ガス排出管
【課題】少ない部品点数で、かつシール性に優れたガス排出管を提供する。
【解決手段】安全弁22を有する燃料電池20の内部で発生し、安全弁22から排出されたガスを、燃料電池20の外部に設けられたガス排出用ダクト30内に、このガス排出用ダクト30に設けられたダクト外部から内部に貫通する貫通孔31を介して導くガス排出管10において、ゴム状弾性体製の単一部品により構成される環状のガス排出管10であって、貫通孔31とガス排出管10の外壁面との間を塞いだ状態で、貫通孔31の部分に嵌る環状溝部12と、燃料電池20に押し付けられることによって、外側に開くように撓んだ状態で、安全弁22の周囲を取り囲むように燃料電池20の外壁面に密着する環状のシールリップ部14と、を備えることを特徴とする。
【解決手段】安全弁22を有する燃料電池20の内部で発生し、安全弁22から排出されたガスを、燃料電池20の外部に設けられたガス排出用ダクト30内に、このガス排出用ダクト30に設けられたダクト外部から内部に貫通する貫通孔31を介して導くガス排出管10において、ゴム状弾性体製の単一部品により構成される環状のガス排出管10であって、貫通孔31とガス排出管10の外壁面との間を塞いだ状態で、貫通孔31の部分に嵌る環状溝部12と、燃料電池20に押し付けられることによって、外側に開くように撓んだ状態で、安全弁22の周囲を取り囲むように燃料電池20の外壁面に密着する環状のシールリップ部14と、を備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排出ガスが通るガス排出管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば燃料電池内で発生するガスを外部に排出させるために、燃料電池内で発生したガスを、燃料電池本体からガス排出用ダクトに導くためのガス排出管が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
このような従来例に係るガス排出管について、図6を参照して説明する。図6は従来例に係るガス排出管を有する燃料電池システムの一部を示す模式的断面図である。
【0004】
この従来例に係る燃料電池システムは、複数の単セル210が積層されることで構成される燃料電池200と、燃料電池200の外側であって、単セル210の積層方向に向かって伸びるように配置されるガス排出用ダクト300と、単セル210の内部で発生したガスをガス排出用ダクト300に導くガス排出管400とを備えている。
【0005】
ガス排出管400は、筒状の管本体部410と、管本体部410の先端に設けられる先端差し込み部420と、管の根元側に設けられる外向きフランジ部430とを備えている。このように構成されるガス排出管400は、各単セル210にそれぞれ設けられる。また、このガス排出管400は、ガス排出用ダクト300に設けられた貫通孔310を介して、先端差し込み部420がダクト内に差し込まれるようにして配置される。なお、図6においては、1か所の単セル210及びガス排出管400について示している。
【0006】
そして、この従来例に係る燃料電池システムにおいては、ガス排出用ダクト300に導かれたガスが、貫通孔310からダクトの外部に漏れないようにするためのガスケット500が設けられている。このガスケット500は、ゴム状弾性体製の筒状の部材であり、その胴体の中央部に環状溝510が設けられている。この環状溝510の部分がガス排出用ダクト300における貫通孔310の部分に嵌るようにして、ガスケット500はガス排出用ダクト300に取り付けられている。
【0007】
このような構成により、ガスケット500は、ガス排出管400における管本体部410の外周面,先端差し込み部420の下端面、及び外向きフランジ部430の上端面にそれぞれ密着すると共に、ガス排出用ダクト300における貫通孔310の内周面,ダクトの内壁面であって貫通孔310の周囲の部位と、ダクトの外壁面であって貫通孔310の周囲の部位にそれぞれ密着する。これにより、ガス排出用ダクト300に導かれたガスが、貫通孔310からダクトの外部に漏れることを抑制することができる。
【0008】
しかしながら、上記のように構成された燃料電池システムの場合、各単セルにガス排出管400、及びガスケット500をそれぞれ取り付けなければならず、部品点数が多くなってしまう。また、ガスケット500の組み付け作業が煩雑で、かつ位置合わせについても高い精度が必要となってしまう。更に、ガスケット500は、各部位が圧縮されることでシール性を発揮する構成であることから、ガスケット500による反力は比較的大きくなる。そして、ガス排出用ダクト300に対しては複数のガスケット500が設けられることから、全てのガスケット500によるガス排出用ダクト300に対する反力の総和は非常に大きくなってしまう。
【0009】
また、内部圧力が一定以上になると排気する弁と、シール部とを有するユニットを、複
数の単セルを固定するためのステーに組み込んだ技術も知られている(特許文献2参照)。しかしながら、この技術の場合には、ユニットが複数部品から構成されると共に、ステーに複数のユニットを嵌め込む必要があり、嵌め込み作業が面倒である。また、特許文献2に開示された技術の場合、シール部自体の圧縮によりシール性を発揮させる構造であることから、シール部やステーの寸法にバラツキがあると、シール部を押し付ける力にバラツキが生じてしまい、シール性が不安定となってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−8603号公報
【特許文献2】特開平9−283106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、少ない部品点数で、かつシール性に優れたガス排出管を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0013】
すなわち、本発明のガス排出管は、
ガス排出弁を有する装置の内部で発生し、前記ガス排出弁から排出されたガスを、前記装置の外部に設けられたガス排出用ダクト内に、該ガス排出用ダクトに設けられたダクト外部から内部に貫通する貫通孔を介して導くガス排出管において、
ゴム状弾性体製の単一部品により構成される環状のガス排出管であって、
前記貫通孔と前記ガス排出管の外壁面との間を塞いだ状態で、前記貫通孔の部分に嵌る環状溝部と、
前記装置に押し付けられることによって、外側に開くように撓んだ状態で、前記ガス排出弁の周囲を取り囲むように前記装置の外壁面に密着する環状のシールリップ部と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、ガス排出管がゴム状弾性体製の単一部品により構成される。また、ガス排出管は、ガス排出用ダクトに設けられた貫通孔とガス排出管の外壁面との間を塞いだ状態で、前記貫通孔の部分に嵌る環状溝部と、前記装置に密着するシールリップ部とを備えている。そのため、ガス排出管自体がガスケットとしての機能も発揮する。以上のことから、ガス排出管とは別にガスケットを設ける必要がない。
【0015】
また、シールリップが撓んだ状態で前記装置に密着する構成を採用しているので、小さな反力でシール性を発揮させることができ、かつ各部材の寸法誤差が大きな場合でも安定したシール性を発揮させることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、少ない部品点数で、かつ安定したシール性を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本発明の実施例に係るガス排出管を有する燃料電池システムの一部を示す模式的断面図である。
【図2】図2は本発明の実施例に係るガス排出管の平面図である。
【図3】図3は本発明の実施例に係るガス排出管の断面図である。
【図4】図4は本発明の実施例に係るガス排出管の断面図である。
【図5】図5は本発明の実施例に係るガス排出管を有する燃料電池システムの一部を拡大した断面図である。
【図6】図6は従来例に係るガス排出管を有する燃料電池システムの一部を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0019】
(実施例)
図1〜図5を参照して、本発明の実施例に係るガス排出管について説明する。本実施例においては、ガス排出管が適用されるシステムの一例として、燃料電池システムの場合を例にして説明する。すなわち、本発明における「ガス排出弁を有する装置」が燃料電池の場合を例にして説明する。
【0020】
<燃料電池システム>
図1を参照して、本実施例に係る燃料電池システムについて説明する。なお、図1は、燃料電池システムの一部の模式的断面図であり、各部の構成は、簡略的に示している。
【0021】
この燃料電池システムは、複数の単セル21が積層されることで構成される燃料電池20と、燃料電池20の外側であって、単セル21の積層方向に向かって伸びるように配置されるガス排出用ダクト30と、単セル21の内部で発生したガスをガス排出用ダクト30に導くガス排出管10とを備えている。各単セル21には、内部で異常に発生したガスを放出させるために、それぞれガス排出弁としての安全弁22が設けられている。そして、安全弁22からガスが排出された場合に、排出ガスをガス排出用ダクト30に導くために、ガス排出管10が各単セル21に対してそれぞれ設けられている。
【0022】
<ガス排出管>
特に、図2〜図4を参照して、本発明の実施例に係るガス排出管10について詳細に説明する。図2はガス排出管10の平面図であり、図3は図2中のAA断面図であり、図4は図2中のBB断面図である。
【0023】
本実施例に係るガス排出管10は、ゴム状弾性体製の単一部品により構成される。そして、このガス排出管10は、ガス排出用ダクト30内に差し込まれる環状の先端部分10Aと、燃料電池20側に配置される環状の後端部分10Bとを一体的に備えた構成である。このうち、先端部分10Aは回転対称形状となっており、上面から見た場合の各部の輪郭は円形となっている。また、後端部分10Bは、上面から見た場合の各部の輪郭はセル側の取付部の構造に合わせてトラック(陸上トラック)形状となっている。
【0024】
また、ガス排出管10の先端部分10Aにおける外周面のうちの先端側は、ガス排出用ダクト30内に差し込みやすいように、先端に向かうにつれて縮径するテーパ面11が設けられている。また、このテーパ面11が設けられている部位と、後端部分10Bとの間には、環状溝部12が設けられている。
【0025】
そして、後端部分10Bは、環状のシールリップ部14と、このシールリップ部14と環状の先端部分10Aとを繋ぐ略平板形状の連結部13とを備えている。そして、シールリップ部14の内壁面は、後端側に向かうにつれて外側に拡がる傾斜面14aが形成され
ている。また、この傾斜面14aと後端側の端面との間には、湾曲面状の面取り(いわゆるR面)14bが形成されている。
【0026】
以上のように構成されたガス排出管10における管の内部の空間Rが、排出ガスが通る通路となる。
【0027】
<ガス排出管の使用状態>
特に、図5を参照して、本発明の実施例に係るガス排出管10の使用状態について説明する。図5は図1中のXで示す付近を拡大し、各部材の構成を明確にした図である。本実施例においては、ガス排出用ダクト30に、各単セル21に対応する位置に、それぞれダクト外部から内部に貫通する貫通孔31が設けられている。この貫通孔31の内周面は円筒面で構成されている。
【0028】
そして、この貫通孔31に、ガス排出管10を、その先端部分10Aの先端側から連結部13の先端側端面に突き当たるまで差し込むことによって、環状溝部12が貫通孔31の部分に嵌った状態となる。これにより、環状溝部12の溝底面が貫通孔31の内周面に密着した状態となる。また、環状溝部12の溝底面と先端部分10Aとの境界部分の付近が、貫通孔31のダクト内部側の開口端縁に沿って密着した状態となる。更に、連結部13の先端側端面がダクトの外壁面のうち貫通孔31のダクト外部側の開口部の周囲の部位に密着した状態となる。これらのことから、環状溝部12が貫通孔31の部分に嵌ることで、貫通孔31とガス排出管10の外壁面との間は塞がれた状態となる。
【0029】
なお、ガス排出管10の先端部分10Aには、先端に向かうにつれて縮径するテーパ面11が設けられているので、ガス排出管10をガス排出用ダクト30の貫通孔31に容易に差し込むことができる。
【0030】
また、ガス排出管10におけるシールリップ部14は、燃料電池20(単セル21)に押し付けられた状態となる。これにより、シールリップ部14の内壁面に傾斜面14aと面取り14bとが設けられていることとが相俟って、シールリップ部14は、外側に開くように撓んだ状態で、安全弁22の周囲を取り囲むように燃料電池20の外壁面に密着した状態となる。
【0031】
<本実施例に係るガス排出管の優れた点>
以上説明したように、本実施例に係るガス排出管10によれば、ガス排出管10がゴム状弾性体製の単一部品により構成される。また、ガス排出管10は、ガス排出用ダクト30に設けられた貫通孔31とガス排出管10の外壁面との間を塞いだ状態で、貫通孔31の部分に嵌る環状溝部12と、燃料電池20に密着するシールリップ部14とを備えている。そのため、ガス排出管10自体がガスケットとしての機能も発揮する。以上のことから、ガス排出管10とは別にガスケットを設ける必要がない。従って、部品点数を少なくできる。
【0032】
また、シールリップ部14が撓んだ状態で燃料電池20に密着する構成を採用しているので、小さな反力でシール性を発揮させることができ、かつ各部材の寸法誤差が大きな場合でも安定したシール性を発揮させることができる。
【0033】
<その他>
上記実施例においては、「ガス排出弁を有する装置」が燃料電池の場合について説明したが、本発明におけるガス排出管は、燃料電池に限らず、ガス排出弁を有する各種装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0034】
10 ガス排出管
10A 先端部分
10B 後端部分
11 テーパ面
12 環状溝部
13 連結部
14 シールリップ部
14a 傾斜面
20 燃料電池
21 単セル
22 安全弁
30 ガス排出用ダクト
31 貫通孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、排出ガスが通るガス排出管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば燃料電池内で発生するガスを外部に排出させるために、燃料電池内で発生したガスを、燃料電池本体からガス排出用ダクトに導くためのガス排出管が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
このような従来例に係るガス排出管について、図6を参照して説明する。図6は従来例に係るガス排出管を有する燃料電池システムの一部を示す模式的断面図である。
【0004】
この従来例に係る燃料電池システムは、複数の単セル210が積層されることで構成される燃料電池200と、燃料電池200の外側であって、単セル210の積層方向に向かって伸びるように配置されるガス排出用ダクト300と、単セル210の内部で発生したガスをガス排出用ダクト300に導くガス排出管400とを備えている。
【0005】
ガス排出管400は、筒状の管本体部410と、管本体部410の先端に設けられる先端差し込み部420と、管の根元側に設けられる外向きフランジ部430とを備えている。このように構成されるガス排出管400は、各単セル210にそれぞれ設けられる。また、このガス排出管400は、ガス排出用ダクト300に設けられた貫通孔310を介して、先端差し込み部420がダクト内に差し込まれるようにして配置される。なお、図6においては、1か所の単セル210及びガス排出管400について示している。
【0006】
そして、この従来例に係る燃料電池システムにおいては、ガス排出用ダクト300に導かれたガスが、貫通孔310からダクトの外部に漏れないようにするためのガスケット500が設けられている。このガスケット500は、ゴム状弾性体製の筒状の部材であり、その胴体の中央部に環状溝510が設けられている。この環状溝510の部分がガス排出用ダクト300における貫通孔310の部分に嵌るようにして、ガスケット500はガス排出用ダクト300に取り付けられている。
【0007】
このような構成により、ガスケット500は、ガス排出管400における管本体部410の外周面,先端差し込み部420の下端面、及び外向きフランジ部430の上端面にそれぞれ密着すると共に、ガス排出用ダクト300における貫通孔310の内周面,ダクトの内壁面であって貫通孔310の周囲の部位と、ダクトの外壁面であって貫通孔310の周囲の部位にそれぞれ密着する。これにより、ガス排出用ダクト300に導かれたガスが、貫通孔310からダクトの外部に漏れることを抑制することができる。
【0008】
しかしながら、上記のように構成された燃料電池システムの場合、各単セルにガス排出管400、及びガスケット500をそれぞれ取り付けなければならず、部品点数が多くなってしまう。また、ガスケット500の組み付け作業が煩雑で、かつ位置合わせについても高い精度が必要となってしまう。更に、ガスケット500は、各部位が圧縮されることでシール性を発揮する構成であることから、ガスケット500による反力は比較的大きくなる。そして、ガス排出用ダクト300に対しては複数のガスケット500が設けられることから、全てのガスケット500によるガス排出用ダクト300に対する反力の総和は非常に大きくなってしまう。
【0009】
また、内部圧力が一定以上になると排気する弁と、シール部とを有するユニットを、複
数の単セルを固定するためのステーに組み込んだ技術も知られている(特許文献2参照)。しかしながら、この技術の場合には、ユニットが複数部品から構成されると共に、ステーに複数のユニットを嵌め込む必要があり、嵌め込み作業が面倒である。また、特許文献2に開示された技術の場合、シール部自体の圧縮によりシール性を発揮させる構造であることから、シール部やステーの寸法にバラツキがあると、シール部を押し付ける力にバラツキが生じてしまい、シール性が不安定となってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−8603号公報
【特許文献2】特開平9−283106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、少ない部品点数で、かつシール性に優れたガス排出管を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0013】
すなわち、本発明のガス排出管は、
ガス排出弁を有する装置の内部で発生し、前記ガス排出弁から排出されたガスを、前記装置の外部に設けられたガス排出用ダクト内に、該ガス排出用ダクトに設けられたダクト外部から内部に貫通する貫通孔を介して導くガス排出管において、
ゴム状弾性体製の単一部品により構成される環状のガス排出管であって、
前記貫通孔と前記ガス排出管の外壁面との間を塞いだ状態で、前記貫通孔の部分に嵌る環状溝部と、
前記装置に押し付けられることによって、外側に開くように撓んだ状態で、前記ガス排出弁の周囲を取り囲むように前記装置の外壁面に密着する環状のシールリップ部と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、ガス排出管がゴム状弾性体製の単一部品により構成される。また、ガス排出管は、ガス排出用ダクトに設けられた貫通孔とガス排出管の外壁面との間を塞いだ状態で、前記貫通孔の部分に嵌る環状溝部と、前記装置に密着するシールリップ部とを備えている。そのため、ガス排出管自体がガスケットとしての機能も発揮する。以上のことから、ガス排出管とは別にガスケットを設ける必要がない。
【0015】
また、シールリップが撓んだ状態で前記装置に密着する構成を採用しているので、小さな反力でシール性を発揮させることができ、かつ各部材の寸法誤差が大きな場合でも安定したシール性を発揮させることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、少ない部品点数で、かつ安定したシール性を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本発明の実施例に係るガス排出管を有する燃料電池システムの一部を示す模式的断面図である。
【図2】図2は本発明の実施例に係るガス排出管の平面図である。
【図3】図3は本発明の実施例に係るガス排出管の断面図である。
【図4】図4は本発明の実施例に係るガス排出管の断面図である。
【図5】図5は本発明の実施例に係るガス排出管を有する燃料電池システムの一部を拡大した断面図である。
【図6】図6は従来例に係るガス排出管を有する燃料電池システムの一部を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0019】
(実施例)
図1〜図5を参照して、本発明の実施例に係るガス排出管について説明する。本実施例においては、ガス排出管が適用されるシステムの一例として、燃料電池システムの場合を例にして説明する。すなわち、本発明における「ガス排出弁を有する装置」が燃料電池の場合を例にして説明する。
【0020】
<燃料電池システム>
図1を参照して、本実施例に係る燃料電池システムについて説明する。なお、図1は、燃料電池システムの一部の模式的断面図であり、各部の構成は、簡略的に示している。
【0021】
この燃料電池システムは、複数の単セル21が積層されることで構成される燃料電池20と、燃料電池20の外側であって、単セル21の積層方向に向かって伸びるように配置されるガス排出用ダクト30と、単セル21の内部で発生したガスをガス排出用ダクト30に導くガス排出管10とを備えている。各単セル21には、内部で異常に発生したガスを放出させるために、それぞれガス排出弁としての安全弁22が設けられている。そして、安全弁22からガスが排出された場合に、排出ガスをガス排出用ダクト30に導くために、ガス排出管10が各単セル21に対してそれぞれ設けられている。
【0022】
<ガス排出管>
特に、図2〜図4を参照して、本発明の実施例に係るガス排出管10について詳細に説明する。図2はガス排出管10の平面図であり、図3は図2中のAA断面図であり、図4は図2中のBB断面図である。
【0023】
本実施例に係るガス排出管10は、ゴム状弾性体製の単一部品により構成される。そして、このガス排出管10は、ガス排出用ダクト30内に差し込まれる環状の先端部分10Aと、燃料電池20側に配置される環状の後端部分10Bとを一体的に備えた構成である。このうち、先端部分10Aは回転対称形状となっており、上面から見た場合の各部の輪郭は円形となっている。また、後端部分10Bは、上面から見た場合の各部の輪郭はセル側の取付部の構造に合わせてトラック(陸上トラック)形状となっている。
【0024】
また、ガス排出管10の先端部分10Aにおける外周面のうちの先端側は、ガス排出用ダクト30内に差し込みやすいように、先端に向かうにつれて縮径するテーパ面11が設けられている。また、このテーパ面11が設けられている部位と、後端部分10Bとの間には、環状溝部12が設けられている。
【0025】
そして、後端部分10Bは、環状のシールリップ部14と、このシールリップ部14と環状の先端部分10Aとを繋ぐ略平板形状の連結部13とを備えている。そして、シールリップ部14の内壁面は、後端側に向かうにつれて外側に拡がる傾斜面14aが形成され
ている。また、この傾斜面14aと後端側の端面との間には、湾曲面状の面取り(いわゆるR面)14bが形成されている。
【0026】
以上のように構成されたガス排出管10における管の内部の空間Rが、排出ガスが通る通路となる。
【0027】
<ガス排出管の使用状態>
特に、図5を参照して、本発明の実施例に係るガス排出管10の使用状態について説明する。図5は図1中のXで示す付近を拡大し、各部材の構成を明確にした図である。本実施例においては、ガス排出用ダクト30に、各単セル21に対応する位置に、それぞれダクト外部から内部に貫通する貫通孔31が設けられている。この貫通孔31の内周面は円筒面で構成されている。
【0028】
そして、この貫通孔31に、ガス排出管10を、その先端部分10Aの先端側から連結部13の先端側端面に突き当たるまで差し込むことによって、環状溝部12が貫通孔31の部分に嵌った状態となる。これにより、環状溝部12の溝底面が貫通孔31の内周面に密着した状態となる。また、環状溝部12の溝底面と先端部分10Aとの境界部分の付近が、貫通孔31のダクト内部側の開口端縁に沿って密着した状態となる。更に、連結部13の先端側端面がダクトの外壁面のうち貫通孔31のダクト外部側の開口部の周囲の部位に密着した状態となる。これらのことから、環状溝部12が貫通孔31の部分に嵌ることで、貫通孔31とガス排出管10の外壁面との間は塞がれた状態となる。
【0029】
なお、ガス排出管10の先端部分10Aには、先端に向かうにつれて縮径するテーパ面11が設けられているので、ガス排出管10をガス排出用ダクト30の貫通孔31に容易に差し込むことができる。
【0030】
また、ガス排出管10におけるシールリップ部14は、燃料電池20(単セル21)に押し付けられた状態となる。これにより、シールリップ部14の内壁面に傾斜面14aと面取り14bとが設けられていることとが相俟って、シールリップ部14は、外側に開くように撓んだ状態で、安全弁22の周囲を取り囲むように燃料電池20の外壁面に密着した状態となる。
【0031】
<本実施例に係るガス排出管の優れた点>
以上説明したように、本実施例に係るガス排出管10によれば、ガス排出管10がゴム状弾性体製の単一部品により構成される。また、ガス排出管10は、ガス排出用ダクト30に設けられた貫通孔31とガス排出管10の外壁面との間を塞いだ状態で、貫通孔31の部分に嵌る環状溝部12と、燃料電池20に密着するシールリップ部14とを備えている。そのため、ガス排出管10自体がガスケットとしての機能も発揮する。以上のことから、ガス排出管10とは別にガスケットを設ける必要がない。従って、部品点数を少なくできる。
【0032】
また、シールリップ部14が撓んだ状態で燃料電池20に密着する構成を採用しているので、小さな反力でシール性を発揮させることができ、かつ各部材の寸法誤差が大きな場合でも安定したシール性を発揮させることができる。
【0033】
<その他>
上記実施例においては、「ガス排出弁を有する装置」が燃料電池の場合について説明したが、本発明におけるガス排出管は、燃料電池に限らず、ガス排出弁を有する各種装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0034】
10 ガス排出管
10A 先端部分
10B 後端部分
11 テーパ面
12 環状溝部
13 連結部
14 シールリップ部
14a 傾斜面
20 燃料電池
21 単セル
22 安全弁
30 ガス排出用ダクト
31 貫通孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス排出弁を有する装置の内部で発生し、前記ガス排出弁から排出されたガスを、前記装置の外部に設けられたガス排出用ダクト内に、該ガス排出用ダクトに設けられたダクト外部から内部に貫通する貫通孔を介して導くガス排出管において、
ゴム状弾性体製の単一部品により構成される環状のガス排出管であって、
前記貫通孔と前記ガス排出管の外壁面との間を塞いだ状態で、前記貫通孔の部分に嵌る環状溝部と、
前記装置に押し付けられることによって、外側に開くように撓んだ状態で、前記ガス排出弁の周囲を取り囲むように前記装置の外壁面に密着する環状のシールリップ部と、
を備えることを特徴とするガス排出管。
【請求項1】
ガス排出弁を有する装置の内部で発生し、前記ガス排出弁から排出されたガスを、前記装置の外部に設けられたガス排出用ダクト内に、該ガス排出用ダクトに設けられたダクト外部から内部に貫通する貫通孔を介して導くガス排出管において、
ゴム状弾性体製の単一部品により構成される環状のガス排出管であって、
前記貫通孔と前記ガス排出管の外壁面との間を塞いだ状態で、前記貫通孔の部分に嵌る環状溝部と、
前記装置に押し付けられることによって、外側に開くように撓んだ状態で、前記ガス排出弁の周囲を取り囲むように前記装置の外壁面に密着する環状のシールリップ部と、
を備えることを特徴とするガス排出管。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2012−117634(P2012−117634A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269487(P2010−269487)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)
【Fターム(参考)】
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