説明

ガリウムの回収方法

【課題】銅とガリウムを含む処理液からガリウムを回収する方法を提供する。
【解決手段】細孔支持材に設けられる液膜を提供するステップと、抽出液を含む有機溶液に分散される水相逆抽出液を含む分散逆抽出液を提供するステップと、銅とガリウムを含む処理液のPH値を3.5より大きくならないように調節し、または初期濃度が10Nまたはそれより大きい酸を含むように濃縮酸を処理液に添加して、調節するステップと、銅とガリウムを含む処理液104を細孔支持材に設けられる液膜の一方で処理し、細孔支持材に設けられる液膜の他方で分散逆抽出液102を用いることによって、選択的に銅とガリウムを含む処理液104中のガリウムを除去するステップと、一部または全部の分散逆抽出液102を有機相と水相逆抽出液に分離させるステップと、を含み、分離された水相逆抽出液に濃縮されたガリウム溶液が含まれるガリウムの回収方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガリウムの回収方法に関するものであり、特に銅とガリウムを含む溶液から銅とガリウムを分離させて、ガリウムを回収する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
薄型CIGS太陽電池は、高い光電変換率を有するため、開発にあたって重要視されている。コストの削減や環境保護のため、薄型CIGS太陽電池の製造方法中、真空スパッタリング法や、気相成長法や、非真空塗布などの工程において、銅、インジウム、ガリウム、セレンを回収して精錬するプロセスを必要とする。このため、廃(材)液からガリウムを分離して回収する技術が求められている。
【0003】
Rafaeloff氏(外数名)(Anal. Chem. Vol. 43 No.2 p272-274, 1971)によって、[2Mの塩酸、1Mの塩化アンモニウム、1Mの硫酸、及び1Mの硫酸アンモニウム/メチルエチルケトン]によって抽出を行い、その後、水によって逆抽出を行うガリウムの回収方法が開示されている。これによって他の金属イオン例えば銅(約0.1%の抽出量)やゲルマニウム(0.01%以下の抽出量)から分離して99%ガリウムが回収される。しかし、ヒ素やインジウムに対し、抽出量がそれぞれ36%と93.6%になり、この方法によって完全にガリウムとインジウム及びヒ素を分離させることができない。また、メチルエチルケトンの抽出剤は、沸騰点が低くて爆発し易く、しかも揮発性があるので常時補充する必要があって、コストが高くなる。
【0004】
Nishihama氏(外数名)によって、混合−分離を連続して逆抽出を行うガリウムの回収方法(Syouhei Nishihama, “Separation and Recovery of Gallium and Indium from Simulated Zinc Refinery by Liquid-Liquid Extraction”Ind. Eng. Chem. Res. 1999, 38, 1032-1039) が開示されている。この方法は、抽出剤(油相のD2EHPA)を直接に処理液(廃液)に混合して、更に6Mの塩酸を逆抽出液として混合して行われる。しかし、この方法は、乳化現象が起こりやすいので、回収率が低く、抽出液の消耗が増えてしまう。
【0005】
前記従来の回収方法において、抽出と逆抽出の工程は、少なくとも二つのステップが必要であるが、液膜を用いた場合、二つのステップを一つにすることができる。一つのステップに整合する液膜よって、標的物を分離して除去、回収能率を最大限にすることができる。(W.S. Winston Ho and Kamalesh K. Sirkar, eds., Membrane Handbook, Chapman & Hall, New York, 1992)。
【0006】
また、液膜は(1)支持液膜(supported liquid membranes;SLMs)と、(2)乳化液膜(emulsion liquid membranes;ELMs)の2種類に分けることができる。支持液膜の基本原理として、細孔を有する基材(例えば、細孔を有する中空ポリプロピレン繊維)に有機溶液を入れて、有機溶液と細孔の表面を接触させるときに、基材の孔を濡らして支持液膜が形成される。(W. S. Winston Ho and Kamalesh K. Sirkar, eds., Membrane Handbook, Chapman & Hall, New York, 1992)。
【0007】
近時、学界や業界において、標的物を含む水溶液中の銅や、亜鉛、カドミウム、パラジウムなどの金属や、物理放射性種や、ランタノイド金属元素を除去するために支持液膜が用いられる。
【0008】
また、崔春花氏(外数名)によって、中空繊維の支持液膜処理技術により銅を含む廃液を処理する技術が開示されている。(崔春花、任鐘旗、張衛東、楊彦強、▲ホウ▼子蘇、“Treatment of wastewater containing copper(II) Using hollow fiber support liquid membrane technique”(中空繊維の支持液膜処理技術により銅を含む廃液を処理する技術)高校化学工程公報,2008,22(4))。この方法は、中空繊維モジュールを少なくとも48時間[10%のD2EHPA/ケロシン]に浸漬することによって、中空繊維モジュールに細孔を形成させて、硫酸銅溶液(ph4.44)を工業廃液に模擬して処理液とし、6Mの塩酸を逆抽出液とする。
【0009】
しかし、処理液と分散溶液中には、液膜の組成成分(有機溶液、抽出液、及び修飾液)が含まれないのて、浸透圧に差異が生じるため、前記従来の支持液膜は、液膜の組成や浸透圧の関係で安定性が悪い、という欠点がある。(A. J. B. Kemperman, D. Bargeman, Th. Van Den Boomgaard, H. Strathmann, “Stability of Supported Liquid Membranes: State of the Art”, Sep. Sci. Technol., 31, 2733 (1996); T. M. Dreher and G. W Stevens, “Instability Mechanisms of Supported Liquid Membranes”, Sep. Sci. Technol., 33, 835-853 (1998); J. F. Dozol, J. Casas, and A. Sastre, “Stability of Flat Sheet Supported Liquid Membranes in the Transport of Radionuclides from Reprocessing Concentrate Solutions”, J. Membrane Sci., 82, 237-246 (1993))。
【0010】
また、何氏(外数名)によって、標的物を含む溶液から、金属や、物理放射性種、ペニシリン、有機酸などを除去して回収する安定性の高い支持液膜が開示されており、例えば、これによって、支持液膜と分散工程が結合されて、クロム(W.S. Winston Ho, “Supported Liquid Membrane Process for Chromium Removal and Recovery”, U. S. Patent 6,171,563 (2001))、金属(W.S. Winston Ho, “Combined Supported Liquid Membrane / Strip Dispersion Process for the Removal and Recovery of Radionuclides and Metals”, U. S. Patent 6,328,782 (2001); W.S. Winston Ho, “Combined Supported Liquid Membrane / Strip Dispersion Process for the Removal and Recovery of Metals”, U. S. Patent 6,350,419 (2002))、物理放射性種(W.S. Winston Ho, “Combined Supported Liquid Membrane / Strip Dispersion Process for the Removal and Recovery of Radionuclides and Metals”, U. S. Patent 6,328,782 (2001); W.S. Winston Ho, “Combined Supported Liquid Membrane / Strip Dispersion Process for the Removal and Recovery of Radionuclides”, U. S. Patent 6,696,589 (2004))、ペニシリン(penicillin)と有機酸(W.S. Winston Ho, “Combined Supported Liquid Membrane / Strip Dispersion Process for the Removal and Recovery of Penicillin and Organic Acids”, U. S. Patent 6,433,163 (2002))を除去することが開示されている。また、分散プロセスにおける支持液膜に応用されるジアルキルモノチオリン酸(dialkyl monothiophosphoric acid extractants)の抽出剤によって金属を除去する技術が開示されている (W.S. Winston Ho and Bing Wang, “Combined Supported Liquid Membrane / Strip Dispersion Process for the Removal and Recovery of Metals: Dialkyl Monothiophosphoric Acids and Their Use as Extractants”, U. S. Patent 6,291,705 (2001))。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、前記先行技術においては、支持液膜と分散逆抽出プロセスを結合して、銅とガリウムを含む廃液からガリウムを分離して回収する技術が開示されていない。
【0012】
このため、工業生産工程などに発生する廃液(材)から安定性が高く且つ効率が高いガリウムを除去して回収する方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、本発明は、銅とガリウムを含む処理液からガリウムを回収する方法であって、少なくとも細孔支持材に設けられる液膜を提供するステップと、抽出液を含む有機溶液に分散される水相逆抽出液を含む分散逆抽出液を提供するステップと、前記銅とガリウムを含む処理液のPH値を3.5より大きくならないように調節し、または初期濃度が10Nまたはそれより大きい酸を含むように濃縮酸を前記処理液に添加して、調節するステップと、前記銅とガリウムを含む処理液を前記細孔支持材に設けられる液膜の一方で処理し、前記細孔支持材に設けられる液膜の他方で前記分散逆抽出液を用いることによって、選択的に前記銅とガリウムを含む処理液中のガリウムを除去するステップと、一部または全部の前記分散逆抽出液を有機相と前記水相逆抽出液に分離させるステップと、を含み、分離された前記水相逆抽出液に濃縮されたガリウム溶液が含まれるガリウムの回収方法を提供する。
【0014】
また、前記細孔支持材は、複数の細孔中空繊維でシェル−チューブの複合構造を形成する中空繊維モジュールであって、前記銅とガリウムを含む処理液は前記中空繊維モジュールのチューブ側に流され、前記分散逆抽出液は前記中空繊維モジュールのシェル側に流されてもよい。
【0015】
また、前記分散逆抽出液において、前記有機溶液の体積が前記水相逆抽出液の体積より大きくてもよく、前記有機溶液と前記水相逆抽出液の体積の比率が2:1であってもよい。
【0016】
また、前記初期濃度が10Nまたはそれより大きい酸を含む、銅とガリウムを含む処理液に、更にインジウムを含んでもよい。
【0017】
また、前記銅とインジウムとガリウムを含む処理液において、銅の濃度とインジウムの濃度がガリウムの濃度より高くてもよい。
【0018】
また、前記銅とガリウムを含む処理液の初期PH値が0.5〜1.5の範囲にあってもよい。
【0019】
また、前記抽出剤はジ−02−エチルヘキシルリン酸(D2EHPA)を含んでもよい。
【0020】
また、前記有機溶液におけるジ−02−エチルヘキシルリン酸(D2EHPA)抽出剤の体積濃度が10%〜70%であってもよく、30%〜50%であってもよい。
また、前記水相逆抽出液は少なくとも塩酸を含んでもよい。
【0021】
前記塩酸の濃度が1N〜6Nの範囲にあってもよく、3Nであってもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、液膜分離技術によって、抽出と逆抽出を同時かつ連続的に行うことができ、人件費を節約し、ガリウムの回収率を99%以上に高め、また、他の方法に比べ、濃縮するステップを省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る支持液膜と分散逆抽出技術を結合するガリウムの回収装置を示す図。
【図2】本発明の実施形態に係る支持液膜と分散逆抽出技術を結合するガリウムの回収装置を示す部分拡大図。
【発明を実施するための好適な形態】
【0024】
本発明は、支持液膜を用いて、分散逆抽出プロセスと結合し、銅とガリウムを含む処理液からガリウムを除去して回収する方法を開示している。処理液として、工業生産工程などに発生する廃液(材)であっても良い。
【0025】
好ましい実施形態において、銅とガリウムを含む処理液からガリウムを除去して回収するプロセスが開示される。まず、細孔を有する支持材に設けられる液膜を提供する。次に、有機溶液に分散される水相逆抽出液を含む分散逆抽出液を提供する。前記有機溶液に抽出液が含まれる。次に、銅とガリウムを含む処理液のPH値を3.5より大きくならないように調節し、または初期濃度が10Nまたはそれより大きい酸を含むように濃縮酸を処理液に添加して、調節する。次に、細孔を有する支持液膜の一方において、銅とガリウムを含む処理液を処理し、前記液膜の他方において、前記分散逆抽出液を用いることによって、選択的に銅とガリウムを含む処理液からガリウムを除去して回収する。最後に、一部又は全部の分散逆抽出液を有機相と濃縮ガリウム溶液が含まれる水相逆抽出液に分ける。前記処理液のPH値を調節するステップにおいて、処理液が調節された初期のPH値は、回収が開始して、時間を経つにつれて変化する。同様に、前記処理液に濃縮酸を添加するステップにおいて、処理液に含まれる酸の初期濃度は、回収が開始して、時間を経つにつれて変化する。
【0026】
また、前記銅とガリウムを含む処理液の初期のPH値を0.5〜1.5の範囲に調節すれば、更にガリウムの回収率を高めることができる。
【0027】
また、前記分散逆抽出液において、有機溶液の体積が水相逆抽出液の体積より大きく、有機溶液と水相逆抽出液の体積比率が2:1であってもよい。
【0028】
また、前記ガリウムを除去して回収するプロセスにおいて、前記銅とガリウムを含む処理液の初期のPH値が3.5より大きい場合、ガリウムが処理液に沈殿して、ガリウムを除去して回収することができなくなってしまう。
【0029】
本発明は、いかなる支持液膜構造、例えば、中空繊維モジュールを用いても良い。中空繊維モジュールは、細孔を有する中空繊維を含み、シェル−チューブの複合構造を形成する。本発明において、分散逆抽出液102がシェル−チューブの複合構造のシェル側またはチューブ側の一方に流され、処理液104が他方(シェル側またはチューブ側)に流される。図1に示すように、中空繊維を用いる支持液膜によって、分散逆抽出液102に安定な支持が提供される。
【0030】
また、処理液104が中空繊維モジュールのチューブ側に流され、分散逆抽出液が中空繊維モジュールのシェル側に流されてもよい。また、前記中空繊維を用いる支持液膜に流れる流体が逆方向に流される、つまり、シェル側に流される分散逆抽出液102とチューブ側に流される処理液104の流れる方向が逆になっている。これによって、処理液104と分散逆抽出液102の接触時間が延長され、抽出率を高めることができる。
【0031】
本発明の目的を達成するために、分散逆抽出液は、水相と有機相の混合物として定義される。前記水相は、水相逆抽出液を含み、有機相は、有機溶液に存在する一種類または多種類の抽出剤を含む。図1に示すように、分散逆抽出液は、前記水相と有機相を混合してなり、例えば分散逆抽出タンク110においてミキサー112で混合してなる。このような組成によって、水相逆抽出液が液滴の形態で連続する有機相に存在することができる。抽出工程において、分散逆抽出液が中空繊維モジュールに流され、維持される。分散逆抽出液の有機相は、細孔を有する中空繊維の疎水性の孔を濡らしやすいので、安定な液膜を形成できる。
【0032】
図2は本発明の実施形態に係る支持液膜と分散逆抽出技術を結合するガリウムの回収装置を示す部分拡大図である。このプロセスの進行中、支持液膜の分散逆抽出液の方の圧力をPoとし、支持液膜の処理液の方に(処理液の流入方向202から流出方向204に向かって)、前記圧力Poより大きい低圧の圧力Pa(2psi程度)をかける。前記二つの圧力の差によって、分散逆抽出液中の有機溶液212が中空繊維の孔208を通過して支持液膜の処理液の方に浸透することが防止される。水相逆抽出液中に分散されている液滴210の大きさは約80〜800ミクロン。このようなサイズは、前記細孔を有する支持構造の孔208のサイズより、3倍ないし4倍以上になるので、支持液膜の分散逆抽出液の方にある液滴210は、細孔を有する支持構造の孔208を通過せず、処理液の方に到達することができない。
【0033】
本発明に係る支持液膜分散逆抽出システムにおいて、有機溶液、つまり分散逆抽出液の有機相は、持続に支持材の孔に供給される。このように持続的に供給することによって、支持液膜が安定に作用し続けることが確保される。また、有機相と逆抽出相が直接に接触することによって、逆抽出にとって物質の変換の効率がよくなる。また、有機相と逆抽出相を混合(例えば、高剪断混合)することによって、両者の接触面積を増やすことができる。
【0034】
ガリウムの除去が完成した後、分散逆抽出液のミキサー(例えばミキサー112)が停止して、分散逆抽出液が有機溶液と濃縮の逆抽出液の両相に分かれるまで静置する。この濃縮の逆抽出液は、本発明において開示される産物になる。
【0035】
前記銅とガリウムを含む処理液は、工業生産工程などに発生する廃液(材)が挙げられたが、これに限定されず、酸溶液で処理した銅/ガリウムを含む使用済ターゲットの溶液や、酸溶液で処理した銅/インジウム/ガリウムを含む使用済ターゲットのインジウムを含む溶液や、銅、インジウム、ガリウムを含む処理液に濃縮酸(例えば、濃塩酸)を添加して、初期濃度が10Nまたはそれより大きい酸(例えば、塩酸)を含む処理液であってもよい。
【0036】
本発明に用いられる細孔を有する支持材は、細孔ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアラミド、またはこれらの混合物であってもよく、細孔ポリプロピレンとポリテトラフルオロエチレンであるのが好ましい。
【0037】
分散逆抽出液の水相部分は、少なくとも一種類の酸性の水相溶液を含み、前記酸性の水相溶液は、塩酸や、硫酸や、硝酸や、酢酸などが挙げられるがこれらに限定されない。前記酸性の水相溶液の濃度は、0.1M〜18Mの範囲から選択され、1M〜6Mの範囲から選択されるのが好ましい。
【0038】
水相の逆抽出液は、一種類または多種類の抽出剤を含む有機相に分散される。抽出剤によって処理液中のガリウムが抽出される。
【0039】
本発明に用いられる分散逆抽出液は、選択的に炭化水素化合物の溶剤または混合物を含むことができる。前記炭化水素化合物の溶剤または混合物の分子は、炭素原子の数が6〜18であってよく、好ましくは10〜14である。前記炭化水素化合物の溶剤は、n-デカン、n-ウンデカン、n-ドデカン、n-トリデカン、n-テトラデカン、イソデカン、イソウンデカン、イソドデカン、イソトリデカン、イソテトラデカン、イソパラフィン炭化水素溶剤[引火点92℃、沸点254℃、25℃時点の粘度3cp、15.6℃時点の密度0.791g/ml]、またはこれらの混合物を含む。
【0040】
本発明に開示されているガリウムを回収するための分散逆抽出液において、有機溶液に含まれるジ−02−エチルヘキシルリン酸(D2EHPA)の抽出剤の体積濃度が10%〜70%であってもよく、30%〜70%であってもよく、30%〜50%であってもよい。
【0041】
従来の支持液膜技術に比べ、本発明に開示されている技術は、処理液からガリウムを除去して回収する応用において、液膜の安定性、コスト、操作の簡易化、流動率とガリウムの回収率の良さに優れている。
【0042】
本発明に開示されている技術は、安定に有機溶液を中空繊維支持材の孔に供給し、処理液からガリウムを除去して回収することができる。このように安定に有機溶液を供給することによって、本発明に開示されている支持液膜は従来の液膜より安定で、プロセスを安定して持続的に進行することができる。また、本発明は2セットの液膜モジュールを交替的に操作して、再生する必要がないので、同時に装置と操作のコストを低減することができる。また、本発明に開示されている除去技術は、従来の技術より更に簡単である。
【0043】
本発明に開示される技術において、有機/抽出相が直接に逆抽出の水相に接触することができ、両相の混合によって、本来中空繊維が提供する物質移行の表面積より大きい物質移行の表面積が利用され、有機相から標的物を逆抽出する効率が高められ、ガリウムが抽出されるときの物質移行流動率が更に高められる。
【0044】
ガリウムの濃度が銅の濃度(及びインジウムの濃度)より高い廃液からガリウムを抽出するのに本発明に開示されている技術が適用されたが、銅の濃度(及びインジウムの濃度)がガリウムの濃度より高い廃液にも適用する。
【0045】
本発明に開示されている技術は、ガリウムの濃度が銅の濃度(及びインジウムの濃度)より低い場合でも、ガリウムを選択的に回収して高濃度に濃縮することができることをを強調するために、下記の実施例において、銅の濃度(及びインジウムの濃度)がガリウムの濃度より高い廃液のみが例として挙げられている。
【0046】
本発明は、多様の実施例で表現することができ、図面や、以下に挙げられる実施例は単に範例であり、決して本発明を限定するものではない。
【0047】
実施例
基本プロセス
以下の実施例において、支持液膜と分散逆抽出液を結合して、水相の処理液から有機溶液にガリウムを抽出する。持続的に抽出されたガリウムを逆抽出するように水相の逆抽出液が分散される。支持液膜システムは、中空繊維モジュール(Liquid-Cel, extra-flow 2.5x8, Membrana-Charlotte, USA)と、処理液タンクと、処理液をポリプロピレンの中空繊維に配送する処理液ポンプ(model 7592-50, Cole-Parmer, USA)と、完全に水相逆抽出液を有機溶液に分散させるためのミキサー(mixer, SS-NZ-1000, Eyela, Japan)を有する分散逆抽出液タンクとを含み、また、水相物質を含む油相物質を液膜モジュールのシェル側に配送するためのもう一つのポンプ(model 7553-70, Cole-Parmer, USA)とを含む。中空繊維モジュールの直径は6.35センチ(2.5インチ)、長さは20.3センチ(8インチ)、薄膜の表面積は1.4平米である。
【0048】
以下の実施例は、支持液膜に流れる流体が逆方向に流される形態で操作する。処理液は細孔ポリプロピレンの中空繊維モジュールのチューブ側に流され、モジュール及び分散タンク中において抽出されたガリウムが分散逆抽出液に逆抽出される。
【0049】
ガリウムを含む水相の処理液が処理液タンクに配送され、磁気振動器によって300rpmの回転速度で振動させる。逆抽出液として、塩酸溶液が用いられ、直径8.5センチの二葉式ミキサーによって300rpmの回転速度で有機溶液に分散される。前記有機溶液は、イソパラフィン溶剤(シェルケミカルズ社製、商品名「TM」溶剤)に添加されるガリウムの抽出剤とするジ−02−エチルヘキシルリン酸(D2EHPA)(メルク社製)を含む。
以下の実施例において、特別に指定する場合を除き、分散逆抽出液中の有機溶液と逆抽出液の体積比率は2:1とする。
【0050】
まず、処理液を中空繊維モジュールのチューブ側に流して、中空繊維モジュールに処理液が充満した後、水相物質を含む油相物質をポンプによって中空繊維モジュールのシェル側に流す。有機相が中空繊維の孔を通過して処理液に浸透するのを防止するために、チューブ側に、例えば、シェル側より4〜5psi程度高い正圧をかける。以下の実施例において、特別に指定する場合を除き、全てこの圧力で操作する。操作中、処理液と分散逆抽出液がそれぞれのタンクからポンプによって液膜モジュールに配送されて、再びタンクに戻される。ポンプで配送される流体の速度は1L/minである。
【0051】
以下の実施例において、所定の時間置きに、処理液と分散逆抽出液をサンプリングして、分散逆抽出液のサンプルを分相して異なる相に分離するまで静置する。次に、分散逆抽出液及び処理液から採った水相サンプルのガリウムの濃度を分析する。以下の実施例において、特別に指定する場合を除き、原子吸光光度計(GBC 906, GBC, Australia)によって分析を行う。また、誘導結合プラズマ発光分析装置を用いて分析してもよい。
【0052】
以下の実施例によって、異なる処理液の組成と体積で、本発明に開示されている支持液膜のガリウムの回収率と処理後の処理液と逆抽出液の濃度の性能が測定される。
【0053】
実施例1
1Lの処理液:初期濃度が約4.5wt%の銅と1.5wt%のガリウムを含み、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液で初期PH値を0.5に調節する。
1Lの有機溶液:溶剤として前記商用TMが用いられ、体積濃度(vol%)10のジ−02−エチルヘキシルリン酸(D2EHPA)を含む。
逆抽出液:0.5L、1Nの塩酸(HCl)溶液。
分散逆抽出液の製造の詳細は、前記「基本プロセス」に記載されているので、ここで省略する。
【0054】
まず、ポンプによって4.5wt%の銅と1.5wt%のガリウムを含む処理液がポリプロピレン中空繊維膜のチューブ側に搬送される。次に、分散逆抽出液が中空繊維膜のシェル側に注入される。前記「基本プロセス」に記載されているように、所定の時間置きに、処理液及び分散逆抽出液に対し、サンプリングして原子吸光光度計によって分析を行う。
【0055】
処理液中のガリウムイオンの濃度が30ppmより小さくなるときに、反応を終了させて、分散逆抽出液をチューブから排出し、抽出タンクに集中して静置する。分相後、水相になった部分は回収された濃縮ガリウム溶液になる。ガリウムの濃度を測定した結果、約3wt%であって、計算によると、回収率が99.3%で、銅の除去率が99.7%である。この溶液を電解して、純度が4N以上の金属ガリウムが得られる。
【0056】
実施例2
1Lの処理液:初期濃度が約4.5wt%の銅と1.5wt%のガリウムを含み、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液で初期PH値を1に調節する。
1Lの有機溶液:溶剤として前記商用TMが用いられ、体積濃度(vol%)10のジ−02−エチルヘキシルリン酸(D2EHPA)を含む。
逆抽出液:0.5L、1Nの塩酸(HCl)溶液。
本実施例は実施例1の操作と同じであるが、その差異は、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液によって処理液の初期PH値が0.5ではなく、1に調節されることにある。
【0057】
処理液中のガリウムイオンの濃度が30ppmより小さくなるときに、反応を終了させて、分散逆抽出液をチューブから排出し、抽出タンクに集中して静置する。分相後、水相になった部分は回収された濃縮ガリウム溶液になる。ガリウムの濃度を測定した結果、約3wt%であって、計算によると、回収率は99.3%で、銅の除去率は99.7%である。この溶液を電解して、純度が4N以上の金属ガリウムが得られる。
【0058】
実施例3
1Lの処理液:初期濃度が約4.5wt%の銅と1.5wt%のガリウムを含み、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液で初期PH値を1.5に調節する
1Lの有機溶液:溶剤として前記商用TMが用いられ、体積濃度(vol%)10のジ−02−エチルヘキシルリン酸(D2EHPA)を含む。
逆抽出液:0.5L、1Nの塩酸(HCl)溶液。
本実施例は実施例1の操作と同じであるが、その差異は、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液によって処理液の初期PH値が0.5ではなく、1.5に調節されることにある。
【0059】
処理液中のガリウムイオンの濃度が30ppmより小さくなるときに、反応を終了させて、分散逆抽出液をチューブから排出し、抽出タンクに集中して静置する。分相後、水相になった部分は回収された濃縮ガリウム溶液になる。ガリウムの濃度を測定した結果、約3wt%であって、計算によると、回収率は99.3%で、銅の除去率は99.7%である。この溶液を電解して、純度が4N以上の金属ガリウムが得られる。
【0060】
実施例4
1Lの処理液:初期濃度が約4.5wt%の銅と1.5wt%のガリウムを含み、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液で初期PH値を1に調節する。
1Lの有機溶液:溶剤として前記商用TMが用いられ、体積濃度(vol%)30のジ−02−エチルヘキシルリン酸(D2EHPA)を含む。
逆抽出液:0.5L、3Nの塩酸(HCl)溶液。
本実施例は実施例1の操作と同じであるが、その差異は、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液によって処理液の初期PH値が0.5ではなく、1に調節されることと、D2EHPAの体積濃度が10ではなく、30であることと、塩酸溶液が1Nではなく、3Nであることにある。
【0061】
処理液中のガリウムイオンの濃度が30ppmより小さくなるときに、反応を終了させて、分散逆抽出液をチューブから排出し、抽出タンクに集中して静置する。分相後、水相になった部分は回収された濃縮ガリウム溶液になる。ガリウムの濃度を測定した結果、約3wt%であって、計算によると、回収率が99.5%で、銅の除去率が99.2%である。この溶液を電解して、純度が4N以上の金属ガリウムが得られる。
【0062】
実施例5
1Lの処理液:初期濃度が約4.5wt%の銅と1.5wt%のガリウムを含み、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液で初期PH値を1に調節する。
1Lの有機溶液:溶剤として前記商用TMが用いられ、体積濃度(vol%)50のジ−02−エチルヘキシルリン酸(D2EHPA)を含む。
逆抽出液:0.5L、3Nの塩酸(HCl)溶液。
本実施例は実施例4の操作と同じであるが、その差異は、D2EHPAの体積濃度が30ではなく、50であることにある。
【0063】
処理液中のガリウムイオンの濃度が30ppmより小さくなるときに、反応を終了させて、分散逆抽出液をチューブから排出し、抽出タンクに集中して静置する。分相後、水相になった部分は回収された濃縮ガリウム溶液になる。ガリウムの濃度を測定した結果、約3wt%であって、計算によると、回収率が99.8%で、銅の除去率が98.9%である。この溶液を電解して、純度が4N以上の金属ガリウムが得られる。
【0064】
実施例6
1Lの処理液:初期濃度が約4.5wt%の銅と1.5wt%のガリウムを含み、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液で初期PH値を1に調節する。
1Lの有機溶液:溶剤として前記商用TMが用いられ、体積濃度(vol%)70のジ−02−エチルヘキシルリン酸(D2EHPA)を含む。
逆抽出液:0.5L、3Nの塩酸(HCl)溶液。
本実施例は実施例4の操作と同じであるが、その差異は、D2EHPAの体積濃度が30ではなく、70であることにある。
【0065】
処理液中のガリウムイオンの濃度が30ppmより小さくなるときに、反応を終了させて、分散逆抽出液をチューブから排出し、抽出タンクに集中して静置する。分相後、水相になった部分は回収された濃縮ガリウム溶液になる。ガリウムの濃度を測定した結果、約3wt%であって、計算によると、回収率が99.4%で、銅の除去率が99.5%である。この溶液を電解して、純度が4N以上の金属ガリウムが得られる。
【0066】
実施例7
1Lの処理液:初期濃度が約4.5wt%の銅と1.5wt%のガリウムを含み、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液で初期PH値を0.5に調節する。
1Lの有機溶液:溶剤として前記商用TMが用いられ、体積濃度(vol%)50のジ−02−エチルヘキシルリン酸(D2EHPA)を含む。
逆抽出液:0.5L、3Nの塩酸(HCl)溶液。
本実施例は実施例5の操作と同じであるが、その差異は、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液によって処理液の初期PH値が1ではなく、0.5に調節されることにある。
【0067】
処理液中のガリウムイオンの濃度が30ppmより小さくなるときに、反応を終了させて、分散逆抽出液をチューブから排出し、抽出タンクに集中して静置する。分相後、水相になった部分は回収された濃縮ガリウム溶液になる。ガリウムの濃度を測定した結果、約3wt%であって、計算によると、回収率が99.2%で、銅の除去率が99.9%である。この溶液を電解して、純度が4N以上の金属ガリウムが得られる。
【0068】
実施例8
1Lの処理液:初期濃度が約4.5wt%の銅と1.5wt%のガリウムを含み、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液で初期PH値を1.5に調節する。
1Lの有機溶液:溶剤として前記商用TMが用いられ、体積濃度(vol%)50のジ−02−エチルヘキシルリン酸(D2EHPA)を含む。
逆抽出液:0.5L、3Nの塩酸(HCl)溶液。
本実施例は実施例5の操作と同じであるが、その差異は、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液によって処理液の初期PH値が1ではなく、1.5に調節されることにある。
【0069】
処理液中のガリウムイオンの濃度が30ppmより小さくなるときに、反応を終了させて、分散逆抽出液をチューブから排出し、抽出タンクに集中して静置する。分相後、水相になった部分は回収された濃縮ガリウム溶液になる。ガリウムの濃度を測定した結果、約3wt%であって、計算によると、回収率が99.1%で、銅の除去率が98%である。この溶液を電解して、純度が4N以上の金属ガリウムが得られる。
【0070】
実施例9
1Lの処理液:初期濃度が約1.5wt%の銅と0.5wt%のガリウムを含み、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液で初期PH値を1に調節する。
1Lの有機溶液:溶剤として前記商用TMが用いられ、体積濃度(vol%)50のジ−02−エチルヘキシルリン酸(D2EHPA)を含む。
逆抽出液:0.5L、3Nの塩酸(HCl)溶液。
本実施例は実施例7の操作と同じであるが、その差異は、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液によって処理液の初期PH値が0.5ではなく、1に調節されることと、銅とガリウムの初期濃度がそれぞれ4.5wt%と1.5wt%ではなく、1.5wt%と0.5wt%であることにある。
【0071】
処理液中のガリウムイオンの濃度が30ppmより小さくなるときに、反応を終了させて、分散逆抽出液をチューブから排出し、抽出タンクに集中して静置する。分相後、水相になった部分は回収された濃縮ガリウム溶液になる。ガリウムの濃度を測定した結果、約1wt%であって、計算によると、回収率が99.3%で、銅の除去率が96.9%である。この溶液を電解して、純度が4N以上の金属ガリウムが得られる。
【0072】
実施例10
1Lの処理液:初期濃度が約9wt%の銅と3wt%のガリウムを含み、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液で初期PH値を1に調節する。
1Lの有機溶液:溶剤として前記商用TMが用いられ、体積濃度(vol%)50のジ−02−エチルヘキシルリン酸(D2EHPA)を含む。
逆抽出液:0.5L、3Nの塩酸(HCl)溶液。
本実施例は実施例9の操作と同じであるが、その差異は、銅とガリウムの初期濃度がそれぞれ1.5wt%と0.5wt%ではなく、9wt%と3wt%であることにある。
【0073】
処理液中のガリウムイオンの濃度が30ppmより小さくなるときに、反応を終了させて、分散逆抽出液をチューブから排出し、抽出タンクに集中して静置する。分相後、水相になった部分は回収された濃縮ガリウム溶液になる。ガリウムの濃度を測定した結果、約6wt%であって、計算によると、回収率が99.9%で、銅の除去率が99.8%である。この溶液を電解して、純度が4N以上の金属ガリウムが得られる。
【0074】
実施例11
2Lの処理液:銅とインジウムとガリウムを含む廃材を溶かして、塩酸を含む銅とインジウムとガリウムの溶液(3Mの水酸化ナトリウム溶液による滴定測定の結果により、塩酸の濃度が4Nである)を得て、濃塩酸で前記溶液中の塩酸濃度を10Nまたは10N以上に調節して、初期濃度が約3000ppmの銅と4000ppmのインジウムと1000ppmのガリウムを含む処理液を製造する。
1Lの有機溶液:溶剤として前記商用TMが用いられ、体積濃度(vol%)50のジ−02−エチルヘキシルリン酸(D2EHPA)を含む。
逆抽出液:0.5L、3Nの塩酸(HCl)溶液。
本実施例は前記他の実施例の操作と同じであるが、その最大の差異は、濃塩酸によって処理液の酸の濃度が10Nまたは10N以上に調節されることにある。
【0075】
処理液中のガリウムイオンの濃度が30ppmより小さくなるときに、反応を終了させて、分散逆抽出液をチューブから排出し、抽出タンクに集中して静置する。分相後、水相になった部分は回収された濃縮ガリウム溶液になる。ガリウムの濃度を測定した結果、約4000ppmであって、計算によると、回収率が99.1%で、銅とインジウムの除去率がそれぞれ99.9%と99.7%である。処理液中のインジウムと銅がD2EHPAによって抽出されないので、反応を終了した後、銅とインジウムとガリウムを含む溶液が銅とインジウムを含む溶液になって、ガリウムが分散逆抽出液に抽出されてガリウムを含む溶液になる。これによって、インジウムとガリウムを分離させる。
【0076】
本発明では好適な実施形態を前述の通り開示したが、これは決して本発明を限定するものではなく、当該分野の技術を熟知しているものであれば、本発明の精神と領域を離脱しない範囲内で、多様の変動や修正を加えることができる。従って本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0077】
102:分散逆抽出液
104:処理液
106:処理液ポンプ
108:ポンプ
110:分散逆抽出液タンク
112:ミキサー
202:処理液流入方向
204:処理液流出方向
206:中空繊維
208:孔
210:液滴
212:有機溶液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅とガリウムを含む処理液からガリウムを回収する方法であって、少なくとも
細孔支持材に設けられる液膜を提供するステップと、
抽出液を含む有機溶液に分散される水相逆抽出液を含む分散逆抽出液を提供するステップと、
前記銅とガリウムを含む処理液のPH値を3.5より大きくならないように調節し、または初期濃度が10Nまたはそれより大きい酸を含むように濃縮酸を前記処理液に添加して、調節するステップと、
前記銅とガリウムを含む処理液を前記細孔支持材に設けられる液膜の一方で処理し、前記細孔支持材に設けられる液膜の他方で前記分散逆抽出液を用いることによって、選択的に前記銅とガリウムを含む処理液中のガリウムを除去するステップと、
一部または全部の前記分散逆抽出液を有機相と前記水相逆抽出液に分離させるステップと、を含み、分離された前記水相逆抽出液に濃縮されたガリウム溶液が含まれるガリウムの回収方法。
【請求項2】
前記細孔支持材は、複数の細孔中空繊維でシェル−チューブの複合構造を形成する中空繊維モジュールであって、前記銅とガリウムを含む処理液は前記中空繊維モジュールのチューブ側の流され、前記分散逆抽出液は前記中空繊維モジュールのシェル側の流される請求項1に記載のガリウムの回収方法。
【請求項3】
前記分散逆抽出液において、前記有機溶液の体積が前記水相逆抽出液の体積より大きいである請求項1に記載のガリウムの回収方法。
【請求項4】
前記有機溶液と前記水相逆抽出液の体積の比率が2:1である請求項3に記載のガリウムの回収方法。
【請求項5】
前記初期濃度が10Nまたはそれより大きい酸を含む、銅とガリウムを含む処理液に、更にインジウムを含む請求項2に記載のガリウムの回収方法。
【請求項6】
前記銅とインジウムとガリウムを含む処理液において、銅の濃度とインジウムの濃度がガリウムの濃度より高いである請求項5に記載のガリウムの回収方法。
【請求項7】
前記銅とガリウムを含む処理液の初期PH値が0.5〜1.5の範囲にある請求項1に記載のガリウムの回収方法。
【請求項8】
前記抽出剤はジ−02−エチルヘキシルリン酸(D2EHPA)を含む請求項1に記載のガリウムの回収方法。
【請求項9】
前記有機溶液におけるジ−02−エチルヘキシルリン酸(D2EHPA)抽出剤の体積濃度が10%〜70%である請求項8に記載のガリウムの回収方法。
【請求項10】
前記有機溶液におけるジ−02−エチルヘキシルリン酸(D2EHPA)抽出剤の体積濃度が30%〜50%である請求項9に記載のガリウムの回収方法。
【請求項11】
前記水相逆抽出液は少なくとも塩酸を含む請求項1に記載のガリウムの回収方法。
【請求項12】
前記塩酸の濃度が1N〜6Nの範囲にある請求項11に記載のガリウムの回収方法。
【請求項13】
前記塩酸の濃度が3Nである請求項12に記載のガリウムの回収方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−132054(P2011−132054A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291505(P2009−291505)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(509176178)光洋応用材料科技股▲ふん▼有限公司 (9)
【Fターム(参考)】