説明

ガス漏洩検出装置

【課題】ガス供給設備に設けられた配管の種類に適した漏洩検査を可能とする。
【解決手段】ガス供給設備の配管における漏洩を検出するガス漏洩検出装置1において、容積が異なる複数種類の配管の各々に対応した判定条件情報を複数記憶する判定条件情報記憶手段3と、前記配管の容積を識別するための配管情報を取得する配管情報取得手段P1と、前記配管情報取得手段P1が取得した配管情報に対応する前記判定条件情報を前記判定条件情報記憶手段3から抽出する判定条件情報抽出手段P2と、前記判定条件情報抽出手段P2が抽出した判定条件情報に基づいて前記配管内の圧力を計測し、該計測結果から当該配管における漏洩を検出する漏洩検出手段P3と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス供給設備の配管における漏洩を検出するガス漏洩検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスの使用後等の弁開状態にあるガス遮断弁を弁閉したときに、ガス遮断弁下流側の配管におけるガス漏れを検査する内管漏洩検査手段を有するガス遮断弁制御装置が従来から知られている。このようなガス遮断弁制御装置は、ガス使用後に操作(弁閉)スイッチを操作すると、ガス遮断弁を閉じてガスをガス遮断弁下流側の配管内に封じ込め、その後一定時間、例えば、15分配管内のガス圧が低下するかどうかを監視し、ガス圧が低下した場合には、気密不良として警報を発し、ガス使用者の注意を喚起してきた。このようなガス遮断弁制御装置としては、特許文献1等に示すものが知られている。
【特許文献1】実開平5−37102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した内管漏洩検査は、径や容積が異なる複数種類の配管の全てに対して用いられていたため、圧力の監視時間が一定になってしまい、配管容積が少ないところではその時間内に温度変化等によって圧力が1kPa以下になって漏洩と判定したり、逆に配管容積が大きなところでは、漏洩があっても圧力があまり下がらずに漏洩を検出できないとの問題があることが判明した。そのため、温度変化等による漏洩誤判定や漏洩の見過ごしが生じて、漏洩検出の精度を低下させてしまう可能性があった。
【0004】
よって本発明は、上述した問題点に鑑み、ガス供給設備に設けられた配管の種類に適した漏洩検査を行うことができるガス漏洩検出装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項1記載のガス漏洩検出装置は、図1の基本構成図に示すように、ガス供給設備の配管における漏洩を検出するガス漏洩検出装置1において、容積が異なる複数種類の配管の各々に対応した判定条件情報を複数記憶する判定条件情報記憶手段3と、前記配管の容積を識別するための配管情報を取得する配管情報取得手段P1と、前記配管情報取得手段P1が取得した配管情報に対応する前記判定条件情報を前記判定条件情報記憶手段3から抽出する判定条件情報抽出手段P2と、前記判定条件情報抽出手段P2が抽出した判定条件情報に基づいて前記配管内の圧力を計測し、該計測結果から当該配管における漏洩を検出する漏洩検出手段P3と、を有することを特徴とする。
【0006】
上記請求項1に記載した本発明のガス漏洩検出装置によれば、配管情報取得手段P1によって点検対象となる配管、ガス供給設備等の配管情報が取得されると、該配管情報に対応した判定条件情報が配管情報取得手段P1によって判定条件情報記憶手段3が記憶している複数の判定条件情報の中から抽出される。そして、漏洩検出手段P3によって当該判定条件情報に基づいて配管内の圧力が計測され、その計測結果から配管における漏洩が検出される。
【0007】
請求項2記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1に記載のガス漏洩検出装置において、前記判定条件情報が、前記検出した漏洩を複数段階に区分するための区分データを有し、前記漏洩検出手段P3が検出した漏洩を前記区分データに基づいて区分した漏洩検出結果を出力する漏洩検出結果出力手段P4を有することを特徴とする。
【0008】
上記請求項2に記載した本発明のガス漏洩検出装置によれば、漏洩検出手段P3によって検出された漏洩は判定条件情報の区部データに基づいて大中小等の複数段階に区分され、その区分を示す漏洩検出結果が漏洩検出結果出力手段P4によって出力される。
【0009】
請求項3記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1又は2に記載のガス漏洩検出装置において、前記配管の容積を設定するための複数のスイッチを有する設定手段2を有し、前記配管情報取得手段P1が、前記設定手段の複数のスイッチの状態を示す配管情報を取得する手段であることを特徴とする。
【0010】
上記請求項3に記載した本発明のガス漏洩検出装置によれば、設定手段2の複数のスイッチが配管の容積に対応するように作業者等に設定される。そして、その設定手段の複数のスイッチ状態が配管情報として配管情報取得手段P1によって取得される。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように請求項1に記載した本発明のガス漏洩検出装置によれば、複数種類の判定条件情報を予め記憶しておき、配管の容積を示す配管情報を取得し、該配管情報に対応した判定条件情報を抽出し、その判定条件情報に基づいて漏洩を検出するようにしたことから、配管情報によって検査対象となる配管の容積を特定することができるため、その配管に適した判定条件情報で漏洩を点検、検出することができる。従って、ガス配管供給設備の配管状況に適した漏洩検査を行うことから、温度変化による漏洩誤判定や漏洩の見過ごしを低減することができるため、漏洩検出の精度の低下を防止することができる。
【0012】
請求項2に記載した本発明によれば、請求項1に記載の効果に加え、漏洩判定結果を複数段階に区分して出力するようにしたことから、作業者等は漏洩検査の結果を容易に判断できるため、迅速且つ正確な対処を手配することができる。
【0013】
請求項3に記載した本発明によれば、請求項1又は2に記載の効果に加え、複数のスイッチによって配管の容積等を設定できるようにしたことから、作業者は把握しづらい配管の容積を選択的に設定できるため、メンテナンス性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係るガス漏洩検出装置をガス保安システムに適用する場合の一実施形態を、図1〜図4の図面を参照して以下に説明する。
【0015】
図2において、ガス保安システム1は、屋内等に設けられた操作装置10と、その屋内等に繋がる配管5の遮断を行う遮断弁ユニット20と、を有して構成している。そして、操作装置10と遮断弁ユニット20は、有線又は無線による通信が可能となっている。
【0016】
操作装置10は、予め定められたプログラムに従って動作するマイクロプロセッサ(MPU)11を有している。MPU11は、周知のように、予め定めたプログラムに従って各種の処理や制御などを行う中央演算処理装置(CPU)11a、CPU11aのためのプログラム等を格納した読み出し専用のメモリであるROM11b、各種のデータを格納するとともにCPU11aの処理作業に必要なエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリであるRAM11c等を有して構成している。
【0017】
ROM11bは、CPU11aを請求項中の配管情報取得手段及び判定条件情報抽出手段として機能させるための遮断弁ユニット起動処理プログラムを記憶している。このように本実施形態では、CPU11aが遮断弁ユニット起動処理プログラムを実行することで、配管情報取得手段及び判定条件情報抽出手段として機能する場合について説明するが、本発明はこれに限定するものではなく、遮断弁ユニット20で実現するなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0018】
操作装置10はさらに、メモリ部12と、通信部13と、表示部14と、操作部15と、を有している。そして、メモリ部12と通信部13と表示部14と操作部15の各々は、MPU11に電気的に接続されている。
【0019】
メモリ部12は、電力供給が断たれた場合でも、格納された各種データの保持が可能であり、CPU11aの処理作業に必要な各種格納エリアを有する電気的消去/書き換え可能なメモリ(EEPROM)等が用いられる。そして、本実施形態では、複数種類の配管容積の各々に対応した判定条件情報D1をメモリ部12に記憶することで、メモリ部12が図1に示す判定条件情報記憶手段として機能している。
【0020】
本実施形態では、複数種類の判定条件情報D1の一例として、図3に示すように、配管5の4種類の径(32A以下、40A、50A、80A)と2種類の配管容積(標準、最大)に対応する8種類をメモリ部12に記憶している。よって、作業者等は、配管の径を選択すると共に、配管容積を”標準”又は”最大”で選択すれば良いため、現場で配管容積を正確に把握する必要がなくなり、簡単に把握できる配管径のみを確認すれば良いため、設定作業の簡単化を図ることができる。なお、配管容積が容易に把握できる場合は、配管容積:○○リットルと設定させることで、より一層細かな判定条件情報D1の記憶が可能となり、点検精度の向上を図ることができる。
【0021】
また、判定条件情報D1のデータ構造の一例としては、配管径及び配管容積の漏れ量の大中小に対応した漏洩検査の判定時間データ、漏れ量を大中小に区分するための区分データ等の各種データを有している。なお、判定条件情報D1のデータ構造については、上述した内管漏洩検査の検査項目、検査内容等に応じて任意に設定することができる。
【0022】
通信部13は、MPU11によって制御され、遮断弁ユニット20との間で有線又は無線による通信が可能な通信装置が用いられる。通信部13は、MPU11から入力される各種電文を示す信号を遮断弁ユニット20に送信すると共に、遮断弁ユニット20から受信した信号が示す電文をMPU11に出力する。
【0023】
表示部14は、MPU11によって制御され、漏洩検査の検査状態を示す検査中表示項目、ガス圧低下を示すガス圧低下表示項目、ガス漏れの漏れ量を大中小で示す漏れ量表示項目等を有し、各表示項目はLEDの点灯によって表示状態となり、LEDの消灯によって非表示状態となる。
【0024】
操作部15は、MPU11と電気的に接続されており、利用者、作業者等に各種データの入力、選択を行わせるための複数の操作スイッチを有している。操作部15は、それらの操作スイッチに対する操作に応じた操作信号をMPU11に出力する。操作部15は、後述する遮断弁24の弁閉/弁開を要求するための遮断弁開閉スイッチを有している。そして、MPU11は、その操作に応じて弁閉信号/弁開信号を遮断弁ユニット20に送信する。
【0025】
また、操作部15は、操作装置10のケース本体で隠され且つ作業者によってのみ操作が可能な設定用のディップスイッチ15aを有し、上述した複数種類の判定条件情報D1に対応したスイッチ数となっている。つまり、ディップスイッチ15aは、操作装置10の設置時等に作業者等によって設定され、図1に示す請求項中の設定手段2として機能している。
【0026】
次に、CPU11aが実行する遮断弁ユニット起動処理の一例を、図3に示すフローチャートを参照して以下に説明する。なお、遮断弁ユニット起動処理は、操作装置10の起動に応じて実行されることを前提としている。
【0027】
遮断弁ユニット起動処理プログラムがCPU11aによって実行されると、ステップS11において、スイッチ部15のディップスイッチ15aの設定状態が配管情報としてRAM11Cに取得され、ステップS12において、その配管情報に対応した判定条件情報D1がメモリ部12に記憶されている複数種類の判定条件情報D1の中から抽出され、その後ステップS13に進む。
【0028】
ステップS13において、電力線4を介して遮断弁ユニット20に電力が供給され、ステップS14において、抽出された判定条件情報が通信部13を介して遮断弁ユニット20に送信され、その後処理を終了する。
【0029】
このように構成した操作装置10は、外部電源(商用電源等)からの電力供給によって起動されると、予め定められたタイミングで操作部15のディップスイッチ15aの設定状態を取得し、該設定状態に対応する判定条件情報D1をメモリ部12から取得し、電力を遮断弁ユニット20に供給すると共に、通信部13を介して判定条件情報D1を遮断弁ユニット20に送信する。また、操作装置10は、作業者等が操作部15に対する所定の操作によって点検要求が発生すると、点検要求を遮断弁ユニット20に通信部13を介して送信する。
【0030】
次に、上述した操作装置10から供給される電力によって動作する遮断弁ユニット20の概略構成の一例を、図2の図面を参照して以下に説明する。
【0031】
遮断弁ユニット20は、上述した操作装置10から電力線4等を介して供給された電力によって駆動され、予め定められたプログラムに従って動作するマイクロプロセッサ(MPU)21と、メモリ部22と、通信部23と、遮断弁24と、圧力センサ25と、を有して構成しており、電気的に接続されている。
【0032】
MPU21は、上述したように、CPU21aとROM21bとRAM21cとを有している。ROM21bには、CPU21aを請求項中の漏洩検出手段及び漏洩検出結果出力手段として機能させるための漏洩検査処理プログラム等を記憶している。そして、メモリ部22は、EEPROM等が用いられ、操作装置10から受信した判定条件情報D1等の各種情報を記憶する。
【0033】
通信部23は、電気的に接続されたMPU21によって制御される。そして、通信部23は、上述した操作装置10との間で有線又は無線による通信が可能な通信装置が用いられる。通信部23は、MPU21から入力される各種電文を示す信号を操作装置10に送信すると共に、操作装置10から受信した信号が示す電文をMPU11に出力する。
【0034】
遮断弁24は、駆動部24aを介してMPU21に電気的に接続されており、モータ駆動方式遮断弁、ソレノイド方式遮断弁等が任意に用いられる。遮断弁24は、MPU21によって弁閉されると、配管5におけるガスの供給を遮断し、また、弁開されると、配管5におけるガスの供給を可能とする。
【0035】
圧力センサ25は、MPU21に電気的に接続されており、配管5内の気体の圧力を感圧素子にて圧力信号に変換する機械式又は電子式のものが任意に用いられる。圧力センサ25は、遮断弁24の下流側(ガス供給側)における配管5内の圧力を感知して圧力信号をMPU21に出力する。
【0036】
次に、CPU21aが実行する漏洩検査処理の一例を、図4に示すフローチャートを参照して以下に説明する。なお、漏洩検査処理は、操作装置10からの点検要求の受信に応じて実行されることを前提としている。
【0037】
ROM21bの漏洩検査処理プログラムがCPU21aによって実行されると、ステップT21において、操作装置10から受信した判定条件情報D1に対応した計測時間をカウントダウンする検査タイマがスタートされ、ステップT22において、検査中表示を要求する検査中表示要求が通信部23を介して操作装置10に送信されることで、操作装置10の表示部14に検査中を表示させ、その後ステップT23において、駆動部24aに弁閉が要求されることで、駆動部24aから遮断弁24に弁閉信号が出力され、これにより遮断弁24が弁閉され、その後ステップT24に進む。
【0038】
ステップT24において、検査タイマに基づいて、ガス圧平衡時間であるt秒が経過したか否かが判定される。なお、tは操作装置10から受信した判定条件情報D1に対応して選択される。そして、t秒が経過していないと判定された場合(T24でN)、この判定処理が繰り返されることで、計測時間を待つ。一方、t秒が経過したと判定された場合(T24でY)、ステップT25において、圧力センサ25が計測した圧力信号が取得されて圧力C1としてRAM21cに記憶され、その後ステップT26に進む。
【0039】
ステップT26において、圧力C1が1.2kPa以上であるか否かが判定される。圧力C1が1.2kPa以上であると判定された場合(T26でY)、ステップT27において、検査タイマに基づいてt秒が経過したか否かが判定される。t秒が経過していないと判定された場合(T27でN)、この判定処理が繰り返されることで、計測時間を待つ。一方、t秒が経過したと判定された場合(T27でY)、ステップT28において、圧力センサ25が計測した圧力信号が取得されて圧力C2としてRAM21cに記憶され、その後ステップT29に進む。
【0040】
ステップT29において、圧力変化量(漏れ量)を示す圧力C1と圧力C2の差が予め定められた判定閾値ΔP以下であるか否かが判定される(C1−C2≦ΔP)。判定閾値ΔP以下ではない、つまりC1−C2>ΔPであると判定された場合(T29でN)、漏洩を検出したと判定して、ステップT30に進む。
【0041】
ステップT30において、検査タイマがストップされ、ステップT31において、漏れ量と判定条件情報D1の判定時間データとが比較され、漏れ量が大中小のどの区分に位置するかが判別され、ステップT32において、漏れ量とその区分を示す点検結果情報(漏洩検出結果に相当)が生成され、該点検結果情報が通信部23を介して操作装置10に送信されることで、操作装置10の表示部14に点検結果情報が表示され、その後ステップT35に進む。
【0042】
また、ステップT29で判定閾値ΔP以下であると判定された場合(T29でY)、ステップT33において、検査タイマと判定条件情報D1とが比較され、計測終了条件を満たすか否かが判定される。計測終了条件を満たさないと判定された場合(T33でN)、ステップT27に戻り、一連の処理が繰り返される。一方、計測終了条件を満たすと判定された場合(T33でY)、ステップT34に進む。
【0043】
ステップT34において、検査タイマがストップされ、ステップT35において、検査中表示の終了を要求する検査中表示終了要求が通信部23を介して操作装置10に送信されることで、操作装置10の表示部14における検査中の表示を終了させ、処理を終了する。
【0044】
また、ステップT26において、圧力C1が1.2kPa以上ではないと判定された場合(T26でN)、ステップT35において、検査タイマがストップされ、ステップT36において、ガス圧が低下、ガス栓・器具栓開放、ガス漏れ「大」の表示を要求する検査不可情報が生成され、該検査不可情報が通信部23を介して操作装置10に送信されることで、操作装置10の表示部14に検査不可情報が表示され、その後処理が終了される。
【0045】
以上説明したように、CPU21aが漏洩検査処理を実行することで、CPU21aが請求項中の漏洩検出手段及び漏洩検出結果出力手段として機能している。そして、図4に示すフローチャートのステップT29が漏洩検出手段、ステップT32が漏洩検出結果出力手段に相当している。
【0046】
次に、上述したガス保安システム1における操作装置10と遮断弁ユニット20の動作(作用)の一例を以下に説明する。
【0047】
ガス保安システム1は、例えば住宅、調理場等のガス供給設備に設置されると、作業員等は配管5の径、長さ等から容積を把握又は推測し、操作装置10における操作部15のディップスイッチ15aに対して、スイッチ状態が前記容積を示すように各スイッチが設定され、操作装置10のケース本体でディップスイッチ15aを覆い隠して設定作業を終了する。
【0048】
操作装置10は外部電源からの供給によって動作を開始すると、ディップスイッチ15aのスイッチ状態を配管情報として取得し、該配管情報(容積)に対応した判定条件情報D1をメモリ部12から抽出する。そして、操作装置10は、遮断弁ユニット20に電力を供給することで起動させ、当該遮断弁ユニット20に前記抽出した判定条件情報D1を送信する。そして、遮断弁ユニット20は、受信した判定条件情報D1をメモリ部22に記憶する。これにより、遮断弁ユニット20は、遮断を制御する配管5の容積に対応した判定条件情報D1を記憶したことになる。
【0049】
操作装置10は、操作部に対する作業者の点検操作に応じて点検要求が発生したことを検出すると、点検要求を遮断弁ユニット20に送信する。そして、遮断弁ユニット20は、点検要求を受信すると、メモリ部22の判定条件情報D1に基づいた判定条件で漏洩検査を開始する。
【0050】
遮断弁ユニット20は、所定時間毎に圧力センサ25で圧力を検出し、その圧力と前記判定条件に基づいて圧力変化量を監視して点検を行う。そして、判定閾値ΔPの圧力変化を検出しなかった場合、「漏れ無し」を操作装置10に表示させて作業者等に通知する。また、判定閾値ΔPを超える圧力変化を検出した場合、そのガス漏れ量を大中小に区分して表示装置10に表示させて作業者等に通知する。例えば、漏れ量が「大」の場合は、操作装置10は表示部14に漏れ量「大」を表示すると共に、ガス栓・器具栓の開放を表示する。また、漏れ量が「中」又は「小」の場合は、操作装置10は表示部14に漏れ量「中」又は「小」のみを表示する。
【0051】
以上説明したガス保安システム1によれば、複数種類の判定条件情報を操作装置10のメモリ部12に予め記憶しておき、操作装置10が配管5の容積を示す配管情報を取得し、該配管情報に対応した判定条件情報を抽出し、その判定条件情報に基づいて遮断弁ユニット20が漏洩を検出するようにしたことから、配管情報によって検査対象となる配管5の容積を特定することができるため、その配管に適した判定条件情報D1で漏洩を点検、検出することができる。従って、ガス配管供給設備の配管状況に適した漏洩検査を行うことから、温度変化による漏洩誤判定や漏洩の見過ごしを低減することができるため、漏洩検出の精度の低下を防止することができる。
【0052】
また、漏洩判定結果を大中小の複数段階に区分して出力するようにしたことから、作業者等は漏洩検査の結果を容易に判断できるため、迅速且つ正確な対処を手配することができる。
【0053】
さらに、操作装置10のディップスイッチ15aによって配管5の容積等を設定できるようにしたことから、作業者は把握しづらい配管の容積を選択的に設定できるため、メンテナンス性を向上することができる。
【0054】
なお、上述した本実施形態では、操作装置10が請求項中の判定条件情報記憶手段、配管情報取得手段、判定条件情報抽出手段、及び、設定手段を有する場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、遮断弁ユニット20で図1に示す全ての手段を有する実施形態とすることもできる。
【0055】
また、上述した配管情報の取得方法としては、無線通信等によってガス管理会社の管理装置から取得するなど種々異なる実施形態とすることができる。さらに、漏洩検出結果の出力方法としては、無線通信等によってガス管理会社の管理装置に送信し、管理装置で出力するなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0056】
このように上述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明のガス漏洩検出装置の基本構成を示す構成図である。
【図2】本発明を適用したガス保安システムの概略構成を示すシステム構成図である。
【図3】図2中の操作装置のCPUが実行する遮断弁ユニット起動処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】図2中の遮断弁ユニットのCPUが実行する漏洩検査処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
1 ガス漏洩検出装置(ガス保安システム)
2 設定手段(操作装置のディップスイッチ)
3 判定条件情報記憶手段(操作装置のメモリ部)
10 操作装置
20 遮断弁ユニット
P1 配管情報取得手段(操作装置のCPU)
P2 判定条件情報抽出手段(操作装置のCPU)
P3 漏洩検出手段(遮断弁ユニットのCPU)
P4 漏洩検出結果出力手段(遮断弁ユニットのCPU)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス供給設備の配管における漏洩を検出するガス漏洩検出装置において、
容積が異なる複数種類の配管の各々に対応した判定条件情報を複数記憶する判定条件情報記憶手段と、
前記配管の容積を識別するための配管情報を取得する配管情報取得手段と、
前記配管情報取得手段が取得した配管情報に対応する前記判定条件情報を前記判定条件情報記憶手段から抽出する判定条件情報抽出手段と、
前記判定条件情報抽出手段が抽出した判定条件情報に基づいて前記配管内の圧力を計測し、該計測結果から当該配管における漏洩を検出する漏洩検出手段と、
を有することを特徴とするガス漏洩検出装置。
【請求項2】
前記判定条件情報が、前記検出した漏洩を複数段階に区分するための区分データを有し、
前記漏洩検出手段が検出した漏洩を前記区分データに基づいて区分した漏洩検出結果を出力する漏洩検出結果出力手段を有することを特徴とする請求項1に記載のガス漏洩検出装置。
【請求項3】
前記配管の容積を設定するための複数のスイッチを有する設定手段を有し、
前記配管情報取得手段が、前記設定手段の複数のスイッチの状態を示す配管情報を取得する手段であることを特徴とする請求項1又は2に記載のガス漏洩検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−276234(P2009−276234A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−128599(P2008−128599)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【Fターム(参考)】