説明

キャップ型RF−ID及びそれを用いたRF−IDシステム

【課題】 容器を封口するのに用いられ、信頼性と汎用性の高い、キャップ型RF−IDと、それを用いたRF−IDシステムを提供すること。
【解決手段】 高分子材料製のキャップ11に、アンテナ12とICチップ13を内蔵させ、キャップ型RF−ID10を構成する。粉体や液体が充填された容器に、これを装着することで、容器の上の部分をリーダライタにかざすだけで、キャップ型RF−ID10に記録された、容器の内容物などの情報を瞬時に読み取ることができるので、物品の流通や管理に使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RF−ID機能を有する部品と、それを用いたRF−IDシステムに関わり、特にRF−ID機能が付与されたキャップと、それを用いて容器及び容器の内容物を管理するRF−IDシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
PETボトルに充填された飲料製品や、粉末や液体の薬剤などの製品が封入された容器の管理には、容器の側面や底面、あるいは容器を封口するキャップの側面や上面に、バーコードを印刷するか、バーコードを印刷したシールを貼り付け、バーコードスキャナで読み込んだ情報が用いられていた。
【0003】
バーコードを利用する場合には、容器の内容物の種類毎に、ID、コード番号、仕様、名称などを付与し、これらのデータに基づいてデータベースを作成する必要があり、種類毎の管理となり、個々の管理が難しいという課題がある。
【0004】
しかも、バーコードで記録できる情報の量には限界があり、特に容器のキャップのように、バーコードのために確保できる面積が狭い場合では、情報量の限界が、より大きな問題となる。そして、近年、これに対処するために、ICチップとアンテナを有するRF−IDが実用化されている。
【0005】
RF−IDを物品の管理に適用する例として、特許文献1には、非接触ICタグを取り付けた包装容器と、ICタグとリーダライタを利用して包装容器の内容物を管理する方法が開示されている。しかし、ここに開示されているのは、1回の操作で一定量の内容物を取り出すことができる包装容器を対象としたもので、用途が限定されている。
【0006】
また、特許文献2には、ICタグを有するキャップシールを容器に取り付け、物品の製造や流通を管理する技術が開示されている。しかし、ここに開示されているキャップシールは、アンテナが導電性インキによる印刷で形成され、基本的に使い捨てであり、構造的に信頼性が不十分であるという課題がある。
【0007】
【特許文献1】特開2002−362572号公報
【特許文献2】特開2004−18003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の課題は、前記の問題に鑑み、容器を封口するのに用いられ、信頼性と汎用性の高い、キャップ型RF−IDと、それを用いたRF−IDシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記の課題解決のため、RF−ID機能を有するアンテナとICチップをキャップ内部へ埋め込む構造と、キャップとのデータ通信が容易に行えるリーダライタの構造を検討した結果なされたものである。
【0010】
即ち、本発明は、液体や粉体を充填した容器に用いるキャップに、ICチップとアンテナを内蔵させたキャップ型RF−IDであり、ICチップとアンテナは、容器の開口部を閉塞する板状の部分である封口部に内蔵させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のキャップ型RF−IDは、高分子材料で構成することにより、汎用の射出成形で、ICチップとアンテナを内蔵した状態で、キャップを成形することが可能となるので、信頼性が向上する。
【0012】
また、容器のキャップは、通常容器の最上部に配置されるので、リーダライタを容器の上部にかざすことで、キャップ型RF−IDとの通信が瞬時に行える。従って、本発明においては、リーダライタの位置を、容器の高さに合わせて調整する機構を設け、コンベアなどで搬送される容器の上に設置することで、容器及び容器の内容物を管理するRF−IDシステムが得られる。
【0013】
また、現在RF−IDには、通信用電磁波として、125kHz、13.56MHz、900MHz〜10GHzの周波数帯域のものが使用されているので、本発明のRF−IDシステムにおいても、通信用電磁波として、これらの周波数帯域のいずれかを用いる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のキャップ型RF−IDを用いることにより、容器のキャップに保持できる情報量が格段に増加するので、容器毎に記録した製造履歴、流通履歴、使用履歴を始めとする情報に基づいて、個別管理が可能となる。
【0015】
また、バーコードなどと異なり、情報書き換え可能なことと、高分子材料で成形されたキャップにICチップとアンテナが内蔵されているので、リサイクル使用が可能であり、環境への負荷を軽減できる。しかも、ネジなどの封口機構を従来の容器に合わせて設計することは極めて容易なので、容器自体は従来のものがそのまま使用できる。
【0016】
また、容器の側面や底面にタグを取り付けると、内容物が水溶液のような大きな誘電率を有する場合では、誘電体損失による通信距離の低下などの支障が生じることがあるが、本発明のキャップ型RF−IDは、前述のように、容器の上部に装着して用いるので、内容物の影響を少なくすることができる。
【0017】
そして、通常容器の上部に装着され、ICチップとアンテナを内蔵する封口部が水平に保持されることから、リーダライタのアンテナとキャップ型RF−IDのアンテナが、ほぼ一定の方向で対向するので、安定した通信状態が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
図1は、本発明のキャップ型RF−IDの一例を示す図で、図1(a)は平面図、図1(b)はAA断面図である。図1において、10はキャップ型RF−ID、11はキャップ、12はアンテナ、13はICチップ、14は封口部である。封口部14は、容器の開口部を閉塞し、アンテナ12とICチップ13は、封口部14に内蔵される。
【0020】
キャップ11の内周側の下部には、雌ネジが形成されていて、容器の開口部を封口できる。キャップ11に、例えばポリプロピレンのような一般的な熱可塑性高分子材料を用い、予め金型の所要の位置に、アンテナ12とICチップ13を配置しておくことで、これらを内蔵したキャップ型RF−ID10を容易に作製できる。
【0021】
図2は、本発明のキャップ型RF−IDを用いたRF−IDシステムの一例を示す図である。図2において、21はリーダライタ、22はリーダライタ支持部材、23はコンベア、24は容器、25はコンピュータである。
【0022】
図2に示したRF−IDシステムは、コンベア上に並べられた容器24が、リーダライタ21の下を通過する際に、キャップ型RF−ID10に記録された情報を読み取り、その情報に基づいてコンピュータ25が、容器24の仕分けを行い、梱包を行うという、いわば搬送ロボットの一部として使用することができる。また、リーダライタの支持部材22によって、リーダライタ21を、図における上下方向の所要の位置に係止できるようにしておくことで、容器24の高さの変化に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のキャップ型RF−IDの一例を示す図。図1(a)は平面図。図1(b)はAA断面図。
【図2】本発明のキャップ型RF−IDを用いたRF−IDシステムの一例を示す図。
【符号の説明】
【0024】
10 キャップ型RF−ID
11 キャップ
12 アンテナ
13 ICチップ
14 封口部
21 リーダライタ
22 リーダライタ支持部材
23 コンベア
24 容器
25 コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子材料からなり、容器の開口部を閉塞する封口部にアンテナとICチップを内蔵することを特徴とするキャップ型RF−ID。
【請求項2】
前記容器の高さに合わせて位置が調節可能なリーダライタで、前記キャップ型RF−IDとの間で通信を行い、前記容器及び前記容器の内容物を管理することを特徴とするRF−IDシステム。
【請求項3】
前記通信に用いる電磁波の波長は、125kHz、13.56MHz、900MHz〜10GHzのいずれかであることを特徴とする、請求項2に記載のRF−IDシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−62716(P2006−62716A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−248260(P2004−248260)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【Fターム(参考)】