録流量を前記流量変化直前の流量(600L/h)に補正することを特徴とする。以下、具体的に説明する。
【0078】
図14に示す通り、まず、計測部100のガス流量センサ110により対象ガス流路を流れるガス流量(計測データ)Qiが取得されると、コントローラ200の平均流量算出部220は、このガス流量Qiに基づいて、所定の時間間隔毎の平均流量(例えば、30秒間毎の平均流量)Qaveを算出する(S1401)。
【0079】
そして、流量変化検出部230が、平均流量算出部220により算出された所定の時間間隔の前後の平均流量Qave(n)と平均流量Qave(n−1)の差分を算出し(S1402)、この差分が予め設定された閾値(例えば、3%)以上であるかを判定する(S1403)。
【0080】
流量変化検出部230により、差分が予め設定された閾値(例えば、3%)以上である(流量変化有り)と判定された場合には(S1403のYES)、保安部250に対して、流量変化有り信号及び流量変化検出部230で検出した変化量(ΔQave(n))を送信する。そして、保安部250では、流量変化有り信号と、流量変化検出部230で検出した変化量を受信すると、下記のように記憶部270の個別流量テーブル271に登録されていた登録流量を補正する。
【0081】
すなわち、保安部250は、まず、個別流量テーブル271に登録されているガス流量は1つであるか否かを判定する(S1404)。そして、登録流量が1つと判定された場合には(S1404のYES)、その登録流量Q0と流量変化直前の流量Qave(n−1)とを比較し、当該流量変化直前の流量Qave(n−1)が登録流量Q0よりも大きい場合に、ゆるやかな流量(例えば、3%以下)上昇が発生していたと判断し、登録流量Q0を前記流量変化直前の流量Qave(n−1)に補正する(S1405)。
【0082】
例えば、図15に示す通り、平均流量算出部220により算出される平均流量Qave(n)が2000L/hであり、流量変化直前の流量Qave(n−1)が600L/hであり、記憶部270の個別流量テーブル271に登録されている1つの登録流量Q0が200L/hである場合においては、下記のように登録流量が補正される。すなわち、S1405において、流量変化直前の流量Qave(n−1)(600L/h)が、個別流量テーブル271の登録流量Q0(200L/h)よりも大きいと判定されるため、ゆるやかな流量(例えば、3%以下)上昇が発生していたと判断し、図16の通り、個別流量テーブル271の登録流量Q0(200L/h)を流量変化直前の流量(600L/h)に補正する。
【0083】
なお、上記のように登録流量Q0が前記流量変化直前の流量Qave(n−1)に補正れた後は、[2.1.登録流量の補正処理(ゆるやかな流量減少に対応)]と同様に、前記[2.2.登録流量補正後の制限時間の再設定処理]による制限時間の再設定処理が行われる。
【0084】
以上のような実施例1に係る登録流量の補正処理によれば、例えば、3%以上の流量変化が検出され、その後、3%以下のゆるやかな流量で増加した場合であっても、登録流量を流量変化直前の流量に補正することができる。すなわち、2台目に器具が着火し消化する場合において、当該2台目が着火する前に発生した1台目の器具の比例制御による3%以下の流量上昇を考慮して、登録流量を補正し制限時間を設定することができる。
【0085】
[2.3.2.実施例2]
また、図17〜19を参照して、ゆるやかな流量(例えば、3%以下)増加により、図13に示す制限時間テーブルの区分が変更した場合の個別流量テーブル271に登録されている実施例2に係る登録流量の補正処理について以下に説明する。なお、実施例2では、ゆるやかな流量増加(3%以下)により流量変化が検出されない状況下で、記憶部270に記憶された制限時間テーブルの区分が変更した場合の登録流量の補正処理について説明する。
【0086】
まず、図17に示す通り、上記実施例1と同様に、計測部100のガス流量センサ110により対象ガス流路を流れるガス流量(計測データ)Qiが取得されると、コントローラ200の平均流量算出部220は、このガス流量Qiに基づいて、所定の時間間隔毎の平均流量(例えば、30秒間毎の平均流量)Qaveを算出する(S1701)。
【0087】
そして、流量変化検出部230が、平均流量算出部220により算出された所定の時間間隔の前後の平均流量Qave(n)と平均流量Qave(n−1)の差分を算出し(S1702)、この差分が予め設定された閾値(例えば、3%)以上であるかを判定する(S1703)。
【0088】
流量変化検出部230により、差分が予め設定された閾値(例えば、3%)を下回る(流量変化無し)と判定された場合には(S1703のNO)、保安部250に対して流量変化無し信号及び流量変化検出部230で検出した変化量(ΔQave(n))を送信する。そして、保安部250では、流量変化無し信号と、流量変化検出部230で検出した変化量を受信すると、記憶部270の個別流量テーブル271に登録された登録流量は下記のように補正される。
【0089】
すなわち、保安部250は、まず、個別流量テーブル271に登録されている登録流量は1つであるか否かを判定し(S1704)、登録流量が1つの場合には(S1704のYES)、この登録流量Q0と検出した平均流量Qave(n)とを比較する(S1705)。この平均流量Qave(n)が登録流量Q0よりも大きい場合には(S1705のYES)、保安部250は、登録流量Q0を平均流量Qave(n)に補正する(S1706)。
【0090】
例えば、図18及び19に示す通り、平均流量算出部220により算出される平均流量Qave(n)が301L/hであり、流量変化直前の流量Qave(n−1)が200L/hであり、記憶部270の個別流量テーブル271に登録されている1つの登録流量Q0が200L/hである場合においては、次のように登録流量が補正される。すなわち、S1705において、平均流量Qave(n)(301L/h)は個別流量テーブル271の登録流量Q0(200L/h)よりも大きいと判定されるため、図18の(A)の時点で、個別流量テーブル271が図19に示すように補正される。
【0091】
つまり、図19の通り、個別流量テーブル271の登録流量Q0(200L/h)が平均流量Qave(n)(301L/h)に補正される。また、図17に示す通り、その後、上記実施例1のように、流量変化検出部230により流量変化有りが検出される場合には、図14のS1403〜1405と同様の補正処理が行われる(S1707、1708)。
【0092】
なお、上記のように登録流量Q0が平均流量Qave(n)に補正れた後は、[2.1.登録流量の補正処理(ゆるやかな流量減少に対応)]と同様に、前記[2.2.登録流量補正後の制限時間の再設定処理]による制限時間の再設定処理が行われる。
【0093】
以上のような実施例2に係る制限時間の再設定処理によれば、例えば、3%以上の流量変化が検出されな状況下で、その後、3%以下のゆるやか流量で増加した場合であっても、登録流量を補正することができるので、実際のガス流量に対して適切な制限時間を設定できる。
【0094】
[他の実施形態]
なお、本発明は、上記のような登録流量補正判定部280を有する実施形態に限定するものではなく、下記のような構成を有する実施形態も包含する。
【0095】
すなわち、図20に示す通り、登録流量補正判定部280は、記憶部270に登録された登録流量の最大値Q0と平均流量算出部220により算出された平均流量Qaveとの差分(Q0−Qave)を計算する演算手段283と、当該演算手段283により計算された差分が、予め設定された閾値Qd2(例えば、400L/h)以上であるかを判定する判定手段284と、を備えている。この判定手段284は、差分が閾値Qd2以上であると判定する場合に、保安部250に対して登録流量補正要求信号を出力する機能を備えている。
【0096】
このような登録流量補正判定部280の構成を踏まえた登録流量の補正処理について、図21を参照して以下に説明する。
まず、図21に示す通り、計測部100のガス流量センサ110により対象ガス流路を流れるガス流量(の計測データ)Qiが取得されると、コントローラ200の平均流量算出部220は、このガス流量Qiに基づいて、所定の時間間隔毎の平均流量(例えば、30秒間毎の平均流量)Qaveを算出する(S2101)。
【0097】
登録流量補正判定部280の演算手段283は、記憶部270に登録された登録流量の最大値Q0と平均流量算出部220により算出された平均流量Qaveとの差分(Q0−Qave)を計算する(S2102)。そして、判定手段284は、この演算手段283により計算された差分が予め設定された閾値Qd2(例えば、400L/h)以上であるかを判定する(S2103)。この判定手段284は、差分が閾値Qd2以上であると判定する場合に(S2103のYES)、保安部250に対して登録流量補正要求信号を出力する。
【0098】
保安部250は、登録流量補整判定部280からの補正要求信号を検出すると、記憶部270の個別流量テーブル271に登録されている個別流量Q0〜Q4を全て削除し、新たに現在の平均流量Qaveを最大流量Q0として登録する(S2104、S2105)。その後、上述した[2.2.登録流量補正後の制限時間の再設定処理]が行われる(S2106)。
【0099】
なお、S2103において、判定手段により、差分が予め設定された閾値Qd2(例えば、400L/h)以上でないと判定された場合には(S2103のNO)、上記S2101〜2102が、取得したガス流量Qiに基づいて算出される平均流量の時間間隔毎に繰り返される。
【符号の説明】
【0100】
100・・・計測部
110・・・ガス流量センサ
120・・・各種センサ
200・・・コントローラ
210・・・流量積算部
220・・・平均流量算出部
230・・・流量変化検出部
240・・・表示部
250・・・保安部
260・・・継続時間計測部
261・・・登録流量補正判定タイマ
270・・・記憶部
271・・・個別流量テーブル
280・・・登録流量補整判定部
280・・・登録流量補正判定部
281・・・判定手段
282・・・カウンタ手段
283・・・演算手段
284・・・判定手段
300・・・遮断弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流量を監視し、登録した登録流量の流量区分に応じて予め設定された使用制限時間を設定し、当該使用制限時間を超えて使用した場合に遮断弁によりガスを遮断するガスメータであって、
ガス流量を検出する流量検出手段と、
前記流量検出手段により検出されたガス流量を所定の時間間隔で平均化することで平均流量を算出する平均流量算出手段と、
前記所定の時間間隔前後の前記平均流量の変化量を算出し、当該変化量が流量変化に相当する第1の閾値以上であるかを判定する流量変化判定手段と、
前記流量変化判定手段により前記変化量が第1の閾値以上であると判定された場合に、この変化の増減方向に基づいて前記変化量を登録又は削除する登録手段と、
前記登録手段により登録された前記変化量である登録流量を補正する補正手段と、を備え、
前記補正手段は、
前記平均流量算出手段により算出された平均流量がゆるやかな流量変化に相当する第2の閾値以下であるかを判定する判定手段と、
前記平均流量が連続して前記判定手段により第2の閾値以下であると判定される回数をカウントし、このカウントされた回数が所定の設定回数に達するかを判定するカウンタ手段と、を有し、
前記カウンタ手段により所定の設定回数に達すると判定された場合に、前記登録流量を当該平均流量に補正することを特徴とするガスメータ。
【請求項2】
前記補正手段は、所定の周期で前記登録流量の補正を行うことを特徴とする請求項1に記載のガスメータ。
【請求項3】
前記補正手段は、前記登録流量の流量区分に対応する使用制限時間満了の所定時間前に補正を行うことを特徴とする請求項1に記載のガスメータ。
【請求項4】
ガス流量を監視し、登録した登録流量の流量区分に応じて予め設定された使用制限時間を設定し、当該使用制限時間を超えて使用した場合に遮断弁によりガスを遮断するガスメータであって、
ガス流量を検出する流量検出手段と、
前記流量検出手段により検出されたガス流量を所定の時間間隔で平均化することで平均流量を算出する平均流量算出手段と、
前記所定の時間間隔前後の前記平均流量の変化量を算出し、当該変化量が流量変化に相当する第1の閾値以上であるかを判定する流量変化判定手段と、
前記流量変化判定手段により前記変化量が所定の閾値以上であると判定された場合に、この変化の増減方向に基づいて前記変化量を登録又は削除する登録手段と、
前記登録手段により登録された前記変化量である登録流量を補正する補正手段と、を備え、
前記補正手段は、
前記平均流量算出手段により算出された平均流量と前記登録流量の最大値との差分を算出する差分算出手段と、
前記差分算出手段により算出された差分が第3の閾値以上であるかを判定する判定手段と、を有し、
前記判定手段により前記差分が第3の閾値以上であると判定された場合に、前記登録流量を当該平均流量に補正することを特徴とするガスメータ。
【請求項5】
ガス流量を監視し、登録した登録流量の流量区分に応じて予め設定された使用制限時間を設定し、当該使用制限時間を超えて使用した場合に遮断弁によりガスを遮断するガスメータであって、
ガス流量を検出する流量検出手段と、
前記流量検出手段により検出されたガス流量を所定の時間間隔で平均化することで平均流量を算出する平均流量算出手段と、
前記所定の時間間隔前後の前記平均流量の変化量を算出し、当該変化量が流量変化に相当する第1の閾値以上であるかを判定する流量変化判定手段と、
前記流量変化判定手段により前記変化量が第1の閾値以上であると判定された場合に、この変化の増減方向に基づいて前記変化量を登録又は削除する登録手段と、
前記流量変化判定手段により前記変化量が流量変化に相当する第1の閾値以上と判定される場合に、その際に既に登録されている登録流量が1つであるかを判定する登録判定手段と、
前記登録判定手段により登録流量が1つであると判定された場合に、前記流量変化判定手段による判定時の直前の前記平均流量が当該登録流量を上回るかを判定する直前流量判定手段と、
前記登録手段により登録された前記変化量である登録流量を補正する補正手段と、を備え、
前記補正手段は、前記直前流量判定手段により前記平均流量が前記登録流量を上回ると判定される場合に、当該登録流量を前記直前の平均流量に補正することを特徴とするガスメータ。
【請求項6】
前記補正手段による補正時を基準として、前記使用制限時間を設定する設定手段を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のガスメータ。
【請求項7】
前記流量変化判定手段による前記変化量が第1の閾値以上であるとの判定時を基準として、前記使用制限時間を設定する設定手段を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のガスメータ。
【請求項8】
前記平均流量を積算することで積算値を算出する流量積算手段と、
前記流量変化判定手段による前記変化量が第1の閾値以上であるとの判定時の前記積算値と前記補正手段による補正時の前記積算値とに基づいて、前記使用制限時間を算出する使用制限時間算出手段と、を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のガスメータ。
【請求項9】
前記使用制限時間算出手段は、
前記変化量が所定の閾値以上であるとの判定時の前記積算値と前記補正手段による補正時の前記積算値から当該判定時から補正時までの使用流量を算出し、
前記補正手段による補正後の前記登録流量に、当該登録流量に対応する前記使用制限時間を乗算することで総流量を算出し、
前記総流量から前記判定時から補正時までの使用流量を減算後、前記補正後の登録流量で除算することにより使用制限時間を算出することを特徴とする請求項8に記載のガスメータ。
【請求項10】
ガス流量を監視し、登録した登録流量の流量区分に応じて予め設定された使用制限時間を設定し、当該使用制限時間を超えて使用した場合に遮断弁によりガスを遮断するガスメータの制御方法であって、
コンピュータは、
ガス流量を検出する流量検出ステップと、
前記流量検出ステップで検出されたガス流量を所定の時間間隔で平均化することで平均流量を算出する平均流量算出ステップと、
前記所定の時間間隔前後の前記平均流量の変化量を算出し、当該変化量が流量変化に相当する第1の閾値以上であるかを判定する流量変化判定ステップと、
前記流量変化判定ステップで前記変化量が第1の閾値以上であると判定された場合に、この変化の増減方向に基づいて前記変化量を登録又は削除する登録ステップと、
前記登録ステップで登録された前記変化量である登録流量を補正する補正ステップと、を実行し、
前記補正ステップは、
前記平均流量算出ステップで算出された平均流量がゆるやかな流量変化に相当する第2の閾値以下であるかを判定する判定処理と、
前記平均流量が連続して前記判定処理により第2の閾値以下であると判定される回数をカウントし、このカウントされた回数が所定の設定回数に達するかを判定するカウンタ処理と、を有し、
前記カウンタ処理により所定の設定回数に達すると判定された場合に、前記登録流量を当該平均流量に補正することを特徴とするガスメータの制御方法。
【請求項11】
ガス流量を監視し、登録した登録流量の流量区分に応じて予め設定された使用制限時間を設定し、当該使用制限時間を超えて使用した場合に遮断弁によりガスを遮断するガスメータの制御方法であって、
コンピュータは、
ガス流量を検出する流量検出ステップと、
前記流量検出ステップで検出されたガス流量を所定の時間間隔で平均化することで平均流量を算出する平均流量算出ステップと、
前記所定の時間間隔前後の前記平均流量の変化量を算出し、当該変化量が流量変化に相当する第1の閾値以上であるかを判定する流量変化判定ステップと、
前記流量変化判定ステップで前記変化量が所定の閾値以上であると判定された場合に、この変化の増減方向に基づいて前記変化量を登録又は削除する登録ステップと、
前記登録ステップで登録された前記変化量である登録流量を補正する補正ステップと、を実行し、
前記補正ステップは、
前記平均流量算出ステップで算出された平均流量と前記登録流量の最大値との差分を算出する差分算出処理と、
前記差分算出処理により算出された差分が第3の閾値以上であるかを判定する判定処理と、を有し、
前記判定処理により前記差分が第3の閾値以上であると判定された場合に、前記登録流量を当該平均流量に補正することを特徴とするガスメータの制御方法。
【請求項12】
ガス流量を監視し、登録した登録流量の流量区分に応じて予め設定された使用制限時間を設定し、当該使用制限時間を超えて使用した場合に遮断弁によりガスを遮断するガスメータの制御方法であって、
コンピュータは、
ガス流量を検出する流量検出ステップと、
前記流量検出ステップで検出されたガス流量を所定の時間間隔で平均化することで平均流量を算出する平均流量算出ステップと、
前記所定の時間間隔前後の前記平均流量の変化量を算出し、当該変化量が流量変化に相当する第1の閾値以上であるかを判定する流量変化判定ステップと、
前記流量変化判定ステップで前記変化量が第1の閾値以上であると判定された場合に、この変化の増減方向に基づいて前記変化量を登録又は削除する登録ステップと、
前記流量変化判定ステップで前記変化量が流量変化に相当する第1の閾値以上と判定される場合に、その際に既に登録されている登録流量が1つであるかを判定する登録判定ステップと、
前記登録判定ステップで登録流量が1つであると判定された場合に、前記流量変化判定ステップによる判定時の直前の前記平均流量が当該登録流量を上回るかを判定する直前流量判定ステップと、
前記登録ステップで登録された前記変化量である登録流量を補正する補正ステップと、を実行し、
前記補正ステップは、前記直前流量判定ステップで前記平均流量が前記登録流量を上回ると判定される場合に、当該登録流量を前記直前の平均流量に補正することを特徴とするガスメータの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−237060(P2010−237060A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−85870(P2009−85870)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【出願人】(000168643)高圧ガス保安協会 (92)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【出願人】(309042071)東光東芝メーターシステムズ株式会社 (41)
【Fターム(参考)】