説明

キャリアテープ及びその製造方法

【課題】適度な湿気を含んだ外気が空気孔を解して収容部の内部に流入することで静電気が滞留し難くなり電子部品の実装性の低下を防止できるキャリアテープの提供、及び、真空成形により収容部を精度良く形成しながら簡単に空気孔を形成することができるキャリアテープの製造方法の提供、並びに、簡単に凹状の収容部を形成しながら簡単に空気孔を形成することができるキャリアテープの製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】本発明のキャリアテープ1は、電子部品3を収容する複数の凹状の収容部2が配列形成されたキャリアテープ1であって、収容部2の底部に形成された1乃至複数の空気孔6を備えた構成を有する。本発明のキャリアテープの製造方法は、加熱工程と収容部形成工程と空気孔形成工程とを備えた構成を有する。本発明のキャリアテープの製造方法は、貫通孔形成工程と貼着工程と空気孔形成工程とを備えた構成を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電子部品を収容するキャリアテープ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機等の携帯型の電子機器が多数開発されるに伴い、それに搭載されるICチップ等の半導体装置或いはその他の面実装部品等の電子部品は小型化及び軽量化が求められている。このような小型軽量の電子部品は、実装前においては、通常、キャリアテープに配列して収容され、このキャリアテープがリールに巻着された状態で工場等に搬送され、基板へ実装時にキャリアテープから取り出される。このキャリアテープとしては例えば(特許文献1)に記載されたものがある。
【0003】
以下、(特許文献1)に記載された従来のキャリアテープについて図10を用いて説明する。
【0004】
図10は従来のキャリアテープのトップカバーテープ側の要部斜視図である。
【0005】
図10において、100は従来のキャリアテープであり、テープ状基材101とボトムカバーテープ102により構成されている。103は収容部、104は電子部品、105はトップカバーテープ、106はキャリアテープ100を長手方向に連続して移送するための送り孔である。
【0006】
テープ状基材101には貫通孔101aが略等間隔で形成されている。テープ状基材101の下面にはこのテープ状基材101に対向する面に熱融着層が設けられたボトムカバーテープ102が貼着され貫通孔101aの下部側を塞いでいる。これにより、貫通孔101aに凹状の収容部103が形成され、収容部103の内部には電子部品104が収容されている。テープ状基材101の上面にはトップカバーテープ105が着脱自在に貼着されている。
【0007】
以上のように構成されたキャリアテープ100は、収容部103の内部に電子部品104を収容した後、トップカバーテープ105により収容部103の開口部を塞ぐことで電子部品104を包装し、リール等に巻着された状態で電子機器の製造メーカ等に配送され、電子機器の製造メーカにおいてトップカバーテープ105をキャリアテープ100から剥がして電子部品104を露出させた後、自動実装機等のピックアップで吸着して基板等に実装している。
【特許文献1】特開2002−68289号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら上記従来の技術では、以下のような課題を有していた。
【0009】
(1)電子部品104が収容部103に収容されて搬送される際に発生する振動等により、電子部品104は収容部103の内部で自由に移動するため、電子部品104と収容部103の内壁との間の摩擦により僅かではあるが静電気が発生し、小型及び軽量の電子部品104はキャリアテープ100側に引き寄せられ、自動実装機等でピックアップする際に吸着できず実装不良が生じるという課題を有していた。
【0010】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、適度な湿気を含んだ外気が空気孔を介して収容部の内部に流入し電子部品の表面や収容部の内壁に触れることで静電気が滞留し難くなり、電子部品の実装性の低下を防止できるキャリアテープを提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は上記従来の課題を解決するもので、真空成形により収容部を精度良く形成しながら打ち抜きにより簡単に空気孔を形成することができるキャリアテープの製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は上記従来の課題を解決するもので、テープ状基材の貫通孔の一方の開口部をボトムカバーテープで塞ぐことで簡単に凹状の収容部を形成しながら打ち抜きにより簡単に空気孔を形成することができるキャリアテープの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明のキャリアテープは、電子部品を収容する複数の凹状の収容部が配列形成されたキャリアテープであって、収容部の底部に形成された1乃至複数の空気孔を備えた構成を有する。
【0014】
これにより、適度な湿気を含んだ外気が空気孔を介して収容部の内部に流入し電子部品の表面や収容部の内壁に触れることで静電気が滞留し難くなり、電子部品の実装性の低下を防止できるキャリアテープを提供することができる。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明のキャリアテープの製造方法は、テープ状基材を加熱する加熱工程と、テープ状基材を雌型上に載置し雌型の底部から真空吸引して凹状の収容部を形成する収容部形成工程と、収容部の底部を打ち抜いて1乃至複数の空気孔を形成する空気孔形成工程と、を備えた構成を有する。
【0016】
これにより、真空成形により収容部を精度良く形成しながら打ち抜きにより簡単に空気孔を形成することができるキャリアテープの製造方法を提供することができる。
【0017】
上記課題を解決するために、本発明のキャリアテープの製造方法は、テープ状基材の所定部を打ち抜いて貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、テープ状基材の一方の面に圧着、熱圧着、又は接着等によりボトムカバーテープを貼着する貼着工程と、ボトムカバーテープの貫通孔に対応した部分を打ち抜いて1乃至複数の空気孔を形成する空気孔形成工程と、を備えた構成を有する。
【0018】
これにより、テープ状基材の貫通孔の一方の開口部をボトムカバーテープで塞ぐことで簡単に凹状の収容部を形成しながら打ち抜きにより簡単に空気孔を形成することができるキャリアテープの製造方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明のキャリアテープ及びその製造方法によれば、以下のような有利な効果が得られる。
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、収容部の底部に形成された1乃至複数の空気孔を備えているので、適度な湿気を含んだ外気が空気孔を介して収容部の内部に流入し電子部品の表面や収容部の内壁に触れることで静電気が滞留し難くなり、電子部品の実装性の低下を防止できる実装性に優れたキャリアテープを提供することができる。
【0021】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、収容部がその側部から外側に向けて膨出形成された1乃至複数の膨出部を有し、空気孔が膨出部の底部に形成されているので、電子部品により空気孔が塞がれることを防止し外気が円滑に収容部に流入して確実に静電気の滞留を防止できるキャリアテープを提供することができる。
【0022】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、収容部がその側部に内側に向けて凹んだ1乃至複数の凹み部を有し、空気孔が凹み部が形成された側部の近傍に形成されているので、電子部品により空気孔が塞がれることを防止し外気が円滑に収容部に流入して確実に静電気の滞留を防止できるキャリアテープを提供することができる。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、テープ状基材を加熱する加熱工程と、テープ状基材を雌型上に載置し雌型の底部から真空吸引して凹状の収容部を形成する収容部形成工程と、収容部の底部を打ち抜いて1乃至複数の空気孔を形成する空気孔形成工程と、を備えているので、真空成形により収容部を精度良く形成しながら打ち抜きにより簡単に空気孔を形成することができる生産性に優れたキャリアテープの製造方法を提供することができる。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、テープ状基材の所定部を打ち抜いて貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、テープ状基材の一方の面に圧着、熱圧着、又は接着等によりボトムカバーテープを貼着する貼着工程と、ボトムカバーテープの貫通孔に対応した部分を打ち抜いて1乃至複数の空気孔を形成する空気孔形成工程と、を備えているので、テープ状基材の貫通孔の一方の開口部をボトムカバーテープで塞ぐことで簡単に凹状の収容部を形成しながら打ち抜きにより簡単に空気孔を形成することができる生産性に優れたキャリアテープの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明は、適度な湿気を含んだ外気が空気孔を介して収容部の内部に流入し電子部品の表面や収容部の内壁に触れることで静電気が滞留し難くなり、電子部品の実装性の低下を防止できるキャリアテープを提供するという目的を、収容部の底部に形成された1乃至複数の空気孔を備えることにより実現した。
【0026】
また、本発明は、真空成形により収容部を精度良く形成しながら空気孔を簡単に形成することができるキャリアテープの製造方法を提供するという目的を、テープ状基材を加熱する加熱工程と、テープ状基材を雌型上に載置し前記雌型の底部から真空吸引して凹状の収容部を形成する収容部形成工程と、収容部の底部を打ち抜いて1乃至複数の空気孔を形成する空気孔形成工程と、を備えることにより実現した。
【0027】
また、本発明は、テープ状基材の貫通孔の一方の開口部をボトムカバーテープで塞ぐことで簡単に凹状の収容部を形成しながら簡単に空気孔を形成することができるキャリアテープの製造方法を提供するという目的を、テープ状基材の所定部を打ち抜いて複数の貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、テープ状基材の一方の面に圧着、熱圧着、又は接着等によりボトムカバーテープを貼着する貼着工程と、ボトムカバーテープの貫通孔に対応した部分を打ち抜いて1乃至複数の空気孔を形成する空気孔形成工程と、を備えることにより実現した。
【0028】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、電子部品を収容する複数の凹状の収容部が配列形成されたキャリアテープであって、収容部の底部に形成された1乃至複数の空気孔を備えた構成を有している。
【0029】
この構成により、以下の作用を有する。
【0030】
(1)適度な湿気を含んだ外気が空気孔を介して収容部の内部に流入し電子部品の表面や収容部の内壁に触れることで静電気が滞留し難くなり、電子部品の実装性の低下を防止できる。
【0031】
ここで、キャリアテープの材質としては、ポリスチレンやポリプロピレン等の合成樹脂材や紙材等が用いられる。キャリアテープが合成樹脂製である場合、収容部はキャリアテープの所定部を真空成形や絞り成形、金型成形等により凹状に加工して形成することができる。なお、金型成形の場合は収容部と空気孔を同時に形成できる金型を用いることにより工数を低減できコストの低減を図ることができる。また、ポリプロピレンを用いた場合は常温で収容部の成形が可能となり加熱工程が不要となる。キャリアテープが合成樹脂製又は紙製である場合は、収容部はキャリアテープの所定部を打ち抜いて貫通孔を形成した後、キャリアテープの一方の面にボトムカバーテープを貼着して貫通孔を一方の開口部を塞ぐことで形成することができる。
【0032】
空気孔の形状としては、円形、楕円形、多角形、星形等の種々の形状が用いられる。
【0033】
上記課題を解決するためになされた請求項2の発明は、請求項1の発明に記載のキャリアテープであって、収容部がその側部から外側に向けて膨出形成された1乃至複数の膨出部を有し、空気孔が膨出部の底部に形成された構成を有している。
【0034】
この構成により、請求項1の発明の作用に加え、以下の作用を有する。
【0035】
(1)電子部品により空気孔が塞がれることを防止し外気が円滑に収容部に流入して確実に静電気の滞留を防止できる。
【0036】
ここで、膨出部の断面形状としては、矩形や半円形等の種々の形状が用いられる。
【0037】
上記課題を解決するためになされた請求項3の発明は、請求項1の発明に記載のキャリアテープであって、収容部がその側部に内側に向けて凹んだ1乃至複数の凹み部を有し、空気孔が凹み部が形成された側部の近傍に形成された構成を有している。
【0038】
この構成により、請求項1の発明の作用に加え、以下の作用を有する。
【0039】
(1)電子部品により空気孔が塞がれることを防止し外気が円滑に収容部に流入して確実に静電気の滞留を防止できる。
【0040】
ここで、凹み部の断面形状としては、矩形や半円形等の種々の形状が用いられる。
【0041】
上記課題を解決するためになされた請求項4の発明は、キャリアテープの製造方法であって、テープ状基材を加熱する加熱工程と、テープ状基材を雌型上に載置し雌型の底部から真空吸引して凹状の収容部を形成する収容部形成工程と、収容部の底部を打ち抜いて1乃至複数の空気孔を形成する空気孔形成工程と、を備えた構成を有している。
【0042】
この構成により、以下の作用を有する。
【0043】
(1)真空成形により収容部を精度良く形成しながら打ち抜きにより簡単に空気孔を形成することができる。
【0044】
ここで、テープ状基材の加熱手段としては、ヒータの輻射熱による加熱手段や熱盤への接触による加熱手段等が用いられる。
【0045】
上記課題を解決するためになされた請求項5の発明は、キャリアテープの製造方法であって、テープ状基材の所定部を打ち抜いて貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、テープ状基材の一方の面に圧着、熱圧着、又は接着等によりボトムカバーテープを貼着する貼着工程と、ボトムカバーテープの貫通孔に対応した部分を打ち抜いて1乃至複数の空気孔を形成する空気孔形成工程と、を備えた構成を有している。
【0046】
この構成により、以下の作用を有する。
【0047】
(1)テープ状基材の貫通孔の一方の開口部をボトムカバーテープで塞ぐことで簡単に凹状の収容部を形成しながら打ち抜きにより簡単に空気孔を形成することができる。
【0048】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図9に基づいて説明する。
【0049】
図1は本実施の形態1におけるキャリアテープのカバーテープ側の要部斜視図であり、図2は本実施の形態1におけるキャリアテープの収容部の底部側の要部斜視図である。
【0050】
図中、1は本実施の形態1におけるキャリアテープ、2はキャリアテープ1の長手方向に略等間隔で配列形成された凹状の収容部、3は収容部2に収容されるICチップ等の半導体装置或いはその他の面実装部品等の電子部品、4は収容部2の配列に並設され略等間隔で配列形成された送り孔、5はキャリアテープ1の収容部2の開口側の面に該開口を塞ぐように貼着されるカバーテープ、5a,5bはカバーテープ5のキャリアテープ1に対向する面の両側部に形成された熱融着層、6は収容部2の底部の略中央部に形成された空気孔である。
【0051】
収容部2の深さは収容される電子部品3の高さより深く形成され、これにより電子部品3を確実に収容部2内に収容できる。
【0052】
送り孔4は自動実装機等においてスプロケット等の歯部が挿入されるものであり、これによりキャリアテープ1は長手方向に連続して移送される。
【0053】
以上のように構成された本実施の形態1におけるキャリアテープについて、以下その製造方法を説明する。
【0054】
キャリアテープ1の基材としては、テープ状のプラスチックフィルム等(以下、テープ状基材という)が用いられる。まず、テープ状基材をヒータの輻射熱や熱盤への接触等により加熱する(加熱工程)。続いて、加熱したテープ状基材を雌型上に載置し雌型の底部から真空吸引してテープ状基材に凹状の収容部2を形成する(収容部形成工程)。続いて、形成された収容部2の底部をパンチにより打ち抜いて空気孔6を形成する(空気孔形成工程)。空気孔6を形成した後、適宜強制冷却又は自然冷却する。
【0055】
なお、テープ状基材を長手方向に送り出しながら上記工程を連続して行うことにより、複数の収容部2をテープ状基材の長手方向に配列形成することができる。
【0056】
また、送り孔4は予め形成してもよく、或いは収容部形成工程又は空気孔形成工程と同時にパンチ等により打ち抜いて形成してもよい。
【0057】
次に、カバーテープの貼着方法について説明する。
【0058】
図1に示すように、収容部2に電子部品3を収容した後、収容部2の開口部を塞ぐようにカバーテープ5をキャリアテープ1に載置し、収容部2が設けられた領域を挟むカバーテープ5の幅方向の両側部の熱融着層5a,5bを熱融着装置(図示せず)等で加熱し、カバーテープ5をキャリアテープ1に貼着する。
【0059】
次に、収容部2の他の例について、図3乃至図7を用いて説明する。
【0060】
図3は矩形状の膨出部を有する収容部を備えたキャリアテープの要部平面図であり、図4は半円形状の膨出部を有する収容部を備えたキャリアテープの要部平面図であり、図5は半円形状の2つの膨出部を有する収容部を備えたキャリアテープの要部平面図であり、図6は矩形状の凹み部を有する収容部を備えたキャリアテープの要部平面図であり、図7は半円形状の2つの凹み部を有する収容部を備えたキャリアテープの要部平面図である。
【0061】
図中、8,9,10a,10bは収容部2の側部から外側に向けて膨出形成された膨出部、11a,11b,13a,13bは収容部の側部、12,14a,14bは収容部の側部に内側に向けて凹んだ凹み部である。
【0062】
図3乃至図5に示すように、収容部2に矩形状や半円形状の膨出部8,9,10a,10bが形成され、空気孔6が膨出部8,9,10a,10bの底部に形成されているので、電子部品3により空気孔6が塞がれることを防止でき外気が円滑に収容部2に流入する。
【0063】
図6及び図7に示すように、収容部2に矩形状や半円形状の凹み部12,14a,14bが形成され、空気孔6が凹み部12が形成された側部11a,11b,13a,13bの近傍に形成されているので、電子部品3により空気孔6が塞がれることを防止でき外気が円滑に収容部2に流入する。
【0064】
なお、膨出部8,9,10a,10bや凹み部12,14a,14bは、図3、図4、図6に示すように1個の収容部2に対して1個のみ形成するようにしてもよく、或いは、図5、図7に示すように1個の収容部2に対して2個又はそれ以上形成してもよい。なお、膨出部や凹み部は1個のみ形成するほうが製造工数やコストの面から好ましく、また、形状は矩形状とするほうが同様の理由から好ましい。さらに、図3に示すように膨出部8を収容部2の短辺側(キャリアテープ1の側部側)に形成することにより、各収容部2間の間隔を小さくすることができ、単位長さ当たりの収容部2の個数を増加でき、省資源性を向上できる。
【0065】
以上のように本実施の形態1におけるキャリアテープ1及びその製造方法は構成されているので、以下のような作用を有する。
【0066】
(1)空気孔6を備えているので、適度な湿気を含んだ外気が空気孔6を介して収容部2の内部に流入し電子部品3の表面や収容部2の内壁に触れることで静電気が滞留し難くなり、電子部品3の実装性の低下を防止できる。
【0067】
(2)収容部2が膨出部8,9,10a,10b又は凹み部12,14a,14bを有し、空気孔6が膨出部8,9,10a,10bの底部又は凹み部12,14a,14bが形成された側部11a,11b,13a,13bの近傍に形成されているので、電子部品3により空気孔6が塞がれることを防止し外気が円滑に収容部2に流入して確実に静電気の滞留を防止できる。
【0068】
(3)加熱工程と収容部形成工程と空気孔形成工程とを備えているので、真空成形により収容部2を精度良く形成しながら打ち抜きにより簡単に空気孔6を形成することができる。
【0069】
(実施の形態2)
図8は本実施の形態2におけるキャリアテープのトップカバーテープ側の要部斜視図であり、図9は本実施の形態2におけるキャリアテープのボトムカバーテープ側の要部斜視図である。
【0070】
図中、21は本実施の形態2におけるキャリアテープ、21aはテープ状のプラスチックフィルム等により形成されたテープ状基材、22はテープ状基材21aの長手方向に略等間隔で配列形成された貫通孔、23はテープ状基材21aの下面に貫通孔21の下部を塞ぐように貼着されたボトムカバーテープであり、キャリアテープ21はテープ状基材21aとボトムカバーテープ23とにより構成されている。24は貫通孔22の下部がボトムカバーテープ23で塞がれて形成された凹状の収容部、25は収容部24に収容される電子部品、26は収容部24の配列に並設され略等間隔で配列形成された送り孔、27はテープ状基材21aの収容部24の開口側の面(上面)に該開口を塞ぐように貼着されるトップカバーテープ、28は収容部2の底部となるボトムカバーテープ23の略中央部に形成された空気孔である。
【0071】
収容部2の深さ即ちテープ状基材21aの厚みは収容される電子部品25の高さより深く形成され、これにより電子部品25を確実に収容部24内に収容できる。
【0072】
以上のように構成された本実施の形態1におけるキャリアテープについて、以下その製造方法を説明する。
【0073】
まず、テープ状基材21aの所定部を矩形状のパンチ等により打ち抜いて貫通孔22を形成する(貫通孔形成工程)。続いて、テープ状基材21aの一方の面に圧着、熱圧着、又は接着等によりボトムカバーテープ23を貼着する(貼着工程)。これにより、貫通孔22の下部がボトムカバーテープ23で塞がれて凹状の収容部24が形成される。続いて、ボトムカバーテープ23の貫通孔22に対応した部分をパンチ等により打ち抜いて収容部24の底部に空気孔28を形成する(空気孔形成工程)。
【0074】
なお、テープ状基材21aを長手方向に送り出しながら上記工程を連続して行うことにより、複数の収容部24をキャリアテープ21の長手方向に配列形成することができる。
【0075】
トップカバーテープ27の貼着方法については実施の形態1で説明したものと同様であるので説明を省略する。
【0076】
なお、本実施の形態2におけるキャリアテープ21の収容部24にも実施の形態1において説明した膨出部や凹み部を形成することができる。本実施の形態2においては、貫通孔形成工程において貫通孔22を打ち抜く際に鉤状等のパンチを用いることで同時に膨出部や凹み部を形成することができる。
【0077】
以上のように本実施の形態2におけるキャリアテープ21及びその製造方法は構成されているので、以下のような作用を有する。
【0078】
(1)貫通孔形成工程と貼着工程と空気孔形成工程とを備えているので、テープ状基材の貫通孔の一方の開口部をボトムカバーテープで塞ぐことで簡単に凹状の収容部を形成しながら打ち抜きにより簡単に空気孔を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、複数の電子部品を収容するキャリアテープに関し、特に本発明によれば、適度な湿気を含んだ外気が空気孔を介して収容部の内部に流入し電子部品の表面や収容部の内壁に触れることで静電気が滞留し難くなり、電子部品の実装性の低下を防止できるキャリアテープを提供することができる。
【0080】
本発明は、複数の電子部品を収容するキャリアテープの製造方法に関し、特に本発明によれば、真空成形により収容部を精度良く形成しながら打ち抜きにより簡単に空気孔を形成することができるキャリアテープの製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、テープ状基材の貫通孔の一方の開口部をボトムカバーテープで塞ぐことで簡単に凹状の収容部を形成しながら打ち抜きにより簡単に空気孔を形成することができるキャリアテープの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本実施の形態1におけるキャリアテープのカバーテープ側の要部斜視図
【図2】本実施の形態1におけるキャリアテープの収容部の底部側の要部斜視図
【図3】矩形状の膨出部を有する収容部を備えたキャリアテープの要部平面図
【図4】半円形状の膨出部を有する収容部を備えたキャリアテープの要部平面図
【図5】半円形状の2つの膨出部を有する収容部を備えたキャリアテープの要部平面図
【図6】矩形状の凹み部を有する収容部を備えたキャリアテープの要部平面図
【図7】半円形状の2つの凹み部を有する収容部を備えたキャリアテープの要部平面図
【図8】本実施の形態2におけるキャリアテープのトップカバーテープ側の要部斜視図
【図9】本実施の形態2におけるキャリアテープのボトムカバーテープ側の要部斜視図
【図10】従来のキャリアテープのトップカバーテープ側の要部斜視図
【符号の説明】
【0082】
1,21 キャリアテープ
2 収容部
3 電子部品
4 送り孔
5 カバーテープ
5a,5b 熱融着層
6 空気孔
8,9,10a,10b 膨出部
11a,11b,13a,13b 収容部の側部
12,14a,14b 凹み部
21a テープ状基材
22 貫通孔
23 ボトムカバーテープ
24 収容部
25 電子部品
26 送り孔
27 トップカバーテープ
28 空気孔
100 従来のキャリアテープ
101 テープ状基材
102 ボトムカバーテープ
103 収容部
104 電子部品
105 トップカバーテープ
106 送り孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を収容する複数の凹状の収容部が配列形成されたキャリアテープであって、前記収容部の底部に形成された1乃至複数の空気孔を備えたことを特徴とするキャリアテープ。
【請求項2】
前記収容部がその側部から外側に向けて膨出形成された1乃至複数の膨出部を有し、前記空気孔が前記膨出部の底部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のキャリアテープ。
【請求項3】
前記収容部がその側部に内側に向けて凹んだ1乃至複数の凹み部を有し、前記空気孔が前記凹み部が形成された前記側部の近傍に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のキャリアテープ。
【請求項4】
テープ状基材を加熱する加熱工程と、
前記テープ状基材を雌型上に載置し前記雌型の底部から真空吸引して凹状の収容部を形成する収容部形成工程と、
前記収容部の底部を打ち抜いて1乃至複数の空気孔を形成する空気孔形成工程と、
を備えたことを特徴とするキャリアテープの製造方法。
【請求項5】
テープ状基材の所定部を打ち抜いて貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記テープ状基材の一方の面に圧着、熱圧着、又は接着等によりボトムカバーテープを貼着する貼着工程と、
前記ボトムカバーテープの前記貫通孔に対応した部分を打ち抜いて1乃至複数の空気孔を形成する空気孔形成工程と、
を備えたことを特徴とするキャリアテープの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−219172(P2006−219172A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−35619(P2005−35619)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】