説明

キメラタンパク質の均質製剤

第VII因子部分およびIgG1部分のFe領域を含むキメラタンパク質分子の変異型により、改善された性質が提供される。この変異型はタンパク質分解に対してより抵抗性である。変異型の製剤はより均質でより長い半減期を有する。変異型は癌、アテローム性動脈硬化症、乾癬、糖尿病性網膜症、湿性黄斑変性症、および関節リウマチを治療するために用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は免疫療法の分野に関する。特に、標的指向部位および細胞溶解部位を含むキメラタンパク質の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
いくつかの流行疾患は異常な血管新生および病的新生脈管構造(PNV)の形成に関連しており、特に固形腫瘍を伴う癌、糖尿病性網膜症、および加齢黄斑変性症(AMD)の浸出(湿性)型がある。PNV関連疾患に対する可能性のある治療として、血管新生を阻害するための抗血管新生プロトコル(Folkman, J. (1995) N. Engl. J. Med. 333, 1757-1763; Kaplan, H. J., Leibole, M. A., Tezel, T. & Ferguson, T. A. (1999) Nat. Med. 5, 292-297)およびPNVを選択的に破壊するための抗PNVプロトコル(Hu, Z. & Garen, A. (2000) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97, 9221-9225; Hu, Z. & Garen, A. (2001) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98, 12180-12185; Birchler, M., Viti, F., Zardi, L., Spiess, B. & Neri, D. (1999) Nat. Biotechnol. 17, 984-988)の二つの方法が記載されている。PNVは通常、疾患診断時までに形成されているため、PNVの破壊はおそらく最適な治療反応を得るために必須であると思われる。
【0003】
アイコンと呼ばれる抗体様キメラ分子が組織因子(TF)として知られる受容体に高い親和性および選択性をもって結合することが明らかにされている。TFはPNVの管腔表面を裏打ちする内皮細胞上で発現されるが、正常な脈管構造では見られず(Drake, T. A., Morrissey, J. H. & Edgington, T. S. (1989) Am. J. Pathol. 134, 1087- 1097; Contrino, J., Hair, G., Reutzer, D. L. & Rickles, F. (1996) Nat. Med. 2,209-215)、したがって選択的かつ接近可能な治療標的を提供する。アイコンは、アイコン分子C末端のIgG1 IgのFcドメインに融合された、アイコン分子N末端のTFの天然リガンドである第VII因子(fVII)からなる。アイコンは抗TF抗体と同様に機能するが、抗TF抗体で達成しうるよりもかなり高い親和性を示す。TF-アイコン複合体は天然のキラー細胞および補体によって仲介される強力な細胞溶解性免疫攻撃を活性化すると考えられる(Hsu, Z., Sun, Y., and Garen, A. (1999) Proc. Natl. Acad. Sci. USA96, 81612-8166)。PNVの内皮細胞およびおそらくはTFを発現する漏出性PNV血管壁の他の細胞の細胞溶解は、固形腫瘍のマウスモデル(Hsu, Z., Sun, Y., and Garen, A. (1999) Proc. Natl. Acad. Sci. USA96, 81612-8166; Hu, Z. & Garen, A. (2000) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97, 9221-9225; Hu, Z. & Garen, A. (2001) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98, 12180-12185)および湿性黄斑変性症のマウスモデル(Bora, P.IB., Hu, Z. , Tezel, T.H., Sohn, J.-H., Cruz, J.M., Bora, N.S., Garen, A. & Kaplan, H.J. (2003) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100, 2679-2684)で示されたとおり、PNVの選択的破壊を引き起こす。
【0004】
天然第VII因子は酵素前駆体である。典型的には、血管損傷の場合、第VII因子はTFへの結合により凝固過程を開始する。この結合は152番目と153番目との間で第VII因子の切断を促進して、活性化プロテアーゼである第VIIa因子(fVIIa)を生成し、これは凝固カスケードを継続する。Jurlanderら(Jurlander, B., Thim, L., Klausen, N.K., Persson, E., Kjalke, M., Rexen, P., Jergensen, T., Ostergaard, P.B., Erhardtsen, E. & Bjorn, S.E. (2001) Sem. Thrombosis Hemostasis 27, 373-383)は、第VII因子は特定の条件下での精製中にこの切断を受けやすいことを示した。加えて、第VII因子および第VIIa因子は、38番目と39番目との間の別の切断も受けやすく、これによりTFに対する親和性が大きく低下することになる(Sakai, T., Lund-Hansen, T., Thim, L. & Kisiel, W. (1990) J. Biol. Chem. 265, 1890-1894)。
【0005】
体内での分解に対する抵抗性増大、貯蔵寿命延長、TFへの結合性増大、有害副作用の軽減、および治療効果増大を含む、性質が改善されたキメラタンパク質分子が当技術分野において必要とされている。
【発明の開示】
【0006】
発明の概要
本発明の第一の態様において、キメラタンパク質が提供される。キメラタンパク質は第一および第二のポリペプチドを含む。第一のポリペプチドは第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドで、第二のポリペプチドはヒト免疫グロブリンIgG1のFc領域である。第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドは、38番目と39番目の残基の間または152番目と153番目の残基の間のタンパク質分解切断を妨げる、少なくとも一つの突然変異残基を含む。
【0007】
本発明の第二の態様において、新血管新生に関連する疾患を有する患者の治療法が提供される。キメラタンパク質の有効量を患者に投与する。キメラタンパク質は第一および第二のポリペプチドを含む。第一のポリペプチドは第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドで、第二のポリペプチドはヒト免疫グロブリンIgG1のFc領域である。第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドは、38番目と39番目の残基の間または152番目と153番目の残基の間のタンパク質分解切断を妨げる、少なくとも一つの突然変異残基を含む。疾患の症状をキメラタンパク質によって改善する。
【0008】
本発明の第三の態様において、発現ベクターが提供される。発現ベクターはキメラタンパク質の分泌型をコードする。キメラタンパク質は第一および第二のポリペプチドを含む。第一のポリペプチドは第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドで、第二のポリペプチドはヒト免疫グロブリンIgG1のFc領域である。第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドは、38番目と39番目の残基の間または152番目と153番目の残基の間のタンパク質分解切断を妨げる、少なくとも一つの突然変異残基を含む。
【0009】
本発明の第四の態様において、新血管新生に関連する疾患を有する患者の治療法が提供される。発現ベクターの有効量を患者に投与する。発現ベクターは第一および第二のポリペプチドを含むキメラタンパク質の分泌型をコードする。第一のポリペプチドは第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドで、第二のポリペプチドはヒト免疫グロブリンIgG1のFc領域である。第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドは、38番目と39番目の残基の間または152番目と153番目の残基の間のタンパク質分解切断を妨げる、少なくとも一つの突然変異残基を含む。疾患の症状を発現ベクターの投与によって改善する。
【0010】
本発明の第五の態様において、キメラタンパク質が提供される。キメラタンパク質は第一および第二のポリペプチドを含む。第一のポリペプチドは第VIIa因子ポリペプチドで、第二のポリペプチドはヒト免疫グロブリンIgG1のFc領域である。第VIIa因子ポリペプチドは、野生型第VIIa因子に比べて血液凝固活性を低下させる、少なくとも一つの突然変異残基を含む。
【0011】
発明の詳細な説明
第VII因子または第VIIa因子および免疫グロブリンIgG1のFc領域の望ましいキメラは組織因子(TF)に高い親和性で結合し、凝固カスケードを開始せず、体内での分解に抵抗性である。タンパク質分解切断を妨げる第VII因子の突然変異は、これらの望ましい特徴を増強する。特に、第VII因子の152番目と153番目のアミノ酸残基の間のタンパク質分解切断を妨げる突然変異は、キメラタンパク質の凝固カスケードを開始する能力を顕著に低下させる一方で、キメラタンパク質はTFに高い親和性で結合する能力を保持している。さらに、38番目と39番目のアミノ酸の間のタンパク質分解切断を妨げる突然変異を有するキメラタンパク質は、この切断が起こった後に失われる組織因子への高親和性結合を維持している。これらの型の突然変異はいずれもキメラタンパク質のタンパク質分解切断を妨げ、したがって均質で、治療上活性な種を維持する。これらの突然変異は、保存安定性の改善、ならびに体内での半減期延長に寄与する。
【0012】
38番目と39番目の残基の間または152番目と153番目の残基の間のタンパク質分解切断を妨げるまたは低減する、第VII因子の任意の突然変異も用いることができる。そのような突然変異には、コドン38および152における突然変異が含まれるが、それらに限定されるわけではない。野生型第VII因子において、これらの残基はそれぞれリジンおよびアルギニンである。これらの残基と置き換え、切断を阻止するために、アラニン突然変異を用いることができる。残基152のアルギニンのグルタミン酸またはグルタミン残基による置換も有効であることが明らかにされている。タンパク質分解部位のいずれかに、例えば、立体障害により影響を与える他の残基も用いることができる。切断を試験するためのアッセイは当技術分野において周知である。単純なアッセイはSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いて、分子間および分子内結合を分裂するために還元した試料を分析する。生成物のサイズから、切断が起こったかどうか、また切断が起こった場合にはそれが38番目と39番目の残基の間もしくは152番目と153番目の残基の間または両方であるかどうかが、容易に示される。
【0013】
突然変異を単独で、または互いに組み合わせて用いることができる。さらに、他の有益な突然変異との組み合わせでも用いることができる。例えば、キメラタンパク質は第VIIa因子ポリペプチドの第VII因子の活性部位に突然変異を含んでいてもよい。そのような突然変異には、第VII因子または第VIIa因子の341番目および344番目の残基におけるものが含まれるが、それらに限定されるわけではない。加えて、キメラタンパク質のFc領域はタンパク質の性質を改善する有益な突然変異を含んでいてもよい。非限定例として、IgG分子の二つの残基、K326およびE333における特定の突然変異は、補体成分C1qへの結合を増強することにより、その補体依存性細胞毒性を増大させる。Idusogie et al. (2001) J. Immunol. 166, 2571-2572参照。同じ目的のために、キメラタンパク質のFc部分内の同様の突然変異を用いることもできる。そのような突然変異は、第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドにおける他の突然変異との組み合わせでも用いることができる。
【0014】
突然変異は、当技術分野において公知のいかなる技術を用いても、キメラタンパク質のコード配列に導入することができる。好ましくは、指定部位突然変異誘発技術を用いて、正確な突然変異を提供する。または、無作為突然変異誘発技術を、タンパク質分解感受性分子とタンパク質分解抵抗性分子とを識別するためのアッセイと合わせて用いる。
【0015】
本発明のキメラタンパク質は第一および第二のポリペプチドを含む。第一のポリペプチドは第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドで、第二のポリペプチドはヒト免疫グロブリンIgG1のFc領域である。ポリペプチドは全タンパク質のキメラタンパク質内で機能するのに必要な分だけを含んでいてもよい。したがって、第一のポリペプチドは組織因子に高い親和性で結合する能力を有していなければならない。第二のポリペプチドは補体依存性細胞毒性反応を仲介する能力を有していなければならない。
【0016】
第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドおよびヒト免疫グロブリンIgG1のFc領域を含むキメラタンパク質を得る一つの方法が、Hu et al., (1999) Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 96, 8161-8166に記載されている。簡単に言えば、5'プライマー

および3'プライマー

を用いてcDNAライブラリからfVII cDNAを増幅することにより、fVII免疫複合体をコードする発現ベクターを作成する。増幅したfVII cDNAは終止コドンを持たないリーダーおよびコード配列を含み、これはヒトIgG1 FcドメインをコードするcDNAとインフレームのpcDNA3.1(+)ベクター(Invitrogen)のHindIIIおよびBamHI部位にクローニングすることができる(Wang, B., Chen, Y., Ayalon, O., Bender, J. & Garen, A. (1999) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96, 1627-1632)。ベクターDNAはHB101コンピテント細胞(Life Technologies, Grand Island, NY)中で増幅することができる。QuickChange指定部位突然変異誘発マニュアル(Stratagene)に記載の方法により突然変異をfVIIまたはIgG1 cDNAに導入することができる。融合タンパク質を調製し、突然変異を導入するための、当技術分野において公知の他の技術を、個々の技術者に好都合なように用いることができる。
【0017】
本発明のキメラタンパク質を、癌、黄斑変性症、関節リウマチ、糖尿病性網膜症、乾癬、またはアテローム性動脈硬化症などの新血管新生に関連する疾患を有する患者に投与することができる。投与は治療に関与する病的状態のタイプに応じて局所でも全身でもよい。本明細書において用いられる「患者」なる用語はヒトおよび他の哺乳動物種の両方を含む。したがって、本発明は医学および獣医学両方の適用を有する。獣医学的組成物および治療において、キメラタンパク質は対応する種由来のターゲティングおよびエフェクタードメインを用いて作成することができる。
【0018】
キメラタンパク質の投与は、例えば、静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮下、非経口、滑液包内、眼内、斑内、または皮内注射などの、当技術分野において公知のいかなる方法を介してでもよい。キメラタンパク質は、キメラタンパク質をコードするポリヌクレオチド分子の投与によって患者に送達することもできる。例えば、医師はキメラタンパク質の分泌型をコードするDNAを有する複製欠損アデノウイルスベクター、アデノ関連ベクター、または他のウイルスベクターを投与することができる。
【0019】
治療的投与のために、キメラタンパク質または核酸を単独またはタンパク質の組み合わせで、薬学的に許容される担体中に分散または可溶化して製剤する。適当な担体は当技術分野において公知である。好ましくは、これらは無菌または非発熱原性である。
【0020】
治療を行うのに必要なキメラタンパク質の量は決まっておらず、投与する組成物中の成分の濃度に依存する。患者の年齢、体重、および身体の状態を考慮することが、適切な用量を設定するために関連している。好ましい組成物は、患者に許容されない毒性を生じることなく、有効な量のキメラタンパク質を送達する。本発明の薬学的組成物または製剤は、他の担体、補助剤、安定化剤、保存剤、分散剤、および当技術分野において通常の他の物質を含んでいてもよい。
【0021】
キメラタンパク質の治療効果は、治療中の疾患に対して治療効果を有することが知られている任意の他の薬剤を患者に投与することによってさらに増強することができる。例として、癌患者は単剤療法よりも治療法の組み合わせに良好に反応することが多い。キメラタンパク質は他の薬剤と同時に投与することもでき、またはキメラタンパク質と他の薬剤とを逐次加えることもできる。
【0022】
抗腫瘍キメラタンパク質を、様々な癌、特に黒色腫、腎癌、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、脳腫瘍、神経芽細胞腫、結腸直腸癌、頭頸部癌、膵臓癌、膀胱癌、および肺癌を含むが、それらに限定されるわけではない、原発または転移固形腫瘍を治療するために用いることができる。キメラタンパク質は、腫瘍脈管構造、特に脈管内皮細胞、および/または腫瘍細胞を標的とするために用いてもよい。腫瘍脈管構造は免疫療法のために下記のいくつかの利点を提供する。(i)組織因子を含む脈管標的のいくつかはすべての腫瘍で同じはずである。(ii)脈管構造を標的とするキメラタンパク質は、その標的に到達するために必ずしも腫瘍塊に浸潤する必要はない。(iii)生存性を血管の機能的完全性に依存する多くの腫瘍細胞にそれぞれの血管が栄養補給するため、腫瘍脈管構造を標的とすることは治療反応を増幅させるはずである。(iv)脈管構造がキメラタンパク質に対する抵抗性を発現するには、血管を裏打ちする全内皮層の改変が必要となるため、これは起こらないと考えられる。新血管成長を妨げるためにデザインされた以前の抗血管新生法とは異なり、本発明のキメラタンパク質は既存の新生脈管構造を細胞溶解により破壊する。
【0023】
本発明のキメラタンパク質は、関節リウマチ、湿性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、乾癬、アテローム性動脈硬化症、および他の新血管新生に関連する疾患を有する患者を治療するためにも有効である。IgG1免疫グロブリンのFcドメインに結合された、突然変異ヒト第VII因子または第VIIa因子により組織因子を標的とするキメラタンパク質の投与は、関節リウマチにおける滑膜を侵襲し、組織因子を発現する血管内皮細胞に対する細胞溶解性免疫反応を引き起こすことができる。同様に、湿性黄斑変性症または糖尿病性網膜症では広範な新血管新生が起こるため、第VII因子キメラタンパク質はこれらの病的状態を治療するためにも有効でありうる。本発明のキメラタンパク質は、斑において組織因子を発現している細胞に対する細胞溶解性免疫反応を引き起こすことにより、アテローム性動脈硬化症の治療にも有効でありうる。最後に、病的新血管新生を破壊することにより、本発明のキメラタンパク質は乾癬において皮膚細胞の過度の増殖を阻止することができる。
【0024】
2001年12月31日提出の同時係属中の特許出願第10/030,203号の開示は特に本明細書に組み入れられる。
【0025】
本発明を、本発明を実施するために現行の好ましい様式を含む特定の例に関して記載してきたが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲に示す本発明の精神および範囲内に入る、前述のシステムおよび技術の多くの変形および変更があることを理解すると思われる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一および第二のポリペプチドを含むキメラタンパク質であって、第一のポリペプチドは第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドで、第二のポリペプチドはヒト免疫グロブリンIgG1のFc領域であり、第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドは、38番目と39番目の残基の間または152番目と153番目の残基の間のタンパク質分解切断を妨げる、少なくとも一つの突然変異残基を含む、キメラタンパク質。
【請求項2】
突然変異残基が38番目のアミノ酸残基および152番目のアミノ酸残基からなる群より選択され、38番目のアミノ酸残基はリジンではなく、152番目のアミノ酸残基はアルギニンではない、請求項1記載のキメラタンパク質。
【請求項3】
突然変異残基がアラニンである、請求項1または2記載のキメラタンパク質。
【請求項4】
突然変異残基が152番目の残基のグルタミンである、請求項2記載のキメラタンパク質。
【請求項5】
突然変異残基が152番目の残基のグルタミン酸である、請求項2記載のキメラタンパク質。
【請求項6】
第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドが活性部位突然変異を含み、この突然変異が第VIIa因子にある場合、野生型第VIIa因子に比べて血液凝固活性を低下させる、請求項1記載のキメラタンパク質。
【請求項7】
活性部位突然変異が341番目の残基の非リジン、344番目の残基の非セリンおよびその組み合わせからなる群より選択される、請求項6記載のキメラタンパク質。
【請求項8】
活性部位突然変異がアラニン置換である、請求項6記載のキメラタンパク質。
【請求項9】
第二のポリペプチドが完全な免疫グロブリンで命名されたK326およびE333からなる群より選択される残基において少なくとも一つの突然変異を含み、この突然変異は補体成分C1qへの第二のポリペプチドの結合を増強する、請求項1記載のキメラタンパク質。
【請求項10】
第二のポリペプチドにおける突然変異がK326のトリプトファン残基である、請求項9記載のキメラタンパク質。
【請求項11】
第二のポリペプチドにおける突然変異がE333のセリン残基である、請求項9記載のキメラタンパク質。
【請求項12】
第二のポリペプチドが前記突然変異の二つを含む、請求項9記載のキメラタンパク質。
【請求項13】
二量体の形である、請求項1記載のキメラタンパク質。
【請求項14】
新血管新生に関連する疾患を有する患者の治療法であって:
第一および第二のポリペプチドを含み、第一のポリペプチドは第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドで、第二のポリペプチドはヒト免疫グロブリンIgG1のFc領域であり、第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドは、38番目と39番目の残基の間または152番目と153番目の残基の間のタンパク質分解切断を妨げる、少なくとも一つの突然変異残基を含む、キメラタンパク質の有効量を患者に投与し、それにより疾患の症状を改善する段階を含む方法。
【請求項15】
疾患が癌である、請求項14記載の方法。
【請求項16】
疾患が湿性黄斑変性症である、請求項14記載の方法。
【請求項17】
突然変異残基が38番目のアミノ酸残基および152番目のアミノ酸残基からなる群より選択され、38番目のアミノ酸残基はリジンではなく、152番目のアミノ酸残基はアルギニンではない、請求項14記載の方法。
【請求項18】
突然変異残基がアラニンである、請求項17記載の方法。
【請求項19】
突然変異残基が152番目の残基のグルタミンである、請求項17記載の方法。
【請求項20】
突然変異残基が152番目の残基のグルタミン酸である、請求項17記載の方法。
【請求項21】
第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドが活性部位突然変異を含み、この突然変異が第VIIa因子にある場合、野生型第VIIa因子に比べて血液凝固活性を低下させる、請求項14記載の方法。
【請求項22】
活性部位突然変異が341番目の残基の非リジン、344番目の残基の非セリンおよびその組み合わせからなる群より選択される、請求項21記載の方法。
【請求項23】
活性部位突然変異がアラニン置換である、請求項21記載の方法。
【請求項24】
第二のポリペプチドが完全な免疫グロブリンで命名されたK326およびE333からなる群より選択される残基において少なくとも一つの突然変異を含み、この突然変異は補体成分C1qへの第二のポリペプチドの結合を増強する、請求項14記載の方法。
【請求項25】
第二のポリペプチドにおける突然変異がK326のトリプトファン残基である、請求項24記載の方法。
【請求項26】
第二のポリペプチドにおける突然変異がE333のセリン残基である、請求項24記載の方法。
【請求項27】
第二のポリペプチドが前記突然変異の二つを含む、請求項24記載の方法。
【請求項28】
第一および第二のポリペプチドを含み、第一のポリペプチドは第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドで、第二のポリペプチドはヒト免疫グロブリンIgG1のFc領域であり、第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドは、38番目と39番目の残基の間または152番目と153番目の残基の間のタンパク質分解切断を妨げる、少なくとも一つの突然変異残基を含む、キメラタンパク質の分泌型をコードする発現ベクター。
【請求項29】
複製欠損アデノウイルスベクターまたはアデノ関連ベクターである、請求項28記載の発現ベクター。
【請求項30】
突然変異残基が38番目のアミノ酸残基および152番目のアミノ酸残基からなる群より選択され、38番目のアミノ酸残基はリジンではなく、152番目のアミノ酸残基はアルギニンではない、請求項28記載の発現ベクター。
【請求項31】
突然変異残基がアラニンである、請求項30記載の発現ベクター。
【請求項32】
突然変異残基が152番目の残基のグルタミンである、請求項30記載の発現ベクター。
【請求項33】
突然変異残基が152番目の残基のグルタミン酸である、請求項30記載の方法。
【請求項34】
第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドが活性部位突然変異を含み、この突然変異が第VIIa因子にある場合、野生型第VIIa因子に比べて血液凝固活性を低下させる、請求項28記載の発現ベクター。
【請求項35】
活性部位突然変異が341番目の残基の非リジン、344番目の残基の非セリンおよびその組み合わせからなる群より選択される、請求項34記載の方法。
【請求項36】
活性部位突然変異がアラニン置換である、請求項34記載の発現ベクター。
【請求項37】
第二のポリペプチドが完全な免疫グロブリンで命名されたK326およびE333からなる群より選択される残基において少なくとも一つの突然変異を含み、この突然変異は補体成分C1qへの第二のポリペプチドの結合を増強する、請求項28記載の発現ベクター。
【請求項38】
第二のポリペプチドにおける突然変異がK326のトリプトファン残基である、請求項37記載の発現ベクター。
【請求項39】
第二のポリペプチドにおける突然変異がE333のセリン残基である、請求項37記載の発現ベクター。
【請求項40】
第二のポリペプチドが前記突然変異の二つを含む、請求項37記載の発現ベクター。
【請求項41】
新血管新生に関連する疾患を有する患者の治療法であって:
第一および第二のポリペプチドを含み、第一のポリペプチドは第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドで、第二のポリペプチドはヒト免疫グロブリンIgG1のFc領域であり、第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドは、38番目と39番目の残基の間または152番目と153番目の残基の間のタンパク質分解切断を妨げる、少なくとも一つの突然変異残基を含む、キメラタンパク質の分泌型をコードする発現ベクターの有効量を患者に投与し、それにより疾患の症状を改善する段階を含む方法。
【請求項42】
疾患が癌である、請求項41記載の方法。
【請求項43】
疾患が湿性黄斑変性症である、請求項41記載の方法。
【請求項44】
突然変異残基が38番目のアミノ酸残基および152番目のアミノ酸残基からなる群より選択され、38番目のアミノ酸残基はリジンではなく、152番目のアミノ酸残基はアルギニンではない、請求項41記載の方法。
【請求項45】
突然変異残基がアラニンである、請求項44記載の方法。
【請求項46】
突然変異残基が152番目の残基のグルタミンである、請求項44記載の方法。
【請求項47】
突然変異残基が152番目の残基のグルタミン酸である、請求項44記載の方法。
【請求項48】
第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドが活性部位突然変異を含み、この突然変異が第VIIa因子にある場合、野生型第VIIa因子に比べて血液凝固活性を低下させる、請求項41記載の方法。
【請求項49】
活性部位突然変異が341番目の残基の非リジン、344番目の残基の非セリンおよびその組み合わせからなる群より選択される、請求項48記載の方法。
【請求項50】
活性部位突然変異がアラニン置換である、請求項48記載の方法。
【請求項51】
第二のポリペプチドが完全な免疫グロブリンで命名されたK326およびE333からなる群より選択される残基において少なくとも一つの突然変異を含み、この突然変異は補体成分C1qへの第二のポリペプチドの結合を増強する、請求項41記載の方法。
【請求項52】
第二のポリペプチドにおける突然変異がK326のトリプトファン残基である、請求項51記載の方法。
【請求項53】
第二のポリペプチドにおける突然変異がE333のセリン残基である、請求項51記載の方法。
【請求項54】
第二のポリペプチドが前記突然変異の二つを含む、請求項51記載の方法。
【請求項55】
第一および第二のポリペプチドを含むキメラタンパク質であって、第一のポリペプチドは第VIIa因子ポリペプチドで、第二のポリペプチドはヒト免疫グロブリンIgG1のFc領域であり、第VIIa因子ポリペプチドは、野生型第VIIa因子に比べて血液凝固活性を低下させる、少なくとも一つの突然変異残基を含む、キメラタンパク質。
【請求項56】
二量体の形である、請求項55記載のキメラタンパク質。

【公表番号】特表2007−511604(P2007−511604A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541188(P2006−541188)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/035517
【国際公開番号】WO2005/051289
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(506168381)アイコニック セラピューティクス インコーポレイティッド (1)
【Fターム(参考)】