説明

ガス密度算出システム、燃料電池システム及びガス密度算出方法

【課題】 混合ガスのガス密度を算出する。
【解決手段】 任意に定められた仮のガス密度に対応する流速を、検出用配管を通過する混合ガスの測定差圧を用いて、流速−差圧マップから取得し、取得された流速と、検出用配管の測定入口温度とを用いて、単一ガス温度変化速度マップから、混合ガスを構成する複数の単一ガスの単一ガス温度変化速度を取得する。混合ガス温度変化速度、単一ガス温度変化速度から混合ガスの算出ガス密度を算出し、算出ガス密度と、仮のガス密度との差分値をとり、差分値が所定の許容範囲内であるかどうかを判定して、差分値が所定の範囲内でないとされたことに応じて、仮のガス密度を、算出ガス密度に基づいて更新する。そして、更新された仮の密度を用いて、差分値が所定の許容範囲内となるまで、繰り返し演算をすることで真のガス密度を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の単一ガスが任意の組成で混合されてなる混合ガスのガス密度を算出するガス密度算出システム、燃料電池システム及びガス密度算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の環境問題、自動車の排出ガスによる大気汚染や二酸化炭素の排出による地球温暖化の問題に対し、クリーンな排気や高いエネルギー効率を可能とする燃料電池技術が注目を浴びている。燃料電池は、例えば、燃料となる水素或いは水素リッチな改質ガスと、空気とを高分子膜・電極触媒複合体に供給し、電気化学反応を起こすことで、化学エネルギーを電気エネルギーへと変換するエネルギー変換装置である。
【0003】
燃料電池を動作(発電)させる燃料電池システムには、燃料極(アノード)に対して供給された燃料を有効利用するために、燃料極側から排出された燃料を含む排出ガスを循環供給ポンプを用いて再び循環させて、燃料極に供給するアノード循環系を備えるシステムがある。
【0004】
このような、アノード循環系を備える燃料電池システムにおいては、排出ガス中の燃料を再利用するため、燃料極側に再び循環させる流量も運転要求に応じた適切な流量に制御する必要がある。このような、流量の制御は、循環供給ポンプを適切に動作させることで行われる。
【0005】
ところで、温度変化を与えた検出用流路を用い、ガス密度、比熱が既知である単一ガスがこの検出用流路を通過する前後の温度差を測定することで、流体である単一ガスの流速を算出する手法が考案されている(例えば、特許文献1参照。)。このような流体の速度は、例えば、流体による化学反応を利用した発電システムの運転制御には、欠かせないパラメータであり、流体の速度を取得することで、高効率の運転制御を実行することができる。
【特許文献1】特公平6−23776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、燃料極側から排出される排出ガスは、燃料のほかにも空気中の成分が混合してなる混合ガスとなっている。この混合ガスのガス密度は、常に変動しておりその時点での正確なガス密度を知ることは非常に困難である。ガス密度が変動するということは、混合ガスを構成する単一ガスの割合が変化していることを示している。
【0007】
例えば、上述したような燃料極側から排出された排出ガスを利用する燃料電池システムにおいて、一般的な過流式の循環ポンプにより排出ガスを循環させる場合などには、循環ポンプの回転数が同じになるように制御したとしても、混合ガスである排出ガスのガス密度が異なると排出流量が変化してしまい、運転要求に応じた的確な制御を実行することができないといった問題がある。
【0008】
上述したように、特許文献1では、単一のガスにおいて、そのガス密度、比熱から流速を算出するようにしていた。この特許文献1による手法を逆演算してやれば、ある流路を通過する単一ガスのガス密度を算出することができる。しかしながら、特許文献1で示されている手法は、比熱が必要となるため、ガス密度が常時変化する混合ガスにおいては、正確な比熱を算出することは困難であるという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、ガス密度が常時変化する混合ガスを循環させるガス循環システム、さらには、このガス循環システムを適用した燃料電池システムにおいて、循環制御において必要となる高精度のガス密度を算出するガス密度算出システム、燃料電池システム及びガス密度算出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るガス密度算出システムでは、複数の単一ガスが任意の組成で混合されてなる混合ガスを通過させる所定の管径、所定の長さの検出用配管と、上記検出用配管を通過させる上記混合ガスに、上記検出用配管の配管入口、配管出口において温度差を与える温度差付与手段と、上記検出用配管を上記混合ガスが通過する際の上記配管入口、上記配管出口における圧力の差である差圧と、上記混合ガスの流速とを、ガス密度毎に関係付けた流速−差圧マップを格納する第1のマップ格納部と、上記検出用配管を上記混合ガスを構成する単一ガスのみが通過する際の上記配管入口、上記配管出口における温度の時間に対する変化率である単一ガス温度変化速度と、上記配管入口における入口温度とを、上記検出用配管を通過する流速毎に関係付けた単一ガス温度変化速度マップを、上記混合ガスを構成する単一ガスの数だけ格納する第2のマップ格納部と、上記検出用配管の配管入口における上記混合ガスの入口圧力を測定する入口圧力測定手段と、上記検出用配管の配管出口における上記混合ガスの出口圧力を測定する出口圧力測定手段と、上記検出用配管の配管入口における上記混合ガスの入口温度を測定する入口温度測定手段と、上記検出用配管の配管出口における上記混合ガスの出口温度を測定する出口温度測定手段と、任意に定められた仮のガス密度に対応する流速を、測定された上記入口圧力と、測定された上記出口圧力との圧力差である測定差圧を用いて、上記第1のマップ格納部に格納されている流速−差圧マップから取得する流速取得手段と、上記流速取得手段によって取得された流速と、測定された上記入口温度と、測定された上記出口温度との温度差である測定温度差とから上記検出用配管を上記混合ガスが通過する際の温度の時間に対する変化率である混合ガス温度変化速度を算出する温度変化速度算出手段と、上記流速取得手段によって取得された流速と、測定された上記入口温度とを用いて、上記第2のマップ格納部に格納されている単一ガス温度変化速度マップから、上記混合ガスを構成する複数の単一ガスの単一ガス温度変化速度を取得する単一ガス温度変化速度取得手段と、上記混合ガス温度変化速度、上記単一ガス温度変化速度から上記混合ガスの組成を算出し、上記混合ガスの算出ガス密度を算出するガス密度算出手段と、上記ガス密度算出手段によって算出された算出ガス密度と、上記仮のガス密度との差分値をとり、上記差分値が所定の許容範囲内であるかどうかを判定する判定手段と、上記判定手段により、上記差分値が所定の範囲内でないとされたことに応じて、上記仮のガス密度を、上記算出ガス密度に基づいて更新する更新手段と、上記判定手段により、上記差分値が所定の範囲内であるとされたことに応じて、上記算出ガス密度を真のガス密度として設定する設定手段と、上記算出ガス密度が、上記設定手段によって上記真のガス密度に設定されるまで、上記更新手段によって更新された上記仮のガス密度を用いて、上記流速取得手段、上記温度変化速度算出手段、上記単一ガス温度変化速度取得手段、上記ガス密度算出手段、上記判定手段、上記更新手段とを繰り返し実行するよう制御する制御手段とを備えることにより、上述の課題を解決する。
【0011】
また、本発明に係る燃料電池システムでは、燃料電池における燃料極の燃料出口から排出される排出燃料ガスと、原燃料ガスとを混合し、この混合燃料ガスを上記燃料極の燃料入口に循環させる循環手段とを備えた燃料電池システムにおいて、複数の単一ガスが任意の組成で混合されてなる混合ガスを通過させる所定の管径、所定の長さの検出用配管と、上記検出用配管を通過させる上記混合ガスに、上記検出用配管の配管入口、配管出口において温度差を与える温度差付与手段と、上記検出用配管を上記混合ガスが通過する際の上記配管入口、上記配管出口における圧力の差である差圧と、上記混合ガスの流速とを、ガス密度毎に関係付けた流速−差圧マップを格納する第1のマップ格納部と、上記検出用配管を上記混合ガスを構成する単一ガスのみが通過する際の上記配管入口、上記配管出口における温度の時間に対する変化率である単一ガス温度変化速度と、上記配管入口における入口温度とを、上記検出用配管を通過する流速毎に関係付けた単一ガス温度変化速度マップを、上記混合ガスを構成する単一ガスの数だけ格納する第2のマップ格納部と、上記検出用配管の配管入口における上記混合ガスの入口圧力を測定する入口圧力測定手段と、上記検出用配管の配管出口における上記混合ガスの出口圧力を測定する出口圧力測定手段と、上記検出用配管の配管入口における上記混合ガスの入口温度を測定する入口温度測定手段と、上記検出用配管の配管出口における上記混合ガスの出口温度を測定する出口温度測定手段と、任意に定められた仮のガス密度に対応する流速を、測定された上記入口圧力と、測定された上記出口圧力との圧力差である測定差圧を用いて、上記第1のマップ格納部に格納されている流速−差圧マップから取得する流速取得手段と、上記流速取得手段によって取得された流速と、測定された上記入口温度と、測定された上記出口温度との温度差である測定温度差とから上記検出用配管を上記混合ガスが通過する際の温度の時間に対する変化率である混合ガス温度変化速度を算出する温度変化速度算出手段と、上記流速取得手段によって取得された流速と、測定された上記入口温度とを用いて、上記第2のマップ格納部に格納されている単一ガス温度変化速度マップから、上記混合ガスを構成する複数の単一ガスの単一ガス温度変化速度を取得する単一ガス温度変化速度取得手段と、上記混合ガス温度変化速度、上記単一ガス温度変化速度から上記混合ガスの組成を算出し、上記混合ガスの算出ガス密度を算出するガス密度算出手段と、上記ガス密度算出手段によって算出された算出ガス密度と、上記仮のガス密度との差分値をとり、上記差分値が所定の許容範囲内であるかどうかを判定する判定手段と、上記判定手段により、上記差分値が所定の範囲内でないとされたことに応じて、上記仮のガス密度を、上記算出ガス密度に基づいて更新する更新手段と、上記判定手段により、上記差分値が所定の範囲内であるとされたことに応じて、上記算出ガス密度を真のガス密度として設定する設定手段と、上記算出ガス密度が、上記設定手段によって上記真のガス密度に設定されるまで、上記更新手段によって更新された上記仮のガス密度を用いて、上記流速取得手段、上記温度変化速度算出手段、上記単一ガス温度変化速度取得手段、上記ガス密度算出手段、上記判定手段、上記更新手段とを繰り返し実行するよう制御する制御手段と、上記設定手段によって設定された上記真のガス密度に基づいて、上記循環手段の仕事量を制御する循環制御手段とを備えることにより、上述の課題を解決する。
【0012】
さらに、本発明に係るガス密度算出方法では複数の単一ガスが任意の組成で混合されてなる混合ガスを通過させる所定の管径、所定の長さの検出用配管の配管入口、配管出口において、通過させる上記混合ガスに温度差を与える温度差付与ステップと、上記検出用配管の配管入口における上記混合ガスの入口圧力を測定する入口圧力測定ステップと、上記検出用配管の配管出口における上記混合ガスの出口圧力を測定する出口圧力測定ステップと、上記検出用配管の配管入口における上記混合ガスの入口温度を測定する入口温度測定ステップと、上記検出用配管の配管出口における上記混合ガスの出口温度を測定する出口温度測定ステップと、任意に定められた仮のガス密度に対応する流速を、測定された上記入口圧力と、測定された上記出口圧力との圧力差である測定差圧を用いて、上記第1のマップ格納部に格納されている、上記検出用配管を上記混合ガスが通過する際の上記配管入口、上記配管出口における圧力の差である差圧と、上記混合ガスの流速とを、ガス密度毎に関係付けた流速−差圧マップから取得する流速取得ステップと、上記流速取得ステップによって取得された流速と、測定された上記入口温度と、測定された上記出口温度との温度差である測定温度差とから上記検出用配管を上記混合ガスが通過する際の温度の時間に対する変化率である混合ガス温度変化速度を算出する温度変化速度算出ステップと、上記流速取得ステップによって取得された流速と、測定された上記入口温度とを用いて、上記第2のマップ格納部に、上記混合ガスを構成する単一ガスの数だけ格納されている、上記検出用配管を上記混合ガスを構成する単一ガスのみが通過する際の上記配管入口、上記配管出口における温度の時間に対する変化率である単一ガス温度変化速度と、上記配管入口における入口温度とを、上記検出用配管を通過する流速毎に関係付けた単一ガス温度変化速度マップから、上記混合ガスを構成する複数の単一ガスの単一ガス温度変化速度を取得する単一ガス温度変化速度取得ステップと、上記混合ガス温度変化速度、上記単一ガス温度変化速度から上記混合ガスの組成を算出し、上記混合ガスの算出ガス密度を算出するガス密度算出ステップと、上記ガス密度算出ステップによって算出された算出ガス密度と、上記仮のガス密度との差分値をとり、上記差分値が所定の許容範囲内であるかどうかを判定する判定ステップと、上記判定ステップにより、上記差分値が所定の範囲内でないとされたことに応じて、上記仮のガス密度を、上記算出ガス密度に基づいて更新する更新ステップと、上記判定ステップにより、上記差分値が所定の範囲内であるとされたことに応じて、上記算出ガス密度を真のガス密度として設定する設定ステップと、上記算出ガス密度が、上記設定ステップによって上記真のガス密度に設定されるまで、上記更新ステップによって更新された上記仮のガス密度を用いて、上記流速取得ステップ、上記温度変化速度算出ステップ、上記単一ガス温度変化速度取得ステップ、上記ガス密度算出ステップ、上記判定ステップ、上記更新ステップとを繰り返し実行するよう制御する制御ステップとを備えることにより、上述の課題を解決する。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、温度差を与えた検出用配管を用いて、さらに、あらかじめ測定され求められた流速−差圧マップと、単一ガス温度変化速度マップとを用いて、任意の組成で複数の単一ガスが混合されてなる混合ガスのガス密度を、任意に定められた仮のガス密度からスタートし、繰り返し演算による演算処理によって高い精度で算出することを可能とする。
【0014】
これにより、排出燃料ガスを原燃料ガスと混合し、混合燃料ガスとして燃料極に供給する燃料電池システムにおいても、高い精度でガス密度を算出できるため、運転命令に応じた適切で高効率の運転制御ができる。また、真のガス密度に基づいて循環手段の仕事量を制御することで、循環手段に必要となる無駄な消費電力を浪費することがないため、燃料電池システムの運転時の消費電力を大幅に削減することを可能とする。
【0015】
また、燃料ガスを水素とし、混合ガスが、水素と、窒素と、水蒸気とによる3種類の単一ガスを任意の組成で混合してなる場合、温度差付与手段が冷却により検出用配管に温度差を与えることで、湿度が100%に保たれるため、水蒸気割合を容易に算出することができるため、残る水素と、窒素の割合も簡便に算出することを可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本発明は、例えば、図1に示すように構成された燃料電池スタック10が備える燃料極であるアノード10Aの燃料出口から排出される排出燃料ガスと、原燃料ガスとを混合し、この混合燃料ガスをアノード10Aの燃料入口に循環させるアノード循環系に適用される。なお、燃料電池スタック10のアノード10Aには燃料ガスとして水素が供給され、カソード10Cには、空気が供給されるものとする。
【0017】
図1に示すように、アノード循環系は、燃料供給管11を介してアノード10Aに対して水素が供給され、燃料電池スタック10による発電で消費されなかった水素を含む排出ガスが過流式の排出ガス循環ポンプ13によって排出管12を介して排出される。排出される排出ガスは、主に水素、窒素、飽和水蒸気の3種類のガスで構成された混合ガスとなっている。
【0018】
アノード循環系の排出管12には、所定の管径、長さ有する検出用配管14が設けられており、アノード10Aから排出された排出ガスが通過するようになされている。検出用配管14には、図示しない冷却機構により通過した排出ガスを冷却するようになされている。
【0019】
検出用配管14は、配管入口と、配管出口において温度差が出ればよいので、冷却機構ではなく加熱機構を設けることも考えられるが、加熱機構により温度上昇をさせてしまうと水蒸気が飽和状態ではなく、100%以下となってしまうので、後述する水蒸気割合算出部21によって水蒸気割合を算出することができなくなってしまう。したがって、検出用配管14には、冷却機構を備えるようにする。
【0020】
この検出用配管14の入り口付近である配管入口INには、入口圧力と、入口温度とをそれぞれ測定する入口圧力計15と、入口温度計16とが設けられている。また、検出用配管14の出口付近である配管出口OUTには、出口圧力と、出口温度とをそれぞれ測定する出口圧力計17と、出口温度計18とが設けられている。
【0021】
入口圧力計15、出口圧力計17で測定された入口圧力と、出口圧力とは、差分がとられ、その差圧情報が後述するマップ格納部26に送られる。入口温度計16、出口温度計18で測定された入口温度と、出口温度とは、差分がとられ、その温度変化情報が後述するマップ格納部27に送られる。また、入口圧力計15で測定された入口圧力と、入口温度計16で測定された入口温度は、後述する制御演算処理部20に送られる。
【0022】
このようなアノード循環系は、制御演算処理部20による排出ガス循環ポンプ13の制御により排出ガスを循環させる。
【0023】
制御演算処理部20は、水蒸気割合算出部21と、温度変化速度算出部22と、ガス密度算出部23と、許容範囲判定部24と、コア制御部25とを備えている。制御演算処理部20は、アノード循環系の循環制御を行うとともに、燃料電池システムを統括的に制御する。
【0024】
ここで、制御演算処理部20の各機能部の説明をする前に、マップ格納部26に格納された差圧−流速マップ、マップ格納部27に格納された単一ガス温度変化速度マップについて説明をする。
【0025】
マップ格納部26に格納された差圧−流速マップは、冷却機構を備えた検出用配管14と同じ配管を用い、水素と、窒素の割合を変化させることで組成を変えた密度の異なる混合ガスを、それぞれ流量を変化させながら配管を通過させることで、配管入口の圧力、配管出口の圧力の差圧を測定することで求められたマップである。配管の管径は、既知であるので流量から流速が求まり、例えば、これらを、横軸に差圧、縦軸に流速を取りプロットすると、図2に示すようにガス密度ごとの差圧に対する流速の関係が決まることになる。
【0026】
アノード循環系において起こりうるガス密度のパターンは、限られているため、差圧−流速マップとしてあらかじめ用意しておく差圧と、流速との関係を、とりうるすべてのガス密度に対して求めることもできるし、いくつかのガス密度に対してのみ求めておき、補間演算処理にて賄うようにすることもできる。
【0027】
このマップ格納部26に格納された差圧−流速マップを用いれば、ガス密度と、差圧とから、排出ガスを検出用配管14を通過させた際の流速を求めることができる。このとき必要となるガス密度は、許容範囲判定部24によって仮に定められた“仮のガス密度”である。
【0028】
マップ格納部27に格納された単一ガス温度変化速度マップは、差圧−流速マップと同様に、冷却機構を備えた検出用配管14と同じ配管を用い、混合ガスである排出ガスを構成する水素、窒素、水蒸気ごと、つまりこれらのガスを単一ガスとして配管を通過させた際の、配管前後における温度の時間に対する変化率である温度変化速度を、入口温度に対して流速ごとに求めたマップである。これらを横軸に入口温度、縦軸に温度変化速度を取りプロットすると、水素、窒素、水蒸気は、図3(a)、(b)、(c)に示すように、流速ごとの入口温度に対する温度変化速度の関係が決まることになる。
【0029】
すべて流速に対して入口温度と、温度変化速度との関係を求めることは、非常に困難であるため、いくつかの流速に対して入口温度と、温度変化速度との関係を算出しておき、適宜補間演算処理により補うようする。
【0030】
このマップ格納部27に格納された単一ガス温度変化速度マップを用いれば、入口温度と、流速とから水素、窒素、水蒸気、それぞれを100%の単一ガスとして検出用配管14を通過させた際の温度変化速度を求めることができる。
【0031】
制御演算処理部20は、このようなマップ格納部26に格納された流速−差圧マップ、マップ格納部27に格納された単一ガス温度変化速度マップを用いて、アノード循環系のアノード循環制御に用いる排出ガスのガス密度を算出し、このガス密度を用いて排出ガス循環ポンプ13を制御する。
【0032】
水蒸気割合算出部21は、入口圧力計15で測定された入口圧力と、入口温度計16で測定された入口温度とを用いて、混合ガスである排出ガス中の水蒸気割合を算出する。当該アノード循環系は、湿度が100%であるため、検出用配管14の入口温度と、入口圧力とから分圧が求まり水蒸気の割合(水蒸気割合)を算出することができる。算出された水蒸気割合は、ガス密度算出部23へと送出される。
【0033】
温度変化速度算出部22は、マップ格納部26に格納された差圧−流速マップを用いて、差圧、仮のガス密度に基づき決定される流速を取得する。そして、長さ、管径が既知である検出用配管14を通過する時間を算出し、入口温度計16、出口温度計18で測定された入口温度と、出口温度とによる温度変化分を算出された通過時間で除算することで、温度変化速度を算出する。温度変化速度算出部22によって、算出された温度変化速度を混合ガス温度変化速度と呼ぶ。混合ガス温度変化速度は、ガス密度算出部23へと送出される。
【0034】
ガス密度算出部23は、温度変化速度算出部22と同様に、マップ格納部26に格納された差圧−流速マップを用いて、差圧、仮のガス密度に基づき決定された流速を取得する。そして、マップ格納部27に格納された単一ガス温度変化速度マップを用いて、取得した流速、入口温度に基づき決定される、水素、窒素、水蒸気を100%ガスとした場合の、それぞれの温度変化速度を取得する。
【0035】
ここで、水素、窒素、水蒸気を100%ガスとした場合の単一ガス温度変化速度を、それぞれCH2、CN2、CH2Oとし、排出ガスを構成する水素の割合(水素割合)をx、窒素の割合(窒素割合)をy、水蒸気割合をzとし、混合ガス温度変化速度をDとすると、以下に示す(1)式のような関係が得られる。
【数1】

【0036】
(1)式において、単一ガス温度変化速度CH2、CN2、CH2O、水蒸気割合z、混合ガス温度変化速度Dは、既知であるため、連立2次方程式を解くことで、水素割合xと、窒素割合yとを求めることができる。ガス密度算出部23は、水素、窒素、水蒸気の混合ガスである排出ガスのガス組成x、y、zを用いて、ガス密度を算出する。ガス密度算出部23で算出された算出ガス密度は、許容範囲判定部24へ送出される。
【0037】
許容範囲判定部24は、算出ガス密度と、前回設定された仮のガス密度との差分を取り、その差が許容範囲以内となっているかどうかを判定し、許容範囲内であった場合には、算出ガス密度を“真のガス密度”としてコア制御部25へと送出する。許容範囲外であった場合には、算出ガス密度と、仮のガス密度との平均を算出し、これを新たな仮のガス密度に設定する。
【0038】
仮のガス密度は、このように算出ガス密度と、前回設定された仮のガス密度との差分が、許容範囲外であった場合には、毎回更新されていくが、アノード循環系における循環制御を始めて実行する場合には、任意のガス密度を仮のガス密度に設定すればよいが、例えば、マップ格納部26に格納されている差圧−流速マップが保持している複数のガス密度の中から中間のガス密度を仮のガス密度に設定するようにしてもよい。
【0039】
コア制御部25は、燃料電池システムを統括的に制御するとともに、許容範囲判定部24によって決定された真のガス密度に基づいて、運転要求に応じた回転数で排出ガスの排出を実行するよう排出ガス循環ポンプ13を制御する。
【0040】
続いて、制御演算処理部20によるガス密度を算出する演算処理動作についてフローチャートを用いて説明をする。
【0041】
ステップS1において、まず、許容範囲判定部24は、マップ格納部26に格納された差圧−流速マップから流速を取得するために仮のガス密度を設定する。
【0042】
ステップS2において、温度変化速度算出部22は、設定された仮のガス密度と、入口圧力計15、16で測定された入口圧力、出口圧力から求められた差圧とを用いて、マップ格納部26に格納された差圧−流速マップから所望の流速を取得する。
【0043】
ステップS3において、温度変化速度算出部22は、取得した流速と、入口温度計16、18で測定された入口温度、出口温度から求められた温度変化とを用いて、温度変化速度を算出し、混合ガス温度変化速度としてガス密度算出部23へ送出する。
【0044】
ステップS4において、ガス密度算出部23は、取得した流速と、入口温度計16で測定された入口温度とを用いて、マップ格納部27に格納された単一ガス温度変化速度マップより、水素、窒素、水蒸気それぞれの100%ガスにおける単一ガス温度変化速度を取得する。
【0045】
ステップS5において、ガス密度算出部23は、(1)式を用い、混合ガスである排出ガスのガス組成を算出する。
【0046】
ステップS6において、ガス密度算出部23は、ガス組成よりガス密度を算出し、算出ガス密度として許容範囲判定部24に送出する。
【0047】
ステップS7において、許容範囲判定部24は、算出ガス密度と、前回の処理ループにおいて設定された仮のガス密度との差分値を算出する。
【0048】
ステップS8において、許容範囲判定部24は、ステップS7において、算出された差分値が、所定の範囲内であるかどうかを判定する。この差分値が、所定の範囲内である場合には、工程をステップS9へと進め、所定の範囲外である場合には、工程をステップS10へと進める。
【0049】
ステップS9において、許容範囲判定部24は、ステップS7で算出された差分値が所定の範囲内であることに応じて、算出された算出ガス密度を、アノード循環系における真のガス密度に設定し、コア制御部25に送出する。
【0050】
ステップS10において、許容範囲判定部24は、ステップS7で算出された差分値が所定の範囲外であることに応じて、算出された算出ガス密度と、前回の処理ループにおいて設定された仮のガス密度との平均を算出し、これを新たな仮のガス密度に設定する。
【0051】
ステップS10の工程が終了すると、工程をステップS2へと戻し、差分値が許容範囲に入るまで処理ループを実行する。
【0052】
以上詳細に説明したように、本発明を適用したアノード循環系によれば、マップ格納部26、27にあらかじめ用意した差圧−流速マップ、単一ガス温度変化速度マップと用い、制御演算処理部20による、任意に定めた仮のガス密度を基準とした繰り返し演算により、真のガス密度を算出することができる。
【0053】
これにより、アノード循環系における循環制御処理に必要となるガス密度が、非常に精度の高い値となるため、排出ガス循環ポンプ13の仕事量を、真のガス密度に基づいて制御することで、運転命令に応じた循環流量となるように調節することができる。例えば、燃料電池スタックの運転モードが急激に変化した場合などは、ガス密度が大幅に変位するため、真のガス密度に基づいて、排出ガス循環ポンプ13の仕事量を制御することで、排出ガス循環ポンプ13を動作させる消費電力を大幅に削減することができる。
【0054】
そして、燃料ガスを水素とし、混合ガスが、水素と、窒素と、水蒸気とによる3種類の単一ガスを任意の組成で混合してなる場合、冷却機構による冷却により検出用配管14に温度差を与えることで、湿度が100%に保たれるため、水蒸気割合を容易に算出することができるため、残る水素と、窒素の割合も簡便に算出することを可能とする
なお、本発明の実施の形態としては、燃料電池システムにおけるアノード循環系を用いて説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の単一ガスが任意の組成で混合されてなる混合ガスが用いられるシステム全てにおいて適用可能であり、本発明を適用することで混合ガスのガス密度を精度よく算出することができる。
【0055】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明を適用したアノード循環系の構成を示すブロック図である。
【図2】流速−差圧マップの一例を示した図である。
【図3】(a)は水素の100%ガスとした場合、(b)は窒素の100%ガスとした場合、(c)は水蒸気の100%ガスとした場合の単一ガス温度変化速度マップの一例を示した図である。
【図4】ガス密度を算出する演算処理動作について説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
10 燃料電池スタック
10A アノード
14 検出用配管
15,17 圧力計
16,18 温度計
20 制御演算処理部
21 水蒸気割合算出部
22 温度変化速度算出部
23 ガス密度算出部
24 許容範囲判定部
25 コア制御部
26,27 マップ格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単一ガスが任意の組成で混合されてなる混合ガスを通過させる所定の管径、所定の長さの検出用配管と、
上記検出用配管を通過させる上記混合ガスに、上記検出用配管の配管入口、配管出口において温度差を与える温度差付与手段と、
上記検出用配管を上記混合ガスが通過する際の上記配管入口、上記配管出口における圧力の差である差圧と、上記混合ガスの流速とを、ガス密度毎に関係付けた流速−差圧マップを格納する第1のマップ格納部と、
上記検出用配管を上記混合ガスを構成する単一ガスのみが通過する際の上記配管入口、上記配管出口における温度の時間に対する変化率である単一ガス温度変化速度と、上記配管入口における入口温度とを、上記検出用配管を通過する流速毎に関係付けた単一ガス温度変化速度マップを、上記混合ガスを構成する単一ガスの数だけ格納する第2のマップ格納部と、
上記検出用配管の配管入口における上記混合ガスの入口圧力を測定する入口圧力測定手段と、
上記検出用配管の配管出口における上記混合ガスの出口圧力を測定する出口圧力測定手段と、
上記検出用配管の配管入口における上記混合ガスの入口温度を測定する入口温度測定手段と、
上記検出用配管の配管出口における上記混合ガスの出口温度を測定する出口温度測定手段と、
任意に定められた仮のガス密度に対応する流速を、測定された上記入口圧力と、測定された上記出口圧力との圧力差である測定差圧を用いて、上記第1のマップ格納部に格納されている流速−差圧マップから取得する流速取得手段と、
上記流速取得手段によって取得された流速と、測定された上記入口温度と、測定された上記出口温度との温度差である測定温度差とから上記検出用配管を上記混合ガスが通過する際の温度の時間に対する変化率である混合ガス温度変化速度を算出する温度変化速度算出手段と、
上記流速取得手段によって取得された流速と、測定された上記入口温度とを用いて、上記第2のマップ格納部に格納されている単一ガス温度変化速度マップから、上記混合ガスを構成する複数の単一ガスの単一ガス温度変化速度を取得する単一ガス温度変化速度取得手段と、
上記混合ガス温度変化速度、上記単一ガス温度変化速度から上記混合ガスの組成を算出し、上記混合ガスの算出ガス密度を算出するガス密度算出手段と、
上記ガス密度算出手段によって算出された算出ガス密度と、上記仮のガス密度との差分値をとり、上記差分値が所定の許容範囲内であるかどうかを判定する判定手段と、
上記判定手段により、上記差分値が所定の範囲内でないとされたことに応じて、上記仮のガス密度を、上記算出ガス密度に基づいて更新する更新手段と、
上記判定手段により、上記差分値が所定の範囲内であるとされたことに応じて、上記算出ガス密度を真のガス密度として設定する設定手段と、
上記算出ガス密度が、上記設定手段によって上記真のガス密度に設定されるまで、上記更新手段によって更新された上記仮のガス密度を用いて、上記流速取得手段、上記温度変化速度算出手段、上記単一ガス温度変化速度取得手段、上記ガス密度算出手段、上記判定手段、上記更新手段とを繰り返し実行するよう制御する制御手段とを備えること
を特徴とするガス密度算出システム。
【請求項2】
燃料電池における燃料極の燃料出口から排出される排出燃料ガスと、原燃料ガスとを混合し、この混合燃料ガスを上記燃料極の燃料入口に循環させる循環手段とを備えた燃料電池システムにおいて、
複数の単一ガスが任意の組成で混合されてなる混合ガスを通過させる所定の管径、所定の長さの検出用配管と、
上記検出用配管を通過させる上記混合ガスに、上記検出用配管の配管入口、配管出口において温度差を与える温度差付与手段と、
上記検出用配管を上記混合ガスが通過する際の上記配管入口、上記配管出口における圧力の差である差圧と、上記混合ガスの流速とを、ガス密度毎に関係付けた流速−差圧マップを格納する第1のマップ格納部と、
上記検出用配管を上記混合ガスを構成する単一ガスのみが通過する際の上記配管入口、上記配管出口における温度の時間に対する変化率である単一ガス温度変化速度と、上記配管入口における入口温度とを、上記検出用配管を通過する流速毎に関係付けた単一ガス温度変化速度マップを、上記混合ガスを構成する単一ガスの数だけ格納する第2のマップ格納部と、
上記検出用配管の配管入口における上記混合ガスの入口圧力を測定する入口圧力測定手段と、
上記検出用配管の配管出口における上記混合ガスの出口圧力を測定する出口圧力測定手段と、
上記検出用配管の配管入口における上記混合ガスの入口温度を測定する入口温度測定手段と、
上記検出用配管の配管出口における上記混合ガスの出口温度を測定する出口温度測定手段と、
任意に定められた仮のガス密度に対応する流速を、測定された上記入口圧力と、測定された上記出口圧力との圧力差である測定差圧を用いて、上記第1のマップ格納部に格納されている流速−差圧マップから取得する流速取得手段と、
上記流速取得手段によって取得された流速と、測定された上記入口温度と、測定された上記出口温度との温度差である測定温度差とから上記検出用配管を上記混合ガスが通過する際の温度の時間に対する変化率である混合ガス温度変化速度を算出する温度変化速度算出手段と、
上記流速取得手段によって取得された流速と、測定された上記入口温度とを用いて、上記第2のマップ格納部に格納されている単一ガス温度変化速度マップから、上記混合ガスを構成する複数の単一ガスの単一ガス温度変化速度を取得する単一ガス温度変化速度取得手段と、
上記混合ガス温度変化速度、上記単一ガス温度変化速度から上記混合ガスの組成を算出し、上記混合ガスの算出ガス密度を算出するガス密度算出手段と、
上記ガス密度算出手段によって算出された算出ガス密度と、上記仮のガス密度との差分値をとり、上記差分値が所定の許容範囲内であるかどうかを判定する判定手段と、
上記判定手段により、上記差分値が所定の範囲内でないとされたことに応じて、上記仮のガス密度を、上記算出ガス密度に基づいて更新する更新手段と、
上記判定手段により、上記差分値が所定の範囲内であるとされたことに応じて、上記算出ガス密度を真のガス密度として設定する設定手段と、
上記算出ガス密度が、上記設定手段によって上記真のガス密度に設定されるまで、上記更新手段によって更新された上記仮のガス密度を用いて、上記流速取得手段、上記温度変化速度算出手段、上記単一ガス温度変化速度取得手段、上記ガス密度算出手段、上記判定手段、上記更新手段とを繰り返し実行するよう制御する制御手段と、
上記設定手段によって設定された上記真のガス密度に基づいて、上記循環手段の仕事量を制御する循環制御手段とを備えること
を特徴とする燃料電池システム。
【請求項3】
上記燃料ガスを水素とし、上記混合ガスは、上記水素と、窒素と、水蒸気とによる3種類の単一ガスが任意の組成で混合されてなること
を特徴とする請求項2記載の燃料電池システム。
【請求項4】
上記温度差付与手段は、上記検出用配管を通過する上記混合ガスを冷却することで、上記検出用配管の上記配管入口、上記配管出口における上記混合ガスに温度差を付与すること
を特徴とする請求項3記載の燃料電池システム。
【請求項5】
複数の単一ガスが任意の組成で混合されてなる混合ガスを通過させる所定の管径、所定の長さの検出用配管の配管入口、配管出口において、通過させる上記混合ガスに温度差を与える温度差付与ステップと、
上記検出用配管の配管入口における上記混合ガスの入口圧力を測定する入口圧力測定ステップと、
上記検出用配管の配管出口における上記混合ガスの出口圧力を測定する出口圧力測定ステップと、
上記検出用配管の配管入口における上記混合ガスの入口温度を測定する入口温度測定ステップと、
上記検出用配管の配管出口における上記混合ガスの出口温度を測定する出口温度測定ステップと、
任意に定められた仮のガス密度に対応する流速を、測定された上記入口圧力と、測定された上記出口圧力との圧力差である測定差圧を用いて、上記第1のマップ格納部に格納されている、上記検出用配管を上記混合ガスが通過する際の上記配管入口、上記配管出口における圧力の差である差圧と、上記混合ガスの流速とを、ガス密度毎に関係付けた流速−差圧マップから取得する流速取得ステップと、
上記流速取得ステップによって取得された流速と、測定された上記入口温度と、測定された上記出口温度との温度差である測定温度差とから上記検出用配管を上記混合ガスが通過する際の温度の時間に対する変化率である混合ガス温度変化速度を算出する温度変化速度算出ステップと、
上記流速取得ステップによって取得された流速と、測定された上記入口温度とを用いて、上記第2のマップ格納部に、上記混合ガスを構成する単一ガスの数だけ格納されている、上記検出用配管を上記混合ガスを構成する単一ガスのみが通過する際の上記配管入口、上記配管出口における温度の時間に対する変化率である単一ガス温度変化速度と、上記配管入口における入口温度とを、上記検出用配管を通過する流速毎に関係付けた単一ガス温度変化速度マップから、上記混合ガスを構成する複数の単一ガスの単一ガス温度変化速度を取得する単一ガス温度変化速度取得ステップと、
上記混合ガス温度変化速度、上記単一ガス温度変化速度から上記混合ガスの組成を算出し、上記混合ガスの算出ガス密度を算出するガス密度算出ステップと、
上記ガス密度算出ステップによって算出された算出ガス密度と、上記仮のガス密度との差分値をとり、上記差分値が所定の許容範囲内であるかどうかを判定する判定ステップと、
上記判定ステップにより、上記差分値が所定の範囲内でないとされたことに応じて、上記仮のガス密度を、上記算出ガス密度に基づいて更新する更新ステップと、
上記判定ステップにより、上記差分値が所定の範囲内であるとされたことに応じて、上記算出ガス密度を真のガス密度として設定する設定ステップと、
上記算出ガス密度が、上記設定ステップによって上記真のガス密度に設定されるまで、上記更新ステップによって更新された上記仮のガス密度を用いて、上記流速取得ステップ、上記温度変化速度算出ステップ、上記単一ガス温度変化速度取得ステップ、上記ガス密度算出ステップ、上記判定ステップ、上記更新ステップとを繰り返し実行するよう制御する制御ステップとを備えること
を特徴とするガス密度算出方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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