説明

キャップ及び蓋付容器

【課題】オーバーキャップ又は上蓋をねじ込むだけで簡単に開栓を行うことができるキャップであって、意図しない開封を防止でき、一旦開封した後は上蓋を簡単に着脱できるキャップ及びこれを備える蓋付容器を提供すること。
【解決手段】オーバーキャップ3の上端壁3bが、螺合部11aの回転動作前の基準位置において分離部4に係止されることで、オーバーキャップ3の中栓2に対する回転を抑制する回転抑制部9bを有するので、オーバーキャップ3の開封前の状態である中栓2に分離部4が連結されている状態では、意図しない開封を防止できる。また、一旦開封した後は、分離部4が中栓2から分離され上端壁3bと係合するので、回転抑制部9bの分離部4に対する係止が解除され、オーバーキャップ3の中栓2に対する回転が容易となり、オーバーキャップ3を容器本体50に対して簡単に着脱できるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトル状の容器の口部に設けられるキャップと、かかるキャップを備える蓋付容器とに関する。
【背景技術】
【0002】
公知のキャップとして、蓋本体である中栓と、上蓋であるオーバーキャップとを備え、中栓に対して、本体側筒状部と、その先端にスコアを介して連設されている分離部とを設けたものが存在する(特許文献1の図10参照)。このキャップでは、オーバーキャップをねじ込むことによって本体側筒状部から分離された分離部を、オーバーキャップの上端内壁からに下方に延びる環状の突出部によって保持させることとしている。
【0003】
また、キャップの螺合構造として、容器口部の外周面に、キャップと螺合する雄ねじと、雄ねじの下方に設けられたネックリングとを設けたものがあり、このネックリングの複数箇所にキャップ内面に押圧密着する突起を複数形成することにより緩み止めを行っている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第WO2007/126062号公報
【特許文献2】特開平10−230950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のキャップは、オーバーキャップをねじ込むだけで簡単に開栓を行うことができ、開栓によって分離された分離部をオーバーキャップの上端内壁に保持させて開封後のシールとして機能させることができるので、極めて操作性すなわち使い勝手が良い。このキャップでは、オーバーキャップの下端にバージンリングを設けて意図しない開封を防止しているが、小型化やコストを優先した場合、バージンリングを省略することも考えられる。しかしながら、単純にバージンリングを省略したのでは、開封前の蓋付容器を運搬する際に、オーバーキャップが緩んでしまいやすくなる。ここで、上記特許文献2に記載のように、例えば容器本体側にオーバーキャップと押圧密着する突起を複数形成して緩み止めを行うことも考えられるが、開封前だけでなく開封後も開閉に比較的大きな力を要することになり、操作性を低下させる可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、オーバーキャップ又は上蓋をねじ込むだけで簡単に開栓を行うことができるキャップであって、意図しない開封を防止でき、一旦開封した後は上蓋を簡単に着脱できるキャップ及びこれを備える蓋付容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るキャップは、容器本体とともに内容物を封入する密閉空間を形成し、密閉空間に開口部を形成するための分離部を有する中栓と、回転動作により容器本体との着脱を可能にする螺合部を有し、螺合部の回転動作により分離部を中栓から分離して開口部を形成することを可能にする上蓋と、を備えるキャップであって、上蓋は、分離部の分離に際して当該分離部と係合する保持部を有し、保持部は、螺合部の回転動作前の基準位置において、分離部に係止されることによって、上蓋の中栓に対する回転を抑制する回転抑制部を有する。
【0008】
上記キャップでは、保持部が、螺合部の回転動作前の基準位置において分離部に係止されることによって上蓋の中栓に対する回転を抑制する回転抑制部を有するので、上蓋の開封前の状態である中栓に分離部が連結されている状態では、意図しない開封を防止できる。また、一旦開封した後は、分離部が中栓から分離され保持部と係合するので、回転抑制部の分離部に対する係止が解除され、上蓋の中栓に対する回転が容易となって、上蓋を容器本体に対して簡単に着脱できるようになる。
【0009】
また、本発明の具体的な側面では、上記キャップにおいて、分離部が、螺合部の回転動作の回転軸方向に延びる筒状の第1側面部分を設けた係止部を有し、回転抑制部が、係止部の第1側面部分に当接することによって分離部に係止される筒状の第2側面部分を有する。この場合、係止部の第1側面部分と回転抑制部の第2側面部分との係止によって、上蓋の中栓に対する回転を抑制することができる。
【0010】
本発明の別の側面では、分離部の第1側面部分及び保持部の第2側面部分の少なくとも一方は、回転軸方向に延びる円筒形である。この場合、円筒形の側面と、円筒形又は非円筒形の側面とによって、分離部と回転抑制部との係止が確保される。
【0011】
本発明のさらに別の側面では、分離部が、第1側面部分において凹凸形状を有する第1嵌合部を有し、保持部が、第2側面部分において第1嵌合部に対応する凹凸形状を有する第2嵌合部を有する。この場合、分離部と回転抑制部とが嵌合するので、回転抑制部による上蓋の回転防止をより確実なものとできる。
【0012】
本発明のさらに別の側面では、中栓が、中央に分離部によって閉塞される上部開口を有し当該上部開口において分離部に連設されるとともに周縁において容器本体に係止される本体部を有し、本体部が、上部開口を画成する本体側筒状部を有し、分離部が、本体側筒状部に対して内径側及び外径側のいずれか一方にオフセットさせた分離部側筒状部を有する。この場合、最初の開栓時に分離部を本体部から分離した後に、再度、上蓋を容器本体にねじ込んだ際に、分離部側筒状部と本体側筒状部とが重なるように嵌合され、それによって分離部と本体部との液密が図れる。
【0013】
本発明のさらに別の側面では、中栓が、樹脂材で形成されており、分離部と本体部との間には、肉厚が薄くなったスコアが形成されている。この場合、中栓を開封するために開口部を形成する際に、肉厚が薄くなったスコアに沿って分離部が容易に分離する。
【0014】
本発明のさらに別の側面では、分離部が、開封後に開口部を塞ぐことができる内側シール栓である。この場合、分離部が開封後に内側シール栓として機能することにより、開封後も液漏れしにくく衛生的な状態を保った密閉空間が構成される。
【0015】
本発明のさらに別の側面では、分離部が、係止部を含むフランジを有し、保持部は、上蓋の上端壁下面から下方に延びるとともに下端に回転抑制部を設けた突出部と、当該突出部に形成されフランジに係合可能な爪とを有する。この場合、分離部が上蓋に簡易・確実に保持される。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る蓋付容器は、容器本体を構成し、内容物たる液体を収納するボトルと、ボトルの口部に設けられる上記いずれかのキャップと、を備える。
【0017】
上記蓋付容器では、上記いずれかのキャップを用いるため、上蓋の回転動作に伴って簡易かつ確実に開口即ち中栓の開封を行うことができ、また、小口径の中栓であってもデザインが制限されず、さらに、開封後に食卓等にごみを出さない。さらに、保持部が分離部に係止されることによって、上蓋の中栓に対する回転を抑制する回転抑制部を有するので、なお、一旦開封した後は、分離部が中栓から分離され保持部と係合するので、回転抑制部の分離部に対する係止が解除され、上蓋を容器本体に対して簡単に着脱できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態に係るキャップ及び蓋付容器を説明するための断面図である。
【図2】キャップによる中栓の封止状態を示す断面図である。
【図3】キャップによる中栓の開封手順での第1の状態を示す断面図である。
【図4】キャップによる中栓の開封手順での第2の状態を示す断面図である。
【図5】図4における蓋付容器の状態を示す断面図である。
【図6】キャップが開封されオーバーキャップが離脱した状態の蓋付容器を示す断面図である。
【図7】第1実施形態の変形例に係るキャップを説明するための断面図である。
【図8】第2実施形態に係るキャップを説明するための断面図である。
【図9】(A)、(B)は、第3実施形態に係るキャップの一例と他の一例を説明するための模式的な図である。
【図10】第3実施形態に係るキャップの変形例を説明するための模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔第1実施形態〕
以下、図1〜6を用いて、第1施形態に係るキャップ及びこれを備える蓋付容器について説明する。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係るキャップ1は、ボトルである容器本体50の口部50aに装着される樹脂成形品であり、蓋本体である中栓2と、上蓋であるオーバーキャップ3とを備える。このキャップ1とこれを装着する容器本体50とは、液体を収納して保存するための蓋付容器100となっている。なお、簡単のため、キャップ1の右半分のみ断面図で示しているが、中心軸である回転軸AXを挟んだ左半分も右側と同様の構造を有している。
【0021】
図1及び図2に示すように、中栓2は、蓋付容器100の搬送時等の開封前の状態において、一体の部材であり、分離部4と、嵌合部5と、本体側筒状部6とを備える。ここで、嵌合部5と本体側筒状部6とは、中栓2の本体部20を構成する。中栓2は、容器本体50とともに内容物を気密又は液密に封入する密閉空間を形成する。中栓2のうち、分離部4は、スコア7に沿って中栓2の開封即ち中栓2の最初の開栓の際に切り取られることで開口部を形成する。嵌合部5は、打栓により容器本体50の口部50aに中栓2を嵌合させる嵌合部材である。嵌合部5は、容器本体50の口部50aの周壁に密着して固定される外筒部5aと、口部50aの内壁に密着して固定される内筒部5bと、口部50aに密着して外筒部5aと内筒部5bとを連結する水平部5cとを有して構成される。本体側筒状部6は、全体として円筒状であるが、上端部において上方に向けて口径が増大するリップ6aを有し、容器本体50内の液体を注ぎ出す際の液切れを良くする。
【0022】
オーバーキャップ3は、樹脂製の一体部材であり、側面壁3aと、上端壁3bと、シール部3dとを備える。側面壁3aと上端壁3bとは、ドーム状の外観を形成し、中栓2を埃、水気等の外部環境から保護している。側面壁3aは、螺合部である雌ネジ11aを有しており、容器本体50の側面に形成された雄ネジ11bと回転軸AXを中心に螺合する。これにより、オーバーキャップ3は、開栓・開封の動作を可能とするととともに、容器本体50との着脱が可能となっている。また、シール部3dの内壁は、開封後の閉成時に嵌合部5の水平部5cに密着する(図4参照)。これにより、閉成時において本体側筒状部6周辺が液密に保たれ、オーバーキャップ3を装栓することが可能となる。
【0023】
以上において、キャップ1のうち、中栓2の分離部4は、本体側筒状部6に対して当該本体側筒状部6の肉厚だけ内径側にオフセットさせた分離部側筒状部4bを備えており、この分離部側筒状部4bには、その上部開口を閉塞する天井壁4cが張設されている。また、分離部側筒状部4bの上端には、半径方向外方へ延びるフランジ4dが形成されている。さらに、フランジ4dの先端側には、オーバーキャップ3を係止するための環状の係止部4eが形成されている。係止部4eには、回転軸AXの軸方向に延びる円筒状の第1側面部分4fが設けられている(図2参照)。なお、分離部側筒状部4bの下端は、本体側筒状部6の上端と肉薄のスコア7によって連設されている。
【0024】
また、オーバーキャップ3において、上端壁3bは、その下面に下方に延びる環状の突出部9を備えており、この突出部9の下端に、開封時にフランジ4dに係合するための爪9aが形成されている。つまり、上端壁3bは、環状即ち円筒状の突出部9を備えることで、分離後の分離部4を保持可能とする保持部として機能する。さらに、保持部である上端壁3bにおいて、突出部9の先端即ち下端側には、開封前においてオーバーキャップ3の中栓2に対する回転を抑制するための環状の回転抑制部9bが形成されている。回転抑制部9bには、回転軸AXの軸方向に延びる円筒状の第2側面部分9cが設けられている。螺合部11aの回転動作前の基準位置にオーバーキャップ3がある状態において、第2側面部分9cは、分離部4の第1側面部分4fに当接することによって分離部4に係止されている。回転抑制部9bが分離部4に係止されることによるオーバーキャップ3の回転抑制の力は、蓋付容器100の運搬時に誤ってオーバーキャップ3にかかってしまう回転力を想定して定められている。つまり、分離部4での回転抑制部9bを係止する力は、開封前の蓋付容器100を運搬する際等に、オーバーキャップ3が回転して緩んでしまわない程度の抑制力を生じさせるように第2側面部分9cの嵌合具合等が適宜定められ、基準位置における回転抑制部9bが、オーバーキャップ3の中栓2に対する回転をある程度の力で抑制可能となっている。これにより、オーバーキャップ3の開封前の中栓2に分離部4が連結されている状態では、キャップ1の意図しない開封を防止している。
【0025】
このように構成されたキャップ1は、分離部4での回転抑制部9bの係止によるオーバーキャップ3の回転抑制の力を上回るような力を加えることで回転させ蓋付容器100を開封することができる。つまり、このような力でオーバーキャップ3を回転させると、中栓2の分離部4を押下可能なオーバーキャップ3の上端壁3bによって、分離部4を本体側筒状部6から切り離すことができる。この際、オーバーキャップ3に形成された突出部9と、分離部4に形成したフランジ4dとによって、分離部4をオーバーキャップ3側に保持することができ、オーバーキャップ3を回転させながら行う開封に伴って、分離部4を中栓2から分離して開口部を形成することができる。一方、上記した分離部4での回転抑制部9bの係止は、この開封動作の際に解除される。さらに、分離部4は、オーバーキャップ3側に保持されたままとなっている。
【0026】
以下、図2から図6を用いて、キャップ1による蓋付容器100の開封動作について説明する。
【0027】
まず、図2に示すように、オーバーキャップ3が螺合部11aの回転動作前の基準位置にあり、キャップ1が封止された状態から、中栓2の分離部4を本体部20から切り離すために、オーバーキャップ3を締め込む方向即ち時計回りに回転させる。この際、上記のように、通常の蓋付容器100の運搬時においてオーバーキャップ3にかかる力以上の力が必要である。オーバーキャップ3を回転させると、図3に示すように、突出部9が中栓2のフランジ4dに嵌合し、爪9aがフランジ4dの周縁下面に係合する。つまり、分離部4がオーバーキャップ3側に保持される。この際に、係止部4dによる回転抑制部9bの係止状態が解かれる。
【0028】
さらに、オーバーキャップ3を締め込むと、中栓2の分離部4がオーバーキャップ3の上端壁3bによって下方に押し込まれる。すると、スコア7が切断され、図4及び図5に示すように、分離部4が本体部20の筒状部6に挿嵌される。つまり、分離部4が本体部20から切り離され本体部20の筒状部6から離脱可能となる。
【0029】
この状態で、オーバーキャップ3を緩める方向即ち反時計回りに回転させると、図6に示すように、オーバーキャップ3に伴って分離部4が中栓2の筒状部6から離脱される。以上のようにして、中栓2は開封され、形成された開口部OPから容器本体50内の液体を注ぎ出すことが可能となる。また、オーバーキャップ3は、容器本体50に対して着脱自在となる。この際には、分離部4における回転抑制部9bの係止はもはや存在しないため、開封の際の回転動作の場合のような大きな力を必要とすることなく通常の力でオーバーキャップ3を開成・閉成することが可能である。また、分離部4は、開封後に開口部OPを塞ぐことができる内側シール栓として機能する。
【0030】
以上のように、本実施形態では、保持部であるオーバーキャップ3の上端壁3bが、螺合部11aの回転動作前の基準位置において分離部4に係止されることによって、オーバーキャップ3の中栓2に対する回転を抑制する回転抑制部9bを有するので、オーバーキャップ3の開封前の状態である中栓2に分離部4が連結されている状態では、意図しない開封を防止できる。また、一旦開封した後は、分離部4が中栓2から分離され上端壁3bと係合するので、回転抑制部9bの分離部4に対する係止が解除され、オーバーキャップ3の中栓2に対する回転が容易となって、オーバーキャップ3を容器本体50に対して簡単に着脱できるようになる。
【0031】
また、キャップ1での開封動作において、分離部4を中栓2から切り取るので、比較的簡易な構造でありながら、上蓋たるオーバーキャップ3の回転動作に伴うキャップ1の開封即ち中栓2の開封が可能となり、分離された分離部4はオーバーキャップ3に保持される。
【0032】
また、この場合、中栓2は、プルリングを用いない構成であるので、プルリングによる開封の際に生じるおそれのあるウエルド部分でプルリングが切れて開口不能となるという事態が生じない。また、オーバーキャップ3の回転動作により中栓2の開封を行うので、プルリングを引いて開封する場合に比べてより小さな力で簡易かつ確実に開封することができる。さらに、分離部4は、中栓2の開封後、オーバーキャップ3と一体となるので、開封後にごみを出さず、例えば食卓から片付ける必要がない。
【0033】
なお、本実施形態では、中栓2は、打栓式複合キャップであり、嵌合部5を用いて打栓により容器本体50とともに内容物を気密又は液密に封入するものとしているが、打栓に限らず、例えばスクリュー式や溶着によるシーリングによっても容器本体50の内容物たる液体の収納が可能である。
【0034】
なお、上記実施形態では、分離部側筒状部4bを本体部側筒状部6よりも、本体部側筒状部6の肉厚分だけ内側にオフセットさせた場合の中栓2を示しているが、分離部側筒状部4bを本体部側筒状部6よりも、本体部側筒状部6の肉厚分だけ外側にオフセットさせたものであってもよい。
【0035】
また、上記実施形態において、分離部側筒状部4bの外周面と本体側筒状部6の内周面との少なくとも一方に、環状の低い突起であるシールを設けることができる。このようなシールを設けることで、分離部側筒状部4bと本体側筒状部6との間に確実な液密状態を確保することができる。つまり、最初の開封後に繰り返される再使用に際して液漏れを確実に防ぐことができる。
【0036】
以下、図7を参照して、本実施形態の変形例に係るキャップについて説明する。図7は、本変形例に係るキャップ101を説明するためのキャップ101の一部拡大図である。なお、本変形例に係るキャップ101は、中栓102の分離部104及びオーバーキャップ103の突出部109の構造以外の構造については、図1等のキャップ1と同様である。従って、キャップ101の全体については図示及び説明を省略する。図7に示すように、本変形例のキャップ101は、分離部104と突出部109とが嵌合構造を有している。以下、当該嵌合構造についてより具体的に説明する。まず、分離部104のうち、天井壁104cを構成するフランジ104dは、先端部である係止部104eの第1側面部分104fにおいて、凹凸形状を有する第1嵌合部104gを有している。図示のように、第1嵌合部104gは、係止部104eの先端側即ち外側に向いて凸となっている。これに対して、突出部109のうち、先端側を構成する回転抑制部109bは、第2側面部分109cにおいて、第1嵌合部104gに対応する凹凸形状を有する第2嵌合部109dを有している。つまり、第2嵌合部109dは、第2側面部分109cにおいて内側に向いて凹となっている。第1嵌合部104gと第2嵌合部109dとの嵌合により、オーバーキャップ103の回転抑制が高められるものとなっている。
【0037】
以上のように、本変形例では、キャップ101は、第1側面部分104fと第2側面部分109cとの当接に加え、第1嵌合部104gと第2嵌合部109dとによる嵌合構造による搬送時のオーバーキャップ103の回転抑制がなされる。この場合、嵌合の度合いを適宜定めることで、係止部104eに回転抑制部109bが係止状態が調整できるので、回転抑制部109bによるオーバーキャップ103の回転抑制をより確実なものとすることが可能となる。なお、図7での凹凸形状は、係止部104e側に1つの凸形状、突出部109側に1つの凹形状を有するものとしているが、これに限らず種々の形状が適用可能である。
【0038】
〔第2実施形態〕
以下、図8を参照して、第2実施形態に係るキャップについて説明する。なお、本実施形態に係るキャップ201は、図1に示す第1実施形態のキャップ1の変形例であり、中栓202の分離部204及びオーバーキャップ203の突出部209の構造以外の構造については説明を省略する。
【0039】
図8に示すように、分離部204のうち、天井壁204cを構成するフランジ204dにおいて、先端部である係止部204eは、半径方向内方に向けて形成されている。具体的には、係止部204eは、フランジ204dの平坦部分FTから垂直上向きに延びる連結部CPと、さらに連結部CPの先端から内側即ち回転軸AXに向かって延び突出部209に当接する第1側面部分204fを含む当接部分APとを有している。つまり、この場合、第1側面部分204fは、図1等の第1側面部分4fと異なり内側即ち回転軸AX側に面している。突出部209の回転抑制部209bは、上記のような係止部204eの構造に応じて、第2側面部分209cが外側即ち回転軸AX側と反対側に面するような構造となっている。なお、突出部209の爪209aは、第2側面部分209cと同じ側の面に形成されている。これにより、開封動作において、係止部204eの当接部分APが爪209aに係止されるものとなり、一旦開封した後は、分離部204が中栓202から分離され上端壁203bと係合するものとなる。
【0040】
以上のように、本実施形態においても、オーバーキャップ203の中栓202に対する回転を抑制する回転抑制部209bを有するので、オーバーキャップ203の開封前に中栓202に分離部204が連結されている状態では、意図しない開封を防止できる。
【0041】
〔第3実施形態〕
以下、図9(A)等を参照して、第3実施形態に係るキャップについて説明する。なお、本実施形態に係るキャップは、図1に示す第1実施形態のキャップ1の変形例であり、分離部304の構造以外の構造については、図1等のキャップ1と同様であるので、全体の構造については図示及び説明を省略する。
【0042】
図9(A)は、本実施形態に係るキャップの一例であるキャップ301について説明するための模式的な図であり、図2において回転軸AXに垂直なX−X断面で切断した状態を示すものに相当する。なお、図2では、X−X断面について右半分のみを示しているが、図9(A)では、左半分まで含めた状態で示している。図9(A)に示すように、キャップ301を構成する分離部304のフランジ304dの外周輪郭は、多角形となっている。つまり、係止部304eの外縁である第1側面部分304fが多角形となっている。ここでは一例として、第1側面部分304fが正八角形となっているものとする。これに対して、回転抑制部9の第2側面部分9cについては、図1等の場合と同様に円形となっているものとする。また、ここで、第1側面部分304fの径と第2側面部分9cの径とは略同一となっているものとする。従って、図示のように、第1側面部分304fと第2側面部分9cとが間欠的に当接して回転抑制部9が分離部304に係止された状態となる。この場合、第1側面部分304fの外周形状と第2側面部分9cの内周形状とが異なっていながら互いに接することにより、螺合部11aによる回転動作を抑制することが可能となっている。なお、分離部304に係合するための爪9aの内周輪郭の径は、第1側面部分304fの径よりもわずかに小さくなっており、開封の動作後においては、分離部304が突出部9に係合するものとなっている。
【0043】
また、上記の場合とは逆に、図9(B)に示すキャップ401のように、突出部409の回転抑制部409bの内周輪郭は、多角形となっていてもよい。つまり、回転抑制部409bの内縁である第2側面部分409cが多角形となっていてもよい。ここでは一例として、第2側面部分409cが正八角形となっているものとする。これに対して、分離部4の第1側面部分4fについては、図1等の場合と同様に円形となっているものとする。また、ここで、第2側面部分409cの径と第1側面部分4fの径とは略同一となっているものとする。従って、図示のように、第1側面部分4fと第2側面部分409cとが間欠的に当接して回転抑制部409が分離部4に係止された状態となる。この場合、第1側面部分4fの外周形状と第2側面部分409cの内周形状とが異なっていながら互いに接することにより、螺合部11aによる回転動作を抑制することが可能となっている。なお、分離部4に係合するための爪409aの内周輪郭の径は、第1側面部分4fの径よりもわずかに小さくなっており、開封の動作後においては、分離部4が突出部409に係合するものとなっている。
【0044】
さらに、図10に示すキャップ501のように、分離部504及び回転抑制部509の双方が断面正八角形となっているものとしてもよい。この場合、双方とも多角形であることにより、一定の角度周期で回転の規制がかかるため、螺合部11aによる回転動作を抑制する力をより高めることができ、緩み止めをより確実にすることができる。
【0045】
なお、上記においては、例示として、分離部や回転抑制部が断面正八角形となっているものとして説明しているが、断面形状は、これ以外の多角形であってもよい。また、そのほか種々の非円形の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…キャップ、 2…中栓、 50…容器本体、 100…蓋付容器、 3…オーバーキャップ、 3a…側面壁、 3b…上端壁、 4…分離部、 4b…分離部側筒状部、 4c…天井壁、 4d…フランジ、 4e…係止部、 4f…第1側面部分、 5…嵌合部、 6…本体側筒状部、 9…突出部、 9a…爪、 9b…回転抑制部、 11a…螺合部、 AX…回転軸、 9c…第2側面部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体とともに内容物を封入する密閉空間を形成し、前記密閉空間に開口部を形成するための分離部を有する中栓と、
回転動作により前記容器本体との着脱を可能にする螺合部を有し、前記螺合部の回転動作により前記分離部を前記中栓から分離して前記開口部を形成することを可能にする上蓋と、
を備えるキャップであって、
前記上蓋は、前記分離部の分離に際して当該分離部と係合する保持部を有し、
前記保持部は、前記螺合部の回転動作前の基準位置において、前記分離部に係止されることによって、前記上蓋の前記中栓に対する回転を抑制する回転抑制部を有することを特徴とするキャップ。
【請求項2】
前記分離部は、前記螺合部の回転動作の回転軸方向に延びる筒状の第1側面部分を設けた係止部を有し、
前記回転抑制部は、前記係止部の前記第1側面部分に当接することによって前記分離部に係止される筒状の第2側面部分を有することを特徴とする請求項1記載のキャップ。
【請求項3】
前記分離部の前記第1側面部分及び前記保持部の前記第2側面部分の少なくとも一方は、前記回転軸方向に延びる円筒形であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項4】
前記分離部は、前記第1側面部分において凹凸形状を有する第1嵌合部を有し、
前記保持部は、前記第2側面部分において前記第1嵌合部に対応する凹凸形状を有する第2嵌合部を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項5】
前記中栓は、中央に前記分離部によって閉塞される上部開口を有し当該上部開口において前記分離部に連設されるとともに周縁において前記容器本体に係止される本体部を有し、
前記本体部は、前記上部開口を画成する本体側筒状部を有し、
前記分離部は、前記本体側筒状部に対して内径側及び外径側のいずれか一方にオフセットさせた分離部側筒状部を有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項6】
前記中栓は、樹脂材で形成されており、前記分離部と前記本体部との間には、肉厚が薄くなったスコアが形成されていることを特徴とする請求項5に記載のキャップ。
【請求項7】
前記分離部は、開封後に前記開口部を塞ぐことができる内側シール栓であることを特徴とする請求項6に記載のキャップ。
【請求項8】
前記分離部は、前記係止部を含むフランジを有し、
前記保持部は、前記上蓋の上端壁下面から下方に延びるとともに下端に前記回転抑制部を設けた突出部と、当該突出部に形成され前記フランジに係合可能な爪とを有することを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項9】
前記容器本体を構成し、前記内容物たる液体を収納するボトルと、
前記ボトルの口部に設けられる請求項1から請求項8までのいずれか一項記載のキャップと、
を備える蓋付容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−225220(P2011−225220A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93941(P2010−93941)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(000223193)東罐興業株式会社 (90)
【Fターム(参考)】