説明

ガラスセラミックス組成物、発光ダイオード素子用基板および発光装置

【課題】発光装置としたときの、発光素子から供給される光の損失が少なく、光の利用効率が高められ、発光素子が搭載される搭載面の平坦度に優れ、熱抵抗が小さい発光素子搭載用基板を提供する。
【解決手段】25〜50質量%のガラス粉末、30〜60質量%のアルミナ粉末、および10〜40質量のジルコニア粉末を含み、前記ガラス粉末が、SiOを50〜65mol%、Bを10〜18mol%、CaO、SrOおよびBaOから選ばれる1種または2種以上の合計を9〜23mol%、Alを3〜13mol%、NaOおよびKOから選ばれる1種または2種を合計で0.5〜6mol%含有し、Al、SrOおよびBaOから選ばれる1種または2種以上を合計で8〜23mol%含有することを特徴とするガラスセラミックス組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスセラミックス組成物、発光ダイオード素子用基板、および発光装置に係り、特に発光ダイオード素子を搭載する基板の製造に用いられるガラスセラミックス組成物、ならびにこのガラスセラミックス組成物からなる発光ダイオード素子用基板および発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード(以下、LEDと記す。)素子の高輝度化、高効率化に伴い、携帯電話や大型液晶TV等のバックライトあるいは一般照明などに、LED素子を用いた発光装置が使われるようになっている。それに伴い、LED素子周辺の部材についてもより高性能なものが求められるようになっている。例えば、LED素子を搭載するための基板としては、樹脂材料からなるものが使用されているが、LED素子の高輝度化に伴う熱や光により劣化しやすく、例えばセラミックスのような無機材料からなるものの使用が検討されている。
【0003】
セラミックス基板としては、例えば配線基板に使用されているアルミナ基板や窒化アルミニウム基板が挙げられる。セラミックス基板は、樹脂基板に比べて熱や光に対する耐久性が高いことから、LED素子搭載用基板として有望である。しかしながら、セラミックス基板は、樹脂基板に比べて反射率が低いため、LED素子からの光が基板の後方へ漏れてしまい、前方の光度が低下するという問題がある。また、セラミックス基板は、一般に難焼結性であることから1500℃を超える高温焼成が必要となり、プロセスコストが高くなるという問題がある。
【0004】
このような問題を解決するために、低温同時焼成セラミックス(以下、LTCCと記すことがある。)基板の使用が検討されている。LTCC基板は、一般にガラスとアルミナ等のセラミックスフィラーとの複合物からなるものであり、ガラスの低温流動性によって焼結するために、従来のセラミックスよりも低い850〜900℃程度で焼結させることができる。これにより、配線導体であるAg導体と同時に焼成することができ、従来のセラミックス基板に比べてコストを低減することができる。また、ガラスとセラミックスフィラーとの界面で光が拡散反射するために、アルミナ基板や窒化アルミニウム基板よりも高い反射率を得ることができる。さらに、無機物からなるために熱や光に対する十分な耐久性を得ることができる。
【0005】
従来から、LTCC基板の反射率を高めるために、アルミナよりも高い屈折率を有するセラミックスのフィラー(高屈折率フィラー)を含有させる方法が検討されている。そして、Si−B−Al−Ca系のガラスに対して、アルミナ粉末とともにジルコニア粉末等の高屈折率フィラーを配合し、反射率を向上させたLTCC基板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。ジルコニア粉末等の高屈折率フィラーは、アルミナ粉末に比べてガラスとの屈折率差が大きいため、ガラス−セラミックス界面での拡散反射がより大きくなる結果、基板の反射率が向上する。特許文献1のLTCC基板では、ガラスの組成を調整することで、高屈折率フィラーの配合による焼結性の低下を補い抗折強度の低下を防止しており、また、耐酸性も向上されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2009/128354 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記ガラス粉末に対してジルコニア粉末を配合すると、焼成時に、粉体中のガラス成分が非晶質状態のまま分離する、いわゆる分相が生じ易くなる。このようなガラス粉末を用いたLTCC基板では、基板の反り等の不具合が生じやすいという問題がある。これは、焼成時に焼成炉内の温度分布等の影響によって分相が不均一に進行し、焼結の進行度が不均一となるためである。また、焼結の進行度が不均一になることにより、基板の収縮率が全体として不均一となり、基板の形状に歪みが生じ、所望の形状や寸法精度を得られないおそれもある。
【0008】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであって、焼成中のガラス粉末の分相が抑制され、反りが少なく、形状安定性が良好で、かつ十分な反射率を有する焼結体が得られるガラスセラミックス組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明のガラスセラミックス組成物は、25質量%以上50質量%以下のガラス粉末、30質量%以上60質量%以下のアルミナ粉末、および10質量%以上40質量%以下のジルコニア粉末を含み、前記ガラス粉末が、SiOを50mol%以上65mol%以下、Bを10mol%以上18mol%以下、CaO、SrOおよびBaOから選ばれる1種または2種以上の合計を9mol%以上23mol%以下、Alを3mol%以上13mol%以下、NaOおよびKOから選ばれる1種または2種を合計で0.5mol%以上6mol%以下含有し、Al、SrOおよびBaOから選ばれる1種または2種以上を合計で8mol%以上23mol%以下含有することを特徴とする。
【0010】
本発明のガラスセラミックス組成物において、前記ガラス粉末が、SiOを50mol%以上65mol%以下、Bを10mol%以上18mol%以下、CaO、SrOおよびBaOから選ばれる1種または2種以上の合計を9mol%以上23mol%以下、Alを8mol%より大きく13mol%以下、NaOおよびKOから選ばれる1種または2種を合計で0.5mol%以上6mol%以下含有し、Al、SrOおよびBaOから選ばれる1種または2種以上を合計で8mol%以上23mol%以下含有するものとすることができる。
また、前記ガラス粉末が、SiOを50mol%以上65mol%以下、Bを10mol%以上18mol%以下、CaOを0mol%以上9mol%未満、SrOおよびBaOから選ばれる1種または2種を合計で3mol%以上23mol%以下、Alを3mol%以上8mol%以下、NaOおよびKOから選ばれる1種または2種を合計で0.5mol%以上6mol%以下含有し、Al、SrOおよびBaOから選ばれる1種または2種以上を合計で8mol%以上23mol%以下含有するものとすることができる。さらに、本発明のガラスセラミックス組成物において、前記ジルコニア粉末が、安定化ジルコニアまたは部分安定化ジルコニアからなることが好ましい。
【0011】
また、本発明の発光ダイオード素子用基板は、発光ダイオード素子を搭載するための基板であって、上記した本発明のガラスセラミックス組成物を成形および焼成してなることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の発光装置は、発光ダイオード素子用基板と、前記発光ダイオード素子用基板に搭載された発光ダイオード素子とを具備する発光装置であって、前記発光ダイオード素子用基板が上記した本発明の発光ダイオード素子用基板であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ガラス粉末の分相が抑制されており、反りが少なく、形状安定性が良好で、かつ十分な反射率を有する焼結体が得られるガラスセラミックス組成物を提供することができる。また、本発明によれば、形状安定性に優れ、かつ十分な反射率を有する発光ダイオード素子用基板を提供することができる。さらに、本発明によれば、このような発光ダイオード素子用基板を用いることにより光学特性や生産性に優れる発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の発光ダイオード素子用基板を有する発光装置の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のガラスセラミックス組成物は、25質量%以上50質量%以下のガラス粉末、30質量%以上60質量%以下のアルミナ粉末、および10質量%以上40質量以下のジルコニア粉末を含有する。
【0016】
また、ガラス粉末は、SiOを50mol%以上65mol%以下、Bを10mol%以上18mol%以下、CaO、SrOおよびBaOから選ばれる1種または2種以上の合計を9mol%以上23mol%以下、Alを3mol%以上13mol%以下、NaOおよびKOから選ばれる1種または2種を合計で0.5mol%以上6mol%以下含有し、Al、SrOおよびBaOから選ばれる1種または2種以上を合計で8mol%以上23mol%以下含有するものである。
【0017】
このようなガラスセラミックス組成物によれば、ガラス粉末を構成する各成分の含有量を所定の範囲とすることで、ガラス粉末の分相を抑制でき、焼成時におけるガラス粉末の焼結度のばらつきを低減することができる。したがって、反りが少なく、形状安定性が良好で、緻密な焼結体を得ることができる。また、反射率を向上させる高屈折フィラーとして、主としてジルコニア粉末を含有するために、全体として高い反射率を有する焼結体を得ることができる。
【0018】
以下、ガラスセラミックス組成物について具体的に説明する。
ガラスセラミックス組成物におけるガラス粉末の含有量は、25〜50質量%である。
ガラス粉末の含有量が25質量%未満であると、焼成によって緻密な焼結体(LTCC基板)を得ることが困難となるおそれがある。より緻密な焼結体を得る観点から、30質量%以上が好ましく、33質量%以上がより好ましい。一方、ガラス粉末の含有量が50質量%を超えると、焼結体の抗折強度が不足するおそれがある。より抗折強度の高い焼結体を得る観点から、45質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。
【0019】
このガラス粉末の50%粒径(D50)は0.5〜5μmであることが好ましい。
50が0.5μm未満になると、工業的に製造しにくくまた凝集しやすくなるため、取り扱いが難しい。また、ガラスセラミックス組成物中にも分散しにくくなる。D50はより好ましくは0.8μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上である。一方、D50が5μmを超えると、焼成によって緻密な焼結体を得ることが困難になる。焼成により緻密な焼成体を得るために、ガラス粉末のD50は4μm以下がより好ましく、3μm以下がさらに好ましい。なお、本明細書における50%粒径(D50)は、レーザ回折散乱法で測定された値である。
【0020】
アルミナ粉末は、焼結体の抗折強度を高くするために添加される成分であり、ガラスセラミックス組成物中、30〜60質量%添加される。
アルミナ粉末の含有量が30質量%未満であると、所望の抗折強度を実現することが困難になる。より抗折強度の高い焼結体を得る観点から、35質量%以上が好ましく、37質量%以上がより好ましい。一方、アルミナ粉末の含有量が60質量%を超えると、焼成不足になり緻密な焼結体を得ることが困難になるばかりでなく、焼結体表面の平滑性が損なわれるおそれがある。より緻密で表面の平滑な焼結体を得る観点から、55質量%以下が好ましく、52質量%以下がより好ましい。
【0021】
アルミナ粉末のD50は0.3〜5μmであることが好ましい。D50が0.5μm未満では、十分な抗折強度を達成することが困難となる。また、ガラスセラミックス組成物中にアルミナ粉末を均一に分散させることが困難となる。D50はより好ましくは0.6μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上である。一方、D50が5μmを超えると、焼結体表面の平滑性が損なわれる、あるいは焼成により緻密な焼結体を得ることが困難になる。より緻密かつ表面の平滑な焼結体を得る観点から、D50は4μm以下が好ましく、3μm以下がさらに好ましい。
【0022】
ジルコニア粉末は、焼結体の反射率を向上させるために添加されるものであり、ガラスセラミックス組成物中、10〜40質量%添加される。ジルコニア粉末の含有量が10質量%未満の場合、実用上十分な反射率、具体的には85%以上の反射率を有する焼結体を得ることが困難となる。なお、本発明における反射率は波長460nmにおけるものである。より反射率の高い焼結体を得る観点から、ジルコニア粉末の含有量は、11質量%以上が好ましい。さらに好ましくは12質量%以上である。
【0023】
一方、ジルコニア粉末の含有量が40質量%を超える場合、緻密な焼結体を得ることが困難となる。より緻密な焼結体を得る観点から、ジルコニア粉末の含有量は、30質量%以下が好ましい。より好ましくは26質量%以下である。
【0024】
ジルコニア粉末としては、安定化されていないジルコニアであってもよいが、通常はY、CaO、またはMgOの添加により少なくとも一部が安定化された部分安定化ジルコニアまたは安定化ジルコニアが好ましい。部分安定化ジルコニアまたは安定化ジルコニアとすることで、例えば高温下での相転移が抑制され、諸特性の安定した焼結体を得ることができる。部分安定化ジルコニアの種類については、必ずしも限定されるものではないが、工業的に安価に入手することが容易な、Y添加ジルコニアが好ましい。特にYの添加量としては、0.1〜10mol%であることが好ましい。
【0025】
ジルコニア粉末のD50は、0.05〜5μmであることが好ましい。D50が0.05μm未満の場合、光の波長(本発明では460nm)に対してジルコニア粉末の大きさが過度に小さくなり、高い反射率を得ることが困難となる。より高い反射率を得る観点から、D50は、0.1μm以上が好ましく、0.15μm以上がより好ましい。一方、D50が5μmを超える場合、光の波長に対してジルコニア粉末の大きさが過度に大きくなるために、高い反射率を得ることが困難となるおそれがある。より高い反射率を得る観点から、D50は、3μm以下が好ましく、1.5μm以下がより好ましい。
【0026】
なお、工業的に入手可能なジルコニア粉末の中には、非常に小さい1次粒子(典型的には0.05μm以下)が凝集することにより比較的大きな2次粒子(典型的には0.05μm〜5μm程度)を形成するものがある。高い反射率を得るためには1次粒子径よりも2次粒子径が重要となることから、ジルコニア粉末が2次粒子からなる場合、2次粒子のD50が0.05〜5μmであることが好ましい。より高い反射率を得る観点から、2次粒子のD50は、0.1μm以上が好ましく、0.15μm以上がより好ましい。一方、高い反射率を得る観点から、2次粒子のD50は、3μm以下が好ましく、1.5μm以下がより好ましい。
【0027】
ガラスセラミックス組成物は、基本的にジルコニア粉末以外の高屈折フィラーを含まないことが好ましいが、ジルコニア粉末以外の高屈折フィラーを合計で3質量%以下含有してもよい。ジルコニア粉末以外の高屈折フィラーとしては、屈折率が1.95を超えるものが挙げられ、例えばチタニアの他、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム等のチタン化合物、チタンやジルコニウムを主成分とするその他の複合材が挙げられる。
なお、特にチタニアやその他のチタン化合物は、焼成中にチタンイオンがガラス中に溶出し、LTCC基板に着色を生じさせるおそれがある。LTCC基板に着色が生じると、LTCC基板の反射率が低下するおそれがある。このため、チタニアやその他のチタン化合物の含有量は、より好ましくは1質量%以下であり、さらには、ガラスセラミックス組成物がこれらを実質的に含まないことがより好ましい。
【0028】
ジルコニア粉末以外の高屈折フィラーについても、ジルコニア粉末と同様にD50は0.05〜5μmが好ましい。ジルコニア粉末以外の高屈折フィラーのD50は、0.1μm以上が好ましく、0.15μm以上がより好ましい。また、ジルコニア粉末以外の高屈折フィラーのD50は、3μm以下が好ましく、1.5μm以下がより好ましい。
【0029】
次に、本発明のガラスセラミックス組成物に配合されるガラス粉末の各成分について説明する。
【0030】
SiOは、ガラスの結晶化を抑制して安定性を向上させるとともに、耐酸性を向上させる成分であり、必須成分である。ガラス粉末におけるSiOの含有量は50mol%以上である。SiOの含有量が50mol%未満であると、焼成時に結晶が析出して焼結体が反りやすく、また耐酸性が十分でなくなるおそれがある。より安定性、耐酸性に優れたガラスを得る観点から、SiOの含有量は53mol%以上であることが好ましい。
一方、ガラス粉末におけるSiOの含有量は65mol%以下である。SiOの含有量が65mol%を超えると、溶解性が低下するために均質なガラスを安価に生産することが難しく、またガラスの焼結性も低下するために緻密な焼結体を得られないおそれがある。より生産性、焼結性に優れたガラスを得る観点から、SiOの含有量は64mol%以上であることが好ましい。
【0031】
は、ガラスの焼結性を向上させる成分であり、必須成分である。ガラス粉末におけるBの含有量は10mol%以上である。
が10mol%未満であると、焼結性が低下するために緻密な焼結体を得ることが困難になる。より焼結性に優れたガラスを得る観点から、Bの含有量は、11mol%以上がより好ましく、12mol%以上がさらに好ましい。一方、ガラス粉末におけるBの含有量は18mol%以下である。18mol%を超える場合、耐酸性が十分でなくなるおそれがある。より耐酸性に優れたものとする観点から、Bの含有量は、17mol%以下が好ましく、16mol%以下がより好ましい。
【0032】
CaO、SrO、BaOは、溶融温度を低下させるとともに、焼結性を向上させる成分である。CaO、SrO、およびBaO(以下、ROと記す。)の含有量の合計は9mol%以上23mol%以下である。
ガラス粉末におけるROの含有量は、23mol%以下とする。ROの含有量が23mol%を超える場合、焼成時にアノーサイト(SiO−Al−CaO)等に代表される結晶が析出しやすくなるおそれがある。また耐酸性も十分でなくなるおそれがある。より結晶が析出しにくく、より耐酸性に優れたものとする観点から、ROの含有量は、20mol%以下が好ましく、17mol%以下がより好ましい。
一方、より緻密な焼結体を得る観点からは、ROの含有量は、12mol%以上が好ましく、13mol%以上がより好ましい。
【0033】
また、SrO、BaOはCaOよりも耐酸性を悪化させる傾向が強い。このため、SrO、BaOの含有量は、ガラス粉末中、それぞれ15mol%以下であり、それぞれ12mol%以下が好ましい。さらに好ましくは、10mol%以下である。
【0034】
また、ガラス粉末には、CaO、SrO、およびBaOとともに、MgOやZnOを含有させることができる。MgOやZnOは、CaO等と同様に焼結性を向上させる成分である。しかし、MgOやZnOはCaO等よりも、結晶化を促進する傾向が強い。MgO、ZnOの含有量は、ガラス粉末中、それぞれ5mol%以下であり、それぞれ3mol%以下が好ましい。なお、CaO、SrO、BaO、MgO、およびZnOの合計した含有量は、ホウケイ酸系ガラス粉末中、12mol%以上35mol%以下である。
【0035】
Alは、ガラスの分相を抑制して安定性を向上させる成分であり、必須成分である。
ガラス粉末におけるAlの含有量は3mol%以上である。Alの含有量が3mol%未満であると、ガラスが分相しやすくなるために焼結体を安定して量産することができないおそれがある。より分相しにくいものとする観点から、Alの含有量は、 4mol%以上が好ましく、5mol%以上がより好ましい。一方、ガラス粉末におけるAlの含有量は13mol%以下である。Alの含有量が13mol%を超えると、焼成時にアノーサイト(SiO−Al−CaO)に代表される結晶が析出して、焼結体が反りやすくなったり、焼結体の曲げ強度が低下したりするおそれがある。また耐酸性も十分でなくなるおそれもある。より結晶の析出が少なく、また耐酸性に優れたものとする観点から、Alの含有量は、11mol%以下が好ましく、10mol%以下がより好ましい。
【0036】
NaOおよびKOは、いずれもガラスの焼結性を向上させる成分であり、NaOおよびKOから選ばれる1種または2種以上が含有される。
ガラス粉末におけるNaOおよびKOの含有量の合計は、0.5mol%以上である。
NaOおよびKOの合計量が0.5mol%未満であると、焼結性が低下するために緻密な焼結体を得ることが困難になる。より焼結性に優れたガラスを得る観点から、NaOおよびKOの含有量の合計は、1mol%以上が好ましく、1.5mol%以上がより好ましい。一方、NaOおよびKOの含有量の合計が6mol%を超えると、化学的耐久性が低下するおそれがある。NaOおよびKOの含有量は、5mol%以下が好ましく、4mol%以下がより好ましい。また、KOはNaOよりも分相を促進する傾向が強いため、NaOの含有量(mol%)に対するKOの含有量(mol%)の比、すなわちKO/NaOの値は0.3未満であることが好ましい。
【0037】
Al、SrO、BaOは、ガラスの分相を抑制する効果を非常に高く得られる成分であり、少なくとも1種を含有させる。
実用上十分な程度にガラスの分相を抑制する観点から、Al、SrO、およびBaOの含有量の合計(以下、Al+SrO+BaOと示す。)は、8mol%以上である。よりガラスの分相を抑制するためには、Al+SrO+BaOは、好ましくは8.5mol%以上であり、さらに好ましくは9mol%以上である。
一方、Al、SrO、BaOは、いずれも結晶の析出を促進する成分である。焼成時の結晶の析出を抑制する観点から、Al+SrO+BaOは20mol%以下である。Al+SrO+BaOは、好ましくは18mol%以下であり、さらに好ましくは16mol%以下である。
【0038】
ガラスセラミックス組成物に含まれるガラス粉末は本質的に上記成分からなるが、本発明の目的を損なわない範囲でその他の成分を含有してもよい。例えば、化学的耐久性を向上させる目的で、ZrO、La、Gd等を含有させることもできる。その場合、これらの成分は10mol%以下であることが好ましい。より好ましくは7mol%、さらに好ましくは5mol%以下である。なお、環境への負荷を考慮して、このガラスはPbOを含有しない。
【0039】
次に、本発明のガラスセラミックス組成物に用いる「ガラス粉末」に含まれる2つのタイプのガラスについて記載する。「ガラス粉末」は、前記した各成分の含有量の範囲で、Alの含有量を多くして分相を抑制したガラス(以下、「ガラスA」と示す。)と、CaOの含有量を少なくし、SrOやBaOの含有量を多くして分相を抑制したガラス(以下、「ガラスB」と示す。)の2つのタイプのガラスを含む。
【0040】
[ガラスA]
「ガラスA」は、SiOを50mol%以上65mol%以下、Bを10mol%以上18mol%以下、ROを9mol%以上23mol%以下、Alを8mol%より大きく13mol%以下、NaOおよびKOから選ばれる1種または2種を合計で0.5mol%以上6mol%以下含有し、Al、SrO、BaOから選ばれる1種または2種以上を合計で8mol%以上23mol%以下含有するものである。
【0041】
「ガラスA」は、分相を抑制するAlの含有量が8mol%より大きく13mol%以下と多いので、焼成時のガラス粉末の分相による焼結度のばらつきが抑えられる。
焼結性の向上と、分相抑制のバランスの観点から、「ガラスA」のより好ましい範囲は、SiOを53〜60mol%、Bを11〜16mol%、ROを14〜22mol%、Alを9〜12mol%、NaOおよびKOから選ばれる1種または2種を合計で 1〜4mol%含有し、Al+SrO+BaOが8mol%以上15mol%以下であるものである。
【0042】
以下に、「ガラスA」のAlの含有量について説明する。
なお、SiO、B、RO、NaOおよびKO、ならびにAl+SrO+BaOに関しては、上述したガラス粉末と同様の含有割合であるため、記載を省略する。
【0043】
Alは、ガラスの分相を抑制して安定性を向上させる成分である。「ガラスA」におけるAlの含有量は8mol%より大きいことが必要である。Alの含有量が8mol%以下であると、ガラスが分相しやすくなるため焼結体を安定して量産することが困難となるおそれがある。より分相しにくいものとする観点から、Alの含有量は、8.5mol%以上が好ましく、9mol%以上がより好ましい。
一方、「ガラスA」におけるAlの含有量は13mol%以下である。Alの含有量が13mol%を超えると、焼成時にアノーサイト(SiO−Al−CaO)に代表される結晶が析出して、かえって焼結体が反りやすくなったり、焼結体の曲げ強度が低下したりするおそれがある。また耐酸性も十分でなくなるおそれがある。より結晶の析出が少なく、また曲げ強度に優れたものとする観点から、Alの含有量は、12mol%以下が好ましく、11mol%以下がより好ましい。
【0044】
[ガラスB]
「ガラスB」は、SiOを50mol%以上65mol%以下、Bを10mol%以上18mol%以下、CaOを0mol%以上9mol%未満、SrOおよびBaOから選ばれる1種または2種を合計で3mol%以上23mol%以下、Alを3mol%以上8mol%以下、NaOおよびKOから選ばれる1種または2種を合計で0.5mol%以上6mol%以下含有し、Al、SrO、BaOから選ばれる1種または2種以上を合計で8mol%以上23mol%以下含有するものである。
【0045】
「ガラスB」は、分相を抑制するSrO、又はBaOを必須成分とするものである。SrOおよびBaOから選ばれる1種または2種を必須成分とし、これらを合計で3mol%以上23mol%以下含有するものとすることで、Alの含有量が少なくても、焼成時の分相を抑制することができる。また、SrO又はBaOによって、ガラスの焼結性を高めることができるため、CaOの含有量を0mol%以上9mol%未満と少なくすることができ、結晶の析出を抑制することができる。また、Alの含有量が少ないため、曲げ強度の低下が抑制される。
ガラス粉末の分相抑制と、焼結性の向上とのバランスの観点から、「ガラスB」のより好ましい範囲は、SiOを57〜65mol%、Bを11〜16mol%、CaOを5〜8mol%、SrOおよびBaOから選ばれる1種または2種を合計で5〜11mol%、Alを4〜7mol%、NaOおよびKOから選ばれる1種または2種を合計で1〜4mol%含有し、Al+SrO+BaOが8mol%以上23mol%であるものである。
【0046】
[ガラスB]
以下に、「ガラスB」の組成について説明する。
なお、SiO、B、NaOおよびKO、ならびにAl+SrO+BaOに関しては、上述したガラス粉末と同様の含有割合であるため、記載を省略する。
【0047】
CaOは、分相を生じさせ易くする成分であり、「ガラスB」におけるCaOの含有量は、9mol%未満とする。CaOの含有量が9mol%以上の場合、ガラスが分相しやすくなり焼結体が反りやすくなるおそれがある。また、焼成時にアノーサイト(SiO−Al−CaO)に代表される結晶が析出しやすくなるおそれもある。また耐酸性も十分でなくなるおそれがある。より分相の発生が少なく、また結晶の析出が少ないものとする観点から、CaOの含有量は、8.5mol%以下が好ましく、8mol%以下がより好ましい。
一方、CaOは焼結性を向上させる成分でもあるため、より緻密な焼結体を得る観点からは、「ガラスB」におけるCaOの含有量は、5mol%以上が好ましく、7mol%以上がより好ましい。
【0048】
「ガラスB」は、CaOとともに、SrOおよびBaOから選ばれる少なくとも1種を含有する。SrO、BaOは、ガラスの分相を抑制し、また溶融温度を低下させるとともに焼結性を向上させる成分である。
「ガラスB」は、SrOおよびBaOから選ばれる1種または2種を合計で3〜23mol%含有する。「ガラスB」では、上記のように、SrO、BaOが含有されており、その代わりにCaOの含有量が低減されている。このため、SrOおよびBaOの含有量の合計が3mol%未満であると、焼結性が低下して、緻密な焼結体を得られなくなるおそれがある。一方「ガラスB」におけるSrOおよびBaOの含有量の合計は23mol%以下である。SrOおよびBaOの含有量の合計が23mol%を超えると、耐酸性が十分でなくなるおそれがある。また、結晶の析出により、基板が反りやすくなるおそれがある。
なお、SrO、BaOはCaOよりも耐酸性を悪化させる傾向が強いため、SrO、BaOの含有量は、ガラス粉末中、それぞれ12mol%以下であり、それぞれ10mol%以下が好ましい。さらに好ましくは、9mol%以下である。
【0049】
Alは、ガラスの分相を抑制して安定性を向上させる成分である。
「ガラスB」におけるAlの含有量は3mol%以上である。Alの含有量が3mol%未満であると、ガラスが分相しやすくなるために焼結体を安定して量産することができないおそれがある。より分相しにくいものとする観点から、Alの含有量は、4mol%以上が好ましく、5mol%以上がより好ましい。一方、「ガラスB」におけるAlの含有量は8mol%以下である。Alの含有量が8mol%を超えると、焼成時にアノーサイト(SiO−Al−CaO)に代表される結晶が析出して、焼結体が反りやすくなったり焼結体の曲げ強度が低下したりするおそれがある。より結晶の析出が少なく、また曲げ強度に優れたものとする観点から、Alの含有量は、7mol%以下が好ましく、6.5mol%以下がより好ましい。
【0050】
ガラス粉末は、通常、溶融法によって上記組成を有するガラスを製造した後、このガラスを粉砕することによって製造することができる。粉砕方法は、特に限定されるものではなく、乾式粉砕でもよいし湿式粉砕でもよい。湿式粉砕の場合には溶媒として水を用いることが好ましい。また粉砕にはロールミル、ボールミル、ジェットミル等の粉砕機を適宜用いることができる。ガラスは粉砕後、必要に応じて乾燥し、分級してもよい。
【0051】
ガラスセラミックス組成物は、このようなガラス粉末と、アルミナ粉末、およびジルコニア粉末、必要に応じてその他の成分を所定の質量割合で配合し、混合することによって調製することができる。ガラスセラミックス組成物は、通常、グリーンシート化して使用される。すなわち、ガラスセラミックス組成物、ポリビニルブチラールやアクリル樹脂等の樹脂、必要に応じてフタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ブチルベンジル等の可塑剤等を配合、混合する。次に、この混合物にトルエン、キシレン、ブタノール等の溶剤を添加してスラリーとし、このスラリーをドクターブレード法等によってポリエチレンテレフタレート等のフィルム上にシート状に成形する。さらに、シート状に成形されたものを乾燥させて溶剤を除去することによりグリーンシートとする。
【0052】
グリーンシートには必要に応じて、Agペースト等を用いたスクリーン印刷等によって配線パターンや貫通導体であるビア等が形成される。また、配線パターンの焼成により形成される配線導体等を保護するためのオーバーコートガラスをスクリーン印刷等によって形成してもよい。
【0053】
グリーンシートは、焼成後、所望の形状に加工することによってLED素子用基板とすることができる。ここで、LED素子用基板は、1枚のグリーンシートを焼成したものとしてもよいし、複数枚のグリーンシートを重ねて焼成したものとしてもよい。
焼成は、通常、ガラスが流動しない温度域(550℃付近)で1時間程度加熱し、樹脂等のバインダーを分解して除去する脱バインダー(脱脂)を行った後、850〜950℃で20〜60分間保持して行われる。より好ましい焼成温度は860〜940℃である。Agの融点が960℃程度であることから、950℃以下で焼成することで、焼成時のAgの軟化を抑制し、配線パターンやビア等の形状を維持しやすくなる。
【0054】
また、このLED素子用基板は、可視光領域の光に対して高い反射率を有するので、LED素子のような発光素子からの光を効率よく前方に取り出すことができ、高効率の発光装置を提供することができる。
さらに、LED素子用基板は、実用上十分な光学特性とする観点から、後述する測定方法によって求められる反射率が85%以上であることが好ましく、86%以上であることがより好ましく、87%以上であることがさらに好ましい。
また、LED素子用基板は、焼成時(製造時)の反りを抑制する観点から、ガラス相の結晶化率が体積比で60%以下であることが好ましく、35%以下であることがより好ましく、15%以下であることがさらに好ましい。ここで、結晶化率とは、ガラス相における結晶質領域の存在割合(体積割合)を指す。結晶化率は、例えば、作製したLED素子用基板のX線回折を測定し、アルミナ粒子(あるいはジルコニア粒子)による回折ピーク強度と、ガラス相から析出した結晶による回折ピーク強度の比率を評価することによって求めることができる。あるいは、作製したLED素子用基板の断面を、電子顕微鏡で観察し、析出した結晶と、非晶質領域の面積比を評価することによっても結晶化度を求めることが可能である。
【0055】
このような発光ダイオード素子用基板(以下、LED素子用基板と示す。)は、発光装置(以下、LEDパッケージと示す。)の製造に好適に用いることができる。LEDパッケージは、少なくとも上記したLED素子用基板と、このLED素子用基板に搭載されたLED素子とを具備するものである。このようなLEDパッケージは、例えば携帯電話や大型液晶TV等のバックライトに好適に用いることができる。
【0056】
図1は、上記したLED素子用基板を有するLEDパッケージの一例を示す断面図である。LEDパッケージ1は、例えば略平板状のLED素子用基板2を有しており、その略中央部に設けられる搭載部21に接着剤3を介してLED素子4が搭載されている。LED素子用基板2は、搭載部21の周辺に一対の接続端子22を有しており、この接続端子22にLED素子4の図示しない一対の電極がボンディングワイヤ5を介して電気的に接続されている。
【0057】
LED素子用基板2の内部には、一対の接続端子22と電気的に接続するように通電用ビア23が厚さ方向に貫通して設けられており、この通電用ビア23と電気的に接続するように一対の外部電極端子24が設けられている。また、搭載部21の直下には、サーマルビア25が貫通して設けられている。さらに、LED素子4や接続端子22を覆うようにしてモールド材6が設けられることによって、LEDパッケージ1が構成されている。
【0058】
このLED素子用基板2によれば、上記したガラスセラミックス組成物からなるために、反りが少なく形状安定性に優れており、所望の寸法精度を得ることができる。
また、このLED素子用基板2によれば、実用上十分な反射率を有するためにLEDパッケージ1に好適に用いることができる。さらに、このLED素子用基板2によれば、十分な緻密さ(ガスバリア性)を有しており、配線導体の硫化等を有効に抑制することができる。
【実施例】
【0059】
(実施例1〜4、比較例1〜4)
表1のガラス粉末の欄に示す質量割合となるように原料を配合、混合し、この混合物を白金ルツボに入れて1500〜1600℃で60分間溶融後、溶融ガラスを冷却してガラスブロックAを得た。
【0060】
ガラスブロックAの一部を切り出し、およそ10mm角程度の立方体形状のガラスブロックBを作成した。このガラスブロックBに対し、750℃で30分間熱処理を行い、目視で観察して分相の発生を確認した。分相によりガラスに白濁等が生じたものを「×」、熱処理後も透明の状態が保持されており、熱処理前と比較して目視で変化が確認されなかったものを「○」とした。
【0061】
ガラスブロックAをアルミナ製ボールミルにより水を溶媒として20〜60時間粉砕し、ガラス粉末を得た。島津製作所社製のレーザ回折式粒度分布測定装置(SALD2100)を用いてガラス粉末のD50を測定したところ、いずれも2.0μmであった。
【0062】
次に、表1のガラスセラミックス組成物の欄に示す質量割合となるようにガラス粉末、アルミナ粉末、およびジルコニア粉末を配合、混合して混合物を得た。なお、アルミナ粉末は、昭和電工社製のAL47−H(D50=2.1μm)を用いた。また、ジルコニア粉末は、部分安定化ジルコニア粉末である第一稀元素化学工業社製のHSY−3F−J(D50=0.56μm:2次粒子径)を用いた。
なお、表1中、「ガラスセラミックス組成物」の欄の「−」は、ガラスセラミックス組成物の製造を行わなかったことを示す(比較例1、3及び4)。
【0063】
この混合物50gに、有機溶剤(トルエン、キシレン、2−プロパノール、2−ブタノールを質量比4:2:2:1で混合したもの)15g、可塑剤(フタル酸ジ−2−エチルヘキシル)2.5g、樹脂(デンカ社製ポリビニルブチラールPVK#3000K)5g、および分散剤(ビックケミー社製DISPERBYK180)を混合してスラリーとした。このスラリーをPETフィルム上にドクターブレード法により塗布し、乾燥して厚さが0.2mmのグリーンシートを得た。
【0064】
次に、このようなグリーンシートからなる焼結体について、以下に示す方法によって反射率の評価を行った。結果を表1に併せて示す。
なお、表1中、「ガラスセラミックス組成物焼結体の反射率」の欄の「−」は、反射率の測定を行わなかったことを示す(比較例1、3及び4)。
【0065】
(反射率)
反射率は以下の方法で測定した。すなわち、一辺が30mm程度の正方形のグリーンシートを1枚としたもの、2枚積層したもの、3枚積層したものについてそれぞれ875℃で30分間保持する焼成を行い、厚みが、140μm、280μm、420μm程度の3種類の焼結体を得た。これらの焼結体の反射率を、オーシャンオプティクス社の分光器USB2000と小型積分球ISP−RFを用いて測定し、厚みに関して線形補完することで、厚み300μmの焼結体の反射率(単位:%)を算出した。反射率は波長460nmにおけるものとし、リファレンスとしては硫酸バリウムを使用した。
【0066】
【表1】

【0067】
表1から明らかなように、特定組成のガラス粉末からなる実施例1〜4のガラスブロックについては、にごりが生じておらず、分相が抑制されていることがわかる。また、特定組成のガラス粉末、アルミナ粉末、およびジルコニア粉末を所定の範囲内で含有するガラスセラミックス組成物からなる実施例1〜4の焼結体については、85%以上の反射率を得られることがわかる。
【0068】
一方、Al+SrO+BaOの値が8mol%より小さいガラス粉末からなる比較例1〜4のガラスブロックについては、にごりが生じており、分相の発生が認められた。なお、比較例1、2、3、4のガラス組成は、ぞれぞれ、特許文献1の実施例1、2、7、12に記載のガラス組成である。
【符号の説明】
【0069】
1…LEDパッケージ、2…LED素子用基板、3…接着剤、4…LED素子、5…ボンディングワイヤ、6…モールド材、21…搭載部、22…接続端子、23…通電用ビア、24…外部電極端子、25…サーマルビア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
25質量%以上50質量%以下のガラス粉末、30質量%以上60質量%以下のアルミナ粉末、および10質量%以上40質量%以下のジルコニア粉末を含み、
前記ガラス粉末が、SiOを50mol%以上65mol%以下、Bを10mol%以上18mol%以下、CaO、SrOおよびBaOから選ばれる1種または2種以上の合計を9mol%以上23mol%以下、Alを3mol%以上13mol%以下、NaOおよびKOから選ばれる1種または2種を合計で0.5mol%以上6mol%以下含有し、Al、SrOおよびBaOから選ばれる1種または2種以上を合計で8mol%以上23mol%以下含有することを特徴とするガラスセラミックス組成物。
【請求項2】
前記ガラス粉末が、SiOを50mol%以上65mol%以下、Bを10mol%以上18mol%以下、CaO、SrOおよびBaOから選ばれる1種または2種以上の合計を9mol%以上23mol%以下、Alを8mol%より大きく13mol%以下、NaOおよびKOから選ばれる1種または2種を合計で0.5mol%以上6mol%以下含有し、Al、SrOおよびBaOから選ばれる1種または2種以上を合計で8mol%以上23mol%以下含有することを特徴とする請求項1記載のガラスセラミックス組成物。
【請求項3】
前記ガラス粉末が、SiOを50mol%以上65mol%以下、Bを10mol%以上18mol%以下、CaOを0mol%以上9mol%未満、SrOおよびBaOから選ばれる1種または2種を合計で3mol%以上23mol%以下、Alを3mol%以上8mol%以下、NaOおよびKOから選ばれる1種または2種を合計で0.5mol%以上6mol%以下含有し、Al、SrOおよびBaOから選ばれる1種または2種以上を合計で8mol%以上23mol%以下含有することを特徴とする請求項1記載のガラスセラミックス組成物。
【請求項4】
前記ジルコニア粉末が、安定化ジルコニアまたは部分安定化ジルコニアからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のガラスセラミックス組成物。
【請求項5】
発光ダイオード素子を搭載するための基板であって、請求項1乃至4のいずれか1項記載のガラスセラミックス組成物を成形および焼成してなることを特徴とする発光ダイオード素子用基板。
【請求項6】
発光ダイオード素子用基板と、前記発光ダイオード素子用基板に搭載された発光ダイオード素子とを具備する発光装置であって、
前記発光ダイオード素子用基板が請求項5記載の発光ダイオード素子用基板であることを特徴とする発光装置。

【図1】
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【公開番号】特開2011−246330(P2011−246330A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123836(P2010−123836)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】