説明

キャリアテープ及びその組成物

本発明は、組成物の約65重量%〜約85重量%を構成するポリカーボネート;組成物の約1重量%〜約10重量%を構成するポリエステル;組成物の約1重量%〜約10重量%を構成するポリアルキルアクリレート;及び組成物の約10重量%〜約20重量%を構成するカーボンブラックを包含する組成物である。重量パーセントは、組成物の全重量に基づく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一般に、本発明は、中に構成要素を収容するために、テープの長手方向に間隔をあけて複数個のポケットを有する種類のキャリアテープに関する。より詳細には、本発明は、総体的なガス放出が低減され、衝撃耐性が高いキャリアテープの組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、構成要素を保持及び輸送するために使用されるキャリアテープは、周知である。例えば、電子回路アセンブリの分野において、電子的構成要素は、構成要素の供給所(supply)から、回路基板上にそれを付着するための特定の位置まで、運ばれることが多い。構成要素は、表面実装構成要素(surface mount components)を包含するいくつかの様々な種類であり得る。特定の例としては、メモリーチップ、集積回路チップ、抵抗器、コネクタ、プロセッサ、コンデンサ、ゲートアレイ等が挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
導電性キャリアテープを配合するために、メチルメタクリレートブタジエンスチレン(MBS)耐衝撃性改質ポリカーボネート処方を使用することが知られている。しかし、MBSを使用すると、放出されるガスの種が多く衝撃耐性が低い樹脂を導くことが多い。キャリアテープ処方からの総体的なガス放出が多い場合、すぐに残留物が成形ツール上に蓄積し、成形ツールを掃除するために、機材を停止しなければならない。プロセスが停止されなければならないと、実行時間が低下し、従って収率が低下する。キャリアテープからの総体的なガス放出濃度が高いことは、キャリアテープを形成するために使用される樹脂の熱安定性が低いことに、一部起因する。
【0004】
構成要素の輸送の間に、キャリアテープは、通常の磨耗と引き裂きを受ける。従って、衝撃耐性が低いキャリアテープは、破損又は他の損傷を招きやすい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、本発明は、組成物の約65重量%〜約85重量%を構成するポリカーボネート;組成物の約1重量%〜約10重量%を構成するポリエステル;組成物の約1重量%〜約10重量%を構成するポリアルキルアクリレート;及び組成物の約10重量%〜約20重量%を構成するカーボンブラック、を含む組成物であることを特徴とする。重量パーセントは組成物の全重量を基準とする。
【0006】
一実施形態では、本発明は、ポリカーボネート;ポリエステル;ポリアルキルアクリレート;及び組成物の約10重量%〜約20重量%を構成するカーボンブラック、を含む組成物であることを特徴とする。ASTM D256−00に従って試験したとき、組成物の衝撃耐性が少なくとも1フィートポンド/インチ(54.8J/m)を示す。
【0007】
さらに別の実施形態では、本発明は、キャリアテープの一面に配置される複数個の構成要素収容可能なポケットを有する層を包含するキャリアテープであることを特徴とする。層は、ポリカーボネート;ポリエステル;ポリアルキルアクリレート;及び組成物の約10重量%〜約20重量%を構成するカーボンブラックを含む組成物で形成される。
【0008】
さらに別の実施形態では、本発明は、組成物の約65重量%〜約85重量%を構成するポリカーボネート;組成物の約1重量%〜約10重量%を構成するポリエステル;組成物の約1重量%〜約10重量%を構成するポリアルキルアクリレート;及び組成物の約10重量%〜約20重量%を構成するカーボンブラック;を含むフィルムであることを特徴とする。重量パーセントは組成物の全重量を基準とする。
【0009】
上記の要約は、本発明の全ての実施が開示された各実施形態を記載することを意図しない。以下の図面及び「発明を実施するための最良の形態」は、実例となる実施形態をより具体的に例示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図は、カバーテープ12及び電気的構成要素16と共に使用する、本発明のキャリアテープ10の斜視図である。キャリアテープ10は、本発明の組成物に由来し、輸送中にキャリアテープ10とカバーテープ12との間に電気的構成要素16を保管するための複数個のポケット14を包含する。本発明の組成物から形成されたキャリアテープ10は、一部にはそのガス放出の種が低減されたことに起因して、製造が容易である。キャリアテープ10からのガス放出の種が低減されると、より強い材料を生じ、成形ツール上への残留物の蓄積が最小限になる。残留物の蓄積が最小限になると、ツールの掃除間のより長い実行時間と延長されたツールの耐用期間とを導く。またキャリアテープ10は、衝撃耐性が高く、キャリアテープ10を耐久性にし、電気的構成要素16の輸送に包含される通常の磨耗への対応を可能にする。
【0011】
キャリアテープを形成するために使用される樹脂の衝撃耐性を向上することにより、キャリアテープの取り扱い間のパンク及び破損への耐性が向上する。これらの特徴は、進歩した機構により、キャリアテープ10を、小さな電子的構成要素の保存及び送達のために特に有用にする。
【0012】
本発明の組成物は、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアルキルアクリレート、及びカーボンブラックを包含する。本発明のキャリアテープ10の組成物は、カバーテープ12との接着適合性が高く、キャリアテープ10とカバーテープ12との間のより有効な封止を導く。
【0013】
本明細書における全濃度は、特に明記しない限り、重量パーセントを表す。本発明の組成物における好適な構成要素の濃度は、本発明の組成物の全組成の重量を基準にして、ポリカーボネート約65%〜約85%、ポリエステル約1%〜約10%、ポリアルキルアクリレート約1%〜約10%、及びカーボンブラック約10%〜約20%の範囲である。本発明の組成物における特に好適な構成要素の濃度は、本発明の組成物の全組成の重量を基準にして、ポリカーボネート約70%〜約80%、ポリエステル約3%〜約7%、ポリアルキルアクリレート約1%〜約8%、及びカーボンブラック約13%〜約18%の範囲である。当業者は、製造された物品の同等の物理的特性を得るために好適な構成要素濃度範囲を認識するであろう。
【0014】
本発明において好適なポリカーボネートの例としては、ジフェニロールプロパン又はビスフェノール−Aから調製されるポリカーボネートのような高分子量芳香族ポリカーボネート樹脂が挙げられる。好適な市販のポリカーボネートの例としては、ゼネラル・エレクトリック(General Electric)(コネチカット州フェアフィールド(Fairfield))からの商品名称レキサン(LEXAN)、及びバイエル・マテリアル・サイエンス(Bayer Material Science)(イリノイ州コロンビア(Columbia))からの商品名称マクロロン(MAKROLON)のようなポリカーボネートが挙げられる。
【0015】
好適なポリエステルの例としては、ポリ(ブチレンテレフタレート)が挙げられる。好適な市販のポリエステルの例としては、BASF社(BASF Corporation)(ニュージャージー州フローハムパーク(Florham Park))からの商品名称ウルトラデュー(ULTRADUR)、及びデュポン(DuPont)(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington))からの商品名称クラスチン(CRASTIN)のようなポリエステルが挙げられる。
【0016】
本発明において好適なポリアルキルアクリレートの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、2−エチルヘキシルのアルキル基を有するアルキルアクリレート、これらのコポリマー、及びこれらの組み合わせが挙げられる。特に好適なアルキル基の例としては、メチル、n−ブチル、及び2−エチルヘキシルが挙げられる。本明細書において定義するとき、用語「アルキルアクリレート」は、メタクリレートも包含する。好適なポリアルキルアクリレートコポリマーの例としては、ポリ(エチレンメチルアクリレート)が挙げられる。好適な市販のポリ(エチレンメチルアクリレート)としては、イーストマン・ケミカル社(Eastman Chemical Co.)(テネシー州キングスポート(Kingsport))からの商品名称EMAC、及びデュポン(DuPont)(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington))からの商品名称エルバロイ(ELVALOY)等のコポリマーが挙げられる。
【0017】
好適なカーボンブラックの例は、コロンビアン・ケミカルズ社(Columbian Chemicals Company)(ジョージア州マリエッタ(Marietta))から商品名称コンダクテックス(CONDUCTEX)として、及びカボット社(Cabot Corporation)(マサチューセッツ州ボストン(Boston))から商品名称ブルカン(VULCAN)として、市販されている。カーボンブラックは、キャリアテープ10が工業規格ANSI/ESD S541−2003で規定する導電性又は静電気拡散性のどちらの範囲の表面固有抵抗をも得るために添加される。
【0018】
また、本発明の組成物は、さらなる物質を、個々の必要性が要求する可能性があるような様々な濃度で包含してもよい。例えば、本発明の組成物は、さらに顔料、着色剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、加工助剤、繊維ガラス、鉱物充填剤、抗スリップ剤、可塑剤、難燃剤、補強剤、及びこれらの組み合わせを包含してもよい。好適な酸化防止剤の例としては、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)(ニューヨーク州タリタウン(Tarrytown)から商品名称イルガノックス(IRGANOX)として市販されている酸化防止剤が挙げられる。
【0019】
ガス放出は、材料を加熱すること又は材料に低圧をかけることを通して引き起こされる、材料に閉じ込められたガスの解放を包含する。材料が加熱されると、材料を形成する構成要素のいくつかは、構成要素の温度不安定性に起因して揮発する。ガス放出は、材料の不可欠な構成要素の損失、材料内での気泡の形成、あるいは材料の製造間に機材上において揮発した構成要素の縮合を導き得る。
【0020】
本発明の組成物は、組成物内の揮発性構成要素が低量であることに起因して、ガス放出が低レベルである。揮発性構成要素は、熱安定性が低い材料であるので、加熱されるとき、総体的な組成物から材料が揮発する原因になっている。組成物に使用される添加剤を変えると、ガス放出のレベルを制御することもできる。
【0021】
本発明の組成物の全ガス放出濃度は、組成物を加熱し、ヘッドスペースガスの濃度を測定することにより、測定されてもよい。組成物のガス放出濃度を測定するための好適な技術の例は、ガスクロマトグラフィーオーブンに組成物の試料を置くことを包含する。その後、オーブンを、初期温度(例えば、約40℃)から最終温度(例えば、約200℃)まで、好適なランプ率(例えば、約30℃/分)で傾斜させてもよい。その後、試料を200℃で約60分保持してもよい。加熱期間後、試料を室温(すなわち25℃)に冷却し、その後、約120℃で約60分再加熱してもよい。揮発した構成要素の濃度を測定するための好適な系の例としては、ヒューレット・パッカード社(Hewlett Packard Company)(カリフォルニア州パロアルト(Palo Alto))から市販されている、水素炎イオン化検出器(GC−FID)を有するヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)6890ガスクロマトグラフが挙げられ、これは、ヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)7694ヘッドスペースサンプラー、及び長さ15メートル、内径0.53ミリメートル、フィルム厚さ1.50マイクロメートルを有するJ&W DB−5カラムを包含する。
【0022】
組成物の好適な全ガス放出濃度の例としては、上記のクロマトグラフィー方法に従って、ヘッドスペースガス注入容量1.0mLを使用して測定されるとき、重量濃度約150パート・パー・ミリオン(ppm)未満が挙げられる。キャリアテープ10からのガス放出が低減されると、キャリアテープ10を形成するために使用される成形ツール上に堆積する残留物の量が低減することにより、製造有効性が増加する。残留物は、成形プロセス間に、キャリアテープ10に移動する可能性があり、キャリアテープのユーザーにとって、質の悪化が起こる。さらに、ガス放出が低減されると、キャリアテープ10の強度の減少も防止されるが、この強度の減少は、さもなくばキャリアテープ10の組成物の構成要素が揮発するとき、起こる可能性がある。
【0023】
また本発明の組成物は、高い衝撃耐性を備える。組成物の高い衝撃耐性の例は、ASTM D256−00に開示されたノッチ付アイゾット衝撃試験に従ってテストするとき、少なくとも1フィートポンド/インチ(54.8J/m)である。衝撃耐性が高いキャリアテープは、構成要素16をそれらの目的地へ運搬するとき、より耐久性があり、酷使に耐えることができる。キャリアテープ10が位置から位置へと移動するときに、キャリアテープ10が壊れて、キャリアテープ10中の構成要素16が損傷するという可能性が減少する。
【0024】
本発明の組成物は、押出成形機を使用して、ブレンドされ及び組み合わされてもよい。好適な押出成形機の例としては、ベルストルフ(Berstorff)(ケンタッキー州フローレンス(Florence))から市販されている、商品名称ベルストルフ(BERSTORFF)40MM ZE40−A共回転(co-rotating)噛合(intermeshing)二軸押し出し機が挙げられる。ポリマー樹脂内にカーボンブラックを実質的に分散するために、押出成形機は、スクリュー構成を備えていることが望ましい。押出成形機の好適な溶解温度としては、約320℃が挙げられる。重量供給装置(weight feeders)の較正損失(Calibrated loss)は、組成物の構成要素を適切な比で供給するのに使用されてもよい。型から出た熱いストランドは、その後、水で急冷され、ペレット化される(palletized)。得られた本発明の組成物のペレットは、典型的に長さ約3.5ミリメートル及び直径約3.0ミリメートルである。
【0025】
キャリアテープ10を形成するために、ペレットを単一スクリュー押出成形機に供給してもよい。好適な押出成形機の例としては、長さ/直径比30:1を有するデービス・スタンダード(Davis Standard)直径6.4センチメートル(2.5インチ)単一スクリュー押出成形機が挙げられる。上昇温度プロフィールを、押出成形機ダイ領域(extruder die zones)で使用してもよく、これは、最終温度約232℃に達する。溶融ポリマーは、加熱されたネック管(neck tube)を通って、公称ギャップ1.78ミリメートル(0.070インチ)にシムを入れた幅25.4cm(10インチ)のフィルムダイブロックに入ってもよい。押出成形機ダイブロックから現れるウェブ溶解物は、アルミニウム成形ツールで形成されたニップ及びシリコーンゴム被覆ニップロールへと落下キャスト(drop cast)されてもよい。シリコーンゴムは、ショアA硬度約75を有することが望ましい。ツールロール温度は、約38℃に維持されてもよく、一方ニップロール温度は、約21℃に維持されてもよい。ニップを出た後、ウェブは、材料のガラス転移温度未満の温度(およそ100℃)に達するまで冷却された成形ツールとの接触により、及び同様に外部圧縮空気冷却により、冷却されるので、ツールの曲面の周辺に留まっている。その後、ウェブをツールから取り除き、ロール状態に巻いてもよい。
【0026】
本発明の代わりの実施形態では、組成物のペレットは、押し出されて、電気的構成要素16を保管するためのポケット14を含有しない本発明のフィルムを形成してもよい。本発明のフィルムは、押し出されたウェブを落下キャスト(drop casting)することなく、キャリアテープ10について上記したのと同じ手段で押し出されてもよい。また、本発明のフィルムは、低レベルのガス放出及び良好な衝撃耐性を示し、標準熱成形方法を使用するキャリアテープの製造を包含する、様々な工業目的及び商業目的のために使用されてもよい。
【0027】
上記の実例となる実施形態は、電子的構成要素と共に使用するためのキャリアテープ(例えば、キャリアテープ10)を指すが、構成要素キャリアは、いかなる種類の材料又は物質と共に使用するのに適している可能性があることが、理解される。例えば、構成要素キャリアの特徴及び材料は、液体試料物質と共に使用するのに適している可能性がある。
【実施例】
【0028】
本発明は、本発明の範囲内における様々な修正又は変更は、当業者には明らかであるので、例示のみを目的とする次の実施例により詳細に記載される。別に言及されない限り、次の実施例で報告される全ての部、百分率、及び比は、重量基準であり、実施例で使用される全ての試薬は、下記の化学薬品供給元から得られた又は入手できる、あるいは従来の技術により合成されてもよい。
【0029】
次の組成略語が、次の実施例で使用される:


【0030】
実施例1−3及び比較例A−I
本発明の実施例1−3及び比較例A−Iの各組成物を、組成物がブレンドするまで、構成要素を混合することにより調製した。実施例1−3の構成要素濃度を、表1に提供し、比較例A−Iの構成要素濃度を、表2及び3に提供する。
【0031】

【0032】


【0033】

【0034】
実施例1−3及び比較例A−Iの各組成物を、二軸押し出し機を使用して、溶解温度320℃にて調合した。二軸押し出し機は、ベルストルフ(Berstorff)(ケンタッキー州フローレンス(Florence))から市販されている、商品名称ベルストルフ(BERSTORFF)40MM ZE40−A共回転(co-rotating)噛合(intermeshing)二軸押し出し機であり、これは、カーボンブラック分散物の分散のために設計されたスクリュー構成を備えていた。適切な比において構成要素を供給するために、重量供給装置における較正損失を使用した。ダイから出た熱いストランドを、水で急冷した後、長さ約3.5ミリメートル及び直径約3.0ミリメートルにペレット化した。
【0035】
実施例2及び比較例A−Eのガス放出試験
実施例2及び比較例A−Eの組成物のペレットについて、組成物の熱安定性を決定するために、次の手順により、ガス放出を定量的に測定した。各組成物のペレットを、風袋を削除した(tarred)ヘッドスペースバイアル瓶に入れ、密封した。その後、各バイアル瓶をガスクロマトグラフィーオーブン内に置いた。ガスクロマトグラフィーオーブンを、初期温度40℃から最終温度200℃まで、ランプ率30℃/分で傾斜させた。その後、試料を200℃で60分間保持した。60分後、試料を25℃に冷却し、その後、2回目の60分間、120℃で再加熱した。その後、定量的ヘッドスペース分析のために必要なパラメーターを特徴づけるために、複数のヘッドスペース抽出を実行した。
【0036】
揮発した構成要素の濃度は、ヒューレット・パッカード社(Hewlett Packard Company)(カリフォルニア州パロアルト(Palo Alto))から市販されている、水素炎イオン化検出器(GC−FID)を有するヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)6890ガスクロマトグラフにより得られた。GC−FIDは、ヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)7694ヘッドスペースサンプラーを包含し、これは、長さ15メートル、内径0.53ミリメートル、及びフィルム厚さ1.50マイクロメートルを有するJ&W DB−5カラム上にヘッドスペースガス1.0mLを注入した。表4は、実施例2及び比較例A−Eの組成物における、個々の揮発した構成要素のパート・パー・ミリオンでの濃度、及び個々の揮発した構成要素の濃度の合計である揮発した構成要素の全濃度を提供する。
【0037】

【0038】
表4に提供されるデータは、本発明の組成物から形成された物品により示された、ガス放出のレベルの低減を説明する。特に、実施例2の組成物は、全ガス放出濃度128.0ppmを有した。このように、実施例2の組成物は、加熱環境にさらされるとき、熱的に安定であり、その強度を維持する。低いガス放出濃度は、本発明の組成物から形成される物品を製造するために使用される成形ツール上へ堆積する残留物の量に相当する。ツールは、掃除の必要性の頻度が少ないので、キャリアテープの製造効率及び収率が増加する。
【0039】
また、ガス放出濃度は、配合中に存在するMBSの量にも影響を受ける。例えば、実施例2の組成物(MBSなし)と比較例A(4.5%MBS BTA)とを比較するとき、全ガス放出濃度は3.5倍を超えて低下する。
【0040】
実施例1−3及び比較例F−Iの衝撃耐性試験
実施例1−3及び比較例F−Iの組成物について、衝撃耐性を定量的に測定した。各組成物のペレットを射出成型し、ASTM256−00に従って衝撃耐性を試験した。表5に、実施例1−3及び比較例F−Iの組成物の衝撃耐性を提供する。
【0041】

【0042】
表5に提供されるデータは、本発明の組成物から形成された物品により示される良好な衝撃耐性を例証している。特に、実施例3の組成物で形成された物品は、衝撃耐性498.4ジュール/メートル(J/m)を示した。実施例3(6%EMA)と比較例G(EMAなし)とを比較すると、ノッチ付アイゾット衝撃は8倍を超えて増加した。本発明の組成物における高い衝撃耐性は、得られるキャリアテープ(例えば、キャリアテープ10)の耐久性を向上し、キャリアテープ内の輸送される構成要素の保護を向上する。
【0043】
ガス放出の低減と高い衝撃耐性との組み合わせは、本発明の組成物で形成されたキャリアテープ及びフィルムが、高い熱安定性及び高い耐久性を有することを示す。ガス放出の低減は、より良い製造効率及び強度保持を提供し、一方、高い衝撃耐性は、キャリアテープをより損傷耐性にする。
【0044】
好ましい実施形態に関連して本発明を説明してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の変更を行ってもよいことを、当業者は理解するであろう。
上で特定した図面は、本発明の実施形態を表しているが、議論するように、他の実施形態も考慮される。すべての場合において、この開示は、代表例によって本発明を表しており、限定ではない。本発明の範囲及び主要な精神に入る多数の他の変更及び実施形態は、当業者によって考案され得ることを理解されたい。図面は縮尺通りに描かれていない可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の組成物に由来するキャリアテープの斜視図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物の全重量を基準として、
組成物の約65重量%〜約85重量%を構成するポリカーボネート;
組成物の約1重量%〜約10重量%を構成するポリエステル;
組成物の約1重量%〜約10重量%を構成するポリアルキルアクリレート;及び
組成物の約10重量%〜約20重量%を構成するカーボンブラック、を含む組成物。
【請求項2】
ポリカーボネートが、組成物の全重量を基準として組成物の約70重量%〜約80重量%を構成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ポリエステルが、組成物の全重量を基準として組成物の約3重量%〜約7重量%を構成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
ポリエステルがポリ(ブチレンテレフタレート)を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
ポリアルキルアクリレートが、組成物の全重量を基準として組成物の約1重量%〜約8重量%を構成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
ポリアルキルアクリレートがポリ(エチレンメチルアクリレート)を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
カーボンブラックが、組成物の全重量を基準として組成物の約13重量%〜約18重量%を構成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
ASTM D256−00に従って試験したとき、組成物の衝撃耐性が少なくとも1フィートポンド/インチ(54.8J/m)を示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
ポリカーボネート;
ポリエステル;
ポリアルキルアクリレート;及び
組成物の全重量を基準として組成物の約10重量%〜約20重量%を構成するカーボンブラック、を含み、ASTM D256−00に従って試験したとき、衝撃耐性が少なくとも1フィートポンド/インチ(54.8J/m)を示す組成物。
【請求項10】
ポリカーボネートが、組成物の全重量を基準として組成物の約65重量%〜約85重量%を構成する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
ポリエステルが、組成物の全重量を基準として組成物の約1重量%〜約10重量%を構成する、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
ポリエステルがポリ(ブチレンテレフタレート)を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
ポリアルキルアクリレートが、組成物の全重量を基準として組成物の約1重量%〜約10重量%を構成する、請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
ポリアルキルアクリレートがポリ(エチレンメチルアクリレート)を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項15】
カーボンブラックが、組成物の全重量を基準として組成物の約13重量%〜約18重量%を構成する、請求項9に記載の組成物。
【請求項16】
ポリカーボネート;
ポリエステル;
ポリアルキルアクリレート;及び
組成物の全重量を基準として組成物の約10重量%〜約20重量%を構成するカーボンブラックを含む組成物で形成され、その一面に配置される複数個の構成要素収容可能なポケットを有する層を含むキャリアテープ。
【請求項17】
ポリカーボネートが、組成物の全重量を基準として組成物の約70重量%〜約80重量%を構成する、請求項16に記載のキャリアテープ。
【請求項18】
ポリエステルが、組成物の全重量を基準として組成物の約1重量%〜約10重量%を構成する、請求項14に記載のキャリアテープ。
【請求項19】
ポリエステルがポリ(ブチレンテレフタレート)を含む、請求項16に記載のキャリアテープ。
【請求項20】
ポリアルキルアクリレートが、組成物の全重量を基準として組成物の約1重量%〜約10重量%を構成する、請求項16に記載のキャリアテープ。
【請求項21】
ポリアルキルアクリレートがポリ(エチレンメチルアクリレート)を含む、請求項16に記載のキャリアテープ。
【請求項22】
カーボンブラックが、組成物の全重量を基準として組成物の約13重量%〜約18重量%を構成する、請求項16に記載のキャリアテープ。
【請求項23】
ASTM D256−00に従って試験したとき、層の衝撃耐性が少なくとも1フィートポンド/インチ(54.8J/m)を示す、請求項16に記載のキャリアテープ。
【請求項24】
組成物の全重量を基準として、
組成物の約65重量%〜約85重量%を構成するポリカーボネート;
組成物の約1重量%〜約10重量%を構成するポリエステル;
組成物の約1重量%〜約10重量%を構成するポリアルキルアクリレート;及び
組成物の約10重量%〜約20重量%を構成するカーボンブラック、を含むフィルム。
【請求項25】
ポリエステルがポリ(ブチレンテレフタレート)を含み、ポリアルキルアクリレートがポリ(エチレンメチルアクリレート)を含む、請求項24に記載のフィルム。

【図1】
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【公表番号】特表2008−544069(P2008−544069A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518303(P2008−518303)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/023926
【国際公開番号】WO2007/002049
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】