説明

キグシを含む加味雙和湯を有効成分として含有する二日酔い解消用組成物

本発明は、キグシを含む加味雙和湯又は雙和湯乳酸菌発酵物を有効成分として含有する二日酔い解消用組成物に関し、具体的には、キグシ抽出物又は乳酸菌を接種、培養及び発酵させて製造した雙和湯乳酸菌発酵物を含有する二日酔い解消用組成物に関する。本発明の組成物は、アルコール摂取時に血中アルコールの濃度を低減させる効果があるので、二日酔い解消剤又は二日酔い解消用健康食品として有効に使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キグシ(Hoveniae Semen (Hovenia dulcis Thunberg))を含む加味雙和湯又は雙和湯乳酸菌発酵物を有効成分として含む二日酔い解消用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
雙和湯は雙和散ともいい、理中湯に四物湯を合わせた疲労回復に対する処方で、東医宝鑑雑病編の虚労の項に記載されている。雙和湯は心力が疲れ、気、血が全て損傷されるか、重病後虚労して気が足りず、汗をかく場合などに用いる。
【0003】
雙和湯を構成している漢方薬材は、白芍薬(Paeoniae Radix Alba (Paeonia japonica))、熟地黄(Rehmanniae Radix Preparat (Rehmannia glutinosa))、黄耆(Astragali Radix (Astragalus membranaceus))、当帰(Angelicae Gigantis Radix (Angelica gigas))、センキュウ(Cnidii Rhizoma (Cnidium officinale))、肉桂(Cinnamomi Ramulus (Cinnamonus cassia))、甘草(Glycyrrhizae Radix (Glycyrrhiza uralensis))、生姜(Zingiberis Rhizoma Crudus (Zingiber officinale))、大棗(Jujubae Fructus (Zizyphus jujube))であり、湯薬に調剤して服用する。雙和湯を構成する漢方薬材等の成分別効能を検討すると、肉桂は、脾臓、胃腸の機能を活性化させるので、消化器が冷えて消化障害があるか又は腹部が冷えて生じる腹痛、下痢などに広く利用されている。当帰は、血液を円滑に循環させる血液循環促進と、抗癌効果及び血圧降下作用、鎮痛、けいれん抑制、大腸運動促進を介した便秘改善、お血(extravastated blood)除去などの効果が強いものとして知られている。
【0004】
白芍薬は、神経や筋の過度な緊張を和らげて痛症を止めさせるか、補血及び鎮痛の効能を有する。熟地黄は、血液を補う薬である。黄耆は、人参と共に代表的な気を補う薬材として冷汗を止めさせ、腫れものなどを治療する。
【0005】
センキュウは、血液循環を助け、痛症を緩和させる鎮痛効果があるので頭痛にもよく使用され、肝臓の機能を活性化させる効能と共に、貧血に適用すれば造血作用をするものと知られている。乾姜は、主に消化不良、嘔吐及び下痢の治療と血液循環を促進させるために用いられる。大棗は、胃腸を丈夫にし、経脈を助けてその不足を補い、腹部の具合を安らかにし、脾臓を保護し、津液と活力不足を治し、種々の薬物の性質を調和させることが知られている。
【0006】
一方、漢方薬材に微生物を添加して発酵させ、ヒトに有用な物質を得る技術としては、漢方薬材の湯煎搾汁液において増殖がよく、風味に優れた乳酸菌を選抜して混合培養、発酵させることにより、整腸作用のシナジー効果を得る技術(大韓民国登録特許第185619号)、穀物と漢方薬材の一部を選別し発酵した味噌豆を利用して、低温速成技法で原料の全部を発酵させ、各原料の所有している固有の性質をそのまま維持して効果を倍加させる技術(大韓民国公開特許第2004−0078030号)などの例があるが、雙和湯発酵薬材と関連して知られた文献はないのが実情である。
【0007】
ここに、本発明者らは、ラットにアルコールを処理して二日酔いを誘発する前及び後に、本発明のキグシを含む加味雙和湯又は雙和湯乳酸菌発酵物を投与して二日酔いが解消されることを確認することにより、本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、キグシを含む加味雙和湯又は雙和湯乳酸菌発酵物を有効成分として含有する二日酔い解消用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、白芍薬、熟地黄、黄耆、当帰、センキュウ、肉桂、甘草、生姜及び大棗からなる雙和湯成分にキグシを混合して熱水抽出することにより製造される、キグシを含む加味雙和湯を含有する二日酔い解消用組成物を提供する。
本発明は、白芍薬10重量部に対し、キグシ10〜15重量部、熟地黄6〜17重量部、黄耆6〜17重量部、当帰6〜17重量部、センキュウ6〜17重量部、肉桂3〜14重量部、甘草3〜14重量部、生姜2〜14重量部及び大棗4〜8重量部を混合して熱水抽出した、キグシを含む加味雙和湯を含有する二日酔い解消用組成物を提供する。
【0010】
本発明は、白芍薬、熟地黄、黄耆、当帰、センキュウ、肉桂、甘草、生姜及び大棗を混合して熱水抽出した雙和湯に乳酸菌を接種して発酵させることにより製造されることを特徴とする、雙和湯乳酸菌発酵物を含む二日酔い解消用組成物を提供する。
さらに、本発明は、白芍薬10重量部に対し、熟地黄6〜17重量部、黄耆6〜17重量部、当帰6〜17重量部、センキュウ6〜17重量部、肉桂3〜14重量部、甘草3〜14重量部、生姜2〜14重量部及び大棗4〜8重量部を混合して熱水抽出した、雙和湯乳酸菌発酵物を含む二日酔い解消用組成物を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の組成物は、アルコールの摂取時に血中アルコールの濃度を低減させる効果があるので、二日酔い解消剤又は二日酔い解消用健康食品として有効に使用され得る。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の発酵物の製造に用いることができる乳酸菌の好ましい例にはラクトバチルス種(Lactobacillus spp.)菌株があり、本発明の好ましい実施例によれば、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)を接種源にして種菌培養した後、0.1〜10%(v/v)で雙和湯原液に接種し、恒温室で通気培養して液体発酵することにより、雙和湯乳酸菌発酵物を得ることができる。このとき、種菌培養及び発酵は20℃〜40℃、好ましくは30℃〜40℃の恒温で1〜10日間、好ましくは1〜5日間実施する。
【0013】
上記の乳酸菌は、ラクトバチルス・ファーメンタムだけでなく、ラクトバチルス・ガッセリー(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)及びラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)からも選択され得るが、これらに限定されない。培地も、それぞれの乳酸菌に合わせてMRS(Man-Rogosa-Sharpe)、ラクトース、M17及びAPT培地から選択され得るが、これらに限定されない。さらに、雙和湯は、直接製造するか又は市販される商品を購入して用いることも可能である。
【0014】
本発明の好ましい実施例では、アルコールをラットに処理する前及び後に一般的な雙和湯、キグシを含む加味雙和湯及び雙和湯乳酸菌発酵物を投与して、二日酔い解消の程度を調べた。その結果、加味雙和湯及び雙和湯乳酸菌発酵物の投与により、血清中のアルコール含量が減少した(表3及び5参照)。
【0015】
一方、本発明者らは、アルコール処理後に血液生化学的検査を行った。具体的には、アルコールをラットに処理する前及び後に一般的な雙和湯、キグシを含む加味雙和湯又は雙和湯乳酸菌発酵物を投与した後、ラットの血液を採取してAST(aspartate aminotransferase)、ALT(alanine aminotransferase)及びLDH(lactate dehydrogenase)の含量を測定した。その結果、アルコール投与時に増加した前記酵素の活性が、加味雙和湯及び雙和湯乳酸菌発酵物の投与により減少することを確認した(表6及び7参照)。したがって、本発明のキグシを含む加味雙和湯及び雙和湯乳酸菌発酵物は、アルコール処理の前及び後に摂取しても全て二日酔い解消の効果を奏することを確認した。
【0016】
本発明の組成物は、キグシを含む加味雙和湯及び雙和湯乳酸菌発酵物を有効成分として含有する。加味雙和湯及び雙和湯乳酸菌発酵物は、臨床投与時に経口で投与可能であり、一般的な医薬品製剤の形態で使用され得る。好ましい医薬製剤は錠剤、硬質又は軟質カプセル剤、液剤、懸濁剤などのような経口投与用製剤があり、これら医薬製剤は、医薬的に許容可能な通常の担体、例えば経口投与用製剤の場合は賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、可溶化剤、懸濁化剤、保存剤又は増量剤などを用いて製造できる。
【0017】
本発明の組成物において、加味雙和湯及び雙和湯乳酸菌発酵物の投与用量は、患者の状態、年齢、性別及び合併症などの多様な要因に従い決定され得るが、一般的には成人1 kg/day当たり1〜8 ml、好ましくは4〜6 mlの用量で投与され得る。さらに、単位剤形当たり前記雙和湯乳酸菌発酵物の1日用量又はこれの1/2、1/3もしくは1/4の用量が含まれるようにして、一日1〜6回投与され得る。しかし、長期間の摂取の場合は、前記量は前記範囲以下であり得、有効成分は安全性の面で何らの問題がないため、前記範囲以上の量でも使用され得るのは確かである。
【0018】
併せて、本発明は、前記キグシを含む加味雙和湯及び雙和湯乳酸菌発酵物を有効成分として含有する二日酔い解消用健康食品を提供する。
【0019】
本発明の加味雙和湯及び雙和湯乳酸菌発酵物を食品として用いる場合、そのまま添加するか又は他の食品又は食品成分と共に用いられ、通常の方法に従って適宜使用可能である。有効成分の混合量は、その使用目的(予防、健康又は治療的処置)に従い適宜決定され得る。一般に、本発明の加味雙和湯及び雙和湯乳酸菌発酵物を、食品又は飲料の製造時に原料に対し5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%の量で添加できる。健康食品内の加味雙和湯及び雙和湯乳酸菌発酵物の有効用量は、前記医薬組成物の有効用量に準用して用いることができるが、健康及び衛生を目的にするか、又は健康調節を目的にする長期間の摂取の場合は前記範囲以下であり得、有効成分は安全性の面で何らの問題がないため、前記範囲以上の量でも使用可能であるのは確かであり、健康食品の種類には特別な制限はない。
【実施例】
【0020】
以下、本発明を実験例及び実施例に基づき詳しく説明する。但し、下記実験例及び実施例は、本発明を例示するためのものであるだけで、本発明の内容を限定するものではない。
【0021】
<実施例1>加味雙和湯の製造
キグシを含む加味雙和湯の製造は、キグシ502 g、白芍薬468 g、熟地黄187 g、黄耆187 g、当帰187 g、センキュウ187 g、肉桂140 g、甘草140 g、生姜74 g及び大棗100 gを混合し、熱水抽出して雙和湯を調剤した。前記雙和湯原液10Lをガラス瓶(Pylex 19L)に投入して1M NaOHでpHを7.0に調整した後、121℃、1.5気圧下で15分間加圧滅菌した。
【0022】
<実施例2>雙和湯乳酸菌発酵物の製造
<2-1>乳酸菌分譲
韓国食品研究院(Korea Food Research Institute:KFRI)の食品微生物遺伝子銀行からラクトバチルス(Lactobacillus spp.)7種、韓国生命工学研究院の生物資源センター(Korean Collection for Type Cultures:KCTC)からラクトバチルス1種を分譲されて実験に利用した(表1参照)。
表1:発酵に用いられたラクトバチルス菌株
【0023】
【表1】

【0024】
<2-2>種菌培養
前記<2-1>で分譲された8種の菌株は、斜面培地と液体培地で継代培養して実験に利用した。具体的に、乳酸菌を斜面培地に接種して37℃のインキュベータで24時間培養した後、乳酸菌コロニーが形成されると、パラフィンフィルムで酸素を遮断して冷蔵室で保管した。このとき、乳酸菌活性が低下するか雑菌の汚染が案じられるので、乳酸菌コロニーを2〜3週に一回ずつ新しい斜面寒天培地に移した後、実験時に液体培地に接種して37℃のインキュベータで24時間培養した。
種菌培養に用いられた培地は、乳酸菌別にMRS培地(Becton Dickinson社、米国)、MRS+0.5%グルコース培地、MRS+0.5%ラクトース培地、M17培地(Becton Dickinson社、米国)又はAPT培地(Becton Dickinson社、米国)である。
【0025】
<2-3>雙和湯乳酸菌発酵物の製造
雙和湯乳酸菌発酵物の製造は、白芍薬468 g、熟地黄187 g、黄耆187 g、当帰187 g、センキュウ187 g、肉桂140 g、甘草140 g、生姜74 g及び大棗100 gを混合し、熱水抽出して雙和湯を調剤した後、前記雙和湯原液10Lをガラス瓶(Pylex 19L)に投入して1M NaOHでpHを7.0に調整した。
引き続き、121℃、1.5気圧下で15分間加圧滅菌した後、常温まで冷却させて前記実施例<2-2>で予め培養した液体種菌を1%(v/v)にして接種した。37±1℃の恒温室で48時間のあいだ通気培養しながら液体発酵した。
【0026】
<実験例1>二日酔い解消効果の確認
本実験では(株)オリエント(韓国)から8週齢雄ラットを入手し、韓国韓医学研究院の動物室で2週間検疫・純化した後、それらのうち健常なラットを選んで実験に用いた。
【0027】
<1-1>群分離及び動物識別
ラットの群は、次のように分離した。先ず、純化期間中に健常であると判定されたラットの体重を測定した後、5 g間隔で区分して、平均体重に近いラットを108匹選択した。このように選択された108匹を、同じ体重のラットが各群に6匹ずつ含まれるように、順位化した体重と乱数を利用した無作為法で分配した。ラットの個体識別は、被毛の色素染色法と個体識別カード表示法で実施した。
【0028】
<1-2>血清内アルコール濃度変化の分析
実験Aは、二日酔い前の効能を調べる方法で、キグシを含む加味雙和湯及び雙和湯乳酸菌発酵物など試験物質(15 ml/kg)投与30分後、60%エタノールを10 ml/kg用量で経口投与した(表2参照)。エタノール投与2時間後、下大静脈から血液を採取し、次のようなアルコール脱水素酵素による酵素法で血中アルコールの含量を測定した。
ADH
エタノール+NAD+---->アセトアルデヒド+NADH+H+
生成されたNADHは、378nmでの吸光度増加で定量し、アルデヒドを捕獲する試薬及び緩衝液として1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパンを用いた。
その結果、血清内アルコールの含量が陰性対照群(267.8mg/dl)に比べSHT 9%、HST 25%、SMT 39%及びS164 26%ほど減少した(表3参照)。
表2:アルコール処理前、試験物質を処理した実験群
【0029】
【表2】

【0030】
NCT;陰性対照群(Negative control)、
SHT;雙和湯投与群(Ssangwhatang)、
HST;キグシ投与群(Hovenia Semen)、
GMT;陽性対照群1、(「グッドモーニング」投与、高麗人参科学社)
CDT;陽性対照群2、(「コンディション」投与、C.J社)
YMT;陽性対照群3、(「黎明808」投与、グラミ社)、
SMT;雙和湯+30%キグシ投与群、
S164;ラクトバチルス・ファーメンタムを含む雙和湯発酵群。
a);投与量(Adimistration of the volume)
【0031】
表3:アルコール処理前、試験物質を投与したラットでアルコール分析
【0032】
【表3】

【0033】
実験Bは、酩酊後二日酔い解消の効能を調べる方法で、60%エタノールを10 ml/kg用量で経口投与2時間後、キグシを含む加味雙和湯及び雙和湯乳酸菌発酵物など試験物質(15 ml/kg)を経口投与した。試験物質投与2時間後、下大静脈から血液を採取して血清内アルコールの含量をCOBSA Integra 800器機(Roche社、スイス)を利用して分析した(表4参照)。
その結果、血清内アルコール含量が陰性対照群(257.7mg/dl)に比べSHT 13%、HST 9%、GMT 20%、CDT 18%、YMT 19%、SMT 29%及びS164 34%ほど減少した(表5参照)。
表4:アルコール処理後、試験物質を処理した実験群
表5:アルコール処理後、試験物質を投与したラットでアルコール分析
【0034】
【表4】

【0035】
【表5】

【0036】
<1-3>血液生化学的検査
血液生化学的検査は、前記実験A及びBと同じ方法で実験した後、ラットの下大静脈から5 mlの血液を採取して室温で凝固させ、冷蔵庫内の遠心分離機(Avanti 30、Beckman社、米国)を用いて5000rpmで10分間遠心分離した。このうち血清を分離した後、生化学分析機(Advia 1650、Shimaz社、日本)を利用してAST(aspartate aminotransferase)、ALT(alanine aminotransferase)及びLDH(lactate dehydrogenase)の含量を測定した。
陰性対照群と試験物質投与群との間の統計学的有意差は、ダネットテスト(Dunnett test)により平均と標準偏差を求めて統計処理した(*p<0.05、**p<0.01)。
【0037】
その結果、キグシを含む加味雙和湯及び雙和湯乳酸菌発酵物など試験物質投与30分後、アルコールを摂取した実験で陰性対照群のAST活性は184.6 IU/Lで正常群(170 IU/L)に比べて8%増加し、陰性対照群に比べてSHT 15%、GMT 21%、CDT 11%、YMT 16%、SMT 9%及びS164 16%ほど減少した。しかし、HSTは1%ほど増加した。
ALTは正常群で63.8 IU/Lと測定され、アルコール投与時に83.0 IU/Lに増加しており、陰性対照群に比べ試験物質(15 ml/kg)投与群でSHT 27%、HST 20%、GMT 22%、CDT 30%、YMT 30%、SMT 23%及びS164 27%それぞれ減少した。
LDH含量は、正常群に比べアルコール投与時49%増加した。アルコール処理された実験動物に試験物質を15 ml/kg経口投与時SHT 10%、GMT 27%、CDT 10%、YMT群 22%、SMT 12%及びS164 18%ほど減少した。HSTは、血清内LDH量が9%増加した(表6)。
【0038】
しかし、アルコール摂取2時間と試験物質投与2時間を含んだ実験で、AST、ALT、LDHの含量は全ての実験群で(CON、NCT、SHT、HST、GMT、CDT、YMT、SMT及びS164)異常変化が観察されなかった(表7参照)。
前記の実験結果の分析によると、アルコール投与2時間後AST、ALT及びLDHの含量の変化は、アルコール投与による深刻な毒性の変化が観察されなかったが、加味雙和湯又は発酵雙和湯の投与時(15 ml/kg)に血液生化学肝毒性指標物質であるAST、ALT及びLDHの含量が減少する傾向が見られた。
表6:アルコール処理前、試験物質を投与したラットで血液生化学的検査
表7:アルコール処理後、試験物質を投与したラットで血液生化学的検査
【0039】
【表6】

【0040】
【表7】

【0041】
<1-4>剖検所見
エタノール及び試験物質単回経口投与に対する異常病変は観察されなかったが、アルコール投与による胃内出血が肉眼的に観察された。しかし、試験物質漢方製剤などを15 ml/kg投与時、アルコールによる胃内出血が減少する傾向が見られた。
【0042】
<製剤例1>医薬組成物の製造
<1-1>軟質カプセルの製造
実施例1又は2で製造された加味雙和湯又は雙和湯乳酸菌発酵物100.0 mg、大豆油175.0 mg、黄蝋45.0 mg、椰子硬化油127.5 mg、大豆燐脂質21.0 mg、ゼラチン212.0 mg、グリセリン(比重1.24)50.0 mg、D-ソルビトール76.0 mg、パラオキシ安息香酸メチル0.54 mg、パラオキシ安息香酸プロピル0.90 mg、メチルバニリン0.56 mg、黄色203号適量の成分が1カプセル中に含まれるように、薬局方製剤総則中軟質カプセルの製法に従って製造した。
【0043】
<1-2>錠剤の製造
実施例1又は2で製造された加味雙和湯又は雙和湯乳酸菌発酵物100.0 mg、トウモロコシ澱粉90.0 mg、乳糖175.0 mg、L-ヒドロキシプロピルセルロース15.0 mg、ポリビニルピロリドン5.0 mg及びエタノール適量の原料を均質に混合して湿式顆粒法で顆粒化し、ステアリン酸マグネシウム1.8 mgを加えて混合した後、1錠が400 mgになるように打錠した。
【0044】
<製剤例2>健康食品の製造
<2-1>カプセル剤の製造
実施例1又は2で製造された加味雙和湯又は雙和湯乳酸菌発酵物100.0 mg、トウモロコシ澱粉83.2 mg、乳糖175.0 mg及びステアリン酸マグネシウム1.8 mgの原料を均質に混合し、1カプセルに360 mgが含まれるように充填した。
【0045】
<2-2>飲料の製造
実施例1又は2で製造された加味雙和湯又は雙和湯乳酸菌発酵物0.48〜1.28 mg、蜂蜜522 mg、チオクト酸アミド5 mg、ニコチン酸アミド10 mg、塩酸リボフラビンナトリウム3 mg、塩酸ピリドキシン2 mg、イノシトール30 mg、オロト酸50 mg及び水200 mlの組成及び含量にし、通常の方法を使用して飲料を製造した。
【0046】
<2-3>散剤の製造
実施例1又は2で製造された加味雙和湯又は雙和湯乳酸菌発酵物2 g及び乳糖1 gを混合し、気密袋に充填して散剤を製造した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白芍薬、熟地黄、黄耆、当帰、センキュウ、肉桂、甘草、生姜及び大棗からなる雙和湯成分にキグシを混合して熱水抽出することにより製造される、キグシを含む加味雙和湯を含有する二日酔い解消用組成物。
【請求項2】
白芍薬10重量部に対し、キグシ10〜15重量部、熟地黄6〜17重量部、黄耆6〜17重量部、当帰6〜17重量部、センキュウ6〜17重量部、肉桂3〜14重量部、甘草3〜14重量部、生姜2〜14重量部及び大棗4〜8重量部を混合することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、アルコール摂取前又は後に血液内のアルコール含量を低下させることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
健康食品の形態で提供されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
白芍薬、熟地黄、黄耆、当帰、センキュウ、肉桂、甘草、生姜及び大棗を混合して熱水抽出した雙和湯に乳酸菌を接種して発酵させることにより製造されることを特徴とする、雙和湯乳酸菌発酵物を含む二日酔い解消用組成物。
【請求項6】
白芍薬10重量部に対し、熟地黄6〜17重量部、黄耆6〜17重量部、当帰6〜17重量部、センキュウ6〜17重量部、肉桂3〜14重量部、甘草3〜14重量部、生姜2〜14重量部及び大棗4〜8重量部を混合することを特徴とする請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
乳酸菌が、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・ガッセリー(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)からなる群より選択されることを特徴とする請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
乳酸菌が、ラクトバチルス・ファーメンタムであることを特徴とする請求項5に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、アルコール摂取前又は後に血液内のアルコール含量を低下させることを特徴とする請求項5に記載の組成物。
【請求項10】
健康食品の形態で提供されることを特徴とする請求項5に記載の組成物。

【公表番号】特表2011−505354(P2011−505354A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535873(P2010−535873)
【出願日】平成20年11月24日(2008.11.24)
【国際出願番号】PCT/KR2008/006920
【国際公開番号】WO2009/069921
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(507367677)コリア インスティテュート オブ オリエンタル メディシン (3)
【Fターム(参考)】