説明

ガラス繊維ストランド

【課題】 ガラス繊維ストランドの解舒性、切断性を向上することを目的とする。
【解決手段】 ガラス繊維ストランドは、扁平断面を有するガラス繊維フィラメントを多数本束ねて形成されている。このようなガラス繊維ストランドの断面において、ガラス繊維フィラメントが占める面積の占有率αが0.6以上とされている。また、ガラス繊維ストランドの扁平率βが5〜30とされている。これにより、ガラス繊維ストランドの解舒性、切断性が向上されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扁平断面を有するガラス繊維フィラメントを束ねて形成されたガラス繊維ストランドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ガラス繊維フィラメントを束ねて形成されたガラス繊維ストランドが、ガラスクロス等を作製するために利用されている。また、ガラス繊維ストランドは、細かく切断してから樹脂に混ぜることで樹脂成型体の補強材としても利用されている。一般にガラス繊維フィラメントの断面形状は半径一定の真円形であるが、長円形、楕円形、まゆ型等の非真円形断面形状のガラス繊維フィラメントも公知である。特許文献1では、このような非真円形断面形状の扁平な断面を有するガラス繊維フィラメントを束ねて形成されたガラス繊維ストランドの一例が記載されている。
【特許文献1】特公平4−13300号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなガラス繊維ストランドは、通常はコレットに巻き取られてケーキとして取り扱われる。そのため、一般に、ガラス繊維ストランドでは、ガラス繊維ストランドのケーキからの引き出しやすさである解舒性、解舒した後のガラス繊維ストランドの切断しやすさである切断性を向上する要求がある。特に、ガラス繊維ストランドの解舒性が悪いと、ガラス繊維ストランドをストランドから引き出す際に、ガラス繊維ストランドの表面にあるガラス繊維フィラメントが切断されて毛羽立ってしまい、ガラス繊維ストランドの品質を低下させてしまう。よって、ガラス繊維ストランドの解舒性を向上することは重要である。しかしながら、一般に、扁平断面を有するガラス繊維フィラメントを束ねて形成されたガラス繊維ストランドにおいては、真円形断面を有するガラス繊維フィラメントを束ねたガラス繊維ストランドに比べ、解舒性及び切断性がともに低下する傾向にあり、特許文献1のガラス繊維ストランドにおいても、解舒性及び切断性が十分に高められていなかった。
【0004】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、ガラス繊維ストランドの解舒性を向上することを目的とする。また、本発明は、ガラス繊維ストランドの切断性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明者による鋭意検討の結果、ガラス繊維ストランドにおいてガラス繊維フィラメントが十分に密に配置されていないことが、ガラス繊維ストランドの解舒性及び切断性を悪化させる原因となっていることがわかった。以下に、ガラス繊維ストランドの解舒性及び切断性を悪化について、より詳しく説明する。
【0006】
真円形断面を有するガラス繊維フィラメントを束ねて形成されたガラス繊維ストランドでは、ガラス繊維ストランド内でガラス繊維フィラメントが動きやすく、コレットに巻き取る際にガラス繊維フィラメントが詰まった状態になりやすい。一方、扁平断面を有するガラス繊維フィラメントを束ねて形成されたガラス繊維ストランドでは、ガラス繊維ストランド内でガラス繊維フィラメントが動きづらいので、同じ紡糸条件では真円形断面を有するガラス繊維フィラメントを束ねて形成されたガラス繊維ストランドと比較して詰まった状態にならない。
【0007】
このように扁平断面を有するガラス繊維フィラメントを束ねて形成されたガラス繊維ストランドでは、ガラス繊維フィラメントが十分に密に配置されていないため、ガラス繊維フィラメント間に隙間が多かった。このため、ガラス繊維ストランドがコレットに巻き取られた際に、ガラス繊維ストランド同士の食い込みが生じていた。即ち、ガラス繊維ストランド同士の接触面において、一方のガラス繊維ストランドのフィラメントが他方のガラス繊維ストランドのフィラメント間の隙間に挟まり込んでしまっていた。この結果、ガラス繊維ストランドをコレットから引き出すためにより強い引っ張り力が必要となり、ガラス繊維ストランドの解舒性が悪化していた。さらには、挟まり込んだガラス繊維フィラメントがフィラメント間の隙間から抜け出るときに、ガラス繊維フィラメントの一部が切断されてしまい、ガラス繊維ストランドの表面が毛羽立ってしまい、毛羽立ち性が悪化していた。
【0008】
また、上述したように、扁平断面を有するガラス繊維フィラメントを束ねて形成されたガラス繊維ストランドにおいて、ガラス繊維ストランドの切断性が悪化していた。この理由は、上述したとおりガラス繊維フィラメント間に隙間が多かったため、ガラス繊維ストランドを切断する際に、カッター刃に接触したガラス繊維フィラメントが移動してしまっていたためであると考えられる。
【0009】
上述したガラス繊維フィラメントの解舒性及び切断性の悪化を解消するために、本発明に係るガラス繊維ストランドは、扁平率1.5〜7の扁平断面を有するガラス繊維フィラメントを多数本束ねてなるガラス繊維ストランドにおいて、
【数3】


により算出されるフィラメント占有率αが0.6以上であることを特徴としている。
【0010】
上述したガラス繊維ストランドの構成によれば、フィラメント占有率αが0.6以上とされているので、ガラス繊維ストランドにおいてガラス繊維フィラメントが密に配置されており、ガラス繊維フィラメント間に形成される隙間は少ない。ここで、ガラス繊維ストランドの表面に着目すると、ガラス繊維ストランドの表面においても多数本のガラス繊維フィラメントが密に並んでいるので、ガラス繊維フィラメント間に形成される隙間は少ない。このため、ガラス繊維ストランドがコレットに巻き取られた際に、ガラス繊維フィラメント間の隙間にガラス繊維フィラメントが挟まり込むことが少ない。よって、本実施形態のガラス繊維ストランドでは、ケーキ(巻体)からガラス繊維ストランドを引き出すときの抵抗が小さくされており、ガラス繊維ストランドの解舒性が向上されている。また、ガラス繊維ストランドの表面の毛羽立ちが抑制されている。
【0011】
また、上述したガラス繊維ストランドの構成によれば、既述のとおり、フィラメント占有率αが0.6以上とされているので、ガラス繊維ストランドにおいてガラス繊維フィラメントが密に配置されている。このため、ガラス繊維ストランドを切断するために、ガラス繊維ストランドの表面にカッター刃を接触させたときでも、各ガラス繊維フィラメントはほとんど移動することがない。よって、ガラス繊維ストランドは切断しやすく、ガラス繊維ストランドの切断性が向上されている。
【0012】
また、本発明に係るガラス繊維ストランドは、上述した構成に加えて、さらに
【数4】


により算出されるガラス繊維ストランドの扁平率γが5〜30であることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、ガラス繊維ストランドは薄くなるので、ガラス繊維ストランドの解舒性が向上され、また、ガラス繊維ストランドの切断性が向上されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ガラス繊維ストランドの解舒性を向上することができる。また、ガラス繊維ストランドの切断性の向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係るガラス繊維ストランド10の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
[ガラス繊維ストランド]
ガラス繊維ストランド10は、数μm〜数十μm程度の太さの繊維状のガラス繊維フィラメント12を多数本束ねて紐状に形成されたものである。図1には、ガラス繊維ストランド10を切断した断面の模式図が示されており、ガラス繊維ストランド10は紙面に垂直な方向に延伸している。また、図2には、図1の一部Rを拡大した拡大断面図が示されている。ガラス繊維ストランド10は、多数本のガラス繊維フィラメント12を束ねることにより、全体として略凸レンズ状の断面形状となっている。ガラス繊維ストランド10がこのような形状となるのは、後述するように、ガラス繊維ストランド10の製造工程において、ガラス繊維フィラメント12がギャザリングシューにより束ねられるためである。
【0017】
ガラス繊維ストランド10の断面は略凸レンズ形状であり、レンズ形状の横幅Aを長径とし、レンズ形状の厚さBを短径としている。ここで、ガラス繊維ストランド10のレンズ形状の横幅Aとは、ガラス繊維ストランド10の断面において左右の角部を結ぶ線分L1の長さである。また、ガラス繊維ストランド10のレンズ形状の厚さBとは、ガラス繊維ストランド10の断面において、線分L1と直交し、且つ、断面上での長さが最長となる線分L2の長さである。また、ガラス繊維ストランド10は、長径L1を挟んで、ほぼ曲率半径ρの2つの曲面を有している。
【0018】
図2の拡大図に示すように、ガラス繊維ストランド10の内部では、多数本のガラス繊維フィラメント12が密に配置されている。各ガラス繊維フィラメント12は、扁平な断面形状を有した扁平ガラス繊維フィラメントであり、紙面に垂直な方向に延伸している。ガラス繊維フィラメント12のうち多く12bは、扁平断面の長手方向を、ガラス繊維ストランド10の凸レンズ形状の長径L1方向(断面長手方向)に沿う方向に向けて配置されている。但し、ガラス繊維フィラメント12のうちの一部12cは、扁平断面の長手方向を、ガラス繊維ストランド10の凸レンズ形状の長径L1方向から大きく傾斜した方向に向けて配置されている。
【0019】
なお、扁平ガラス繊維フィラメントとは、その断面形状が略だ円形、略長円形、略まゆ形等であって、扁平率が1.5〜7のガラス繊維フィラメントをいう。ここで、扁平率とは以下で定義される値である。すなわち、扁平ガラス繊維フィラメント12aの延伸方向に対して直交する断面に外接する最小面積の長方形を想定する。この長方形の長辺の長さa(繊維横断面の最長寸法に相当)を扁平ガラス繊維フィラメントの長径とする。一方、長方形の短辺の長さbを扁平ガラス繊維フィラメントの短径とする。扁平率は、長辺の長さと短辺の長さの比、すなわちa/bの値である。
【0020】
発明者による調査の結果、ガラス繊維ストランド10の断面においてガラス繊維フィラメント12が占める面積の占有率αを0.6以上とすることで、ガラス繊維ストランド10の解舒性及び切断性が向上されることが確認された。ここで、フィラメント占有率αは次式で表される。
【数5】

【0021】
なお、上記のフィラメント占有率αの式において、ガラス繊維フィラメント12と断面積の等しい真円形断面の直径φは、ガラス繊維ストランド10を切断した後に、ガラス繊維フィラメント12の断面を観察して、その断面積を計測することにより求めることができる。また、ガラス繊維フィラメント12の集束数Nは、ガラス繊維ストランド10を切断した後に、ガラス繊維ストランド10の切断面を観察して、ガラス繊維フィラメント12の本数を数えることで計測することができる。
【0022】
また、ガラス繊維ストランド10の断面積Sを計測するに際して、ガラス繊維ストランド10を切断してからガラス繊維ストランド10の断面積Sを計測しようとすると、ガラス繊維ストランド10を切断するときに、カッター刃の押圧によりガラス繊維フィラメント12の配置がずれて、ガラス繊維ストランド10の断面積が変化してしまうおそれがある。そこで、ガラス繊維ストランド10の断面積Sは、次のようにして計測する。
【0023】
先ず、長さ25mmに切断したガラス繊維ストランド10をサンプルフォルダーにストランド10の長径L1の方向が寝るように置き、SEMにて観察して、ストランド長径L1の全巾がカメラの視野に入るように70〜220倍の倍率で撮影し、ストランド長径L1の長さAを計測する。また、ガラス繊維ストランド10の断面形状で切断による影響がない部分について、断面方向からストランド短径L2の全巾がカメラの視野に入るように70〜220倍の倍率で撮影し、ストランド短径L2の長さBを計測する。
【0024】
次に、計測されたストランド長径L1の長さA、及びストランド短径L2の長さBの条件を満たすようなガラス繊維ストランド10の断面形状を推定し、ガラス繊維ストランド10の断面積Sを求める。即ち、半径の等しい2つの円の一部が互いに重なって、当該重複部分が、図1に示すガラス繊維ストランドの凸レンズ形状になる状況を想定する。ここで、重複部分の長径L1が長さAとなり、重複部分の短径L2が長さBとなるような、曲率半径ρを半径とする2つの円の重複部分を、ガラス繊維ストランド10の断面積Sとして求めることができる。
【0025】
以下、ガラス繊維フィラメント12が占める面積の占有率αを0.6以上としたことによる、ガラス繊維ストランド10の解舒性及び切断性の向上について、詳しく説明する。本実施形態のガラス繊維ストランド10では、フィラメント占有率αが0.6以上とされているので、ガラス繊維ストランド10においてガラス繊維フィラメント12が密に配置されており、ガラス繊維フィラメント12間に形成される隙間は少ない。ここで、ガラス繊維ストランド10の表面に着目すると、ガラス繊維ストランド10の表面においても多数本のガラス繊維フィラメント12が密に並んでいるので、ガラス繊維フィラメント12間に形成される隙間は少ない。このため、ガラス繊維ストランド10がコレットに巻き取られた際に、ガラス繊維フィラメント12間の隙間にガラス繊維フィラメント12が挟まり込むことが少ない。よって、本実施形態のガラス繊維ストランド10では、ケーキからガラス繊維ストランド10を引き出すときの抵抗が小さくされており、ガラス繊維ストランド10の解舒性が向上されている。そのため、ガラス繊維ストランド10の表面の毛羽立ちが抑制されている。
【0026】
また、本実施形態のガラス繊維ストランド10では、既述のとおり、フィラメント占有率αが0.6以上とされているので、ガラス繊維ストランド10においてガラス繊維フィラメント12が密に配置されている。このため、ガラス繊維ストランド10を切断するために、ガラス繊維ストランド10の表面にカッター刃を接触させたときでも、各ガラス繊維フィラメント12はほとんど移動することがない。よって、ガラス繊維ストランド10は切断しやすく、ガラス繊維ストランド10の切断性が向上されている。
【0027】
また、発明者による調査の結果、フィラメント占有率αを0.6以上とするのに加えて、さらに、ガラス繊維ストランド10において多数本のガラス繊維フィラメント12の方向がそろっている度合いを示す配向係数βを75以下とすることで、ガラス繊維ストランド10の解舒性及び切断性が向上されることが確認された。ここで、ガラス繊維フィラメント12の配向係数βは次式で表される。
【数6】


ここで、ガラス繊維フィラメント12の配向係数βが大きいほど、ガラス繊維フィラメント12の方向がそろっていないことを示し、ガラス繊維フィラメント12の配向係数βが小さいほどガラス繊維フィラメント12の方向がそろっていることを示す。
【0028】
なお、上記のガラス繊維フィラメント12の配向計数βの式において、ガラス繊維フィラメント12と断面積の等しい真円形断面の直径φ、及びガラス繊維ストランド10のストランド長径L1の長さAの計測方法は、既述したとおりである。ちなみに、ガラス繊維ストランド10のストランド長径L1の長さAの計測においては、計測精度を向上する観点から、例えば、長さ25mmに切断したガラス繊維ストランド500本をシャーレ上に並べ、リアルタイム画像処理解析装置((株)ニコレ製LUZEX−FS)にて、切断により形状に影響のない部分のストランド長径L1の長さAを1本当たり3箇所で測定し、ストランド長径L1を計測した長さAの分布において、平均値に対して標準偏差が4%以内であることを確認するとよい。
【0029】
また、ガラス繊維フィラメント12の本数Mは、図1にて示す矢印Z方向でガラス繊維ストランド10を観察して、フィラメント短径bの1/2以上が確認できるフィラメント数を計数することで求めることができる。例えば、ガラス繊維フィラメント12の本数Mは、上記リアルタイム画像処理解析装置による測定における鉛直方向(Z方向)の画像をもとに、フィラメント短径bの1/2以上が確認できるフィラメント数を計数すればよい。
【0030】
以下、ガラス繊維フィラメント12の配向係数βを75以下としたことによる、ガラス繊維ストランド10の解舒性及び切断性の向上について、詳しく説明する。本実施形態のガラス繊維ストランド10では、ガラス繊維フィラメント12の配向係数βを75以下と小さな値としているので、ガラス繊維フィラメント12のうち多くは、扁平断面の長手方向を、ガラス繊維ストランド10の凸レンズ形状の断面の長手方向に沿う方向に向けて配置されている。よって、ガラス繊維ストランド10の断面において、ガラス繊維フィラメント12間の隙間は極めて少なくされており、ガラス繊維フィラメント12は密に配置されている。このため、ガラス繊維ストランド10の表面においても多数本のガラス繊維フィラメント12が密に並んでいるので、ガラス繊維フィラメント12間に形成される隙間は少ない。よって、本実施形態のガラス繊維ストランド10では、ケーキからガラス繊維ストランド10を引き出すときの抵抗が小さくされており、ガラス繊維ストランド10の解舒性が向上されている。さらには、ガラス繊維ストランド10の表面の毛羽立ちが抑制されている。また、ガラス繊維ストランド10においてガラス繊維フィラメント12が密に配置されたことにより、ガラス繊維ストランド10の表面にカッター刃を接触させても、各ガラス繊維フィラメント12はほとんど移動することがないため、ガラス繊維ストランドは切断しやすく、ガラス繊維ストランドの切断性が向上されている。
【0031】
また、発明者による調査の結果、フィラメント占有率αを0.6以上とするのに加えて、さらに、ガラス繊維ストランド10の断面形状の扁平の度合いを表す扁平率γを5〜30とすることで、ガラス繊維ストランド10の解舒性及び切断性が向上されることが確認された。ここで、ガラス繊維ストランド10の扁平率γは、次式で表される。
【数7】


上式のとおり、ガラス繊維ストランド10の扁平率γは、ガラス繊維ストランド10の断面の長径Aと短径Bの比である。ガラス繊維ストランド10の扁平率γが大きいほどガラス繊維ストランド10の断面形状が扁平であることを示し、扁平率γが小さいほどガラス繊維ストランド10の断面形状が半径が一定の真円形に近いことを示す。なお、ガラス繊維ストランド10の長径A及び短径Bの計測方法は、既述したとおりである。
【0032】
本実施形態のガラス繊維ストランド10では、ガラス繊維ストランド10の扁平率γを5〜30とすることにより、ガラス繊維ストランド10をフラットな形状にしている。このようにガラス繊維ストランド10をフラットな形状にすると、ガラス繊維ストランド10をコレットに巻き取る際に、既にコレットに巻回されたガラス繊維ストランド10間の隙間に、ガラス繊維ストランド10が挟まり込みづらくなる。よって、ガラス繊維ストランド10はコレットから引き出しやすくなっており、ガラス繊維ストランド10の解舒性が向上されている。また、ガラス繊維ストランド10が薄くなっていることにより、ガラス繊維ストランド10は切断しやすくなっており、ガラス繊維ストランド10の切断性が向上されている。なお、ガラス繊維ストランド10の解舒性及び切断性は、ガラス繊維ストランド10の扁平率γを9〜20とすると特に良好となる。
【0033】
[ガラス繊維ストランドの製造方法]
次に、上述したガラス繊維ストランド10の製造方法について説明する。図3には、ガラス繊維ストランド10の製造装置20が示されている。
【0034】
ガラス繊維ストランド10の製造装置20では、ガラス原料を溶融するための2つの溶融ガラス溜まり部22A,22Bが設置されており、それぞれの溶融ガラス溜まり部22A,22Bの下方に、ガラス繊維フィラメント12に集束剤を塗布するためのアプリケータ26A,26Bと、複数のガラス繊維フィラメント12を束ねるための一段目のギャザリングシュー(集束器)28A,28Bが設置されている。また、2つの一段目のギャザリングシュー28A,28Bの下方に、二段目のギャザリングシュー30が設置されている。さらに、ガラス繊維ストランド10を綾振りするためのトラバース装置32と、ガラス繊維ストランド10を巻き取るためのコレット34が設置されている。
【0035】
それぞれの溶融ガラス溜まり部22A,22Bの下面には多数のノズル孔を有するブッシング24A,24Bが取り付けられている。溶融ガラスが各ノズル孔から流出した後に冷却されて固化することで、多数本のガラス繊維フィラメント12が形成される。なお、ガラス繊維フィラメント12を長円形、楕円形等の非真円形の異形断面とするために、ブッシング24A,24Bのノズル孔は楕円形、長円形、長方形などの非円形の孔形状とされている。ここで、溶融ガラスが各ノズル孔から流出した後に非真円形の異形断面から真円形断面に変形しないように、溶融ガラスがノズル孔から流出した直後に、溶融ガラスを急冷することが好ましい。
【0036】
それぞれの溶融ガラス溜まり部22A,22Bから流出して形成されたガラス繊維フィラメント12は、アプリケータ26A,26Bにより集束剤が塗布されてから、一段目のギャザリングシュー28A,28Bにより束ねられ、2本のガラス繊維ストランド10A,10Bが形成される。さらに、これらの2本のガラス繊維ストランド10A,10Bは、二段目のギャザリングシュー30により1本に束ねられて、ガラス繊維ストランド10が形成される。ここで、各ギャザリングシュー28A,28B,30において、ガラス繊維ストランド10に適度な張力を与える。この張力により、ガラス繊維ストランド10は各ギャザリングシュー28A,28B,30において凸レンズ状の断面形状となるように束ねられる。また、ガラス繊維ストランド10に作用する張力により、各ガラス繊維フィラメント12は、その断面長手方向を、ガラス繊維ストランド10の断面長手方向に沿う方向に向けて配置される。最後に、ガラス繊維ストランド10をトラバース装置32で綾振りしながら高速回転するコレット34表面に巻き取って、ガラス繊維ストランド10のケーキが完成する。
【0037】
上述したガラス繊維ストランド10の製造工程において、一段目のギャザリングシュー28A,28Bのそれぞれにつき、束ねられるガラス繊維フィラメント12の本数を150本以下とすることが好ましい。仮に、一つのギャザリングシュー28A,28Bにより150本を超えた本数のガラス繊維フィラメント12を束ねると、ガラス繊維フィラメント12は十分に密に束ねられず、ガラス繊維ストランド10においてガラス繊維フィラメント12間の隙間が多くなってしまう。この結果、ガラス繊維ストランド10の解舒性及び切断性が悪化してしまう。これに対して、1つのギャザリングシュー28A,28Bにより束ねられるガラス繊維フィラメント12の本数を150本以下とすることで、ガラス繊維フィラメント12を十分に密に束ね、ガラス繊維ストランド10の解舒性及び切断性を向上することができる。なお、太いガラス繊維ストランド10を得たい場合には、1つのギャザリングシュー28A,28Bにより束ねられるガラス繊維フィラメント12の本数を100〜150本程度とすればよい。
【0038】
上述したガラス繊維ストランド10の製造装置20の構造を変更しても、解舒性及び切断性の良好なガラス繊維ストランド10を製造することができる。例えば、上述したガラス繊維ストランド10の製造装置20では、溶融ガラス溜まり部22A,22B、ブッシング24A,24B、アプリケーター26A,26Bをそれぞれ2つ設けているが、図4に示されるように、溶融ガラス溜まり部22、ブッシング24、アプリケーター26をそれぞれ1つにしてもよい。
【0039】
また、1本のガラス繊維ストランドを製造するために用いるガラス繊維フィラメント12の本数が少ない場合には、3つのギャザリングシュー22A,22Bを二段階に分けて設ける必要はなく、1つのギャザリングシューを設けるのみでもよい。逆に、1本のガラス繊維ストランドを製造するために用いるガラス繊維フィラメントの本数が多い場合は、一段目のギャザリングシューを3つ以上にしたり、多数のギャザリングシューを三段階以上に分けて設けてもよい。
【0040】
なお、特許文献1では、溶融ガラス溜まり部内を加圧することで、溶融ガラスの粘度が比較的に高くても、溶融ガラスがノズル孔から流出する速度を速めていた。このようにして形成されたガラス繊維フィラメントは高い扁平率の扁平ガラス繊維を得ることができるが、ガラス繊維ストランドを形成した場合には、ガラス繊維ストランドにおいてガラス繊維フィラメントは粗に配置されてしまう。この結果、ガラス繊維ストランドの解舒性が悪化し、ガラス繊維ストランドをコレットから引き出すと、ガラス繊維フィラメントの表面が毛羽立ってしまう。また、ガラス繊維ストランドの切断性が悪化してしまう。
【実施例】
【0041】
[ガラス繊維ストランド]
次に、ガラス繊維ストランド10の実施例及び比較例について説明する。実施例及び比較例に係るガラス繊維ストランド10に関するデータを、次表に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
(1)実施例1
実施例1では、ガラス繊維ストランド10を形成するために、短径が6μmであり長径が24μmの長円形の扁平断面を有するガラス繊維フィラメント12を用いた。このガラス繊維フィラメント12の断面面積に対して、同じ断面積を有する真円形の直径に算出すると13μmであった。一段目のギャザリングシューを3つ用意し、各ギャザリングシューで108本のガラス繊維フィラメント12を束ね、さらに二段目のギャザリングシューで束ねることにより、324本のガラス繊維フィラメント12からなるガラス繊維ストランド10を形成した。ガラス繊維ストランド10の短径は95μmであり長径は924μmであった。ガラス繊維ストランド10の曲率半径は約2270μmと算出される。また、ガラス繊維ストランド10の番手は110texであった。なお、ガラス繊維の番手(tex)は、ガラス繊維フィラメント12の1000m当たりのグラム数に相当する。
【0044】
(i)ガラス繊維ストランド10の短径、長径及び曲率半径に基づいて、ガラス繊維ストランド10の断面積が算出される。また、ガラス繊維フィラメント12の集束数などに基づいて、多数のガラス繊維フィラメント12が占める総断面積が算出される。そして、ガラス繊維ストランド10の断面積及びガラス繊維フィラメント12の総断面積に基づいて、フィラメント占有率αが算出される。実施例1において、フィラメント占有率αは0.733であった。(ii)一本のガラス繊維フィラメント12の断面積を計測すると、ガラス繊維フィラメント12の断面積に基づいて断面積が等しい真円形断面の直径が算出される。この真円形断面の直径などに基づいて、ガラス繊維ストランド10におけるガラス繊維フィラメント12の配向係数βが算出される。実施例1において、配向係数βは67.5であった。(iii)また、ガラス繊維ストランド10の短径及び長径に基づいて、ガラス繊維ストランド10の扁平率γが算出される。実施例1において、扁平率γは9.7であった。なお、ガラス繊維ストランド10のフィラメント占有率α、配向係数β、扁平率γの算出では、3本のガラス繊維ストランド10を用意して各ガラス繊維ストランド10のフィラメント占有率α、配向係数β、扁平率γを測定し、それらの平均値を求めた。
【0045】
(2)実施例2
実施例2では、ガラス繊維ストランド10を形成するために、短径が6μmであり長径が24μmの長円形の扁平断面を有するガラス繊維フィラメント12を用いた。このガラス繊維フィラメント12の断面面積に対して、同じ断面積を有する真円形の直径に算出すると13μmであった。一段目のギャザリングシューを6つ用意し、各ギャザリングシューで108本のガラス繊維フィラメント12を束ね、さらに二段目のギャザリングシューで束ねることにより、648本のガラス繊維フィラメント12からなるガラス繊維ストランド10を形成した。ガラス繊維ストランド10の短径は113μmであり長径は1412μmであった。ガラス繊維ストランド10の曲率半径は約4439μmであった。また、ガラス繊維ストランド10の番手は220texであった。
【0046】
実施例2に係るガラス繊維ストランド10のフィラメント占有率α、配向係数β、扁平率γを算出したところ、フィラメント占有率αは0.808であり、配向係数βは59.8であり、扁平率γは12.5であった。
【0047】
(3)実施例3
実施例3では、ガラス繊維ストランド10を形成するために、短径が7μmであり長径が28μmの長円形の扁平断面を有するガラス繊維フィラメント12を用いた。このガラス繊維フィラメント12の断面面積に対して、同じ断面積を有する真円形の直径に算出すると15μmであった。一段目のギャザリングシューを3つ用意し、各ギャザリングシューで108本のガラス繊維フィラメント12を束ね、さらに二段目のギャザリングシューで束ねることにより、324本のガラス繊維フィラメント12からなるガラス繊維ストランド10を形成した。ガラス繊維ストランド10の短径は97μmであり長径は1344μmであった。ガラス繊維ストランド10の曲率半径は約4679μmであった。また、ガラス繊維ストランド10の番手は145texであった。
【0048】
実施例3に係るガラス繊維ストランド10のフィラメント占有率α、配向係数β、扁平率γを算出したところ、フィラメント占有率αは0.658であり、配向係数βは60.3であり、扁平率γは13.9であった。
【0049】
(4)実施例4
実施例4では、ガラス繊維ストランド10を形成するために、短径が10.5μmであり長径が21μmのまゆ型の扁平断面を有するガラス繊維フィラメント12を用いた。このガラス繊維フィラメント12の断面面積に対して、同じ断面積を有する真円形の直径に算出すると15μmであった。一段目のギャザリングシューを2つ用意し、各ギャザリングシューで100本のガラス繊維フィラメント12を束ね、さらに二段目のギャザリングシューで束ねることにより、200本のガラス繊維フィラメント12からなるガラス繊維ストランド10を形成した。ガラス繊維ストランド10の短径は94μmであり長径は874μmであった。ガラス繊維ストランド10の曲率半径は約2055μmであった。また、ガラス繊維ストランド10の番手は90texであった。
【0050】
実施例4に係るガラス繊維ストランド10のフィラメント占有率α、配向係数β、扁平率γを算出したところ、フィラメント占有率αは0.644であり、配向係数βは78.9であり、扁平率γは9.3であった。
【0051】
(5)実施例5
実施例5では、ガラス繊維ストランド10を形成するために、短径が10.5μmであり長径が21μmのまゆ型の扁平断面を有するガラス繊維フィラメント12を用いた。このガラス繊維フィラメント12の断面面積に対して、同じ断面積を有する真円形の直径に算出すると15μmであった。一段目のギャザリングシューを4つ用意し、各ギャザリングシューで100本のガラス繊維フィラメント12を束ね、さらに二段目のギャザリングシューで束ねることにより、400本のガラス繊維フィラメント12からなるガラス繊維ストランド10を形成した。ガラス繊維ストランド10の短径は118μmであり長径は1217μmであった。ガラス繊維ストランド10の曲率半径は約3167μmであった。また、ガラス繊維ストランド10の番手は180texであった。
【0052】
実施例5に係るガラス繊維ストランド10のフィラメント占有率α、配向係数β、扁平率γを算出したところ、フィラメント占有率αは0.737であり、配向係数βは69.0であり、扁平率γは10.3であった。
【0053】
次に、ガラス繊維ストランドの比較例について説明する。比較例では、1つのギャザリングシューを用いて全てのガラス繊維フィラメントを一度に束ねている。
【0054】
(6)比較例1
比較例1では、ガラス繊維ストランド10を形成するために、直径が14μmの真円形断面のガラス繊維フィラメント12を用いた。ガラス繊維ストランド10は、このガラス繊維フィラメント12を200本束ねることにより形成された。ガラス繊維ストランド10の短径は107μmであり長径は647μmであった。ガラス繊維ストランド10の曲率半径は約1004μmであった。また、ガラス繊維ストランド10の番手は80texであった。
【0055】
比較例1に係るガラス繊維ストランド10のフィラメント占有率α、配向係数β、扁平率γを算出したところ、フィラメント占有率αは0.673であり、配向係数βは100.2であり、扁平率γは6であった。
【0056】
(7)比較例2
比較例2では、ガラス繊維ストランド10を形成するために、直径が15μmの真円形断面のガラス繊維フィラメント12を用いた。ガラス繊維ストランド10は、このガラス繊維フィラメント12を200本束ねることにより形成された。ガラス繊維ストランド10の短径は110μmであり長径は932μmであった。ガラス繊維ストランド10の曲率半径は約2001μmであった。また、ガラス繊維ストランド10の番手は95texであった。
【0057】
比較例2に係るガラス繊維ストランド10のフィラメント占有率α、配向係数β、扁平率γを算出したところ、フィラメント占有率αは0.516であり、配向係数βは88.5であり、扁平率γは8.5であった。
【0058】
(8)比較例3
比較例3では、ガラス繊維ストランド10を形成するために、直径が15μmの真円形断面のガラス繊維フィラメント12を用いた。ガラス繊維ストランド10は、このガラス繊維フィラメント12を400本束ねることにより形成された。ガラス繊維ストランド10の短径は135μmであり長径は1338μmであった。ガラス繊維ストランド10の曲率半径は約3349μmであった。また、ガラス繊維ストランド10の番手は190texであった。
【0059】
比較例3に係るガラス繊維ストランド10のフィラメント占有率α、配向係数β、扁平率γを算出したところ、フィラメント占有率αは0.586であり、配向係数βは81.8であり、扁平率γは9.9であった。
【0060】
(9)比較例4
比較例4では、ガラス繊維ストランド10を形成するために、短径が10.5μmであり長径が21μmのまゆ型の扁平断面を有するガラス繊維フィラメント12を用いた。ガラス繊維ストランド10は、このガラス繊維フィラメント12を400本束ねることにより形成された。ガラス繊維ストランド10の短径は135μmであり長径は1338μmであった。ガラス繊維ストランド10の曲率半径は約3349μmであった。また、ガラス繊維ストランド10の番手は190texであった。
【0061】
比較例4に係るガラス繊維ストランド10のフィラメント占有率α、配向係数β、扁平率γを算出したところ、フィラメント占有率αは0.461であり、配向係数βは78.4であり、扁平率γは6.8であった。
【0062】
[ガラス繊維ストランドの評価]
(1)〜(5)の実施例に対して(6)〜(9)の比較例は、ガラス繊維フィラメント12の断面積、ガラス繊維フィラメント12の集束数、ガラス繊維ストランド10の番手などのパラメータはほぼ同程度であり、比較の対象として適当であることがわかる。よって、(1)〜(9)のガラス繊維ストランド10に対して、切断性、解舒性、毛羽立ち性を検査するための試験(a),(b),(c)を行った。各試験(a),(b),(c)は、次の手順で行った。
【0063】
(a)切断性検査の試験
複数本のガラス繊維ストランド10を束ねることで約4800texの繊維束を10本用意した。それぞれの繊維束をゴム製の台に置き、カッター刃付きのオートグラフで切断し、切断時の最大荷重を測定した。そして、10本の繊維束の切断荷重から近似法(最小2乗法)を用いて、4800texにおける切断荷重を算出した。比較例の切断荷重が5.5〜6.4であるのに対して、実施例の切断荷重は4.5〜5.3と小さな値となっている。よって、従来技術によれば、扁平断面のフィラメントを用いたガラス繊維ストランドの切断性は、真円形断面のフィラメントを用いたガラス繊維ストランドの切断性より劣っていたが、本実施例によれば、扁平断面のフィラメントを用いたガラス繊維ストランドの切断性が向上し、真円形断面のフィラメントを用いたガラス繊維ストランドよりも切断性が優れるようになったことがわかる。
【0064】
(b)解舒性検査の試験
ガラス繊維ストランド10のケーキから1000mの繊維束を速度100m/分で引き出し、テンションメータで0.1秒ごとに引き出しに必要な荷重を測定することで、多数の引き出し荷重の測定値を得た。これらの引き出し荷重の平均値を、解舒抵抗として算出した。比較例の解舒荷重が12.1〜17.1であるのに対して、実施例の解舒荷重は7.5〜12.2と小さな値となっている。よって、従来技術によれば、扁平断面のフィラメントを用いたガラス繊維ストランドの解舒性は、真円形断面のフィラメントを用いたガラス繊維ストランドの解舒性より劣っていたが、本実施例によれば、扁平断面のフィラメントを用いたガラス繊維ストランドの解舒性が向上し、真円形断面のフィラメントを用いたガラス繊維ストランドよりも解舒性が優れるようになったことがわかる。
【0065】
(c)毛羽立ち検査の試験
複数本のガラス繊維ストランド10を束ねることで約4800texの繊維束を10本用意した。それぞれの繊維束について、繊維束の一方の端に500gの錘を固定してから、繊維束の他方の端を手で持ち、繊維束を直径15mmの真鍮製の棒に引っ掛けて、繊維束を持った手を50cm程度繰り返し上下させることで繊維束を棒でしごく。繊維束を引っ張る時の手の感触をたよりに、繊維束が毛羽立って摩擦が増加することによる引っ掛かりの感触があるまで、手の上下動を往復回数を計数した。10本の繊維束における往復回数の平均値を、毛羽立ち回数とした。実施例の毛羽立ち回数は22〜38であり、真円形断面のガラス繊維フィラメントを用いた比較例1〜3に対しては毛羽立ち性が同程度又は劣るものの、実施例と同じく扁平断面のガラス繊維フィラメントを用いた比較例4に対しては毛羽立ち性が遥かに向上されていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】ガラス繊維ストランドの構成を示す断面図である。
【図2】ガラス繊維ストランドの断面の一部を拡大して示す拡大図である。
【図3】ガラス繊維ストランドの製造工程を示す概略図である。
【図4】ガラス繊維ストランドの製造装置の変形例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0067】
10…ガラス繊維ストランド、12…ガラス繊維フィラメント、20…製造装置、22A,22B…溶融ガラス溜まり部、24A,24B…ブッシング、26A,26B…アプリケータ、28A,28B…一段目のギャザリングシュー、30…二段目のギャザリングシュー、32…トラバース装置、34…コレット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平率1.5〜7の扁平断面を有するガラス繊維フィラメントを多数本束ねてなるガラス繊維ストランドにおいて、
【数1】


により算出されるフィラメント占有率αが0.6以上であることを特徴とするガラス繊維ストランド。
【請求項2】
【数2】


により算出されるガラス繊維ストランドの扁平率γが5〜30であることを特徴とする請求項1に記載のガラス繊維ストランド。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のガラス繊維ストランドを巻き取って形成された巻体。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−335590(P2006−335590A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−160181(P2005−160181)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(000003975)日東紡績株式会社 (251)
【Fターム(参考)】