説明

ガス遮断弁

【課題】ガス遮断弁において、弁駆動部の駆動軸と弁体部の従動軸との連結忘れがあっても弁駆動部により弁体部の遮断弁を回転できるようにすること。
【解決手段】ボールバルブ36の従動軸4の端部に噛み合い部41を形成する。従動軸4の噛み合い部41は駆動軸7側に突出する凸部とする。弁駆動部2の駆動軸7の端部に噛み合い部71を形成する。駆動軸7の噛み合い部71は軸Lと直交する方向の角溝とする。弁駆動部2により駆動軸7が回転し、駆動軸7の噛み合い部71と従動軸4の噛み合い部41とを嵌合させる。駆動軸7に対して従動軸を連結させてボールバルブ36を開閉する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス遮断弁に係り、具体的には、ガス漏れなどの異常が発生した場合にガスの供給を遮断するガス遮断弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガス遮断弁は、機能を保持するために一定期間ごとに交換あるいは保守点検することが必要となる。この交換及び点検作業時には、例えば、ガス管からハウジングごとガス遮断弁をそっくり取り外した後、交換するガス遮断弁のハウジングをガス配管に接続するようにしている。しかし、ハウジングのフランジ接続の取り外し作業及び再取付け作業のために、ガス遮断弁の交換作業の作業性が悪く、ガス供給を長時間止めなければならないなどの問題がある。特に、ガス漏れなどの異常を検知する圧力センサがハウジングに取り付けている場合は、圧力センサの交換のためにハウジングごと取り外すのを余儀なくされる。
【0003】
そこで、例えば特開2007−270957号公報(特許文献1)に、弁駆動ユニット内に圧力センサを内蔵し、ハウジングをガス管に取り付けたまま、弁駆動ユニットを取り外しできるようにして、交換等の作業を簡便化したガス遮断弁が開示されている。
【0004】
ここで特許文献1のガス遮断弁では、弁駆動ユニットを取り外すと、弁体もガス配管から取り外されてしまうので、この弁駆動ユニットを取り外すときはガス配管のガスを元から遮断しておく必要がある。これに対して、ガス配管に接続されてガスの供給及び遮断を行う遮断弁を内蔵した弁体部と、この弁体部の遮断弁を駆動する駆動機構を内蔵した弁駆動部とを備えたものがある。このガス遮断弁では、弁駆動部の駆動軸と遮断弁の従動軸とが連結され、弁駆動部の弁駆動用モータ等により遮断弁を回転させるように構造になっている。そして、弁体部をガス配管に接続したまま駆動部を取り外すことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−270957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記弁駆動部と弁体部とを分離できるようなガス遮断弁では、弁駆動部の駆動軸と弁体部の従動軸とを例えば連結ピン等により連結することで弁駆動部の駆動力を遮断弁に伝達することが考えられるが、弁駆動部を取り付けたとき、連結ピン等により駆動軸と従動軸とを連結するのを忘れたり、連結が不完全であると、弁駆動部のモータが回っても弁体部へ回転が伝達されないことになり、ガス遮断弁の機能を喪失してしまう。
【0007】
本発明は、ガス遮断弁において、弁駆動部の駆動軸と弁体部の従動軸との連結忘れがあっても弁駆動部により弁体部の遮断弁を回転できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1のガス遮断弁は、ガス配管に接続されてガスの供給及び遮断を行う遮断弁を内蔵した弁体部と、該弁体部の遮断弁を駆動する駆動機構を内蔵した弁駆動部とを備えたガス遮断弁であって、前記弁体部に内蔵された前記遮断弁の従動軸が該弁体部の外部に露出され、前記弁駆動部には該従動軸を駆動する前記駆動機構の駆動軸が該従動軸と同軸に設けられ、前記駆動軸と前記従動軸との端部に、該駆動軸及び従動軸の相対的な所定の回転位置にて軸方向に嵌合及び離脱が可能な噛み合い部が形成されるとともに、該噛み合い部が嵌合する方向に前記従動軸及び/または前記駆動軸を付勢する付勢手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1のガス遮断弁によれば、弁駆動部を取り付けた際に、弁駆動部の駆動軸と弁体部の従動軸とを連結し忘れても、弁駆動部で駆動軸が回転されると、駆動軸と従動軸とが相対的に所定の回転位置となると、付勢手段により噛み合い部が嵌合し、駆動軸と従動軸とが連結されるので、弁駆動部により弁体部の遮断弁を回転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態のガス遮断弁の一部破断正面図である。
【図2】実施形態の従動軸と駆動軸の一部拡大図である。
【図3】実施形態の従動軸と駆動軸との非連結状態及び連結状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態のガス遮断弁の一部破断正面図であり、この実施形態のガス遮断弁は、弁体部1と弁駆動部2とで構成されている。
【0012】
弁体部1は、管状の弁ハウジング3を有している。この弁ハウジング3には、図示しないガス管がネジ接続されるテーパーネジからなる第1ポート31と第2ポート32が形成されており、この第1ポート31と第2ポート32との間には、弁室33と管路34が形成されている。弁室33の第1ポート31側及び管路34側には弁座35,35が配設されており、この弁室33内には、「遮断弁」としてのボールバルブ36が弁座35,35に密接するように配設されている。そして、ボールバルブ36の従動軸4が、弁ハウジングに設けられた図示しない軸受けにより軸支され、この従動軸4の端部が弁ハウジング3の外側に露出されている。そして、この従動軸4の弁駆動部2側の端部には噛み合い部41が形成されている。なお、弁ハウジング3には、弁駆動部2を取り付けるための取付座3Aが形成されている。
【0013】
弁駆動部2は、弁駆動用モータ5を内蔵した下ケース部2Aと、回転力伝達機構6と図示しないマイコン等の制御回路を内蔵した上ケース部2Bとを有している。弁駆動用モータ5は下ケース部2A内でその主軸51を上ケース部2B内に突出させている。上ケース部2A内の回転力伝達機構6は互いに歯合する小歯車61と大歯車62とで構成されており、小歯車61は弁駆動用モータ5の主軸51に取り付けられ、大歯車62は軸受け21で軸支された駆動軸7に取り付けられている。そして、この駆動軸7は、上ケース部2Bから弁体部1側に露出されている。そして、この駆動軸7の弁体部1側の端部には噛み合い部71が形成されており、この駆動軸7の噛み合い部71は従動軸4の噛み合い部41に嵌合され、駆動軸7と従動軸4が連結されている。
【0014】
以上の構成により、弁駆動用モータ5が正逆回転駆動され、この回転力が小歯車61を介して大歯車62に伝達されて大歯車62が回転する。これにより、ボールバルブ36の全開状態と全閉状態が切り換わる。
【0015】
図2に示すように、従動軸4はボールバルブ36側に連結された四角柱状のロッド42と、このロッド42に嵌合する四角柱状の摺動孔431を有するキャップ43とを有している。キャップ43は、摺動孔431内に付勢手段としてのコイルバネ44を配設した状態でロッド42に嵌合されている。これによりキャップ43は駆動軸7側に付勢されている。キャップ43の駆動軸7側の端部の噛み合い部41は、端部周上の2箇所に突出した凸部41a,41aを有している。また、駆動軸7の端部の噛み合い部71は、軸Lと直交する方向に形成された角溝71aを有している。
【0016】
図3(A) に示すように、従動軸4と駆動軸7が非連結状態のときは、従動軸4の凸部41a,41aは駆動軸7の角溝71aの両脇に当接した状態となる。そして、弁駆動部2により駆動軸7が回転すると、コイルバネ44によりキャップ43が駆動軸7側(軸L方向)に付勢されているので、駆動軸7が従動軸4に対して所定の回転位置になると、駆動軸7の角溝71a内に従動軸4の凸部41a,41aが嵌り込み、従動軸4の噛み合い部41と駆動軸7の噛み合い部71が嵌合した状態となる。
【0017】
したがって、弁駆動部2を取り付けたときに、従動軸4と駆動軸7の連結をし忘れても、駆動軸7の回転により自動的に連結される。
【0018】
以上の実施形態では、従動軸4側のキャップ42(噛み合い部41)をコイルバネ43で駆動軸7側に付勢するようにしているが、このような噛み合い部を軸L方向に付勢する構造は、駆動軸7側にて構成してもよい。
【0019】
また、実施形態では、従動軸及び駆動肉の角噛み合い部を凸部と角溝とで構成しているが、噛み合い部としては、従動軸及び駆動軸の軸L方向に嵌合及び離脱が可能で、嵌合状態で従動軸と駆動軸とが軸L回り方向に固定関係となるような構造であればよい。
【符号の説明】
【0020】
1 弁体部
2 弁駆動部
4 従動軸
7 駆動軸
36 ボールバルブ(遮断弁)
41 噛み合い部
71 噛み合い部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス配管に接続されてガスの供給及び遮断を行う遮断弁を内蔵した弁体部と、該弁体部の遮断弁を駆動する駆動機構を内蔵した弁駆動部とを備えたガス遮断弁であって、
前記弁体部に内蔵された前記遮断弁の従動軸が該弁体部の外部に露出され、
前記弁駆動部には該従動軸を駆動する前記駆動機構の駆動軸が該従動軸と同軸に設けられ、
前記駆動軸と前記従動軸との端部に、該駆動軸及び従動軸の相対的な所定の回転位置にて軸方向に嵌合及び離脱が可能な噛み合い部が形成されるとともに、該噛み合い部が嵌合する方向に前記従動軸及び/または前記駆動軸を付勢する付勢手段を備えたことを特徴とするガス遮断弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−169136(P2010−169136A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−10713(P2009−10713)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【Fターム(参考)】