説明

ガラス廃材を破砕して形成したガラス造粒砂と砂質材料からなる混合材料

【課題】ガラス質廃材からなる造粒砂と天然砂質材料、残土などの有効利用を図ると共に、路盤材や液状化防止用材料として優れた材料の提供。
【解決手段】 粒度分類が礫質砂のガラス造粒砂とこれより粒度の小さい天然砂質材料とを混合して、ガラス造粒砂の修正CBR値を向上した路盤・路床用、又は盛土用、或いは液状化防止用混合材料であり、
さらに上記混合の比率は、粒度分布が主として細礫分から粗砂分であるガラス造粒砂20%以上と残余が粒度分布が主として中砂分から細砂分である天然砂質材料、又は粒度分布が主として細礫分から粗砂分であるガラス造粒砂90%〜50%と残余が粒度分布が主として中砂分から細砂分である天然砂質材料であり、上記砂質材料が山砂、地盤の開削などによって得られた土、若しくはそれを分級してなる砂質材料からなる、修正CBR値を向上した路盤・路床用、又は盛土用、或いは液状化防止用混合材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃ガラスを破砕して形成したガラス造粒砂と天然の山砂などの砂質材料とを混合した締固め性に優れた混合材料に関し、特に、ガラス廃材の新たな用途と天然の砂礫質材料及び開削箇所から発生した残土などを利用した、大きな支持強度を要求される路床材・路盤材、又は液状化防止材などへの利用に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス質廃材は、ビンガラスや窓ガラスなどの廃材として多量に産出し、その新たな用途を開発することが求められている。本発明者らは、先にこれらのガラス質廃材が、土木用資材の分類として礫質砂の粒度に破砕して形成した造粒砂が、これらの破砕過程でガラスの破片などに見られる鋭いファセット(縁部)が除かれると共に、その透水性・排水性などに優れた特性を発揮できることを見出して、透水・排水性の層を形成する地盤改良用資材として、或いはサンドドレーン用資材として利用することを提案した。
【特許文献1】特開2001−323449号公報
【0003】
さらに、これらのガラス破砕粒からなる材料は、単にその材質上、及び形状からこれら透水性・排水性に優れるばかりでなく、その粒子の形状とこれらの材質から路床材料として要求される締固め性などにおいても山砂などの天然の材料を凌ぎ、盛土などの土木用資材において、重要なファクターとされる、CBR(California Bearing Ratio:路床土支持力比)値が比較的高いという特性を確認して、路床材や道路埋設構造用の埋め戻し用資材として適用できることを明らかにした(特願2003−396338号)。
表1にそのガラス造粒砂の材料特性を示す。

【表1】

【0004】
表1のデータから解るように、ガラス造粒砂は透水性が高く、内部摩擦角が大きいという特性を有するが、さらに、その含水比と乾燥密度の比について、他の砂質土及び粘性土と対比すると、その特性は概略図1のように表わされる。
すなわち、図1に示す含水比と乾燥密度の関係から見ると、粘性土は本来含水比が高く、乾燥密度が低いことは当然として、砂質土においても乾燥密度は含水比によって著しく変化し、原材料の保存から施工までの含水比の調整など、施工上の管理が困難である。
これに対して、ガラス造粒砂は、乾燥密度が高い値で含水比に対してフラットな特性を有することから、その締固め特性が含水比に依存せず、含水比管理のための負担やそれらの制約を受けずに施工可能であるなど、実用上多くの有利な特性を有している。
しかしながら、さらに大きな支持強度を求められる路盤材や液状化防止などの用途に向けてはその性能特性は十分とはいえず、ガラス造粒砂の適用可能な範囲は、なお路床材や一般的な埋め戻し材に限られている。
表2に建設省、日本道路協会が採用しているこれらの材料に求められる材料規定を挙げる。なお、ここで採用されている修正CBR値は、路盤材料、路床材料の評価、選定に適用される試験であって、現場の土質、施工法、締固め法などの実際の条件を考慮して現場で目標とする締固め度に相当するCBRを表わす。
【表2】

【0005】
これに対して上記のガラス破砕材料の修正CBR値は
締固め度90%のとき CBR:12.7%
締固め度95%のとき CBR:17.7%
であって、路床材としてはこれらの基準すべてを満たしており、また、一般的な土壌の修正CBR試験特性は土質・組成によって大きく異なるが、2〜30%程度であるから、これらの用途向けに使用可能である。
これに対して、路盤材として使用するには、道路表面直下にあって通行車両からの強い繰り返し荷重受けるため、さらに高い修正CBR値と共に支持強度が求められる。
また、近年地震対策としてつとに指摘される液状化防止に関しても、これらの支持強度と共に液状化特性が優れていることが求められる。
液状化に対する対策としては、地上構造物が地震動によって発生した液状化現象のため支持力を失って傾き、倒壊することを防止するため、マンションなどの中高層建築物では建物を地中深く、硬い地盤まで達する支持杭を打ち込んで支持する方法があるが、戸建住宅などでは地下深く数十メートルも支持杭を打って支持する方法はコストや立地条件などから困難であり、一般的には、「表層地盤改良工法」、すなわち、過去の経験から地面から2メートル程度の深さまで液状化しない地層があれば被害が低減される、とされることからこの深さまで地盤を締固めたり、液状化しにくい土に置き換えることが行なわれている。
しかしながら、このような所謂液状化しにくい土として、締固め特性がよく、支持強度が大きいと共に液状化特性の優れた土は、入手困難な実情にある。液状化特性として、透水性や土粒子間の隙率、支持強度等が影響すると考えられるが、数値化された基準が求められることから、一般に「液状化強度比R」が用いられている。これは「土の繰り返し非排水三軸試験:JGS 0541」によって求められ、その「応力比―繰り返し回数」グラフから、繰り返し載荷回数Nc=20回、軸歪みDA=5%の繰り返し応力振幅比(σd/2σ0')の値を読み取ったものである。
【非特許文献1】土木学会地震工学委員会、「1995年兵庫県南部地震」5周年特別企画予稿集、「液状化に関する設計について考える」、吉田望、pp.81−84、2000
【非特許文献2】土木学会第58回年次学術講演会(平成15年9月)、「振動台実験と繰返し定体積一面,単純せん断試験による液状化強度の比較」、大島昭彦、外、pp.189〜190
【0006】
この液状化強度比Rに関しては、一般にR=0.2以上であればよいとされているが、路盤材や路床材に適した透水性や締固め性(強度)等に優れた天然の山砂などは、現在では産出量が限られていて入手困難となり、またコストも上昇している。
しかも、これらの透水性の良い山砂といっても、必ずしも路盤、路床材或いは建築物支持基盤として十分な支持強度を発揮できるものではなく、一般に砂は、粒度分布上、砂質から礫質まで含み、実用上広く採用されている修正CBR値は8〜40と幅広い値にあるが、粘土、シルト分が多いものは値が低く、粒径の大きいものほど高い値を示し、一般に使用されているいわゆる砂質土は修正CBR値7〜15である。
このため、一般的な粒度分布を有し、砂質材料に分類される山砂では支持強度、修正CBR値はガラス造粒砂よりも低く、単独ではこれらの用途に適さない。また、液状化強度比についても、土質によって異なるため一概に言えないが、R=0.2を達成することは実用上望めない。
一方、土木工事において、道路工事ばかりでなく、上下水道、ガス管などの地下構築物の埋設の際等も開削して掘り出された大量の土は、その多くは埋め戻し用とされるが一旦掘り出されて地盤構造を失った土壌は、単に埋め戻してもその地盤としての構造・強度は最早有しておらず、時間の経過と共に沈下し、さらにそれと共に地下埋設物をも移動させて損傷する原因ともなっている。
これらの現象を防止するためには、透水性、排水性の良い、且つ締固め性のよい、これらの特性・強度基準を満たす特性の材料を充てなければならないが、原料難という状態にある。
また、一方ではこれらの埋め戻し材として使用できない大量の残土を発生する事態にあり、これもまた、環境保全上の課題となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ビンガラス、板ガラスなどのガラス質廃材を破砕して形成した砂礫状素材の新たな用途及び資源量に限りのある天然砂の有効利用、さらには建設土木残土などの活用を図り、これらの廃棄物化によるあらたな環境問題の発生を防止する。特に、ガラス質破砕材からなるガラス造粒砂の特性を解明して路盤材や液状化防止特性の優れた材料などとしてこれら天然素材以上の優れた特性を発揮できる用途及びそのための条件を確認し、これらのあらたな用途に対する社会的認知を得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、粒度分類が礫質砂のガラス造粒砂とこれより粒度の小さい砂質材料とを混合して、ガラス造粒砂の修正CBR値を向上したことを特徴とする路盤・路床用、又は盛土用混合材料であり、
上記混合の比率は、粒度分布が主として細礫分から粗砂分であるガラス造粒砂20%以上と残余が粒度分布が主として中砂分から細砂分である砂質材料、又は、
ガラス造粒砂の粒度分布が主として細礫分から粗砂分であるガラス造粒砂90%〜50%と残余が粒度分布が主として中砂分から細砂分である砂質材料からなるものとすることにより一層その効果を発揮する。
また、上記砂質材料が山砂であり、地盤の開削などによって得られた土、若しくはそれを分級してなる砂質材料である。
また、粒度分類が礫質砂のガラス造粒砂、又はこれとこれより粒度の小さい砂質材料とを混合して、ガラス造粒砂の修正CBR値及び液状化特性を向上したことを特徴とする液状化防止用混合材料であり、
上記混合の比率が、粒度分布が主として細礫分から粗砂分であるガラス造粒砂20%以上と残余が粒度分布が主として中砂分から細砂分である砂質材料、又は、ガラス造粒砂の粒度分布が主として細礫分から粗砂分であるガラス造粒砂50%以上と残余が粒度分布が主として中砂分から細砂分である砂質材料からなるものであり、
上記砂質材料が山砂、又は地盤の開削などによって得られた土、若しくはそれを分級してなる砂質材料である、
ことを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のガラス破砕粒混合材料は、ガラス粒及び山砂単独よりも路床支持力を表わす数値である修正CBR値(設計CBR値)を向上して、路盤材などの高い支持力が求められる土や埋め戻し、盛り土などへの適用を可能とし、また、施工地の液状化を防止し、それによって、ガラス廃材の新たな用途開拓と共に資源量の限られた良質山砂などの使用量を節減し、さらに土木工事に伴って掘り出される土などの再利用を可能として残土処理などの環境負担を軽減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明において対象としたガラスを破砕して得た造粒砂は、篩い分けによって砂から礫の範囲の分類区分にあるが、前記の礫質砂(表1)を例に取ると、その粒径/通過質量百分率は表3左欄のとおりであり、その粒径加積曲線を各産地の砂の粒径加積曲線と比較すると図2のようになる。
図の曲線に見るようにガラス造粒砂は、破砕工程によってこれらの粒径分布に相違はあるが、ほぼ同様の特徴のある曲線となる。すなわち、これらガラス粒は破砕プロセスによって礫から砂〜シルト分までの大きさに砕かれたうえで上記の粒度に分級されるが、その原料サイズ・形状とガラス質の特性などから、シルト分の粒径から細砂の範囲の比率は小さく、曲線の立ち上がりは緩やかであるが、0.5〜2mm径の範囲の租砂から細礫又は中礫の上限値の間で急激に立ち上がり、上限値で分級されるため直線的に切れた形となる。上限値近傍の直線部分は、篩分けによるものであるが、これらの曲線全体の傾向は原料となる瓶ガラスなどの廃ガラスの破砕過程に由来するものと考えられ、ガラス廃材の破砕による造粒砂共通の傾向である。
粒度を細かくするなどの破砕工程の変更・調整を行えば、粒度分布も当然変化するが、上記曲線のまま略水平に平行移動する傾向があり、この曲線形状自体は保たれる。
【0011】
一方、天然の砂の場合、透水性の良い山砂としてサンドパイル用に用いられる各地の砂について、その粒径加積曲線を見ると、産地により相違があるが、ガラス造粒砂に比較して、より小さい粒径において立ち上がり、典型的には、1mm以下の中砂分から細砂分の範囲の粒度に分布が集中する傾向があることが解る。
天然の山砂は、産地によってその材質の由来が異なるため、砂礫粒子の比重や形状に関して相違があるが、風化して形成され、更に水流などによって選別される自然のプロセスに由来する履歴などによって粒径が揃いやすく、これらの粒度分布範囲を定めると、その中間領域の粒径のものが多くなるためで、この傾向もほぼ共通した特徴である。
土木工事の際に開削されるなどした土壌も、その地質的な由来によって相違はあるものの同様の傾向がある。
【0012】
したがって、ガラス廃材を破砕した造粒砂とこれらの天然山砂を混合するとこれらの混合比に応じた通過質量百分率となるが、その粒径は両者の中間に渡って幅広く分布するようになり、後述するように粒径加積曲線全体は直線的になる。
この場合、粒径の分布から見るとガラス造粒砂は、比較的粒径の大きい粗砂から細礫の間にその多くが分布するが、天然砂はこれに対してより粒径の小さい範囲に分布するため全体としてこれらの粒径分布は均等化することとなる。
ガラス造粒砂のみの場合、粒径の小さい成分が乏しいため、これらの比較的粒径の大きい粗砂から細礫の間には多くの空隙が存在しているが、更に粒径の小さい中砂から細砂分が加わったことによりこれらの空隙に入り込み、高密度に充填された構造となる。この事実は、乾燥密度などの測定によって確認されるが、いずれの比率においてもこれらの混合砂の乾燥密度は、これら両者の単独の場合よりも高い。
したがって、ガラス造粒砂の上記粒度分布に対してこれらの天然砂の粒度分布がこのような関係となるように補完するものを選ぶことにより、新たな粒度分布とそれよる特徴を最大限に発揮することが可能となる。
【0013】
そして、この混合状態において、CBR値は予想を越えて山砂及びガラス造粒砂両者単体のいずれよりも著しく向上し、最大山砂のCBR値の3倍、ガラス造粒砂単独の1.5倍に達するのである。
また、透水性も良好であって、山砂よりも高い値に維持される。
このような作用についてそのメカニズムの詳細は必ずしも未だ明らかでないが、ガラス造粒砂においては粗砂〜細礫がそのガラス破砕粒固有の鈍角に角張った形状によって砕石と同様に組み合った状態でその支持力を発揮し、それらの間に空隙を残していたのに対し、これらの空隙に比較的粒径の小さい山砂が入り込んで充填されることにより補強されたものと考えられる。
このことは、上記表の間隙率%が最小の領域とCBR値最大の領域とが重複し、またその前後においても同様の傾向が見られることから支持されよう。
透水性についても高い値を維持することは、これらの空隙に細粒が入り込んだ高密度に充填された構造となってもこれらのガラス粒の角張った形状によりなお空隙が維持されること、さらにガラス本来の物性として水分を吸着せず所謂水切れがよいことよるものと考えられる。
当然のことながら、このような高密度充填構造により支持強度は大幅に向上し、路盤材などとしても広く適用可能となる。また、このような高密度構造と高い透水性は、地震災害の大きな原因である液状化現象に対して耐久性が大きく、これらの防止のための支持構造として適用可能である。
これらの関係を以下実施例により粒度や粒度分布との関係で説明する。
【実施例1】
【0014】
(最適粒度分布の検討)
本発明における、ガラス造粒砂と天然の典型的な砂質材料として山砂の材料特性を表3及び図3に示す。
この表にみるように、ガラス造粒砂の粒度分布は、0.5mm以上で約80%以上を占め、特に1.0〜4.75mmの間に分布しており、それより小さい粒径では緩やかな分布を示す。
一方、天然材料の山砂においては、0.5mm以下の粒径分で約90%を占め、ガラス砂における分布の少ない0.425mm以下で約80%を占める。表3及び図3に見るように、これらを混合すると、それぞれの粒度分布に跨って粒度分布範囲が広がり、図3に示すようにグラフは直線化する。
これらの粒度分布が最も幅広く、フラットとなるのはガラス砂70%の混合材料であり、図3においてもほぼ直線をなす。
【表3】

【0015】
(強度特性評価)
上記の粒度分布の配合比率の混合材料について、設計CBR試験を実施した。その結果を表4、図4に示す。
これらの結果から、最も広い範囲にわたって平均的に粒度分布する配合比率:ガラス砂70%の混合砂が設計CBR値60.8%に達し、山砂単体の3倍、ガラス砂単体の50%向上、という値が得られた。
また、その根拠としてこれらの混合砂の粒度分布が広く、平均化されてこれらの粒子間が充填されていると考えられるが、これらの乾燥密度、間隙率は図5,6に示すように、これと略対応して変化・向上しており図5、6の関係からも粒子間の充填構造がより稠密になっていることが解る。
そこで、更に日本道路協会や建設省(現国交省)において採用されている、前記表2の修正CBRに関する材料規定に合せて確認するべく、上記において最高値を示したガラス造粒砂70%の混合材料について修正CBR値を測定したところ、乾燥密度1.843σd(g/cm3)、締固め度95.0%において36.6%であった。
従って、この値は、前記表2の修正CBRに関するアスファルト舗装下層の路盤材料として使用可能であることを示しており、道路用路盤材料として実質上ほとんどの領域において使用できることを示している。
修正CBR値は、評価手法は異なっても上記設計CBR値と同様の傾向を示すから、上記の設計CBR値から、最も条件の厳しい路盤材料においてはこの組成範囲近傍において、またより条件の緩やかな路床や盛土用としては更に幅広い組成範囲において採用できる。
【表4】

【0016】
表3のデータを粒度分布により整理したものが表5であり、図7にそのグラフを示す。
これらの表および図から解るように、ガラス造粒砂と天然砂質材料は粒度分布が異なり、ガラス造粒砂が粒度別に分級されて中礫以上の粒度分が無く、細礫分が量的に最大で、細砂分まで緩やかに減少し、中砂分より小さい粒度の粒子分が急激に減少する。
これに対して、天然砂はより粒子が小さく、丁度ガラス造粒砂の急減する粒度分以下の粒度分がその大半を占め、しかも図のように粒度分布略中間に明瞭なピークのある、誤差分布曲線に似た曲線となる(但し、粒径の大きな粒子は、量的に少なくても質量があるため、曲線は右側で緩やかなスロープを形成する)。
そして、前述のようにこれらの傾向は、ガラス造粒砂と天然砂それぞれの由来による固有のものであるから、それぞれの粒度分布を選定し、それに応じた混合比率とすれば人為的に望む特性の混合砂が得られることを示している。
すなわち、混合砂では両者の粒度分布が重ね合わされてガラス造粒砂の多く占める粒度分と天然砂の多くを占める粒度分に跨って幅の広いほぼフラットな粒度分布の砂礫質材料が調整されたことになる。
このようにして得られた支持強度の大きい材料として、天然砂質材料の特性を向上してその利用を図るという立場から、ガラス造粒砂20%以上であれば、十分に有意な成果を得たということができる。また、ガラス造粒砂の特性を更に向上したという評価からはより高い支持強度を発揮する範囲である、ガラス造粒砂50〜90%において顕著な効果を奏するということができる。
以上の実験結果は、ガラス造粒砂に対する混合材料として、所謂典型的な砂質材料を混合したものであるが、一般に土木工事などで開削して生じた土であっても、粘土質やシルト質など不適な粒度分を除けば上記した砂質材料と同様の粒度分布が得られるから、これらの土であっても必要に応じて篩い分けなど分級することによって、適用できる。また、原理的には、人工的に石質材料を破砕して製造した砂質材料であってもこのような粒度分布条件を満たせば、同様の効果を発揮することは明らかである。

【表5】

【0017】
(液状化特性の評価)
液状化防止用材料としては透水性が良く、締固め特性の良いことが望まれるが、上記の通り本発明のガラス砂混合材は、CBR値が著しく向上しており、また透水性も維持されていることが検証された。
また、ガラス造粒砂について液状化強度比を測定した結果、R=0.212を得た。
一般的に要求される液状化強度比R値は0.2以上とされるから、ガラス造粒砂はこれらの用途に適用可能である。
そこで、さらにガラス造粒砂と天然砂質材料の混合砂について、上記試験法によりR値を、求めたところ、ガラス造粒砂70%において、R=0.453であった。
すなわち、これらの混合材料は一般的に液状化防止に必要とされるR=0.2はもとより、ガラス造粒砂のR=0.212をも大きく上回り、極めて優れた液状化防止材料であることが解った。
このように支持強度に加えて液状化強度等の特性がガラス造粒砂よりもさらに向上した理由について、これらがガラス造粒砂固有の特性として締固め特性に優れ、支持強度が大きく、透水性が良いという特性を有することが、粒度分布がより小さい天然砂を混合することによりガラス造粒砂の間隙を埋めることによって支持強度を向上すると共に液状化における間隙水の影響を防止することによるものと考えられる。
このことは、前述の非特許文献2において「粒径幅の広い混合珪砂はDr増加に対する強度増加が大きく、液状化強度が大きい(第190頁,第5〜6行目)」としていることと矛盾しない。
そして、本発明においては、このような特性がガラス造粒砂と所謂天然素材である砂質材料、及び土木工事における開削に伴って発生した残土などと適宜に混合することによって人為的に調整して、優れた液状化防止用材料を得ることができる。
このような液状化防止特性は、ガラス造粒砂単体のほか、これらの砂質材料との混合においては、支持強度と共に上記の路床・路盤或いは盛土用に要求される特性との関係で説明したように透水性が保持されていること及び粒度分布がより小さい天然砂を混合することによりガラス造粒砂の間隙を埋め、それらの粒度分布が幅広く、フラットとされることによるものであるから、液状化防止におけるガラス造粒砂及び砂質材料の粒度や混合率に関しても、路床・路盤或いは盛土用混合材料におけると略同様の範囲・材質が望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ガラス造粒砂と各種天然土の含水比と乾燥密度の関係を示す。
【図2】各種天然砂質材料の粒度(粒径加積曲線)分布。
【図3】本発明のガラス造粒砂と天然砂質材料の混合材料の通過質量百分率(粒度分布)。
【図4】本発明のガラス造粒砂と天然砂質材料の混合材料の設計CBR及び乾燥密度の関係。
【図5】本発明のガラス造粒砂と天然砂質材料の混合材料の乾燥密度と間隙率。
【図6】本発明のガラス造粒砂と天然砂質材料の混合材料の設計CBR値と間隙率との関係。
【図7】本発明のガラス造粒砂と天然砂質材料の混合材料の粒度分布。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒度分類が礫質砂のガラス造粒砂とこれより粒度の小さい砂質材料とを混合して、ガラス造粒砂の修正CBR値を向上したことを特徴とする、
路盤・路床用、又は盛土用混合材料。
【請求項2】
上記混合の比率が、粒度分布が主として細礫分から粗砂分であるガラス造粒砂20%以上と残余が粒度分布が主として中砂分から細砂分である砂質材料であることを特徴とする、
請求項1記載の路盤・路床用、又は盛土用混合材料。
【請求項3】
上記混合の比率が、ガラス造粒砂の粒度分布が主として細礫分から粗砂分であるガラス造粒砂50%〜90%と残余が粒度分布が主として中砂分から細砂分である砂質材料であることを特徴とする、
請求項1記載の路盤・路床用、又は盛土用混合材料。
【請求項4】
上記砂質材料が山砂であることを特徴とする、
請求項1乃至3記載の路盤・路床用、又は盛土用混合材料
【請求項5】
上記砂質材料が地盤の開削などによって得られた土、若しくはそれを分級してなる砂質材料であることを特徴とする、
請求項1乃至3記載の路盤・路床用、又は盛土用混合材料
【請求項6】
粒度分類が礫質砂のガラス造粒砂、若しくはこれにこれより粒度の小さい砂質材料とを混合してなることを特徴とする、
液状化防止用混合材料。
【請求項7】
上記混合の比率が、粒度分布が主として細礫分から粗砂分であるガラス造粒砂20%以上と残余が粒度分布が主として中砂分から細砂分である砂質材料からなることを特徴とする、
請求項6記載の液状化防止用混合材料。
【請求項8】
混合比率がガラス造粒砂の粒度分布が主として細礫分から粗砂分であるガラス造粒砂50%以上と残余が粒度分布が主として中砂分から細砂分である砂質材料からなることを特徴とする、
請求項6記載の液状化防止用混合材料。
【請求項9】
上記砂質材料が山砂であることを特徴とする、
請求項6乃至8記載の液状化防止用混合材料。
【請求項10】
上記砂質材料が地盤の開削などによって得られた土、若しくはそれを分級してなる砂質材料であることを特徴とする、
請求項6乃至8記載の液状化防止用混合材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−97349(P2006−97349A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−285281(P2004−285281)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(500218297)ガラス・リソーシング株式会社 (4)
【Fターム(参考)】