説明

ガス送出用のバンドルトレーラ

容器用のバンドルトレーラであって、(i)複数のバンドルが配置される支持フレームと、(ii)複数のバンドルであって、各バンドルが、バンドルフレームと、化学物質を収容する複数の容器と、容器内の化学物質の送出を制御するための少なくとも1つのバンドル弁とを備える複数のバンドルと、(iii)少なくとも1つのトレーラ弁と、(iv)バンドルを固定するための少なくとも1つのクランプとを含む容器用のバンドルトレーラが開示される。バンドルトレーラは、優れた融通性で、高い安全性でおよび低コストで、吸湿性で腐食性の高純度の化学物質、例えば、フッ素元素およびそれらの混合物を送出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラックに典型的に取り付けられた貯蔵または移送流体容器用のトレーラに、より詳しくは、圧縮ガス容器用のトレーラに関する。
【背景技術】
【0002】
吸湿性で腐食性の化学物質は、精巧な半導体、フラットパネル、光電装置および自動車製造工程で頻繁に使用される。このような化学物質の代表的なものはフッ素であり、フッ素は湿潤空気で激しく反応するガスである。大量のフッ素またはその混合物は、特別な容器、例えば、チューブトレーラまたはチューブシリンダ内の圧縮ガスとして輸送される。フッ素は、全ての元素の中で最も陰性かつ反応性であるので、反応性が高く、特に腐食性であり、ほぼ全ての有機物および無機物と反応する。
【0003】
特許文献1は、フッ素元素を含む高純度の化学物質を移送および送出するための装置および方法、ならびに複数のガスタンクが組み合わされるチューブトレーラを備える半導体製造用のガスを供給するためのシステムを開示している。
【0004】
特許文献2は、吸湿性で腐食性の化学物質を高圧供給源から低圧利用箇所に移送および送出するための装置を開示している。本装置は、(a)化学物質供給源におよび利用箇所に接続するための送出導管と、(b)導管を介して通過する化学物質から水分を除去するために送出導管に接続された脱水機と、(c)高圧供給源から低圧利用箇所への圧力を低減するために送出導管に接続された少なくとも1つの圧力調整器と、(d)少なくとも1つの圧力調整器を通過する化学物質を加熱するための少なくとも1つの手段と、(e)供給源および/または利用箇所への送出導管の接続動作時に、送出導管を空にするための真空手段とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許公報第10−2002−14870号公報
【特許文献2】米国特許第5,539,998号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
腐食性化学物質の配達業において、50〜100kgの容量を各々有する複数のチューブを含むチューブトレーラを使用して、高純度の化学ガスを提供するという試みがなされてきた。このようなチューブトレーラを使用しているにもかかわらず、当業界は、制御不安定、高い維持費、および種々の利用箇所を有しシステムの互換性が低いなどという問題を抱えていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、バンドルのユニークな一体化を用いて、先行技術のこれらの欠点を克服する。さらに、本発明は、融通性に優れ、安全性が高く、そしてコストを低くしつつ、吸湿性で腐食性の高純度の化学物質、例えば、フッ素元素、およびN、Ar、Heとフッ素元素との混合物を送出することができる。
【0008】
本開示の目的は、容器がバンドルで支持され、これらのバンドルをトレーラから個別に取り外すことができ、任意の容器の取り外しを容易にするバンドルトレーラを提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、トレーラフレームに容易に取り付けることができ、かつ容器によって与えられた慣性負荷を本質的に受け止めることができるバンドルを提供することである。
【0010】
上記目的および他の目的を考慮すると、当業者に明らかであるように、本開示は、明細書に記載されるような、特に請求項に指摘されるような部分の組み合わせに存在する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本開示の化学物質移送および供給装置の一実施態様の概略図である。
【図2】本開示の原理を具体化した容器を有するバンドルトレーラの正面図である。
【図3】容器を有するバンドルトレーラの正面立面図および平面立面図である。
【図4】容器を有するバンドルトレーラの正面立面図および平面立面図である。
【図5】容器を有するバンドルトレーラの正面立面図および平面立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、化学物質を収容する複数の容器が取り付けられるバンドルフレームを有する複数の円筒状の容器支持バンドルを有するバンドルトレーラに関する。各バンドルは、容器内の化学製品の送出を制御するための少なくとも1つの空気圧バンドル弁を有する。さらに、本開示のバンドルトレーラは、その端部に、化学物質の主な流れを制御するための少なくとも1つのトレーラ弁と、バンドルを固定するための少なくとも1つのクランプとを含む。いくつかの実施態様では、手動の開口構造に比べて労働者に対してより高い安全性を保証するために、バンドルトレーラの上部弁を遠隔操作で開くように構成することが可能である。
【0013】
当業界で知られているトレーラは、容器の底部層が支持される平坦な水平フレームを有する。コンパクトなバンドルを形成するために、連続層が、それらを上部で支持する下部容器に積み重ねられる。多くの場合、支持体が容器長さに沿って間隔をあけて設けられ、バンドルをフレームに固定するために、保持器が使用される。トレーラの一端において、容器の端部は一般にマニホールドであり、そして容器にガスを供給しおよび容器から圧縮ガスを抜くための管が設けられる。
【0014】
さらに、一実施態様では、バンドルトレーラは、バンドルトレーラが積載される翼体を含む。いくつかの実施態様では、翼体は、バンドルトレーラに必要な電子装置を動作させるためのバッテリを備え、この場合、電子装置は、自動ドア、サイレンランプ、化学物質検出器、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。具体的には、米国特許第5,539,998号明細書に記載されているように、熱電対および圧力変換器などの適切なセンサをバンドルトレーラのために設けることが可能であり、その結果、バンドルトレーラの周囲温度、チューブトレーラまたは供給源からの化学物質の温度、および選択された時間間隔にわたる相対的な圧力変化が検知されて、適切なコントローラに伝達される。検知された値が、所定の予め設定された値を超える場合、コントローラにより、翼体に取り付けられた適切な装置から、適切な警報信号が付与される。
【0015】
バンドルは支持フレームに配置されるので、それらのバンドルは、ガス供給中、送出中、および荷下ろし作業中、安全であり、安定している。
【0016】
本発明のバンドルトレーラは一般に流体に適切であるが、特に、圧縮ガス、とりわけ反応性ガスおよび/または腐食性ガス、例えばF、ならびにその圧縮ガスとNおよび/または希ガス、特にアルゴンとの混合物に有用であり、このことについては、その用途を参照して説明する。図1および図2において、一般に参照番号(11)で示したバンドルトレーラは、複数の容器バンドル(14)が支持されるほぼ水平な支持フレーム(12)を有する。いくつかの実施態様では、容器バンドルの数は1つのフレーム内で約6個〜約16個の範囲にある。バンドルは複数のガス収容容器(16)からなり、これらの容器は、好ましくは細長い円筒形状であり、これらの容器の縁部は、一般に、円筒状の端部に向かって縮小し、断面積が小さくなる。各バンドルは、一般に、約2個〜約40個、約3個〜約30個、または約4個〜約20個の容器を有し、これらの容器の各々は、約10〜約100kg、約15〜約50kg、約18〜約27kg、または約26kg、特に約26.4kgの容量を有する。他の実施態様では、バンドルは、図3〜図5に示したように、特定の用途に適切であり得る垂直または水平な単列の容器あるいは複列の容器を含み得る。
【0017】
次に、図1に示したような特定の実施態様を参照して、本発明について説明する。容器端部には、ガスを容器に収容しおよびそこからガスを抜くためのならびに過剰な圧力を逃がすための容器弁(3)が備えられる。さらに、化学物質の流れを制御するために、各バンドルは少なくとも1つのバンドル弁(2)を有し、バンドルトレーラは少なくとも1つのトレーラ弁(1)を有する。
【0018】
トレーラ弁(1)は、一般に、トレーラ側で主管に接続され、この主管は、異なるバンドル弁(2)に接続され、化学物質の放出中に容器バンドル(14)からの化学物質を収容する。主管を別のガス供給弁(4)に接続することができ、このガス供給弁を介して、例えば不活性ガス、特に窒素を供給することができる。送出側において、トレーラ弁を製品供給弁(9)に接続することができ、この製品供給弁を介して、特にF/N混合物を供給することができる。ガス供給弁(7)を介して、例えば不活性ガス、特に窒素を容器バンドル(14)に供給して、例えば、化学物質の放出中における圧力平衡を保証することができる。化学物質の破壊を可能にするためのシステム、例えば洗浄装置に出口弁(8)を接続して、例えば、バンドルトレーラのパージまたは大気への圧力解放を可能にすることができる。特定の実施態様では、不活性ガスを供給することができるトレーラガス供給弁(5)により、容器バンドルを囲む閉鎖空間で不活性雰囲気を形成することが可能になる。別の実施態様では、所望の場合、例えば、前記閉鎖空間内への化学物質の漏洩がある場合、吸気弁(6)が、前記閉鎖空間内のガスを排出するための手段に接続することが可能になる。ガスを排出するための手段は、化学物質の破壊を可能にするシステム、例えば洗浄装置に適切に接続することができる。好ましくは、バンドルトレーラにはトレーラガス供給弁および吸気弁の両方が備えられる。前記閉鎖空間は、例えば翼体によって形成することができ、その場合、前記翼体には、前記トレーラガス供給弁(5)および/または前記吸気弁(6)が適切に備えられる。
【0019】
いくつかの実施態様では、供給システムの高圧側にある構成要素は、Monel 400などのニッケルベース合金から製造することが可能である。さらに、シリンダ圧力が約125psigになる場合、これらの構成要素は、周囲温度のフッ素などの腐食性化学物質と適合性があることで知られている標準的な材料、例えば、ステンレス鋼、真鍮、または銅から製造することもできる。圧力制御装置のより低い圧力側は、上記金属の任意のものからなる構成要素を有し得る。好ましくは、弁座およびOリングに、ポリマー材料およびフルオロポリマー材料を使用すべきではない。弁およびオリフィスは金属材料またはセラミック材料から製造され得る。
【0020】
さらに、本開示のバンドルトレーラは、必要に応じて、バンドルを積載するためのアングルガイド、脱水機、圧力調整器などの、当業界で知られている任意の適切な機器を含み得る。
【0021】
特定の実施態様では、積載作業中に、目的の化学物質が充填される容器を有するバンドルが、フォークリフトなどの適切な機器によって積載され、それらのバンドルの各々が固定手段、例えば締結具またはボルトによって固定される。次に、化学物質を供給するための主管に取り付けられたキャップが取り外され、バンドル弁2とバンドルトレーラの主管とが共に接続される。トレーラ弁とバンドルとの間にある導管を窒素などの不活性ガスでパージすることが非常に安全であるので、トレーラ弁が開いているときに、主管が、窒素ガスを供給するための管に接続されることが提案される。Nの圧力が特定の値、例えば約150バールに達したときに、トレーラ弁が閉じられる。
【0022】
供給動作において、化学物質の漏洩をチェックする際に、以下の手順が適用され得る。
(a)トレーラ弁とカスタマサイトの接続部とが接続され、バンドル弁(2)が開いて、その結果、バンドル容器と主管とが同一圧力を有し、
(b)トレーラ弁(1)を開いて、主管内に充填されている窒素ガスを除去し、
(c)バンドル弁(2)およびトレーラ弁(1)が閉じられ、次に、容器弁(3)およびバンドル弁(2)が順次開かれ、
(d)供給が完了するまで、トレーラ弁(1)を開いて、フッ素ガスを供給し、
(e)トレーラ弁(1)、バンドル弁(2)、および容器弁(3)が順次閉じられ、N管へのトレーラ弁の接続時に、トレーラ弁とバンドル弁との間にある導管がNでパージされる。
【0023】
荷下ろし作業では、導管が洗浄装置(吸気)ラインに接続されるので、導管内の窒素を除去することができる。汚染物質およびパージガスは、真空ポンプによって洗浄装置(8)を介して抜かれ、別々の洗浄システム(図示していない)に送られる。真空ポンプ(図示していない)の上流にフィルターを適切に配置することによって、その真空ポンプを腐食性化学物質から保護することが可能である。
【0024】
いくつかの実施態様を参照して、本発明について詳細に説明してきたが、当業者は、他の実施態様が請求項の精神および範囲内に含まれることを理解するであろう。
【符号の説明】
【0025】
1 トレーラ弁
2 バンドル弁
3 容器弁
4 ガス供給弁
5 トレーラガス供給弁
6 吸気弁
7 ガス供給弁
8 出口弁
9 製品供給弁
11 バンドルトレーラ
12 支持フレーム
14 容器バンドル
16 ガス収容容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器用のバンドルトレーラであって、
複数のバンドルが配置される支持フレームと、
複数のバンドルであって、各バンドルが、バンドルフレームと、化学物質を収容する複数の容器と、前記容器内の前記化学物質の送出を制御するための少なくとも1つのバンドル弁とを備える複数のバンドルと、
少なくとも1つのトレーラ弁と、
前記バンドルを固定するための少なくとも1つのクランプと、
を備えるバンドルトレーラ。
【請求項2】
前記バンドルトレーラが積載される翼体をさらに備える請求項1に記載のバンドルトレーラ。
【請求項3】
前記翼体が、電子装置を動作させるためのバッテリを備える請求項2に記載のバンドルトレーラ。
【請求項4】
前記電子装置が、自動ドア、サイレンランプ、前記化学物質の検出器、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項3に記載のバンドルトレーラ。
【請求項5】
各バンドルが2個〜40個の容器を備える請求項1〜4のいずれか1項に記載のバンドルトレーラ。
【請求項6】
各バンドルが4個〜20個の容器を備える請求項5に記載のバンドルトレーラ。
【請求項7】
前記化学物質が、F、N、希ガスおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項1〜6のいずれか1項に記載のバンドルトレーラ。
【請求項8】
各容器が約10〜約100kgの容量を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載のバンドルトレーラ。
【請求項9】
各容器が約18〜約27kg、特に容器毎に約26kgの容量を有する請求項8に記載のバンドルトレーラ。
【請求項10】
少なくとも1つの容器、好ましくは、各容器が円筒形状を有する請求項1〜9のいずれか1項に記載のバンドルトレーラ。
【請求項11】
前記容器が、垂直に一列に、水平に一列に、または垂直および水平に一列に配置される請求項1〜10のいずれか1項に記載のバンドルトレーラ。
【請求項12】
前記バンドル弁およびトレーラ弁が遠隔操作で開かれるように構成される請求項1〜11のいずれか1項に記載のバンドルトレーラ。
【請求項13】
前記化学物質の漏洩が生じると、前記検出器が警報を鳴らす請求項4〜12のいずれか1項に記載のバンドルトレーラ。
【請求項14】
前記バンドルの数が1つのフレーム内で約6個〜約16個の範囲内にある請求項1〜13のいずれか1項に記載のバンドルトレーラ。
【請求項15】
図1に示されているような請求項1〜14のいずれか1項に記載のバンドルトレーラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−506520(P2012−506520A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532626(P2011−532626)
【出願日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063867
【国際公開番号】WO2010/046428
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(592165314)ゾルファイ フルーオル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (55)
【氏名又は名称原語表記】Solvay Fluor GmbH
【住所又は居所原語表記】Hans−Boeckler−Allee 20,D−30173 Hannover,Germany
【Fターム(参考)】