説明

ガラス屑から金属を抽出するための方法およびシステム

ガラス屑から重金属を抽出するための方法およびシステムが提供される。ガラスは、最初に約10ナノメートルから約2ミリメートルの間の直径サイズに破砕される。次にガラスが、水と酸の水溶液を有するタンクに加えられ、そこで酸がガラス粒子の表面から金属を除去する。いくつかの実施形態では、溶液およびガラス粒子が、室温を超える調整可能なな温度に上昇され、調整可能なな時間の間循環される。次に、溶液がガラス粒子から分離される。いくつかの実施形態では、次に、ガラス粒子が、最終目的地へまたは分離洗浄タンクへの移動中に洗浄される。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、明細書が参照によって本明細書に組み込まれる、2002年12月5日に提出された、米国特許第10/310,411号の一部継続出願である。
【技術分野】
【0002】
本発明は、ガラス屑製品の処理、より具体的には、ガラス屑から重金属を抽出するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
廃棄物の廃棄およびリサイクル産業は、ガラス屑をリサイクルし、廃棄するための効果的で、環境に対して安全である技術を確保していない。ガラス屑が安全に廃棄されない場合、ガラス屑内に含まれる鉛(またはその他の重金属)が、市の水道内に浸出することになる。そのとき、飲料水中の鉛のレベルは、安全であると通常考慮されている(100万分の5(ppm))を超え、水を摂取する人々が病気になり、死ぬこともある。
【0004】
また、ガラスをリサイクルすることは、人員集約的であり、費用がかかる。これは、ガラス供給業者が、別のガラス供給業者とは異なるガラス製品中の鉛の濃度を使用しているためである。結果として、ガラス屑をリサイクルするためには、各供給業者が、彼らが再使用できるガラス屑を受け取るように、供給業者別の分類に屑が分別されなければならない。様々な鉛の濃度を有するガラス屑は、溶融され、延展され、様々な温度で固化される。したがってガラス供給業者は、彼らのガラス製造プロセスで使用される適切な量の鉛濃度を有するガラス屑を再使用することしかできない。廃棄物処理施設は、供給業者ごとに分別されていないガラス屑を受け取るが、廃棄物処理施設は、異なるガラス供給屑を互いに自動的に分別する効率的な技術を有していない。
【0005】
ガラス屑のリサイクルに付随する費用と時間のかかる性質のため、多くの廃棄物処理施設は、ガラス屑の不法廃棄に頼っている。州および環境保護庁(EPA)によってガラス屑が適切に処理されないのは、このためである。このことは、このような施設の近くに住む人々にとって極めて危険である。
【0006】
ブラウン管(CRT)モニタなどのコンピュータ・モニタや、テレビジョン・セットに関連するガラス屑は、これらのモニタが高レベルの鉛を含むため、ガラス・リサイクル業者および廃棄物施設にとって特に厄介である。過去には、廃棄するために中国などの他の国へこれらのモニタを運搬するという1つの解決法があった。しかし、近年では、これらの第三世界または発展途上国も、この廃棄物がその市民にもたらす健康の害のため、これらのモニタを再利用し始めた。
【0007】
現在、コンピュータ・モニタを廃棄するための一般的かつ一時的な合法的技術は、精錬技術である。精錬プロセスは、モニタのガラスを極めて高温で溶融し、次に生成された液体の上部から鉛を抽出する。しかし、EPAは、このプロセスを、現在モニタ・ガラスを安全に廃棄するための他の実行可能な技術が存在していないため、暫定的な手段としか認めていない。EPAがこのプロセスを一時的にしか認めていなかった理由は、プロセスが、有毒ガスを副産物として生成し、ガラスを他の毒素で二次汚染するためである。精錬プロセスによって生成されるいくつかの毒素やその他の重金属は、セレン化ヒ素を含む。したがって、EPAは、精錬プロセスを無期限に継続させることを許し続けることはできないと認識し、プロセスを承継するための研究を積極的に追求し、進めてきた。
【0008】
CRT廃棄物やテレビジョン廃棄物は、合衆国の主な環境問題であり、ますます多くの団体や人々がCRTモニタやテレビジョンを驚くべき速度で購入し、廃棄し続けるため、この問題は増大し続けている。EPAはこれらのモニタの2つの廃棄方法しか認可していない。第1は、ガラス屑を屑に関連する適切な製造業者に分別することによって、モニタをリサイクルすることである(ガラス対ガラス・リサイクル)。第2の技術は、精練技術であるが、これは、EPAが暫定的な非常手段としか認めていない。最近では、CRT廃棄物は、合衆国の危険な鉛廃棄物の第2位である。液晶及び/又はプラズマ・スクリーン技術が産業に組み込まれ、個人/団体がCRTモニタの廃棄速度を加速するため、この問題は、後の数年増大し続けるばかりであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、ガラス屑製品から重金属を抽出するための改良された方法に対する必要性がある。技術は、環境に対して安全であり、技術が、廃棄物処理施設によって容易に取り入れられ、適用されるように実用的であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
簡単にかつ全体的に言えば、ガラス屑製品から重金属を抽出するための方法およびシステムが提供される。ガラス屑は、小さなサイズに破砕され、水と酸の溶液で処理される。酸は、ガラス屑の表面から重金属を抽出する。その後、ガラス粒子と溶液が分離される。
【0011】
より具体的には、および一実施態様では、ガラスから金属を抽出するための方法が提示される。ガラスはガラス粒子に破砕される。直径サイズ10ナノメートル以上2ミリメートル未満のサイズを有するガラス粒子が、それよりも大きな直径サイズのガラス粒子から濾過される。タンクが、濾過されたガラス粒子および、水(H2O)と硝酸(HNO3)の溶液で満たされる。さらに、溶液とガラス粒子がタンク内を循環させられる。次に、溶液がタンクから除去される。
【0012】
さらに別の実施態様では、ガラスから金属を抽出するためのシステムが説明される。本システムは、粉砕装置、スクリーン、コンベア、循環ポンプ、溶液ポンピング装置を備える。粉砕装置はガラスをガラス粒子に破砕する。スクリーンは、約10ナノメートルより大きく2ミリメートル未満の直径サイズを有するサイズを有するガラス粒子を濾過する。また、コンベアは、濾過されたガラスを水(H2O)と酸の溶液を有するタンクへ移送する。循環ポンプ装置は、濾過されたガラス粒子と溶液をある時間の間循環させる。最後に、溶液ポンピング装置がタンクから溶液を汲み出す。
【0013】
さらに別の実施態様では、ガラスから金属を抽出するためのシステムが提供される。本システムは、コンベア装置、溶液ポンプ、分離装置を備える。コンベア装置は、約10ナノメートルから約2ミリメートルの間の直径サイズを有するガラス粒子を移送する。溶液ポンプは、処理タンクを水と酸の溶液で満たし、ここでガラス粒子の表面から鉛を除去する。また、分離装置はタンクと溶液からガラス粒子を除去する。
【0014】
本発明のさらに他の態様は以下の様々な実施形態の説明から当業者なら理解されよう。認識されるように、本発明は、本発明から何ら逸脱することなく、他の実施形態が可能である。したがって、図面および説明は、本来例示的なものであり、限定的なものであることを意図されていない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下の説明および図面では、当業者が本発明を実施することを可能にするのに十分な本発明の特定の実施形態が示されている。他の実施形態は、構造的、論理的、電気的、処理的またはその他の変更を組み込む。実施例は、考えられる変更を類型化しているに過ぎない。個々の構成要素と機能は、明記されていなければオプションであり、操作の順序は様々であってよい。いくつかの実施形態の部分や機能は、他の実施形態に含まれ、代替されてもよい、本発明の範囲は、特許請求の範囲およびすべての使用可能な等価物の全範囲を包含する。したがって、以下の説明は、限定的な意味でとられるものではなく、本発明の範囲は頭記の特許請求の範囲で定義されている。
【0016】
本発明の様々な実施形態では、粒子または屑を粉砕、分離、加熱、保持、移動させるための様々な装置が使用されている。これらの装置は、当業者に公知であり、本開示の教えを達成するために当業者によって容易に使用可能かつ修正可能である。したがって、これらの装置が、本発明の様々な実施形態の教示を達成するために組立て及び/又は修正されるとき、組立てまたは修正されたシステムは、本開示の広い範囲内にあるように意図されている。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態によるガラスから金属を抽出するための方法100のフローチャートである。方法100は、標準的な廃棄物処理装置または装置を使用して実施される。方法100は、方法100を処理するように設計された特注の装置で処理されるてもよい。
【0018】
上記で詳細に議論したように、ガラス屑、特にCRTモニタまたはテレビジョンに関連するガラス屑は、許容可能でないレベルの鉛またはその他の重金属(たとえばカドミウム、水銀、セレニウム、ヒ素など)を含むが、それらは、ガラス屑が埋立場で廃棄される前に除去または許容可能なレベルまで減少させなければならない。また、ガラス屑が様々なレベルの鉛またはその他の重金属を含むため、リサイクルは実用的な解決法ではない。リサイクル用途のためにガラス製品ごとにガラス屑を分別しなければならないためである。本開示では、鉛やその他の重金属をガラス屑から安全にかつ効率的に除去することによって、経済的にかつ安全にガラス屑を廃棄することができる。
【0019】
105で、ガラス屑が粉砕装置に供給される。いくつかの実施形態では、ガラス屑は、ステンレス鋼材料製の可変速度のスクリュー・コンベアによって粉砕装置に供給される。一実施形態では、粉砕装置は、ニューヨーク州リッチフィールド・スプリングのAndela Toolによって製造された高速ハンマー・ミルなどの高速ハンマー・ミルである。粉砕装置は、粉砕装置を通過する度に約55%だけガラス屑のサイズを減少させる。
【0020】
別の実施形態では、粉砕装置の減少は、サブミクロン層すなわち約10ナノメートルまでガラス屑の直径サイズを減少させることができる。かつてこのような粉砕装置は、オハイオ州のDayton Colorによって作成されたCyclo Millである。粉砕装置は、コバルト・リッチである炭化タングステン媒体を使用している。標準重力の約3倍に到達する力を作成することができる。したがって、ガラス屑の直径サイズは、約10ナノメートルに到達する。
【0021】
ガラスが、粉砕装置の粉砕チャンバを離れると、トロメル分離装置が、ガラス粒子を直径約10ナノメートルから約2ミリメートル未満の間のガラス粒子を、直径10ナノメートルまたは2mmよりも大きいものから分類する。トラメル分離装置は、粒子を、2mm未満から約10ナノメートルよりも大きいサイズに分類するように構成されている。約10ナノメートルから約2mm未満の間の調整可能ななサイズの直径を有する粒子は、スクリーンを通ってステンレス鋼構造のスクリュー・コンベアなどのコンベア装置上へ通過する。このようにして、110で、約10ナノメートルから2mm以下の間の直径のガラス粒子が、ガラス屑の供給から濾過される。それよりも大きい粒子は、すべてのガラス粒子が約10ナノメートルと約2mm以下の間の所望の直径サイズになり、コンベア装置上に濾過されるまで、粉砕を続けるために供給部を通って粉砕装置に再導入される。
【0022】
濾過されたガラス粒子は、コンベア装置上を化学処理タンクへ移送される。化学処理タンクは、タンクの約75%が濾過されたガラス粒子で充填されるまで、濾過されたガラス粒子で充填される。次に、酸と水の溶液が、115でタンクを満杯にするまでタンクに加えられる。酸溶液は、約14%の硝酸(HNO3)と86%の水道水(H2O)である。濾過されたガラス粒子の小さなサイズと酸溶液のため、タンク内の混合液は、スラリ混合液となる。いくつかの実施形態では、塩酸(HCL)、リン酸(H3PO4)などの硝酸(HNO3)以外の異なる酸を使用することができる。さらに、水に対する異なる濃度の酸を、本開示から逸脱することなく使用することができる。
【0023】
120で、スラリ混合液が次に、タンク・ポンプの使用によってタンク内をある時間の間循環させられる。一実施形態では、タンク・ポンプは、約100ガロン毎秒(gpm)の速度でスラリを循環させる層流ポンプである。時間は、約1分から6時間まで調整可能なである。
【0024】
濾過されたガラス粒子が約10ナノメートルのサイズで、溶液が約華氏155度の温度まで加熱されるとき、1分の時間で達成できる。2から6時間の継続時間は、ガラス粒子の直径が約2mmであり、溶液が室温であるとき使用される。別の例として、ガラス粒子が約2mmのサイズで、溶液が約華氏155から160度の温度まで上昇させるとき、約40分の継続時間で行われる。さらなる例では、濾過されたガラス粒子の直径サイズがサブミクロンのサイズで、溶液の温度が約華氏120度の温度まで上昇されるとき、5分の時間で達成できる。
【0025】
当業者なら理解されるように、循環時間は、循環サイクル中に使用されるガラス粒子の直径サイズ及び/又は溶液の温度に基づいて調整可能なである。すなわち、溶液の温度が上昇すると、循環時間が減少する。さらに濾過されたガラス粒子の直径サイズが減少すると、循環時間が減少する。したがって、濾過されたガラス粒子の直径サイズを約10ナノメートルまで減少させ、温度を華氏155度まで上昇させることによって1分の時間で達成させることができる。循環または混合サイクルの終了の際、酸溶液が125でタンクから除去される、または処理され、濾過されたガラス粒子が溶液とタンクから濾過される。さらに、溶液の温度を上昇させることによって、溶液の溶解度が上昇する。
【0026】
一実施形態では、濾過されたガラス粒子が次に、130で始まる洗浄サイクルを受け、ここで通常の水道水がタンク内に汲み入れられる。水道水と濾過されたガラス粒子の混合液が、135で、第2の時間の間タンク内を循環させられる。一実施形態では、第2の継続時間は、約1時間である。次に、140で、混合液の酸性を中和するために石灰が混合液に注入される。一実施形態では、約90%の水に対して10%の石灰が注入される。
【0027】
他の実施形態では、濾過され、処理されたガラス粒子が最終目的地へ移送されながら、濾過されたガラス粒子が、水道水による洗浄サイクルまたは洗浄を受ける。この実施形態では、処理されたガラス粒子は、移送装置からそれらの最終目的地へ移送された後は、完全に処理され、廃棄が安全である。したがって、これらの実施形態は第2の時間を必要としない。もちろん、いったん処理されたガラス粒子が循環または混合サイクルを出た後、他の様々な移送、洗浄技術を使用することができる。このような技術はすべて、本開示の広義の範囲内にあるように意図されている。
【0028】
145で、洗浄タンクまたは本来の処理タンク内での洗浄サイクルを必要とする実施形態で、混合物が次に、中和された水道水が濾過されたガラス粒子から分離されるように分離される。一実施形態では、この分離は、濾過されたガラス粒子を最終的な保管のためにスクリュー・コンベアを介して渦流ふるいへ分割される。150で、残りの廃水が、残存するいかなる溶解性の鉛またはその他の金属も除去するために、懸濁した固体を除去するためにチャコール・フィルタや逆浸透フィルタの組合せを通ってバッグ・フィルタへ分流される。155で、水道水と濾過されたガラス粒子を、環境に対して安全な方式で安全に廃棄することができる。
【0029】
本発明の様々な実施形態では、酸溶液を、別のガラス処理サイクルによって再使用することができる。実際、酸溶液の重金属含量に応じて、酸溶液を50以上のサイクルによって再使用することができる。濾過されたガラス粒子を洗浄するために使用される水道水は、市の水道の廃棄に対し安全であり、すべてのEPA基準に適合している。酸溶液が寿命に到達したときは、酸溶液をEPA基準に従って、通常の危険廃棄物として処理し、廃棄することができる。
【0030】
さらに、濾過され、処理されたガラス粒子は、重金属がそれらの表面から除去されている。粒子内に残存したあらゆる鉛(またはその他の重金属)は、粒子から解放されることはない。なぜなら、約10ナノメートルから約2mm未満の間のガラス粒子をさらに破壊するために必要とされる力は、埋立場で、またはガラス粒子がアスファルト舗装またはコンクリート用の砂混合物として使用される場合に加えられるいかなる力もはるかに超えているためである。実際、力は粒子全体にわたって分散され、特定のガラス粒子に集中されることはない。結果として、濾過され、処理されたガラス粒子は、既存のEPA基準をはるかに超えており、それらの粒子が破裂し、周囲環境を鉛またはその他の重金属に曝すかもしれないという環境への考慮なしに、粒子を廃棄したり、他の製品中に使用することができる。
【0031】
また、ガラス粒子は酸溶液とともに循環させられ、いくつかの実施形態では、再び水道水によって循環させられると、ガラス粒子は、鋸歯状の縁部が除去され滑らかになる。実際、ガラス粒子は、通常の砂の風合いと外見を形成する。
【0032】
上記で議論した様々な実施形態は、酸溶液を除去し、ガラス粒子を洗浄しているが、これらのステップの様々な構成が、本発明の教示に適合するように使用できることを当業者なら容易に理解されよう。たとえば、酸溶液は、濾過され、洗浄のために別のタンクへ移送されたガラス粒子とともにタンク内に残すことができ、またはガラス粒子をそれらの最終目的地へ移送するときに洗浄することができる。方法100のステップのこのようなすべての変形形態は、本発明の広い範囲内にあることを意図されている。
【0033】
図2は、本発明の一実施形態によるガラスから重金属を抽出するための1つのシステム200の図である。金属抽出システム200は、粉砕装置210、スクリーン・フィルタ220、コンベア230、循環ポンプ装置240、溶液ポンピング装置250を備える。様々な追加の構成要素や構成を、本発明の教示を達成するために使用することができるため、金属抽出システム200の様々な構成要素の形状は、例示の目的のみで提示されており、本発明を限定することを意図していない。したがって、これらの追加の構成要素や構成のすべては、本発明の範囲内にある。さらに、構成要素は、当業者に公知であり、容易に使用可能である。
【0034】
粉砕装置210はガラス屑をガラス粒子に破砕する。使用できるこのような粉砕装置210の1つは、ニューヨーク州リッチフィールド・スプリングのAndela Toolによって製造された高速ハンマー・ミルなどの高速ハンマー・ミルである。オハイオ州のDayton Colorによって作成されたCyclo Millなどの他の粉砕装置は、サブミクロン寸法(たとえば約10ナノメートル)の直径サイズまでガラス屑を粉砕することができる。ガラス屑はCRTモニタでもよく、ガラス屑から金属屑材料を抽出するために粉砕装置210の供給端部に磁気装置を付加されることができる。ガラス粒子が、調整可能なな所望の、すなわち、約10ナノメートルから約2mm未満の間の直径サイズを有するとき、これらは、スクリーン・フィルタ220を通ってコンベア装置上に落ちる。所定の直径サイズよりも大きい直径を有するガラス粒子は、すべてのガラス屑が、所望の直径サイズ(たとえば約10ナノメートルから約2mm未満)に破砕されるまで、粉砕装置210に再送される。スクリーン・フィルタ220は、粉砕装置210の出口端部にトロメル分離装置を付随させることができる。
【0035】
コンベア装置230は、濾過されたガラス粒子を化学処理タンク235へ移送する。一実施形態では、コンベア装置230は、ステンレス鋼構造のスクリュー・コンベアである。コンベア装置230はタンク235内で所望の水位または重量が達成されるまで、濾過されたガラス粒子をタンク235内に排出し続ける。一実施形態では、タンクが濾過されたガラス粒子で約75%充填されるまで、コンベア装置230が、濾過されたガラス粒子をタンク235内に排出し続ける。
【0036】
次に、濾過されたガラス粒子と添加された酸溶液255でタンク235の容量を満たすまで、酸水溶液255がタンク235内に注がれる。一実施形態では、溶液255は、約14%の硝酸(HNO3)と86%の水(H2O)である。他の実施形態では、使用される酸は、塩酸(HCL)、リン酸(H3PO4)などである。さらに、水に対する異なる濃度の酸を、本開示から逸脱することなく使用することができる。溶液ポンピング装置250を、溶液255を供給し、除去するために使用する。
【0037】
いったんタンクが酸溶液255と濾過されたガラス粒子で満たされた後、スラリ混合液は、タンク235の底部に導入された層流ポンプなどの循環ポンプ装置240を使用して、調整可能なな時間の間タンク235内で混合される。循環ポンプ装置240は、スラリ混合液を約100gpmの速度で循環させる。スラリ混合液がタンク235内で混合または循環させられている時間は、約1分から約6時間までの範囲の継続時間である。時間は、濾過されたガラス粒子の直径と、混合または循環中に使用される溶液255の上昇した温度に基づいて決定される。したがって、濾過されたガラス粒子の直径サイズが減少する及び/又は溶液の温度が室温以上に上昇させられると継続時間は減少する。
【0038】
その時間が終了した後、循環ポンプ240が遮断され、溶液ポンピング装置250、または溶液255を除去するように設計されたその他の装置を使用して溶液255をタンク235から除去する。次に、溶液255が、その本来の保持タンク内(図2には図示せず)で保管され、追加のガラス屑への複数の追加の処理サイクルのため再使用される。溶液255は、(溶液255内の重金属の濃度レベルに応じて)処理サイクルで約50回再使用することができる。
【0039】
いったん溶液255がタンク235から除去された後、一実施形態では、溶液255によって残された酸残留液の濾過されたガラス粒子を洗浄またはすすぎをするためにタンク235に通常の水道水を充填する。水道水は、水供給装置260を介してタンク235に供給される。さらに、水道水は、タンク235が完全に満杯になるまで供給される。水と濾過されたガラス粒子が次に、第2の時間の間タンク内を循環させられる。一実施形態では、第2の継続時間は約1時間である。
【0040】
別の実施形態では、濾過されたガラス粒子が最終目的地へ移送されているときに、処理または濾過されたガラス粒子が溶液255から漉されるまたは濾過される。したがって、濾過されたガラス粒子が環境に対して安全に廃棄される前の第2の時間を、これらの実施形態は必要としない。
【0041】
第2の時間の終了後、循環ポンプ装置240が遮断される。次に、一実施形態では、石灰が水と濾過されたガラス粒子の混合液に酸性を中和するために注入される。一実施形態では、約10%の石灰が90%の水道水に対して注入される。次に、中和された水と石灰の混合液がフィルタ・セパレータへ汲み出され、濾過されたガラス粒子が、最終的な保管のためにスクリュー・コンベア上に(例えば、ボルタ(vorta)ふるいを介して)分けられる。もちろん、当業者なら理解されるように、石灰以外の他の中和沈殿剤を使用することができる。このような薬剤はすべて、本発明の広い範囲内にあるように意図されている。
【0042】
この時点で、ガラス粒子は、溶液255と水道水の混合サイクルのため、その表面上に重金属を有さない。また、濾過されたガラス粒子内に残存する重金属は、単一のガラス粒子に向けられるかなりの集中力がない限り濾過されたガラス粒子から抽出されない。実用的には、従来型の埋立て処理はこの力を達成しない。また、道路材料やその他のものなどの他の製品は、製品が受ける力が、濾過されたガラス粒子を割って、鉛またはその他の重金属(たとえばカドミウム、水銀、セレニウム、ヒ素など)がEPAによって危険であるとみなされる程度には分離させなる程ではないということをことを確信して、濾過されたガラス粒子を使用することができる。
【0043】
次に、水を市の水道への廃棄に対して安全するために、中和された水が水処理装置270へ供給される。一実施形態では、水処理装置270は、逆浸透フィルタリング・システムと組合せられた炭素濾過システムである。処理後、水は市の下水システムに安全に排出される。
【0044】
ガラス屑、特にCRTモニタの廃棄に付随するガラス屑を、本発明の教えによって効率的にかつ環境に対して安全に処理し、廃棄できることを、当業者なら理解し、把握されよう。これらの技術は、現在のEPA規則に随伴しており、ガラス屑を経済的に廃棄するための廃棄物処理工場のための機構を提供する。また、処理されたガラス粒子は、循環サイクルが極めて小さいガラス粒子の縁部を滑らかにするため砂の粘度を有する。また、さらなる処理は、球形の粒子を作成することができる。実際、ガラス粒子は、摂取されない場合、または開いた傷口に入らない場合、砂よりも危険ではない。このため、道路の基礎、コンクリート用の混合物などの複数の他の製品にガラス粒子を使用することができる。
【0045】
様々な装置が図2の様々な実施形態に関する図示の目的で説明されているが、本発明は、それに限定されない。実際、ガラスがサブミクロン粒子サイズまたは約2mm未満の粒子サイズに破砕され、次に酸溶液で処理される本発明の教えを達成するように設計された現在公知のまたは今後開発される装置は、本発明の範囲内にあると意図されている。
【0046】
図3は、本発明の一実施形態による、ガラスから重金属を抽出するための別のシステム300の図を示している。金属抽出システム300は、コンベア装置310と、溶液ポンピング装置320、分離装置330を備える。約2mm未満の直径を有する未処理のガラス粒子が、コンベア装置310上に排出される。粉砕/破砕装置のどの技術も、ガラス粒子をコンベア装置310に載せるために使用することができる。
【0047】
コンベア装置310は、一実施形態では、ステンレス鋼構造のスクリュー・コンベアである。コンベア装置310は、タンク330内が所望のレベルまたは重量になるまでガラス粒子を処理タンク330に排出する。一実施形態では、コンベア装置310は、タンク330がガラス粒子で約75%充填されたとき、タンク330内にガラス粒子を排出するのを停止するように構成される。
【0048】
次に、溶液ポンピング装置320が、タンク330を満杯レベルにするために、酸と水の混合液322をタンク330内に入れる。一実施形態では、酸溶液322は、水(H2O)と硝酸HNO3の混合液である。他の実施形態では、酸は、塩酸(HCL)、リン酸(H3PO4)などである。さらに、一実施形態では、酸溶液内でのHNO3の水に対する濃度は約14%である。もちろん、当業者なら理解されるように、他の濃度のHNO3を使用してもよく、本発明から逸脱することなく様々な酸を使用することができる。
【0049】
一実施形態では、酸溶液322とガラス粒子は、ある時間の間タンク330内で混合または循環させられる。混合は、混合液が約100gpmの速度で循環させられる層流ポンプなどの溶液循環装置で行うことができる。循環速度と時間は設定可能であり、本発明から逸脱することなく調節できる。一実施形態では、時間は、短くて1分から長くて6時間までの間の範囲である。時間は、ガラス粒子の直径サイズと、溶液322を加熱するために使用される室温から上昇した温度を基にして決定される。したがって、いくつかの実施形態では、タンク330内でガラス粒子と混合される溶液322の温度を上昇させるために、溶液322またはタンク330に直接加熱装置323を設けることができる。
【0050】
時間が経過した後、溶液322が、スクリーン・フィルタなどの分離装置340を介してタンク330から除去される。次に、溶液322は、その本来の保持タンクに戻され、いくつかの異なる処理サイクルのために再利用される。一実施形態では、溶液322は、新しい未処理のガラス粒子に約53回の処理サイクルで再利用される。
【0051】
次に、洗浄装置350が、普通の水道水をタンク330に供給する。タンク330はガラス粒子を有し、ガラス粒子と水道水が、これも調整可能である第2の時間の間タンク内を循環させられる。一実施形態では、第2の継続時間は約1時間である。第2の継続時間が経過した後、石灰(またはその他の中和または沈殿剤)を水の中に注入することによって、水を適切なpHレベルにする。水道水が適切なpHレベルになった後、分離装置340がガラス粒子と水を分離させる。ガラスは、他の製品とともに使用する、または環境的に安全で認可された方式で廃棄できるように安全である。他の実施形態では、処理されたガラス粒子がそれらの最終目的地へ移送されるときにガラス粒子を洗浄装置350を使用して洗浄するため、第2の時間は無視できるまたは存在しない。
【0052】
また、一実施形態では、洗浄するために使用される水道水は、炭素濾過プロセス及び/又は逆浸透プロセスなどの水処理装置360で処理される。この処理が終了すると、水は、市の水道の下水内への廃棄に対して安全である。
【0053】
特にCRTモニタまたはテレビジョンを廃棄する際の、ガラス廃棄のための既存の技術は実用的ではない。現在、各供給業者のガラスの分別のみが、リサイクルのために受け入れられており、このことは用意には達成されず、自動化されていない。他の唯一のEPAに承認されている解決法は、材料が高温で溶融される精練プロセスである。このプロセスは、EPAによって一時的/非常手段としか認められておらず、周囲環境に追加の汚染を導入する。また、その処理は複雑であり、実施するのに費用がかかる。しかし、本開示の技術、方法、システムは、ガラス屑を廃棄し、ガラス屑を他の製品で安全に再使用するための経済的であり、環境に対して安全な代替形態を提示している。このことは、当業者に公知であり、使用可能である既存の装置で達成される。
【0054】
特定の実施形態がここで図示され、説明されてきたが、同じ目的を達成するように予測された、いかなる構成も、ここに示した特定の実施形態に代わることができることを当業者なら理解されよう。本開示は、本発明の様々な実施形態のすべての適用例や変形形態をカバーするように意図されている。上記の説明は、例示的な方式で行われており、限定的なものではないことを理解されたい。上記の実施形態の組合せ、および本明細書に特に説明されていない他の実施形態は、上記の説明を読めば当業者には明らかであろう。本発明の様々な実施形態の範囲は、上記の構造と方法が使用される他の適用例も含む。したがって、本発明の様々な実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照にして、その特許請求の範囲が権利を与える均等物の全範囲にわたって、決定されるべきである。
【0055】
技術的開示の性質および趣旨を読者が迅速に確認することを可能にする要約書を必要とする米国特許法施行規則第1.72(b)条に適合するように要約書が提供されていることを強調する。これが、本発明の範囲および意味を説明または限定するために使用されてはいないことを理解されたい。
【0056】
上記の詳細な説明では、様々な特徴が、開示を簡素化する目的で単一の実施形態に集約されている。この開示の方法は、本発明の請求された実施形態が、各請求項で述べられたものよりも多くの特徴を必要とすると解釈されるべきではない。むしろ、以下の頭記の特許請求の範囲が示すように、本発明の主題は、開示された単一の実施形態のすべての特徴よりも少ない。したがって、頭記の特許請求の範囲は、詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、別個の好ましい実施形態としてそれ自体で独立したものである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】ガラスから金属を抽出するための方法のフローチャートである。
【図2】ガラスから金属を抽出するためのシステムの図である。
【図3】ガラスから金属を抽出するための別のシステムの図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス屑を2ミリメートル以下の直径サイズのガラス粒子に破砕するステップと、
スラリを形成するために酸溶液内に前記ガラス粒子を混合するステップと、
前記スラリを第1の時間の間循環させ、それによって前記ガラス粒子から重金属を抽出して処理されたガラス粒子を作成し、抽出された重金属を酸溶液と混合して酸混合液を作成するステップと、
前記処理されたガラス粒子と前記酸混合液を前記スラリから分離するステップとを特徴とする
ガラス屑から重金属を抽出するための方法。
【請求項2】
前記分離するステップにおいて、前記酸混合液を前記タンクから出すことをさらに特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記タンクを水道水で充填するステップと、
前記処理されたガラス粒子と前記水道水を、タンク内で第2の時間の間一緒に循環させ、洗浄され、処理されたガラス粒子と酸性の水を作成することをさらに特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
混合するステップにおいて、前記酸溶液が、水道水と、硝酸(HNO3)、塩酸(HCL)、リン酸(H3PO4)の少なくとも1つの酸とを含むことをさらに特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
循環させるステップにおいて、前記重金属が、鉛、カドミウム、水銀、セレニウム、ヒ素の少なくとも1つを含むことをさらに特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ガラス屑を10ナノメートルから2ミリメートルの間の直径サイズを有するガラス粒子に破砕するステップと、
前記ガラス粒子を酸溶液を有する処理タンクへ移送するステップと、
前記ガラス粒子と前記処理タンク内の前記酸溶液の温度を調節するステップと、
その温度に基づいたある時間の間前記ガラス粒子と前記処理タンク内の前記酸溶液を循環させるステップであって、処理されたガラス粒子から抽出した重金属とともに処理されたガラス粒子を作成し、前記重金属は酸溶液を作成する酸溶液と混合されているステップとを特徴とする
ガラス屑から重金属を抽出する方法。
【請求項7】
循環させるステップにおいて、前記温度が調節中に増加したとき循環のための時間が減少する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
調節するステップにおいて、前記酸溶液と前記ガラス粒子の温度が、処理タンク内で華氏155度にまで上昇され、循環のための時間が1分である請求項6に記載の方法。
【請求項9】
循環させるステップにおいて、前記温度が調節中に減少したとき循環のための時間が増加する請求項6に記載の方法。
【請求項10】
破砕するステップにおいて前記ガラス粒子の直径サイズが、2ミリメートルから10ナノメートルへ減少すると、循環のための時間が減少する請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記ガラス屑を2ミリメートル以下の直径サイズを有するガラス粒子に粉砕する粉砕装置と、
前記ガラス粒子を受けかつ水と酸の溶液を受ける処理タンクであって、前記ガラス粒子と前記溶液がその中で循環させられ、前記ガラス粒子から重金属を抽出し、かつ処理されたガラスを生成し、抽出された重金属が前記溶液と混合され、修整された溶液を作成する、処理タンクと
を有することを特徴とするガラス屑から重金属を抽出するためのシステム。
【請求項12】
前記処理タンクが、前記溶液と前記ガラス粒子を循環させる循環装置を備える請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記循環装置が、調節可能なな時間の間前記溶液と前記ガラス粒子を循環させる請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
調節された溶液をタンクから汲み出すポンピング装置をさらに特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
処理されたガラス粒子を水道水で洗浄するための処理されたガラス粒子と水道水を受ける洗浄タンクをさらに有することを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
ガラスをガラス粒子に破砕するための粉砕装置と、
10ナノメートルと2ミリメートル以下の間の直径サイズを有するガラス粒子を濾過し、濾過されたガラス粒子を作成するスクリーンと、
前記濾過されたガラス粒子を水と酸の溶液を有するタンクへ移送するコンベアと、
前記濾過されたガラス粒子と前記溶液をある時間の間循環させるための循環ポンプ装置であって、前記濾過されたガラス粒子が、処理されたガラス粒子を作成することによって抽出した重金属を有し、前記抽出された重金属が、修正された溶液を作成するために前記溶液と混合する、循環ポンプと
を有することを特徴とするガラス屑から重金属を抽出するためのシステム。
【請求項17】
タンク内の前記溶液と前記濾過されたガラス粒子の温度を上昇させることに基づいて、循環のための時間を決定する調節装置をさらに特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記温度が上昇されたとき、前記調節装置が循環のための時間を減少させる請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記温度が下降されたとき、前記調節装置が循環のための時間を増加させる請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記時間が、前記濾過されたガラス粒子の直径のサイズと前記タンク内の前記溶液と濾過されたガラス粒子の温度に基づいて調節可能なである請求項16に記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2006−511718(P2006−511718A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−508446(P2005−508446)
【出願日】平成15年11月25日(2003.11.25)
【国際出願番号】PCT/US2003/037456
【国際公開番号】WO2004/053174
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(505212223)トリ・イー・ホールディング・エルエルシイ (2)
【Fターム(参考)】