説明

ガス充填装置

【課題】本発明は被充填タンクに充填されるガスを冷却器により冷却して充填効率を高めると共に冷却器の消費電力を節約することを課題とする。
【解決手段】ガス充填装置10は、ディスペンサユニット20と、冷却器30と、蓄ガス器40と、コンプレッサ50とを有する。ディスペンサユニット20は、蓄ガス器40に連通されたガス供給系統60と、車両70に搭載された被充填タンク72に接続されるノズル80とを有する。制御部90では、ノズル80が車両70の被充填タンク72に接続された後に、充填開始スイッチ94がオンに操作されると、被充填タンク72へのガス充填制御を開始する。制御部90は、ノズル80を介して被充填タンク72へガスを充填する際に、圧力センサTTにより検出された圧力検出値が予め定められた所定値以下の場合に冷却器30を作動させるように冷却器30を制御する制御手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス充填装置に係り、特にガスを効率よく被充填タンクに充填するように構成されたガス充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、水素ガスあるいはCNG(圧縮天然ガス)などのガスを所定圧力に圧縮して被充填タンクに充填するガス充填装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種のガス充填装置においては、ガス供給系統に連通されたノズルを被充填タンクに接続し、ガス供給系統を介して供給されたガスを充填する過程で当該タンクの温度が上昇し、この温度上昇によってガスが膨張して圧力が上昇するため、ガス充填の効率が低下する。また、ガス充填時の発熱は、ガス充填時の流量が多いほど温度上昇率が高くなる傾向があり、被充填タンクへのガス充填開始直後の温度上昇が高いことが知られている。
【0004】
このようなガス充填時の温度上昇を低下させるため、ガス充填装置では、ガスを供給するガス供給系統に冷却器を設け、ノズル収納部からノズルが外されたことをノズル検出スイッチによって検出されると、冷却器を作動させ、ガスを冷却器で冷却して被充填タンクに充填している。これにより、被充填タンクの温度上昇が抑制されるため、ガス充填効率を高めることが可能になる。
【0005】
また、被充填タンクへのガス充填が完了した後、当該ノズルがノズル収納部に戻されたことがノズル検出スイッチによって検出されると、冷却器を停止させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−220275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記ガス充填装置においては、被充填タンクへガス充填開始してから所定圧力(目標圧力)に達するまで冷却器を作動させている。また、冷却器の圧縮機及び冷却液を循環させるポンプの消費電力がかなり大きいため、ガス充填時の冷却器による消費電力を節約することが望まれている。
【0008】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、上記課題を解決したガス充填装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような手段を有する。
(1)本発明は、ガスを蓄える蓄圧器とガス供給系統を介して接続され、当該ガスを被充填タンクに充填するノズルと、
前記ノズルを前記被充填タンクに接続した状態で前記被充填タンク内のガス圧力を検出する圧力検出手段と、
前記ガス供給系統に設けられ、前記ノズルによって充填されるガスを冷却する冷却器と、
前記冷却器を含む前記ガス供給系統に設けられた各機器を制御して前記被充填タンクへのガス充填を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記ノズルを介して前記被充填タンクへ前記ガスを充填する際に、前記圧力検出手段により検出された圧力検出値が予め定められた所定値以下の場合に前記冷却器を作動させて冷却されたガスを前記被充填タンクに供給するように制御することを特徴とする。
(2)本発明は、前記被充填タンクへの充填終了時における当該被充填タンク内の圧力を目標圧力として記憶する記憶手段を備え、
前記制御手段は、
前記ノズルを介して前記被充填タンクへ前記ガスを充填する過程で、前記圧力検出手段により検出された圧力検出値が予め定められた所定値以下であり、且つ前記圧力検出手段により検出された圧力検出値と前記記憶手段に記憶された圧力設定値との差が予め設定された圧力差を超える場合に、前記冷却器を作動させて冷却されたガスを前記被充填タンクに充填することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、被充填タンクへのガス充填開始の際における当該被充填タンク内の圧力が予め定められた所定値以下の場合に冷却器が作動されるため、冷却器の消費電力を削減できると共に、ガス充填効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明によるガス充填装置の一実施例の概略構成を示す図である。
【図2A】制御部が実行する制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図2B】各制御モードの条件を格納するデータベースを模式的に示す図である。
【図2C】各制御モードの変形例の条件を格納するデータベースを模式的に示す図である。
【図3】変形例1の概略構成を示す図である。
【図4A】変形例1の制御部が実行する制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図4B】変形例1の各モードの条件を格納するデータベースを模式的に示す図である。
【図4C】変形例1の各制御モードの変形例の条件を格納するデータベースを模式的に示す図である。
【図5A】変形例2の制御部が実行する制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図5B】変形例2の各モードの条件を格納するデータベースを模式的に示す図である。
【図5C】変形例2の各モードの条件の変形例を格納するデータベースを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は本発明によるガス充填装置の一実施例の概略構成を示す図である。図1に示されるように、ガス充填装置10は、ディスペンサユニット20と、冷却器30と、蓄ガス器40と、コンプレッサ50とを有する。
【0014】
ディスペンサユニット20は、例えば、水素ガスを充填するように構成されており、蓄ガス器40に連通されたガス供給系統60と、車両70に搭載された被充填タンク72に接続されるノズル80とを有する。ガス供給系統60には、一端が蓄ガス器40に連通され、他端がノズル80のホース82に接続されたガス供給配管61に各機器が配されている。
【0015】
ガス供給配管61には、入口側に配された開閉弁62と、流量計63と、調節弁64と、圧力センサPTと、出口側の開閉弁66とが配されている。また、開閉弁66の上流側と下流側から分岐された分岐配管67,68は、ディスペンサユニット20と別体に設けられた冷却器30に接続されており、各分岐配管67,68には切替弁69a,69bが設けられている。
【0016】
冷却器30は、チラーユニットからなり、例えば、エチレングリコール等を含んだ冷却液を熱交換機に循環させ、分岐配管67,68を流れるガスと冷却液との間で熱交換を行なうように構成されている。そのため、冷却器30では、冷却用のコンプレッサや冷却液を循環させるポンプなどを駆動することでガスを冷却するため、かなりの電力を必要とする。
【0017】
開閉弁62,66及び切替弁69a,69bは、それぞれ電磁弁からなり、制御部90からの制御信号によって開弁状態または閉弁状態に切り替わる。
【0018】
流量計63は、例えば、コリオリ式質量流量計からなり、ガス供給配管61を流れるガスの流量を計測し、その流量信号を制御部(制御手段)90に出力する。また、圧力センサPT(圧力検出手段)は、ガス供給配管61を流れるガスの圧力を検出し、そのときの圧力検出信号を制御部90に出力する。
【0019】
また、ディスペンサユニット20には、温度センサTTが配されており、温度センサTTは、外気温度を検出し、温度検出信号を制御部90に出力する。尚、温度センサTTが検出する外気温度は、例えば、車両70に搭載された被充填タンク72の温度とほぼ同じか被充填タンク72の温度より高いと考えられている。
【0020】
調節弁64は、ガス供給配管61を流れるガスの圧力、流量を調節するように構成されており、制御部90からの制御信号に応じて弁開度を制御される。また、制御部90では、ノズル80が車両70の被充填タンク72に接続された後に、充填開始スイッチ94がオンに操作されると、開閉弁62,66を開弁させると共に、調節弁64を徐々に開いていて被充填タンク72へのガス充填制御を開始する。
【0021】
制御部90は、被充填タンク72の圧力が予め設定された目標圧力に達した場合、あるいは充填停止スイッチ96がオンに操作されると、全ての弁を閉止して被充填タンク72へのガス充填を停止する。また、制御部90は、ノズル80を介して被充填タンク72へガスを充填する際に、圧力センサTTにより検出された圧力検出値が予め定められた所定値以下の場合に冷却器30を作動させて冷却されたガスを被充填タンク72に供給するように冷却器30を制御する制御手段を有する。
【0022】
尚、制御部90のメモリ(記憶手段)98には、タンク初期圧力に基づいて被充填タンク72の残量を演算する制御プログラム、被充填タンク72への充填圧力または充填流量が一定の割合(上昇率)で上昇するように調整弁64の弁開度を制御する制御プログラム、被充填タンク72の初期圧力あるいは充填されるガスの圧力変化あるいは目標圧力と充填圧力との差に基づいて冷却器30を作動モードまたは停止モードに切り替える制御プログラムなどの各種制御プログラムが格納されている。
【0023】
また、メモリ98は、被充填タンク72への充填終了時における当該被充填タンク72内の圧力を目標圧力として設定されると、当該目標圧力を圧力設定値として記憶する。さらに、メモリ98には、被充填タンク72への充填開始時における当該被充填タンク72内のタンク内圧力(タンク初期圧力)と外気温度の高低とに応じて、被充填タンク72へのガス充填時におけるタンク内圧力の上昇率(圧力上昇率)、及び、冷却器30を作動させるか否かの各条件を各制御モードA〜Fごとに格納したデータベース(図2B参照)を有する。
【0024】
なお、図2Bにおいては、タンク初期圧力を10MPa以下・10MPa〜30MPa・30MPa以上の三つに分けて、タンク初期圧力の値から制御モードを選定するようにされているが、タンク初期圧力を上記数値に限定する必要はなく、また、タンク初期圧力を三つ以上に細分化してそれぞれに合った制御モード(圧力上昇率・冷却器の作動の有無)を選定できるようにしても良い。更に、圧力上昇率は、「中」或いは「高」として示しているが、当然ながら実際には、予め定められた圧力上昇率としての数値(例えば、ボンベ目標圧力、ガスの性状などの条件によって適宜設定される数値)が格納(記憶)されている。
【0025】
冷却器30は、圧縮機を作動させて冷却液を循環させて分岐配管67,68を流れるガスを冷却する冷却ユニットを有する。尚、冷却器30の構成の詳細は、周知であるので、説明を省略する。
【0026】
コンプレッサ50は、ガスを圧縮して蓄ガス器40に供給しており、蓄ガス器40内のガスの圧力は、ディスペンサユニット20よりガスが充填される被充填タンク72のうちガス充填終了時における被充填タンク72内の圧力が最も高い充填目標圧力(例えば、設定圧力=70MPa)よりも高い圧力となるように運転される。尚、蓄ガス器40は、被充填タンク72の容積よりも充分に大きい容積を有していることが好ましい。
【0027】
ここで、制御部90が実行する制御処理について説明する。図2Aは制御部90が実行する制御処理を説明するためのフローチャートである。図2Bは図2Aの制御処理を行なう際の各制御モードの条件を格納するデータベースを模式的に示す図である。
【0028】
作業者は、ガス充填を受ける車両70が到着すると、ディスペンサユニット20のノズル80を当該車両80の被充填タンク72の充填口に接続する。そして、充填開始スイッチ94がオンに操作する。尚、ノズル80には、機械的に結合される逆流防止弁付カプラ構造になっており、被充填タンク72の充填口にも逆流防止弁付きカプラ構造になっている。また、逆流防止弁付カプラ構造は、周知であるので、説明を省略する。
【0029】
図2Aに示されるように、制御部90は、S11で充填開始スイッチ94がオンに操作されたときは、S12に進み、出口側の開閉弁66を開弁して被充填タンク72の圧力をガス供給系統60に導入し、調節弁64より下流のガス供給配管61の圧力を被充填タンク72の圧力と同じ圧力にする。
【0030】
次のS13では、外気温度を計測する温度センサTTから出力された温度検出値の信号を読み込むと共に、ガス供給配管61の圧力を計測する圧力センサPTから出力された圧力検出値(被充填タンク72の圧力)の信号を読み込む。
【0031】
続いて、S14に進み、圧力センサPTから出力された圧力検出信号に基づいて被充填タンク72の初期圧力(充填前の圧力)を推定する。
【0032】
次のS15では、温度センサTTにより検出された温度、及び圧力センサPTにより検出された圧力の値に基づいて制御モードA〜Fの中から、当該温度及び圧力に合致する最適の制御モード(図2Bを参照)を選択し、入口側の開閉弁62及び調節弁64を開弁させる。これで、蓄ガス器40から圧縮されたガスがガス供給系統60に供給されると共に、調節弁64の弁開度による充填制御が開始される。
【0033】
続いて、S16では、選択された制御モードがAであるか否かをチェックする。図2Bに示されるように、制御モードAは、「タンク初期圧力:10MPa以下」、「外気温度:高(設定された基準温度以上)」の場合で、「調節弁64による圧力上昇率:中(中レベルの上昇率(具体的な数値は省略))」、「冷却器:作動」でガス充填を制御する。
【0034】
S16において、制御モードAが選択された場合には、充填開始当初の供給量が高流量となって温度上昇しやすいため、S17に進み、出口側の開閉弁66を閉弁し、切替弁69a,69bを開弁させると共に、冷却器30を作動させる。これにより、ガス供給配管61を流れるガスは、開閉弁62、流量計63、調節弁64を通過した後、分岐配管67から冷却器30に供給されて冷却される。さらに、冷却されたガスは、分岐配管68を介してガス供給配管61に戻り、ホース82、ノズル80を介して被充填タンク72に供給される。
【0035】
このように、タンク初期圧力が所定圧力(10MPa)以下で、外気温度が予め定められた基準温度(具体的な数値は省略)より高い場合には、制御モードAが選択され、冷却器30によりガスの温度を低下させた状態で被充填タンク72へのガス充填が行なわれるため、被充填タンク72の温度上昇を抑制しながら効率良くガス充填が行える。
【0036】
また、S18では、調節弁64の弁開度を制御して定圧上昇充填制御(圧力上昇率=中に設定)を行なう。これにより、被充填タンク72の充填圧力は、中レベルの圧力上昇率でガス充填が行なわれる。
【0037】
次のS19では、圧力センサPTから出力された圧力検出信号を読み、被充填タンク72に充填される充填圧力がメモリ98に設定された目標圧力(例えば、70MPa)に達したか否かをチェックする。S19において、圧力センサPTにより検出された圧力が目標圧力に達していないときは、上記S17の処理に戻り、S17〜S19の処理を繰り返して被充填タンク72へのガス充填制御を行なう。
【0038】
また、S19において、圧力センサPTにより検出された圧力が目標圧力に達したときは、S20に進み、冷却器30の作動を停止させ、S21で全ての弁(調節弁64、開閉弁62,66、切替弁69a,69b)を閉弁させて被充填タンク72へのガス充填を終了する。
【0039】
また、S16において、制御モードAが選択されていない場合は、S22に進み、制御モードB,C,Dの何れかが選択されたか否かをチェックする。図2Bに示されるように、データベース100には、制御モードA〜Fの各条件が格納されている。
図2Bのデータベース100に示されるように、制御モードBは、「タンク初期圧力:10MPa以下」、「外気温度:低(設定された基準温度以下)」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは「調節弁64による圧力上昇率:高(高レベルの上昇率)」、「冷却器:作動」でガス充填を制御する。また、制御モードCは、「タンク初期圧力:10MPa〜30MPa」、「外気温度:高(設定された基準温度以上)」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:高(高レベルの上昇率)」、「冷却器:作動」でガス充填を制御する。また、制御モードDは、「タンク初期圧力:10MPa〜30MPa」、「外気温度:低(設定された基準温度以下)」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:高(高レベルの上昇率)」、「冷却器:作動」でガス充填を制御する。
【0040】
S22において、制御モードB,C,Dの何れかが選択されたときは、S23に進み、出口側の開閉弁66を閉弁し、切替弁69a,69bを開弁させると共に、冷却器30を作動させる。すなわち、タンク初期圧力が10MPa以下で、外気温度が低い場合には、制御モードBが選択され、タンク初期圧力が10MPa〜30MPaで、外気温度が高い場合には、制御モードCが選択され、タンク初期圧力が10MPa〜30MPaで、外気温度が低い場合には、制御モードDが選択される。
【0041】
このように、制御モードB〜Dの何れかが選択され、冷却器30によりガスの温度を低下させ、「調節弁64による圧力上昇率が高(高レベルの上昇率)」に設定された状態で被充填タンク72へのガス充填が行なわれるため、被充填タンク72の温度上昇を抑制しながら効率良くガス充填が行える。
【0042】
また、S24では、調節弁64の弁開度を制御して定圧上昇充填制御(圧力上昇率=高に設定)を行なう。これにより、被充填タンク72の充填圧力は、目標圧力=70MPaに対して初期圧力が10MPa〜30MPaであるので、制御モードAの場合よりも目標圧力との差が小さく、高レベルの圧力上昇率で定圧上昇充填制御によるガス充填が行なわれる。
【0043】
次のS25では、圧力センサPTから出力された圧力検出信号を読み、被充填タンク72に充填される充填圧力がメモリ98に設定された目標圧力(70MPa)に達したか否かをチェックする。S25において、圧力センサPTにより検出された圧力が目標圧力に達していないときは、上記S23の処理に戻り、S23〜S25の処理を繰り返して定圧上昇充填制御を行なう。
【0044】
また、S25において、圧力センサPTにより検出された圧力が目標圧力に達したときは、冷却器30の作動を停止させ(S20)、全ての弁(調節弁64、開閉弁62、66、切替弁69a,69b)を閉弁させて被充填タンク72へのガス充填を終了する(S21)。
【0045】
また、上記S22において、制御モードB,C,Dの何れも選択されていないときは、S26に進み、制御モードE,Fの何れかを選択する。図2Bに示されるように、制御モードEは、「タンク初期圧力:30MPa以上」、「外気温度:高(設定された基準温度以上)」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:高(高レベルの上昇率)」、「冷却器:停止」でガス充填を制御する。また、制御モードFは、「タンク初期圧力:30MPa以上」、「外気温度:低(設定された基準温度以下)」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:高(高レベルの上昇率)」、「冷却器:停止」でガス充填を制御する。
【0046】
次のS27では、出口側の開閉弁66を開弁し、切替弁69a,69bを閉弁させると共に、冷却器30を停止させる。すなわち、タンク初期圧力が30MPa以上で、外気温度が高い場合には、制御モードEが選択され、タンク初期圧力が30MPa以上で、外気温度が低い場合には、制御モードFが選択される。
【0047】
このように、タンク初期圧力が30MPa以上の場合には、供給圧との圧力差が小さくガス充填流量が小さく、ガス充填による温度上昇が低いと予想されるので、制御モードE,Fが選択され、冷却器30を停止した状態で被充填タンク72へのガス充填が行なわれる。そのため、冷却器30を作動させない分、消費電力を低下させながら効率良くガス充填が行える。
【0048】
また、S28では、調節弁64の弁開度を制御して定圧上昇充填制御(圧力上昇率=高に設定)を行なう。これにより、被充填タンク72の充填圧力は、目標圧力=70MPaに対して初期圧力が30MPa以上であるので、制御モードA〜Dの場合よりも目標圧力との差がより小さく、高レベルの圧力上昇率でガス充填が行なわれる。
【0049】
次のS29では、圧力センサPTから出力された圧力検出信号を読み、被充填タンク72に充填される充填圧力がメモリ98に設定された目標圧力に達したか否かをチェックする。S29において、圧力センサPTにより検出された圧力が目標圧力に達していないときは、上記S27の処理に戻り、S27〜S29の処理を繰り返す。
【0050】
また、S29において、圧力センサPTにより検出された圧力が目標圧力に達したときは、S21に進み、全ての弁(調節弁64、開閉弁62,66、切替弁69a,69b)を閉弁させて被充填タンク72へのガス充填を終了する。
【0051】
このように、タンク初期圧力に基づいてガス充填の流量が所定以上となる発熱量の大きい場合に冷却器30を作動され、被充填タンク72へのガス充填開始からタンク内圧力が目標圧力に達するまでの間に冷却器30が作動させるため、冷却器30の消費電力を削減できると共に、ガス充填効率を高めることができる。
【0052】
ここで、各制御モードの変形例について説明する。図2Cは各制御モードの変形例の条件を格納するデータベースを模式的に示す図である。図2Cに示されるように、変形例のデータベース200には、目標圧力と検出圧力との圧力差が予め設定された目標圧力差の閾値に基づく制御モードA1〜F1の各条件が格納されている。
【0053】
変形例の制御モードA1は、「目標圧力差:60MPa以上」、「外気温度:高」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:中」、「冷却器:作動」でガス充填を制御する。
【0054】
また、変形例の制御モードB1は、「目標圧力差:60MPa以上(閾値)」、「外気温度:低」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:高」、「冷却器:作動」でガス充填を制御する。
【0055】
また、変形例の制御モードC1は、「目標圧力差:40MPa〜60MPa(閾値)」、「外気温度:高」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:高」、「冷却器:作動」でガス充填を制御する。
【0056】
また、変形例の制御モードD1は、「目標圧力差:40MPa〜60MPa(閾値)」、「外気温度:低」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:高」、「冷却器:作動」でガス充填を制御する。
【0057】
また、変形例の制御モードE1は、「目標圧力差:40MPa以下」、「外気温度:高」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:高」、「冷却器:停止」でガス充填を制御する。
【0058】
また、変形例の制御モードF1は、「目標圧力差:40MPa以下」、「外気温度:低」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:高」、「冷却器:停止」でガス充填を制御する。
【0059】
この変形例の各制御モードは、温度と目標圧力差(閾値)に応じて各条件が設定されている。そのため、制御部90は、温度センサTTにより検出された外気温度及び圧力センサPTにより検出された圧力と、メモリ98に設定された目標圧力との差に基づいて各制御モードA1〜F1の何れかを選択する。
【0060】
変形例の各制御モードA1〜F1は、図2Bに示す制御モードの場合と同様に、冷却器30の作動、停止、及びガス充填時の圧力上昇率が最適な条件となるように何れかの制御モードが選択され、前述した図2Aに示すフローチャートの充填制御に適用されることで、被充填タンク72に対するガス充填が効率良く行なわれる。
〔変形例1〕
図3は変形例1の概略構成を示す図である。図3において、上記図1と共通部分には、同一符合を付してその説明を省略する。
【0061】
図3に示されるように、冷却器30は、2台の冷却ユニット30a、30bを有する。2台の冷却ユニット30a、30bは、分岐配管67,68に直列に配置されており、被充填タンク72の初期圧力と外気温度に応じて2台同時作動、あるいは、何れか一方のみ作動、あるいは2台とも停止の何れかの制御モードで制御される。また、冷却ユニット30a、30bは、夫々冷却能力が同じであり、何れか一方のみが作動されるときは、冷却能力がほぼ半分に低下するものの、消費電力も半分になり、消費電力を節約することができる。
【0062】
図4Aは変形例1の制御部が実行する制御処理を説明するためのフローチャートである。図4Bは変形例1の各制御モードの条件を格納するデータベースを模式的に示す図である。
【0063】
図4Aにおいて、前述した図2Aと同じ処理の説明は省略し、異なる処理について説明する。制御部90は、S16aで制御モードAまたはBの何れかが選択された場合、S17aに進み、出口側の開閉弁66を閉弁し、切替弁69a,69bを開弁させると共に、冷却器30を作動させる。これにより、ガス供給配管61を流れるガスは、開閉弁62、流量計63、調節弁64を通過した後、分岐配管67から冷却器30の冷却ユニット30a、30bに供給されて冷却される。さらに、冷却ユニット30a、30bで冷却されたガスは、分岐配管68を介してガス供給配管61に戻り、ホース82、ノズル80を介して被充填タンク72に供給される。
【0064】
このように、タンク初期圧力が10MPa以下の場合には、制御モードA2またはB2が選択され、冷却器30によりガスの温度を低下させた状態で被充填タンク72へのガス充填が行なわれるため、被充填タンク72の温度上昇を抑制しながら効率良くガス充填が行える。
【0065】
図4Bに示されるように、データベース300には、変形例の制御モードA2〜F2の各条件が格納されている。制御モードA2は、「タンク初期圧力:10MPa以下」、「外気温度:高」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:中」、「冷却ユニット30a,30b:作動」でガス充填を制御する。また、制御モードB2は、「タンク初期圧力:10MPa以下」、「外気温度:低」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:高」、「冷却ユニット30a,30b:作動」でガス充填を制御する。
【0066】
従って、制御モードA2、B2の何れかが選択された場合には、被充填タンク72の初期圧力が10MPa以下であるので、充填開始当初の供給量が高流量となって温度上昇しやすいため、2台の冷却ユニット30a,30bが共に作動される。これにより、被充填タンク72の温度上昇を抑制しながら効率良くガス充填が行える。
【0067】
また、S16aにおいて、制御モードA2またはB2の何れも選択されていない場合は、S22aに進み、制御モードC2またはD2の何れかが選択されたか否かをチェックする。図4Bに示されるように、制御モードC2は、「タンク初期圧力:10MPa〜30MPa」、「外気温度:高」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:高」、「冷却ユニット30aのみ:作動」でガス充填を制御する。また、制御モードD2は、「タンク初期圧力:10MPa〜30MPa」、「外気温度:低」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:高」、「冷却ユニット30aのみ:作動」でガス充填を制御する。
【0068】
従って、制御モードC2、D2の何れかが選択された場合には、被充填タンク72の初期圧力が10MPa〜30MPaで目標圧力70MPaの半分以下であるので、充填開始当初の供給量が中流量となるため、2台の冷却ユニット30a,30bのうち一方の冷却ユニット30aのみが作動される。これにより、被充填タンク72の温度上昇を抑制しながら効率良くガス充填が行えると共に、冷却器30の電力消費量を半分に抑えることが可能になる。
【0069】
また、S22aにおいて、制御モードC2またはD2の何れも選択されていない場合は、S26に進み、制御モードE2またはF2を選択する。図4Bに示されるように、制御モードE2は、「タンク初期圧力:30MPa以上」、「外気温度:高」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:高」、「冷却ユニット30a,30b:両方とも停止」でガス充填を制御する。また、制御モードF2は、「タンク初期圧力:30MPa以上」、「外気温度:低」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:高」、「冷却ユニット30a,30b:両方とも停止」でガス充填を制御する。このように、タンク初期圧力が30MPa以上の場合は、供給圧との圧力差が小さくガス充填流量が小さく、ガス充填による温度上昇が低いと予想されるので、制御モードE2,F2が選択され、冷却ユニット30a,30bを2台とも停止した状態で被充填タンク72へのガス充填が行なわれる。そのため、冷却ユニット30a,30bを作動させない分、冷却器30の電力消費量を節約することが可能になる。
【0070】
次のS27aでは、出口側の開閉弁66を開弁し、切替弁69a,69bを閉弁させると共に、2台の冷却ユニット30a,30bを両方とも停止させる。従って、制御モードE2、F2の何れかが選択された場合には、被充填タンク72の初期圧力が30MPa以上で目標圧力70MPaの半分程度であるので、充填開始当初の供給量が小流量となるため、ガス充填に伴う温度上昇が小さくなり、2台の冷却ユニット30a,30bの両方とも停止させる。これにより、冷却器30の電力消費量を節約することが可能になる。
【0071】
図4Cは変形例1の各制御モードの変形例の条件を格納するデータベースを模式的に示す図である。図4Cに示されるように、データベース400には、目標圧力と検出圧力との圧力差が予め設定された目標圧力差の閾値に基づく制御モードA3〜F3の各条件が格納されている。制御モードA3は、「目標圧力差:60MPa以上」、「外気温度:高」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:中」、「冷却ユニット1,2:両方とも作動」でガス充填を制御する。
【0072】
また、制御モードB3は、「目標圧力差:60MPa以上(閾値)」、「外気温度:低」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:高」、「冷却ユニット30a,30b:両方とも作動」でガス充填を制御する。
【0073】
また、制御モードC3は、「目標圧力差:40MPa〜60MPa(閾値)」、「外気温度:高」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:高」、「冷却ユニット30aのみ:作動」でガス充填を制御する。
【0074】
また、制御モードD3は、「目標圧力差:40MPa〜60MPa(閾値)」、「外気温度:低」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:高」、「冷却ユニット30aのみ:作動」でガス充填を制御する。
【0075】
また、制御モードE3は、「目標圧力差:40MPa以下」、「外気温度:高」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:高」、「冷却ユニット30a,30b:両方とも停止」でガス充填を制御する。
【0076】
また、制御モードF3は、「目標圧力差:40MPa以下」、「外気温度:低」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:高」、「冷却ユニット30a,30b:両方とも停止」でガス充填を制御する。
【0077】
この各制御モードA3〜F3は、温度と目標圧力差に応じて各条件が設定されており、温度センサTTにより検出された外気温度及び圧力センサPTにより検出された圧力と、メモリ98に設定された目標圧力との差に基づいて各制御モードA3〜F3の何れかが選択される。
【0078】
各制御モードA3〜F3は、図4Bに示す制御モードA2〜F2の場合と同様に、冷却器30の作動、停止、及びガス充填時の圧力上昇率が最適な条件となるように何れかの制御モードが選択され、前述した図4Aに示すフローチャートの充填制御に適用されることで、被充填タンク72に対するガス充填が効率良く行なわれる。
〔変形例2〕
図5Aは変形例2の制御部が実行する制御処理を説明するためのフローチャートである。図5Bは変形例2の各制御モードの条件を格納するデータベースを模式的に示す図である。
【0079】
図5Aにおいて、前述した図2Aと同じ処理の説明は省略し、異なる処理について説明する。制御部90は、S16bにおいて、制御モードA4またはB4の何れかが選択された場合は、S17bに進み、出口側の開閉弁66を閉弁し、切替弁69a,69bを開弁させると共に、図1の冷却器30(又は図3の冷却ユニット30a,30b)を全工程(ガス充填開始から被充填タンク72の充填圧力が目標圧力に達するまで)で作動させる。
【0080】
図5Bに示されるように、データベース500には、変形例の制御モードA4〜F4の各条件が格納されている。制御モードA4は、「タンク初期圧力:10MPa以下」、「外気温度:高」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、調節弁64による圧力上昇率:中」、「冷却器30(又は冷却ユニット30a,30b):全工程で作動」にしてガス充填を制御する。また、制御モードB4は、「タンク初期圧力:10MPa以下」、「外気温度:低」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:高」、「冷却器30(又は冷却ユニット30a,30b):全工程で作動」にしてガス充填を制御する。
【0081】
これにより、ガス供給配管61を流れるガスは、開閉弁62、流量計63、調節弁64を通過した後、分岐配管67から冷却器30(又は図3の冷却ユニット30a,30b)に供給されて冷却される。さらに、冷却されたガスは、分岐配管68を介してガス供給配管61に戻り、ホース82、ノズル80を介して被充填タンク72に供給される。
【0082】
このように、タンク初期圧力が10MPa以下の場合には、制御モードAが選択され、冷却器30によりガスの温度を低下させた状態で被充填タンク72へのガス充填が行なわれるため、被充填タンク72の温度上昇を抑制しながら効率良くガス充填が行える。
【0083】
S16bにおいて、制御モードA4またはB4の何れも選択されない場合には、S22bに進み、制御モードC4またはD4の何れかが選択されたか否かをチェックする。図5Bに示されるように、制御モードC4は、「タンク初期圧力:10MPa〜30MPa」、「外気温度:高」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:高」、「冷却器30(又は冷却ユニット30a,30b):前半(充填開始から全行程の半分までの時間帯)の工程で作動」にしてガス充填を制御する。また、制御モードD4は、「タンク初期圧力:10MPa〜30MPa」、「外気温度:低」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:高」、「冷却器30(又は冷却ユニット30a,30b):前半の工程で作動」にしてガス充填を制御する。
【0084】
従って、S22bにおいて、制御モードC4、D4の何れかが選択された場合には、S23bに進み、全工程の前半で出口側の開閉弁66を閉弁し、切替弁69a,69bを開弁させると共に、冷却器30を作動させる。すなわち、被充填タンク72の初期圧力が10MPa〜30MPaで目標圧力70MPaの半分以下であるので、充填開始当初の供給量が中流量となるため、冷却器30(又は冷却ユニット30a,30b)を前半の工程で作動される。これにより、被充填タンク72の温度上昇を抑制しながら効率良くガス充填が行えると共に、冷却器30(又は冷却ユニット30a,30b)の電力消費量を半分に抑えることが可能になる。
【0085】
そして、S24では、調節弁64の弁開度を制御して定圧上昇充填制御(圧力上昇率=高に設定)を行なう。この場合、被充填タンク72の充填圧力は、目標圧力=70MPaに対して初期圧力が10MPa〜30MPaであるので、制御モードA4、B4の場合よりも目標圧力との差が小さく、高レベルの圧力上昇率でガス充填が行なわれる。
【0086】
次のS24aでは、全工程の前半が終了したか否かをチェックする。S24aにおいて、全工程の前半が終了していない場合には、上記S23bの処理に戻り、S23b、S24、S24aの処理を繰り返し、冷却器30(又は冷却ユニット30a,30b)を作動させた状態で被充填タンク72へのガス充填を効率良く行なう。
【0087】
また、S24aにおいて、全工程の前半が終了した場合には、S24bに進み、出口側の開閉弁66を開弁し、切替弁69a,69bを閉弁させると共に、冷却器30(又は冷却ユニット30a,30b)を停止させる。これにより、全工程の後半(前半終了から被充填タンク72の充填圧力が目標圧力に達するまでに要する時間帯)では、冷却器30(又は冷却ユニット30a,30b)を作動させずに被充填タンク72へのガス充填が行なわれる。これにより、冷却器30の電力消費量を節約することが可能になる。
【0088】
次のS25において、圧力センサPTにより検出された圧力が目標圧力(70MPa)に達していないときは、上記S24bの処理に戻り、冷却器30(又は冷却ユニット30a,30b)を停止させたまま被充填タンク72へのガス充填を行なう。
【0089】
また、S25において、圧力センサPTにより検出された圧力が目標圧力に達したときは、全ての弁(調節弁64、開閉弁62、66、切替弁69a,69b)を閉弁させて被充填タンク72へのガス充填を終了する(S21)。
【0090】
また、S22bにおいて、制御モードC4またはD4の何れも選択されていない場合は、S26に進み、制御モードE4またはF4を選択する。図5Bに示されるように、制御モードE4は、「タンク初期圧力:30MPa以上」、「外気温度:高」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:高」、「冷却器30(又は冷却ユニット30a,30b):全工程で停止」にしてガス充填を制御する。また、制御モードF4は、「タンク初期圧力:30MPa以上」、「外気温度:低」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:高」、「冷却器30(又は冷却ユニット30a,30b):全工程で停止」にしてガス充填を制御する。
【0091】
次のS27bでは、出口側の開閉弁66を開弁し、切替弁69a,69bを閉弁させると共に、冷却器30(又は2台の冷却ユニット30a,30bを両方)を全工程で停止させる。従って、制御モードE4、F4の何れかが選択された場合には、被充填タンク72の初期圧力が30MPa以上で目標圧力70MPaの半分程度であるので、充填開始当初の供給量が小流量となるため、ガス充填に伴う温度上昇が小さくなり、冷却器30(又は2台の冷却ユニット30a,30bの両方)を停止する。これにより、冷却器30の電力消費量を節約することが可能になる。
【0092】
図5Cは変形例2の各制御モードの条件を格納するデータベースを模式的に示す図である。図5Cに示されるように、データベース600には、目標圧力と検出圧力との圧力差が予め設定された目標圧力差の閾値に基づく制御モードA5〜F5の各条件が格納されている。制御モードA5は、「目標圧力差:60MPa以上(閾値)」、「外気温度:高」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:中」、「冷却器30(又は冷却ユニット30a,30b):全工程で作動」にしてガス充填を制御する。
【0093】
また、制御モードB5は、「目標圧力差:60MPa以上(閾値)」、「外気温度:低」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:高」、「冷却器30(又は冷却ユニット30a,30b):全工程で作動」にしてガス充填を制御する。
【0094】
また、制御モードC5は、「目標圧力差:40MPa〜60MPa(閾値)」、「外気温度:高」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:高」、「冷却器30(又は冷却ユニット30a,30b):前半の工程で作動」にしてガス充填を制御する。
【0095】
また、制御モードD5は、「目標圧力差:40MPa〜60MPa(閾値)」、「外気温度:低」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:高」、「冷却器30(又は冷却ユニット30a,30b):前半の工程で作動」にしてガス充填を制御する。
【0096】
制御モードE5は、「目標圧力差:40MPa以下」、「外気温度:高」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:高」、「冷却器30(又は冷却ユニット30a,30b):全工程で停止」にしてガス充填を制御する。
【0097】
また、制御モードF5は、「目標圧力差:40MPa以下」、「外気温度:低」の場合に適用される制御モードであり、このモードでは、「調節弁64による圧力上昇率:高」、「冷却器30(又は冷却ユニット30a,30b):全工程で停止」にしてガス充填を制御する。
【0098】
各制御モードA5〜F5は、図5Bに示す制御モードA4〜F4の場合と同様に、全工程の前半と後半とに分けて、冷却器30(又は冷却ユニット30a,30b)の作動、停止、及びガス充填時の圧力上昇率が最適な条件となるように何れかの制御モードが選択され、前述した図5Aに示すフローチャートの充填制御に適用されることで、被充填タンク72に対するガス充填が効率良く行なわれる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
尚、上記実施例においては、水素ガスを被充填タンクに充填する場合を例に挙げて説明したが、水素ガス以外のガス(例えば、CNG(圧縮天然ガス)など)を燃料として使用する車両に充填する場合にも本発明を適用できるのは、勿論である。
【0100】
また、上記実施例では、目標圧力を70MPaに設定された場合を例に挙げて説明したが、目標圧力が70MPa以外の値に設定された場合にも本発明を適用できるのは、勿論である。
【0101】
また、上記実施例において、各データベースに格納された条件としてタンク初期圧力が10MPa以下、10MPa〜30MPa、30MPa以上、あるいは目標圧力差:60MPa以上、40MPa〜60MPa、40MPa以下が設定された場合について説明したが、これに限らず、これ以外の圧力値を設定しても良いのは勿論である。
【符号の説明】
【0102】
10、10A ガス充填装置
20 ディスペンサユニット
30 冷却器
30a、30b 冷却ユニット
40 蓄ガス器
50 コンプレッサ
60 ガス供給系統
61 ガス供給配管
62、66 開閉弁
63 流量計
64 調節弁
67,68 分岐配管
69a,69b 切替弁
70 車両
72 被充填タンク
80 ノズル
82 ホース
90 制御部
94 充填開始スイッチ
96 充填停止スイッチ
98 メモリ
100、200、300、400、500、600 データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを蓄える蓄圧器とガス供給系統を介して接続され、当該ガスを被充填タンクに充填するノズルと、
前記ノズルを前記被充填タンクに接続した状態で前記被充填タンク内のガス圧力を検出する圧力検出手段と、
前記ガス供給系統に設けられ、前記ノズルによって充填されるガスを冷却する冷却器と、
前記冷却器を含む前記ガス供給系統に設けられた各機器を制御して前記被充填タンクへのガス充填を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記ノズルを介して前記被充填タンクへ前記ガスを充填する際に、前記圧力検出手段により検出された圧力検出値が予め定められた所定値以下の場合に前記冷却器を作動させて冷却されたガスを前記被充填タンクに供給するように制御することを特徴とするガス充填装置。
【請求項2】
前記被充填タンクへの充填終了時における当該被充填タンク内の圧力を目標圧力として記憶する記憶手段を備え、
前記制御手段は、
前記ノズルを介して前記被充填タンクへ前記ガスを充填する過程で、前記圧力検出手段により検出された圧力検出値が予め定められた所定値以下であり、且つ前記圧力検出手段により検出された圧力検出値と前記記憶手段に記憶された圧力設定値との差が予め設定された圧力差を超える場合に、前記冷却器を作動させて冷却されたガスを前記被充填タンクに充填することを特徴とする請求項1記載のガス充填装置。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate