説明

ガラス板のエッジの処理方法

【課題】ガラス板のエッジ形状に一貫性のある薄いガラス板のエッジの面取り方法を提供する。
【解決手段】一部分が支持治具16から距離Lだけ突出させたガラス板14を支持治具16に結合し、ガラス板14の第1面32に対して傾斜した第1軸線28aの周りで回転する第1の研磨ホイール18aを、突出部分に第1の変位を生じさせる第1の力Fをもって第1エッジに接触させ、ガラス板14の第2面34に対して傾斜し第2軸線28bの周りで回転する第2の研磨ホイール18bを、突出部分に第1の変位とは反対方向の第2の変位を生じさせる第2の力Fをもって第2エッジに接触させる。その場合に、第1の変位と第2の変位とがオーバーラップしないように、第1軸線28aと第2軸線28bを離す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板の処理方法に関し、特にこのガラス板のエッジの整形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガラス板の製造は、原材料を溶かして溶融ガラスを形成し、この溶融ガラスをシートまたは板に成形し、最後にこの板を、購入者またはユーザーの要望を満たす最終的な形状に処理するという三つの主要な工程を含む。薄いガラス板の成形方法は、溶融ガラスが上面開放パイプに供給される、オーバーフロー・ダウンドロー法、すなわちフュージョン法を含む。上記溶融ガラスは上記パイプをオーバーフローし、かつこのパイプの外表面を形成する収斂する両面を流れ下る。2条の流れは上記パイプの底縁において再会し、すなわち融合して、薄い帯状ガラスを形成する。別の方法は、溶融ガラスが通常錫の浴槽上に浮遊される、よく知られたフロート法、アップドロー法、スロットドロー法などを含む。一般に、これらの方法の全てにおいて、個々のガラス板を親シートから分離し、かつこれらのガラス板を裁断作業により所定の寸法にし、かつガラスのエッジ処理を行なって、その後の取扱い作業のためにガラス板を強化している。個々のガラス板は、個々のガラスが親シートから裁断されるときに形成される可能性のある傷を取り除くとともに、取扱い時に傷つき易い鋭利なエッジを除去するというエッジ処理を施される。
【0003】
薄いガラス板のエッジ処理は一般に、溝つき研削ホイールを用いて行なわれている。これらの溝は、溝の鏡像形状をガラス上に形成する。このエッジ処理工程は、ブラウン(Brown)等の特許文献1および2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,685,541号明細書
【特許文献2】米国特許第6,325,704号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子ディスプレー産業(コンピュータ、携帯電話、デジタルカメラ等)の大きな影響により、より薄いガラス板の需要が増大するのにつれて、研削ホイールを用いて一貫性のあるエッジ形状を形成するのが益々困難になって来ている。すなわち、
・研削ホイールの輪郭が使用に伴って歪んできて、ガラス板のエッジ形状に一貫性がなくなる。
・研削ホイールにより利用される表面積が溝に限定されるので、材料利用率が悪く、コスト高になる。
・実際にガラスに接触するのは研削ホイールの比較的狭い表面積のため、より粗い研削粒子を用いる必要があり、最終的にガラスシート表面の仕上げ状態の質が低下する。
・研削時に削り屑を逃すギャップがガラスと研削ホイールとの間に存在しないため、研削ホイールがガラス粉によって目詰まりするにつれて、ガラス板に欠陥が生じる可能性が増大する。
・小さいきつい半径が要求される場合に、ホイール輪郭を作製するのが困難である。研削ホイールは一般に放電加工(EDM)を用いて作製される。この工具は使用に伴って急速に摩耗することが多く、得られた溝の底に望ましくない鈍い輪郭が形成される。
・上記エッジ処理は、ガラス板から取り除くのが困難なことが多い微粒子(例えばチップ)を発生させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの実施の形態において、ガラス板のエッジの整形方法が説明されており、この方法は、一部分が支持治具から距離Lだけ突出し、かつ第1面、この第1面に対向する第2面および端面を備えた1枚のガラス板を上記支持治具に結合する工程であって、上記第1面と上記端面とが第1エッジに沿って交差し、かつ上記第2面と上記端面とが第2エッジに沿って交差している工程;上記第1面に対して傾斜した第1軸線の周りで回転する第1のカップ型研磨ホイールを上記第1エッジに接触させる工程であって、上記第1のカップ型研磨ホイールは、上記突出部分に第1の変位δを生じさせる第1の力Fをもって上記第1エッジに接触している工程;上記第2面に対して傾斜しかつ上記第1のカップ型研磨ホイールの回転軸線から距離Dだけ離れた第2軸線の周りで回転する第2のカップ型研磨ホイールを上記第2エッジに接触させる工程であって、上記第2のカップ型研磨ホイールは、上記突出部分に第1の変位δとは反対側の第2の変位δを生じさせる第2の力Fをもって上記第2エッジに接触し、かつ上記第2のカップ型研磨ホイールは、上記第1エッジに接触する上記第1のカップ型研磨ホイールと同時に上記第2エッジに接触している工程;および上記第1および第2のカップ型研磨ホイールが上記第1および第2エッジにそれぞれ接触している間、上記第1および第2のカップ型研磨ホイールと上記ガラス板との間に相対運動を生じさせる工程を含み、その場合に、上記第1の変位が上記第2の変位とオーバーラップしない。上記第1および第2のカップ型研磨ホイールが上記第1および第2エッジにそれぞれ接触している間、上記第1および第2のカップ型研磨ホイール間には相対運動が存在しないことが好ましい。Dは好ましくは220mm以上、好ましくは250mm以上、好ましくは275mm以上、または好ましくは300mmである。Lは、ガラス板の厚さが極めて薄いような場合(例えば0.3mm未満)には、5mmと短いが、Lは、好ましくは10mm以上、好ましくは25mm以上、そして、より好ましくは50mm以上である。いくつかの実施の形態においては、面取りによって生じた複数のエッジがさらに研磨される。
【0007】
別のいくつかの実施の形態において、支持治具のエッジは、支持治具のエッジに対するガラス板の突出量Lが変化するように整形されている。例えば支持治具は、上記突出部分に最も近いエッジが非直線形状を有する。この非直線形状は曲線であってもよいし、または複数の直線部分の組合せであってもよい。
【0008】
いくつかの実施の形態においては、一定の面取り幅を維持しかつガラス板の突出部分の追従性を補足するために、上記第1の研磨ホイールと上第1エッジとの間の距離がそれぞれ変化せしめられる。
【0009】
別の実施の形態においては、ガラス板のエッジの整形方法が開示され、この方法は、一部分が支持治具から距離Lだけ突出し、かつ第1面、この第1面に対向する第2面および端面を備えた厚さが2mm以下の上記ガラス板を上記支持治具に結合する工程であって、上記第1面と上記端面とが第1エッジに沿って交差し、かつ上記第2面と上記端面とが第2エッジに沿って交差している工程;上記第1面に対して傾斜した第1軸線の周りで回転する第1のカップ型研磨ホイールを上記第1エッジを接触させる工程であって、上記第1のカップ型研磨ホイールは、上記突出部分に第1の変位を生じさせる第1の力Fをもって上記第1エッジに接触している工程;上記第2面に対して傾斜しかつ上記第1のカップ型研磨ホイールの回転軸線から距離Dだけ離れた第2軸線の周りで回転する第2のカップ型研磨ホイールを上記第2エッジに接触させる工程であって、上記第2のカップ型研磨ホイールは、上記突出部分に第1の変位とは反対方向の第2の変位を生じさせる第2の力Fをもって上記第2エッジに接触し、かつ上記第2のカップ型研磨ホイールは、上記第1エッジに接触する上記第1のカップ型研磨ホイールと同時に上記第2エッジに接触している工程;および上記第1および第2のカップ型研磨ホイールが上記第1および第2エッジにそれぞれ接触している間、上記第1および第2のカップ型研磨ホイールと上記ガラス板との間に相対運動を生じさせて、上記第1および第2エッジに面取り部を生成させる工程を含み、その場合に、上記突出部分は上記支持治具から25mm以上の距離Lだけ突出し、かつDは上記第1の変位が上記第2の変位とオーバーラップしないように選択される。
【0010】
上記双方の面取り部の面の交差によって形成される夾角は40°と140°との間であることガ好ましい。
【0011】
いくつかの実施の形態においては、上記面取り工程によって形成された複数のエッジは、それらの鋭利さを取り除き、かつ鋭利な面取りされたエッジ同士が接触した場合に生じ得るクラックを回避するために、その後に研磨される。
【0012】
上記突出部分の剛性を、したがって研削ホイールとの接触から生じる撓み量を変えるために、Lが上記第1または第2エッジに沿った位置の関数として変わってもよい。Lは5mmと50mmとの間の範囲内にあることが好ましい。
【0013】
Dは220mm以上、好ましくは275mm以上、いくつかの実施の形態においては、約300mmまたは320mm以上である。
【0014】
さらに別の実施の形態においては、ガラス板に面取り部を研削する装置について説明されており、このガラス板は、ほぼ平行な二つの主面と、ほぼ平行な第1および第2エッジに沿って上記両主面と交差する少なくとも一つの端面とを備えている。この装置は、ほぼ平坦な研削面を備えた第1および第2の研削ホイールを有し、上記両研削面は、上記ガラス板の上記端面に対して傾斜して配置されて、ガラス板の上記第1および第2エッジのそれぞれに沿って面取り部を生成させ、上記第1および第2の研削ホイールは、それぞれ第1および第2の回転軸線の周りで回転するように構成されている。この装置はさらに、上記ガラス板の一部分が支持部材から突出しかつ上記第1および第2の研削面が上記第1および第2エッジにそれぞれ接触するのに応じて上記ガラス板が撓むのを許容するように上記ガラス板を支持する支持部材(例えば真空チャック)を有し、上記突出部分が上記第1および第2エッジを備えている。上記第1および第2の回転軸線は、上記第1の研削面と上記第1エッジとの間の接触から生じる上記ガラス板の上記突出部分の撓みが、上記第2の研削面と上記第2エッジとの間の接触から生じる上記ガラス板の上記突出部分の撓みに影響を与えないような距離だけ離れており、かつ上記第1および第2の研削面と上記第1および第2エッジとの間の接触が同時に生じる。
【0015】
上記ガラス板は、上記突出部分の剛性が上記第1または第2エッジに沿った位置の関数として変化する態様で支持されていることが好ましい。いくつかの実施の形態においては、上記突出部分が上記支持部材から突出する距離が、上記第1または第2エッジの長さ方向に沿った位置の関数として変化する。
【0016】
如何なる限定をも伴うことなしに、添付図面を参照して与えられる下記の具体例の説明の過程で、本発明はより容易に理解され、かつその他の目的、特徴、詳細内容および効果がより明白に明らかになるであろう。本明細書に含まれるこのような付加的なシステム、方法、特徴および効果の全てが、本発明の範囲内であり、かつ添付の請求項によって保護されるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】面取り部を備え、かつ面取り幅を示すガラス板の一部の断面側面図である。
【図2A】ガラス板のエッジを処理する(例えば面取りをする)ための装置の断面側面図である。
【図2B】図2Aのガラス板のエッジ部分の拡大図である。
【図3】図1の面取り部等の面取り部を生成させるのに用いられるカップ型研磨ホイールの断面側面図である。
【図4】成形された研磨ホイールの断面側面図である。
【図5】面取り後のガラス板のエッジを示し、かつ研磨ホイールの研削面の角度関係を示す、図2Aのガラス板の一部分の断面側面図である。
【図6】固定部材から突出する部分を備え、かつガラス板の端部に力が加えられたときに発生する撓みを示す、図2Aのガラス板等のガラス板の断面側面図である。
【図7】回転軸線が距離Dだけ離れている2個のカップ型研磨ホイールを示す、図2Aのガラス板の平面図である。
【図8】公称突出距離が25mmおよび50mmのガラス板に関する撓み量の平均値(円形)、最大値(三角形)および最小値(四角形)と、偏向力を印加する研磨ホイールの位置の僅かな変化に対するガラス板の端部の撓み量の変化を示すグラフである。
【図9】カップ型研磨ホイールの位置が、25mmの突出距離を有するガラス板上の公称位置から変化せしめられときの、カップホイールの位置の関数としての面取り幅を示すグラフである。
【図10】ガラス板に接触する単一の研磨ホイールによって単一の力が印加される場合、不適切な距離しか離されていない2個の研磨ホイールがガラス板に接触する場合、および、第1の研磨ホイールによる撓みが第2の研磨ホイールによって齎される撓みとオーバーラップしない適切な距離だけ離されている2個の研磨ホイールがガラス板に接触する場合の3通りのシナリオに関する、時間の関数としての撓み量を示すグラフである。
【図11】2個のホイールが接近し過ぎて、一方のホイールによって齎される撓みが他方のホイールによって齎される撓みとオーバーラップする場合、および、一方のホイールによって齎される撓みが他方のホイールによって齎される撓みとオーバーラップしないように、2個のホイールの距離が離されている場合の、2個の研磨ホイールがガラス板に接触することによって齎される撓み作用を示すモデル化の結果を表すグラフである。
【図12】支持部材のエッジが直線的でなく、突出距離が変化する支持部材によって支持されているガラス板の平面図である。
【図13】支持部材のエッジが直線的でなく、突出距離が変化する支持部材によって支持されているガラス板の平面図である。
【図14】研磨後のガラス板の面取りされたエッジの断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
説明のためであって限定のためのものではない下記の詳細な説明において、本発明全体の理解のために、具体的な詳細内容を開示する模範的実施の形態が説明されている。しかしながら、本発明は、ここに開示された具体的な詳細から離れた他の実施の形態の実施が可能なことは、本明細書の恩恵を受けた当業者には明らかであろう。さらに、本発明を不明瞭にしないために、良く知られたデバイス、方法および材料についての説明は省略されている。最後に、類似の素子には可能な限り類似の符号が付されている。
【0019】
電子ディスプレー製造者等の機器製造者に供給される薄いガラス板は、処理されたエッジを備えている。すなわち、これらのエッジは研削かつ整形されて(例えば面取りされて)、破損し易い鋭利なエッジが取り除かれ、かつ裁断工程から発生する、ガラスの強度を低下させ得るエッジの傷(欠け、ひび割れ等)が取り除かれている。このようなガラス板は、一般に対向する両表面間の厚さが約2mm以下であり、約0.7mm以下がより好ましく、用途によっては約0.5mmである。極めて薄いガラス板は0.3mm以下にすることができ、それでもなお本発明の恩恵を受ける余裕がある。
【0020】
ガラスの割れは、例えば小さなひびのような最初の傷を足掛かりにして、この最初の傷から割れが延びることが知られている。割れは、極めて短い時間で自然に発生し得るか、あるいは、物品内に存在する応力に応じた長い時間に亘って徐々に発生し得る。それでもなお、各割れは傷から始まり、かつガラス板の傷は、一般にエッジに沿って見られ、そして先に罫書かれかつ裁断されたエッジに最も多く見られる。エッジの傷を排除するためには、ガラス板のエッジには最小の傷しか残らないように研削されまたは研磨され、これにより、傷を伝播させるのに必要な応力を高めることによって、ガラスシートの強度を高めればよい。
【0021】
一方、ガラスの研削によりガラス微粒子が形成される。この微粒子は、洗浄しても、ガラスの表面から除去するのが困難なことが多い。したがって、鋭利なエッジおよび傷を最少にしながら、ガラスから取り去られる(削り取られる)材料の量を最少にするという競合する要望がある。図1を参照すると、単一の面取り部8を備えたガラス板の模範的端部が示されている。幅Wによって特徴付けられる面取り部8の研削時に発生する微粒子の量は最少にされなけれるべきである。この面取り部の幅は、面取り部と交差するガラス板の端面からの基面の長さとして定義される。
【0022】
さらに、研磨ホイールは、ガラスエッジに沿って移動するにつれて、その位置に遊びまたは振動があるので、研削工程自体は滅多に一様であることはない。すなわち、研磨ホイールはガラス板に接近したり遠ざかったりするように動くので、研磨ホイールによってガラス板に印加される力は、時間および/または位置の関数として変化し得る。この位置の変化は、エッジから除去される材料の量に直接影響し得る。上記変化は、一様でない研削および発生する微粒子の量の変化を招来する。より判り易く言うと、面取り部の幅が変化し、もし研削されるガラス板のエッジが硬ければ、この変化は最もひどくなる。
【0023】
図2Aには、支持部材16を備えた、薄いガラス板14の処理装置10が示されている。処理装置10はさらに、第1研磨ホイール18aおよび第2研磨ホイール18bを備えている。各研磨ホイールは他の研磨ホイールと同一であることが好ましく、指示がない限り、下記の説明では、模範的な研磨ホイール18(図3)について説明する。
【0024】
図3に示されているように、模範的な研磨ホイール18は、窪んだ中心領域20を備えた円形ホイールである。このようなホイールは、カップ状の形状を有するが故に、一般に「カップホイール」と呼ばれている。研磨ホイール18はさらに、研削面として機能する外側環状面22を備えている。この研削面は平らであることが好ましい。これは、ガラス板のエッジに望まれる輪郭と相補的な輪郭を有するホイールのエッジにおける溝すなわち窪んだ領域24を備えた「成形された」研削ホイール(図4参照)と比較される。
【0025】
図4に示されているような成形されたホイールは、研削面内の窪んだ領域に関して小さなきつい半径が要求される場合に製作が困難である。成形されたホイールは、一般に放電加工機(EDM)を用いて製作され、この形状を創り出すこの工具は急速に摩耗し勝ちであり、得られる溝の底に鈍い形状を生成させる。この摩耗は、薄いガラス板のエッジ上に仕上げられた最終的な形状を生成させるためには望ましくない。これに比較して、本発明の実施の形態による平面接触面(すなわち研磨面)を有するホイールは、ガラス板に接触する研磨面が著しく増大しているために、遥かに長時間その形状を維持する。
【0026】
一般に、研削面22は、適当な基質すなわちバインダ(例えば樹脂または金属複合基質)中に分散された切削媒体としてダイアモンド粉を備えている。600メッシュのダイアモンド粉を用いれば良い結果が得られるが、300メッシュから1000メッシュまでの範囲内の粒径が良いことも立証されている。カーバイド粉等の他の切削媒体も用いることができる。研磨ホイール18は、電動機の軸等の回転軸26に取り付けられ、この軸は、その周りで研磨ホイールが回転せしめられる軸線28を備えている。上述のカップ型研磨ホイールを用いれば、成形されたホイールに比較して、ガラス板に対して施される研磨面積が著しく増大するので、カップ型研磨ホイールは、研削されるガラスの量に用いられる研削媒体の観点からより費用効果が大きい。より簡単に言えば、カップ型研磨ホイールは、研削業務に対して、成形されたホイール構造よりも、より多くの研削媒体を施すことによって、より有効な研削媒体の使用を可能にする。また、平らな接触面を有する研磨ホイールが備えている、より大きい表面積が用いられるので、成形されたホイールよりもずっと永く使用することができる。このことは、研磨ホイールの年間コストを低減することができるのみでなく、カップ型研磨ホイールの交換に伴いラインが停止する頻度を、成形されたホイールよりも遥かに少なくすことができるために、生産コストをも低減することができる。
【0027】
図2Aはまた、ガラス板14の部分30が支持部材16を越えて突出する態様で、支持部材16により支持されていることをも示している。例えばガラス板14は、図示のような水平状態に配置され、この状態は、このガラス板が支持部材から片持ちにされていると言われる状態である。しかしながら、ガラス板14は如何なる方位、如何なる角度に固定されていてもよい。例えばガラス板14が垂直方向に支持されていてもよい。装置10は、ガラス板14を支持部材16に固定するために、レール、フィンガ、フックまたはその他のクランプ部材を備えたクランプ部材31を備えている。ガラス板の他の固定方法は、ガラス板を静止状態に支持する真空チャックを備えることによる。真空が単独に、またはさらなるクランプ部材と組み合わせて用いられる。一般に、ガラス板の一部分が固定物(例えば支持部材16およびクランプ部材31)から突出して配置され、かつガラス板はしっかりと取り付けられていても、その突出した部分は固定物に対して自由に撓むことができるようになっておりさえすれば、如何なる適当な方法でガラス板14が支持部材16に固定されていてもよい。ガラス板は、上記突出する部分30が所定の距離Lだけ突出するように固定物に取り付けられる。この距離Lは、下記にさらに詳細に説明されているように、ガラス板のLは、測定されるエッジに沿った位置に応じて変わり得る。
【0028】
なおも図2Aを参照すると、ガラス板14は、第1主面32、第2主面34、および第1および第2主面の間において、第1および第2エッジ38,40に沿って第1および第2主面とそれぞれ交差する端面36(ガラス板14の一部分を示す図2B参照)を備えている。ここで、図2A,図2B、図5および図6を参照すると、第1のカップ型研磨ホイール18aは、この研磨ホイールの平らな研削面が端面36に対して第1角度αを形成し(図5)、かつ第1面32と端面36との間の第1エッジ38(図2B)に接触するように配置されている。第2カップ型研磨ホイール18bは、この研磨ホイールの研削面が端面36に対して第2角度βを形成し、かつ第2面32と端面36との間の第2エッジ40に接触するように配置されている。第1および第2角度α,βは等しいことが好ましいが、必ずしも必要ではない。
【0029】
第1研磨ホイール18aは、回転軸線28aの周りで回転せしめられ、第1面32上に力Fをもって作用する。この力F自体は、ガラス板14に撓みδを生じさせる。すなわち、ガラス板14は印加される力に応答して曲がる。このことは、ガラス板14に力Fが加えられ、これにより撓みδの形態の応答が誘導されることを示す図6に一般的に見られる。曲がり量、すなわち追随性(δの大きさ)は、ガラスの材料特性(例えばヤング率)、固定物からの突出量、および力の大きさを含む多くの変数の関数である。これらの変数は一括されて、剛性の値kによって特徴付けられ、剛性は、加えられた力を曲がり量で割った値に等しい。この剛性kは一般に、
【数1】

【0030】
として表すことができ、ここで、撓み量δで除算し力Fはまた、ガラスの弾性係数に慣性モーメントを掛け、かつ固定部を越えるガラスの突出量の3乗で除算した値に比例する。
【0031】
一つの研磨ホイールによって除去される材料の量は、印加される力に直接比例することも示されている。上述の等式から、突出部分がなく、かつ印加された力の存在に対してガラス板の面に撓みがないように、剛直な支持部材によって完全に支持された板は、剛性が無限大である。この場合、研磨ホイールによってガラス板に印加される力のような力の増大は、材料の除去される量の増大と釣り合う結果となり、したがって、面取り部の幅が増大する。このようなシステムは、実生活にしばしば観察されるように、研削ホイールの位置の僅かな変動にも敏感に反応する。この感受性は1:1と高く、印加される力が2倍になれば、除去される材料が2倍になる。
【0032】
一方、上述の関係は、もしガラス板の一部分が固定物を越えて(例えば支持部材16を越えて)突出していれば、突出部分の剛性は低下しかつ有限でガラス板は撓み得る。低い有限の剛性に関しては、この追随性が面取り部の幅を狭くする。換言すれば、低い剛性を有する(追随性を示す)ガラス板に接触する研磨ホイールに僅かな位置的変動があっても、剛直なガラス板(例えば高い剛性)に比較した場合に、除去される材料の大きな増大を防ぐことができる。さらに、エッジ斜め削り装置の精密なレベルは、ガラス板が追随性を示さない場合に必要であるほど高い必要はない。これにより、例えばベアリングの精密性が緩和されるので、機器のコストが低減される。
【0033】
本発明の実施の形態によれば、複数の研磨ホイールが用いられて、固定装置によって束縛されたガラス板の端縁の両エッジに面取り部を形成し、その場合、ガラス板は、固定装置を越えて突出する部分を備えている。少なくとも2個の研磨ホイールが配備され、これら少なくとも2個の研磨ホイールのそれぞれが、ガラス板の両側においてガラス板の端部上に係合するように配置される。各ホイールは、各回転軸線の周りで回転せしめられ、かつガラス板の端縁に沿って二つの面取り部が形成されるように、ガラス板の端縁に沿って移動せしめられる。
【0034】
例えば、研磨ホイール18aによって、ガラス板14の第1エッジ38に沿って面取り部が形成される。端面36に対する面取り部の角度αは、20°から70°までの間の角度において良い結果が得られたが、約60°が好ましい(図5)。同様に、研磨ホイール18bは、約60°が好ましい面取り角度βをもって第2エッジ40に第2面取り部を生成させる。しかしながら、これも20°から70°までの間の角度が許容範囲である。これにより、第1および第2主面32および34、端面36、ならびに面取り面42および44を備えた、図5に示すような中間形状が生成される。面取り面42および44は、それぞれ第3および第4エッジ46および48に沿って端面36と交差している。面取り面42および44はまた、第5および第6エッジ50および52に沿ってそれぞれ第1および第2主面32および34と交差している。二つの面取り面によって形成される夾角φは、40°と140°との間の範囲内が好ましい。
【0035】
カップ型研磨ホイール18bから18aへの影響を遮断するために、第1および第2カップ型研磨ホイール18a,18bのそれぞれの回転軸線28a,28bは、図7に示されているように、所定の間隔Dが保たれている。この所定の間隔の値は、一方のカップホイールによってガラスシート14に対して加えられる力が他方のカップホイールに影響を与えないように選択される。すなわち、一方のカップホイールによって生起されるガラス板の平面からの撓みは、他方のカップホイールの支配領域内において撓みを生じさせない。もっと簡単に言えば、一方の研磨ホイールによって生起されるガラス板の平面からの撓みが、他方の研磨ホイールによって生起される撓みとオーバーラップしない。
【0036】
取り除かれる材料の量、すなわち面取り幅は、研削作業の成果の測定に用いられる。図8は、二種類の公称突出量25mm(左)および50mm(右)に対する面取り幅の平均値(円形)および最小値と最大値との間の範囲(各データ点に関する三角形と四角形との間の距離)を示す。短い方の公称突出距離L=25mmに関しては、Z軸方向の加工位置の(切込み深さ)の増大に伴って面取り幅が増大する。すなわち、研磨ホイールがガラスシートにより近く持ち来たされるからである。L=50mmに関する同様の観察は、切込み深さの増大に伴う面取り幅の変化は、突出距離25mmのサンプルに関する増大量よりも小さいことを示している。
【0037】
図9は、切込み深さ(Z軸方向の加工位置)の変化に伴う取り除かれるガラス材料における非直線性を示す。ホイール位置が公称位置に対してZ軸(ガラス板の主面に直角)に沿って変化すると、撓みは非直線的に変化する。これは、印加される負荷(切削力)の変化につれてガラスの剛性に変化が生じるために起こる。研磨ホイールによってガラス板に大き過ぎる力が印加された場合における最終的な到達点は、ガラスの破損(破壊)を招くか、あるいはガラスが支持部材(例えば真空チャック)から外れる原因となる。
【0038】
当業者であれば、第2の研磨ホイール18bに関しても、上述の事状と同様のことが表現され得ることが理解されるであろう。すなわち、第2エッジ40に接触して力Fを加える第2の研磨ホイール18bを考える。しかしながら、FはFの方向とは反対方向に印加されるために、ガラスシートの突出部分の変位は、第1の研磨ホイールによって生起される撓みとは反対方向に発生する。
【0039】
一つの実施の形態は、先ず一方のエッジを面取りして、次いで他方のエッジを面取りすることを含むが、この方法は、双方のエッジを同時に面取りするよりも非効率的である。しかしながら、各カップ型研磨ホイールによって突出部分に加えられて、この突出部分に撓みを生じさせる力は、第1および第2のカップ型研磨ホイールのそれぞれに関して反対なために、一方のカップホイールによって生起される撓みが、他方のカップホイールによる研削に影響しないように、二つのカップホイールを離すことが望ましい。換言すれば、双方のカップ型研磨ホイールの回転軸線は、少なくとも両カップホイール間のガラス部分が実質的に撓まないように、距離Dだけ離さなければならない。
【0040】
図10は、三種類のシナリオに関する撓み量測定を示す。すなわち、1)単一の研磨ホイールが研削作業を実施するときのガラス板の変位(曲線60)、2)回転軸線が190mmだけ離れた2個の研磨ホイールが研削作業を実施するときのガラス板の変位(曲線62)、3)回転軸線が310mmだけ離れた2個の研磨ホイールが研削作業を実施するときのガラス板の変位(曲線64)である。曲線64の平坦部分66は、2個のホイール間に相互作用がないことを示している。すなわち、両ホイールによって生成される変位は分離され、かつ互いに区別可能であり、交差しない。二つの変位の間の平坦な領域66は、変位しない領域である。2本の回転軸線28a,28b間の間隔Dは、250mm以上が好ましく、310mm以上がより好ましい。
【0041】
図11は、二種類のシナリオに関するモデル化の結果を示す。曲線70によって表されている第1のシナリオにおいては、先ず第1の研磨ホイールがガラス板に係合し、その後に第2の研磨ホイールが係合する。第1の研磨ホイールの回転軸線は第2の研磨ホイールの回転軸線から190mmの距離Dしか離れていない。この曲線は、上記第1および第2の研磨ホイールの接触による上記第1および第2の研磨ホイール間のガラス板の撓みを示している。すなわち、一方の研磨ホイールによる撓みが他方の研磨ホイールによる撓みによって影響されている。曲線72は、二つの研磨ホイールの回転軸線が310mmだけ離れている場合を示す。実質的に平坦な部分74は、一方のホイールによって生起された撓みが、他方のホイールによる撓みによって影響されていないことを示している。
【0042】
別の実施の形態においては、ガラス板のコーナーにおける剛性が、ガラス板の中心領域におけるガラス板の剛性よりも低いという事実を反映して、支持部材の形状が変えられている。このことは、ガラス板のコーナーにおける一点が、一方側にのみガラスを有していて、他方側にはガラスが存在しないことに注目することによって容易に理解することができる。エッジの他端における反対側のコーナーに関しても同じことが言える。このことは、上記ガラス板に対して所定位置にセットされた(すなわち、所定の研削深さにセットされた)研磨ホイールが、上記ガラス板の両コーナーからよりも多くの材料を上記ガラス板の中央領域から取り去る結果となる。これは、両コーナー領域が部分的により多く撓んで、カール状態を示すことによって生じる。一定の剛性と、エッジの長さ方向に沿う一貫した材料除去を維持するために、剛性に左右される変数の一つを変える必要がある。必要であれば、研磨ホイールが与えられたエッジに沿って移動するにつれて研磨ホイールの位置を変えればよい。あるいは、ガラス板の突出量Lがエッジに沿って変化するように、支持部材16の形状を変えればよい。この場合には、上記ガラス板の両コーナーの近傍においてLを短縮しなければならず、これらの点においてLを短縮すると、これらの領域におけるガラス板の剛性が効果的に増大する。例えば図12は、支持部材16に取付けられたガラス板14の平面図を示し、支持部材16は、ガラス板の所定の領域におけるLが短縮されるように、ガラス板14の突出部分30の近傍において非直線的なエッジを備えている。この支持部材のエッジは、接続された複数の傾斜した直線部分を備えて、図12に示されているように、ガラス板の中央部分(例えばL)と端部(例えばL)との間で突出長さが異なる効果を有し、あるいは、図13に示されているように、エッジが湾曲部分を有していてもよく、同様に突出長さが異なる効果を有する。
【0043】
さらに、一旦ガラス板上に面取り部が生成されると、後から生成された複数のエッジ(46,48および50,52)はさらに研磨されて、これらのエッジの鋭利な角が取り除かれて、円弧状のエッジを形成する(図14参照)。これは、例えばバフ研磨ホイールおよび適当な研磨ペーストを用いて達成される。
【0044】
種々の模範的および非限定的実施の形態は下記の通りである。
【0045】
C1:ガラス板のエッジの整形方法において、この方法は、一部分が支持治具から距離Lだけ突出し、かつ第1面、該第1面に対向する第2面および端面を備えた1枚のガラス板を支持治具に結合する工程であって、上記第1面と上記端面とが第1エッジに沿って交差し、かつ上記第2面と上記端面とが第2エッジに沿って交差している工程;上記第1面に対して傾斜した第1軸線の周りで回転する第1のカップ型研磨ホイールを上記第1エッジに接触させる工程であって、上記第1のカップ型研磨ホイールは、上記突出部分に第1の変位δを生じさせる第1の力Fをもって上記第1エッジに接触している工程;上記第2面に対して傾斜しかつ上記第1のカップ型研磨ホイールの回転軸線から距離Dだけ離れた第2軸線の周りで回転する第2のカップ型研磨ホイールに上記第2エッジを接触させる工程であって、上記第2のカップ型研磨ホイールは、上記突出部分に第1の変位δとは反対側の第2の変位δを生じさせる第2の力Fをもって上記第2エッジに接触し、かつ上記第2のカップ型研磨ホイールは、上記第1エッジに接触する上記第1のカップ型研磨ホイールと同時に上記第2エッジに接触している工程;および上記第1および第2のカップ型研磨ホイールが上記第1および第2エッジにそれぞれ接触している間、上記第1および第2のカップ型研磨ホイールと上記ガラス板との間に相対運動を生じさせる工程を含み、その場合に、上記第1の変位が上記第2の変位とオーバーラップしない。
【0046】
C2:上記第1および第2のカップ型研磨ホイールが上記第1および第2エッジにそれぞれ接触している間、上記第1および第2のカップ型研磨ホイール間には相対運動が存在しないC1記載の方法。
【0047】
C3:Dが220mm以上であるC2記載の方法。
【0048】
C4:Dが275mm以上であるC1からC3の何れか1項記載の方法。
【0049】
C5:Lが5mm以上であるC1からC4の何れか1項記載の方法。
【0050】
C6:Lが約15mmと50mmとの間の範囲内にあるC1からC5の何れか1項記載の方法。
【0051】
C7:上記第1および第2のカップ型研磨ホイールの回転が第1および第2の面取り面をそれぞれ生じさせ、その場合、上記第1の面取り面は第3エッジに沿って上記端面と交差し、かつ上記第2の面取り面は第4エッジに沿って上記端面と交差し、さらに上記ガラス板を研磨して円弧状の第3および第4エッジを生じさせるC1からC6の何れか1項記載の方法。
【0052】
C8:上記第1または第2エッジに沿う位置に関連してLが変化するC1からC7の何れか1項記載の方法。
【0053】
C9:上記支持治具は、そこから上記突出部分が突出する該突出部分に最も近いエッジを備え、かつこの支持治具のエッジが非直線形状を有するC1からC8の何れか1項記載の方法。
【0054】
C10:一定の面取り幅を維持するために、上記第1のカップ型研磨ホイールと上記第1エッジとの間の距離がそれぞれ変化せしめられるC1からC9の何れか1項記載の方法。
【0055】
C11:ガラス板のエッジの整形方法において、この方法は、一部分が支持治具から距離Lだけ突出し、かつ第1面、該第1面に対向する第2面および端面を備えた厚さが2mm以下の上記ガラス板を上記支持治具に結合する工程であって、上記第1面と上記端面とが第1エッジに沿って交差し、かつ上記第2面と上記端面とが第2エッジに沿って交差している工程;上記第1面に対して傾斜した第1軸線の周りで回転する第1のカップ型研磨ホイールを上記第1エッジに接触させる工程であって、上記第1のカップ型研磨ホイールは、上記突出部分に第1の変位を生じさせる第1の力Fをもって上記第1エッジに接触している工程;上記第2面に対して傾斜しかつ上記第1のカップ型研磨ホイールの回転軸線から距離Dだけ離れた第2軸線の周りで回転する第2のカップ型研磨ホイールを上記第2エッジに接触させる工程であって、上記第2のカップ型研磨ホイールは、上記突出部分に第1の変位とは反対方向の第2の変位を生じさせる第2の力Fをもって上記第2エッジに接触し、かつ上記第2のカップ型研磨ホイールは、上記第1エッジに接触する上記第1のカップ型研磨ホイールと同時に上記第2エッジに接触している工程;および上記第1および第2のカップ型研磨ホイールが上記第1および第2エッジにそれぞれ接触している間、上記第1および第2のカップ型研磨ホイールと上記ガラス板との間に相対運動を生じさせて、上記第1および第2エッジに面取り部を生成させる工程を含み、その場合に、上記突出部分は上記支持治具から25mm以上の距離Lだけ突出し、かつDは上記第1の変位が上記第2の変位とオーバーラップしないように選択される。
【0056】
C12:上記双方の面取り部の面の交差によって形成される夾角が40°と140°との間であるC11記載の方法。
【0057】
C13:上記面取り部の生成の結果として形成される複数の追加のエッジをさらに含むC11またはC12記載の方法。
【0058】
C14:Lが上記第1または第2エッジに沿った位置の関数として変化するC11からC13の何れか1項記載の方法。
【0059】
C15:Lが5mmと50mmとの間の範囲内にあるC11からC14の何れか1項記載の方法。
【0060】
C16:Dが220mm以上であるC11からC15の何れか1項記載の方法。
【0061】
C17:ほぼ平行な二つの主面と、ほぼ平行な第1および第2エッジに沿って上記両主面と交差する少なくとも一つの端面とを備えたガラス板の研削装置であって、この装置は、ほぼ平坦な研削面を備えた第1および第2の研削ホイールを有し、上記両研削面は、上記ガラス板の上記端面に対して傾斜して配置されて、該ガラス板の上記第1および第2エッジのそれぞれに沿って面取り部を生成させ、上記第1および第2の研削ホイールは、それぞれ第1および第2の回転軸線の周りで回転するように構成されており、上記ガラス板の一部分が支持部材から突出しかつ上記第1および第2の研削面が上記第1および第2エッジにそれぞれ接触するのに応じて上記ガラス板が撓むのを許容するように上記ガラス板を支持する支持部材を有し、上記突出部分が上記第1および第2エッジを備えており、その場合、上記第1および第2の回転軸線は、上記第1の研削面と上記第1エッジとの間の接触から生じる上記ガラス板の上記突出部分の撓みが、上記第2の研削面と上記第2エッジとの間の接触から生じる上記ガラス板の上記突出部分の撓みに影響を与えないような距離だけ離れており、かつ上記第1および第2の研削面と上記第1および第2エッジとの間の接触が同時に生じる。
【0062】
C18:上記突出部分が上記支持部材から突出する距離が、上記第1または第2エッジに沿った位置の関数として変化するC17記載の装置。
【0063】
C19:上記ガラス板は、上記突出部分の剛性が上記第1または第2エッジに沿った位置の関数として変化する態様で支持されているC17またはC18記載の装置。
【0064】
C20:上記支持部材が真空チャックを備えているC17からC19の何れか1項記載の装置。
【0065】
上述の本発明の実施の形態、特に「好ましい」実施の形態の何れもが、実施可能な実例に過ぎず、本発明の原理を明快に理解するための説明に過ぎない。本発明の精神および範囲から離れることなしに、上述の本発明の実施の形態に対する種々の変形および変更が可能である。このような変形および変更の全ては、本明細書および本発明の範囲内に含まれ、かつ添付の請求項によって保護されることを意図するものである。
【符号の説明】
【0066】
10 ガラス板処理装置
14 ガラス板
16 支持部材(支持治具)
18a,18b 研磨ホイール
20 研磨ホイールの窪んだ中心領域
22 研磨ホイールの外側環状面(研削面)
26 回転軸
28a,28b 回転軸線
30 ガラス板の突出部分
31 クランプ部材
32 第1主面
34 第2主面
36 端面
38 第1エッジ
40 第2エッジ
42,44 面取り面
46 第3エッジ
48 第4エッジ
50 第5エッジ
52 第6エッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板のエッジの整形方法であって、
一部分が支持治具から距離Lだけ突出し、かつ第1面、該第1面に対向する第2面および端面を備えた1枚のガラス板を前記支持治具に結合する工程であって、前記第1面と前記端面とが第1エッジに沿って交差し、かつ前記第2面と前記端面とが第2エッジに沿って交差している工程、
前記第1面に対して傾斜した第1軸線の周りで回転する第1のカップ型研磨ホイールを前記第1エッジに接触させる工程であって、前記第1のカップ型研磨ホイールは、前記突出部分に第1の変位δを生じさせる第1の力Fをもって前記第1エッジに接触している工程、
前記第2面に対して傾斜しかつ前記第1のカップ型研磨ホイールの回転軸線から距離Dだけ離れた第2軸線の周りで回転する第2のカップ型研磨ホイールを前記第2エッジに接触させる工程であって、前記第2のカップ型研磨ホイールは、前記突出部分に第1の変位δとは反対側の第2の変位δを生じさせる第2の力Fをもって前記第2エッジに接触し、かつ前記第2のカップ型研磨ホイールは、前記第1エッジに接触する前記第1のカップ型研磨ホイールと同時に前記第2エッジに接触している工程、および
前記第1および第2のカップ型研磨ホイールが前記第1および第2エッジにそれぞれ接触している間、前記第1および第2のカップ型研磨ホイールと前記ガラス板との間に相対運動を生じさせる工程、
を含み、
その場合に、前記第1の変位が前記第2の変位とオーバーラップしない、
ことを特徴とする前記方法。
【請求項2】
前記第1および第2のカップ型研磨ホイールが前記第1および第2エッジにそれぞれ接触している間、前記第1および第2のカップ型研磨ホイール間には相対運動が存在しないことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
Dが220mm以上であることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
Dが275mm以上であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の方法。
【請求項5】
Lが5mm以上であることを特徴とする請求項1から4の何れか1項記載の方法。
【請求項6】
Lが約15mmと50mmとの間の範囲内にあることを特徴とする請求項1から5の何れか1項記載の方法。
【請求項7】
前記第1および第2のカップ型研磨ホイールの回転が第1および第2の面取り面をそれぞれ生じさせ、その場合、前記第1の面取り面は第3エッジに沿って前記端面と交差し、かつ前記第2の面取り面は第4エッジに沿って前記端面と交差し、さらに前記ガラス板を研磨して円弧状の第3および第4エッジを生じさせることを特徴とする請求項1から6の何れか1項記載の方法。
【請求項8】
前記第1または第2エッジに沿う位置に関連してLが変化することを特徴とする請求項1から7の何れか1項記載の方法。
【請求項9】
前記支持治具は、そこから前記突出部分が突出する該突出部分に最も近いエッジを備え、かつ該支持治具のエッジが非直線形状を有することを特徴とする請求項1から8の何れか1項記載の方法。
【請求項10】
一定の面取り幅を維持するために、前記第1のカップ型研磨ホイールと前記第1エッジとの間の距離がそれぞれ変化せしめられることを特徴とする請求項1から9の何れか1項記載の方法。
【請求項11】
ガラス板のエッジの整形方法であって、
一部分が支持治具から距離Lだけ突出し、かつ第1面、該第1面に対向する第2面および端面を備えた厚さが2mm以下の1枚のガラス板を前記支持治具に結合する工程であって、前記第1面と前記端面とが第1エッジに沿って交差し、かつ前記第2面と前記端面とが第2エッジに沿って交差している工程、
前記第1面に対して傾斜した第1軸線の周りで回転する第1のカップ型研磨ホイールを前記第1エッジに接触させる工程であって、前記第1のカップ型研磨ホイールは、前記突出部分に第1の変位を生じさせる第1の力Fをもって前記第1エッジに接触している工程、
前記第2面に対して傾斜しかつ前記第1のカップ型研磨ホイールの回転軸線から距離Dだけ離れた第2軸線の周りで回転する第2のカップ型研磨ホイールを前記第2エッジに接触させる工程であって、前記第2のカップ型研磨ホイールは、前記突出部分に第1の変位とは反対方向の第2の変位を生じさせる第2の力Fをもって前記第2エッジに接触し、かつ前記第2のカップ型研磨ホイールは、前記第1エッジに接触する前記第1のカップ型研磨ホイールと同時に前記第2エッジに接触している工程、および
前記第1および第2のカップ型研磨ホイールが前記第1および第2エッジにそれぞれ接触している間、前記第1および第2のカップ型研磨ホイールと前記ガラス板との間に相対運動を生じさせて、前記第1および第2エッジに面取り部を生成させる工程、
を含み、
その場合に、前記突出部分は前記支持治具から25mm以上の距離Lだけ突出し、かつDは前記第1の変位が前記第2の変位とオーバーラップしないように選択される、
ことを特徴とする前記方法。
【請求項12】
前記双方の面取り部の面の交差によって形成される夾角が40°と140°との間であることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記面取り部の生成の結果として形成される複数の追加のエッジをさらに含むことを特徴とする請求項11または12記載の方法。
【請求項14】
Lが前記第1または第2エッジに沿った位置の関数として変化することを特徴とする請求項11から13の何れか1項記載の方法。
【請求項15】
Lが5mmと50mmとの間の範囲内にあることを特徴とする請求項11から14の何れか1項記載の方法。
【請求項16】
Dが220mm以上であることを特徴とする請求項11から15の何れか1項記載の方法。
【請求項17】
ほぼ平行な二つの主面と、ほぼ平行な第1および第2エッジに沿って前記両主面と交差する少なくとも一つの端面とを備えたガラス板の研削装置であって、
ほぼ平坦な研削面を備えた第1および第2の研削ホイールを有し、前記両研削面は、前記ガラス板の前記端面に対して傾斜して配置されて、該ガラス板の前記第1および第2エッジのそれぞれに沿って面取り部を生成させ、前記第1および第2の研削ホイールは、それぞれ第1および第2の回転軸線の周りで回転するように構成されており、
前記ガラス板の一部分が支持部材から突出しかつ前記第1および第2の研削面が前記第1および第2エッジにそれぞれ接触するのに応じて前記ガラス板が撓むのを許容するように前記ガラス板を支持する支持部材を有し、前記突出部分が前記第1および第2エッジを備えており、
その場合、前記第1および第2の回転軸線は、前記第1の研削面と前記第1エッジとの間の接触から生じる前記ガラス板の前記突出部分の撓みが、前記第2の研削面と前記第2エッジとの間の接触から生じる前記ガラス板の前記突出部分の撓みに影響を与えないような距離だけ離れており、かつ前記第1および第2の研削面と前記第1および第2エッジとの間の接触が同時に生じる
ことを特徴とする前記装置。
【請求項18】
前記突出部分が前記支持部材から突出する距離が、前記第1または第2エッジに沿った位置の関数として変化することを特徴とする請求項17記載の装置。
【請求項19】
前記ガラス板は、前記突出部分の剛性が前記第1または第2エッジに沿った位置の関数として変化する態様で支持されていることを特徴とする請求項17または18記載の装置。
【請求項20】
前記支持部材が真空チャックを備えていることを特徴とする請求項17から19の何れか1項記載の装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−26195(P2011−26195A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−166992(P2010−166992)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【復代理人】
【識別番号】100116540
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 香
【復代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
【Fターム(参考)】