説明

ガードレール

【課題】 ビームの重ね合わせ接続部や、ビーム同士を接続するボルトのボルト頭の下面とビーム表面との間に金属片が挟まれて付着するのを防止することを可能ならしめるガードレールを提供する。
【解決手段】 ビーム2の車両走行方向側の一端側の端部が、このビーム2よりも車両走行方向側のビーム2の車両側の他端側の端部の上側になるように順次重ね合わされ、ビーム2に設けられたボルト穴に通されたボルト5により接続されると共に、所定の間隔で立設された支柱4に支持されてなるガードレール1において、ビーム2のボルト穴よりも端部から離れた位置であって、かつビーム2の道路側に突出する山部の表面に、少なくともボルト5のボルト頭の突出量と同等に突出し、このビーム2の長手方向向きの斜面部3aを備えた突出部3を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガードレールの改善に関し、より詳しくはビームの重ね合わせ接続部や、ビーム同士を接続するボルトのボルト頭の下面とビーム表面との間に金属片が挟まれて付着するのを防止するようにしたガードレールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般道路や高速道路等に設けられる道路用防護柵として、ガードレール、およびガードパイプ等が従来から広く知られている。これらの道路用防護柵は。道路の側部や中央分離帯等に設置され、走行車両がスピンやスリップ等により道路外へ飛び出すのを防止するものである。特に、路肩に沿って設置されるガードレールは、道路に臨んで延びる帯状に施工されるので、急カーブ等の道路の状況変化を誘導するための設備としても有用である。
また、夜間における交通事故を軽減させる目的で、支柱の上部やビームの表面に、ヘッドライト等の光を効率良く反射させるリフレクタ(反射鏡)を配設したガードレールも開発されている。
【0003】
一般に、ガードレールは所定の間隔を隔てて立設された支柱に鋼板を長手方向に連続する山部と谷部とを有する波形に塑性加工したビームが取付けられている。例えば、一般的なガードレールの縦断断面の図12に示すように、このビーム52の幅方向の中央の谷部が支柱54にボルト付けされたブラケットに固定ボルト53とナット53′によって取付けられている。また、一般的なガードレールの斜視図の図13に示すように、ビーム52は、支柱54部分において隣接する他のビーム52と長手方向へ向けて連結されている。
このようなビーム52同士の連結に際しては、山部と谷部とを重ね合わせた重ね合わせ接続部52aの図示しないボルト穴にボルト55を共通しし、このボルト55のボルト穴からの突出端に図示しないナットを螺着して締結するものである。このようにビーム52を道路に沿って連結していくことによりガードレール51を作り出すことができ、そして走行車両が衝突した場合、支柱54とビーム52が変形することにより、走行車両衝突時の衝撃を吸収するものである。
【0004】
上記のようなガードレールに対しては、歩行者等の安全を確保するための種々の安全対策も講じられている。例えば、ビームを支柱に固定するためのボルトを危険突起物とみなして、このボルトを被覆するようにしたガードレールがある。より具体的には、紫外線透過性のキャップ状の容器に、紫外線硬化型樹脂組成物と無機充填材とからなるパテを所定量充填し、これを危険突起物としてのボルトに被覆するものであり、紫外線で前記パテを硬化させることにより、歩行者等の安全を向上させるようにしている(例えば、特許文献1参照。)。また、互いに隣接するビームの重ね合わせ接続部に隙間が生じるのを抑制するようにしたガードレールがある(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特公平04−066962号公報
【特許文献2】実開平07−025022号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のガードレールに対して、金属片が付着するケースが全国各地で数万個所に亘り確認されている。この金属片は、成分分析結果からその殆どがガードレールに衝突した走行車両の一部が剥離して付着したものと考えられており、三角形状の鋭利な刃物状になっている。このような金属片は、ビーム同士を接続するボルト頭の下面とビーム表面との間に差し込まれるようにして付着している場合もあり、またビーム同士の重ね合わせ接続部の隙間に差し込まれるようにして付着している場合もある。このような鋭利な金属片がガードレールから道路側に突出していると、通行人が接触するおそれがあるから、たとえ走行車両が衝突しても、ガードレールに金属片が付着するのを防止し得る構成にする必要がある。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示されているガードレールでは、危険突起物としてのボルトに歩行者が直に接触するのを防止するのを目的としている。従って、走行車両の衝突によって、これらボルトやビーム同士の重ね合わせ接続部に金属片が付着する点を念頭においていないため、走行車両の衝突に起因する金属片の付着に対して有効に機能するとは限らない。また、特許文献2に開示されているガードレールでは、あくまでもビームの組立性や外観に重点が置かれている。そのため、この特許文献2に開示されているガードレールも上記特許文献1に開示されているガードレールの場合と同様に、走行車両の衝突によって、これらボルトやビーム同士の重ね合わせ接続部に金属片が付着する点を念頭においていないため、走行車両の衝突に起因する金属片の付着に対して有効に機能するとは限らない。
【0007】
即ち、金属片の付着防止、歩行者等の通行者の安全性に焦点をあて、その効果面においても、またコスト面においても優れた構成のガードレールを早急に具現する必要がある。
また、多くの既設のガードレールに対しても、金属片の付着防止処理を施すことを可能ならしめる汎用性に優れたガードレールを提案する必要がある。
【0008】
従って、本発明は、ビームの重ね合わせ接続部や、ビーム同士を接続するボルトのボルト頭の下面とビーム表面との間に金属片が挟まれて付着するのを防止することを可能ならしめ、しかも既設のガードレールに対しても容易に適用することができるガードレールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者等は、たとえ車両がガードレールに接触したとしても、車両がビームの重ね合わせ接続部に形成される段差や、ビーム同士を接続するボルトのボルト頭に接触しなければ、ガードレールに金属片が付着するのを防止することができると考えて、本発明を具現したものである。
【0010】
従って、上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るガードレールが採用した手段は、長手方向に連続する山部と谷部とを有する波形に形成され、長手方向の両端部側にボルト穴が設けられたビームを備え、このビームの車両走行方向側の一端側の端部が、このビームよりも車両走行方向側のビームの車両側の他端側の端部の上側になるように順次重ね合わされ、前記ボルト穴に通されたボルトにより接続されると共に、所定の間隔で立設された支柱に支持されてなるガードレールにおいて、重ね合わされたときに下側になる他端側の前記ビームの前記ボルト穴の近傍であって、かつ接続されるビームが干渉しない位置に、少なくともこのビームの板厚と同等に突出し、このビームの長手方向向きの斜面部を備えた突出部が形成されてなることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の請求項2に係るガードレールが採用した手段は、長手方向に連続する山部と谷部とを有する波形に形成され、長手方向の両端部側にボルト穴が設けられた多数のビームを備え、これらビームの端部同士が前記ボルト穴に通されたボルトにより接続されると共に、所定の間隔で立設された支柱に支持されてなるガードレールにおいて、前記ビームの前記ボルト穴の近傍であって、かつ接続されるビームが干渉しない位置に、少なくとも前記ボルトのボルト頭のビーム表面からの突出量と同等に突出し、このビームの長手方向向きの斜面部を備えた突出部が形成されてなることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の請求項3に係るガードレールが採用した手段は、長手方向に連続する山部と谷部とを有する波形に形成され、長手方向の両端部側にボルト穴が設けられたビームを備え、このビームの車両走行方向側の一端側の端部が、このビームよりも車両走行方向側のビームの車両側の他端側の端部の上側になるように順次重ね合わされ、前記ボルト穴に通されたボルトにより接続されると共に、所定の間隔で立設された支柱に支持されてなるガードレールにおいて、前記ビームの前記ボルト穴の近傍であって、かつ接続されるビームが干渉しない位置に、少なくとも前記ボルトのボルト頭のビーム表面からの突出量と同等に突出し、このビームの長手方向向きの斜面部を備えた突出部が形成されてなることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の請求項4に係るガードレールが採用した手段は、請求項3に記載のガードレールにおいて、前記ビームの下側になる他端側に形成される突出部の突出量は、少なくとも前記ビームの上側になる一端側に形成される突出部の突出量よりもビームの板厚分大きく設定されてなることを特徴とするものである。
【0014】
本発明の請求項5に係るガードレールが採用した手段は、請求項1乃至4のうちの何れか一つの項に記載のガードレールにおいて、前記突出部の形成位置は、前記ビームの道路側に突出する山部の表面であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に係るガードレールでは、重ね合わされたときに下側になる他端側のビームのボルト穴の近傍であって、かつ接続されるビームが干渉しない位置に、少なくともこのビームの板厚と同等に突出し、このビームの長手方向向きの斜面部を備えた突出部が形成されている。そのため、走行車両はガードレールの表面に対して極めて接線に近い向きでビームに接触し、そして突出部に接触するが、車両はビーム同士の重ね合わせにより生じる段差に接触するようなことがない。従って、ガードレールへの接触により車両のボデイやドアの鋼板に亀裂が生じたとしても、この亀裂がビームの重ね合わせ接続部に挟まるようなことがないから、ガードレールへの金属片の付着を防止することができる。
【0016】
本発明の請求項2乃至5に係るガードレールでは、ビームのボルト穴の近傍であって、かつ接続されるビームが干渉しない位置に、少なくとも前記ボルトのボルト頭のビーム表面からの突出量と同等に突出し、このビームの長手方向向きの斜面部を備えた突出部が形成されている。そのため、走行車両はガードレールの表面に対して極めて接線に近い向きでビームに接触し、そして突出部に接触するが、車両はビーム同士の重ね合わせにより生じる段差やビームを接続するボルトのボルト頭に接触するようなことがない。従って、ガードレールへの接触により車両のボデイやドアの鋼板に亀裂が生じたとしても、この亀裂がビームの重ね合わせ接続部や、ビーム同士を接続するボルトのボルト頭の下面とビーム表面との間に挟まるようなことがないから、ガードレールへの金属片の付着を防止することができる。
【0017】
また、本発明の請求項2乃至5に係るガードレールによれば、ビームのボルト穴よりも端部から離れた位置に、このビームの長手方向向きの斜面部を備えた突出部が形成されているだけである。従って、例えば、突出部に対応する窪みを有する第1金具と、この第1金具との間にビームを挟む状態で着脱自在に前記第1金具に取付けられ、前記ビームを歩道側から押圧してビームを車道側に突出させる押圧金具を備えた油圧アクチュエータが取付けられてなる第2金具とからなる突出部形成冶具を用いることにより、現場において既設のガードレールのビームに簡単に突出部を形成することができる。
【0018】
本発明の請求項4に係るガードレールでは、ビームの下側になる他端側に形成される突出部の突出量は、少なくともビームの上側になる一端側に形成される突出部の突出量よりもビームの板厚分大きく設定されている。従って、走行中の車両がビームに接触しても、車両のボデイの表面のビーム同士の重ね合わせにより生じる段差やビームを接続するボルトのボルト頭への接触を確実に回避することができる。
【0019】
本発明の請求項5に係るガードレールでは、突出部はビームの道路側に突出する山部の表面に形成されている。従って、ガードレールのビームの端部に、低コストで突出部を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の形態1に係るガードレールを、添付図面を順次参照しながら説明する。
図1は本発明の形態1に係るガードレールが設けられた道路の模式的平面図であり、図2は本発明の形態1に係るガードレールを車道側から見た斜視図であり、図3は本発明の形態1に係るガードレールの平面図である。
【0021】
図1に示す符号Rは片側一車線の道路であり、この道路Rの両側にガードレール1が設けられている。このガードレール1は、長手方向に連続する山部と谷部とを有する波形に形成され、長手方向の両端部側にボルト穴(図示省略)が設けられたビームを備え、このビーム2の、矢印で示す車両走行方向側の一端側の端部が、このビーム2よりも車両走行方向側のビーム2の車両側の他端側の端部の上側になるように順次重ね合わされている。
そして、前記ボルト穴に通されたボルト5により接続されると共に、所定の間隔で立設された支柱4に支持されている。さらに、前記ビーム2の前記ボルト穴よりも端部から離れた位置におけるボルト穴、つまりボルト5の近傍であって、かつ接続されるビーム2が干渉しない位置に、このビーム2の長手方向向きの斜面部3aを備えた、後述する構成になる突出部3が形成されている。
【0022】
前記突出部3の形状は、図3に示すように、側面視でビーム2の長手方向の長さの中心を通る中心軸に対して軸対称の台形状であって、平坦部および斜面部3aの正面形状(車両の走行側から見た形状をいう。)は矩形状に形成されている。また、前記突出部3の長手方向向きの斜面部3aの勾配は緩やかであって、例えば約20°になるように設定されている。さらに、前記ビーム2の表面からの突出量である突出寸法、つまり前記ビーム2の下側になる他端側に形成される突出部3の突出寸法は、少なくとも前記ボルト5のボルト頭の前記ビーム2の表面からの突出寸法と同等になるように設定されている。
【0023】
より詳しくは、前記ビーム2の下側になる他端側に形成されている突出部3の突出寸法は、少なくとも前記ビーム2の上側になる一端側に形成され、ボルト5のボルト頭の厚さ寸法を考慮して設定される突出部3の突出寸法よりも、少なくともビーム2の板厚分大きくなるように設定されている。そして、この突出部3は前記ビーム2の道路側に突出する山部の表面だけに形成されている。因みに、この形態1に係るガードレール1の場合には、ビーム2の板厚が3.2mmであるため、ビーム2の下側になる他端側に形成されている突出部3の突出寸法は8.2mmであり、上側になる一端側に形成されている突出部3の突出寸法は5mmである。つまり、ビーム2の下側になる他端側に形成されている突出部3の突出寸法は5+t(ビームの板厚)mmとなる。なお、このようなガードレール1の場合、一般にその始端部と終端部には、先端が所定のRを持って折り曲げ形成されてなる袖ビームが取付けられるが、ビーム2の端部に設けられた突出部3により、袖ビームの重ね合わせ接続部への走行車両の接触も回避することができる。
【0024】
以下、本発明の形態1に係るガードレール1の作用態様を説明する。即ち、本発明の形態1に係るガードレール1の場合には、上記のとおり、ビーム2のボルト穴(ボルト5)よりも端部から離れた位置に、少なくとも前記ボルト5のボルト頭のビーム表面からの突出量と同等に突出し、このビーム2の長手方向向きの斜面部3aを備えた突出部3が形成されている。そのため、走行中の車両はガードレール1の表面に対して極めて接線に近い向きでビーム2に接触し、そして反走行方向の大きな衝撃を受けることなく突出部3に接触するが、車両はビーム2同士の重ね合わせにより生じる段差やビーム2を接続するボルト5のボルト頭に接触するようなことがない。
【0025】
そのため、ガードレール1のビーム2への接触によって走行車両のボデイやドアの鋼板に亀裂が生じたとしても、この亀裂がビーム2の重ね合わせ接続部2aや、ビーム2同士を接続するボルト5のボルト頭の下面とビーム2表面との間に挟まるようなことがない。
従って、本発明の形態1に係るガードレール1によれば、車両の接触に起因するガードレール1への金属片の付着を確実に防止することができる。
【0026】
また、本発明の形態1に係るガードレール1によれば、上記のとおり、ビーム2のボルト穴(ボルト5)よりも端部から離れた位置に、ビーム2の長手方向向きの斜面部3aを備えた突出部3が形成されているだけである。従って、例えば、突出部3に対応する窪みを有する第1金具と、この第1金具との間にビーム2を挟む状態で着脱自在に前記第1金具に取付けられ、前記ビーム2を歩道側から押圧してビーム2を車道側に突出させる押圧金具を備えた油圧アクチュエータが取付けられてなる第2金具とからなる突出部形成冶具を用いることにより、現場において既設のガードレール1のビーム2に簡単に突出部3を形成することができる。
【0027】
ところで、以上の形態1においては、図1,2から良く理解されるように、突出部3はビーム2の端部から2本目のボルト5よりも中心方向寄りに設けられているが、さらにボルト5とボルト5との間にも設けることができる。このような構成にすることにより、例えば走行車両がビーム2のボルト5とボルト5との間に衝突したとても、走行車両のボルト5のボルト頭への接触を防止することができるという効果を得ることができる。
【0028】
本発明の形態2に係るガードレールを、添付図面を参照しながら説明する。図4は本発明の形態2に係るガードレールのビームの重ね合わせ接続部付近を正面側からみた斜視図、図5は図4のA−A線断面図である。なお、本実施の形態2が上記形態1と相違するところは、突出部の形状の相違にあり、これ以外は上記形態1と全く同構成であるから、同一のものに同一符号を付してその相違する点について説明する。
【0029】
ビーム2の端部に形成される突出部3の形状は、図に示すように、側面視で不等辺三角形状であって、ボルト5側に向って上り勾配の斜面部3aの勾配は、下り勾配の斜面部3aの勾配よりも緩やかになるように設定されている。そして、下側になるビーム2の突出部3の表面からの突出寸法は、上側になるビーム2の突出部3の表面からの突出寸法よりも大きく設定されている。また、下側になるビーム2の突出部3の斜面部3aそれぞれの正面形状は、頂部の寸法が底部の寸法より小さな台形状に形成され、また上側になるビーム2の突出部3の斜面部3aの正面形状は、円弧状に形成されている。勿論、上側になるビーム2の突出部3の斜面部3aの正面形状は、下側になるビーム2の突出部3の斜面部3aそれぞれの正面形状と同形状であっても良い。
【0030】
本発明の形態2に係るガードレール1の場合には、下側になるビーム2の突出部3の斜面部3aそれぞれの正面形状と、上側になるビーム2の突出部3の斜面部3aの正面形状とは相違する。しかしながら、これら突出部3,3によって、車両のボデイのビーム2同士の重ね合わせにより生じる段差やビーム2を接続するボルト5のボルト頭への接触を防止することができ、またこれら突出部3,3はビーム2の道路側に突出する高い部分の表面だけに形成されているから、本発明の形態2に係るガードレール1によれば、上記形態1に係るガードレールと同等の効果を得ることができる。
【0031】
本発明の形態3乃至8に係るガードレールを、添付図面を順次参照しながら説明する。
なお、これら各形態は、何れも突出部の形状が相違するだけであり、上記形態1、2と同等の効果を得ることができるものであるから突出部の形状に係る説明に止める。
【0032】
本発明の形態3に係るガードレールの突出部3は、その突出部の斜視図の図6に示すように、側面視で不等辺台形状であって、平坦部および斜面部3aの正面形状は矩形状に形成されている。そして、図示しないボルトの方向に向って上向きの斜面部3aの勾配は、図示しないボルトの方向に向って下向きの斜面部3aの勾配よりも緩やかな勾配になるように設定されている。
【0033】
本発明の形態4に係るガードレールの突出部3は、その突出部の斜視図の図7に示すように、側面視で不等辺三角形状であって、斜面部3aの正面形状は矩形状に設定されている。そして、図示しないボルト側に向って上り勾配の斜面部3aの勾配は緩やかで、下り勾配の斜面部3aの勾配は急になっている。
【0034】
本発明の形態5に係るガードレールの突出部3は、その突出部の斜視図の図8に示すように、側面視で正面側方向に凸の湾曲した斜面部3aを有する蒲鉾形状であって、正面形状は矩形状に設定されている。
【0035】
本発明の形態6に係るガードレールの突出部3は、その突出部の斜視図の図9に示すように、側面視で略飛行機の主翼の断面形状に類似した翼形状であって、斜面部3aの正面形状は矩形状に設定されている。そして、図示しないボルト側に向って上り勾配の勾配が緩やかな斜面部3aには反正面側に凸、また正面側に凸の波形状の湾曲面が形成され、図示しないボルト側に向って下り勾配の勾配が急な斜面部3aは若干外側の凸の湾曲面が形成されている。
【0036】
本発明の形態7に係るガードレールの突出部3は、その突出部の斜視図の図10に示すように、側面および側面と直行する方向から見た形状は、何れも正面側方向に凸に湾曲しており、正面形状は上下方向に長径を有する楕円形状に設定されている。
【0037】
本発明の形態8に係るガードレールの突出部3は、その突出部の斜視図の図11に示すように、側面および側面と直行する方向から見た形状は、何れも正面側方向に凸に湾曲しており、正面形状は円形状に設定されている。
【0038】
ところで、以上の形態1乃至8に係るガードレールの説明において、種々の突出部の形状を説明した。しかしながら、ガードレールのビームに設けられる突出部は、車両に対する接触時の衝撃を小さくすることができ、ビーム同士の重ね合わせにより生じる段差やビームを接続するボルトのボルト頭への車両の接触を防止する形状になっていればよいものである。また、以上の形態1乃至8に係るガードレールにおいては、ビームの端部同士が重なり合う状態で、かつ道路側に突出する山部の表面に設けられたボルト穴に挿通されたボルトにより接続される場合を例として説明した。
【0039】
しかしながら、例えばビームの端部同士が突き合わされ、段差のない状態でボルトにより支柱に設けられたブラケットに取付けられる構成のガードレール、またはビームの端部同士が重なり合う状態で、かつ山部と谷部との間の斜面に設けられたボルト穴に挿通され、走行車両が衝突する恐れのないボルトにより接続される構成のガードレールに対しても本発明の技術的思想を適用することができる。従って、上記形態1乃至8に係る形態によって本発明の技術的思想の適用範囲が限定されるものではなく、また本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内における設計変更等は自由自在である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の形態1に係るガードレールが設けられた道路の模式的平面図である。
【図2】本発明の形態1に係るガードレールを車道側から見た斜視図である。
【図3】本発明の形態1に係るガードレールの平面図である。
【図4】本発明の形態2に係るガードレールのビームの重ね合わせ接続部付近を正面側からみた斜視図である。
【図5】図4のA−A線断面図である。
【図6】本発明の形態3に係るガードレールの突出部の斜視図である。
【図7】本発明の形態4に係るガードレールの突出部の斜視図である。
【図8】本発明の形態5に係るガードレールの突出部の斜視図である。
【図9】本発明の形態6に係るガードレールの突出部の斜視図である。
【図10】本発明の形態7に係るガードレールの突出部の斜視図である。
【図11】本発明の形態8に係るガードレールの突出部の斜視図である。
【図12】従来例に係る一般的なガードレールの縦断断面図である。
【図13】従来例に係る一般的なガードレールの斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
1…ガードレール
2…ビーム,2a…重ね合わせ接続部
3…突出部,3a…斜面部
4…支柱
5…ボルト
R…道路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に連続する山部と谷部とを有する波形に形成され、長手方向の両端部側にボルト穴が設けられたビームを備え、このビームの車両走行方向側の一端側の端部が、このビームよりも車両走行方向側のビームの車両側の他端側の端部の上側になるように順次重ね合わされ、前記ボルト穴に通されたボルトにより接続されると共に、所定の間隔で立設された支柱に支持されてなるガードレールにおいて、重ね合わされたときに下側になる他端側の前記ビームの前記ボルト穴の近傍であって、かつ接続されるビームが干渉しない位置に、少なくともこのビームの板厚と同等に突出し、このビームの長手方向向きの斜面部を備えた突出部が形成されてなることを特徴とするガードレール。
【請求項2】
長手方向に連続する山部と谷部とを有する波形に形成され、長手方向の両端部側にボルト穴が設けられた多数のビームを備え、これらビームの端部同士が前記ボルト穴に通されたボルトにより接続されると共に、所定の間隔で立設された支柱に支持されてなるガードレールにおいて、前記ビームの前記ボルト穴の近傍であって、かつ接続されるビームが干渉しない位置に、少なくとも前記ボルトのボルト頭のビーム表面からの突出量と同等に突出し、このビームの長手方向向きの斜面部を備えた突出部が形成されてなることを特徴とするガードレール。
【請求項3】
(重ね合わせタイプのB,C種のガードレール)
長手方向に連続する山部と谷部とを有する波形に形成され、長手方向の両端部側にボルト穴が設けられたビームを備え、このビームの車両走行方向側の一端側の端部が、このビームよりも車両走行方向側のビームの車両側の他端側の端部の上側になるように順次重ね合わされ、前記ボルト穴に通されたボルトにより接続されると共に、所定の間隔で立設された支柱に支持されてなるガードレールにおいて、前記ビームの前記ボルト穴の近傍であって、かつ接続されるビームが干渉しない位置に、少なくとも前記ボルトのボルト頭のビーム表面からの突出量と同等に突出し、このビームの長手方向向きの斜面部を備えた突出部が形成されてなることを特徴とするガードレール。
【請求項4】
前記ビームの下側になる他端側に形成される突出部の突出量は、少なくとも前記ビームの上側になる一端側に形成される突出部の突出量よりもビームの板厚分大きく設定されてなることを特徴とする請求項3に記載のガードレール。
【請求項5】
前記突出部の形成位置は、前記ビームの道路側に突出する山部の表面であることを特徴とする請求項1乃至4のうちの何れか一つの項に記載のガードレール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−16410(P2007−16410A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−196578(P2005−196578)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【出願人】(000192615)神鋼建材工業株式会社 (61)
【Fターム(参考)】