説明

ガス分析装置

【課題】光軸調整を行なうことなく、常時安定してガス成分を分析することができるガス分析装置を提供する。
【解決手段】本実施例に係るガス分析装置10Aは、燃料ガスを抜出す燃料ガス抜出し管12と、レーザ光13を発振するレーザ照射装置14と、レーザ照射装置14より発振されたレーザ光13を燃料ガス抜出し管12の測定チャンバー15内に照射する光照射手段16Aと、燃料ガスにレーザ光13を照射することで発生する散乱光17を受光する受光手段18Aと、受光した散乱光17を測定する測定部19Aと、レーザ照射装置14と光照射手段16Aとを連結し、レーザ照射装置14から発振されたレーザ光13を光照射手段16Aに導光する第1の光ファイバ20と、受光手段18Aと測定部19Aとを連結し、受光手段18Aで受光された散乱光17を測定部19Aに導光する第2の光ファイバ21と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料ガスのガス成分を分析するガス分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排ガス、処理ガス、燃料ガスなどに含まれるガス化された有害有機化合物の濃度が規制の値の範囲内に抑制されているか否かを定期的に監視する必要がある。従来より、燃料ガスのガス成分、発熱量などを例えばレーザラマン法を用いてオンラインでモニタリングする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図24は、従来のラマン散乱光を用いてガス成分を分析するガス測定装置である。図24に示すように、従来のガス測定装置100は、ガス化炉101からガスタービン102に送給される配管103内を通過する測定試料であるガス(測定ガス)104に対してレーザー105を測定領域106に照射し、測定ガス104からのラマン散乱光(散乱光)107を分光し、測定データとして取り出すようにしたものである。従来のガス測定装置100では、レーザー照射装置110からレーザ発振によりレーザー光105を出力し、レーザー光105は石英窓111、112、電磁弁113を通過して測定ガス104へ照射する。レーザー光105が測定ガス104に照射されることで散乱光107が発生する。この測定ガス104からの散乱光107が、レンズ114、115、偏光素子116、ミラー117、フィルター118、レンズ119、分光器120を通過して測定ガス104からの散乱光107を分光し、ICCD(Intensified Charge Coupled Device)カメラ121により測定する。ICCDカメラ121で測定された測定データは測定部122で計測される。
【0004】
このように、レーザラマン法を用い散乱光107から測定データとして取り出すことで、燃料ガスのガス成分を数秒など短時間で分析することが可能となるため、燃料ガスの発熱量制御が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3842982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、燃料ガスの分析を行う際、従来のガス測定装置100では、レーザー照射装置110などのレーザー照射用部品、レンズ114等の光学系の部品、分光器120、ICCDカメラ121などの受光部品は、分析計のもつ迅速性を生かすためにも現場のガスサンプリング箇所の近くに設置される必要がある。現場設置のためには、ガス測定装置100が設置される領域内は防塵、調温、調湿されなければならない。特に、レーザの光路調整は、例えばマイクロメートルオーダーの精度が必要であり、その位置精度が常に維持されている必要がある。
【0007】
しかしながら、従来のガス測定装置100では、計測器などの内部の光学部品が多く用いられているため、ガス測定装置100を設けると、ガス成分の分析時に光軸の位置がズレ易く、光軸調整を行なう必要がある。更に、ガス成分の分析時に光軸の位置ズレが生じた場合、そのスペース的な制約等から調整に手間がかかる、という問題がある。
【0008】
そのため、ガス測定装置を設置する際には、除震設備や光軸のズレを調整する調整設備などを別途設ける必要があり、装置が非常に大掛かりになる、という問題がある。
【0009】
また、ガス測定装置はプラントなどに設置されるため、除震設備や光軸のズレを調整する調整設備も同様に、現場環境内に設置する必要がある、という問題がある。
【0010】
本発明は、前記問題に鑑み、光軸調整を行なうことなく、常時安定してガス成分を分析することができるガス分析装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するため本発明の第1の発明は、被測定ガスを抜出す被測定ガス抜出し管と、レーザ光を発振するレーザ発振部と、該レーザ発振部より発振されたレーザ光を前記被測定ガス抜出し管の測定チャンバー内に照射するための少なくとも1つの光照射手段と、前記被測定ガスにレーザ光を照射することで発生する散乱光を受光する受光手段と、受光した散乱光を測定する測定部と、前記レーザ発振部と前記光照射手段とを連結し、前記レーザ発振部から発振されたレーザ光を前記光照射手段に導光する第1の導光体と、前記受光手段と前記測定部とを連結し、前記受光手段で受光された散乱光を前記測定部に導光する第2の導光体と、を有することを特徴とするガス分析装置にある。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、前記光照射手段が、前記第1の導光体からレーザ光が照射される照射部と、前記測定チャンバー内に前記第1の導光体の先端を覆うように設けられる筒体と、前記第1の導光体より照射されるレーザ光を集光するレンズとを有することを特徴とするガス分析装置にある。
【0013】
第3の発明は、第1又は2の発明において、前記受光手段が、前記散乱光が透過可能な窓と、前記散乱光を集光する集光レンズと、前記散乱光のみ通過させるフィルタと、前記散乱光を受光するための受光部と、を有することを特徴とするガス分析装置にある。
【0014】
第4の発明は、第1乃至3の何れか一つの発明において、前記測定部が、前記散乱光の特定波長の光を分光する分光器と、分光器により分光された散乱光を検出するICCDカメラと、を有することを特徴とするガス分析装置にある。
【0015】
第5の発明は、第1又は2の発明において、前記受光手段が、前記散乱光が透過可能な窓と、前記散乱光を集光する集光レンズと、前記散乱光を受光するための受光部と、を有することを特徴とするガス分析装置にある。
【0016】
第6の発明は、第5の発明において、前記測定部が、フォトダイオードを有することを特徴とするガス分析装置にある。
【0017】
第7の発明は、第1乃至3の何れか一つの発明において、前記レーザ発振部が、波長が紫外領域の紫外レーザ光を照射し、前記第1の導光体が前記レーザ発振部より発振される紫外レーザ光の一部を除去するフィルタと連結されていることを特徴とするガス分析装置にある。
【0018】
第8の発明は、第1乃至7の何れか一つの発明において、前記受光手段が前記測定チャンバーに少なくとも二つ設けられることを特徴とするガス分析装置にある。
【0019】
第9の発明は、第1乃至7の何れか一つの発明において、前記第2の導光体が、前記散乱光を二つ以上に分岐することを特徴とするガス分析装置にある。
【0020】
第10の発明は、第1の発明において、前記光照射手段が、前記第1の導光体からレーザ光が照射される照射部と、前記測定チャンバー内に前記第1の導光体の先端を覆うように設けられる内筒と、前記内筒を覆うように設けられる外筒と、からなる二重管で形成されていることを特徴とするガス分析装置にある。
【0021】
第11の発明は、第10の発明において、前記受光手段が、前記散乱光が透過可能な窓と、前記散乱光を集光する集光レンズと、前記散乱光を受光するための受光部と、を有することを特徴とするガス分析装置にある。
【0022】
第12の発明は、第10の発明において、前記受光手段が、前記測定チャンバー内に前記第2の導光体の先端を覆うように設けられる筒体と、該筒体の前記散乱光の入口部に設けられ、前記散乱光を集光する集光レンズと、前記散乱光を受光するための受光部と、を有することを特徴とするガス分析装置にある。
【0023】
第13の発明は、第10の発明において、前記受光手段が、前記測定チャンバー内に前記散乱光を受光するための受光部を覆うように設けられる内筒と、前記内筒を覆うように設けられる外筒と、からなる二重管で形成されていることを特徴とするガス分析装置にある。
【0024】
第14の発明は、第10乃至13の何れか一つの発明において、前記測定部が、前記散乱光の特定波長の光を分光する分光器と、分光器により分光された散乱光を検出するICCDカメラと、を有することを特徴とするガス分析装置にある。
【0025】
第15の発明は、第10乃至14の何れか一つの発明において、前記測定部が、フォトダイオードを有することを特徴とするガス分析装置にある。
【0026】
第16の発明は、第10乃至15の何れか一つの発明において、前記第2の導光体が、前記散乱光を二つ以上に分岐することを特徴とするガス分析装置にある。
【0027】
第17の発明は、第10乃至16の何れか一つの発明において、前記第2の導光体が前記受光手段で受光されるレーザ光を除去するフィルタと連結されていることを特徴とするガス分析装置にある。
【0028】
第18の発明は、第1乃至12、14乃至17の何れか一つの発明において、前記測定チャンバー内に不活性ガスを供給することを特徴とするガス分析装置にある。
【0029】
第19の発明は、第10乃至18の何れか一つの発明において、前記内筒と前記外筒との間に不活性ガスを供給することを特徴とするガス分析装置にある。
【0030】
第20の発明は、第10乃至18の何れか一つの発明において、前記内筒内に不活性ガスを供給することを特徴とするガス分析装置にある。
【0031】
第21の発明は、第20の発明において、前記光照射手段が、前記内筒内に前記第1の導光体から照射されるレーザ光を集光するレンズと、前記内筒内に設けられ、周方向に複数の孔が設けられ、前記レンズを前記内筒内に支持するレンズ挟持部材とを有し、前記内筒内に供給される不活性ガスを前記測定チャンバー内に導出することを特徴とするガス分析装置にある。
【0032】
第22の発明は、第1の発明において、前記第1の導光体の周囲に複数の第2の導光体が設けられ、前記第1の導光体と前記第2の導光体との先端を覆うように設けられる筒体と、を有し、前記光照射手段が、前記第1の導光体からレーザ光が照射される照射部と、前記第1の導光体より照射されるレーザ光を集光するレンズと、で構成され、前記受光手段が、前記測定チャンバー内に前記第2の導光体の先端を覆うように設けられる受光用筒体と、該受光用筒体内に設けられ、前記散乱光を集光する集光レンズと、前記散乱光のみ通過させるフィルタと、で構成されてなることを特徴とするガス分析装置にある。
【0033】
第23の発明は、第22の発明において、前記受光手段が、前記受光用筒体内に設けられ、周方向に複数の孔が設けられ、前記集光レンズを前記受光用筒体内に支持するレンズ挟持部材を有し、前記受光用筒体内に供給される不活性ガスを前記測定チャンバー内に導出することを特徴とするガス分析装置にある。
【0034】
第24の発明は、第22又は23の発明において、前記測定部が、前記散乱光の特定波長の光を分光する分光器と、分光器により分光された散乱光を検出するICCDカメラと、を有することを特徴とするガス分析装置にある。
【0035】
第25の発明は、第22又は23の発明において、前記測定部が、フォトダイオードを有することを特徴とするガス分析装置にある。
【0036】
第26の発明は、第22乃至25の何れか一つの発明において、前記第2の導光体が前記受光手段で受光されるレーザ光を除去するフィルタと連結されていることを特徴とするガス分析装置にある。
【0037】
第27の発明は、第22乃至26の何れか一つの発明において、複数の前記受光用筒体同士の間に形成される空間内に不活性ガスを供給し、前記測定チャンバー内に導出されることを特徴とするガス分析装置にある。
【0038】
第28の発明は、第1乃至27の何れか一つの発明において、前記レーザ発振部と前記第1の導光体との間に前記レーザ光のビーム径を調整するビーム径調整手段と、複数の第1の導光体を含むレーザ光導光管と、を有し、前記第1の導光体に前記レーザ光のレーザ出力に応じ、前記レーザ光のビーム径を調整して照射させることを特徴とするガス分析装置にある。
【0039】
第29の発明は、第1乃至28の何れか一つの発明において、前記測定部、前記レーザ発振部が防塵、調温、調湿された環境に設けられることを特徴とするガス分析装置にある。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、レーザ発振部より照射されたレーザ光を第1の導光体を介して被測定ガス抜出し管の測定チャンバー内に伝達し、測定チャンバー内にレーザ光を照射すると共に、被測定ガスにレーザ光を照射することで発生する散乱光を第2の導光体を介して測定部に伝達することができる。このため、ガス成分の分析時に照射されるレーザ光、受光される散乱光を伝達する際、光軸の位置がずれることがないため、光軸調整を行なうことなく、常時安定してガス成分を分析することができる。
また、第1の導光体及び第2の導光体を介してレーザ光を測定チャンバー内に照射すると共に、散乱光を測定部に伝達することができるため、制御装置等を現場環境の外側の防塵、調温、調湿された環境に設置することができる。
これにより、ガス測定装置を設置する際には、除震設備や光軸のずれを調整する調整設備を設ける必要がないため、設備費用を抑えることができると共に、メンテナンス性を向上させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、本発明による実施例1に係るガス分析装置の構成を簡略に示す概念図である。
【図2】図2は、図1中のA−A方向から見たときの構成を簡略に示す図である。
【図3】図3は、ガス分析装置の構成の変形例を示す図である。
【図4】図4は、本発明による実施例2に係るガス分析装置の構成を簡略に示す概念図である。
【図5】図5は、本発明による実施例3に係るガス分析装置の構成を簡略に示す概念図である。
【図6】図6は、本発明による実施例4に係るガス分析装置の構成を簡略に示す概念図である。
【図7】図7は、本発明による実施例5に係るガス分析装置の構成を簡略に示す概念図である。
【図8】図8は、本発明による実施例6に係るガス分析装置の構成を簡略に示す概念図である。
【図9】図9は、ガス分析装置の他の構成を簡略に示す図である。
【図10】図10は、ガス分析装置の他の構成を簡略に示す図である。
【図11】図11は、本発明による実施例7に係るガス分析装置の構成を簡略に示す概念図である。
【図12】図12は、照射部の構成を簡略に示す図である。
【図13】図13は、図12のA−A方向から見た図である。
【図14】図14は、ガス分析装置の他の構成を簡略に示す図である。
【図15】図15は、ガス分析装置の他の構成を簡略に示す図である。
【図16】図16は、本発明による実施例8に係るガス分析装置の構成を簡略に示す概念図である。
【図17】図17は、図16のA−A方向から見た時の断面図である。
【図18】図18は、ビーム径調整手段の反射板の位置を移動させた状態を示す図である。
【図19】図19は、ビーム径調整手段の反射板の位置を移動させた状態を示す図である。
【図20】図20は、本発明による実施例9に係るガス分析装置の構成を一部を簡略に示す概念図である。
【図21】図21は、図20のA−A方向から見た図である。
【図22】図22は、受光用筒体内の不活性ガスのガス流れを示す図である。
【図23】図23は、図22のA−A方向から見たときの断面を簡略に示す図である。
【図24】図24は、従来のラマン散乱光を用いてガス成分を分析するガス測定装置である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例1】
【0043】
本発明による実施例1に係るガス分析装置について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明による実施例1に係るガス分析装置の構成を簡略に示す概念図であり、図2は、図1中のA−A方向から見たときの構成を簡略に示す図である。
図1に示すように、本実施例に係るガス分析装置10Aは、被測定ガスとして燃料ガス11を抜出す燃料ガス抜出し管(被測定ガス抜出し管)12と、レーザ光13を発振するレーザ照射装置(レーザ発振部)14と、レーザ照射装置14より発振されたレーザ光13を燃料ガス抜出し管12の測定チャンバー15内に照射するための光照射手段16Aと、燃料ガス11にレーザ光13を照射することで発生する散乱光17を受光する受光手段18Aと、受光した散乱光17を測定する測定部19Aと、レーザ照射装置14と光照射手段16Aとを連結し、レーザ照射装置14から発振されたレーザ光13を光照射手段16Aに導光する第1の導光体として第1の光ファイバ20と、受光手段18Aと測定部19Aとを連結し、受光手段18Aで受光された散乱光17を測定部19Aに導光する第2の導光体として第2の光ファイバ21と、を有するものである。
【0044】
被測定ガスである燃料ガス11中の計測対象のガス成分としては、例えば一酸化窒素(NO)、一酸化炭素(CO)、水(H2O)、二酸化窒素(NO2)、メタン(CH4)、アンモニア、ベンゼン等を例示することができる。
【0045】
燃料ガス抜出し管12は煙道22に連結され、煙道22内を流れる燃料ガス11を燃料ガス抜出し管12から一部抜出す。燃料ガス抜出し管12より燃料ガス11を連続的に抜出しているため、測定チャンバー15で燃料ガス11中のガス成分を連続して測定することができる。
【0046】
また、光照射手段16Aは、第1の光ファイバ20からレーザ光13が照射される照射部23と、測定チャンバー15内に第1の光ファイバ20の先端を覆うように設けられる筒体24と、第1の光ファイバ20より照射されるレーザ光13を集光するレンズ25と、により構成されている。筒体24は、測定チャンバー15の突出部26−1の壁面26aに設けられ、レンズ25は筒体24の先端部に設けられ、リングポート25aにより支持されている。
【0047】
筒体24の外部には、光ファイバを連結するファイバアダプタ27が設けられている。第1の光ファイバ20は、レーザ照射装置14と筒体24の外部に設けられているファイバアダプタ27とを連結する外部ファイバ20aと、ファイバアダプタ27から筒体24内部に伸びる内部ファイバ20bとで構成されている。内部ファイバ20bは、ガラス状の筒状体により筒体24の内部に支持されている。内部ファイバ20bを筒体24の内部で支持する筒状体としては、例えばガラスキャピラリーなどがある。
【0048】
照射部23は、内部ファイバ20bの先端部に該当する。レーザ光13は第1の光ファイバ20を介して内部ファイバ20bの先端の照射部23より照射され、照射部23から照射されるレーザ光13は筒体24の先端部分に設けられているレンズ25により集光され、測定チャンバー15内の燃料ガス11に照射される。
【0049】
また、レーザ照射装置14から照射されるレーザ光13としては、波長が可視領域のレーザ光、又は可視領域の波長を少なくとも一部含むレーザ光が用いられる。レーザ光の可視領域の波長としては、例えば380nm以上780nm以下の範囲内である。炭化水素(HC)の測定がない場合には、レーザ光13の波長は、例えば200nm以上1100nm以下の範囲内である。炭化水素(HC)の測定がある場合には、レーザ光13の波長は、例えば200nm以上500nm以下の範囲内である。
【0050】
測定チャンバー15は、突出部26−1と対向するように突出部26−2が設けられ、突出部26−2の壁面26bにはレーザ光13を遮蔽するダンパ(遮蔽部材)28が設けられている。レーザ光13はダンパ28に吸収される。
【0051】
突出部26−1、26−2の壁面26a、26bの側壁15cには、突出部26−3が設けられている。突出部26−3に受光手段18Aが設けられている。受光手段18Aは、散乱光17が透過可能な窓29と、散乱光17を集光する集光レンズ30と、散乱光17のみ通過させるフィルタ31と、散乱光17を受光するための受光部32と、で構成されるものである。集光レンズ30は突出部26−3内に設けられているリングポート30aにより突出部26−3に支持されている。受光手段18Aは、散乱光17の進行方向から、窓29、集光レンズ30、フィルタ31、受光部32の順に配置されている。受光部32は、突出部26−3の壁面26cに設けられている。
【0052】
窓29を突出部26−3内に設けることで、燃料ガス抜出し管12内を通過する燃料ガス11が突出部26−3内に侵入し、受光部32の表面が燃料ガス11中のガス成分、煤塵等により汚染されるのを防止することができる。
【0053】
窓29は、散乱光17を透過させるものとする。窓29の材料には、例えば、合成石英、ホウ素シリカ、溶融石英などが例示される。
【0054】
フィルタ31は、突出部26−3内に侵入してくるレーザ光13を遮断し、散乱光17のみ通過させる。フィルタ31には、例えば誘電多層膜フィルター(ノッチ多層膜フィルター)などが用いられる。
【0055】
レーザ光13は燃料ガス抜出し管12内に抜き出された燃料ガス11中のガス成分、煤塵等で散乱し、散乱光17を発生する。このレーザ光13から発生した散乱光17は、レーザ光13が燃料ガス11中のCOなどガス成分に入射することで発生するラマン散乱光と、燃料ガス11中の煤塵等に入射することで散乱するミー散乱光(光の波長と同程度かそれ以上の粒子による散乱光)とが含まれる。
【0056】
このレーザ光13から発生した散乱光17は、窓29を通過し、集光レンズ30で集光され、フィルタ31でレーザ光13を遮断した後、受光部32で受光される。
【0057】
また、集光レンズ30は散乱光17を集光し、散乱光17を効率良く受光するために設けられているが、本発明は特にこれに限定されるものではなく、設けなくてもよい。
【0058】
また、測定チャンバー15の筒体24が設けられている突出部26−1には、突出部26−1内に不活性ガス33を供給する不活性ガス供給部(不活性ガス供給手段)34が設けられている。不活性ガス供給部34より突出部26−1内に不活性ガス33を供給することで、レンズ25の表面に積層される燃料ガス11に起因する煤塵をパージすることができる。不活性ガス33としては、例えばN2ガス、Arガスなどを用いることができる。
【0059】
受光部32で受光された散乱光17は、第2の光ファイバ21を介して分光器35でミー散乱光が分光された後、検出器36としてICCD(Intensified Charge Coupled Device)カメラでラマン散乱光を検出し、測定する。
【0060】
検出器36としてICCDカメラを用い、ラマン散乱光を検知することにより、燃料ガス11中のガス成分を監視することができる。これにより、燃料ガス11中に含まれるガス成分を検知することができる。また、検出器36としては、ICCDカメラを用いているが本発明はこれに限定されるものではなく、光電子増倍管(Photomultiplier Tube:PMT)、アバランシェ・フォトダイオード(avalanche photodiode:APD)などラマン散乱光を検知することができるものであればよい。
【0061】
測定された結果は制御装置37に伝達される。制御装置37は測定された結果に基づいてレーザ照射装置14から照射されるレーザ光13の光量を調整する。
【0062】
よって、燃料ガス11のガス成分、煤塵などの分析時に照射されるレーザ光13、受光される散乱光17を伝達する際、第1の光ファイバ20、第2の光ファイバ21により、レーザ光13、散乱光17を導光することができるため、レーザ照射装置14、測定部19A、制御装置37を防塵、調温、調湿された環境に設けることができる。このため、除震設備や光軸のズレを調整する調整設備を設ける必要がないため、設備費用を抑えることができると共に、メンテナンス性を向上させることもできる。
【0063】
また、窓29の測定チャンバー15側の内壁には、測定チャンバー15の突出部26−3内に不活性ガス38を供給する不活性ガス供給部39を設けている。不活性ガス供給部39より突出部26−3内に不活性ガス38を供給することで、レンズ25の表面に積層される燃料ガス11に起因する煤塵をパージすることができる。不活性ガス38としては、例えばN2ガス、Arガスなどを用いることができる。また、本実施例に係るガス分析装置10Aにおいては、不活性ガス供給部39を設けるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、不活性ガス供給部39を設けないようにしてもよい。
【0064】
このように、本実施例に係るガス分析装置10Aによれば、レーザ照射装置14より照射されたレーザ光13を第1の光ファイバ20を介して燃料ガス抜出し管12の測定チャンバー15内に伝達し、測定チャンバー15内にレーザ光13を照射すると共に、燃料ガス11にレーザ光13を照射することで発生する散乱光17を第2の光ファイバ21を介して測定部19Aに伝達することができる。このため、レーザ光13を第1の光ファイバ20により伝達すると共に、散乱光17を第2の光ファイバ21により伝達することで、燃料ガス11中のガス成分の分析時に光軸の位置がずれることがないため、光軸調整を行なうことなく、常時安定してガス成分を分析することができる。
また、第1の光ファイバ20及び第2の光ファイバ21を介してレーザ光13を測定チャンバー15内に照射すると共に、散乱光17を測定部19Aに伝達することができるため、制御装置等の電器機器類を現場環境の外側の防塵、調温、調湿された環境に設置することができる。
【0065】
従って、ガス測定装置を設置する際には、除震設備や光軸のずれを調整する調整設備を設ける必要がなく、現場環境の外側の防塵、調温、調湿された環境に電器機器類を設置することができるため、設置費用を抑えることができると共に、メンテナンス性を向上させつつ、常時安定して燃料ガス11のガス分析の測定精度を維持し、測定することができる。
【0066】
また、本実施例に係るガス分析装置10Aにおいては、受光手段18Aとして受光部32から導光される散乱光17を1つの測定部19Aで受光するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではない。図3は、ガス分析装置の構成の変形例を示す図である。図3に示すように、本実施例に係るガス分析装置10Aは、第2の光ファイバ21を2つに分岐する分岐部40を有し、受光部32から導光される散乱光17を2つに分離し、2つの測定部19A−1、19A−2で各々受光するようにしてもよい。受光部32で受光された散乱光17は、第2の光ファイバ21により導光され、分岐部40で第2の光ファイバ21−1、21−2に分離される。散乱光17は、第2の光ファイバ21−1、21−2により各々測定部19A−1、19A−2に導光されて分光器35−1、35−2でミー散乱光を分光し、ICCDカメラ36−1、36−2で計測した後、制御装置37に測定結果を伝達する。
【0067】
また、受光部32−1、32−2で受光された散乱光17は、第2の光ファイバ21−1、21−2を介して1つの分光器35に伝達するようにしてもよい。
また、分岐部40は、図3に示すように、2つに分岐するものに限定されるものではなく、3つ以上に分岐するようにしてもよい。
【0068】
また、本実施例に係るガス分析装置10Aにおいては、被測定ガスとしてボイラ等から排出される燃料ガス11中のガス分析について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の燃焼設備等から排出されるガスを被測定用ガスとして分析を行うようにしてもよい。
【実施例2】
【0069】
本発明による実施例2に係るガス分析装置について、図面を参照して説明する。
図4は、本発明による実施例2に係るガス分析装置の構成を簡略に示す概念図である。
本実施例に係るガス分析装置は、図1に示す実施例1に係るガス分析装置10Aの構成と同様であるため、同一部材には同一の符号を付して重複した説明は省略する。
【0070】
図4に示すように、本実施例に係るガス分析装置10Bは、前記図1に示した実施例1に係るガス分析装置10Aの受光手段18Aに代えて散乱光17が透過可能な窓29と、散乱光17を集光する集光レンズ30と、散乱光17を受光するための受光部32と、からなる受光手段18Bを用い、測定部19Aに代えてフォトダイオード(Photodiodes:PD)41からなる測定部19Bを用いたものである。
【0071】
燃料ガス11にレーザ光13を照射することで発生する散乱光17は窓29を通過して集光レンズ30で集光された後、受光部32で受光される。受光部32で受光された散乱光17は第2の光ファイバ21で導光され、PD41で測定される。
【0072】
散乱光17には、上述のように、レーザ光13が燃料ガス11中の煤塵等に入射することでミー散乱光が発生し、散乱する。PD41には、上述の図1に示す実施例1のような分光器35が設けられていないため、ミー散乱光は分光器35で分光されず、PD41で測定することができる。
【0073】
よって、第2の光ファイバ21で受光されたミー散乱光をPD41で測定することで、測定チャンバー15内の煤塵の有無をPD41で検知することができるため、不活性ガス33により窓29の表面に積層される燃料ガス11に起因する煤塵をパージすることができる。
【0074】
また、燃料ガス抜出し管12内は燃料ガス11が流れているため分析中は開けることができないが、燃料ガス抜出し管12内の煤塵の有無をPD41で検知することで、燃料ガス抜出し管12内の燃料ガス11中の煤塵に起因する汚れを事前に予測することができる。このため、不活性ガス33によりレンズ25の表面に積層される燃料ガス11に起因する煤塵をパージすることもできる。
【0075】
なお、本実施例に係るガス分析装置10Bにおいては、検出器としてPD41を用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、光電子増倍管(PMT:Photomultiplier)などミー散乱光を検出できるものであればよい。
【0076】
従って、本実施例に係るガス分析装置10Bによれば、レーザ光13を第1の光ファイバ20を介して測定チャンバー15内に照射すると共に、レーザ光13が燃料ガス11中の煤塵等で反射することで発生するミー散乱光を第2の光ファイバ21を介してPD41に伝達することができる。このため、燃料ガス11に起因する煤塵がレンズ25の表面に積層されるのを防止しつつ、光軸調整を行なうことなく、常時安定して燃料ガス11中の煤塵を分析することができる。また、制御装置等の電器機器類を現場環境の外側の防塵、調温、調湿された環境に設置することができ、設置費用を抑えることができると共に、メンテナンス性を向上させることができる。
【0077】
また、本実施例に係るガス分析装置10Bにおいては、受光手段18Bに集光レンズ30を設けているが、本発明はこれに限定されるものではなく、集光レンズ30は設けなくてもよい。
【実施例3】
【0078】
本発明による実施例3に係るガス分析装置について、図面を参照して説明する。
図5は、本発明による実施例3に係るガス分析装置の構成を簡略に示す概念図である。
本実施例に係るガス分析装置10Cは、図1に示す実施例1に係るガス分析装置10A又は図4に示す実施例2に係るガス分析装置10Bの構成と同様であるため、同一部材には同一の符号を付して重複した説明は省略する。
【0079】
図5に示すように、本実施例に係るガス分析装置10Cは、図1に示す実施例1に係るガス分析装置10Aのレーザ照射装置14に代えてレーザ発振部として波長が紫外領域の紫外レーザ光44Aを照射する紫外レーザ光照射装置43を用い、第1の光ファイバ20が紫外レーザ光照射装置43より発振された紫外レーザ光44Aの一部を除去するフィルタ45と連結されてなるものである。
【0080】
紫外レーザ光照射装置43から照射された紫外レーザ光44Aは、フィルタ45により特定の波長のレーザ光のみ透過する。フィルタ45を透過した紫外レーザ光44Bは第1の光ファイバ20により導光され、測定チャンバー15内に照射される。
【0081】
紫外レーザ光44Bを測定チャンバー15内の燃料ガス11に照射することで、燃料ガス11中の炭化水素(HC)により散乱された散乱光17を受光し、測定することで、燃料ガス11中のHC量を求めることができる。
【0082】
よって、本実施例に係るガス分析装置10Cによれば、紫外レーザ光44Bを第1の光ファイバ20を介して測定チャンバー15内に照射すると共に、紫外レーザ光44Bを燃料ガス11中のHCで反射することで発生する散乱光17を第2の光ファイバ21を介して分光器35に伝達することができる。このため、燃料ガス11中のHCの分析時に光軸の位置がずれることがないため、光軸調整を行なうことなく、現場環境の外側の防塵、調温、調湿された環境に設置した制御装置37等の電機機器類を用いて常時安定して燃料ガス11中の煤塵を分析することができる。また、制御装置等の電器機器類を防塵、調温、調湿された環境に設置することができ、設置費用を抑えることができると共に、メンテナンス性を向上させることができる。
【0083】
また、本実施例に係るガス分析装置10Cにおいては、燃料ガス11中のガス成分としてHCを測定しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、HC以外の他のガス成分を分析するようにしてもよい。
【0084】
また、本実施例に係るガス分析装置10Cにおいては、紫外レーザ光44Aを照射する装置として紫外レーザ光照射装置43を用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、紫外光ランプなど紫外光を照射する装置を用いてもよい。
【実施例4】
【0085】
本発明による実施例4に係るガス分析装置について、図面を参照して説明する。
図6は、本発明による実施例4に係るガス分析装置の構成を簡略に示す概念図である。
本実施例に係るガス分析装置10Dは、図1に示す実施例1に係るガス分析装置10A乃至図5に示す実施例3に係るガス分析装置10Cの構成と同様であるため、同一部材には同一の符号を付して重複した説明は省略する。
【0086】
図6に示すように、本実施例に係るガス分析装置10Dは、前記図1に示した実施例1に係るガス分析装置10Aの受光手段18Aと、前記図4に示した実施例2に係るガス分析装置10Bの受光手段18Bと、を各々設けてなるものである。
即ち、図6に示すように、本実施例に係るガス分析装置10Dの測定チャンバー15の突出部26−3には、窓29−1、集光レンズ30−1、フィルタ31が散乱光17の入射方向順に設けられ、測定チャンバー15の突出部26−3と対向するように設けられる突出部26−4には、窓29−2、集光レンズ30−2が散乱光17の入射方向側から順に設けられている。
【0087】
レーザ光13を燃料ガス11中のガス成分で反射することで発生する散乱光17を第2の光ファイバ21、第3の光ファイバ46で受光する。第2の光ファイバ21で受光された散乱光17は第2の光ファイバ21を介して分光器35でミー散乱光を分光し、検出器36で検出され、燃料ガス11中のガス成分を分析する。また、第3の光ファイバ46で受光された散乱光17は第3の光ファイバ46を介してPD41で検出され、燃料ガス11中の煤塵等を分析する。
【0088】
よって、本実施例に係るガス分析装置10Dによれば、レーザ光13が燃料ガス11中のガス成分、煤塵等と反射することで発生するラマン散乱光、ミー散乱光を同時に受光し、第2の光ファイバ21、第3の光ファイバ46を介して検出器36、PD41に各々導光することができる。従って、燃料ガス11のガス成分、煤塵等の分析時には、光軸調整を行なうことなく、現場環境の外側の防塵、調温、調湿された環境に設置した制御装置37等の電器機器類を用いて常時安定して燃料ガス11中の煤塵を分析することができる。また、制御装置等の電器機器類を現場環境の外側の防塵、調温、調湿された環境に設置することができ、設置費用を抑えることができると共に、メンテナンス性を向上させることができる。
【0089】
また、本実施例に係るガス分析装置10Dにおいては、燃料ガス11のガス成分、煤塵を同時に分析するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図1に示す実施例1に係るガス分析装置10Aの受光手段18Aと、図5に示す実施例3に係るガス分析装置10Cの受光手段18Aと組み合わせ、燃料ガス11のガス成分、HCを同時に分析するようにしてもよい。
【0090】
また、図4に示す実施例2に係るガス分析装置10Bの受光手段18Bと、図5に示す実施例3に係るガス分析装置10Cの波長が紫外領域の紫外レーザ光44Aを照射する紫外レーザ光照射装置43と、第1の光ファイバ20と連結され、紫外レーザ光照射装置43より発振された紫外レーザ光44Aの一部を除去するフィルタ45と組み合わせ、燃料ガス11の煤塵、HCを同時に分析するようにしてもよい。
【0091】
更に、図1に示す実施例1に係るガス分析装置10Aの受光手段18Aと、図4に示す実施例2に係るガス分析装置10Bの受光手段18Bと、図5に示す実施例3に係るガス分析装置10Cの波長が紫外領域の紫外レーザ光44Aを照射する紫外レーザ光照射装置43と、第1の光ファイバ20と連結され、紫外レーザ光照射装置43より発振された紫外レーザ光44Aの一部を除去するフィルタ45と組み合わせ、燃料ガス11のガス成分、煤塵、HCを同時に分析するようにしてもよい。
【実施例5】
【0092】
本発明による実施例5に係るガス分析装置について、図面を参照して説明する。
図7は、本発明による実施例5に係るガス分析装置の構成を簡略に示す概念図である。
本実施例に係るガス分析装置は、図1に示す実施例1に係るガス分析装置10A乃至図6に示す実施例4に係るガス分析装置10Dの構成と同様であるため、同一部材には同一の符号を付して重複した説明は省略する。
【0093】
図7に示すように、本実施例に係るガス分析装置10Eは、第2の光ファイバ21が散乱光17を二つに分岐するようにしたものである。
即ち、本実施例に係るガス分析装置10Eは、第2の光ファイバ21を第2の光ファイバ21−1、21−2に分岐する分岐部47を有し、第2の光ファイバ21−1に受光手段18Aで受光されるレーザ光13を除去するフィルタ48が連結され、第2の光ファイバ21−2がPD41に連結され、散乱光17を分光器35とPD41に各々導光するようにしている。
【0094】
フィルタ48は、第2の光ファイバ21−1に侵入してくるレーザ光13を遮断し、散乱光17のみ通過させる。フィルタ48には、フィルタ31同様、例えば誘電多層膜フィルタなどが用いられる。
【0095】
分岐部47で第2の光ファイバ21−1に導光される散乱光17には、突出部26−3内に照射され、受光部32で受光されたレーザ光13が含まれており、フィルタ48でレーザ光13が除去され、分光器35でミー散乱光が除去された後、ラマン散乱光が検出器36に伝達される。また、分岐部47で第2の光ファイバ21−2に導光される散乱光17は、PD41に伝達される。
【0096】
よって、本実施例に係るガス分析装置10Eによれば、第2の光ファイバ21を分岐することで、レーザ光13を燃料ガス11中に照射することで同時に発生する散乱光17を一つの受光手段18Aから第2の光ファイバ21−1、21−2を介して分光器35、PD41に同時に各々伝達することができる。このため、燃料ガス11中のガス成分、煤塵等の分析時には、ラマン散乱光、ミー散乱光を分光器35、PD41で同時に受光することができると共に、制御装置等の電器機器類を現場環境の外側の防塵、調温、調湿された環境に設置することができる。従って、常時安定して燃料ガス11中のガス成分、煤塵を分析することができると共に、設置費用を抑えつつメンテナンス性を向上させることができる。
【実施例6】
【0097】
本発明による実施例6に係るガス分析装置について、図面を参照して説明する。
図8は、本発明による実施例6に係るガス分析装置の構成を簡略に示す概念図である。
本実施例に係るガス分析装置は、図1に示す実施例1に係るガス分析装置10A乃至図7に示す実施例5に係るガス分析装置10Eの構成と同様であるため、同一部材には同一の符号を付して重複した説明は省略する。
【0098】
図8に示すように、本実施例に係るガス分析装置10F−1は、前記図1に示した実施例1に係るガス分析装置10Aの筒体24に代えて光照射手段16Bが、第1の光ファイバ20からレーザ光13が照射される照射部23と、測定チャンバー15内に第1の光ファイバ20の先端を覆うように設けられる内筒51と、内筒51を覆うように設けられる外筒52とからなる二重管で形成されてなるものである。外筒52の先端部分はレンズ25の直径よりも開口幅が狭い開口部52aを有している。
【0099】
また、内筒51と外筒52との間には不活性ガス53を供給する不活性ガス供給部54が設けられている。不活性ガス供給部54から不活性ガス53を内筒51と外筒52との間に供給し、外筒52の開口部52aより不活性ガス53を測定チャンバー15内に送給するようにしている。不活性ガス53はレンズ25の表面を通って測定チャンバー15内に導出されるため、測定チャンバー15内の燃料ガス11がレンズ25の表面に接触し、レンズ25の表面が燃料ガス11中の煤塵等が付着するのを防止することができる。
【0100】
また、開口部52aは外筒52から測定チャンバー15側に向かって開口幅が狭く形成されている。このため、内筒51と外筒52との間に供給される不活性ガス53により燃料ガス11が開口部52aから外筒52内に侵入するのを効率良く防ぐことができる。
【0101】
よって、本実施例に係るガス分析装置10F−1によれば、レンズ25の表面が燃料ガス11中の煤塵等に汚染されるのを効率よく防止することができる。このため、第1の光ファイバ20から照射されるレーザ光13の出力低下を防止することができる。
【0102】
また、本実施例に係るガス分析装置10F−1においては、受光手段18Bを窓29と集光レンズ30と受光部32で構成するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではない。図9は、本実施例6に係るガス分析装置の他の構成を簡略に示す図である。図9に示すように、本実施例に係るガス分析装置10F−2は、受光手段18Bに代えて、測定チャンバー15内に第2の光ファイバ21の先端を覆うように設けられる筒体61と、筒体61の散乱光17の入口部61aに設けられ、散乱光17を集光する集光レンズ30と、散乱光17を受光するための受光部32と、を有する受光手段18Cを用いてなるものである。筒体61の内部に受光部32を設け、受光部32と第2の光ファイバ21の先端部とを連結する。
【0103】
また、図10は、本発明による実施例6に係るガス分析装置の他の構成を簡略に示す図である。図10に示すように、本実施例に係るガス分析装置10F−3は、受光手段18Dを光照射手段16Bと同様に、測定チャンバー15内に第2の光ファイバ21の散乱光17を受光するための受光部32を覆うように設けられる内筒62と、内筒62を覆うように設けられる外筒63と、からなる二重管で形成してもよい。このとき、内筒62と外筒63との間に不活性ガス64を供給する不活性ガス供給部65を設ける。また、外筒63の先端部分はレンズ25の直径よりも開口幅が狭い開口部63aを設ける。内筒62と外筒63との間に供給される不活性ガス64を開口部63aから測定チャンバー15側に向けて導出することで、燃料ガス11が外筒63内に侵入するのを防ぎ、集光レンズ30の表面に付着するのを防ぐことができる。このため、散乱光17が受光部32で受光されるレーザ出力の値が低下するのを防ぐことができる。
【0104】
また、本実施例に係るガス分析装置10F−1〜10F−3においては、第2の光ファイバ21に分岐部47を設け、ラマン散乱光、ミー散乱光を一度に計測するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ラマン散乱光、ミー散乱光の何れか一方のみを計測するようにしてもよい。
【0105】
また、本実施例に係るガス分析装置10F−1〜10F−3においては、受光手段18B、18C、18Dを一つだけ設けるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、測定チャンバー15に受光手段を複数設けるようにしてもよい。
【実施例7】
【0106】
本発明による実施例7に係るガス分析装置について、図面を参照して説明する。
図11は、本発明による実施例7に係るガス分析装置の構成を簡略に示す概念図であり、図12は、照射部の構成を簡略に示す図であり、図13は、図12のA−A方向から見た図である。
本実施例に係るガス分析装置は、図1に示す実施例1に係るガス分析装置10A乃至図8に示す実施例6に係るガス分析装置10F−1の構成と同様であるため、同一部材には同一の符号を付して重複した説明は省略する。
【0107】
図11、12に示すように、本実施例に係るガス分析装置10G−1では、光照射手段16Cが、第1の光ファイバ20からレーザ光13が照射される照射部23と、測定チャンバー15内に第1の光ファイバ20の照射部23を覆うように設けられる内筒71と、内筒71を覆うように設けられる外筒72とからなる二重管で形成されている。光照射手段16Cは、図12、13に示すように、内筒71内に第1の光ファイバ20から照射されるレーザ光13を集光するレンズ25と、内筒71内に設けられ、周方向に4つの孔73(図13参照)を有し、レンズ25を内筒71内に支持するレンズ挟持部材としてリングポート74とを有している。本実施例に係るガス分析装置10G−1は、内筒71内に不活性ガス75を供給する不活性ガス供給部76を有し、内筒71内に供給される不活性ガス75を測定チャンバー15内に導出する。
【0108】
不活性ガス75は不活性ガス供給管77を通って内筒71内に供給される。レンズ25は、内筒71内に周方向に4つの孔73を有するリングポート74により支持されている。レンズ25は、レーザ光13が照射される最大範囲の出射端Aよりレンズ25のレンズ径より大きくしてリングポート74に支持されている。リングポート74には孔73を4つ設けるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に複数の孔73を設けるようにしてもよい。
【0109】
図11、12に示すように、内筒71内に供給された不活性ガス75は、リングポート74の孔73を通過して測定チャンバー15内に送給される。不活性ガス75はレンズ25の表面を通って測定チャンバー15内に導出されるため、測定チャンバー15内の燃料ガス11がレンズ25の表面に接触し、レンズ25の表面に燃料ガス11中の煤塵等が付着するのを防止することができる。
【0110】
よって、本実施例に係るガス分析装置10G−1によれば、レンズ25の表面が燃料ガス11中の煤塵等に汚染されるのを更に効率よく防止することができる。
【0111】
また、本実施例に係るガス分析装置10G−1においては、受光手段18Bを窓29と集光レンズ30と受光部32で構成するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではない。図14は、本発明による実施例7に係るガス分析装置10G−1の他の構成を簡略に示す図である。図14に示すように、本実施例に係るガス分析装置10G−2は、測定チャンバー15内に第2の光ファイバ21の先端を覆うように設けられる筒体61と、筒体61の散乱光17の入口部61aに設けられ、散乱光17を集光する集光レンズ30と、を有する受光手段18Cを用いてもよい。このとき、筒体61の内部に受光部32を設け、受光部32と第2の光ファイバ21の先端部とを連結する。
【0112】
また、図15は、本発明による実施例7に係るガス分析装置10G−3の他の構成を簡略に示す図である。図15に示すように、本実施例に係るガス分析装置10G−3は、受光手段18Eを光照射手段16Cと同様に、測定チャンバー15内に第2の光ファイバ21の先端を覆うように設けられる内筒81と、内筒81を覆うように設けられる外筒82と、からなる二重管で形成し、内筒81内に不活性ガス83を供給する不活性ガス供給部84を設け、不活性ガス83を測定チャンバー15内に送給するようにしてもよい。また、集光レンズ30はリングポート85により内筒81内に支持されている。リングポート85には、図13に示すようなリングポート74と同様に周方向に複数の孔が設けられている。よって、内筒81内に供給される不活性ガス83をリングポート74の前記孔(図13参照)を介して内筒81内から測定チャンバー15側に向けて導出することで、燃料ガス11が集光レンズ30の表面に付着するのを防ぐことができる。このため、散乱光17が受光部32で受光されるレーザ出力の値が低下するのを防ぐことができる。
【0113】
また、本実施例に係るガス分析装置10G−1〜10G−3においては、第2の光ファイバ21に分岐部47を設け、ラマン散乱光、ミー散乱光を一度に計測するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ラマン散乱光、ミー散乱光の何れか一方のみを計測するようにしてもよい。
【0114】
また、本実施例に係るガス分析装置10G−1〜10G−3においては、受光手段18B、18C、18Eを一つだけ設けるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、測定チャンバー15に受光手段を複数設けるようにしてもよい。
【実施例8】
【0115】
本発明による実施例8に係るガス分析装置について、図面を参照して説明する。
図16は、本発明による実施例8に係るガス分析装置の構成を簡略に示す概念図であり、図17は、図16のA−A方向から見た時の断面図である。
本実施例に係るガス分析装置は、図1に示す実施例1に係るガス分析装置10A乃至図8に示す実施例6に係るガス分析装置10F−1の構成と同様であるため、同一部材には同一の符号を付して重複した説明は省略する。
【0116】
図16に示すように、本実施例に係るガス分析装置10Hは、レーザ照射装置14と第1の光ファイバ20との間にレーザ光13のビーム径を調整するビーム径調整手段80と、複数の第1の光ファイバ20を含むレーザ光導光管81と、を有するものである。
【0117】
レーザ照射装置14から照射されたレーザ光13はビーム径調整手段80に向けて照射される。ビーム径調整手段80内に照射されたレーザ光13は反射板82a、82bで反射され、光路を変更してビーム径調整部83−1に照射される。ビーム径調整部83−1は凹面形状の凹レンズ84−1と、凸面形状の凸レンズ85−1とで構成されている。ビーム径調整部83−1に照射されたレーザ光13は凹レンズ84−1、凸レンズ85−1によりビーム径が調整される。凹レンズ84−1、凸レンズ85−1でビーム径が調整されたレーザ光13は反射板82c、82dで反射され、光路を変更してレーザ光導光管81の入口部81aに照射される。
【0118】
また、図17に示すように、レーザ光導光管81は12個の第1の光ファイバ20を含んで構成されている。レーザ光導光管81内の第1の光ファイバ20は、中心に1個の第1の光ファイバ20Aと、その周囲に6個の第1の光ファイバ20Bと、第1の光ファイバ20Bの周囲に12個の第1の光ファイバ20Cと、で構成されている。
【0119】
レーザ光導光管81内に第1の光ファイバ20を同心円状に複数設けることで、レーザ光13のビーム径に応じてレーザ光13を受光する第1の光ファイバ20の数を調整するができる。具体的には、図17に示すように、レーザ光13のビーム径をビーム径Xとすることで、第1の光ファイバ20Aのみでレーザ光13を受光することができる。また、レーザ光13のビーム径をビーム径Yとすることで、第1の光ファイバ20Aと第1の光ファイバ20Bでレーザ光13を受光することができる。更に、レーザ光13のビーム径をビーム径Zとすることで、第1の光ファイバ20A、20B、20Cでレーザ光13を受光することができる。
【0120】
よって、レーザ光導光管81内に照射されるレーザ光13のビーム径を調整することで、レーザ光13を受光する第1の光ファイバ20の数を調整することができ、第1の光ファイバ20にかかる負荷を軽減することができ、第1の光ファイバ20の寿命を長くすることができる。
【0121】
また、ビーム径調整手段80は、反射板82bをレーザ光13の入射方向、反射板82cをレーザ光13の出射方向に可動可能に構成している。図18、19は、ビーム径調整手段の反射板の位置を移動させた状態を示す図である。レーザ光13の出力が大きい場合には、図18に示すように、反射板82bをレーザ光13の入射方向、反射板82cをレーザ光13の出射方向に移動させ、ビーム径調整手段80に照射されるレーザ光13をビーム径調整部83−2に照射させる。ビーム径調整部83−2はビーム径調整部83−1と同様に、凹面形状の凹レンズ84−2と、凸面形状の凸レンズ85−2とで構成されている。ビーム径調整部83−2に照射されたレーザ光13は凹レンズ84−2、凸レンズ85−2によりビーム径が調整された後、レーザ光導光管81に照射される。
【0122】
また、レーザ光13のビーム径を調整する必要がない場合には、図19に示すように、反射板82bをレーザ光13の入射方向、反射板82cをレーザ光13の出射方向に更に移動させ、ビーム径調整手段80に照射されるレーザ光13を反射板82b、82cで反射する。反射板82b、82cの間にはレーザ光13のビーム径を調整する手段は設けられていないため、ビーム径調整手段80内に照射されたレーザ光13はビーム径調整手段80に照射されたときのビーム径のままレーザ光導光管81に照射させることができる。
【0123】
また、ビーム径調整手段80は、レーザ光13のビーム径を調整する手段であるビーム径調整部を2つ設けるようにしているが本発明はこれに限定されるものではなく、3つ以上設けるようにしてもよい。
【0124】
また、レーザ照射装置14とビーム径調整手段80との間には、ハーフミラー86が設けられ、レーザ光13の一部はハーフミラー86で反射され、出力計87に照射される。出力計87は、例えばサンプルガスを含むガラスセル内にレーザ光13を照射してレーザ光13の出力を測定するようにしてもよい。出力計87の構成としては特にこれに限定されるものではなく、レーザ光13の出力を測定することができる装置であればよい。
【0125】
また、レーザ光13と異なる波長のレーザ光がレーザ照射装置14より発振されている場合には、出力計87はそのレーザ光13とは異なる波長のレーザ光の出力を測定するようにしてもよい。例えば、レーザ光13の波長が532nmであって、YAGレーザ光の基本波を第二高調波発生より発振されているとき、YAGレーザ光の基本波(1064nm)の出力を測定することも可能となる。
【0126】
レーザ照射装置14から照射されたレーザ光13の一部はハーフミラー86で反射され、出力計87に例えば25sec照射され、出力計87はレーザ光13の出力値の積算を行なう。出力計87で積算されたレーザ光13の出力値は計測装置88に伝達される。計測装置88は、伝達されたレーザ光13の出力値からレーザ光13の出力の平均値を求め、求められたレーザ光13の出力の平均値に応じ、レーザ光導光管81内に照射されるレーザ光13のビーム径を求める。ビーム径調整手段80は、求められたレーザ光13のビーム径となるように反射板82b、82cを移動させ、レーザ光13をビーム径調整部83−1、又はビーム径調整部83−2に入射させる。
【0127】
例えば、計測装置88で求められたレーザ光13の出力の平均値が10mJ/P程度の時、ビーム径調整手段80の反射板82b、82cの位置をビーム径調整部83−1にレーザ光13が入射するように移動させ、ビーム径調整部83−1でレーザ光導光管81内に照射されるレーザ光13のビーム径が1.0とする。このときのレーザ光導光管81内に照射されるレーザ光13のビーム径はビーム径X(図17参照)となるようにする。
【0128】
また、計測装置88で求められたレーザ光13の出力の平均値が20mJ/P程度の時、ビーム径調整手段80の反射板82b、82cの位置をビーム径調整部83−2にレーザ光13が入射するように移動させ、ビーム径調整部83−2でレーザ光導光管81内に照射されるレーザ光13のビーム径が1.41とする。このときのレーザ光導光管81内に照射されるレーザ光13のビーム径はビーム径Y、Z(図17参照)となるようにする。
【0129】
また、計測装置88で求められたレーザ光13の出力の平均値からレーザ光13のビーム径を絞る必要がない場合には、ビーム径調整手段80の反射板82b、82cの位置をレーザ光13がビーム径調整部83−1、83−2を通過しないように移動させ、レーザ光13をそのままレーザ光導光管81内に照射させる。
【0130】
このような処理を施すことにより、第1の光ファイバ20に入る光量が第1の光ファイバ20が損傷する閾値を越えない範囲としてレーザ光13を第1の光ファイバ20に入射させることができるため、第1の光ファイバ20をレーザ光13の導光用として安定して用いることができる。
【0131】
よって、本実施例に係るガス分析装置10Hによれば、第1の光ファイバ20の損傷を防止しつつ、更に安定して燃料ガス11のガス成分を分析することができる。
【0132】
また、本実施例に係るガス分析装置10Hにおいては、光照射手段として光照射手段16Cを用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図1に示す実施例1に係るガス分析装置10A乃至図10に示す実施例6に係るガス分析装置10F−3のような光照射手段16A、16Bを用いるようにしてもよい。
【実施例9】
【0133】
本発明による実施例9に係るガス分析装置について、図面を参照して説明する。
本実施例に係るガス分析装置は、図1に示す実施例1に係るガス分析装置10A乃至図16に示す実施例8に係るガス分析装置10Hの構成と同様であるため、同一部材には同一の符号を付して重複した説明は省略する。
また、本実施例に係るガス分析装置は、図1に示す実施例1に係るガス分析装置10A乃至図16に示す実施例8に係るガス分析装置10Hの構成と同様であるため、光照射手段と、受光手段との構成を示す図のみを用いて説明する。
図20は、本発明による実施例9に係るガス分析装置の構成を一部を簡略に示す概念図であり、図21は、図20のA−A方向から見た図である。
図20に示すように、本実施例に係るガス分析装置は、第1の光ファイバ20の周囲に複数の第2の光ファイバ21が設けられ、第1の光ファイバ20と第2の光ファイバ21との先端を覆うように設けられる筒体91を有する。光照射手段16Dは、第1の光ファイバ20からレーザ光13が照射される照射部23と、第1の光ファイバ20より照射されるレーザ光13を集光するレンズ25と、で構成されている。また、受光手段18Fは、測定チャンバー15(図1参照)内に第2の光ファイバ21の先端を覆うように設けられる受光用筒体92と、受光用筒体92内の散乱光17の入射方向側に設けられ、散乱光17を集光する集光レンズ30と、散乱光17のみ通過させるフィルタ31と、で構成されている。
【0134】
また、図21に示すように、第1の光ファイバ20は、6つの受光用筒体92により周方向に囲まれている。レンズ25は、図20に示すように、受光用筒体92の壁面に設けたリングマウント93により支持されている。第1の光ファイバ20より照射されるレーザ光13はレンズ25で集光され、測定チャンバー15内に照射される。
【0135】
また、受光用筒体92同士の間に形成される空間B内に不活性ガス94が供給され、不活性ガス94はリングマウント93同士の隙間を通過して測定チャンバー15内に導出される。また、リングマウント93はガス通気通路95aを有し、空間B内に供給される不活性ガス94はリングマウント93のガス通気通路93aを通過して測定チャンバー15内に導出させている。ガス通気通路93aは不活性ガス94の排出口が対向するように形成されているため、レンズ25の表面側に導出される。よって、不活性ガス94はレンズ25の表面を通って測定チャンバー15内に導出されるため、測定チャンバー15内の燃料ガス11がレンズ25の表面に接触し、レンズ25の表面に燃料ガス11中の煤塵等が付着するのを防止することができる。不活性ガス94としては、例えばN2ガス、Arガスなどが用いられる。
【0136】
測定チャンバー15内の燃料ガス11にレーザ光13を照射し反射することで発生する散乱光17は受光手段18Fで受光される。受光用筒体92内に照射された散乱光17は、集光レンズ30で集光され、フィルタ31でレーザ光13を遮断し、散乱光17のみ第2の光ファイバ21で受光される。
【0137】
また、受光手段18Fは、受光用筒体92内に設けられ、集光レンズ30を受光用筒体92内に支持するリングマウント(レンズ挟持部材)95を有している。集光レンズ30はリングマウント95により受光用筒体92内に支持されている。また、フィルタ31はリングマウント96により受光用筒体92内に支持されている。また、受光用筒体92内には不活性ガス97が供給され、リングマウント95は不活性ガス97が通過可能なガス通気通路95aが設けられ、リングマウント96は不活性ガス97が通過可能な孔96aが設けられている。また、不活性ガス97としては、例えばN2ガス、Arガスなどが用いられる。
【0138】
図22は、受光用筒体内の不活性ガスのガス流れを示す図である。図22に示すように、受光用筒体92内に供給される不活性ガス97は、リングマウント96の孔96a、リングマウント95のガス通気通路95aを通過して測定チャンバー15内に導出させている。
【0139】
また、図23は、図22のA−A方向から見たときの断面を簡略に示す図である。図23に示すように、リングマウント95は周方向に4つのガス通気通路95aを設け、受光用筒体92内の不活性ガス97は、ガス通気通路95aを通過して図22に示すように、集光レンズ30の表面を通って測定チャンバー15内に導出される。また、リングマウント95は周方向に4つのガス通気通路95aを設けるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に複数のガス通気通路95aを設けるようにしてもよい。
【0140】
よって、不活性ガス97は集光レンズ30の表面を通って測定チャンバー15内に導出されるため、測定チャンバー15内の燃料ガス11が集光レンズ30の表面に接触し、集光レンズ30の表面に燃料ガス11中の煤塵等が付着するのを防止することができる。
【0141】
また、レンズ25は第1の光ファイバ20から高出力のパルスレーザ光が照射されるため、汚れによるダメージ発生が起こりやすく、それに伴いレーザ光13の出力が低下する虞がある。そのため、レンズ25の汚れを防止する必要性が高いため、不活性ガス94によるレンズ25のパージ洗浄効果の向上を図ることが望ましい。このため、レンズ25のレンズ径は集光レンズ30のレンズ径より小さくするのが好ましい。
【0142】
第2の光ファイバ21で受光された散乱光17は、上記実施例1に係るガス分析装置10Aにおいて説明したように、第2の光ファイバ21を介して測定部19Aに伝達される。測定部19Aは、図1に示すように、散乱光17の特定波長の光を分光する分光器35と、分光器35により分光された散乱光17を検出するICCDカメラ36と、を有する。測定部19Aにおいて、上述の通り、ラマン散乱光を検知し、燃料ガス11中のガス成分を測定することができる。
【0143】
よって、本実施例に係るガス分析装置によれば、1つの突出部26−1内に第1の光ファイバ20、第2の光ファイバ21を設けているため、レーザ照射装置14(図1参照)より突出部26−1内に伝達されたレーザ光13を照射することができると共に、受光される散乱光17を測定部19A(図1参照)に伝達することができる。レーザ光13を第1の光ファイバ20により伝達すると共に、散乱光17を第2の光ファイバ21により伝達することで、燃料ガス11中のガス成分の分析時に光軸の位置がずれることがないため、光軸調整を行なうことなく、常時安定してガス成分を分析することができる。
【0144】
また、測定部には、測定部19Aに代えて、図4に示す実施例2に係るガス分析装置10Bのように、フォトダイオード(PD)41を有する測定部19B(図4参照)を用いてもよい。
【0145】
また、測定部には、測定部19Aに加えて、図6に示す実施例4に係るガス分析装置10Dのように、更にフォトダイオード(PD)41を有する測定部19Bを設けるようにしてもよい。本実施例においては、6個の第2の光ファイバ21を3つは測定部19Aで測定し、残りの3つは測定部19Bで測定するようにしてもよい。
【0146】
また、本実施例に係るガス分析装置においては、図7に示す実施例5に係るガス分析装置10E乃至図16に示す実施例8に係るガス分析装置10Hのように、第2の光ファイバ21を二つに分岐する分岐部47(図7参照)を設け、分岐された一方の第2の光ファイバ21は測定部19Aと連結し、他方の第2の光ファイバ21は測定部19Bと連結するようにしてもよい。このとき、測定部19Aと連結される第2の光ファイバ21は、受光手段18Fで受光されるレーザ光13を除去するフィルタ47(図7参照)と連結し、測定部19Aに照射されるレーザ光13を除去する。
【0147】
また、本実施例では、測定チャンバー15(図1参照)内に不活性ガス33、38の何れか一方又は両方を供給するようにしてもよい。
【0148】
また、本実施例に係るガス分析装置においては、図16に示す実施例8に係るガス分析装置10Hのように、レーザ照射装置14と第1の光ファイバ20との間に、レーザ光13のビーム径を調整するビーム径調整手段80を設け、複数の第1の光ファイバ20を含むレーザ光導光管81と、を有するようにしてもよい。レーザ光導光管81内に照射されるレーザ光13のビーム径を調整し、レーザ光13を受光する第1の光ファイバ20の数を調整することで、第1の光ファイバ20にかかる負荷を軽減することができる。
【0149】
このように、本実施例に係るガス分析装置によれば、1つの突出部26−1においてレーザ光13を第1の光ファイバ20により測定チャンバー15内に伝達することができると共に、散乱光17を第2の光ファイバ21を介して現場環境の外側の防塵、調温、調湿された環境に設けられている測定部に伝達することができるため、燃料ガス11中のガス成分の分析時にレーザ光13および散乱光17の光軸の位置がずれる心配がないため、光軸調整を行なうことなく、常時安定してガス成分を分析することができる。
【産業上の利用可能性】
【0150】
以上のように、本発明に係るガス分析装置は、燃料ガスのガス成分を分析するガス分析装置に用いるのに適している。
【符号の説明】
【0151】
10A〜10H ガス分析装置
11 燃料ガス
12 燃料ガス抜出し管
13 レーザ光
14 レーザ照射装置(レーザ発振部)
15 測定チャンバー
16A〜16D 光照射手段
17 散乱光
18A〜18F 受光手段
19A、19B 測定部
20 第1の光ファイバ
21、21−1、21−2 第2の光ファイバ
22 煙道
23 照射部
24、61、91 筒体
25 レンズ
26−1〜26−3 突出部
27 ファイバアダプタ
28 ダンパ(遮蔽部材)
29 窓
30 集光レンズ
30a 93、95、96 リングマウント
31 フィルタ
32 受光部
33、38、53、64、75、83、94、97 不活性ガス
34、39、54、65、76、84 不活性ガス供給部(不活性ガス供給手段)
35 分光器
36 検出器
37 制御装置
41 PD
43 紫外レーザ光照射装置
44A、44B 紫外レーザ光
45 フィルタ
46 第3の光ファイバ
47 分岐部
48 フィルタ
51、62、71 内筒
52、63、72 外筒
73 孔
74、85 リングポート
77 不活性ガス供給管
80 ビーム径調整手段
81 レーザ光導光管
82a〜82d 反射板
83−1、83−2 ビーム径調整部
84−1、84−2 凹レンズ
85−1、85−2 凸レンズ
86 ハーフミラー
87 出力計
88 計測装置
92 受光用筒体
95 リングマウント
95a ガス通気通路
96a 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定ガスを抜出す被測定ガス抜出し管と、
レーザ光を発振するレーザ発振部と、
該レーザ発振部より発振されたレーザ光を前記被測定ガス抜出し管の測定チャンバー内に照射するための少なくとも1つの光照射手段と、
前記被測定ガスにレーザ光を照射することで発生する散乱光を受光する受光手段と、
受光した散乱光を測定する測定部と、
前記レーザ発振部と前記光照射手段とを連結し、前記レーザ発振部から発振されたレーザ光を前記光照射手段に導光する第1の導光体と、
前記受光手段と前記測定部とを連結し、前記受光手段で受光された散乱光を前記測定部に導光する第2の導光体と、
を有することを特徴とするガス分析装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記光照射手段が、
前記第1の導光体からレーザ光が照射される照射部と、
前記測定チャンバー内に前記第1の導光体の先端を覆うように設けられる筒体と、
前記第1の導光体より照射されるレーザ光を集光するレンズと、
を有することを特徴とするガス分析装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記受光手段が、
前記散乱光が透過可能な窓と、
前記散乱光を集光する集光レンズと、
前記散乱光のみ通過させるフィルタと、
前記散乱光を受光するための受光部と、
を有することを特徴とするガス分析装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一つにおいて、
前記測定部が、
前記散乱光の特定波長の光を分光する分光器と、
分光器により分光された散乱光を検出するICCDカメラと、
を有することを特徴とするガス分析装置。
【請求項5】
請求項1又は2において、
前記受光手段が、
前記散乱光が透過可能な窓と、
前記散乱光を集光する集光レンズと、
前記散乱光を受光するための受光部と、
を有することを特徴とするガス分析装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記測定部が、フォトダイオードを有することを特徴とするガス分析装置。
【請求項7】
請求項1乃至3の何れか一つにおいて、
前記レーザ発振部が、波長が紫外領域の紫外レーザ光を照射し、
前記第1の導光体が前記レーザ発振部より発振される紫外レーザ光の一部を除去するフィルタと連結されていることを特徴とするガス分析装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一つにおいて、
前記受光手段が前記測定チャンバーに少なくとも二つ設けられることを特徴とするガス分析装置。
【請求項9】
請求項1乃至7の何れか一つにおいて、
前記第2の導光体が、前記散乱光を二つ以上に分岐することを特徴とするガス分析装置。
【請求項10】
請求項1において、
前記光照射手段が、
前記第1の導光体からレーザ光が照射される照射部と、
前記測定チャンバー内に前記第1の導光体の先端を覆うように設けられる内筒と、
前記内筒を覆うように設けられる外筒と、
からなる二重管で形成されていることを特徴とするガス分析装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記受光手段が、
前記散乱光が透過可能な窓と、
前記散乱光を集光する集光レンズと、
前記散乱光を受光するための受光部と、
を有することを特徴とするガス分析装置。
【請求項12】
請求項10において、
前記受光手段が、
前記測定チャンバー内に前記第2の導光体の先端を覆うように設けられる筒体と、
該筒体の前記散乱光の入口部に設けられ、前記散乱光を集光する集光レンズと、
前記散乱光を受光するための受光部と、
を有することを特徴とするガス分析装置。
【請求項13】
請求項10において、
前記受光手段が、
前記測定チャンバー内に前記散乱光を受光するための受光部を覆うように設けられる内筒と、
前記内筒を覆うように設けられる外筒と、
からなる二重管で形成されていることを特徴とするガス分析装置。
【請求項14】
請求項10乃至13の何れか一つにおいて、
前記測定部が、
前記散乱光の特定波長の光を分光する分光器と、
分光器により分光された散乱光を検出するICCDカメラと、
を有することを特徴とするガス分析装置。
【請求項15】
請求項10乃至14の何れか一つにおいて、
前記測定部が、フォトダイオードを有することを特徴とするガス分析装置。
【請求項16】
請求項10乃至15の何れか一つにおいて、
前記第2の導光体が、前記散乱光を二つ以上に分岐することを特徴とするガス分析装置。
【請求項17】
請求項10乃至16の何れか一つにおいて、
前記第2の導光体が前記受光手段で受光されるレーザ光を除去するフィルタと連結されていることを特徴とするガス分析装置。
【請求項18】
請求項1乃至12、14乃至17の何れか一つにおいて、
前記測定チャンバー内に不活性ガスを供給することを特徴とするガス分析装置。
【請求項19】
請求項10乃至18の何れか一つにおいて、
前記内筒と前記外筒との間に不活性ガスを供給することを特徴とするガス分析装置。
【請求項20】
請求項10乃至18の何れか一つにおいて、
前記内筒内に不活性ガスを供給することを特徴とするガス分析装置。
【請求項21】
請求項20において、
前記光照射手段が、
前記内筒内に前記第1の導光体から照射されるレーザ光を集光するレンズと、
前記内筒内に設けられ、周方向に複数の孔が設けられ、前記レンズを前記内筒内に支持するレンズ挟持部材とを有し、
前記内筒内に供給される不活性ガスを前記測定チャンバー内に導出することを特徴とするガス分析装置。
【請求項22】
請求項1において、
前記第1の導光体の周囲に複数の第2の導光体が設けられ、
前記第1の導光体と前記第2の導光体との先端を覆うように設けられる筒体と、を有し、
前記光照射手段が、
前記第1の導光体からレーザ光が照射される照射部と、前記第1の導光体より照射されるレーザ光を集光するレンズと、で構成され、
前記受光手段が、前記測定チャンバー内に前記第2の導光体の先端を覆うように設けられる受光用筒体と、該受光用筒体内に設けられ、前記散乱光を集光する集光レンズと、前記散乱光のみ通過させるフィルタと、で構成されてなることを特徴とするガス分析装置。
【請求項23】
請求項22において、
前記受光手段が、
前記受光用筒体内に設けられ、周方向に複数の孔が設けられ、前記集光レンズを前記受光用筒体内に支持するレンズ挟持部材を有し、
前記受光用筒体内に供給される不活性ガスを前記測定チャンバー内に導出することを特徴とするガス分析装置。
【請求項24】
請求項22又は23において、
前記測定部が、
前記散乱光の特定波長の光を分光する分光器と、
分光器により分光された散乱光を検出するICCDカメラと、
を有することを特徴とするガス分析装置。
【請求項25】
請求項22又は23において、
前記測定部が、フォトダイオードを有することを特徴とするガス分析装置。
【請求項26】
請求項22乃至25の何れか一つにおいて、
前記第2の導光体が前記受光手段で受光されるレーザ光を除去するフィルタと連結されていることを特徴とするガス分析装置。
【請求項27】
請求項22乃至26の何れか一つにおいて、
複数の前記受光用筒体同士の間に形成される空間内に不活性ガスを供給し、前記測定チャンバー内に導出されることを特徴とするガス分析装置。
【請求項28】
請求項1乃至27の何れか一つにおいて、
前記レーザ発振部と前記第1の導光体との間に前記レーザ光のビーム径を調整するビーム径調整手段と、
複数の第1の導光体を含むレーザ光導光管と、を有し、
前記第1の導光体に前記レーザ光のレーザ出力に応じ、前記レーザ光のビーム径を調整して照射させることを特徴とするガス分析装置。
【請求項29】
請求項1乃至28の何れか一つにおいて、
前記測定部、前記レーザ発振部が防塵、調温、調湿された環境に設けられることを特徴とするガス分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−80768(P2011−80768A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230771(P2009−230771)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】