説明

ガス警報遮断システム

【課題】留守がちな家庭や来訪を断る家庭に影響を受けること無く、ガス漏れ警報器の確認作業が行えるガス漏れ警報システムを提供する。
【解決手段】ガス漏れを監視し、ガス漏れ警報器からの弁遮断信号に応じてガス供給路を遮断すると共に、ガスメータからの弁遮断アンサ信号に応じて遮断弁が遮断されたことを警報するガス警報遮断システムであって、ガスメータと相互に接続した電文設定器と、ガス漏れ警報器に不揮発性メモリ、ガスメータに読取装置を備え、電文設定器がガス漏れ警報器の不揮発性メモリの内容の読み出しをガスメータに要求したときに、読取装置が、ガス漏れ警報器との通信モードを監視状態から高速通信モード状態に移行して、監視状態で発生するアンサ信号よりも早いON-OFFパルス幅列で予め設定した信号波形条件の信号により、ガス漏れ警報器の不揮発性メモリの内容を取得して、ガスメータが電文設定器に送出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス漏れ警報器とガスメータ間で信号の送受信を行うガス警報遮断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ガス漏れを検知して警報を発するガス漏れ警報器が広く使用されている。
このガス漏れ警報器は、ガス器具の近傍の室内壁等に据え付けられ、ガス器具あるいはガス配管の接続部からガスが漏洩した場合、ガス漏れ警報器本体の内部に設けたガスセンサが漏れたガスを検知し、警報器が作動して警報を発生することにより、ガスが漏れていることを知らせるようになっている。
【0003】
従来、一般家庭用のガス漏れ警報器の信頼性保証期間は、LPガス用で4年、都市ガス用で5年と定められているが、比較的長期に渡るので、特に注意しない限り正確に管理することは難しい。
このため、特許文献1では、ガス漏れ警報器自体に信頼性保証期間計時機能を持たせ、その信頼性保証期間が過ぎたことをランプやブザー等で使用者に知らせたり、それと連動するマイコンメータにその旨を表示したり、さらに外部へ通報できるようにしている。
【特許文献1】特開平05−274571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特許文献1では、ガス漏れ警報器の信頼性保証期間が満了しないと、ガス器具販売店等に連絡が入らないので、ガス器具販売店側では、販売したガス漏れ警報器の状態がつかめず、保守サービスや新製品等の販売サービスの機会を失う可能性がある。
【0005】
このため、ガス器具販売店のサービス担当者が使用者の家庭に出向いて、ガス漏れ警報器の状態を確認しようとしても、ガス漏れ警報器は通常屋内に設置されているため、留守がちな家庭や来訪を断る家庭に設置されたガス漏れ警報器の状態を確認することができない。
【0006】
本発明は、上述のような実情を考慮してなされたものであって、留守がちな家庭や来訪を断る家庭に影響を受けること無く、ガス漏れ警報器の確認作業が行えるガス漏れ警報システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明のガス漏れ警報遮断システムは、ガスメータに相互に接続したガス漏れ警報器がガス漏れを監視し、前記ガスメータが前記ガス漏れ警報器からの弁遮断信号に応じて、ガス供給路を遮断するとともに、前記ガス漏れ警報器が前記ガスメータからの弁遮断アンサ信号に応じて、遮断弁が遮断されたことを警報するガス警報遮断システムであって、前記ガスメータと相互に接続した電文設定器と、前記ガス漏れ警報器に不揮発性メモリ、前記ガスメータに読取装置を備え、前記電文設定器が前記ガス漏れ警報器の不揮発性メモリの内容の読み出しを前記ガスメータに要求したときに、前記ガスメータの読取装置が、前記ガス漏れ警報器との通信モードを監視状態から高速通信モード状態に移行して、監視状態で発生するアンサ信号よりも早いON-OFFパルス幅列で予め設定した信号波形条件の信号により、前記ガス漏れ警報器の不揮発性メモリの内容を取得して、前記ガスメータが前記電文設定器に送出するものである。
【0008】
また、前記読取装置は、前記ガスメータと別体としてもよい。
また、前記読取装置を前記電文設定器に備えるようにし、前記電文設定器を前記ガス漏れ警報器に直接接続するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、留守がちな家庭や来訪を断る家庭に影響を受けること無く、ガス漏れ警報器の確認作業ができる。特に、設置されているガス漏れ警報器の製造年月が不明な場合に有効であり、ガス漏れ警報器の交換時期を把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明のガス警報遮断システムに係る好適な実施形態について説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係るガス警報遮断システムの概略構成を示すブロック図である。同図において、ガス警報遮断システムは、ガス漏れ警報器10、マイコン式ガスメータ(以下、ガスメータと略記する)20、電文設定器30で構成されている。
【0012】
ガス漏れ警報器10とガスメータ20とは、それぞれ2本の信号線31で接続され、それぞれ2本の信号線31を通じて、ガス漏れ警報器10とガスメータ20間で信号が送受信できるようになっている。
また、電文設定器30とガスメータ20とは、それぞれ2本の信号線32で接続され、それぞれ2本の信号線32を通じて、電文設定器30とガスメータ20間で電文が送受信できるようになっている。
【0013】
ガス漏れ警報器10は、ガス漏れを検知するガスセンサ部11、ガス漏れ警報器10の通電や警報をLED等によって明示する表示部12、音声やブザーにより警報を報知する警報部13、ガスメータ20と連動するためにフォトカプラで構成され、安全面から絶縁を確保した入出力部14、ガス漏れ警報器10の各部に電源を供給する電源部(電池や、商用電源から直流電源に変換する回路)15、および、ガス漏れ警報器10の各部からの信号をコントロールするCPU(中央処理装置)と不揮発性メモリ(CPUに不揮発性メモリを内蔵したフラッシュマイコンでもよい)よりなる制御部16を含んで構成されている。
【0014】
この不揮発性メモリには、ガス漏れ警報器10の仕様(例えば、製造年月、製造番号、型式、外部出力、製造メーカ名等)が出荷時に記録されている。
また、制御部16は、使用が開始されると、ガス漏れ警報器10の使用状態や、警報が出力されるごとに、警報出力日時と警報の種類等からなる警報履歴情報を不揮発性メモリに記録する。
【0015】
ガスメータ20は、ガスの消費量を計測するとともに、電文設定器30からの要求に基づいて、ガスの消費量(検針データ)等を電文設定器30へ返信する。
また、ガスメータ20は、ガス漏れ警報器10との間でガス漏れ監視のための後述するような通信処理を行う。
また、ガスメータ20は、電文設定器30からの確認要求に基づいて、読取装置22が取得したガス漏れ警報器10の仕様や使用状態や警報履歴情報を電文設定器30へ返信する。(読取装置22については後述する。)
【0016】
電文設定器30は、本体の上半部分には、液晶表示器からなる表示画面が配置され、本体の下半部分には、読み込み動作や書き込み動作などの各種の動作を行わせるための操作ボタンが配置されている。
設置交換サービス業者の担当者は、これらの操作ボタンの操作に応じて、ガスメータ20の状態を読み出したり、ガスメータ20のセキュリテイ監視状態等を設定したり、ガス漏れ警報器10の仕様や使用状態や警報履歴情報等を取得して表示画面に表示する。
【0017】
次に、ガス漏れ警報器10とガスメータ20間におけるガス漏れ監視のための通信処理について説明する。
図2は、ガス警報遮断システムにおける各種信号の伝達形態を説明するタイムチャートである。ここで、ガス漏れ警報器10からガスメータ20に信号を送出する場合には、ガス漏れ警報器10の駆動により、入出力部14のフォトカプラPC1のON‐OFFで動作させ、また、ガスメータ20からの信号を受取る場合には、ガスメータ20からの駆動により入出力部14のフォトカプラPC2がON‐OFFする。
【0018】
ガス漏れ警報器10は、ガスセンサ部11がガス漏れを検知して、制御部16が入出力部14により一定時間後に弁遮断信号を送出すると、ガスメータ20は、その信号の信号波形から弁遮断信号と認識して遮断弁21を閉じ、ガス漏れ警報器10に対して弁遮断アンサ信号を送出する(図2(A))。この弁遮断アンサ信号は、ON‐OFFパルス列幅Taが約0.4秒である。
ガス漏れ警報器10は、制御部16が入出力部14により受け取った信号の信号波形から弁遮断アンサ信号と認識すると、遮断弁が閉じたことを表す音声やブザー音を警報部13により発生させ、ガスの使用者へ知らせる。
【0019】
ガスメータ20は、ガスが長時間使用し続けられた場合に、安全上遮断弁を閉止させるため8分前になると弁遮断予告アンサ信号をガス漏れ警報器10に対して送出を開始する(図2(B))。この弁遮断予告アンサ信号は、ON-OFFパルス幅Tbが約0.1秒である。
ガス漏れ警報器10は、制御部16が入出力部14により受け取った信号の信号波形から弁遮断予告アンサ信号と認識すると、遮断弁の遮断予告を表す音声やブザー音を警報部13により発生させ、ガスの使用者へ知らせる。
【0020】
ガスメータ20は、ガスメータ20の遮断弁21復帰後、ガスが流れていないか確認する監視時間中に弁復帰安全確認アンサ信号をガス漏れ警報器10に対して送出を開始する(図2(B))。この弁復帰安全確認アンサ信号は、ON-OFFパルス列幅Tc(約0.5秒)間に3つのパルス信号が発生される。
ガス漏れ警報器10は、制御部16が入出力部14により受け取った信号の信号波形から弁復帰安全確認アンサ信号と認識すると、弁復帰安全確認を表す音声やブザー音を警報部13により発生させ、ガスの使用者へ知らせる。
【0021】
ガスメータ20は、弁復帰安全確認後、ガスが使用可能となったときに使用許可アンサ信号をガス漏れ警報器10に対して送出する(図2(B))。この使用許可アンサ信号は、ON-OFFパルス幅Tdが約0.5秒である。
ガス漏れ警報器10は、制御部16が入出力部14により受け取った信号の信号波形から使用許可アンサ信号と認識すると、ガスの使用許可を表す音声やブザー音を警報部13により発生させ、ガスの使用者へ知らせる。
【0022】
ガスメータ20は、ガス漏れ警報器10に電源が通電されているか確認するために電源アンサ要求信号をガス漏れ警報器10に対して送出する(図2(C))。この電源アンサ要求信号は、ON-OFFパルス幅Twが約15ミリ秒である。
ガス漏れ警報器10は、制御部16が入出力部14により受け取った信号の信号波形から電源アンサ要求信号と認識すると、受信から時間Tx(約0.8秒)以内にパルス幅Ty(約0.6秒)の電源アンサ応答信号を入出力部14により送出する。
【0023】
次に、読取装置22について説明する。
この読取装置22は、2本の信号線31に接続され、電文設定器30からの指示に基づいて、ガス漏れ警報器10の不揮発性メモリに記憶された内容を読み出す。
図3は、ガス漏れ警報器10の不揮発性メモリ内容の確認要求をしたときのタイミングチャートである。この図3の例では、取得する内容を製造年月および製造番号として説明するが、これに限定されるものではなく、他の仕様項目や警報履歴情報等であってもよい。
【0024】
また、不揮発性メモリに記憶された内容を送受信するときには、監視状態から高速通信モード状態に移行して、監視状態に発生するアンサ信号(図2)よりも早いON-OFFパルス幅列で予め設定した信号波形条件により生成するパルス列により送受信する。そして、送受信が終わると、高速通信モード状態から監視状態に移行する。
【0025】
設置交換サービス業者の担当者は、電文設定器30の操作ボタンを操作してガスメータ20へ、ガス漏れ警報器10の製造年月日の確認要求を送出する。
ガスメータ20は、電文設定器30からガス漏れ警報器10の製造年月日の確認要求を受け取ると、ガス漏れ警報器10に通信モード要求信号を読取装置22により送出させる。
ガス漏れ警報器10は、制御部16が入出力部14により受信した信号の信号波形から通信モード要求信号と認識すると、通信モード応答信号を入出力部14により送出するとともに、高速通信モード状態となる。
【0026】
読取装置22は、ガス漏れ警報器10から通信モード応答信号が返されたときには、監視状態を高速通信モード状態とするとともに、ガス漏れ警報器10に製造年月要求信号を送出する。
ガス漏れ警報器10は、制御部16が入出力部14により受信した信号の信号波形から製造年月日要求信号と認識すると、不揮発性メモリに記憶されている製造年月日を表わす応答信号を入出力部14により送出する。
【0027】
読取装置22は、ガス漏れ警報器10から製造年月日を表わす応答信号が返されたときには、製造年月日を表わす応答信号を電文設定器30へ送出するとともに、ガス漏れ警報器10に通信モード終了要求信号を送出する。
電文設定器30は、読取装置22から受け取った製造年月日を表わす応答信号を製造年月日の文字列へ変換するとともに、表示画面に表示させる。
【0028】
ガス漏れ警報器10は、制御部16が入出力部14により受信した信号の信号波形から通信モード終了要求信号と認識すると、通信モード終了応答信号を入出力部14により送出するとともに、高速通信モード状態を監視状態に戻す。
読取装置22は、ガス漏れ警報器10から通信モード終了応答信号が返されたときには、高速通信モード状態を監視状態に戻す。
【0029】
また、製造番号についても、上述の製造年月日と同様な手順で取得することができる。
即ち、設置交換サービス業者の担当者が、電文設定器30の操作ボタンを操作してガスメータ20へ、ガス漏れ警報器10の製造番号の確認要求を送出する。
【0030】
ガスメータ20は、電文設定器30からガス漏れ警報器10の製造番号の確認要求を受け取ると、読取装置22により、ガスメータ20とガス漏れ警報器10間の通信モードを監視状態から高速通信モード状態にし、ガス漏れ警報器10の不揮発性メモリから製造番号を取得して、電文設定器30に返信するとともに、ガスメータ20とガス漏れ警報器10間の通信モードを高速通信モード状態から監視状態に戻す。
電文設定器30は、ガスメータ20から受け取った製造番号を表わす応答信号を製造番号の文字列へ変換するとともに、表示画面に表示させる。
【0031】
上記の構成により、ガスメータが屋外設置されている場合、留守がちな家庭や来訪を断る家庭に影響を受けること無く、ガス漏れ警報器の確認作業ができる。特に、設置されているガス漏れ警報器の製造年月が不明な場合に有効であり、ガス漏れ警報器の交換時期を把握することができる。
【0032】
上記の実施形態では、読取装置をガスメータに内蔵させていたが、別体として構成してもよい。
さらに、読取装置を電文設定器に備えるようにして、この電文設定器をガス漏れ警報器に直接接続し、ガス漏れ警報器の不揮発性メモリの内容を読み取るようにしてもよい。
このような構成とした場合、ガス漏れ警報器が使用者の宅外に設置されていたり、ガス漏れ警報器が未設置であれば、重量のあるガスメータを介して確認する必要が無くなり、確認作業が容易になる。さらに、電文設定器とガスメータ間の信号やり取りが不要になるため、不揮発性メモリの内容をさらに早く確認することができる。
【0033】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の変形、修正が可能であるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態に係るガス警報遮断システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】ガス警報遮断システムにおける各種信号の伝達形態を説明するタイムチャートである。
【図3】ガス漏れ警報器の不揮発性メモリ内容の確認要求をしたときのタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0035】
10…ガス漏れ警報器、11…ガスセンサ部、12…表示部、13…警報部、14…入出力部、15…電源部、16…制御部、20…マイコン式ガスメータ、21…遮断弁、22…読取装置、30…電文設定器、31,32…信号線、PC1,PC2…フォトカプラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスメータに相互に接続したガス漏れ警報器がガス漏れを監視し、前記ガスメータが前記ガス漏れ警報器からの弁遮断信号に応じて、ガス供給路を遮断するとともに、前記ガス漏れ警報器が前記ガスメータからの弁遮断アンサ信号に応じて、遮断弁が遮断されたことを警報するガス警報遮断システムであって、前記ガスメータと相互に接続した電文設定器と、前記ガス漏れ警報器に不揮発性メモリ、前記ガスメータに読取装置を備え、前記電文設定器が前記ガス漏れ警報器の不揮発性メモリの内容の読み出しを前記ガスメータに要求したときに、前記読取装置が、前記ガス漏れ警報器との通信モードを監視状態から高速通信モード状態に移行して、監視状態で発生するアンサ信号よりも早いON-OFFパルス幅列で予め設定した信号波形条件の信号により、前記ガス漏れ警報器の不揮発性メモリの内容を取得して、前記ガスメータが前記電文設定器に送出することを特徴とするガス漏れ警報遮断システム。
【請求項2】
請求項1に記載のガス漏れ警報遮断システムにおいて、前記読取装置を前記ガスメータと別体とすることを特徴とするガス漏れ警報遮断システム。
【請求項3】
請求項1に記載のガス漏れ警報遮断システムにおいて、前記読取装置を前記電文設定器に備えるようにし、前記電文設定器を前記ガス漏れ警報器に直接接続することを特徴とするガス漏れ警報遮断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−237751(P2009−237751A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−80945(P2008−80945)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】