説明

ガリウム−68で標識されたアプタマー

本発明は、新規ヌクレオチド-型化合物、放射性同位体標識化合物の製造法、及び画像診断のためのかかる化合物の使用に関する。式(I):A−B−L−C(式中、Aは、アプタマーを示し;Bは、存在しないか、又は橋構造を示し;Lは、リンカーを示し;及びCは、金属イオンキレーターを示す。)で表わされる化合物を提供する。すべての置換基は、説明において詳細に定義されている。前記化合物の好ましい実施態様は、テナスシン-Cに結合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、新規ヌクレオチド系化合物、放射性同位体標識化合物の製造法、及び診断画像剤のためのかかる化合物の使用、に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
癌の研究における画像診断のための潜在的な標的としてのテナスシン-C
他の興味深い標的に加えて、テナスシン-C、すなわち細胞外マトリックス(EDCM)に主に存在する六量体糖タンパク質は、癌性損傷の特定の分子画像化のために好適な標的として役立つことができた。該タンパク質は、上皮細胞及び周囲の間葉細胞によって産生される(Harold P. Erickson, Annu. Rev. Cell Biol. 5 (1989) 71-92; R Chiquet- Ehrismann, EJ Mackie, CA Pearson, T Sakakura, Tenascin: 胎児発育及び腫瘍形成中の組織相互作用に関連する細胞外マトリックスタンパク質, Cell 47 (1986) 131-139; R Chiquet-Ehrismann, P Kalla, CA Pearson, K Beck, M Chiquet, テナスシンはフィブロネクチン作用を妨害する, Cell 53 (1988) 383-390参照)。それは、細胞増殖、癌侵入、転移及び二次的腫瘍形成に関連する。それは、胚発育及び損傷治癒にも強く存在するが、その発現は成人の正常組織にほとんど限定されているにすぎない(例えば、Bourdon M. A., Wikstrand CJ., Furthermayr H., Metthews T. J., Bigner D.D., Cancer Res. 43 (1983) 2796-2805; N Hiraiwa, H Kida, T Sakakura, M Kusakabe, 拡散性因子によって介在される胚性間葉前駆細胞との相互作用による癌細胞中のテナスシンの誘導, Journal of Cell Science 104 (1993) 289-296参照)。
【0003】
テナスシン-Cは、組織培養中の繊維芽細胞及びグリア細胞によって分泌される。ヒトテナスシン-Cの実験源の1つは、グリア細胞株U251MGであるが、他の細胞、例えばU373、PC3及びF9も大量の該タンパク質を発現する。各々のヒトテナスシン-Cサブユニットは、以下の構造的要素:14 1/2 上皮成長因子-様リピート、15 フィブロネクチン(FN)系、3つのホモロジーリピート、及びヒトフィブロネクチンのβ及びγ鎖の球形ドメインとのホモロジーを有する215アミノ酸からなるCOOH-末端ノブ、を含む。
【0004】
幅広い腫瘍におけるその高発現のため、タンパク質テナスシン-C (TN-C) は、多数の腫瘍診断及び治療のための興味深い標的である(AM Tokes, E Hortovanyi, J Kulka, M Jakel, T Kereny, A Kadar,テナスシン発現及び乳癌における脈管形成, Pathol. Res. Pract. 195 (1999) 821-828; Y Soini, P Paakko, 肺癌におけるテナスシン免疫反応性, Am. J. Clin. Path. 100 (1993) 145-150; S Riedl, A Faissner, P Schlag, A Aon-Herbay, K Koretz, P Moller, 大腸炎、結腸腺腫及び直腸癌におけるテナスシンの変更された量及び分布, Gastroenterology 103 (1992) 400-406; MM Bonsanto, Klinische und funktionelle Aspekte der Tenascin-Expression im Zuge der Gliomprogression, http://www.ub.uni-heidelberg.de/archiv/4305参照)。TN-Cに対する抗体が産生され、放射線治療における利用性を試験するために放射性同位体標識されている(例えば、G Akabani, DA Reardon, RE Coleman, TZ Wong, SD Metzler, JE Bowsher, DP Barboriak, JM Provenzale, KL Greer, D DeJong, HS Friedman, AH Friedman, XG Zhao, CN Pegram, RE McLendon, DD Bigner, MR Zalutsky, 新たに診断された悪性神経膠腫を有する患者における131I-標識抗-テナスシン81C6ネズミモノクローナル抗体の線量測定及びX線写真分析: フェーズII試験, The Journal of Nuclear Medicine 46 (2005) 1042-1050; G Paganelli, C Grana, M chinol, M Cremonesi, C De Cicco, F De Braud, C Robertson, S Zurrida, C Casadio, S Zoboli, AG Siccardi, U Veronesi, イットリウム90を用いる高いレベルの神経膠腫のための抗体-誘導3ステップ療法, European Journal of Nuclear Medicine 26 (1999) 348-357; F Petronzelli, A Pelliccia, AM Anastasi, V D'Alessio, C Albertoni, A Rosi, B Leoni, C De Angelis, G Paganelli, G Palombo, M Dani, P Carminats, R De Santis, 2つの抗テナスシン抗体の併用による改良された腫瘍ターゲッティング, Clin Cancer Res 11 (2005) 7137s-7145s; MR Zalutsky, RP Moseley, HB Coakham, RE Coleman, DD Bigner, 神経膠腫及び他の頭蓋内悪性腫瘍を有する患者における131I-標識抗-テナスシン81C6モノクローナル抗体の薬物動力学及び腫瘍局在化, Cancer Research 49 (1989) 2807-2813; G Akabani, I Cokgor, RE Coleman, DG Trotter, TZ Wong, HS Friedman, AH Friedman, A Garcia-Tumer, JE Herndon II, D DeLong, RE McLendon, XG Zhao, CN Pegram, JM Provenzale, DD binger, MR .Zalutsky, 131I-標識抗-テナスシン81C6モノクローナル抗体で処置された悪性神経膠腫を有する新たに診断された患者における線量測定及び用量-反応関係, Int. J. Radiation Oncology Biol. Phys. 46 (2000) 947-958参照)。放射性同位体標識抗体の高腫瘍取り込みは、これらの研究においてすでに示されている。高親和性結合にもかかわらず、この方法は、長い血液保持時間及び遅い組織浸透をもたらす抗体の大きなサイズという問題がある。次にこのことは、放射性同位体標識抗体の望ましくない腫瘍-対-非腫瘍分布を引き起こす。更に、抗体は、免疫原性であり、高い製造コストがかかり、これら2つの要素は診断的適用におけるその使用を制限するものである。アプタマーのような合成オリゴヌクレオチドは、これらの問題を解決することができた。アプタマーは、非-免疫原性であり、通常、その標的への高い選択的結合を有する。迅速な身体クリアランスをもたらす中程度の大きさの分子量(7〜20 kDa)の他の組織との相互作用がほとんどない。アプタマーの潜在的結合部位は、テナスシン-Cの末端ノブでもよい。そのため、6つの可能な結合部位は、テナスシン-C分子ごとに存在することになる。
【0005】
アプタマー
アプタマーは、標的分子に結合するその能力に基づいてオリゴヌクレオチドライブラリーから選択され得る合成DNA又はRNA分子である(M Famulok, G Mayer, 分子生物学及び免疫学におけるツールとしてのアプタマー:Combinatorial Chemistry in Biology, Current Topics in Microbiology and Immunology (M Famulok, CH Wong, EL Winnacker, Eds.), Springer Verlag Heidelberg, 1999, Vol. 243, 123-136)。それらは、ワトソン-クリック塩基対によって3次元構造に折畳まれる。この3次元構造は、アプタマーに分子認識を可能にさせ、そして特定の標的のための高親和性及び選択性をもたらすことができる。その予備検討された構造は、標的に結合する間に、エントロピー的ロスを最小限にすることができる。高い特異性でタンパク質に結合するその能力は非常に興味深い(L Cerchia, J Hamm, D Libri, B Tavitian, V de Franciscis, 癌治療薬における核酸アプタマー, FEBS Letters 528 (2002), 12-16)。結合親和性は、通常、サブナノモーラー範囲である。特筆すべきことに、アプタマーは、通常、数桁で、生体分子の副次的な配列変異体を及び小分子のエナンチオマーでさえ選択的に認識することができる(SM Nimjee, CP Rusconi, BA Sullenger, Aptamers: 治療薬の新生クラス, Annu. Rev. Med. 56 (2005) 555-583; RR White, BA Sulienger, CP Rusconi, Developing aptamers into therapeutics, The Journal of Clinical Investigation 106 (2000) 929-934)。
【0006】
様々な標的へのアプタマー結合は、文献に記載されている。この中には、α-トロンビンに対して高親和性を有するアプタマー(MF Kubik, AW Stephens, D Schneider, RA Marlar, D Tasset, ヒトα-トロンビンに対する高親和性RNAリガンド, Nucleic Acids Research 22 (1994) 2619-2626)、HIV-1逆転写酵素に対して高親和性を有するアプタマー(C Tuerk, S MacDougal, L Gold, ヒト免疫不全ウイルス1型逆転写酵素を阻害するRNAシュードノット, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 89 (1992) 6988-6992)、及び基本的な繊維芽細胞成長因子に対して高親和性を有するアプタマー(D Jellinek, CK Lynott, DB Rifkin, N Janjic,基本的な繊維芽細胞成長因子に対する高親和性RNAリガンドは受容体結合を阻害する, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90 (1993) 11227-11231)がある。FDAによって承認された第1のアプタマー薬は、マクガン、すなわちNeXstarによって同定された分子 (NX-1838) である(I Melnikova, 滲出型加齢黄斑変性症, Nature Reviews 4 (2005) 711-712)。それは、血管内皮成長因子(VEGF)、すなわち血管新生性加齢黄斑変性(滲出型)の特徴であるタンパク質促進血管成長を特異的に標的する。従って、50歳を超える人では失明を引き起こす原因である、滲出型血管新生性加齢黄斑変性の進行を遅らせる。特定の標的に対するその高選択性のために、アプタマーは、放射線画像診断及び治療における標的プローブとして高い潜在力を有する。抗体のサイズとペプチドのサイズとの間にあるその好ましいサイズは、高い潜在的結合親和性と組み合わされて、高いシグナル対ノイズ比を可能にする。
【0007】
かかる高親和性結合アプタマーは、SELEX(Systematic Evolution of Ligands by Exponential enrichment(指数的濃縮のためのリガンドの系統的進化))と称されるin vitroプロセスによって生成され得る。この反復プロセスは、先行の高親和性結合アプタマーの選択及び増幅に基づいて、1990年にGold等によって確立された(JM Bacher AD Ellington, 薬物発見のツールとしての核酸選択, DDTZ (1998) 265- 273; L Gold, B Polisky, O Uhlenbeck, M Yams, オリゴヌクレオチド機能の多様性, Annu. Rev. Biochem. 64 (1995) 763-797)。オリゴヌクレオチドアプタマーの選択のための出発ライブラリーは、次の逆転写及び増幅のための定常領域に隣接しているランダム化配列(最高1015の異なった配列)の中央領域と共に、単一鎖DNA又はRNAオリゴヌクレオチドを含む。これらの単一鎖オリゴヌクレオチドは、標的分子(例えば、テナスシン-C)でインキュベートされ、次いでニトロセルロースフィルターを通過させることによって配分される:タンパク質に結合されたそのオリゴヌクレオチドは、回収され、RNA(又はDNA)に逆転写され、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で増幅されて、SELEXの新ラウンドのために使用され得る新しいプールをつくる。数回の反復(通常、8〜12回)の後、典型的には、高い緊縮性で実行され、選択されたリガンドは配列決定され、その結合能が評価される。
【0008】
TTA1: テナスシン-C結合アプタマー
ヒトマトリックスタンパク質テナスシン-Cに対するアプタマーは、テナスシン-C発現U251細胞株及び精製されたヒトテナスシン-Cタンパク質を用いてSELEX法によって同定され、Hicke等によって最初に公表された(BJ Hicke, C Marion, YF Chang, T Gould, CK Lynott, D Parma, PG Schmidt, S Warren, テナスシン-Cアプタマーは腫瘍細胞及び精製タンパク質を用いてつくられる, The Journal of Biological Chemistry 276 (2001) 48644-48654; WO 01/09390 A1)。ランダム2'F安定化ピリミジンRNA配列は、タンパク質発現細胞株でインキュベートした。9ラウンドの後、最良の結合配列を精製テナスシン-Cでインキュベートした。2 1 x 10-9 Mのテナスシン-Cへの結合親和性を有する配列を発見するために超のラウンドが必要であった。次いで、最終的なアプタマーは、in vivoでの分解に抵抗できるように修飾された。該修飾は、サイズ最小化、更なるヌクレアーゼ安定化及び生物的接合ハンドルの取り付けをカバーした。サイズの最小化は、親和性をロスすることなく、(CH2O)6基による17塩基の置換を含んだ。ヌクレアーゼ抵抗性は、2'Fピリミジンを用いることによってSELEX法の前に既に導入され、更に安定化は、2'OHプリンを2'OMeプリンに変換することによって達成された。Hicke等は、5個のグアノシン(guanodine)(G)での2'OHの変換が活性の低下をもたらすことを見出した:G1、G9、G11、G14及びG17。従って、これら5個のヌクレオチドは、2'OHを維持した。加えて、ヌクレアーゼ安定性を更に増加させるために3'キャップを付加した。最後に、C6-NH2リンカーをオリゴヌクレオチドの5'末端に付加し、最後のアプタマーをその結合親和性について再度試験した。合成オリゴヌクレオチドは、親の完全なサイズのアプタマーから親和性が5倍減少する、5 x 10-9 MのKDを有する。最後の分子を、テナスシン-C標的アプタマー-1を示すTTA1と名付け、その配列を以下のように決定した。
【0009】
【化1】

【0010】
結論として、TTA1は、2'OH基-対-ピリミジンのリボース骨格の2'Fフッ素置換基の置換、及び2'OH基-対-プリン核酸の2'-O-メチル置換基の置換によるヌクレアーゼ分解に対して安定である39個のヌクレオチドから成る。加えて、3'末端は、新しい5'OHを形成するための3'ヌクレオチドを、3'-3'結合で、最後から2番目の塩基に反転させることによって、エキソヌクレアーゼ分解に対して保護された。リンカー上のアミン基は、例えばキレートリガンド又は色素の導入のために使用できる。TTA1は、ヒトテナスシン-Cについて13.3 kDa分子量及びKD = 5 nMの結合親和性によって特徴付けられる。
【0011】
メルカプトアセチルジグライム(MAG2)、すなわち[99mTc(V)O]3+によるその後の放射性同位体標識に好適なN3S配位リガンドに結合されたTTA1は、現在のリード構造である。ステム2及びステム3は標的タンパク質への結合にために重要であるが、ステム1は、構造的安定性のために重要である、と推定される。In vitro及びin vivoにおいて、放射性同位体標識されたリード化合物を試験した。腫瘍を担持するマウスにおける臓器分布研究は、肝臓及び腎臓のような排出臓器におけるかなりの活性取り込みと共に、リード化合物の顕著な腫瘍取り込みを明らかにした。遅い肝胆道クリアランスは、著しい腸取り込みを伴い、かなり高いバックグランド活性のために、通常、望ましくない画像診断を招く。
【発明の概要】
【0012】
発明の概要
本発明の目的は、改善された性質を有し、画像診断のために好適である、新規化合物を提供することである。
【0013】
本発明は、式Iの新規化合物、及びランタノイド又はランタノイド様金属で標識される式Iに従う化合物を提供する。
【0014】
本発明はまた、式Iの放射性同位体標識化合物及び薬学的に許容される担体又は希釈剤を含む組成物を提供する。本発明は更に、疾患を画像化する方法であって、式Iの標識化合物又はその薬学的に許容される塩、エステルもしくはアミドの検出可能量を患者に導入することを含む、前記方法を提供する。
【0015】
本発明は、医薬として使用するための、式Iの化合物又は式Iに従う標識化合物を提供する。
【0016】
本発明の別の局面は、医薬の製造のための式Iの化合物の使用に関する。
【0017】
本発明はまた、放射性医薬組成物を製造するためのキットであって、式Iの化合物の所定量を含む密封バイアルを含む前記キットを提供する。
【0018】
本発明の別の局面は、PET画像化のための式Iの標識化合物の使用に関する。
【0019】
より具体的には、本発明の化合物は、癌、例えば膀胱癌、乳癌、直腸癌、腎臓癌、肝癌、小細胞肺癌を含む肺癌、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、子宮癌、甲状腺癌、前立腺癌及び皮膚癌、リンパ及び骨髄系の造血器腫瘍、間葉細胞起源の癌、中枢末梢神経系の癌、黒色腫、精上皮腫、奇形癌、骨肉腫、色素性乾皮症、光線性角化症、甲状腺濾胞癌及びカポジ肉腫を含む他の癌、に限定されない様々な癌の画像化のために有用である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、111In-TTA1-MAG2-DO3A (15A) のテナスシン-Cへの結合アッセイを示す。TN-C (1.25 x 10-7 M〜6.35 x 10-12 M) の増加量は、ニトロセルロースフィルターに結合された放射能に対してプロットされる。曲線から、1 nMのKDを計算した。
【図2】図2は、1時間p.i.で観察されたU251腫瘍担持ヌードマウスにおける68Ga-TTA1-MAG2-DO3AマイクロPET画像である。放射性トレーサーの取り込みは腫瘍において見られた。更に、放射能の取り込みは、膀胱を介してとり除かれる腎臓において観察された。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な説明
第1の局面では、本発明は、下記式I:
【0022】
【化2】

【0023】
[式中、Aは、アプタマーを示す。]
で表わされる化合物に関する。
【0024】
本発明の目的のために、用語「アプタマー」は、少なくとも2つの単一ヌクレオチドがホスホジエステル結合を介して互いに連結されている、4〜100個のヌクレオチドを含む合成分子を意味する。前記アプタマーは、標的分子に特異的に結合する能力を有する(例えば、M Famulok, G Mayer, 分子生物学及び免疫学におけるツールとしてのアプタマー, In: Combinatorial Chemistry in Biology, Current Topics in Microbiology and Immunology (M Famulok, CH Wong, EL Winnacker, Eds.), Springer Verlag Heidelberg, 1999, Vol. 243, 123-136参照)。ある標的分子に対して特異性を有するこのようなアプタマーを生成させる方法について当業者に公知の多数の方法がある。例えば、参考文献としてその開示が本明細書に援用されるWO 01/09390に記載されている。前記アプタマーは、置換又は非-置換の天然及び非-天然ヌクレオチドを含んでもよい。アプタマーは、例えば自動合成機を用いてin vitroで合成される(例えば、S Verma, F Eckstein, 修飾オリゴヌクレオチド:ユーザーのための合成及びストラテジー, Annual Reviews of Biochemistry 67 (1998) 99-134参照)。本発明に従うアプタマーは、例えば、2'-OH基対ピリミジン核酸のリボース骨格の2'-フッ素置換基の置換、及び2'-OH基対プリン核酸の2'-O-メチル置換基の置換によって、ヌクレアーゼ分解に対して安定化される。加えて、アプタマーの3'末端は、新しい5'-OH基を形成するための3'ヌクレオチドを、3'-3'結合で最後からの2番目の塩基に対する反転させることによって、エキソヌクレアーゼ分解に対して保護される(例えば、BJ Hicke, C Marion, YF Chang, T Gould, CK Lynott, D Parma, PG Schmidt, S Warren, テナスシン-Cアプタマーは、腫瘍細胞及び精製タンパク質を用いてつくられる, The Journal of Biological Chemistry 276 (2001) 48644-48654参照)。
【0025】
本発明の目的のために、用語「ヌクレオチド」は、窒素含有塩基、5炭糖及び1以上のリン酸基を含む分子を意味する。前記塩基の例は、アデニン、グアニン、シトシン、ウラシル及びチミンを含むがこれらに限定されない。非-天然、置換又は非-置換塩基も含まれる。5炭糖の例は、D-リボース及びD-2-デオキシリボーズを含むがこれらに限定されない。他の天然及び非-天然の置換又は非-置換5炭糖も含まれる。本発明で使用されるヌクレオチドは、1〜3個のリン酸基を含んでもよい。
【0026】
式Iに従う化合物の好ましい実施態様では、アプタマーAは、テナスシン-C結合アプタマーから選択される。
【0027】
本発明の目的のために、用語「テナスシン-C結合」は、以下の意味を有する:テナスシン-C結合であるアプタマーが、1 mM又は1 mM未満のテナスシン-Cに対して結合親和性を示し、ここで、1 mM未満とは、ナノモーラー及び/又はサブナノモーラーの範囲より特定の親和性を示すことを意味する。この結合親和性は、容易に実施することができ、当業者に周知である、確立されたアッセイを用いて測定される。このアッセイは、例えば参考文献として本明細書に援用されるWO 01/09390に詳細に記載されている。
【0028】
前記アプタマーAの更に好ましい実施態様は、100 nM以下のテナスシン-Cに対する結合親和性を有し、更に好ましい範囲は5O nM〜1 pMである。
【0029】
式Iに従う化合物の好ましい実施態様では、アプタマーAは、10〜50個のヌクレオチドを含む。
【0030】
橋構造Bを含む前記アプタマーAの更に好ましい実施態様は、以下:
【0031】
【化3】

【0032】
からなる群より選ばれる。
【0033】
Bは存在しないか、又は橋構造を示す。
アプタマーの5'末端は、更なる化学構造、例えばリンカーLの結合を可能にする橋構造によって、遊離のリン酸基が置換されてもよい。この橋構造は、置換もしくは非-置換の低級非-分岐又は分岐アルキル、低級非-分岐又は分岐アルケン、あるいはアミン官能基を有する置換もしくは非-置換の低級非-分岐又は分岐アルデヒドを含む。反対のことを特定しない場合には、明細書及び添付のクレームで使用される用語「低級非-分岐又は分岐アルキル」とは以下を意味する:不飽和を含まずかつ1〜8個の炭素原子を有する、炭素原子及び水素原子のみからなる直鎖又は分岐鎖の一価又は二価基、例えば、メチル、エチルn-プロピル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)、n-へプチル等を含むがこれらに限定されない。反対のことを特定しない場合には、明細書及び添付のクレームで使用される用語「低級非-分岐又は分岐アルケン」とは以下を意味する:少なくとも1つの不飽和を含みかつ1〜8個の炭素原子を有する、炭素原子及び水素原子のみからなる直鎖又は分岐鎖の一価又は二価基。反対のことを特定しない場合には、明細書及び添付のクレームで使用される用語「低級非-分岐又は分岐アルデヒド」とは以下を意味する:少なくとも1つのアルデヒド基を含みかつ1〜8個の炭素原子を有する、炭素原子及び水素原子のみからなる直鎖又は分岐鎖の一価又は二価基。
【0034】
式Iに従う化合物の好ましい実施態様では、橋構造Bはヘキシルアミンである。
【0035】
Lはリンカーである。
本発明の目的のために、用語「リンカー」は、橋構造Bのアミン基、又はキレーターCを有するアプタマーのアミン基を介して、アプタマーAに連結する化学物質を意味する。リンカーそれ自体は、単結合であるか、又はキレーターCを分子に連結するために使用され得る遊離のメルカプト(SH)-官能基の存在によって特徴付けられる。かかるリンカーの例は、単結合、置換もしくは非-置換の低級非-分岐又は分岐アルキル、低級非-分岐又は分岐アルケン、又は少なくとも1つのメルカプト基を有する低級非-分岐又は分岐アルデヒド、1つのアミノ酸もしくは2〜20個のアミノ酸のアミノ酸配列を含む少なくとも1つの遊離のメルカプト基を有する化学構造、ポリエチレングリコール(PEG)配列、あるいはそれらの任意の組み合わせ、を含むがこれらに限定されない。
【0036】
式Iに従う化合物の好ましい実施態様では、Lは、少なくとも1つの遊離のメルカプト基を有する化学構造である。ここで、該化学構造は、2〜10個のアミノ酸のアミノ酸配列、メルカプトアセチル-グリシン-グリシン(例えば、S Hilger, MC 0 Willis, M Wolters, WA Pieken, 修飾RNAのTc-99m-標識, Nucleosides Nucleotides 18 (1999) 1479-1481, B Johannsen, H Spies, 核医学に関連するテクネチウム(V)化学, Topics in Current Chemistry 176 (1996) 78-120)、メルカプトブチルイミジル、メルカプト-置換C1〜C4アルキル、メルカプト-置換C1〜C4アルケン、又はメルカプト-置換C1〜C4アルデヒドを含む。
【0037】
本発明の目的のために、用語「アミノ酸配列」は、少なくとも2つのアミノ酸の重縮合によって得られるポリアミドとして本明細書では定義される。本発明の目的のために、用語「アミノ酸」は、少なくとも1つのアミノ基及び少なくとも1つのカルボキシル基を含む任意の分子を意味し、該分子内のペプチド結合を意味しない。言い換えれば、アミノ酸は、好ましくはα位に、カルボン酸官能基及び少なくとも1つの遊離の水素を有するアミン窒素を有する分子であり、分子構造にアミド結合が存在しない。従って、N-末端に遊離のアミノ基及びC-末端に遊離のカルボキル基を有するジペプチドは、上記の定義における単一の「アミノ酸」としては考慮されない。
本明細書で使用されるアミド結合は、以下:
【0038】
【化4】

【0039】
[式中、カルボニル基は1つの分子によって提供され、NH-基は結合される他の分子によって提供される。]
の構造を有する任意の共有結合を意味する。かかる重縮合から得られる2つの隣接アミノ酸残基間のアミド結合は、「ペプチド結合」と定義される。場合により、ポリアミド骨格(上記のNHとして示される)の窒素原子は、独立にアルキル化されて、例えば-C1-C6-アルキル、好ましくは-CH3を有する。
【0040】
本明細書の目的のために、アミノ酸残基は、他のアミノ酸とペプチド結合を形成することによって対応するアミノ酸から得られる。
【0041】
本明細書の目的のために、アミノ酸配列は、天然及び/又は合成アミノ酸残基、タンパク新生及び/又は非-タンパク新生アミノ酸残基を含んでもよい。非-タンパク新生アミノ酸残基は、(a)タンパク新生アミノ酸のホモアナログ、(b)タンパク新生アミノ酸残基のβ-ホモアナログ、及び(c)非-タンパク新生アミノ酸残基に更に分類される。
【0042】
従って、アミノ酸残基は、対応するアミノ酸、例えば以下:
−タンパク新生アミノ酸、すなわちAla、Arg、Asn、Asp、Cys、 Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr及びVal; 又は
−非-タンパク新生アミノ酸、例えば:
側鎖がメチレン基によって伸びているタンパク新生アミノ酸のホモアナログ、例えば、ホモアラニン(Hal)、ホモアルギニン(Har)、ホモシステイン(Hcy)、ホモグルタミン(Hgl)、ホモヒスチジン(Hhi)、ホモイソロイシン(Hil)、ホモロイシン(Hle)、ホモリシン(Hly)、ホモメチオニン(Hme)、ホモフェニルアラニン(Hph)、ホモプロリン(Hpr)、ホモセリン(Hse)、ホモスレオニン(Hth)、ホモトリプトファン(Htr)、ホモシロシン(Hty)、及びホモバリン(Hva);
メチレン基がα-炭素原子とカルボキシル基との間に挿入されてβ-アミノ酸を与える、タンパク新生アミノ酸のβ-ホモアナログ、例えば、β-ホモアラニン(βHal)、β-ホモアルギニン(βHar)、β-ホモアスパラギン(βHas)、β-ホモシステイン(βHcy)、β-ホモグルタミン(βHgl)、β-ホモヒスチジン(βHhi)、β-ホモイソロイシン(βHil)、β-ホモロイシン(βHle)、β-ホモリシン(βHly)、β-ホモメチオニン(βHme)、β-ホモフェニルアラニン(βHph)、β-ホモプロリン(βHpr)、β-ホモセリン(βHse)、β-ホモスレオニン(βHth)、β-ホモトリプトファン(βHtr)、β-ホモチロシン(βHty)、及びβ-ホモバリン(βHva);
更に、非-タンパク質新生アミノ酸、例えば、α-アミノアジピン酸(Aad)、β-アミノアジピン酸(βAad)、α-アミノ酪酸(Abu)、α-アミノイソ酪酸(Aib)、β-アラニン(βAla)、4-アミノ酪酸(4-Abu)、5-アミノ吉草酸(5-Ava)、6-アミノへキサン(6-Ahx)、8-アミノオクタン酸(8-Aoc)、9-アミノノナン酸(9-Anc)、10-アミノデカン酸(10-Adc)、12-アミノドデカン酸(12-Ado)、α-アミノスベリン酸(Asu)、アゼチジン-2-カルボン酸(Aze)、β-シクロヘキシルアラニン(Cha)、シトルリン(Cit)、デヒドロアラニン(Dha)、γ-カルボキシグルタミン酸(Gla)、α-シクロヘキシルグリシン(Chg)、プロパルギルグリシン(Pra)、ピログルタミン酸(Glp)、α-tert-ブチルグリシン(Tle)、4-ベンゾイルフェニルアラニン(Bpa)、δ-ヒドロキシリシン(Hyl)、4-ヒドロキシプロリン(Hyp)、アロ-イソロイシン(alle)、ランチオニン(Lan)、(1-ナフチル)アラニン(1-Nal)、(2-ナフチル)アラニン(2-Nal)、ノルロイシン(Nle)、ノルバリン(Nva)、オルニチン(Orn)、フェニルグリシン(Phg)、ピペコリン酸(Pip)、サルコシン(Sar)、セレノシステイン(Sec)、スタチン(Sta)、チエニルアラニン(Thi)、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸(Tic)、アロ-スレオニン(aThr)、チアゾリジン-4-カルボン酸(Thz)、γ-アミノ酪酸(GABA)、イソ-システイン(iso-Cys)、ジアミノプロピオン酸(Dpr)、2,4-ジアミノ酪酸(Dab)、3,4-ジアミノ酪酸(γ、βDab)、ビフェニルアラニン(Bip)、パラ位が-C1-C6-アルキル、-ハライド、-NH2又は-CO2Hで置換されたフェニルアラニン (Phe(4-R)、ここで、R = -C1-C6-アルキル、-ハライド、-NH2又は-CO2H); ペプチド核酸 (PNA, P.E. Nielsen, Acc. Chem. Res. 32, 624-30参照);
−あるいは、それらのN-アルキル化アナログ、例えばそれらのN-メチル化アナログ、
から得られる。
【0043】
環状アミノ酸は、タンパク新生でも又は非-タンパク新生でもよく、例えば、Pro、Aze、Glp、Hyp、Pip、Tic及びThzである。
【0044】
更なる例及び詳細のために、例えば、文献として本明細書に援用されている、J. H. Jones, J. Peptide Sci. 2003, 9, 1-8を参照することができる。
【0045】
用語「非-タンパク新生アミノ酸」及び「非-タンパク新生アミノ酸残基」はまた、タンパク新生アミノ酸の誘導体を包含する。例えば、タンパク新生アミノ酸残基の側鎖は誘導化され、それによってタンパク新生アミノ酸残基に「非-タンパク新生」を付与する。同じことは、アミノ酸配列を終結するタンパク新生アミノ酸残基のC-末端及び/又はN-末端の誘導体に当てはまる。
【0046】
本明細書の目的のために、タンパク新生アミノ酸残基は、L-配置又はD-配置の、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr及びValからなる群より選ばれるタンパク新生アミノ酸から得られる;Thr及びIleの第2キラル中心は、R-又はS-配置のいずれかを有する。そのため、例えば、アミノ酸配列の任意の翻訳後修飾、例えば天然に起こるN-アルキル化は、対応する修飾されたアミノ酸残基(該アミノ酸残基は自然にタンパク質に取り込まれるが)に「非-タンパク新生」を付与する。
【0047】
Cは、金属イオンキレーターである。
本発明のために、金属イオンキレーターCは、ランタノイド又はランタノイド様金属の複合化のために好適である。かかるキレーターは、文献で周知であり、S Liu, DS Edwards, 治療的ランタノイド放射性医薬品のための二官能性キレーター, Bioconjugate Chemistry 12 (2001) 7-34に例が記載されている。
【0048】
式Iに従う化合物の好ましい実施態様では、Cは以下:
a) D03A-マレイミド、10-{2-[(2-{[2-(2,5-ジヒドロ-2,5-ジオキソ-1H-ピロール-1-イル)エチル]アミノ}-2-オキソエチル)アミノ]-1-メチル-2-オキソエチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-三酢酸;
【0049】
【化5】

【0050】
b) 下記式:
【0051】
【化6】

【0052】
[式中、Rは、置換もしくは非-置換の低級非-分岐又は分岐アルキル、置換もしくは非-置換の低級非-分岐又は分岐アルケン、あるいは少なくとも1つのアミノ酸又は2〜20個のアミノ酸のアミノ酸配列を含む化学構造から選択される。]
で表わされるDOTA-型リガンド;
c) 1,4,7-トリス(2-メルカプトエチル)-1,4,7-トリアザ-シクロノナン-型リガンド
【0053】
【化7】

【0054】
[式中、Rは、置換もしくは非-置換の低級非-分岐又は分岐アルキル、置換もしくは非-置換の低級非-分岐又は分岐アルケン、あるいは少なくとも1つのアミノ酸又は2〜20個のアミノ酸のアミノ酸配列を含む化学構造から選択される。];
d) 1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7三酢酸型リガンド (NOTA)
【0055】
【化8】

【0056】
[式中、Rは、置換もしくは非-置換の低級非-分岐又は分岐アルキル、置換もしくは非-置換の低級非-分岐又は分岐アルケン、あるいは少なくとも1つのアミノ酸又は2〜20個のアミノ酸のアミノ酸配列を含む化学構造から選択される。];
e) 1,4,7-トリス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシベンジル)-1,4,7-トリアザ-シクロノナン-型リガンド
【0057】
【化9】

【0058】
[式中、Rは、置換もしくは非-置換の低級非-分岐又は分岐アルキル、置換もしくは非-置換の低級非-分岐又は分岐アルケン、あるいは少なくとも1つのアミノ酸又は2〜20個のアミノ酸のアミノ酸配列を含む化学構造から選択される。];
【0059】
f) 三脚リガンド
【0060】
【化10】

【0061】
[式中、Rは、置換もしくは非-置換の低級非-分岐又は分岐アルキル、置換もしくは非-置換の低級非-分岐又は分岐アルケン、あるいは少なくとも1つのアミノ酸含む化学構造又は2〜20個のアミノ酸のアミノ酸配列をポリペプチドから選択される。]
からなる群より選ばれる。
【0062】
他に特定しない限り、式Iの化合物自体、式Iに従う標識化合物、及びその任意の医薬組成物について言う時には、本発明は、本発明の化合物の水和物、溶媒和物、複合体、及びプロドラッグのすべてを含む。プロドラッグは、式Iに従う活性な親医薬を放出する任意の共有結合化合物である。
【0063】
本発明の更なる局面において、ランタノイド又はランタノイド様金属イオンで標識される式Iに従う化合物及び任意の好ましい実施態様が提供される。かかる標識反応のための方法及び条件は、当業者によく知られている(RE Weiner, ML Thakur, Chemistry of Gallium and Indium Radiopharmaceuticals, in MJ Welch, CS Redvanly, Handbook of Radiopharmaceuticals, Wiley (2003) 363-399)。ランタノイド及びランタノイド様金属の主な利点は、酸化還元化学に関連しないことである。インジウム、ガリウム及びイットリウムの酸化状態は、水溶液中で+3である。HSAB理論によれば、In(III)、Ga(III)及びY(III)は重金属であり、よって、酸素及び窒素のようなハードドナー原子を好む(CJ Anderson, MJ Welch, 画像診断のための放射性金属標識剤(非-テクネチウム), Chem. Rev. 99 (1999) 2219-2234)。インジウム、ガリウム及びイットリウムは、水溶液中で同様のイオン半径、及びランタノイド金属の配位化学に匹敵する同様の配位化学を共有する(S Liu, DS Edwards, 治療的ランタノイド放射性医薬品のための二官能性キレーター, Bioconjugate Chemistry 12 (2001) 7-34)。
【0064】
金属複合体の熱力学的安定性及び速度論的不活性を増加させるために、多座キレーターは有用である。ランタノイド及びランタノイド様金属は、様々な多座リガンドを有する非常に安定な複合体を形成する能力を有する。これらの金属イオンのためにほとんど一般的に使用されているリガンドは、ジエチレン-トリアミン五酢酸(DTPA)及び1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)誘導体である。
【0065】
3次元空孔を有するDOTAのような多座リガンドは、非複合化形態において予備組織化構造を取り入れるその能力のために特に興味深い。好ましいアイソトープは、111In、67Ga、68Ga、86Y、90Y及び177Luである。
【0066】
利用能及び半減期の点から、68Gaは、最適な性質を有する画像化アイソトープであり、PET適用における18F用の可能な金属代替物である。1970年代から、68Ge/68Gaジェネレータ装置が評価されており、よって最近の20年では、68Ga化学が研究されてきた(Green MS, Welch MJ, ガリウム放射性医学品化学, Int. J. Rad. Appl. Instrum B 16 (1989) 435-448; Moerlein SM, Welch MJ, 放射性医学品製造に関するガリウム及びインジウムの化学, Int. J. Nucl. Med. Biol. 8 (1981) 277-287; Hnatowich DJ, Tc-99m以外の短命ジェネレータ-産生放射性核種を用いる放射性医薬品開発のレビュー, lnt J Appl Radiat lsot 28 (1977) 169-181)。
【0067】
本発明の局面では、67Ga、68Ga、86Y、90Y、177Lu又は111Inで標識される式Iに従う化合物及び任意の好ましい実施態様が提供される。
【0068】
更なる好ましい実施態様では、式Iの化合物は68Gaで標識される。
【0069】
キラル中心又は別の形態の異性体中心が、本発明の式Iに従う化合物又は式Iの標識化合物に存在する場合には、このような異性体のすべての形態、例えばエナンチオマー及びジアステレオマーは、本明細書でカバーされる。キラル中心を含む化合物は、ラセミ混合物又はエナンチオ選択的に過剰な混合物として使用し、あるいはラセミ混合物は、周知の方法を用いて分離し、個々のエナンチオマーは単独で使用してもよい。化合物が不飽和炭素-炭素結合(二重結合)を有する場合には、シス異性体及びトランス異性体はいずれも、本発明の範囲内にある。化合物が互変異性体、例えばケト-エノール互変異性体として存在する場合には、各互変異性体は、1つの形態で平衡に存在するか又は優先的に存在するかにかかわらず、本発明の範囲内に含まれる。
【0070】
本発明はまた、式Iの化合物又は式Iに従う標識化合物、及び薬学的に許容される担体又は希釈剤を含む組成物を提供する。薬学的に許容される担体又は希釈剤は、任意及びすべての溶媒、分散媒体、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤、酵素阻害剤、転移リガンド例えばグルコヘプトナート、酒石酸塩、クエン酸塩又はマンニトール等を含んでもよい。かかる組成物は、場合により凍結乾燥形態で提供され得る、殺菌性で、発熱物質を含まない非経口的に許容される水溶液でよい。本発明の組成物は、緩衝剤、追加のバイアル、使用のための教示等を含んでもよいキットの成分として提供される。
【0071】
更なる局面では、本発明は、式Iに従う化合物の所定量を含む密封バイアルを含むキットを提供する。
【0072】
本発明の別の局面では、式Iに従う化合物及び式Iに従う標識化合物が医薬としての使用のために提供される。
【0073】
本発明の別の局面では、式Iに従う化合物及び式Iに従う標識化合物は、画像診断剤として、好ましくはPET適用用の画像化剤としての使用のために提供される。
【0074】
本発明の更なる局面では、式Iに従う化合物及び式Iに従う標識化合物は、医薬の製造における使用のために提供される。
【0075】
本発明の更なる局面では、式Iに従う化合物及び式Iに従う標識化合物は、画像診断剤の製造における使用のために提供される。
【0076】
本発明の更なる局面では、式Iに従う化合物及び式Iに従う標識化合物は、PET画像化剤の製造における使用のために提供される。
【0077】
本発明によって提供される式Iに従う放射性標識化合物は、静脈内投与のための医薬組成物として、任意の薬学的に許容される担体、例えば慣用的媒体、例えば生理食塩水中で、又は血漿媒体で静脈内に投与され得る。かかる媒体は、慣用的な薬学的物質、例えば浸透圧を調整するための薬学的に許容される塩、緩衝剤、保存料等を含んでもよい。その中で、好ましい媒体は、通常の生理食塩水及び血漿である。好適な薬学的に許容される担体は当業者に知られている。この点に関して、例えばRemington's Practice of Pharmacy, 第11版を参照できる。
【0078】
例えば水性媒体中の式Iに従う化合物及び薬学的に許容される担体の濃度は、具体的な使用分野によって変動する。画像化標的(例えば、腫瘍)の十分な視覚化が達成される場合には、有効量が薬学的に許容される担体中に存在する。本発明に従って、式Iに従う放射性同位体標識化合物は、中性複合体として又は薬学的に許容されるカウンターイオンを有する塩のいずれかとして、単一注射用量で投与される。当業者に公知の一般的な担体の内のいずれか、例えば殺菌性生理食塩水又は血漿は、本発明に従って様々な臓器、腫瘍等を診断的に画像化するための注射液を調製するために放射性同位体標識した後に、使用され得る。一般的に、診断剤のために投与される単位用量は、約0.1 mCi〜約100 mCi、好ましくは1 mCi〜20 mCiの放射能を有する。放射性治療剤のためには、治療単位用量の放射能は、約10 mCi〜700 mCi、好ましくは50 mCi〜400 mCiである。単位投薬量で注入される溶液は、約0.01 ml〜約30 mlである。静脈内投与後の診断目的のために、in vivoでの臓器又は腫瘍の画像化は数分の間に実施できる。しかしながら、必要ならば、画像化は、患者への注入の後数時間又はより長い時間に行うことができる。ほとんどの場合には、投薬量の有効量は、シンチグラフィ画像を撮ることができる1時間中の約0.1時間以内に、画像化される部位において集積するだろう。診断目的のためのシンチグラフィ画像の任意の慣用的方法は、本発明に従って利用できる。
【実施例】
【0079】
実施例 1: アプタマー-D03A複合体の合成
a) 10-[2-({2-[(2-{2,5-ジオキソ-3-[(2-オキソ-2-{[2-オキソ-2-({2-オキソ-2-[(TTA1)-イルアミノ]エチル}アミノ)エチル]アミノ}エチル)スルファニル]ピロリジン-1-イル}エチル)アミノ]-2-オキソエチル}アミノ)-1-メチル-2-オキソエチル]-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7三酢酸の合成
TTA1-MAG2-DO3A
30 μlの0.2 Mリン酸緩衝液 (pH 7.4) に溶解した1.2 mg TTA1-MAG2を、37℃で1時間、1 mg (1.5 μmol) DO3A-マレイミドでインキュベートした。10 kDaカットオフフィルターを用いて過剰量のD03A-マレイミドを13000 rpmでスピン透析して除いた。100 μl水でフィルター上の生成物を3回洗浄し、13000 rpmで20分間ろ過した。試料を-70℃で保存した。
【0080】
分析
Mass (ESI-): 計算値 [M]: 14055; 実測値 [m/z]: 14094 (M + K+)。
【0081】
10-[2-({2-[(2-{2,5-ジオキソ-3-[(2-オキソ-2-{[2-オキソ-2-({2-オキソ-2-[(TTA1)-イルアミノ]エチル}アミノ)エチル]アミノ}エチル)スルファニル]ピロリジン-1-イル}エチル)アミノ]-2-オキソエチル}アミノ)-1-メチル-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-三酢酸 (TTA1-MAG2-DO3A) (15)の合成の反応スキームを以下に示す。
【0082】
【化11】

【0083】
TTA7-MBI-DO3A
15 μlホウ酸緩衝液 (0.2 M, pH 8) に溶解した1.2 mg (100 nmol) TTA7-NH2、及び5 μlホウ酸緩衝液 (0.2 M, pH 8) に溶解した0.28 mg (2 μmol) 2-イミノチオランを、0℃で1時間インキュベートした。次いで、10 kDaカットオフフィルターを用いて過剰量の2-イミノチオランを13000 rpmで除いた。100 μl リン酸緩衝液 (0.1 M, pH 7.4) でフィルター上の生成物を3回洗浄し、13000 rpmで20分間ろ過した。
【0084】
次いで、25 μlリン酸緩衝液 (0.1M, pH 7.4) 中に存在する生成物を、1 mg (1.5 μmol) DO3A-マレイミド (8) と、37℃で2時間反応させた。10 kDaカットオフフィルターを用いて過剰量のDO3A-マレイミドを13000 rpmで除いた。100 μl水でフィルター上の生成物を3回洗浄し、13000 rpmで20分間ろ過した。試料を-70℃で保存した。
【0085】
10-(2-{[2-[3-({4-イミノ-4-[(TTA7)-イルアミノ]ブチル}スルファニル)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]エチル}アミノ)-2-オキソエチル]アミノ}-1-メチル-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-三酢酸 (TTA7-MBI-DO3A) (16) の合成の反応スキームを以下に示す。
【0086】
【化12】

【0087】
実施例 2: アプタマー-DO3A複合体の68Ga(III)標識
−一般的所見−
ランタノイド様金属の標識要件は、99mTc及び188Re標識条件とは異なる。不溶性金属リン酸化合物の形成を避けるためにリン酸ナトリウム緩衝液から酢酸アンモニウム緩衝液まで緩衝液系を変更することが必要であった。実際に、Liu等は、金属リン酸化合物の形成は、in vivoで骨に局在化するランタノイド様金属イオンの高親和性の理由であろうと推測している。酢酸塩は、ランタノイド様アイソトープとの更なるリガンド交換反応のために好適な補助リガンドであることが知られている。従って、通常、pH>3で形成される金属水酸化物の沈殿は避けられる。このことは、pH<5.5でのアプタマーの分解のために、アプタマー複合体の標識反応のために5.5及びそれ以上にpHを上げなければならなかったので、重要なことであった。ランタノイド様金属酢酸塩補助リガンド複合体は、DO3A及びMX-DTPAのような多価N,O-キレートリガンドの存在下で次に迅速な変換をする傾向があった。
【0088】
a) TTA1-MAG2-DO3Aの68Ga標識
200 μg TTA1-MAG2-DO3A (15 nmol) を400 μl酢酸アンモニウム緩衝液 (pH 5.5, 0.5 M) に溶解した。100 μl (100〜300 MBq) [68Ga]GaCl3溶出液を加え、次いで100℃で20分間インキュベートした。10 kDaカットオフフィルターを用いて13000 rpmで生成物をスピン精製した。生成物の純度をPAGE及びHPLC(表9.6)により>90 %と決定した。
【0089】
b) TTA7-MBI-DO3Aの111In標識
TTA7-MBI-DO3Aの111In標識は、TTA1-MAG2-DO3Aの111In標識と同様に行った。生成物の形成は、酢酸アンモニウム緩衝液を用いて5.5のpHで達成された。反応は、100℃で20分間行った。生成物の収率は、スピンろ過による精製後に最高70 %であった。生成物の純度は、必ず95 %を超えた。化合物の同一性はHPLC及びPAGEによって確認した(データ非表示)。結果は、111In-TTA1-MAG2-DO3Aについて得られたデータと一致した。
【0090】
実施例 3: 結合親和性
a) ヒトテナスシン-Cへの式Iに従う化合物の結合親和性
結合定数(EC50)を決定するために競合フィルター結合アッセイを行った。2 nMのヒトTN-Cのサンプルを1 nM 99mTc-TTA1-MAG2のTBSMC緩衝液(20 mM Tris, pH 7.4; 137 mM NaCl; 1 mM CaCl2; 1 mM MgCl2)でインキュベートし、結合は非標識アプタマーの濃度の変化と共に競合した(図9.1におけるピペットスキーム)。インキュベーションは37℃で15分間行った。次いで、支持されたニトロセルロース膜及びワットマンフィルター紙を備えたMinifold Deviceでピペットし、減圧下にて緩衝液で洗浄した。テナスシン-C結合標識アプタマーに起因するフィルター上の残渣放射能をホスホールイメージャー(Phosphorimager)で定量した。片方競合非-線状回帰曲線をプロットするGraphPadPrism 3.02(San Diego, CA, USA)を用いてEC50値を計算した。
【0091】
【表1】

【0092】
b) 111In-TTA1-MAG2-DO3Aの結合親和性
ランタノイド様金属で標識されたアプタマー複合体の群からの例として、111In-TTA1-MAG2-DO3Aをヒトテナスシン-Cのその結合親和性について試験した。テナスシン-Cの量を変化させながら(1.25 x 10-7 M〜6.35 x 10-12 M)、所与の濃度の放射性同位体標識化合物111In-TTA1-MAG2-DO3Aをインキュベートすることによって、解離定数KDを直接計算した。111In-TTA1-MAG2-DO3AのKDは1 nMと決定した。
結合曲線の図を図1に示す。
【0093】
実施例 4: 生物学的分布試験
a) 68Ga-TTA1-MAG2-DO3Aの生物学的分布試験
68Ga-TTA1-MAG2-DO3AをU251腫瘍担持ヌードNMRIマウスを用いる生物学的分布実験において試験した。68Gaの短い半減期のために、この試験のために初期の時点のみを選択した。
【0094】
68Ga-TTA1-MAG2-DO3Aの腫瘍取り込みは、1時間経過注入において2.0 % ID/gであると検出された。同じ時点において、血液では、0.4 % ID/gが観察されたにすぎなかった。1時間p.i.での腎臓及び肝臓の取り込みは、111In標識化合物と比べて低いことが分かった。68Ga-TTA1-MAG2-DO3Aのクリアランスは、主に尿を介したが(1時間p.i.で71.7 % ID)、この時点では腸では0.9 % ID/gが見られたにすぎなかった。
【0095】
【表2】

【0096】
【表3】

【0097】
b) 99mTc-TTA1-MAG268Ga-TTA1-MAG2-DO3Aの生物学的分布の比較
放射性同位体標識アプタマーの生物学的分布は、皮下ヒトU251グリア芽腫を担持するヌードマウスにおいて試験した。U251異種移植片におけるヒトTN-Cの発現は、125I-抗-TN-C抗体を用いてこれまでに確認されている。約22 g体重の雌性ヌードマウス(NMRI-Foxn1nu, Taconic)の後脇腹に皮下的に、2.2 x 106 U251ヒトグリア芽腫細胞(ATCC)の100 μl PBSを接種した。3〜4週間後、明瞭な腫瘍を有するマウス(約100 mg)の尾の血管に、74〜111 KBq放射性同位体標識アプタマー複合体を注射した。0.25、1、5及び24時間経過注入 (p.i.) 後、3匹のマウスを時間当たり堵殺し、選択した臓器の放射能をガンマ-カウンター (Compugamma LKB Wallac) で測定した。%ID/g (% 注入用量/g組織) 及び%ID (% 注入用量) を臓器、尿及び糞について計算した。
【0098】
【表4】

【0099】
【表5】

【0100】
実施例 5: 68Ga-TTA1-MAG2-DO3Aのin vivo画像化
40 MBqの標識化合物をU251腫瘍担持ヌードマウスに注入し、動的PET画像化試験を行った。68Gaの短い半減期のために、画像化は注入の1時間経過後まで実行されただけであった。
【0101】
高い腫瘍対血液比率は、生物学的結果に基づいて予測された。腫瘍は、1時間後の注入においてよく観察できた。腎臓は、最も高いトレーサー取り込みを有する臓器であった。更に、膀胱は非常に顕著であった。1時間の時点では肝臓又は腸の取り込みは観察されなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式I:
【化1】

[式中、
Aは、アプタマーを示し;
Bは、存在しないか、又は橋構造を示し;
Lは、リンカーを示し;及び
Cは、金属イオンキレーターを示す。]
で表わされる化合物。
【請求項2】
前記Aが、テナスシン-C結合アプタマーから選ばれる、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
前記Aが、1 mM以下のテナスシン-Cに対する結合親和性を有するアプタマーである、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
前記Aが、10〜50個のヌクレオチドを含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
前記Bがヘキシルアミンである、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
前記Cが、以下:
a) DO3A-マレイミド、10-{2-[(2-{[2-(2,5-ジヒドロ-2,5-ジオキソ-1H-ピロール-1-イル)エチル]アミノ}-2-オキソエチル)アミノ]-1-メチル-2-オキソエチル}-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-三酢酸;
【化2】

b) 下記一般式:
【化3】

[式中、Rは、置換もしくは非置換の低級非分岐又は分岐アルキル、置換もしくは非置換の低級非分岐又は分岐アルケン、あるいは少なくとも1つのアミノ酸又は2〜20個のアミノ酸のアミノ酸配列を含む化学構造から選択される。]
で表わされるDOTA-型リガンド;
c) 下記式:
【化4】

[式中、Rは、置換もしくは非置換の低級非分岐又は分岐アルキル、置換もしくは非置換の低級非分岐又は分岐アルケン、あるいは少なくとも1つのアミノ酸又は2〜20個のアミノ酸のアミノ酸配列を含む化学構造から選択される。]
で表わされる、1,4,7-トリス(2-メルカプトエチル)-1,4,7-トリアザ-シクロノナン-型リガンド;
d) 下記式:
【化5】

[式中、Rは、置換もしくは非置換の低級非分岐又は分岐アルキル、置換もしくは非置換の低級非分岐又は分岐アルケン、あるいは少なくとも1つのアミノ酸又は2〜20個のアミノ酸のアミノ酸配列を含む化学構造から選択される。]
で表わされる、1,4,7-トリアザ-シクロノナン-1,4,7三酢酸型リガンド(NOTA);
e) 下記式:
【化6】

[式中、Rは、置換もしくは非置換の低級非分岐又は分岐アルキル、置換もしくは非置換の低級非分岐又は分岐アルケン、あるいは少なくとも1つのアミノ酸又は2〜20個のアミノ酸のアミノ酸配列を含む化学構造から選択される。]
で表わされる、1,4,7-トリス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシベンジル)-1,4,7-トリアザ-シクロノナン-型リガンド;及び
f) 下記式:
【化7】

[式中、Rは、置換もしくは非置換の低級非分岐又は分岐アルキル、置換もしくは非置換の低級非分岐又は分岐アルケン、あるいは少なくとも1つのアミノ酸又は2〜20個のアミノ酸のアミノ酸配列を含む化学構造から選択される。]
で表わされる三脚リガンドからなる群より選ばれる、請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
前記Lが、少なくとも1つの遊離メルカプト基を有する化学構造であって、前記構造が、2〜10アミノ酸のアミノ酸配列、MAG2、メルカプトブチルイミジル、メルカプト-置換C1〜C4アルキル、メルカプト-置換C1〜C4アルケン、又はメルカプト-置換C1〜C4アルデヒドを含む、請求項1〜6のいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
前記LがMAG2である、請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
A-Bが、以下の化合物:
【化8】

からなる群より選ばれる、請求項1〜8のいずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
ランタノイド又はランタノイド様金属イオンで標識されている、請求項1〜9のいずいれか1項記載の化合物。
【請求項11】
67Ga、68Ga、86Y、90Y、177Lu、又は111Inで標識されている、請求項1〜10のいずいれか1項記載の化合物。
【請求項12】
68Gaで標識されている、請求項1〜11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物及び薬学的に許容される担体又は希釈剤を含む組成物。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物の所定量を含む密封されたバイアルを含むキット。
【請求項15】
医薬として使用するための、請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物。
【請求項16】
画像診断剤、好ましくはPET用画像剤として使用するための、請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物。
【請求項17】
医薬の製造のための、請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項18】
画像診断剤、好ましくはPET用画像剤の製造のための、請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項19】
腫瘍を画像化するための画像診断剤、好ましくはPET用画像剤の製造のための、請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−502201(P2010−502201A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527023(P2009−527023)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【国際出願番号】PCT/EP2007/006149
【国際公開番号】WO2008/028534
【国際公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(300049958)バイエル・シエーリング・ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】