説明

ガラス溶解炉用の燃焼装置

【課題】燃料噴出部からのガス燃料の噴出量を同一にした状態でも火炎の形成状態を変更調節し得るガラス溶解炉用の燃焼装置を提供する。
【解決手段】炉体の内部におけるガラス溶解槽の上部空間に向けてガス燃料を溶解ガラスの上面に沿う設定火炎形成方向に沿って噴出する燃料噴出部Fと、ガラス溶解槽の上部空間に向けてガス燃料を燃焼させるための燃焼用酸素含有ガスを設定火炎形成方向に沿って吐出する酸素含有ガス吐出部Sとが、炉体の壁部に設けられたガラス溶解炉用の燃焼装置であって、燃料噴出部Fが、上下方向に間隔を隔てて位置する上下の噴出孔3と、それら上下の噴出孔3の中間の高さで且つそれら上下の噴出孔3の両横側方に振り分け位置する左右の噴出孔3とを備えるように構成され、燃料噴出部Fにおける複数の噴出孔3から分配して噴出されるガス燃料の分配率を変更調節する分配率調節手段が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炉体の内部におけるガラス溶解槽の上部空間に向けてガス燃料を溶解ガラスの上面に沿う設定火炎形成方向に沿って噴出する燃料噴出部と、前記ガラス溶解槽の上部空間に向けて前記ガス燃料を燃焼させるための燃焼用酸素含有ガスを前記設定火炎形成方向に沿って吐出する酸素含有ガス吐出部とが、前記炉体の壁部に設けられたガラス溶解炉用の燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかるガラス溶解炉用の燃焼装置(以下、単に燃焼装置と称する場合がある)は、燃料噴出部により、ガス燃料をガラス溶解槽の上部空間に向けて溶解ガラスの上面に沿う設定火炎形成方向に沿って噴出し、酸素含有ガス吐出部により、ガス燃料を燃焼させるための燃焼用酸素含有ガスをガラス溶解槽の上部空間に向けて前記設定火炎形成方向に沿って吐出することにより、ガラス溶解槽の上部空間に設定火炎形成方向に沿って火炎を形成してガラス溶解槽を加熱するものである。
【0003】
このような燃焼装置において、従来では、燃料噴出部としての1個の円形の燃料噴出孔と酸素含有ガス吐出部としての環状の一次空気吐出口及び環状の二次空気吐出口とが、燃料噴出孔の軸心方向に沿う軸心方向視にて、燃料噴出孔の外周部に一次空気吐出口が位置し且つその一次空気吐出口の外周部に二次空気吐出口が位置する状態で設けられていた。
そして、燃料噴出孔から噴出されたガス燃料を一次空気吐出口から吐出された一次燃焼用空気にて燃焼させ、更に、そのガス燃料の未燃分を二次空気吐出口から吐出された二次燃焼用空気にて燃焼させて、ガラス溶解槽の上部空間に設定火炎形成方向に沿って火炎を形成するように構成されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
つまり、燃料噴出部からのガス燃料の噴出量を変更調節することにより、火炎の長さや幅が変更されるが、燃料噴出部からのガス燃料の噴出量が同じであれば、火炎の長さや幅はもちろんのこと火炎の形成位置も同様となるように構成されていた。
【0005】
【特許文献1】特開2002−13704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、燃料噴出部及び酸素含有ガス吐出部を炉体の壁部に設けた状態で、燃料噴出部からのガス燃料の噴出量を同一にした状態でも、火炎の形成位置、幅等の火炎の形成状態を変更調節することができるようにしたいという要望がある。
【0007】
上述の如き要望について説明を加える。
即ち、ガラス原料の種類によっては、ガラス溶解槽の溶解ガラス上面近傍を酸化雰囲気にするのが好ましい場合や還元雰囲気にするのが好ましい場合がある。
そして、溶解ガラス上面近傍を酸化雰囲気にするには、火炎を溶解ガラスの上面と間隔をあけて形成することになり、溶解ガラス上面近傍を還元雰囲気にするには、火炎を溶解ガラスの上面に近接させて形成することになり、火炎の形成高さを変更調節できることが望まれる。
【0008】
又、原料供給側からガラス溶解槽に供給したガラス原料を溶解ガラス取り出し側に向けて流動させながら溶解させる形態でガラス溶解炉が運転される場合、ガラス溶解槽の上面における原料供給側の部分は、ガラス原料が浮遊しているため凸凹状であり、ガラス溶解槽の上面における溶解ガラス取り出し側の部分は平坦である。
そこで、ガラス原料の流動方向に沿う方向における原料供給側の位置では、浮遊しているガラス原料に当たらないように、火炎を上方寄りに形成するのが好ましく、一方、ガラス原料の流動方向に沿う方向における溶解ガラス取り出し側の位置では、ガラス溶解槽を効率良く加熱するために、火炎を下方寄りに形成するのが好ましいものであり、火炎の形成高さを変更調節できることが望まれる。
ちなみに、浮遊しているガラス原料に火炎が当たると、火炎が乱れて炉内の温度分布が変動するので、ガラス溶解槽を適切に加熱し難いものとなる。
【0009】
又、ガラス原料溶解処理の処理量が異なる等により、ガラス溶解槽の上面の高さが異なる場合があり、このような場合は、ガラス溶解槽の上面の高さに応じて火炎の形成高さを変更調節するのが好ましく、火炎の形成高さを変更調節できることが望まれる。
又、炉内の温度分布を小さくするには、火炎の横幅を広くするのが好ましく、火炎の横幅を変更調節できることが望まれる。
【0010】
要するに、燃料噴出部及び酸素含有ガス吐出部を炉体の壁部に設けた状態で、燃料噴出部からのガス燃料の噴出量を同一にした状態でも、火炎の形成状態を変更調節できることが望まれるのである。
しかしながら、従来の燃焼装置では、燃料噴出部及び酸素含有ガス吐出部を炉体の壁部に設けた状態で、燃料噴出部からのガス燃料の噴出量を同一にした状態では、火炎の形成状態を変更調節できないので、上述の如き要望に応えることができないものであった。
【0011】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料噴出部からのガス燃料の噴出量を同一にした状態でも火炎の形成状態を変更調節し得るガラス溶解炉用の燃焼装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のガラス溶解炉用の燃焼装置は、炉体の内部におけるガラス溶解槽の上部空間に向けてガス燃料を溶解ガラスの上面に沿う設定火炎形成方向に沿って噴出する燃料噴出部と、前記ガラス溶解槽の上部空間に向けて前記ガス燃料を燃焼させるための燃焼用酸素含有ガスを前記設定火炎形成方向に沿って吐出する酸素含有ガス吐出部とが、前記炉体の壁部に設けられたものであって、
第1特徴構成は、前記燃料噴出部が、上下方向に間隔を隔てて位置する上下の噴出孔と、それら上下の噴出孔の中間の高さで且つそれら上下の噴出孔の両横側方に振り分け位置する左右の噴出孔とを備えるように構成され、
前記燃料噴出部における前記複数の噴出孔から分配して噴出されるガス燃料の分配率を変更調節する分配率調節手段が設けられている点にある。
【0013】
即ち、分配率調節手段により、燃料噴出部における複数の噴出孔から分配して噴出されるガス燃料の分配率を、複数の噴出孔のうちの選択した一部の噴出孔から多量に噴出する、あるいは、選択した一部の噴出孔のみから噴出する分配率に調節することにより、選択した一部の噴出孔により主たる火炎が形成されることになり、そして、複数の噴出孔のうちから主たる火炎を形成するものとして選択する一部の噴出孔を異ならせる形態で、分配率調節手段によりガス燃料の分配率を変更調節することにより、主たる火炎の形成位置、横幅等の火炎形成状態を変更調節することができる。
【0014】
例えば、燃料噴出部に供給されるガス燃料のうちの大部分を上部の噴出孔から噴出させ、残りを下部及び左右の噴出孔から噴出させる分配率、あるいは、燃料噴出部に供給されるガス燃料の全てを上部の噴出孔から噴出させる分配率に調節すると、上部の噴出孔により主たる火炎が形成されるので、主たる火炎を上方寄りに形成することができる。
又、燃料噴出部に供給されるガス燃料のうちの大部分を下部の噴出孔から噴出させ、残りを上部及び左右の噴出孔から噴出させる分配率、あるいは、燃料噴出部に供給されるガス燃料の全てを下部の噴出孔から噴出させる分配率に調節すると、下部の噴出孔により主たる火炎が形成されるので、主たる火炎を下方寄りに形成することができる。
又、燃料噴出部に供給されるガス燃料のうちの大部分を左右の噴出孔から噴出させ、残りを上下の噴出孔から噴出させる分配率、あるいは、燃料噴出部に供給されるガス燃料の全てを左右の噴出孔から噴出させる分配率に調節すると、左右の噴出孔により主たる火炎が形成されるので、横幅が広い主たる火炎を形成することができる。
【0015】
尚、主たる火炎を形成する噴出孔以外の噴出孔から少量のガス燃料を噴出させることにより、燃料噴出部の過熱を防止して耐久性を向上することができる。又、燃料噴出部が高耐熱性の材料にて構成されていて過熱されても耐久性の劣化の虞がない場合は、主たる火炎を形成する噴出孔以外の噴出孔からのガス燃料の噴出を停止することができる。
従って、燃料噴出部からのガス燃料の噴出量を同一にした状態でも火炎の形成状態を変更調節し得るガラス溶解炉用の燃焼装置を提供することができるようになった。
【0016】
第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記酸素含有ガス吐出部が、前記燃料噴出部における前記複数の噴出孔にて囲まれる位置に形成した酸素含有ガス吐出口にて構成されている点にある。
【0017】
即ち、酸素含有ガス吐出部が、燃料噴出部における複数の噴出孔にて囲まれる位置に形成した酸素含有ガス吐出口にて構成されているので、分配率調節手段にてガス燃料の分配率が変更調節されて、燃料噴出部における複数の噴出孔から噴出されるガス燃料の分配率が変更されても、燃料噴出部から噴出されるガス燃料を酸素含有ガス吐出口から吐出される酸素含有ガスにて適切に燃焼させることができる。
【0018】
そして、上述のように、酸素含有ガス吐出部を燃料噴出部における複数の噴出孔にて囲まれる位置に形成した酸素含有ガス吐出口にて構成することにより、酸素含有ガス吐出部を燃料噴出部における複数の噴出孔の夫々に対応して各別に設けた複数の酸素含有ガス吐出口にて構成する場合に比べて、酸素含有ガス吐出部の構成の簡略化を図ることができる。
又、酸素含有ガス吐出部を燃料噴出部における複数の噴出孔の夫々に対応して各別に設けた複数の酸素含有ガス吐出口にて構成する場合、ガス燃料用の前記分配率調節手段にてガス燃料の分配率が変更調節されるのに対応して、複数の酸素含有ガス吐出口から分配して吐出される酸素含有ガスの分配率を変更調節するための酸素含有ガス用の分配率調節手段が必要となるが、上述のように、酸素含有ガス吐出部を燃料噴出部における複数の噴出孔にて囲まれる位置に形成した酸素含有ガス吐出口にて構成することにより、前述の如き酸素含有ガス用の分配率調節手段が不要となる。
従って、装置価格の低廉化を図りながら、燃料噴出部からのガス燃料の噴出量を同一にした状態でも火炎の形成状態を変更調節できるようにすることができるようになった。
【0019】
第3特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、
前記燃料噴出部及び前記酸素含有ガス吐出部が、前記炉体の壁部に組付自在な一つのユニット状体として構成されている点にある。
【0020】
即ち、燃料噴出部及び酸素含有ガス吐出部が炉体の壁部に組付自在な一つのユニット状体として構成されているので、一つのユニット状体を炉体の壁部に組み付けることにより、燃料噴出部及び酸素含有ガス吐出部を一挙に炉体の壁部に設けることができる。
ちなみに、燃料噴出部と酸素含有ガス吐出部とを別体に構成する場合、燃料噴出部と酸素含有ガス吐出部とを別々に炉体の壁部に設けることになるので、設置作業が複雑なものとなる。
従って、燃焼装置の設置作業の簡略化を図りながら、燃料噴出部からのガス燃料の噴出量を同一にした状態でも火炎の形成状態を変更調節できるようにすることができるようになった。
【0021】
第4特徴構成は、上記第1〜第3特徴構成のいずれか1つに加えて、
前記ガラス溶解槽が、原料供給側から溶解ガラス取り出し側に向けてガラス原料を流動させるように構成され、
前記燃料噴出部と前記酸素含有ガス吐出部との組が、前記ガラス溶解槽におけるガラス原料の流動方向に沿って並置されている点にある。
【0022】
即ち、ガラス溶解槽におけるガラス原料の流動方向に沿って並置された燃料噴出部と酸素含有ガス吐出部との組により、ガラス溶解槽の上部空間に、ガラス原料の流動方向に沿って複数の火炎が形成され、そして、そのようにガラス原料の流動方向に沿って形成される複数の火炎により、原料供給側から溶解ガラス取り出し側に向けて流動するガラス原料が加熱されることになる。
【0023】
そして、ガラス原料の流動方向に沿って並置された複数の燃料噴出部のうち、例えば、原料供給側に位置する燃料噴出部については、ガス燃料の分配率を主たる火炎を上方寄りに形成するための分配率に調節し、溶解ガラス取り出し側に位置する燃料噴出部については、ガス燃料の分配率を主たる火炎を下方寄りに形成するための分配率に調節するようにすると、ガラス溶解槽の上部空間におけるガラス原料流動方向の全域において、火炎をガラス原料に当たらないようにしながらガラス溶解槽の上面に近づけて形成することが可能となる。
つまり、燃料噴出部と酸素含有ガス吐出部との組毎に、炉体の壁部に設置した状態で、主たる火炎の形成高さを変更することができるので、燃料噴出部と酸素含有ガス吐出部との組をガラス原料の流動方向に沿って並置するに当たっては、組毎に設置高さを適切に定めて設けるのではなく、例えば、全ての組を同高さに設ける等により設置作業の簡略化を図っても、上述のように、ガラス溶解槽の上部空間におけるガラス原料流動方向の全域において、適切な高さに火炎を形成することができるのである。
従って、燃焼装置の設置作業の簡略化を図りながら、原料供給側から溶解ガラス取り出し側に向けて流動するガラス原料を適切且つ効率良く加熱することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
図1及び図2に示すように、ガラス溶解炉用の燃焼装置(以下、単に燃焼装置と記載する場合がある)は、炉体1の内部におけるガラス溶解槽2の上部空間に向けてガス燃料を溶解ガラスの上面に沿う設定火炎形成方向に沿って噴出する燃料噴出部Fと、ガラス溶解槽2の上部空間に向けてガス燃料を燃焼させるための燃焼用酸素含有ガスとしての純酸素ガスを前記設定火炎形成方向に沿って吐出する酸素含有ガス吐出部Sとが、炉体1の壁部1wに設けられて構成されている。
この実施形態では、前記燃料噴出部F及び前記酸素含有ガス吐出部Sが、前記炉体1の壁部1wに組付自在な一つのユニット状体としての噴出ユニットNに構成されている。
【0025】
そして、図3及び図4に示すように、前記燃料噴出部Fが、上下方向に間隔を隔てて位置する上下の噴出孔3と、それら上下の噴出孔3の中間の高さで且つそれら上下の噴出孔3の両横側方に振り分け位置する左右の噴出孔3とを備えるように構成され、図6に示すように、燃料噴出部Fにおける前記複数の噴出孔3から分配して噴出されるガス燃料の分配率を変更調節する分配率調節手段Vが設けられている。
尚、以下の説明では、前記燃料噴出部Fにおける上下並びに左右からなる複数の噴出孔3を夫々の位置を区別して説明する場合、上方の噴出孔3を上部噴出孔3uと記載し、下方の噴出孔3を下部噴出孔3sと記載し、各噴出孔3からのガス燃料の噴出方向に沿うガス燃料噴出方向視において左横側方の噴出孔3を左横噴出孔3hと記載し、ガス燃料噴出方向視において右横側方の噴出孔3を右横噴出孔3mと記載する。
【0026】
又、図3及び図4に示すように、前記酸素含有ガス吐出部Sが、前記燃料噴出部Fにおける前記複数の噴出孔3にて囲まれる位置に形成した1個の酸素含有ガス吐出口4にて構成されている。
【0027】
先ず、図1及び図2に基づいて、ガラス溶解炉について説明を加える。
このガラス溶解炉は、平面視で矩形状の炉体1内の下部に、平面視で矩形状のガラス溶解槽2が設けられて構成されている。
矩形状のガラス溶解槽2の四辺の側部のうちの一側部を区画する炉体1の壁部1wに、ガラス原料を投入する投入口1iが設けられ、その投入口1iが設けられた側部に対向する側部を区画する炉体1の壁部1wに、その壁部1wの外部に設けられた取り出し槽5に向けて溶解ガラスを取り出す取り出し口1eが設けられている。
そして、投入口1iからガラス溶解槽2に投入されたガラス原料を取り出し口1eに向けて流動させながら溶解させて、連続してガラス溶解処理を行う連続式に構成されている。
つまり、前記ガラス溶解槽2が、原料供給側から溶解ガラス取り出し側に向けてガラス原料を流動させるように構成されていることになる。
【0028】
投入口1iから取り出し口1eに向かうガラス原料及び溶解ガラスの流動方向(以下、ガラス原料流動方向と記載する場合がある)に沿うガラス原料流動方向視において、炉体1の左右夫々の壁部1wに、複数(この実施形態では4基)の噴出ユニットNが左右の壁部1wで千鳥状になる形態で前記ガラス原料流動方向に沿って並置されている。
尚、左右夫々の壁部1wに並置された複数の噴出ユニットNは、全て同一の高さに設けられている。
つまり、前記燃料噴出部Fと前記酸素含有ガス吐出部Sとの組が、前記ガラス溶解槽2におけるガラス原料流動方向に沿って並置されていることになる。
又、前記火炎形成方向がガラス原料流動方向に直交し且つ水平方向に沿う方向に設定されている。
【0029】
次に、図3〜図5に基づいて、前記噴出ユニットNについて説明を加える。
この噴出ユニットNは、前記燃料噴出部Fの上部噴出孔3u、下部噴出孔3s、左横噴出孔3h及び右横噴出孔3m、並びに、酸素含有ガス吐出部Sの酸素含有ガス吐出口4が形成されたバーナタイル6と、上部噴出孔3u、下部噴出孔3s、左横噴出孔3h、右横噴出孔3mにそれぞれガス燃料を供給する上部燃料供給口7u、下部燃料供給口7s、左横燃料供給口7h、右横燃料供給口7m、及び、酸素含有ガス吐出口4に酸素ガスを供給する酸素含有ガス供給口8を備えた供給口集合部9と、上部噴出孔3u、下部噴出孔3s、左横噴出孔3h、右横噴出孔3m、酸素含有ガス吐出口4のそれぞれに上部燃料供給口7u、下部燃料供給口7s、左横燃料供給口7h、右横燃料供給口7m、酸素含有ガス供給口8のそれぞれを連通接続する接続部10とを一体的に組み付けて構成されている。
【0030】
前記バーナタイル6は、外形が直方体形状であり、その直方体形状のバーナタイル6における6つの面のうちの1つの面(以下、前面と称する)に、上部噴出孔3u、下部噴出孔3s、左横噴出孔3h及び右横噴出孔3mを上部噴出孔3uと下部噴出孔3sとが鉛直方向に沿って並びかつ左横噴出孔3hと右横噴出孔3mとが水平方向に沿って並ぶ状態で十字状に位置させ、且つ、それら十字状に位置する上部噴出孔3u、下部噴出孔3s、左横噴出孔3h及び右横噴出孔3mの中央に酸素含有ガス吐出口4を位置させる形態で、上部噴出孔3u、下部噴出孔3s、左横噴出孔3h、右横噴出孔3m及び酸素含有ガス吐出口4がバーナタイル6に形成されている。
【0031】
更に説明を加えると、上部噴出孔3u及び下部噴出孔3sは夫々3個ずつバーナタイル6に形成され、3個の上部噴出孔3u及び3個の下部噴出孔3sの夫々は、バーナタイル6の後面と前面とにわたって貫通する状態で、夫々の軸心が互いに平行となる形態で水平方向に並ぶようにバーナタイル6に形成されている。
又、左横噴出孔3h及び右横噴出孔3mは夫々2個ずつバーナタイル6に形成され、2個の左横噴出孔3h及び2個の右横噴出孔3mの夫々は、バーナタイル6の後面と前面とにわたって貫通する状態で、夫々の軸心が互いに平行となる形態で水平方向に並ぶようにバーナタイル6に形成されている。
又、酸素含有ガス吐出口4は、長手方向が水平方向に沿う長円状の横断面形状となる形態にて、バーナタイル6の後面と前面とにわたって貫通する状態でバーナタイル6に形成されている。
【0032】
前記供給口集合部9は、バーナタイル6の前面視において、矩形状の板状体11に、上部燃料供給口7u、下部燃料供給口7s、左横燃料供給口7h、右横燃料供給口7m及び酸素含有ガス供給口8を、上部噴出孔3u、下部噴出孔3s、左横噴出孔3h、右横噴出孔3m及び酸素含有ガス吐出口4の配置形態と同様の配置形態で設けて構成されている。
【0033】
前記接続部10は、図示を省略するが、3個の上部噴出孔3uと上部燃料供給口7uとを接続する流路、3個の下部噴出孔3sと下部燃料供給口7sとを接続する流路、2個の左横噴出孔3hと左横燃料供給口7hとを接続する流路、2個の右横噴出孔3mと右横燃料供給口7mとを接続する流路、及び、酸素含有ガス吐出口4と酸素含有ガス供給口8とを接続する流路を内部に備えるように構成されている。
【0034】
そして、上述のように構成された噴出ユニットNが、その前面を炉体1の内部に臨ませた状態で、炉体1の壁部1wに設けられている。
【0035】
図6に示すように、都市ガス(例えば13A)等のガス燃料を供給する燃料供給路12が8系統のユニット用燃料分岐路12nに分岐され、更に、各ユニット用燃料分岐路12nが上部用分岐路12u、下部用分岐路12s、左横用分岐路12h及び右横用分岐路12mに分岐されて、各ユニット用分岐路12nの上部用分岐路12u、下部用分岐路12s、左横用分岐路12h、右横用分岐路12mがそれぞれ各噴出ユニットNの上部燃料供給口7u、下部燃料供給口7s、左横燃料供給口7h、右横燃料供給口7mに接続されている。
前記燃料供給路12にはガス燃料の供給を断続する燃料断続弁13が設けられ、各ユニット用燃料分岐路12nには、前記噴出ユニットNへのガス燃料の供給量を調節するユニット用燃料調節弁14が設けられている。
更に、上部用分岐路12uには前記3個の上部噴出孔3uへのガス燃料の供給量を調節する上部用燃料調節弁15uが設けられ、下部用分岐路12sには前記3個の下部噴出孔3sへのガス燃料の供給量を調節する下部用燃料調節弁15sが設けられ、左横用分岐路12hには前記2個の左横噴出孔3hへのガス燃料の供給量を調節する左横用燃料調節弁15hが設けられ、右横用分岐路12mには前記2個の右横噴出孔3mへのガス燃料の供給量を調節する右横用燃料調節弁15mが設けられている。
つまり、前記上部用燃料調節弁15u、下部用燃料調節弁15s、左横用燃料調節弁15h及び右横用燃料調節弁15mにより、前記分配率調節手段Vが構成される。
【0036】
タンク等の純酸素ガス供給源16から純酸素ガスを供給する純酸素供給路17が8系統のユニット用酸素分岐路17nに分岐され、各ユニット用酸素分岐路17nが各噴出ユニットNの酸素含有ガス供給口8に接続されている。
そして、純酸素供給路17には純酸素ガスの供給を断続する酸素断続弁18が設けられ、各ユニット用酸素分岐路17nには、各噴出ユニットNへの純酸素ガスの供給量を調節するユニット用酸素調節弁19が設けられている。
【0037】
図6に示すように、この燃焼装置には、燃焼装置の運転を制御する運転制御部20、及び、その運転制御部20に各種の制御指令を指令する操作部21が設けられている。
操作部21には、図示を省略するが、燃焼装置の運転開始及び停止を指令する運転スイッチの他に、8個の噴出ユニットN夫々に対応して、主たる火炎(以下、主炎と記載する場合がある)の形成状態を上方寄り形成状態、幅広形成状態、下方寄り形成状態、左寄り形成状態及び右寄り形成状態のうちから択一的に指令する火炎形成状態指令スイッチ等が設けられている。
【0038】
前記上方寄り形成状態は、噴出ユニットNに供給されるガス燃料を、そのうちの大部分が前記3個の上部噴出孔3uから噴出されるように予め設定された主炎上方寄り形成用の設定分配率(例えば、85:5:5:5)にて、前記3個の上部噴出孔3u、前記3個の下部噴出孔3s、前記2個の左横噴出孔3h、前記2個の右横噴出孔3mから分配して噴出する状態であり、図7に示すように、前記3個の上部噴出孔3uにて主炎Fmが上方寄りに形成され、前記3個の下部噴出孔3s、前記2個の左横噴出孔3h及び前記2個の右横噴出孔3m夫々により微小火炎Fsが形成される。
【0039】
前記下方寄り形成状態は、噴出ユニットNに供給されるガス燃料を、そのうちの大部分が前記3個の下部部噴出孔3sから噴出されるように予め設定された主炎下方寄り形成用の設定分配率(例えば、5:85:5:5)にて、前記3個の上部噴出孔3u、前記3個の下部噴出孔3s、前記2個の左横噴出孔3h、前記2個の右横噴出孔3mから分配して噴出する状態であり、図9に示すように、前記3個の下部噴出孔3sにて主炎Fmが下方よりに形成され、前記3個の上部噴出孔3u、前記2個の左横噴出孔3h及び前記2個の右横噴出孔3m夫々により微小火炎Fsが形成される。
【0040】
前記幅広形成状態は、噴出ユニットNに供給されるガス燃料を、そのうちの大部分が前記2個の左横噴出孔3h及び前記2個の右横噴出孔3mから噴出されるように予め設定された主炎中間形成用の設定分配率(例えば、5:5:45:45)にて、前記3個の上部噴出孔3u、前記3個の下部噴出孔3s、前記2個の左横噴出孔3h、前記2個の右横噴出孔3mから分配して噴出する状態であり、図8に示すように、前記2個の左横噴出3h及び前記2個の右横噴出孔3mにて幅広の主炎Fmが形成され、前記3個の上部噴出孔3u及び前記3個の下部噴出孔3s夫々により微小火炎Fsが形成される。
【0041】
前記左寄り形成状態は、噴出ユニットNに供給されるガス燃料を、そのうちの大部分が前記2個の左横噴出孔3hから噴出されるように予め設定された主炎左寄り形成用の設定分配率(例えば、5:5:85:5)にて、前記3個の上部噴出孔3u、前記3個の下部噴出孔3s、前記2個の左横噴出孔3h、前記2個の右横噴出孔3mから分配して噴出する状態であり、図示を省略するが、前記2個の左横噴出孔3hにて主炎Fmが左寄りに形成され、前記3個の上部噴出孔3u、前記3個の下部噴出孔3s及び前記2個の右横噴出孔3m夫々により微小火炎Fsが形成される。
【0042】
前記右寄り形成状態は、噴出ユニットNに供給されるガス燃料を、そのうちの大部分が前記2個の右横噴出孔3mから噴出されるように予め設定された主炎右寄り形成用の設定分配率(例えば、5:5:5:85)にて、前記3個の上部噴出孔3u、前記3個の下部噴出孔3s、前記2個の左横噴出孔3h、前記2個の右横噴出孔3mから分配して噴出する状態であり、図示を省略するが、前記2個の右横噴出孔3mにて主炎Fmが右寄りに形成され、前記3個の上部噴出孔3u、前記3個の下部噴出孔3s及び前記2個の左横噴出孔3h夫々により微小火炎Fsが形成される。
【0043】
ちなみに、主炎形成用以外の噴出孔3へのガス燃料の分配率である5%は、バーナタイル6の過熱を防止するために、主炎形成用以外の噴出孔3からも微量のガス燃料を噴出させるために設定されたものであり、バーナタイル6が過熱されても耐久性の低下の虞がない場合は、主炎形成用以外の噴出孔3からのガス燃料の噴出を停止して、主炎形成用の噴出孔3からガス燃料の全量を噴出するように構成することが可能である。
【0044】
ガラス溶解槽2におけるガラス原料流動方向上手側の部分は、ガラス原料が溶解されつつ浮遊しているので、ガラス溶解槽2の上面は凸凹状となり、ガラス溶解槽2におけるガラス原料流動方向下流側の部分は、その部分に至るまでにガラス原料の殆どが溶解されて、ガラス原料は浮遊していないので、ガラス溶解槽2の上面は平坦である。
そこで、炉体1の左右夫々の壁部1wに設けられた4基の噴出ユニットN夫々の主炎の形成状態を、前記操作部21の火炎形成状態指令スイッチにより、前記投入口1iの側から1番目の噴出ユニットNを上方寄り形成状態に、2番目の噴出ユニットNを幅広形成状態に、3番目及び4番目の噴出ユニットNを下方寄り形成状態に夫々設定する。
【0045】
すると、ガラス溶解槽2におけるガラス原料流動方向の上手側の部分においては、上方寄りに主炎Fmが形成されるので、ガラス溶解槽2に浮遊するガラス原料に火炎が当たらないようにすることができる。
又、ガラス溶解槽2におけるガラス原料流動方向の中間部分においては、横幅の広い主炎Fmが形成され、ガラス溶解槽2におけるガラス原料流動方向の下流側の部分においては、ガラス溶解槽2の上面に近接するように下方寄りに主炎Fmが形成されるので、温度分布を小さくしながら効率良くガラス溶解槽2を加熱することができる。
【0046】
上述のように、噴出ユニットNを炉体1の壁部1wに取り付けた状態で、主炎Fmの形成高さを変更調節することができるので、複数の噴出ユニットNを炉体1の壁部1wにガラス原料流動方向に沿って並置するに当たっては、各噴出ユニットN毎にガラス原料流動方向における位置に応じて適切な高さを定めて設けるといった複雑な作業が不要となって、上述した如く全て同一の高さに設ける等、簡単に行うことができるようになり、燃焼装置の設置作業を簡略化することができる。
【0047】
以下、前記運転制御部20の制御動作を説明する。
運転制御部20は、前記操作部21の運転スイッチにより運転開始が指令されると、各噴出ユニットNに対して設けられたイグナイタ(図示省略)を作動させた状態で、前記燃料断続弁13を開弁し、各噴出ユニットNへのガス燃料の供給量が予め設定した設定燃料供給量になるように各ユニット用燃料分岐路12nの前記ユニット用燃料調節弁14の作動を制御し、並びに、前記酸素断続弁18を開弁し、各噴出ユニットNへの純酸素ガスの供給量が前記設定燃料供給量に対応して予め設定された設定酸素供給量になるように各ユニット用酸素分岐路17nのユニット用酸素調節弁19の作動を制御して、燃焼装置の運転を開始する。
【0048】
又、運転制御部20は、前記操作部21の火炎形成状態指令スイッチによる各噴出ユニットNについての主炎形成状態の指令情報に基づいて、各噴出ユニットNに対応する上部用燃料調節弁15u、下部用燃料調節弁15s、左横用燃料調節弁15h及び右横用燃料調節弁15m夫々の作動を制御する。
例えば、上方寄り形成状態が指令されている場合は、前記ユニット用燃料供給路12nを通して供給されるガス燃料を、前記主炎上方寄り形成用の設定分配率にて前記上部用分岐路12u、前記下部用分岐路12s、前記左横用分岐路12h、前記右横用分岐路12mに分配して通流させるように、前記上部用燃料調節弁15u、前記下部用燃料調節弁15s、前記左横用燃料調節弁15h及び前記右横用燃料調節弁15m夫々の作動を制御する。
【0049】
そして、運転制御部20は、前記操作部21の運転スイッチにより運転停止が指令されると、前記燃料断続弁13及び前記酸素断続弁18を閉弁して、燃焼装置の運転を停止する。
【0050】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
(イ) 上部噴出孔3u及び下部噴出孔3sの配置形態は、上記の実施形態において例示した鉛直方向に沿って並ぶ配置形態に限定されるものではなく、鉛直方向に対して左側に傾斜する上下方向や、鉛直方向に対して右側に傾斜する上下方向に沿って並ぶ配置形態でも良い。
又、左横噴出孔3h及び右横噴出孔3mの配置形態は、上記の実施形態において例示した水平方向に沿って並ぶ配置形態に限定されるものではなく、水平方向に対して左側が上位となる横方向や、水平方向に対して右側が上位となる横方向に沿って並ぶ配置形態でも良い。
【0051】
(ロ) 設定火炎形成方向は、上記の実施形態において例示したガラス原料流動方向に直交する方向に限定されるものではなく、ガラス原料流動方向に平行な方向や、ガラス原料流動方向に斜めに交差する方向でも良い。
【0052】
(ハ) 酸素含有ガス吐出部Sを構成する酸素含有ガス吐出口の具体構成は、上記の実施形態にて例示した構成、即ち、燃料噴出部Fにおける上部噴出孔3u、下部噴出孔3s、左横噴出孔3h及び右横噴出孔3mにて囲まれる位置に形成した1個の酸素含有ガス吐出口4にて構成する場合に限定されるものではない。
例えば、燃料噴出部Fにおける上部噴出孔3u、下部噴出孔3s、左横噴出孔3h及び右横噴出孔3mにて囲まれる位置に形成した酸素含有ガス吐出口にて構成する場合、その酸素含有ガス吐出口の個数は1個に限定されるものではなく、複数個設けても良い。
又、燃料噴出部Fにおける上部噴出孔3u、下部噴出孔3s、左横噴出孔3h及び右横噴出孔3mの夫々に対応して各別に設けた複数の酸素含有ガス吐出口にて構成しても良い。
【0053】
(ニ) 上記の実施形態においては、燃料噴出部F及び酸素含有ガス吐出部Sを炉体1の壁部1wに組付自在な一つのユニット状体として構成する場合について例示したが、燃料噴出部Fと酸素含有ガス吐出部Sとを別体に構成しても良い。
【0054】
(ホ) 燃料噴出部Fと酸素含有ガス吐出部Sとの組、即ち噴出ユニットNを、ガラス溶解槽2におけるガラス原料の流動方向に沿って並置する場合に、その配置形態は上記の実施形態において例示した形態に限定されるものではない。
即ち、上記の実施形態においては、平面視で矩形状のガラス溶解槽2を囲む炉体1の四壁部1wにおける対向する一対の壁部1wのうちの一方に投入口1iを設け且つ他方に取り出し口1eを設けて、ガラス原料を直線状に流動させるように構成して、そのガラス原料流動方向に沿うガラス原料流動方向視において、左右両側の炉体1の壁部1wの夫々に、複数の噴出ユニットNをガラス原料流動方向に沿って並置する形態としたが、そのガラス原料流動方向視における左右両側の炉体1の壁部1wのうちの一方に、複数の噴出ユニットNをガラス原料流動方向に沿って並置する形態でも良い。
【0055】
又、図10に示すように、平面視で矩形状のガラス溶解槽2を囲む炉体1の四壁部1wのうちの一壁部1wにおける水平方向一端側に投入口1iを設け、その壁部1wにおける水平方向他端側に連なる壁部1wに取り出し口1eを設けて、投入口1iから取り出し口1eに向けて屈曲状にガラス原料を流動させるように構成して、その屈曲状のガラス原料流動方向に沿って複数の噴出ユニットNを並置する形態としても良い。
即ち、投入口1iを設けた壁部1wの水平方向における投入口1i側の端部に連なる壁部1wに、複数(実施形態では3基)の噴出ユニットNを水平方向に並置し、投入口1iを設けた壁部1w及びその壁部1wに対向する壁部1w夫々における取り出し口1e側の部分に、噴出ユニットNを1基ずつ両壁部1wで水平方向に位置をずらした状態で設ける形態としても良い。
この場合、例えば、投入口1i側の3基の噴出ユニットNにおける主炎の形成状態を上方寄り形成状態に設定し、取り出し口1e側の2基の噴出ユニットNにおける主炎の形成状態を下方寄り形成状態に設定する。
【0056】
(ヘ) 噴出ユニットNをガラス溶解槽2におけるガラス原料流動方向に沿って並置する場合、その並置数はガラス溶解槽2の平面視での大きさに応じて変更設定することができる。又、ガラス溶解槽2の平面視での大きさが小さい場合は1基でも良い。
【0057】
(ト) 複数の噴出ユニットN夫々に対する主炎の形成状態の設定形態は、上記の実施形態において例示した設定形態に限定されるものではない。
例えば、炉体1の壁部1wの右側に隣接して設置される噴出ユニットNについては、右寄り形成状態に設定し、炉体1の壁部1wの左側に隣接して設置される噴出ユニットNについては、左寄り形成状態に設定することにより、火炎が壁部1wに接触しないようして、炉体1の耐久性を向上するようにしても良い。
【0058】
(チ) 主炎の形成状態の種類は、上記の実施形態において例示した種類に限定されるものではない。例えば、ガス燃料の大部分を上部噴出孔3uと左横噴出孔3hとから噴出する分配率に調整して主炎を幅広且つ左上寄りに形成する左上寄り形成状態、ガス燃料の大部分を上部噴出孔3uと右横噴出孔3mとから噴出する分配率に調整して主炎を幅広且つ右上寄りに形成する右上寄り形成状態、ガス燃料の大部分を下部噴出孔3sと左横噴出孔3hとから噴出する分配率に調整して主炎を幅広且つ左下寄りに形成する左下寄り形成状態、ガス燃料の大部分を下部噴出孔3sと右横噴出孔3mとから噴出する分配率に調整して主炎を幅広且つ右下寄りに形成する右下寄り形成状態等を設定することができる。
【0059】
(リ) 酸素含有ガス吐出部Sにより吐出する酸素含有ガスとしては、上記の実施形態において例示した純酸素ガス以外に、空気や、酸素濃度を高くした酸素富化空気を用いることができる。
【0060】
(ヌ) 本発明によるガラス溶解炉用の燃焼装置は、上記の実施形態にて説明した如きガラス溶解炉以外にも種々のガラス溶解炉に設けることが可能である。例えば、バッチ式でガラス原料の溶解処理を行うバッチ式のガラス溶解炉にも設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】ガラス溶解炉用の燃焼装置を設けたガラス溶解炉の横断平面図
【図2】図1のII−II矢視図
【図3】噴出ユニットの前面図
【図4】噴出ユニットの側面図
【図5】噴出ユニットの後面図
【図6】ガラス溶解炉用の燃焼装置の制御構成を示すブロック図
【図7】上方寄り形成状態にて火炎が形成される状態を示すガラス溶解炉の縦断面図
【図8】幅広形成状態にて火炎が形成される状態を示すガラス溶解炉の縦断面図
【図9】下方寄り形成状態にて火炎が形成される状態を示すガラス溶解炉の縦断面図
【図10】別実施形態に係るガラス溶解炉用の燃焼装置を設けたガラス溶解炉の横断平面図
【符号の説明】
【0062】
1 炉体
1w 壁部
2 ガラス溶解槽
3 噴出孔
4 酸素含有ガス吐出口
F 燃料噴出部
N ユニット状体
S 酸素含有ガス吐出部
V 分配率調節手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉体の内部におけるガラス溶解槽の上部空間に向けてガス燃料を溶解ガラスの上面に沿う設定火炎形成方向に沿って噴出する燃料噴出部と、前記ガラス溶解槽の上部空間に向けて前記ガス燃料を燃焼させるための燃焼用酸素含有ガスを前記設定火炎形成方向に沿って吐出する酸素含有ガス吐出部とが、前記炉体の壁部に設けられたガラス溶解炉用の燃焼装置であって、
前記燃料噴出部が、上下方向に間隔を隔てて位置する上下の噴出孔と、それら上下の噴出孔の中間の高さで且つそれら上下の噴出孔の両横側方に振り分け位置する左右の噴出孔とを備えるように構成され、
前記燃料噴出部における前記複数の噴出孔から分配して噴出されるガス燃料の分配率を変更調節する分配率調節手段が設けられているガラス溶解炉用の燃焼装置。
【請求項2】
前記酸素含有ガス吐出部が、前記燃料噴出部における前記複数の噴出孔にて囲まれる位置に形成した酸素含有ガス吐出口にて構成されている請求項1記載のガラス溶解炉用の燃焼装置。
【請求項3】
前記燃料噴出部及び前記酸素含有ガス吐出部が、前記炉体の壁部に組付自在な一つのユニット状体として構成されている請求項1又は2記載のガラス溶解炉用の燃焼装置。
【請求項4】
前記ガラス溶解槽が、原料供給側から溶解ガラス取り出し側に向けてガラス原料を流動させるように構成され、
前記燃料噴出部と前記酸素含有ガス吐出部との組が、前記ガラス溶解槽におけるガラス原料の流動方向に沿って並置されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス溶解炉用の燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−281616(P2009−281616A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−132228(P2008−132228)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】