説明

キノロンを含む組成物及び感染症を治療し又は制御するための方法

感染症を治療し又は制御するための組成物は式I〜VIIIを有するフルオロキノロンを含み、pHが約3.5〜約5.5又は約10.5〜約12の範囲である。このような感染症を治療し又は制御するための方法はこのような組成物を用いる。このような組成物及び方法はより多量のフルオロキノロンを患部に輸送することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は感染症を治療し又は制御するための組成物及び方法に関する。詳細には、本発明は、キノロンカルボン酸又はその誘導体を含むそのような組成物及びそのような組成物を用いる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
細菌、真菌及び/又はウイルスによって引き起こされる疾病が世界的に復活していることによって示されるとおり、病原体は公衆衛生に対して重大な脅威を提起し続けている。毎年多くの患者が病原性微生物による感染症を発症している。一般的な感染症として、目、耳及び呼吸器系の感染症が挙げられる。経験豊富な医療従事者はしばしば感染症の原因を決定し、そのため、有効な治療を処方することができる。しかし、感染症は、症状が出たときにすぐに明確にならない混合型微生物を原因とすることがしばしばある。結果的に、初期治療措置が即座に有効ではないことがあり、別の治療措置で置き換えなければならない。易感染性免疫系を有するような、特に脆弱な患者の場合には、治療の有益な効果の開始が遅れると、より重大な合併症のリスクが増大することになる可能性がある。
【0003】
中耳の感染症である中耳炎はこどもの間では主要な世界的に見られる感染症である。2歳の年齢までに、70%のこどもは急性中耳炎(AOM)を少なくとも1回は経験している。T. Heikkinenら, Clin. Microbiol. Rev., Vol. 16, No. 2,230 (2003)。中耳炎は大人にも起こることがある。AOMは、一般に、抗生物質により治療される細菌感染症と考えられている。ことに中耳体液(MEF)から分離される最も一般的な3種の細菌は肺炎球菌(streptococcus pneumoniae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、カタル球菌(Moraxella catarrhalis)である。たとえば、J.T. Kirchener, American Family Physician, 4月15日、1999年、を参照されたい。外耳炎の場合には、最も一般的な細菌は緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)及び黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)である。耳の感染症の症例で、より少ない頻度で真菌も見つけられている。
【0004】
上気道系の感染症も一般的である。一般的な風邪はほとんどがウイルスを原因とする。しかし、細菌及び真菌もしばしば上気道系の他の感染症を引き起こしている。細菌は副鼻腔炎の最も一般的な感染病原体である。肺炎球菌(streptococcus pneumoniae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)及びカタル球菌(Moraxella catarrhalis)はほとんどの副鼻腔炎の症例で発見されている。他の可能な細菌的要因として他の連鎖球菌株(Streptococcal strains)及び黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が挙げられる。
【0005】
2つの一般的な眼感染症である角膜炎及び結膜炎は細菌、真菌及び/又はウイルスによってほとんどが引き起こされる。これらの微生物の中で、多くの球菌(ブドウ球菌属(Staphylococcus species)、連鎖球菌属(Streptococcus species)及びナイセリア属(Neisseria species))及び桿菌(コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、プロピオニバクテリウム属(Propionobacterium)、クロストリジウム属(Clostridium)、シュードモナス属(Pseudomonas)、クレブシエラ属(Klebsiella)、ヘモフィルス属(Hemophilus)、モラクセラ属(Moraxella)、プロテウス属(Proteus)、セラチア属(Serratia)、大腸菌属(Escherichia)及びエンテロバクター属(Enterobacter))が眼感染症の症例から分離されている。
【0006】
キノロンは比較的に新しい種類の抗細菌剤であり、その幾つかは上記の症状に使用されてきた。しかし、キノロンは、通常、溶解度が低く、このため、標的部位での有効利用能を増大させるための特別な手段が使用されてきた。
【0007】
感染症の治療でのさらなる問題は抗生物質に対する細菌耐性の発現である。このような耐性は、以前に広く使用されそして有効性が高い抗生物質を治療及び予防で使用し、不運なことにその抗生物質が時間の経過とともに様々な細菌病原体の耐性株にも選択されてきたことに起因する可能性がある。公衆衛生に対して特に懸念されることは、現在の様々な抗微生物剤中の複数の抗生物質に耐性である細菌株が発現しそして繁殖していることである。それゆえ、病状が最初に処方された療法に応答しないことがあり、そのような場合には、別の医薬を与えなければならず、病原体の制御を遅らせることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それゆえ、感染症と戦う、改良された医薬組成物を開発することが継続して求められている。また、従来技術の抗微生物剤の欠点の少なくとも幾つかを克服することができる医薬組成物を提供することが非常に望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の要旨
一般に、本発明は感染症を治療し又は制御するための医薬組成物及びそのような組成物を使用する方法を提供する。
【0010】
1つの態様において、本発明は目、耳、呼吸器系の部分又はそれらの組み合わせの感染症を治療し又は制御するための医薬組成物及びそのような組成物を使用する方法を提供する。
【0011】
別の態様において、医薬組成物は医薬上許容されるビヒクル中に溶解可能なキノロンを高濃度で含む。
【0012】
さらに別の態様において、上記の医薬組成物は水溶液を含む。
【0013】
さらに別に態様において、上記の医薬組成物は少なくとも1種の従来技術の抗細菌剤に耐性である少なくとも1種の細菌に対して有効である。
【0014】
さらに別の態様において、このようなキノロンは式Iを有するフルオロキノロンの群の少なくとも1つ又はその塩を含む。
【化1】

【0015】
上式中、Rは、水素、未置換低級アルキル基、置換低級アルキル基、シクロアルキル基、未置換C〜C24アリール基、置換C〜C24アリール基、未置換C〜C24ヘテロアリール基、置換C〜C24ヘテロアリール基、及び、生体内で加水分解されうる基からなる群より選ばれ、Rは、水素、未置換アミノ基、及び、1個又は2個の低級アルキル基により置換されたアミノ基からなる群より選ばれ、Rは、水素、未置換低級アルキル基、置換低級アルキル基、シクロアルキル基、未置換低級アルコキシ基、置換低級アルコキシ基、未置換C〜C24アリール基、置換C〜C24アリール基、未置換C〜C24ヘテロアリール基、置換C〜C24ヘテロアリール基、未置換C〜C24アリールオキシ基、置換C〜C24アリールオキシ基、未置換C〜C24ヘテロアリールオキシ基、置換C〜C24ヘテロアリールオキシ基、及び、生体内で加水分解されうる基からなる群より選ばれ、Xはハロゲン原子からなる群より選ばれ、YはCH、O、S、SO、SO及びNRからなる群より選ばれ、ここで、Rは、水素、未置換低級アルキル基、置換低級アルキル基及びシクロアルキル基からなる群より選ばれ、そしてZは酸素及び2個の水素原子からなる群より選ばれ、そしてその組成物は上記の感染症を引き起こす混合型微生物の増殖又は生存を阻害することができる。
【0016】
さらに別の態様において、上記のキノロンは式IIを有するフルオロキノロンの群のもの又はその塩を含む。
【化2】

【0017】
上式中、R、R、X、Y及びZは上記に開示したとおりの意味を有し、その組成物は感染症を引き起こす混合型微生物の増殖又は生存を阻害することができる。
【0018】
さらに別の態様において、本発明は目、耳、呼吸器系の部分、又はそれらの組み合わせの感染症を治療し又は制御するための方法を提供する。その方法は、高濃度で可溶性である式I又はIIを有するフルオロキノロンを含む組成物を感染部位に投与して上記の感染症を治療し又は制御することを含む。
【0019】
1つの実施形態において、その方法はこのような組成物を局所投与することを含む。別の実施形態において、その方法はこのような組成物を経口投与することを含む。
【0020】
さらに別の態様において、上記の感染症は、目、耳、上気道系の部分又はそれらの組み合わせの感染症を含む。
【0021】
本発明の他の特徴及び利点は以下の詳細な説明及び特許請求の範囲ならびに添付の図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図面の簡単な説明
【図1】USP水中の式IVの化合物の溶解度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な説明
本明細書中に使用される際に、用語「制御」とは、緩和、低減、寛解及び阻止を含む。
【0024】
本明細書中で使用する際に、「低級アルキル」又は「低級アルキル基」という用語は、C〜C15の直鎖又は枝分かれ鎖の1価の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。この基は置換されていなくても、又は、置換されていてもよい。この基は、一部又は全部をハロゲン原子(F、Cl、Br又はI)で置換することができる。低級アルキル基の制限しない例として、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル(又はイソプロピル)、n−ブチル、n−ペンチル、1,1−ジメチルエチル(又はt−ブチル)などが挙げられる。低級アルキル基は“Alk”と略記することができる。
【0025】
本明細書中で使用する際に、「低級アルコキシ」又は「低級アルコキシ基」という用語は、C〜C15の直鎖又は枝分かれ鎖の1価の飽和脂肪族アルコキシ基を意味する。この基は置換されていなくても、又は、置換されていてもよい。この基は、一部又は全部をハロゲン原子(F、Cl、Br又はI)で置換することができる。低級アルコキシ基の制限しない例として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、1−メチルエトキシ(イソプロポキシ)、n−ブトキシ、n−ペントキシ、t−ブトキシなどが挙げられる。
【0026】
「シクロアルキル」又は「シクロアルキル基」という用語は、炭素原子と水素原子だけからなる3〜15員で単環又は多環の1価の安定な飽和脂肪族基を意味する。この基は、縮合又は橋かけした1つ以上の環を含んでいてもよく、その環は、3〜7員の単環式環であることが好ましい。シクロアルキル基の別の例示の形態として7〜10員二環式環が挙げられる。特に断らない限り、シクロアルキル環は安定な構造となる任意の適切な炭素原子に結合することができ、また、もし置換される場合には、安定な構造となる任意の適切な炭素原子の位置での置換が可能である。シクロアルキル基の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、ノルボルニル、アダマンチル、テトラヒドロナフチル(テトラリン)、1−デカリニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、1−メチルシクロプロピル、2−メチルシクロペンチル、2−メチルシクロオクチルなどが挙げられる。
【0027】
本明細書中で使用される際に、「アリール」又は「アリール基」という用語は1価又は2価の芳香族炭素環基を意味する。ある実施形態において、アリール基は、炭素原子が5〜24個で、単環のもの(たとえば、フェニル又はフェニレン)、複数の縮合環のもの(たとえば、ナフチル又はアントラニル)、又は、橋かけした複数の環のもの(たとえば、ビフェニル)である。特に断わらない限り、アリール環は安定な構造となる任意の適切な炭素原子に結合することができ、そして、もし置換される場合には、安定な構造となる任意の適切な炭素原子の位置での置換が可能である。アリール基の制限しない例として、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、インダニル、インデニル、ビフェニルなどが挙げられる。アリール基は“Ar”と略記することができる。
【0028】
「ヘテロアリール」又は「ヘテロアリール基」という用語は、単環又は多環の1価又は2価の安定な芳香族基を意味する。この基は1つ以上の縮合環又は橋かけした環を含むことができる。ある実施形態において、ヘテロアリール基は、5〜24員の、好ましくは5〜7員の単環式基を有するか、又は、7〜10員の二環式基を有する。ヘテロアリール基は、環の中に、窒素、酸素及び硫黄の中から独立に選択された1〜4個のヘテロ原子を含むことができる。その場合、どの硫黄ヘテロ原子も、場合によって酸化されていてよく、また、どの窒素ヘテロ原子も、場合によって酸化されていてよく又は第四級化されていてよい。特に断わらない限り、ヘテロアリール環は安定な構造となる任意の適切なヘテロ原子又は炭素原子に結合することができ、また、もし置換される場合には、安定な構造となる任意の適切なヘテロ原子又は炭素原子の位置での置換が可能である。ヘテロアリールの制限しない例として、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリジニル、アザインドリジニル、インドリル、アザインドリル、ジアザインドリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロアザインドリル、イソインドリル、アザイソインドリル、ベンゾフラニル、フラノピリジニル、フラノピリミジニル、フラノピラジニル、フラノピリダジニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロフラノピリジニル、ジヒドロフラノピリミジニル、ベンゾチエニル、チエノピリジニル、チエノピリミジニル、チエノピラジニル、チエノピリダジニル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロチエノピリジニル、ジヒドロチエノピリミジニル、インダゾリル、アザインダゾリル、ジアザインダゾリル、ベンゾイミダゾリル、イミダゾピリジニル、ベンゾチアゾリル、チアゾロピリジニル、チアゾロピリミジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジニル、ベンゾオキサジノニル、オキサゾロピリジニル、オキサゾロピリミジニル、ベンゾイソオキサゾリル、プリニル、クロマニル、アザクロマニル、キノリジニル、キノリニル、ジヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、シンノリニル、アザシンノリニル、フタラジニル、アザフタラジニル、キナゾリニル、アザキナゾリニル、キノキサリニル、アザキノキサリニル、ナフチリジニル、ジヒドロナフチリジニル、テトラヒドロナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニルなどが挙げられる。
【0029】
一般に、本発明は感染症を治療するための医薬組成物及び方法を提供する。
【0030】
1つの態様において、本発明は目、耳、呼吸器系の部分又はそれらの組み合わせの感染症を治療し又は制御するための医薬組成物及びそのような組成物を使用する方法を提供する。
【0031】
別の態様において、医薬組成物は医薬上許容されるビヒクル中に可溶性であるキノロンを高濃度で含む。
【0032】
さらに別の態様において、上記の濃度は総組成物の約0.05質量%より大きい(又は、約0.1質量%もしくは1質量%より大きい)。
【0033】
さらに別の態様において、上記の濃度は総組成物の約0.05質量%〜約2質量%(又は、約0.05質量%〜約1質量%)である。
【0034】
さらに別の態様において、医薬組成物は水溶液を含む。
【0035】
さらに別の態様において、医薬組成物は少なくとも1種の従来技術の抗細菌剤に耐性である少なくとも1種の細菌に対して有効である。
【0036】
さらなる態様において、このようなキノロンは式Iを有するフルオロキノロンの群の少なくとも1つ又はその塩を含む。
【化3】

【0037】
上式中、Rは、水素、未置換低級アルキル基、置換低級アルキル基、シクロアルキル基、未置換C〜C24アリール基、置換C〜C24アリール基、未置換C〜C24ヘテロアリール基、置換C〜C24ヘテロアリール基、及び、生体内で加水分解されうる基からなる群より選ばれ、Rは、水素、未置換アミノ基、及び、1個又は2個の低級アルキル基により置換されたアミノ基からなる群より選ばれ、Rは、水素、未置換低級アルキル基、置換低級アルキル基、シクロアルキル基、未置換低級アルコキシ基、置換低級アルコキシ基、未置換C〜C24アリール基、置換C〜C24アリール基、未置換C〜C24ヘテロアリール基、置換C〜C24ヘテロアリール基、未置換C〜C24アリールオキシ基、置換C〜C24アリールオキシ基、未置換C〜C24ヘテロアリールオキシ基、置換C〜C24ヘテロアリールオキシ基、及び、生体内で加水分解されうる基からなる群より選ばれ、Xはハロゲン原子からなる群より選ばれ、YはCH、O、S、SO、SO及びNRからなる群より選ばれ、ここで、Rは、水素、未置換低級アルキル基、置換低級アルキル基及びシクロアルキル基からなる群より選ばれ、そしてZは酸素及び2個の水素原子からなる群より選ばれ、そしてその組成物は上記の感染症を引き起こす混合型微生物の増殖又は生存を阻害することができる。
【0038】
別の態様において、上記の感染症は混合型細菌によって引き起こされる。
【0039】
1つの態様において、上記の感染症は、耳炎、副鼻腔炎、上咽頭炎、中咽頭炎、喉頭蓋炎、喉頭気管炎、気管支炎、細気管支炎、肺炎、角膜炎、結膜炎、眼瞼炎、麦粒腫、フリクテン症、眼内炎、眼窩隔膜前蜂巣炎及び眼窩蜂巣炎、涙嚢炎、ならびに、それらの組み合わせからなる群より選ばれる。
【0040】
1つの態様において、Rは水素、C〜C(又は、C〜C)置換及び未置換アルキル基、C〜C10(又は、C〜C)シクロアルキル基、C〜C14(又は、C〜C14又はC〜C10又はC〜C10)置換及び未置換アリール基、C〜C14(又は、C〜C14又はC〜C10又はC〜C10)置換及び未置換ヘテロアリール基、ならびに、生体内で加水分解されうる基からなる群より選ばれる。1つの実施形態において、RはC〜C(又はC〜C)置換及び未置換アルキル基からなる群より選ばれる。
【0041】
別の態様において、Rは、未置換アミノ基、及び、1又は2個のC〜C(又は、C〜C)アルキル基によって置換されたアミノ基からなる群より選ばれる。
【0042】
さらに別の態様において、Rは水素、C〜C(又は、C〜C)置換及び未置換アルキル基、C〜C10(又は、C〜C)シクロアルキル基、C〜C(又は、C〜C)置換及び未置換アルコキシ基、C〜C14(又は、C〜C14又はC〜C10又はC〜C10)置換及び未置換アリール基、C〜C14(又は、C〜C14又はC〜C10又はC〜C10)置換及び未置換ヘテロアリール基、及び、C〜C14(又は、C〜C14又はC〜C10又はC〜C10)置換及び未置換アリールオキシ基からなる群より選ばれる。1つの実施形態において、RはC〜C10(又はC〜C)シクロアルキル基からなる群より選ばれる。
【0043】
さらに別の態様において、XはCl、F及びBrからなる群より選ばれる。1つの実施形態において、XはClである。別の実施形態において、XはFである。
【0044】
さらに別の態様において、YはCHであり、Zは2個の水素原子を含む。
【0045】
さらに別の態様において、YはNHであり、ZはOであり、XはClである。
【0046】
式Iを有する化合物の群で幾つかの制限しない例を表1に示す。表1に示していない群の他の化合物も選ばれる状況において適切である。
【0047】
【表1】

【0048】
1つの実施形態において、本発明の組成物中に含まれるフルオロキノロンカルボン酸は式IIIを有する。
【化4】

【0049】
別の実施形態において、本発明の組成物中に含まれるフルオロキノロンカルボン酸は式IV、V又はVIを有する。
【化5】

【化6】

【0050】
さらに別の実施形態において、本発明の組成物中に含まれるフルオロキノロンカルボン酸は式VII又はVIIIを有する。
【化7】

【0051】
さらに別の態様において、本発明の組成物は式I、II又はIIIを有する化合物のいずれかのエナンチオマーを含む。
【0052】
さらに別の態様において、本発明の組成物は式I、II又はIIIを有する化合物のいずれかのエナンチオマーの混合物を含む。
【0053】
さらに別の態様において、本発明の組成物はpHが約3.5〜約5.5(又は、約3.5〜5又は約4〜5又は約4〜5.5)の範囲であるか、あるいは、約10.5〜約12(又は、約10.5〜11又は約11〜12)の範囲である。
【0054】
さらなる態様において、本発明の組成物は式I、II、III、IV、V、VI、VII及びVIIIを有するキノロン以外の抗細菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗原生動物剤及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる追加の抗感染症薬をさらに含む。
【0055】
別の態様において、式I、II、III、IV、V、VI、VII及びVIIIを有するキノロン以外の追加の抗細菌剤は別のキノロンを含む。
【0056】
さらに別の態様において、上記の別のキノロンは、シノキサシン、シプロフロキサシン、クリナフロキサシン、ジフロキサシン、エノキサシン、フレロキサシン、ガチフロキサシン、グレパフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、ミロキサシン、モキシフロキサシン、ナジフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、パズフロキサシン、ペルフロキサシン、シタフロキサシン、スパルフロキサシン、テマフロキサシン、トスフロキサシン、トロバフロキサシン、それらの混合物及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる。
【0057】
さらに別の態様において、上記の別のキノロンのグラム陰性細菌についてのMIC90値は、組成物中に含まれる式I、II、III、IV、V、VI、VII又はVIIIを有するフルオロキノロンの同一の細菌についてのMIC90よりも低い。MIC90は特定の病原体の増殖の90%を阻害するのに要求される活性化合物の最小濃度(μg/ml)である。
【0058】
式I、II、III、IV、V、VI、VII及びVIIIを有するキノロン以外の抗細菌剤の制限しない例として、生物由来の抗細菌剤が挙げられ、たとえば、アミノグリコシド(たとえば、アミカシン、アプラマイシン、アルベカシン、バンベルマイシン、ブチロシン、ジベカシン、ジヒドロストレプトマイシン、フォーチミシン、ゲンタマイシン、イセパマイシン、カナマイシン、ミクロノマイシン、ネオマイシン、ウンデシレン酸ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、リボスタマイシン、シソマイシン、スペクチノマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、トロスペクトマイシン)、アムフェニコール(たとえば、アジダムフェニコール、クロラムフェニコール、フロルフェニコール、チアムフェニコール)、アンサマイシン(たとえば、リファミド、リファムピン、リファマイシンsv、リファペンチン、リファキシミン)、β-ラクタム(たとえば、カルバセフェム(たとえば、ロラカルベフ)、カルバペネム(たとえば、ビアペネム、イミペメム、メロペネム、パニペネム))、セファロスポリン(たとえば、セファクロール、セファドロキシル、セファマンドール、セファトリジン、セファゼドン、セファゾリン、セフカペンピボキシル、セフクリジン、セフジニル、セフジトレン、セフェピム、セフェタメット、セフィキシム、セフィネノキシム、セフォジジム、セフォニシド、セフォペラゾン、セフォラニド、セフォタキシム、セフォチアム、セフォゾプラン、セフピミゾール、セフピラミド、セフピロム、セフポドキシムプロキセチル、セフプロジル、セフロキサジン、セフスロジン、セフタジジム、セフテラム、セフテゾール、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフロキシム、セフゾナム、セファセトリルナトリウム、セファレキシン、セファログリシン、セファロリジン、セファロスポリン、セファロチン、セファピリンナトリウム、セフラジン、ピブセファレキシン)、セファマイシン(たとえば、セフブペラゾン、セフィネタゾール(cefinetazole)、セフィニノックス(cefininox)、セフォテタン、セフォキシチン)、モノバクタム(たとえば、アズトレオナム、カルモナム、チゲモナム)、オキサセフェム、フロモキセフ、モキサラクタム)、ペニシリン(たとえば、アムジノシリン、アムジノシリンピボキシル、アモキシシリン、アンピシリン、アパルシリン、アスポキシシリン、アジドシリン、アズロシリン、バカムピシリン、ベンジルペニシリン酸、ベンジルペニシリンナトリウム、カルベニシリン、カリンダシリン、クロメトシリン、クロキサシリン、シクラシリン、ジクロキサシリン、エピシリン、フェンベニシリン、フロキサシリン、ヘタシリン、レナンピシリン、メタンピシリン、メチシリンナトリウム、メズロシリン、ナフシリンナトリウム、オキサシリン、ペナメシリン、ペネタマートヒドリオジド、ペニシリンGベネタミン、ペニシリンGベンザチン、ペニシリンGベンズヒドリルアミン、ペニシリンGカルシウム、ペニシリンGヒドラバミン、ペニシリンGカリウム、ペニシリンGプロカイン、ペニシリンN、ペニシリンO、ペニシリンV、ペニシリンVベンザチン、ペニシリンVヒドラバミン、ペニメピシクリン、フェネチシリンカリウム、ピペラシリン、ピバムピシリン、プロピシリン、キナシリン、スルベニシリン、スルタミシリン、タラムピシリン、テモシリン、チカルシリン)、リチペネム、リンコサミド(たとえば、クリンダマイシン、リンコマイシン)、マクロライド系(たとえば、アジスロマイシン、カルボマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、エリスロマイシンアシストラート、エリスロマイシンエストラート、グルコヘプトン酸エリスロマイシン、ラクトビオン酸エリスロマイシン、プロピオン酸エリスロマイシン、ステアリン酸エリスロマイシン、ジョサマイシン、ロイコマイシン、ミデカマイシン、ミオカマイシン、オレアンドマイシン、プリマイシン、ロキタマイシン、ロサラマイシン、ロキシスロマイシン、スピラマイシン、トロレアンドマイシン)、ポリペプチド(たとえば、アムホマイシン、バシトラシン、カプレオマイシン、コリスチン、エンドゥラシジン、エンビオマイシン、フザフンジン、グラミシジンs、グラミシジン、ミカマイシン、ポリミキシン、プリスチナマイシン、リストセチン、テイコプラニン、チオストレプトン、ツベラクチノマイシン、チロシジン、チロスリシン、バンコマイシン、ビオマイシン、バージニアマイシン、亜鉛バシトラシン)、テトラサイクリン系(たとえば、アピサイクリン、クロルテトラサイクリン、クロモサイクリン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、グアメサイクリン、リメサイクリン、メクロサイクリン、メタサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、ペニメピサイクリン、ピパサイクリン、ロリテトラサイクリン、サンサイクリン、テトラサイクリン)、シクロセリン、ムピロシン及びツベリンが挙げられる。
【0059】
合成抗細菌剤の制限しない例として、2,4-ジアミノピリミジン(たとえば、ブロジモプリム、テトロキソプリム、トリメトプリム)、ニトロフラン(たとえば、フラルタドン、塩化フラゾリウム、ニフラデン、ニフラテル、ニフルフォリン、ニフルピリノール、ニフルプラジン、ニフルトイノール、ニトロフイラントイン)、キノロン及びその類似体(たとえば、シノキサシン、シプロフロキサシン、クリナフロキサシン、ジフロキサシン、エノキサシン、フレロキサシン、フルメキン、ガチフロキサシン、グレパフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、ミロキサシン、モキシフロキサシン、ナジフロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、オフロキサシン、オキソリニック酸、パズフロキサシン、ペフロキサシン、ピペミド酸、ピロミド酸、ロソキサシン、ルフロキサシン、スパルフロキサシン、テマフロキサシン、トスフロキサシン、トロバフロキサシン、スルホンアミド(たとえば、アセチルスルファメトキシピラジン、ベンジルスルファミド、クロラミンB、クロラミンT、ジクロラミンT、n2-ホルミルスルフイソミジン、n4-β-D-グルコシルスルファニルアミド、マフェニド、4'-(メチルスルファモイル)スルファニルアニリド、ノプリルスルファミド、フタリルスルファセタミド、フタリルスルファチアゾール、サラゾスルファジミジン、スクシニルフルファチアゾール、スルファベンザミド、スルファセタミド、スルファクロルピリダジン、スルファクリソイジン、スルファシチン、スルファジアジン、スルファジクラミド、スルファジメトキシン、スルファドキシン、スルファエチドール、スルファグアニジン、スルファグアノール、スルファレン、スルファロクス酸、スルファメラジン、スルファメータ、スルファメタジン、スルファメチゾール、スルファメトミジン、スルファメトキサゾール、スルファメトキシピリダジン、スルファメトロール、スルファミドクリソイジン、スルファモキソール、スルファニルアミド、4-スルファニルアミドサリチル酸、n4-スルファニリルスルファニルアミド、スルファニル尿素、N-スルファニリル-3,4-キシルアミド、スルファニトラン、スルファペリン、スルファフェナゾール、スルファプロキシリン、スルファピラジン、スルファピリジン、スルファソミゾール、スルファシマジン、スルファチアゾール、スルファチオ尿素、スルファトラミド、スルフイソミジン、スルフイソオキサゾール)、スルホン(たとえば、アセダプゾン、アセジアスルホン、アセトスルホンナトリウム、ダプゾン、ジアチモスルホン、グルコスルホンナトリウム、ソラスルホン、スクシスルホン、スルファニル酸、p-スルファニルベンジルアミン、スルホキソンナトリウム、チアゾスルホン)、クロフォクトール、ヘキセジン、メテナミン、メテナミンメチレンクエン酸塩無水物、馬尿酸メテナミン、マンデル酸メテナミン、スルホサリチル酸メテナミン、ニトロキソリン、タウロリジン及びキシボモールが挙げられる。一実施形態において、本発明の組成物は、シノキサシン、シプロフロキサシン、クリナフロキサシン、ジフロキサシン、エノキサシン、フレロキサシン、フルメキン、ガチフロキサシン、グレパフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、ミロキサシン、モキシフロキサシン、ナジフロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、オフロキサシン、オキソリニック酸、パズフロキサシン、ペフロキサシン、ピペミド酸、ピロミド酸、ロソキサシン、ルフロキサシン、スパルフロキサシン、テマフロキサシン、トスフロキサシン及びトロバフロキサシンからなる群より選ばれる抗感染剤を含む。
【0060】
抗ウイルス剤の制限しない例として、リファンピン、リバビリン、プレコナリル、シドフォビル、アシクロビル、ペンシクロビル、ガンシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル、ホスカルネット、ビダラビン、アマンタジン、ザナミビル、オセルタミビル、レスキモド、アデノシンアラビノシド、シトシンアラビノシド、抗プロテアーゼ、PEG化インターフェロン(Pegasys(登録商標))、抗HIVプロテアーゼ(たとえば、ロピニビル、サキニビル、アムプレナビル)、HIV融合阻害剤、ヌクレオチドHIV RT阻害剤(たとえば、AZT、ラミブジン、アバカビル)、非ヌクレオチドHIV RT阻害剤、ドコノゾール、インターフェロン、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びヒペリシンが挙げられる。
【0061】
生物由来の抗真菌剤の例として、ポリエン(たとえば、アムホテリシンB、カンジシジン、デルモスタチン、フィリピン、フンギクロミン、ハチマイシン、ハマイシン、ルセンソマイシン、メパルトリシン、ナタマイシン、ナイスタチン、ペシロシン、ペリマイシン)、アザセリン、グリセオフルビン、オリゴマイシン、ウンデシレン酸ネオマイシン、ピロルニトリン、シッカニン、ツベルシジン及びビリジンが挙げられる。
【0062】
合成抗真菌剤の制限しない例として、アリルアミン(たとえば、ブテナフィン、ナフチフィン、テルビナフィン)、イミダゾール(たとえば、ビホナゾール、ブトコナゾール、クロルダントイン、クロルミダゾール、クロコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、エニルコナゾール、フェンチコナゾール、フルトリマゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、ラノコナゾール、ミコナゾール、オモコナゾール、硝酸オキシコナゾール、セルタコナゾール、スルコナゾール、チオコナゾール)、チオカルバメート(たとえば、トルシクラート、トリンダート、トルナフタート)、トリアゾール(たとえば、フルコナゾール、イトラコナゾール、サペルコナゾール、テルコナゾール)、アクリソルシン、アモロルフィン、ビフェナミン、ブロモサリチルクロルアニリド、ブクロサミド、プロピオン酸カルシウム、クロルフェネシン、シクロピロクス、クロキシキン、コパラフィナート、ジアムタゾールジヒドロクロリド、エキサラミド、フルシトシン、ハレタゾール、ヘキセチジン、ロフルカルバン、ニフラテル、ヨウ化カリウム、プロピオン酸、ピリチオン、サリチルアニリド、プロピオン酸ナトリウム、スルベンチン、テノニトロゾール、トリアセチン、ウジョチオン、ウンデシレン酸及びプロピオン酸亜鉛が挙げられる。
【0063】
抗原生動物剤の制限しない例として、硫酸ポリマイシンB、バシトラシン亜鉛、硫酸ネオマイシン(たとえば、ネオスポリン(登録商標))、イミダゾール(たとえば、クロトリマゾール、ミコナゾール、ケトコナゾール)、芳香族ジアミジン(たとえば、イセチオン酸プロパミジン、ブロレン)、ポリヘキサメチレンビグアナイド(“PHMB”)、クロルヘキシジン、ピリメタミン(Daraprim(登録商標))、スルファジアジン、フォリン酸(ロイコボリン)、クリンダマイシン及びトリメトプリム-スルファメトキサゾールが挙げられる。
【0064】
本発明の組成物中に取り込まれる、式I、II、III、IV、V、VI、VII又はVIIIを有するフルオロキノロン化合物の量は、所望の治療部位に所望の化合物量を輸送する量で患部組織領域に容易に製剤投与することができ、そして所望の治療効果を与えるのに十分な範囲であるべきである。本発明のある実施形態において、組成物は式I、II、III、IV、V、VI、VII又はVIIIを有するフルオロキノロンを約0.0001質量%〜10質量%(又は、約0.001質量%〜約5質量%又は約0.01質量%〜約5質量%又は約0.01質量%〜約2質量%又は約0.01質量%〜約1質量%又は約0.01質量%〜約0.7質量%又は約0.01質量%〜約0.5質量%)の範囲の濃度で含む。
【0065】
さらに別の態様において、上記の濃度は総組成物の約0.05質量%より大きい(又は、約0.1質量%より大きい又は約1質量%より大きい)。
【0066】
さらに別の態様において、上記の濃度は総組成物の約0.05質量%〜約2質量%(又は、約0.05質量%〜約1質量%)の範囲である。
【0067】
さらに別の態様において、本発明の組成物中の上記の追加の抗感染薬の濃度は約0.0001質量%〜約10質量%(又は、約0.001質量%〜約5質量%又は約0.01質量%〜約5質量%又は0.01質量%〜約2質量%又は約0.01質量%〜約1質量%又は約0.01質量%〜約0.7質量%又は約0.01質量%〜約0.5質量%又は0.05質量%〜約0.5質量%又は約0.05質量%〜約1質量%)の範囲であることができる。
【0068】
さらに別の態様において、本発明の組成物は医薬上許容されるキャリアをさらに含む。
【0069】
本明細書中に開示した、フルオロキノロン化合物及び、場合により用いられる追加の抗感染医薬は、感染症を治療し又は制御するための局所投与、経口投与又は全身投与用の医薬組成物へと製剤されうる。ある実施形態において、このような感染症は、目、耳、呼吸器系の部分及びそれらの組み合わせの感染症を含む。このような組成物は、式I、II、III、IV、V、VI、VII又はVIIIを有するフルオロキノロン化合物、場合により用いる追加の抗感染医薬、及び、投与のための医薬上許容されるキャリアを含み、そのキャリアは医薬製剤の当業者によって上記に開示の用途に対して決定されうる。たとえば、当該技術分野で知られている様々な医薬上許容されるキャリアは、溶液、懸濁液、分散体、軟膏、ゲル、カプセル又は錠剤を製剤するために使用されうる。1つの実施形態において、フルオロキノロン化合物はこれらの投与形態のキャリア中に溶解される。本明細書中に開示した式I、II、III、IV、V、VI、VII又はVIIIを有するフルオロキノロン化合物は、目、耳、呼吸器系の部分又はそれらの組み合わせの感染症の治療又は制御に特に適切である。好ましい実施形態において、組成物は水溶液である。
【0070】
1つの実施形態において、このような感染症は少なくとも1種の細菌によって引き起こされる。追加の抗感染剤が抗真菌剤、抗ウイルス剤又は抗原性動物剤である場合には、本発明の組成物は、それぞれ、少なくとも細菌と真菌、少なくとも細菌のウイルス、又は少なくとも細菌と原生動物を含む混合型微生物を治療し又は制御するために使用することができる。別の態様において、このようなフルオロキノロン及び追加の抗感染医薬もしくは抗感染剤は溶液、軟膏、懸濁液、分散体又はゲルへと製剤されうる。
【0071】
1つの実施形態において、本発明の局所組成物は、水溶液又は水性懸濁液を含む。通常、精製水又は脱イオン水が使用される。組成物のpHは生理学的に許容されるpH調節性の酸、塩基又は緩衝剤のいずれかを添加することにより、約3.5〜約5.5(あるいは、約3.5〜5又は約4〜5又は約4〜5.5)、あるいは、約10.5〜約12(又は約10.5〜11又は約11〜12)に調節される。
【0072】
酸の制限しない例としては、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸、塩酸などが挙げられ、塩基の例としては、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、トロメタミン、THAM(トリスヒドロキシメチルアミノメタン)などが挙げられる。塩又は緩衝剤としてはクエン酸塩/デキストロース、重炭酸ナトリウム、塩化アンモニウム及び上記の酸と塩基との混合物が挙げられる。pH緩衝剤は安定なpHを維持するために又は使用者による製品許容性を改良するために組成物中に導入される。様々なpHのための生物学的緩衝剤は入手可能であり、たとえば、Sigma-Aldrichから入手可能である。本発明の組成物は約1〜約100,000センチポアズ(cp)又はmPa.s(又は約5〜約50,000又は約10〜約20,000又は約10〜約10,000又は約10〜約1,000又は約100〜約10,000又は約100〜20,000又は約100〜約50,000又は約500〜約10,000又は約500〜約20,000cp)の範囲の粘度であることができる。
【0073】
別の実施形態において、本発明の局所組成物は、軟膏、エマルジョン又はクリーム(たとえば、水中油型エマルジョン)又はゲルを含む。
【0074】
軟膏は、一般に、(1)油性基剤、すなわち、白色ワセリン又は鉱油などの固定油又は炭化水素からなるもの、又は、(2)吸収性基剤、すなわち、水を吸収することができる1種又は複数種の無水物質からなるもの、たとえば、無水ラノリン、のいずれかを用いて調製される。慣習的に、油性又は吸収性のいずれかの基剤の形成に続いて、活性成分(化合物)を所望の濃度を与える量で添加する。
【0075】
クリームは油/水エマルジョンである。クリームは、通常、ワックス、ワセリン、鉱油などの固定油、炭化水素などを含む油性相(分散相)と、水及び、添加された塩などの水溶性物質を含む水性相(連続相)とからなる。この2つの相は乳化剤、たとえば、ナトリウムラウリルスルフェートなどの界面活性剤、アカシアコロイドクレー、ビーガム(veegum)などの親水性コロイドなどを使用することにより安定化される。エマルジョンを形成するときに、活性成分(化合物)が、通常、所望の濃度を達成する量で添加される。
【0076】
ゲルは油性基剤、水又はエマルジョン−懸濁液基剤から選ばれる基剤を含む。基剤中でマトリックスを形成し、その粘度を増加させるゲル化剤をその基剤に添加する。ゲル化剤の例には、ヒドロキシプロピルセルロース、アクリル酸ポリマーなどがある。通常、活性成分(化合物)はゲル化剤の添加の前の時点で所望の濃度で製剤中に添加される。
【0077】
さらに、本発明の局所組成物は、1種以上の以下の成分:保存剤、界面活性剤、補助剤(追加の医薬、抗酸化剤、浸透圧調節剤、粘度調節剤を含む)を含むことができる。
【0078】
製品を単一投与もしくは複数投与用容器中で分配する際に、その製品の微生物汚染を抑制するために保存剤を使用することができる。保存剤として、第四級アンモニウム誘導体(塩化ベンズアルコニウム、塩化ベンジルアンモニウム、臭化セチルメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム)、塩化ベンゼトニウム、有機水銀化合物(チメロサール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀)、p−ヒドロキシ安息香酸メチル及びp−ヒドロキシ安息香酸プロピル、β−フェニルエチルアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、フェノキシエタノール及びそれらの混合物を挙げることができる。これらの化合物は、選択される保存剤によって決まる有効な濃度、通常、約0.005%〜約5%(質量%)で使用される。使用される保存剤の量は、溶液が物理的に安定である、すなわち、沈殿を形成しないのに十分な量であるべきであり、また、抗菌的に有効な量であるべきである。
【0079】
式I、II、III、IV、V、VI、VII又はVIIIを有するフルオロキノロンを含む、本発明の組成物の成分の溶解度は、組成物中の界面活性剤又は他の適切な共溶剤によって改良できるか、又は、溶解度向上剤、たとえば、α−、β−及びγ−シクロデキストリンのヒドロキシプロピル、ヒドロキシエチル、グルコシル、マルトシル及びマルトトリオシル誘導体などのシクロデキストリン類によって改良できる。一実施形態において、組成物は0.1%〜20%ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、又は、1%〜15%(又は2%〜10%)ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを含む。共溶剤としてはポリソルベート(たとえば、ポリソルベート20、60及び80)、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン界面活性剤(たとえば、Pluronic(登録商標)F68、F84、F127及びP103)、シクロデキストリン、脂肪酸トリグリセリド、グリセロール、ポリエチレングリコール、他の溶解度向上剤、たとえば、オクトキシノール40及びチロキサポール、又は、当業者に知られている他の薬剤、及びそれらの混合物が挙げられる。溶解度向上剤の使用量は組成物中のフルオロキノロンの量によって決まり、フルオロキノロンの量が多いほど、溶解度向上剤の量が多くなる。通常、溶解度向上剤の量は成分によって決まり、0.01質量%〜約20質量%(又は約0.1質量%〜約10質量%又は約0.1質量%〜約5質量%又は約0.1質量%〜約2質量%)の量で使用される。
【0080】
単純な水溶液の粘度よりも高い粘度を有する本発明の組成物を提供するために粘度向上剤を使用することが標的組織による活性成分の吸収性を増加させ又は耳における滞留時間を増加させるために望ましいことがある。このような粘度向上剤としては、たとえば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、又は、当業者によって知られている他の薬剤を挙げることができる。このような粘度向上剤は、通常、約0.01質量%〜約10質量%(又は約0.1質量%〜約5質量%又は約0.1質量%〜約2質量%)の量で使用される。
【0081】
適切な界面活性剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、エチレングリコール及びプロピレングリコールが挙げられる。他の界面活性剤は、ポリソルベート(たとえば、ポリソルベート80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、ポリソルベート60(ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート)、ポリソルベート20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)などであり、これらは商品名Tween(登録商標)80、Tween(登録商標)60、Tween(登録商標)20として一般に知られている)、ポロキサマー(エチレンオキシドとプロピレンオキシドの合成ブロックポリマーであり、商品名Pluronic(登録商標)、たとえば、Pluronic(登録商標)F127又はPluronic(登録商標)F108などで一般に知られている)、ポロキサミン(エチレンオキシドとプロピレンオキシドの合成ブロックポリマーにエチレンジアミンが付加されたものであり、商品名Tetronic(登録商標)、たとえば、Tetronic(登録商標)1508又はTetronic(登録商標)908などで一般に知られている)、他の非イオン性界面活性剤(Brij(登録商標)、Myrj(登録商標)))や、約12個以上の炭素原子(たとえば、約12〜約24個の炭素原子)を有する炭素鎖を含む長鎖脂肪族アルコール(すなわち、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、ドコソヘキサノイルアルコールなど)をさらに含むことができる。界面活性剤は狭い通過路の表面に局所製剤を広げることを助ける。
【0082】
しばしば、感染に次いで、炎症が生じる。そのため、別の態様において、本発明の組成物は抗炎症剤をさらに含む。抗炎症剤としてはよく知られたグルココルチコステロイド及び非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)が挙げられる。
【0083】
グルココルコチステロイドの制限しない例として、21−アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベータメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニゾン、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコート、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドネート、エノキソロン、フルアザコート、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロン、酢酸フルペロロン、酢酸フルプレドニデン、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、フォルモコルタール、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタゾール、ハロメタゾン、酢酸ハロプレドン、ヒドロコルタルネート、ヒドロコルチゾン、エタボン酸ロテプレドノール、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、フラン酸モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、25−ジエチルアミノ酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニゾン、プレドニバル、プレドニリデン、リメキソロン、チクソコルトール、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、トリアムシノロンヘキサアセトニド、これらの生理学的に許容される塩、これらの組み合わせ、及び、これらの混合物からなる群より選ばれる。
【0084】
眼での使用に好ましいグルココルチコイドとしては、デキサメタゾン、プレドニゾロン、メタゾン、フルオロメトロン、ロテプレドノール、メドリゾン及びリメゾロンが挙げられる。耳での使用に好ましいグルココルチコイドとしては、デキサメタゾン、ロテプレドノール、リメキソロン、プレドニゾロン、フルオロメトロン、ヒドロコルチゾン及びそれらの誘導体が挙げられる。鼻での使用に好ましいグルココルチコイドとしては、モメタゾン、フルチカゾン、ベクロメタゾン、フルニゾリド、トリアムシノロン、ブデゾニド及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0085】
NSAIDの制限しない例は、アミノアリールカルボン酸誘導体(たとえば、エンフェナム酸、エトフェナム酸塩、フルフェナム酸、イソニキシン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルミン酸、タルニフルミン酸塩、テロフェナム酸塩、トルフェナム酸)、アリール酢酸誘導体(たとえば、アセクロフェナク、アセメタシン、アルクロフェナク、アムフェナク、アムトルメチングアシル、ブロムフェナク、ブフェキサマク、シンメタシン、クロピラク、ジクロフェナクナトリウム、エトドラク、フェルビナク、フェンクロジン酸、フェンチアザク、グルカメタシン、イブフェナク、インドメタシン、イソフェゾラク、イソキセパク、ロナゾラク、メチアジン酸、モフェゾラク、オキサメタシン、ピラゾラク、プログルメタシン、スリンダク、チアラミド、トルメチン、トロペシン、ゾメピラク)、アリール酪酸誘導体(たとえば、ブマジゾン、ブチブフェン、フェンブフェン、キセンブシン)、アリールカルボン酸(たとえば、クリダナク、ケトロラク、チノリジン)、アリールプロピオン酸誘導体(たとえば、アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ベルモプロフェン、ブクロキシン酸、カルプロフェン、フェノプロフェン、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、イブプロキサム、インドプロフェン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピケトプロレン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プロチジン酸、スプロフェン、チアプロフェン酸、キシモプロフェン、ザルトプロフェン)、ピラゾール(たとえば、ジフェナミゾール、エピリゾール)、ピラゾロン(たとえば、アパゾン、ベンズピペリロン、フェプラゾン、モフェブタゾン、モラゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピペブゾン、プロピフェナゾン、ラミフェナゾン、スキシブゾン、チアゾリノブタゾン)、サリチル酸誘導体(たとえば、アセトアミノサロール、アスピリン、ベノリレート、ブロモサリゲニン、アセチルサリチル酸カルシウム、ジフルニサール、エテルサレート、フェンドサール、ゲンチジン酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸イミダゾール、アセチルサリチル酸リシン、メサラミン、サリチル酸モルホリン、サリチル酸1-ナフチル、オルサラジン、パルサルミド、アセチルサリチル酸フェニル、サリチル酸フェニル、サラセタミド、サリチルアミドo-酢酸、サリチル硫酸、サルサレート、スルファサラジン)、チアジンカルボキサミド(たとえば、アンピロキシカム、ドロキシカム、イソキシカム、ロルノキシカム、ピロキシカム、テノキシカム)、ε-アセトアミドカプロン酸、S-(5'-アデノシル)-L-メチオニン、3-アミノ-4-ヒドロキシ酪酸、アミキセトリン、ベンダザク、ベンジダミン、α-ビサボロール、ブコローム、ジフェンピラミド、ジタゾール、エモルファゾン、フェプラジノール、グアイアズレン、ナブメトン、ニメスリド、オキサセプロール、パラニリン、ペリソキサール、プロカゾン、スーパーオキシドジスムターゼ、テニダップ、ジロイトン、これらの生理学的に許容される塩、これらの組み合わせ、及び、これらの混合物である。一実施形態において、NSAIDはジクロフェナク、フルビプロフェン又はケトロラクである。
【0086】
他の非ステロイド系抗炎症剤としては、シクロオキシゲナーゼタイプII選択的阻害剤、たとえば、セレコキシブ及びエトドラック、血小板活性化因子(PAF)アンタゴニスト、たとえば、アパファント、ベパファント、ミノパファント、ヌパファント及びモジパファント、ホスホジエステラーゼ(PDE)IV阻害剤、たとえば、アリフロ、トルバフィルリン、ロリプラム、フィラミナスト、ピクラミラスト、シパムフィルリン及びロフルミラスト、サイトカイン産生阻害剤、たとえば、NF-κB転写因子の阻害剤、又は、当業者に知られている他の抗炎症剤が挙げられる。
【0087】
本発明の組成物中に含まれる抗炎症剤の濃度は選択される抗炎症剤及び治療を行う炎症のタイプに基づいて様々であろう。濃度は、組成物を標的組織に局所投与した後に、その標的組織における炎症を低減するために十分な濃度であろう。そのような濃度は、通常、約0.0001〜約3質量%(又は、約0.01質量%〜約2質量%又は約0.05質量%〜約1質量%)の範囲である。
【0088】
目の感染症の症例から分離されている細菌病原体としては、グラム陰性細菌(たとえば、ナイセリア属(Neisseria species)、モラクセラ属(Moraxella species)、ブルセラ属(Brucella spiecies)、エンテロバクター属(Enterobacter species)、大腸菌(Escherichia coli)、インフルエンザ菌 (Haemophilus influenzae)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumonia)及び緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa))、グラム陽性細菌(黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、肺炎球菌 (Streptococcus pneumoniae)、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・ミティス(Streptococcus mitis)、ストレプトコッカス・ファエカリス(Streptococcus faecalis)、枯草菌(Bacillis subtilis)、破傷風菌(Clostridium tetani)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)、アクネ菌(Propionibacterium acnes)及びアクチノマイセス・イスラエリ(Actinomyces israelii))が挙げられる。
【0089】
耳の感染症の症例から分離されている細菌病原体としては、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・ファエカリス(Streptococcus faecalis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、カタル球菌(Moraxella catarahalis)、大腸菌(Escherichia coli)、プロテウス属(Proteus species)、クレブシエラ属(Klebsiella species)及び腸球菌属(Enterococcus species)が挙げられる。分離体から得られるこれらの種のうちの幾つかは幾つかの抗微生物薬に対して耐性であることが発見されている。たとえば、急性中耳炎のこどもの中耳流体中の抗微生物剤耐性病原体についての研究の出版物は肺炎球菌(S.Pneumoniae)分離体の30%がペニシリンに対して中程度に又は完全に耐性であり、8%が完全に耐性であり、また、分離体の10%がアモキシシリン又はアモキシシリン−クラブラン酸塩に対して耐性であったことを示している。M.R. Jacobsら、Antimicrobial Agents and Chemotherapy, Vol. 42, No.3, 589(1998)。同研究はインフルエンザ菌(H. influenzae)分離体の30%がβ−ラクタマーゼを産生しており、そのため、ペニシリンに対して耐性であることが予測されると示している。
【0090】
上気道系の感染症の症例から分離されている細菌病原体としては、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌 (Staphylococcus epidermidis)、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、ペプトストレプトコッカス(Peptostreptococcus species)及びバクテロイデス属(Bacteroides species)が挙げられる。これらの種族の幾つかは上記のように一般に使用されている抗生物質に対して耐性であることが判っている。
【0091】
式IVを有する化合物の抗細菌活性を幾つかのグラム陰性参照細菌株に対して試験し、3種の市販の抗生物質(ナジフロキサシン、オフロキサシン及びスパルフロキサシン)の抗細菌活性と比較した。結果をMIC90値(特定された病原体の増殖の90%を阻害するために必要な活性化合物の最小濃度(μg/ml))として表2に示す。
【0092】
【表2】

【0093】
式IVを有する化合物の抗細菌活性を幾つかのグラム陽性参照細菌株に対して試験し、3種の市販の抗生物質(ナジフロキサシン、オフロキサシン及びスパルフロキサシン)の抗細菌活性と比較した。結果をMIC90値として表3に示す。
【0094】
【表3】

【0095】
式IVを有する化合物の抗細菌活性を幾つかのメシチリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)細菌株に対して試験し、3種の市販の抗生物質(ナジフロキサシン、オフロキサシン及びスパルフロキサシン)の抗細菌活性と比較した。結果をMIC90値として表4に示す。
【0096】
【表4】

【0097】
式IVを有する化合物の抗細菌活性を、選択した嫌気性参照細菌に対して試験し、3種の市販の抗生物質(ナジフロキサシン、オフロキサシン及びスパルフロキサシン)の抗細菌活性と比較した。結果をMIC90値として表5に示す。
【0098】
【表5】

【0099】
式IVを有する化合物の抗細菌活性を幾つかの眼科臨床細菌分離体に対して試験し、3種の市販の抗生物質(ナジフロキサシン、オフロキサシン及びスパルフロキサシン)の抗細菌活性と比較した。上記で議論したように、これらの細菌株のほとんどは、耳及び上気道の感染症にも関連がある。結果をMIC90値として表6に示す。
【0100】
【表6】

【0101】
結果は、式IVを有する化合物が目、耳又は上気道の感染症の症例において見られている幾つかの抗生物質耐性株を含む細菌に対して有効であることを示す。出願人はいかなる特定の理論にも拘束されるつもりはないが、本明細書中に開示したフルオロキノロン上のユニークな部分が有利な抗細菌活性を提供し、そして耳の感染症(外耳炎及び中耳炎を含む)及び上気道の感染症(副鼻腔炎、上咽頭炎及び中咽頭炎(oropharyngitis)を含む)を治療し、低減し、寛解し又は予防するのに有効であるものと信じる。
【0102】
式IVを有する化合物を含む溶液の溶解度及び安定性
式IVを有する化合物のUSP水中の溶解度を図1に示す。pHが約3.5〜約5.5又は約10.5〜約12の範囲である本発明の組成物はその化合物を高濃度で含み、そのため、患部へ有効量の医薬を輸送することができる。
【0103】
溶液中の式IVを有する化合物の溶解度を、選択された時間の後に化合物が残存している量(初期量の百分率として表記)として、表7に示す。化合物は本発明に関して最も注目しているpH範囲で安定である。
【0104】
【表7】

【0105】
以下の例は感染症を治療し、低減し、寛解し又は予防するための本発明の制限しない組成物、及び、このような組成物を調製する方法ををさらに例示するために提供される。
【0106】
【表8】

【0107】
適切な量のコハク酸塩緩衝剤を、無菌ステンレススチールジャケット付き容器であって攪拌機構を備えた容器中に50〜60℃の温度で入れる。得られた緩衝溶液を61〜75℃に加熱する。約66℃の温度で、3〜10分間混合しながら、適切な量のBAKを上記の緩衝溶液に添加する。75℃の温度で、混合を続けながら3〜15分間にわたって容器の内容物に、適切な量の式IVを有する化合物を添加する。その後、75℃でさらに5〜15分間混合を続けながら、混合物にEDTA及びNaClを添加する。その後、得られた混合物を、たとえば、約121℃の温度で約30分間オートクレーブ処理することで殺菌する。殺菌された混合物を25℃〜30℃に冷却する。最終の組成物を適切な容器に包装する。
【0108】
例2:抗細菌性溶液
例1と同様の手順を用いてこの溶液を製造する。
【0109】
【表9】

【0110】
例3:抗細菌性及び抗炎症性溶液
例1と同様の手順を用いて以下の組成を有するこの溶液を製造する。
【0111】
【表10】

【0112】
例4:抗細菌性、抗真菌性及び抗炎症性溶液
例1と同様の手順を用いて以下の組成を有するこの溶液を製造する。
【0113】
【表11】

【0114】
例5:抗細菌性、抗ウイルス性及び抗炎症性懸濁液
例1と同様の手順を用いて以下の組成を有するこの溶液を製造する。
【0115】
【表12】

【0116】
例6:抗細菌性及び抗炎症性エマルジョン
例1の手順の変法を用いてすぐ下の表に示す組成を有するこのエマルジョンを製造する。
第一の無菌ステンレススチールジャケット付き容器であって攪拌機構を備えた容器中、ポリソルベート60(Tween 60)を水に下記の表に示す割合に対応する量で50℃〜60℃の温度で添加する。得られた水溶液を61℃〜75℃に加熱する。66℃の温度で、3〜10分間混合しながら、ベンジルアルコール(保存剤)を上記の水溶液に添加する。75℃の温度で、適切な量の式IVを有する化合物及びロテプレドノールエタボネートを第一の無菌容器に添加する。適切な量のミグリオールオイルを第二の無菌容器で同様に攪拌機構を備えた容器中に、攪拌を続けながら3〜5分間にわたって装填する。ソルビタンモノステアレート及びセチルステアリルアルコールを上記のオイルに添加する。得られたオイル混合物を62℃〜75℃の範囲の温度に加熱する。その後、得られたオイル混合物第一の容器中の水溶液に激しく混合しながら66℃の温度で3〜5分間にわたって添加する。この混合物に硫酸ナトリウム及び硫酸及び/又は水酸化ナトリウムを添加してpHを5.5に調節する。得られた組成物を35℃〜45℃に冷却し、高剪断乳化器で混合し又はホモジナイザーを通すことで均質化する。その後、この組成物を、たとえば、約120℃の温度でオートクレーブ処理することで殺菌する。この殺菌された組成物をさらに25℃〜30℃に冷却する。最終の組成物を適切な容器に包装する。
【0117】
【表13】

【0118】
通常、エマルジョン中に使用されるオイルは、非刺激性軟化オイルである。その例示の制限しない例としては、鉱油、植物油及び既知の組成の改質植物油が挙げられる。より詳細な制限しないオイルの例は、ピーナツ油、ゴマ種子油、綿実油及び中鎖(C〜C12)トリグリセリド(たとえば、ミグリオールニュートラルオイル810、812、818、829、840など、Huls America Inc.から入手可能)からなる群より選ぶことができる。使用される典型的な乳化剤はソルビタンモノステアレート及びTween 60(ポリソルベートとしても知られている)からなる群より選ぶことができる。好ましくは、乳化剤は非イオン性である。乳化剤は組成物の1.5〜6.5質量%の量で使用してよく、好ましくは、組成物の3〜5質量%の量で使用される。エマルジョンの疎水性相は組成物の15〜25質量%の量であってよく、好ましくは組成物の18〜22質量%の量である。
【0119】
例7:抗細菌性、抗真菌性及び抗炎症性エマルジョン
例6と同様の手順を用いて以下の組成を有するこのエマルジョンを製造する。
【0120】
【表14】

【0121】
例8:抗細菌性軟膏
例1と同様の手順を用いて以下の組成を有するこの溶液を製造する。
【0122】
【表15】

【0123】
例9:抗細菌性及び抗炎症性軟膏
例1と同様の手順を用いて以下の組成を有するこの溶液を製造する。
【0124】
【表16】

【0125】
例10:抗細菌性及び抗ウイルス性溶液
例1と同様の手順を用いてこの溶液を製造する。
【0126】
【表17】

【0127】
例11:抗細菌性及び抗真菌性溶液
例1と同様の手順を用いてこの溶液を製造する。
【0128】
【表18】

【0129】
例12:抗細菌性エマルジョン
例6の手順を用いてすぐ下の表に示す組成を有するこのエマルジョンを製造する。
【0130】
【表19】

【0131】
例13:式IVを有する化合物を含む抗細菌性溶液
例1と同様の手順を用いてこの溶液を製造する。
【0132】
【表20】

【0133】
例14:式IVを有する化合物を含む抗細菌性溶液
例1と同様の手順を用いてこの溶液を製造する。
【0134】
【表21】

【0135】
例15:式IVを有する化合物を含む抗細菌性溶液
例1と同様の手順を用いてこの溶液を製造する。
【0136】
【表22】

【0137】
例16:式IVを有する化合物及び抗炎症薬を含む抗細菌性溶液
例1と同様の手順を用いてこの溶液を製造する。
【0138】
【表23】

【0139】
例17:式IVを有する化合物及びシプロフロキサシンを含む抗細菌性組成物
式IVを有する化合物及びシプロフロキサシンを様々な組み合わせの濃度で含む組成物を、黄色ブドウ球菌(S. aureus)、緑膿菌(P. aeruginosa)及び大腸菌(E. coli)に対して体系的に試験した。各々の薬剤単独の場合及び組み合わせの場合のMIC値(μg/ml)を表8に示す。
【0140】
【表24】

【0141】
表8のデータは、シプロフロキサシン単独が黄色ブドウ球菌(S. aureus)に対して有効であるが、式IVを有する化合物及びシプロフロキサシンの組み合わせは、組み合わせ中の少なくとも1つの薬剤のMICが単独で使用される同一の薬剤のMICの1/2よりも小さいので、いずれの単独の薬剤よりも、緑膿菌(P. aeruginosa)及び大腸菌(E. coli)に対して、より有効であることを示している。
【0142】
本発明は、また、目、耳又は上気道の感染症を治療し又は制御するための方法を提供する。1つの態様において、そのような感染症は少なくとも1種の細菌を含む混合型微生物によって引き起こされる。別の態様において、上記の少なくとも1種の細菌は少なくとも1種の一般に使用されている抗生物質に対して耐性であるものである。さらに別の態様において、その方法は本発明の組成物の1滴以上のドロップを感染症を示している又は感染症の危険性を示している対象の外耳道、鼻腔又は咽喉のうしろに投与することを含む。本発明の組成物は、また、そのような対象の耳腔又は鼻腔に投与することができるスプレーへと製剤されうる。
【0143】
本発明の特定の実施形態を説明してきたが、当業者には、添付の請求項に規定された本発明の精神と範囲を逸脱することなく、その実施形態に対して多くの対等代理、改変、置換及び変更が可能であることがわかるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における感染症を治療し又は制御するための組成物であって、該組成物は下記式Iを有するフルオロキノロン又はその塩を含み、該組成物はpHが約3.5〜約5.5又は約10.5〜約12の範囲であり、前記フルオロキノロンは前記感染症を治療し又は制御するのに有効な量で存在し、
【化1】

上式中、Rは、水素、未置換低級アルキル基、置換低級アルキル基、シクロアルキル基、未置換C〜C24アリール基、置換C〜C24アリール基、未置換C〜C24ヘテロアリール基、置換C〜C24ヘテロアリール基、及び、生体内で加水分解されうる基からなる群より選ばれ、Rは、水素、未置換アミノ基、及び、1個又は2個の低級アルキル基により置換されたアミノ基からなる群より選ばれ、Rは、水素、未置換低級アルキル基、置換低級アルキル基、シクロアルキル基、未置換低級アルコキシ基、置換低級アルコキシ基、未置換C〜C24アリール基、置換C〜C24アリール基、未置換C〜C24ヘテロアリール基、置換C〜C24ヘテロアリール基、未置換C〜C24アリールオキシ基、置換C〜C24アリールオキシ基、未置換C〜C24ヘテロアリールオキシ基、置換C〜C24ヘテロアリールオキシ基、及び、生体内で加水分解されうる基からなる群より選ばれ、Xはハロゲン原子からなる群より選ばれ、YはCH、O、S、SO、SO及びNRからなる群より選ばれ、ここで、Rは、水素、未置換低級アルキル基、置換低級アルキル基及びシクロアルキル基からなる群より選ばれ、そしてZは酸素及び2個の水素原子からなる群より選ばれ、そして前記組成物は前記感染症を引き起こす混合型微生物の増殖又は生存を阻害することができる、組成物。
【請求項2】
は水素、C〜C置換及び未置換アルキル基、C〜C10シクロアルキル基、C〜C14置換及び未置換アリール基、C〜C14置換及び未置換ヘテロアリール基、ならびに、生体内で加水分解されうる基からなる群より選ばれ、Rは、未置換アミノ基、及び、1又は2個のC〜Cアルキル基によって置換されたアミノ基からなる群より選ばれ、Rは水素、C〜C置換及び未置換アルキル基、C〜C10シクロアルキル基、C〜C置換及び未置換アルコキシ基、C〜C14置換及び未置換アリール基、C〜C14置換及び未置換ヘテロアリール基、及び、C〜C14置換及び未置換アリールオキシ基からなる群より選ばれ、XはCl、F及びBrからなる群より選ばれる、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
は水素、C〜C置換及び未置換アルキル基、ならびに、生体内で加水分解されうる基からなる群より選ばれ、Rは、未置換アミノ基、及び、1又は2個のC〜Cアルキル基によって置換されたアミノ基からなる群より選ばれ、RはC〜C10シクロアルキル基からなる群より選ばれ、XはCl及びFからなる群より選ばれ、Yは水素を含み、Zは2つの水素原子を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記フルオロキノロンは約0.01質量%〜約1質量%の濃度で存在する、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗原生動物剤、式Iを有するフルオロキノロン以外の抗細菌剤及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、追加の抗感染剤をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
抗炎症剤をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
前記抗炎症剤はグルココルチコステロイド、非ステロイド系抗炎症薬、サイトカイン産生阻害剤及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
前記フルオロキノロンは式IVを有する、請求項4記載の組成物。
【請求項9】
前記フルオロキノロンは式IVを有する、請求項6記載の組成物。
【請求項10】
式Iを有するフルオロキノロンの単一のエナンチオマーを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
前記フルオロキノロンは式VIを有する、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
前記フルオロキノロンは式IIIを有する化合物のラセミ混合物を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
溶液、クリーム、エマルジョン、懸濁液、軟膏又はゲルの形態である、請求項4記載の組成物。
【請求項14】
式Iを有するフルオロキノロン以外のキノロンをさらに含み、前記追加の抗感染剤は抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗原生動物剤及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項5記載の組成物。
【請求項15】
対象における感染症を治療し又は制御するための組成物であって、該組成物は式Iを有するフルオロキノロン又はその塩を含み、該組成物はpHが約3.5〜約5.5又は約10.5〜約12の範囲であり、前記フルオロキノロンは総組成物の約0.01〜1質量%の濃度で存在する組成物。
【請求項16】
対象における感染症を治療し又は制御するための方法であって、
それを必要とする対象に対して、下記式Iを有するフルオロキノロン又はその塩を含む組成物で、該組成物はpHが約3.5〜約5.5又は約10.5〜約12の範囲であり、前記フルオロキノロンは前記感染症を治療し又は制御するのに有効な量で存在し、
【化2】

上式中、Rは、水素、未置換低級アルキル基、置換低級アルキル基、シクロアルキル基、未置換C〜C24アリール基、置換C〜C24アリール基、未置換C〜C24ヘテロアリール基、置換C〜C24ヘテロアリール基、及び、生体内で加水分解されうる基からなる群より選ばれ、Rは、水素、未置換アミノ基、及び、1個又は2個の低級アルキル基により置換されたアミノ基からなる群より選ばれ、Rは、水素、未置換低級アルキル基、置換低級アルキル基、シクロアルキル基、未置換低級アルコキシ基、置換低級アルコキシ基、未置換C〜C24アリール基、置換C〜C24アリール基、未置換C〜C24ヘテロアリール基、置換C〜C24ヘテロアリール基、未置換C〜C24アリールオキシ基、置換C〜C24アリールオキシ基、未置換C〜C24ヘテロアリールオキシ基、置換C〜C24ヘテロアリールオキシ基、及び、生体内で加水分解されうる基からなる群より選ばれ、Xはハロゲン原子からなる群より選ばれ、YはCH、O、S、SO、SO及びNRからなる群より選ばれ、ここで、Rは、水素、未置換低級アルキル基、置換低級アルキル基及びシクロアルキル基からなる群より選ばれ、そしてZは酸素及び2個の水素原子からなる群より選ばれ、前記組成物は前記感染症を引き起こす少なくとも1種の細菌の増殖又は生存を阻害することができる、組成物を投与することを含む、方法。
【請求項17】
前記組成物を局所投与し、経口投与し又は全身投与する、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記組成物を局所投与する、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記感染症は目、耳、呼吸器系の部分又はそれらの組み合わせの感染症である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記感染症を引き起こす微生物は抗細菌剤に対して耐性である細菌である、請求項16記載の方法。
【請求項21】
前記組成物は式Iを有するフルオロキノロン以外のキノロンをさらに含み、前記追加の抗感染剤は抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗原生動物剤及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項16記載の方法。
【請求項22】
対象における感染症を治療し又は制御するための方法であって、
それを必要とする対象に対して、(a)式IIIを有するフルオロキノロン又はその塩、及び(b)追加の抗感染剤を含む組成物で、該組成物はpHが約3.5〜約5.5又は約10.5〜約12の範囲であり、前記フルオロキノロンは約0.01質量%〜約1質量%の濃度で存在する組成物を投与することを含む、方法。
【請求項23】
式IIIを有するフルオロキノロン化合物の単一のエナンチオマーを含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記組成物を局所投与し、経口投与し又は全身投与する、請求項22記載の方法。
【請求項25】
前記感染症は目、耳、呼吸器の部分又はそれらの組み合わせの感染症である、請求項22記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−540442(P2010−540442A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525892(P2010−525892)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/075754
【国際公開番号】WO2009/042395
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(506076640)ボーシュ アンド ローム インコーポレイティド (99)
【Fターム(参考)】