説明

キャップ及び該キャップを用いたコネクタ装置

【課題】本発明は簡単な構造で、容易に挿抜がし易く、如何なる芯数にも対応でき、リフロー実装後も脱落や落下等のない構造のキャップ及び該キャップを用いたコネクタをを提供する。
【解決手段】本目的はコネクタ10の嵌合口18に保持されるキャップ10であって、本体22と、本体22の幅方向両側から一方方向に突出するとともに自由端側の先端に一方側に突出する係合部28を有する突出片24とを備えるキャップ20において、突出片24には、突出片24が所定の間隔になるような少なくとも1個以上のスリット26を設け、スリット26により分割された少なくとも2以上の突出片24の係合部28が位置をずらすように配置されることを特徴とするキャップにより達成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーケンサやインバータやカーナビゲーション等の電気機器や電子機器に使用されるコネクタに用いられるキャップに関するもので、特に、リフロー後に絶縁体やキャップに反りが発生してもキャップが脱落・落下することのない構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コネクタは、少なくとも複数のコンタクトと該コンタクトが保持・配列されるハウジングを有している。前記コネクタには、一般的に接続対象物(基板に実装された相手コネクタやケーブルが付いた相手コネクタやフレキシブルプリント基板(以下では「FPC」という)やカードや基板等)が入る嵌合口が設けられている。前記コネクタの嵌合口には、リフロー時の吸着や防塵性を高めることのために、キャップを装着する場合が多々ある。
特許文献として、本出願人が既に提案したダストカバーである特許文献1(実開平03−40774号)や特許文献2(特開平11−273779号)と、基板実装型コネクタの成形時の歪み又はそりを補償し、コネクタにがたを生じることなく係合しつつコンタクトの基板実装部に十分な共面性を提供できる電気コネクタ用キャップである特許文献3(特開平11−260464号)を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許文献1の実開平03−40774号の実用新案登録請求の範囲によると、x方向に細長い嵌合面16を有する角形コネクタ10のダストカバー30であつて;その本体32の両側に突起40を有する引留め片36が設けてあつて、前記角形コネクタ10の両側に設けられた脱落防止用のロツク片18に前記引留め片36の突起40がひつかかるようになつているものにおいて、前記引留め片36の突起40は、y方向に突出しかつ先端の峰42がx方向に沿つて延びる突条状態のものである、コネクタのダストカバーが開示されている。
【特許文献2】特許文献2の特開平11−273779号の要約によると、本発明は、どんなタイプの電気コネクタ10にも対応することができ、電気コネクタ10の搬送時や回路基板実装後の基板62が電気コネクタ10に挿入されるまでの間に外れることのなく、電気コネクタ10の突起部28が変形することがなく、挿入し易いダストカバーの提供を目的とし、複数のコンタクト14とこのコンタクト14が保持・固定される本体部22と基板62を保持する突起部28と基板62が挿入される嵌入孔30を有するガイド部24とから構成される絶縁体12とからなる電気コネクタ10の嵌合部を保護するダストカバー20であって、電気コネクタ10の嵌合部を覆う防塵部54とその両端側にある係合部56とからなると共に前記係合部56には基板62の係止部56と同一位置に切欠部52が配置されるダストカバー20において、ダストカバー20の両側の前記係合部56に前記絶縁体12の突起部28が引っかかる位置に凸部50を設けることにより達成できるダストカバーが開示されている。 ちなみに、特開平11−273779号の特許請求の範囲の請求項1には、複数のコンタクトと、このコンタクトが保持・固定される本体部と基板を保持する突起部と基板が挿入される嵌入孔を有するガイド部とから構成される絶縁体とからなる電気コネクタの嵌合部を保護するダストカバーであって、電気コネクタの嵌合部を覆う防塵部とその両端側にある係合部とからなると共に前記係合部には基板の係止部と同一位置に切欠部が配置される電気コネクタ用ダストカバーにおいて、ダストカバーの両側の前記係合部に前記絶縁体の突起部が引っかかる位置に凸部を設けたことを特徴とする電気コネクタ用ダストカバー、請求項2には、複数のコンタクトと、このコンタクトが保持・固定される本体部と基板を保持する突起部と基板が挿入される嵌入孔を有するガイド部とから構成される絶縁体とからなる電気コネクタの嵌合部を保護するダストカバーであって、電気コネクタの嵌合部を覆う防塵部とその両端側にある係合部とからなると共に前記係合部には基板の係止部と同一位置に切欠部が配置される電気コネクタ用ダストカバーにおいて、ダストカバーの両側の前記係合部に前記絶縁体の突起部が引っかかる位置に前記切欠部と同様の溝を設けたことを特徴とする電気コネクタ用ダストカバー、請求項3には、前記ダストカバーの係合部の厚さを基板の厚さより薄くした請求項1、2記載の電気コネクタ用ダストカバーが開示されている。
【特許文献3】特許文献3の特開平11−260464号の要約によると、キャップ、及び基板実装型コネクタの成形時の歪み又はそりを補償し、コネクタにがたを生じることなく係合しつつコンタクトの基板実装部に十分な共面性を提供できる電気コネクタ用キャップを提供することを目的とし、キャップ10は一対の細長い基板実装型コネクタを受容できる凹部23を含むカバー部20を有し、凹部23の長さ方向に沿って2箇所に対をなす係合爪25が設けられ、係合爪25に対応する凹部23の底面27から突出する突部80が設けられ、コネクタは突部80に制止されつつ、係止爪25によって抜け方向と逆方向に付勢されて係合保持されるキャップが開示されている。 ちなみに、特開平11−260464号の特許請求の範囲の請求項1には、細長のハウジングを有する基板実装型のコネクタの頂側に装着され、該コネクタに対して長さ方向の少なくとも2箇所で保持手段によって遊動的に係合保持される電気コネクタ用キャップにおいて、前記コネクタに係合されるときに前記ハウジングの長さ方向の2箇所に当接するよう前記コネクタに向けて突出する1対の突部を有し、前記保持手段は前記コネクタを係合保持するときに抜け方向と逆方向に付勢することを特徴とする電気コネクタ用キャップが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、キャップは、本体と、該本体の幅方向両側から一方方向に突出するとともに自由端側の先端に外側方向に突出する係合部を有する突出片とを備えている。
また、キャップが装着されるコネクタは、複数のコンタクトと、該コンタクトが保持・配列されるとともに少なくとも2つの側壁を有し、前記側壁によって相手コネクタが挿抜される嵌合口を形成するハウジングとを備えている。前記キャップは、前記ハウジングの側壁を、対向する係合部によって、挟み込むか、若しくは突っ張ることによって前記コネクタに係合させている。
さらに、前記キャップを前記コネクタに装着した状態で、前記コネクタを基板の実装するためのリフローが行われている。
一般的に、前記キャップは接続対象物と接続する際には不要であるため、前記コネクタを基板にリフロー実装した後は取り外すことになる。しかしながら、リフロー実装後に前記ハウジング等の絶縁体に熱による反りが発生した際に、前記キャップも同様に変形してしまい脱落や落下する恐れがあった。
特許文献1の構造では、幅方向全体の突起22でダストカバーの突起40と係合させているので、熱による反り等の影響は受け難いが、係合し難いし、挿抜力が高くなってしまうし、芯数によってダストカバーを別々に作成しなくてはならない。
特許文献2の構造では、長手方向両側にガイド部が存在するコネクタであり、ガイド部が存在すれば熱による反り等の影響は受け難いが、ガイド部がない場合には上記同様にリフロー実装後の熱による反りで脱落や落下に繋がる可能性があり、かつ、芯数によってダストカバーを別々に作成しなくてはならない。
特許文献3の構造では、リフロー実装後にハウジング等の絶縁体が熱による反りが発生した場合、上記同様に前記キャップの係合爪部分も変形し、脱落や落下に繋がる恐れがある。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、簡単な構造で、容易に挿抜がし易く、如何なる芯数にも対応でき、リフロー実装後も脱落や落下等のない構造のキャップ及び該キャップを用いたコネクタをを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本目的は、請求項1記載のキャップのように、コネクタの嵌合口に保持されるキャップであって、本体と、該本体の幅方向両側から一方方向に突出するとともに自由端側の先端に一方側に突出する係合部を有する突出片とを備えるキャップにおいて、前記突出片には、前記係合部が所定の間隔になるような少なくとも1個以上のスリットを設け、スリットにより分割された少なくとも2以上の前記突出片の係合部が位置をずらすように配置されることを特徴とするキャップにより達成できる。
【0007】
請求項2記載のキャップは、前記突出片の係合部を外側方向に突出するようにし、前記突出片には、前記係合部が所定の間隔になるような少なくとも1個以上のスリットを設け、スリットにより分割された少なくとも2以上の前記突出片の係合部が位置をずらすように配置されることを特徴とする請求項1記載のキャップにある。
また、請求項3記載のキャップは、リフロー後に、ハウジングの側壁が熱により変形しても、対向する少なくとも1対の係合部が前記ハウジングの側壁と係合することを特徴とする請求項1または2記載のキャップにある。
さらに、請求項4記載のキャップは、前記係合部を、0.5〜1.5mmずらすことを特徴とする請求項1または2、3記載のキャップにある。
さらにまた、請求項5記載のキャップは、前記係合部としては、凸部とすることを特徴とする請求項1、2または3、4記載のキャップにある。
【0008】
本目的は、請求項6記載のコネクタのように、複数のコンタクトと、該コンタクトが保持・配列されるとともに少なくとも2つの側壁を有し、前記側壁によって相手コネクタが挿抜される嵌合口を形成するハウジングとを備えるコネクタであって、前記嵌合口に、本体と、該本体の幅方向両側から一方方向に突出するとともに自由端側の先端に一方側に突出する係合部を有する突出片とを備えるキャップを装着した状態でリフローするコネクタ装置において、前記突出片には、前記係合部が所定の間隔になるような少なくとも1個以上のスリットを設け、スリットにより分割された少なくとも2以上の前記突出片の係合部が位置をずらすように配置され、前記係合部が前記ハウジングの側壁に係合した状態でリフローすることを特徴とするコネクタ装置により達成できる。
【0009】
請求項7記載のコネクタ装置は、前記突出片の係合部を外側方向に突出するようにし、前記突出片には、前記係合部が所定の間隔になるような少なくとも1個以上のスリットを設け、スリットにより分割された少なくとも2以上の前記突出片の係合部が位置をずらすように配置されることを特徴とする請求項6記載のコネクタ装置にある。
また、請求項8記載のコネクタ装置は、リフロー後に、ハウジングの側壁が熱により変形しても、対向する少なくとも1対の係合部が前記ハウジングの側壁と係合することを特徴とする請求項6または7記載のコネクタ装置にある。
さらに、請求項9記載のコネクタ装置は、前記係合部を、0.5〜1.5mmずらすことを特徴とする請求項6または7、8記載のコネクタ装置にある。
さらにまた、請求項10記載のコネクタ装置は、前記係合部としては、凸部とすることを特徴とする請求項6、7または8、9記載のコネクタ装置にある。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明のキャップ及び該キャップを用いたコネクタによると、次のような優れた効果が得られる。
(1)請求項1記載のキャップのように、コネクタの嵌合口に保持されるキャップであって、本体と、該本体の幅方向両側から一方方向に突出するとともに自由端側の先端に一方側に突出する係合部を有する突出片とを備えるキャップにおいて、前記突出片には、前記係合部が所定の間隔になるような少なくとも1個以上のスリットを設け、スリットにより分割された少なくとも2以上の前記突出片の係合部が位置をずらすように配置されることを特徴とするキャップにしているので、簡単な構造で、如何なる芯数にも対応でき、容易にキャップを挿抜でき、分割された少なくとも2以上の突出片の1個がリフロー実装後も係合しているため脱落や落下することがない。
(2)請求項2記載のキャップは、前記突出片の係合部を外側方向に突出するようにし、前記突出片には、前記係合部が所定の間隔になるような少なくとも1個以上のスリットを設け、スリットにより分割された少なくとも2以上の前記突出片の係合部が位置をずらすように配置されることを特徴とする請求項1記載のキャップにしているので、簡単な構造で、如何なる芯数にも対応でき、容易にキャップを挿抜でき、分割された少なくとも2以上の突出片の1個がリフロー実装後も係合しているため脱落や落下することがない。
(3)請求項3記載のキャップは、リフロー後に、ハウジングの側壁が熱により変形しても、対向する少なくとも1対の係合部が前記ハウジングの側壁と係合することを特徴とする請求項1または2記載のキャップにしているので、簡単な構造で、如何なる芯数にも対応でき、容易にキャップを挿抜でき、分割された少なくとも2以上の突出片の1個がリフロー実装後も係合しているため脱落や落下することがない。
(4)請求項4記載のキャップは、前記係合部を、0.5〜1.5mmずらすことを特徴とする請求項1または2、3記載のキャップにしているので、簡単な構造で、如何なる芯数にも対応でき、容易にキャップを挿抜でき、分割された少なくとも2以上の突出片の1個がリフロー実装後も係合しているため脱落や落下することがない。
(5)請求項5記載のキャップは、前記係合部としては、凸部とすることを特徴とする請求項1、2または3、4記載のキャップにしているので、簡単な構造で、如何なる芯数にも対応でき、容易にキャップを挿抜でき、分割された少なくとも2以上の突出片の1個がリフロー実装後も係合しているため脱落や落下することがない。
【0011】
(6)請求項6記載のコネクタのように、複数のコンタクトと、該コンタクトが保持・配列されるとともに少なくとも2つの側壁を有し、前記側壁によって相手コネクタが挿抜される嵌合口を形成するハウジングとを備えるコネクタであって、前記嵌合口に、本体と、該本体の幅方向両側から一方方向に突出するとともに自由端側の先端に一方側に突出する係合部を有する突出片とを備えるキャップを装着した状態でリフローするコネクタ装置において、前記突出片には、前記係合部が所定の間隔になるような少なくとも1個以上のスリットを設け、スリットにより分割された少なくとも2以上の前記突出片の係合部が位置をずらすように配置され、前記係合部が前記ハウジングの側壁に係合した状態でリフローすることを特徴とするコネクタ装置にしているので、簡単な構造で、如何なる芯数にも対応でき、容易にキャップを挿抜でき、分割された少なくとも2以上の突出片の1個がリフロー実装後も係合しているため脱落や落下することがない。
(7)請求項7記載のコネクタ装置は、前記突出片の係合部を外側方向に突出するようにし、前記突出片には、前記係合部が所定の間隔になるような少なくとも1個以上のスリットを設け、スリットにより分割された少なくとも2以上の前記突出片の係合部が位置をずらすように配置されることを特徴とする請求項6記載のコネクタ装置にしているので、簡単な構造で、如何なる芯数にも対応でき、容易にキャップを挿抜でき、分割された少なくとも2以上の突出片の1個がリフロー実装後も係合しているため脱落や落下することがない。
(8)請求項8記載のコネクタ装置は、リフロー後に、ハウジングの側壁が熱により変形しても、対向する少なくとも1対の係合部が前記ハウジングの側壁と係合することを特徴とする請求項6または7記載のコネクタ装置にしているので、簡単な構造で、如何なる芯数にも対応でき、容易にキャップを挿抜でき、分割された少なくとも2以上の突出片の1個がリフロー実装後も係合しているため脱落や落下することがない。
(9)請求項9記載のコネクタ装置は、前記係合部を、0.5〜1.5mmずらすことを特徴とする請求項6または7、8記載のコネクタ装置にしているので、簡単な構造で、如何なる芯数にも対応でき、容易にキャップを挿抜でき、分割された少なくとも2以上の突出片の1個がリフロー実装後も係合しているため脱落や落下することがない。
(10)請求項10記載のコネクタ装置は、前記係合部としては、凸部とすることを特徴とする請求項6、7または8、9記載のコネクタ装置にしているので、簡単な構造で、如何なる芯数にも対応でき、容易にキャップを挿抜でき、分割された少なくとも2以上の突出片の1個がリフロー実装後も係合しているため脱落や落下することがない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(A) 本発明のコネクタを嵌合口方向の上方よりみた斜視図である。(B) 本発明のキャップを嵌合方向よりみた斜視図である。(C) キャップが装着された状態のコネクタの斜視図である。(D) 本体を取り除いた状態のキャップが装着された状態のコネクタの斜視図である。
【図2】(A) 本体を取り除いた状態のキャップが装着され、かつ、リフロー前の状態のコネクタの嵌合口方向から斜視図である。(B) 本体を取り除いた状態のキャップが装着され、かつ、リフロー前の状態のコネクタの部分断面図である。(C) 本体を取り除いた状態のキャップが装着され、かつ、リフロー後の状態のコネクタの嵌合方向からみた斜視図である。(D) 本体を取り除いた状態のキャップが装着され、かつ、リフロー後の状態のコネクタの部分断面図である。
【図3】コンタクトの斜視図である。
【図4】(A) ハウジングを嵌合口方向からみた斜視図である。(B) ハウジングを嵌合口と反対方向からみた斜視図である。(C) ハウジングをある挿入孔部分で断面した断面図である。
【図5】(A) 図1とは別のキャップの斜視図である。(B) (A)とは別のキャップの斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の特徴は、請求項1記載のキャップ20のように、コネクタ10の嵌合口18に保持されるキャップ10であって、本体22と、該本体22の幅方向両側から一方方向に突出するとともに自由端側の先端に一方側に突出する係合部28を有する突出片24とを備えるキャップ20において、前記突出片24には、前記係合部28が所定の間隔になるような少なくとも1個以上のスリット26を設け、スリット26により分割された少なくとも2以上の前記突出片24の係合部28が位置をずらすように配置されることを特徴とするキャップである。ここでいう前記係合部28の位置をずらすとは、幅方向にずらすことでも、高さ方向にずらすことでも、幅方向及び高さ方向の両方にずらすことでもよい。
つまり、スリット26により分割された前記突出片24の少なくとも1つの係合部28がリフロー実装後でも前記ハウジング12に係合するようにしたものである。
【0014】
図に基づいて、本発明のキャップ及び該キャップを用いたコネクタ装置の一実施例を説明する。図1(A)は本発明のコネクタを嵌合口方向の上方よりみた斜視図であり、(B)は本発明のキャップを嵌合方向よりみた斜視図であり、(C)はキャップが装着された状態のコネクタの斜視図であり、(D)は本体を取り除いた状態のキャップが装着された状態のコネクタの斜視図である。図2(A)は本体を取り除いた状態のキャップが装着され、かつ、リフロー前の状態のコネクタの嵌合口方向から斜視図であり、(B)は本体を取り除いた状態のキャップが装着され、かつ、リフロー前の状態のコネクタの部分断面図であり、(C)は本体を取り除いた状態のキャップが装着され、かつ、リフロー後の状態のコネクタの嵌合方向からみた斜視図であり、(D)は本体を取り除いた状態のキャップが装着され、かつ、リフロー後の状態のコネクタの部分断面図である。図3はコンタクトの斜視図である。図4(A)はハウジングを嵌合口方向からみた斜視図であり、(B)はハウジングを嵌合口と反対方向からみた斜視図である。図5(A)は図1とは別のキャップの斜視図であり、(B)は(A)とは別のキャップの斜視図である。
本発明のコネクタ装置1は、コネクタ10とキャップ20を備え、前記コネクタ10は少なくともコンタクト14とハウジング12を有している。
【0015】
本実施例のコネクタ装置1を説明する前に、まず、接続対象物について説明する。前記接続対象物としては、相手コネクタ(ケーブルを結線したものや基板に実装されたもの)やカードなどを挙げることができる。本実施例では、相手コネクタに対応するコネクタ装置である。
【0016】
まず、本発明のポイントであるキャップ20について説明する。このキャップ20は電気絶縁性のプラスチックであり、公知技術の射出成形によって製作され、この材質としては寸法安定性や加工性や可撓性やコスト等を考慮して適宜選択するが、一般的にはポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリアミド(66PA、46PA)やポリカーボネート(PC)やこれらの合成材料を挙げることができる。
【0017】
前記キャップ20は、自動実装のためにリフロー時に吸着するためや嵌合口18への防塵を高める等に用いられるものである。前記キャップ20は、主に、本体22と該本体22の幅方向両側から一方方向に突出した突出片24を有している。前記本体22はリフロー時に吸着される部分であるため、略板状であり、前記突出片24の反対面は平坦になっている。前記本体22の大きさは、自動機によって吸着できれば如何なる大きさでもよいが、コネクタの大きさや芯数違いへの対応や加工性や強度等を考慮して適宜設計する。
【0018】
前記突出片24の自由端側の先端には、一方側に突出した係合部28が設けられている。本実施例では嵌合口18の内側に装着するため、前記係合部28は外側に突出している。つまり、前記嵌合口18の外側に装着する際には、前記係合部28は内側に突出することになる。前記突出片24と前記係合部28の形状・大きさは、前記ハウジング12の嵌合口18に係合でき、吸着した際に脱落等がなければ、如何なるものでもよいが、保持強度や加工性や芯数違いへの対応等を考慮して適宜設計する。前記係合部28の形状を、本実施例では台形にしているが、三角や四角などが考えられる。
【0019】
前記突出片24は、所定の間隔に分割されるように少なくとも1個以上のスリット26が設けられている。本実施例では前記スリット26を1つ設け、前記突出片24を2つに分割している。前記スリット26の個数は、芯数やコネクタの長さや保持力を考慮して決めている。前記スリット26の形状及び大きさは、前記突出片24の可撓性や強度や加工性や保持力等を考慮して適宜設計する。本実施例では、1.0mm幅にしている。
【0020】
分割された前記突出片24の係合部28は、位置がズレるように配置されている。前記係合部28の位置をズラすように配置することで、リフロー実装前後の前記ハウジング12の嵌合口18の変化(熱による反りや倒れ)に対応し、少なくとも1個の係合部28がリフロー前後で前記ハウジング12の側壁30に係合するようにしたものである。前記係合部28の位置をズラすやり方としては、図5(A)のように傾斜(テーパー)にするものや図5(C)のように段差にするものがある。リフロー実装前後の前記ハウジング12の嵌合口18の変化(熱による反りや倒れや膨れ)を考えると、分割された前記係合部28の位置は、0.5〜1.5mm程度にすることが望ましい。
上記のように位置をズラすことで、当初係合している係合部28がリフロー時に熱によって前記ハウジング12と同様に変化(変形)しても、当初係合していない他方の前記係合部28は変化(変形)しないために、他方の係合部28が図2のように係合することになる。
【0021】
以下で、本実施例のコネクタ10の部位について説明する。まず、コンタクト14について説明する。コンタクト14は金属製であり、公知技術のプレス加工によって製作されている。前記コンタクト14の材質としては、バネ性や導電性などが要求されるので、黄銅やベリリウム銅やリン青銅等を挙げることができる。本実施例では、前記ハウジング12の嵌合口18内に接触部20が突出するように2列に配置されている。
【0022】
前記コンタクト14は、図3のように、略L字形状をし、一方端側に前記接続対象物(相手コネクタ)に接触する接触部36と他方端側に基板に接続する接続部40と前記接触部36と前記接続部40との間に固定部38とを有している。
前記接触部36は、前記接続対象物(相手コネクタ)と接触し易いようにしている。前記接触部36の形状・大きさは、前記接続対象物と接触し、安定した接続が得られるように適宜設計している。
【0023】
前記接続部40は、基板に接続する部分であり、本実施例では図3のように表面実装タイプ(SMT)にしているが、ディップタイプでも良い。前記接続部40のタイプや大きさは、基板占有面積や加工性や強度や安定した接続等を考慮して適宜設計している。
【0024】
前記固定部38は、前記ハウジング12に保持される部分であり、圧入や引っ掛け(ランス)や溶着等で固定されている。本実施例では圧入によって固定されており、前記固定部38は前記接触部36と前記接続部40との間のほぼ中央付近に設けられている。前記固定部38の位置や大きさとしては、安定した接触や保持力等を考慮して適宜設計する。
【0025】
次に、ハウジング12について説明する。このハウジング12は電気絶縁性のプラスチックであり、公知技術の射出成形によって製作され、この材質としては寸法安定性や加工性やコスト等を考慮して適宜選択するが、一般的にはポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリアミド(66PA、46PA)や液晶ポリマー(LCP)やポリカーボネート(PC)やこれらの合成材料を挙げることができる。
【0026】
前記ハウジング12は、図4のように、略箱状をし、主に本体部32と該本体部32から突出した4つの側壁30を有している。前記ハウジング12の本体部32には、所要数のコンタクト14が装着される挿入孔34が設けられており、圧入や引っ掛け(ランス)や溶着等によって固定されている。前記挿入孔34の大きさや形状は、前記コンタクト14が保持できれば如何なるものでもよいが、保持力や安定した接続等を考慮して適宜設計している。
また、前記ハウジング12には、前記本体部32と4つの側壁30とで、前記接続対象物が入る大きさの嵌合口18が設けられている。前記嵌合口18の大きさ・形状は、前記接続対象物が入れば如何なるものでも良いが、安定した接続や小型化や加工性等を考慮して適宜設計している。
さらに、前記ハウジング12には、前記本体部32と一体に長手ピッチ方向両側にフランジ33が形成されている。前記フランジ33には、基板に実装する際の位置決め及び誤装着を防ぐために、位置や大きさや形状等が相違する位置決めボス35が設けられている。本実施例では、円形の大きさを変えている。
【0027】
幅方向両側の前記側壁30の内側に、前記キャップ20の係合部28が係合している。
【0028】
図2に基づいて、リフロー実装前後の係合状態について説明する。
図2(A)〜(C)は前記ハウジング12の嵌合口18の内側に係合させるものであり、図2(D)及び(E)は前記ハウジング12の幅方向両側の側壁30の外側に係合させるものである。
図2(A)は、前記突出片24のほぼ中央付近に、前記突出片24がほぼ同じ大きさになるように1つの前記スリット26を設けたものである。前記突出片24の先端の前記係合部28は外側方向に突出している。分割された一方の前記突出片24の係合部28(凸部)は3〜8度傾斜(テーパ)させることで、前記係合部28が0.5〜1.5mmずれるようになっている。
図2(B)は、前記突出片24のほぼ中央付近に、前記突出片24がほぼ同じ大きさになるように1つの前記スリット26を設けたものである。前記突出片24の先端の前記係合部28は外側方向に突出している。分割された一方の前記突出片24の係合部28(凸部)は高さを変えることで、前記係合部28の高さが0.5〜1.5mmずれるようになっている。
図2(C)は、前記突出片24のほぼ中央付近に、前記突出片24がほぼ同じ大きさになるように1つの前記スリット26を設けたものである。前記突出片24の先端の前記係合部28は外側方向に突出している。分割された一方の前記突出片24の係合部28(凸部)は前記本体部22との連結付近を略直角に折り曲げることで、前記係合部28が0.5〜1.5mmずれるようになっている。
図2(D)は、前記ハウジング12の幅方向両側の側壁30の外側に係合させるものである。前記突出片24のほぼ中央付近に、前記突出片24がほぼ同じ大きさになるように1つの前記スリット26を設けたものである。前記突出片24の先端の前記係合部28は内側方向に突出している。それぞれの前記突出片24の係合部28(凸部)は傾斜(テーパ)角度を変えることで、前記係合部28が0.5〜1.5mmずれるようになっている。
図2(E)は、前記ハウジング12の幅方向両側の側壁30の外側に係合させるものである。前記突出片24のほぼ中央付近に、略U字形状の前記スリット26を設け、外側の前記突出片24が略U字形状になる。つまり、前記係合28は高さ方向に上下に配置されることになる。前記突出片24の先端の前記係合部28は内側方向に突出している。内側の前記突出片24の係合部28(凸部)は傾斜(テーパ)角度を変えることで、前記係合部28が0.5〜1.5mmずれ、かつ、高さ方向でも0.5〜1.5mmずれるようになっている。
上記のように、前記スリット26は1つだけ設けたが、役割を満足すれば、複数設けてよい。ただし、コネクタの小型化を考慮して設計する。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の活用例としては、、シーケンサやインバータやカーナビゲーション等の電気機器や電子機器に使用されるコネクタ装置1に活用され、特に、リフロー後に絶縁体やキャップに反りが発生してもキャップが脱落・落下することのない構造(コメント:この表現で良いでしょうか。)に関するものである。
【符号の説明】
【0030】
1 コネクタ装置
10 コネクタ
12 ハウジング
14 コンタクト
18 嵌合口
20 キャップ
22 本体
24 突出片
26 スリット
28 係合部(凸部)
30 側壁
32 本体部
33 フランジ
34 挿入孔
35 位置決めボス
36 接触部
38 固定部
40 接続部
80 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタの嵌合口に保持されるキャップであって、
本体と、該本体の幅方向両側から一方方向に突出するとともに自由端側の先端に一方側に突出する係合部を有する突出片とを備えるキャップにおいて、
前記突出片には、前記係合部が所定の間隔になるような少なくとも1個以上のスリットを設け、
スリットにより分割された少なくとも2以上の前記突出片の係合部が位置をずらすように配置されることを特徴とするキャップ。
【請求項2】
前記突出片の係合部を外側方向に突出するようにし、
前記突出片には、前記係合部が所定の間隔になるような少なくとも1個以上のスリットを設け、
スリットにより分割された少なくとも2以上の前記突出片の係合部が位置をずらすように配置されることを特徴とする請求項1記載のキャップ。
【請求項3】
リフロー後に、ハウジングの側壁が熱により変形しても、対向する少なくとも1対の係合部が前記ハウジングの側壁と係合することを特徴とする請求項1または2記載のキャップ。
【請求項4】
前記係合部を、0.5〜1.5mmずらすことを特徴とする請求項1または2、3記載のキャップ。
【請求項5】
前記係合部としては、凸部とすることを特徴とする請求項1、2または3、4記載のキャップ。
【請求項6】
複数のコンタクトと、該コンタクトが保持・配列されるとともに少なくとも2つの側壁を有し、前記側壁によって相手コネクタが挿抜される嵌合口を形成するハウジングとを備えるコネクタであって、
前記嵌合口に、本体と、該本体の幅方向両側から一方方向に突出するとともに自由端側の先端に一方側に突出する係合部を有する突出片とを備えるキャップを装着した状態でリフローするコネクタ装置において、
前記突出片には、前記係合部が所定の間隔になるような少なくとも1個以上のスリットを設け、
スリットにより分割された少なくとも2以上の前記突出片の係合部が位置をずらすように配置され、
前記係合部が前記ハウジングの側壁に係合した状態でリフローすることを特徴とするコネクタ装置。
【請求項7】
前記突出片の係合部を外側方向に突出するようにし、
前記突出片には、前記係合部が所定の間隔になるような少なくとも1個以上のスリットを設け、
スリットにより分割された少なくとも2以上の前記突出片の係合部が位置をずらすように配置されることを特徴とする請求項6記載のコネクタ装置。
【請求項8】
リフロー後に、ハウジングの側壁が熱により変形しても、対向する少なくとも1対の係合部が前記ハウジングの側壁と係合することを特徴とする請求項6または7記載のコネクタ装置。
【請求項9】
前記係合部を、0.5〜1.5mmずらすことを特徴とする請求項6または7、8記載のコネクタ装置。
【請求項10】
前記係合部としては、凸部とすることを特徴とする請求項6、7または8、9記載のコネクタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−113842(P2011−113842A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269638(P2009−269638)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000208835)第一電子工業株式会社 (182)
【Fターム(参考)】