説明

キャリッジ装置およびインクジェット装置

【課題】床面に対して並行でない様々な角度でヘッドユニットを設置する場合や高い位置に設置する場合であっても、印刷ヘッドを搭載したヘッドユニットを、キャリッジに対し簡単且つ円滑に着脱することができるキャリッジ装置およびインクジェット装置を提供する。
【解決手段】印刷ヘッド76をヘッドプレート94に搭載したヘッドユニット83と、ヘッドユニット83を保持するキャリッジ82と、を備え、ヘッドユニット83は、キャリッジ82に対しスライド式で着脱自在に装着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の印刷ヘッドを搭載したヘッドユニットが装着されるキャリッジ装置およびインクジェット装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、大型のプリンターでは、数多くの液滴吐出ヘッドを単一のキャリッジ(ヘッドプレート)に搭載した大型のヘッドユニットが必要になると共に、大型のヘッドユニットの交換作業を行う必要がある。このような大型のキャリッジを効率良く運搬およびセットするために、複数の液滴吐出ヘッドと、複数の液滴吐出ヘッドを裏面側に突出させて搭載したキャリッジと、キャリッジの表面に設けられキャリッジを手持ちするための左右一対のハンドルと、を備えたヘッドユニットが知られている(特許文献1)。ヘッドユニットは、セットステージ(キャリッジ)への導入に際して、先ずセットステージよりも幾分高い仮置き台に載置される。オペレーターは、キャリッジの表面に設けられた左右一対のハンドルを握って、ヘッドユニット先端を傾けて仮置き台上をスライドさせ、先端をセットステージのストッパーに突き当ててから更に下降させてセットステージに載せ込むようにしている。また、左右一対のハンドルを把持することでヘッドユニットをほぼセット姿勢のまま持ち運びすることができるため、大型のヘッドユニットであっても安定且つ安全に着脱することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−127343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなヘッドユニットは、先端部を下げるように傾斜させた状態でスライドさせながらセットステージに載せ込むため、ヘッドユニットの装着が完了するまでオペレーターがハンドルを把持してヘッドユニットの傾斜姿勢を維持する必要がある。このため、セットステージの上側に着脱作業のための大きなスペースを要し、装置が大型化する問題があった。また、床面に対して並行でない様々な角度でヘッドユニットを設置する場合や高い位置に設置する場合、作業姿勢が不安定となり、着脱作業が煩雑となる問題があった。
【0005】
本発明は、印刷ヘッドを搭載したヘッドユニットを、キャリッジに対し簡単且つ円滑に着脱することができるキャリッジ装置およびインクジェット装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のキャリッジ装置は、印刷ヘッドをヘッドプレートに搭載したヘッドユニットと、ヘッドユニットを保持するキャリッジと、を備え、ヘッドユニットは、キャリッジに対しスライド式で着脱自在に装着されていることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、キャリッジの手前側にヘッドユニットの先端部をあてがい、ヘッドプレートをスライド方向に並行に維持して押し込むことで、ヘッドユニットをキャリッジに装着することができる。また、逆の手順で、ヘッドユニットをキャリッジからスライド方向に並行に引抜くようにすれば、ヘッドユニットをキャリッジから離脱させることができる。すなわち、印刷ヘッドを搭載したヘッドユニットを、キャリッジに対し簡単且つ円滑に着脱することができる。この場合、ヘッドユニットをスライド式で着脱させる構造であるため、キャリッジの上側にヘッドユニットを着脱させるための大きな空間を必要としない。
【0008】
この場合、キャリッジは、ヘッドユニットの着脱をガイドする一対のスライドガイドと、スライド方向の一方の側において、装着状態のヘッドユニットの位置を位置決めする第1位置決め手段と、スライド方向の他方の側において、装着状態のヘッドユニットの位置を位置決めする第2位置決め手段と、を有していることが好ましい。
【0009】
これらの構成によれば、ヘッドユニットをキャリッジにスライド装着するだけで、ヘッドユニットをキャリッジに位置決め状態とすることができる。また、スライド方向における奥側(一方の側)および手前側(他方の側)に位置決め手段を設けることによって、ヘッドユニットの表面を見て位置確認しながら装着作業を行う必要がないため、装着位置が高い場合であっても容易に位置決めを行うことができる。このようにして、ヘッドユニットの着脱作業におけるオペレーターの負担を顕著に軽減することができ、作業効率を向上させることができる。
【0010】
この場合、第2位置決め手段は、ヘッドプレートの他方の側の一部に当接して、ヘッドユニットを位置決めするサイドピンを有していることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、ヘッドユニットの設置角度によって荷重を受ける方向にのみサイドピンを設け、位置決めと同時にヘッドユニットを支持することにより、ヘッドユニットを安定して且つ適切に位置決めすることができる。これによって、記録装置に対してヘッドユニットを様々な角度で精度良く取り付けることができる。
【0012】
この場合、ヘッドプレートは、一対のスライドガイドに係合するスライド係合部と、スライド係合部に連なりスライド係合部より幅広に形成された位置決め係合部と、を有し、ヘッドユニットは、装着完了直前に位置決め係合部がサイドピンに係合して位置決めされることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、ヘッドユニットの装着開始直後に、スライド係合部の先端が一対のスライドガイドに係合して幅方向に緩やかに位置規制されつつキャリッジに案内される。そして、装着完了直前に位置決め係合部がサイドピンによって幅方向に完全に位置決めされて装着が完了する。このように、2段階で位置決めすることにより、着脱の際のスライドにおいて、ヘッドユニットがサイドピンに摺接することが無いため、サイドピンの損傷を防止することができると共に、ヘッドユニットの装着完了とほぼ同時に、これをキャリッジに精度良くセットすることができる。
【0014】
この場合、印刷ヘッドは、位置決め状態でサブプレートに装着され、サブプレートを介してヘッドプレートに搭載されており、ヘッドプレートとサブプレートとの間には、ヘッドプレートに対するサブプレートの、スライド方向の位置および所定の平面におけるサブプレートの回転位置並びに所定の平面に対する仰俯角を微調整する微調整機構を、さらに有していることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、ヘッドプレートをキャリッジに装着した状態で、サブプレートを介して印刷ヘッドを記録媒体に対して常に適切に位置および角度で対峙させることができ、ヘッドユニット交換前後における位置ずれによる印刷不良を生じることなく、精度良く印刷を行うことができる。
【0016】
この場合、ヘッドプレートは、一方の側において、ヘッドプレートの表側の面から外側に突出する取っ手部と、他方の側において、ヘッドプレートの裏側の面に設けた指掛け部と、を有していることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、一方の持ち手で奥側の取っ手部を把持すると共に、他方の持ち手で手前側の指掛け部に指を掛けて支えるようにして、各ヘッドプレートをキャリッジの位置まで運搬する。このとき、ヘッドプレートのスライド方向の先端部が一対のスライドガイドに係合した時点で、奥側の取っ手部から持ち手を離し、手前側の持ち手のみでスライド装着させることができる。これによって、オペレーターの負担を軽減し、ヘッドユニットの着脱作業を効率良く行うことができる。
【0018】
本発明のインクジェット装置は、記録媒体を一方向に回転する回転ドラムの外周面に密着させて送る記録媒体送り手段と、送られてゆく記録媒体に臨み、記録媒体にインクジェット方式で印刷を行う上記のキャリッジ装置の複数台と、を備え、複数台のキャリッジ装置は、回転ドラムの放射方向に配設されていることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、回転ドラムの周方向において様々な角度で、キャリッジに対しヘッドユニットを簡単且つ円滑に装着することができる。したがって、複数台のキャリッジ装置に対し、ヘッドユニットの交換作業を短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態に係るインクジェット装置の正面図である。
【図2】装置本体の裏面斜視図である。
【図3】ヘッドユニット廻りの断面図である。
【図4】印刷ヘッドの斜視図である。
【図5】ヘッドユニットの斜視図である。
【図6】微調整機構の展開斜視図である。
【図7】キャリッジ廻りの斜視図である。
【図8】ヘッドユニット装着の手順を示す模式図(a)、(b)および、ヘッドユニット装着時の断面摸式図(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係るインクジェット装置について説明する。このインクジェット装置は、周方向に複数のインクジェットヘッドを配置したセンタードラム式の印刷装置であり、リールツーリールで供給した長尺の記録媒体に、UVインク(紫外線硬化型インク)を用いて印刷を実施する。記録媒体としては、例えばラベル用のフィルムや用紙等のシート状のものであって、各種幅および厚みの異なるものを印刷対象としている。なお、以降の説明では、図1において紙面を貫通する方向を前後とし、手前側を「前」、奥側を「後」とする。具体的には、後述する回転ドラム61の回転軸(ドラム軸62)の延在方向を前後とし、後述するドラムモーター64から回転ドラム61へ向かう方向を手前方向(手前側)、回転ドラム61からドラムモーター64へ向かう方向を奥方向(奥側)とする。また、記録媒体の搬送経路において、後述する媒体供給装置6側を「上流側」、後述する媒体回収装置7側を「下流側」とする。
【0022】
図1の全体図に示すように、インクジェット装置1は、インクジェット方式で記録媒体Aに印刷を行うセンタードラム式の装置本体2と、装置本体2に記録媒体Aを供給し且つ印刷済みの記録媒体Aを回収するリールツーリール方式の媒体供給・回収装置3と、これら構成装置を統括制御する制御装置(図示省略)と、を備えている。媒体供給・回収装置3は、装置本体2に記録媒体Aを供給する媒体供給装置6と、装置本体2から記録媒体Aを回収する媒体回収装置7と、を有している。一方、装置本体2および媒体供給・回収装置3に構成した記録媒体Aの媒体送り経路Lは、媒体供給装置6から装置本体2に至る供給送り経路L1と、装置本体2に構成した円に近い円弧状の印刷送り経路L2と、装置本体2から媒体回収装置7に至る回収送り経路L3と、を有している。
【0023】
供給送り経路L1を介して、媒体供給装置6から繰り出すようにして供給された記録媒体Aは、装置本体2において印刷送り経路L2に沿って送られ、この部分で印刷に供される。また、印刷が完了した記録媒体Aは、回収送り経路L3を介して媒体回収装置7により巻き取るようにして回収される。
【0024】
媒体供給装置6は、ロール状に巻回した記録媒体Aを繰り出す繰出しリール11と、繰出しリール11を繰出し回転させる繰出しモーター(図示省略)と、繰出しリール11の下流側に配設され、記録媒体Aにフォワードテンションを付与するフォワードテンションユニット13と、フォワードテンションユニット13の下流側に配設され、記録媒体Aを幅方向に位置決めしつつ装置本体2に送り込むステアリングユニット14と、を備えている。媒体供給装置6は、制御装置により装置本体2に同期して繰出しモーターを駆動すると、繰出しリール11から記録媒体Aが繰出され、供給送り経路L1に沿って送られる。
【0025】
一方、媒体回収装置7は、印刷済みの記録媒体Aをロール状に巻き取る巻取りリール21と、巻取りリール21を巻取り回転させる巻取りモーター(図示省略)と、巻取りリール21の上流側に配設され、記録媒体Aにバックテンションを付与するバックテンションユニット23と、バックテンションユニット23の上流側に配設され、装置本体2から送り出された記録媒体AがUターンして送られるように、回収送り経路L3を経路変更する折返しユニット25と、を備えている。媒体回収装置7は、制御装置により装置本体2に同期して巻取りモーターを駆動すると、記録媒体Aは装置本体2から送出され、回収送り経路L3に沿って送られる。
【0026】
図1に示すように、装置本体2は、大口径の回転ドラム61を有し、印刷送り経路L2に沿って記録媒体Aを送る媒体送り機構41と、それぞれが複数の印刷ヘッド76を有し、印刷送り経路L2に臨むように、回転ドラム61に対し放射状に配設した複数のキャリッジユニット42と、複数のキャリッジユニット42に対応し、その背面側に配設した複数のメンテナンスユニット43と、上記の回収送り経路L3に臨み、記録媒体AのUVインクを硬化させる本硬化用のUV照射ユニット44を備えている。また、装置本体2は、全体としてチャンバー(図示省略)に覆われている。複数のキャリッジユニット42は、供給するUVインクの色別のユニットであり、全体として印刷手段48を構成している。
【0027】
図2に示すように、装置フレーム46は、機台となるベースフレーム51と、ベースフレーム51の後半部に立設したメインフレーム52と、メインフレーム52の前面に広く設けた板状のサブフレーム53と、サブフレーム53を介しメインフレーム52の前部に配設したチャンバーフレーム54と、を有している。メインフレーム52およびチャンバーフレーム54が構成する各面には、それぞれ壁体(図示省略)が取り付けられており、これらによって装置本体2全体を覆うチャンバーを構成する。すなわち、装置本体2は、このチャンバーによって、その内部の温度および清浄度を管理している。なお、チャンバーフレーム54とベースフレーム51との間には、所定の間隙が設けられており、この間隙において記録媒体Aの給紙および排紙が行われる。
【0028】
上述のように、印刷手段48は、回転ドラム61に対し放射状に配設した複数のキャリッジユニット42を備えている(図1参照)。複数のキャリッジユニット(キャリッジ装置)42は、インク色別のユニットであり、印刷送り経路L2の始端側から終端側に向って、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)の順で、周方向にほぼ等間隔で配設されている。詳細は後述するが、各キャリッジユニット42には、複数の印刷ヘッド76が搭載され、この複数の印刷ヘッド76により、最大幅の記録媒体Aに対応するヘッド77が構成されている。このため、印刷送り経路L2に沿って印刷送りされてゆく記録媒体Aに、各色のヘッド77が順に臨むことになり、記録媒体Aに印刷データに基づく所望のカラー印刷が行われる。
【0029】
各キャリッジユニット42は、上記のサブフレーム53に固定されたキャリッジベース81と、回転ドラム61の外周面の法線方向において、キャリッジベース81にスライド自在に支持された箱型フレーム形式のキャリッジ82と、キャリッジ82に装着され、複数の印刷ヘッド76を搭載したヘッドユニット83と、キャリッジ82を介してヘッドユニット83を回転ドラム61の外周面の法線方向に進退させるZ軸移動機構84と、キャリッジ82に搭載され、複数の印刷ヘッド76に吐出波形を印加するヘッド制御基板モジュール(図示省略)と、を備えている(図7参照)。また、各キャリッジユニット42は、キャリッジ82に搭載され、記録媒体AのUVインクを仮硬化させるピニングユニット86(図3参照)と、支持金具を介してキャリッジ82の外側面に支持され、複数の印刷ヘッド76にUVインクを供給するサブタンクユニット(図示省略)と、を備えている。
【0030】
Z軸移動機構84は、例えばリードねじ機構を用いたモーター駆動のもので構成されている。Z軸移動機構84は、厚みの異なる記録媒体Aに対し、印刷ヘッド76と記録媒体Aとのギャップ調整を行うと共に、印刷ヘッド76のメンテナンスに際して、メンテナンスユニット43に対しヘッドユニット83を離接方向に進退させる。サブタンクユニットは、支持金具により、いずれも直立姿勢(UVインクの排出口が鉛直方向下を向く姿勢)で支持されている。
【0031】
実施形態のUVインクは、その粘性が、高い温度依存性(温度が高くなると粘性が低下する)を有している。このため、図示では省略したが、上記のサブタンクユニット88、複数の印刷ヘッド76およびサブタンクユニット88から複数の印刷ヘッド76に至るインク流路(主チューブ、マニホールド、個別チューブ)は、ヒーターにより被覆されている。例えば、UVインクを40℃程度に昇温して吐出する。
【0032】
ここで、図3ないし図8を参照して、本発明の特徴的部分であるヘッドユニット83およびキャリッジ82について詳細に説明する。先ず、ヘッドユニット83の説明をし、その後にキャリッジ82、およびキャリッジユニット42におけるキャリッジ82へのヘッドユニット83の着脱作業について説明をする。
ヘッドユニット83は、ヘッドプレート94と、ヘッドプレート94の下面(回転ドラム61側)に組み付けられた左右一対のサブプレート95と、各サブプレート95に搭載された複数の印刷ヘッド76(図示では7個)と、各サブプレート95をヘッドプレート94上で位置調整するための微調整機構120と、で構成されている。この場合、左右一対のサブプレート95は、それぞれ回転ドラム61の接線に並行になるように「ハ」字状に配設されている(図3参照)。また、各サブプレート95は、ヘッドプレート94上に固定された微調整機構120に垂下されるようにしてヘッドプレート94に支持されている。
【0033】
図4に示すように、各印刷ヘッド76は、2インチのインクジェットヘッドで構成されており、そのノズル面91に相互に並行な複数の吐出ノズル92から成る2列のノズル列93を有している。各サブプレート95において、複数の印刷ヘッド76は、前後方向において千鳥に配設されており、一方のサブプレート95に搭載された複数の印刷ヘッド76と、他方のサブプレート95に搭載された複数の印刷ヘッド76とは、前後方向(ノズル列方向)に1/4ノズルピッチ位置ずれして配設されている(図5参照)。このため、ヘッドプレート94に搭載した全印刷ヘッド76により、前後方向(記録媒体Aの幅方向)に延在するラインヘッドとしてのヘッド77、すなわち最大幅の記録媒体Aに対応する1/4ノズルピッチのヘッド77が構成され、高解像度の印刷が可能となる。なお、この配列パターンは一例であり、印刷ヘッド76の個数や列数、さらに配列パターンは任意である。
【0034】
図5および図6に示すように、各サブプレート95は、保持した複数の印刷ヘッド76をヘッドプレート94に取り付けるためのものであり、長方形状のステンレス等の厚板で形成されている。サブプレート95の中央には、印刷ヘッド76のノズル列93が前後方向に向くように、印刷ヘッド76を取り付けるための複数の開口部位96が2列に並行して形成されている。詳細は後述するが、各サブプレート95は、ヘッドプレート94を貫通するように配設した上記の微調整機構120を介して、ヘッドプレート94の上面に固定されており、各サブプレート95には、これを微調整機構120に固定するためのねじ孔97が複数設けられている。
【0035】
図6に示すように、微調整機構120は、ヘッドプレート94に貫通形成した装着開口142(後述する)に挿通するようにして上下に延在しており、下面にサブプレート95を位置調整自在に支持している。微調整機構120は、サブプレート95のスライド方向(X軸方向)の位置を調整するX調整プレート121と、所定の平面において、該平面の法線を回転軸とした回転位置(Θ軸方向)を調整するΘ調整プレート122と、前記所定の平面に対する仰俯角を調整する仰俯角調整プレート123と、仰俯角調整プレート123とサブプレート95との間に介設したスペーサプレート124と、を備えている。なお、記録媒体Aの送り方向の微調整は、各印刷ヘッド76の吐出タイミングで調整される。
ここで本実施形態において、サブプレート95のスライド方向(X軸方向)は回転ドラム61の回転軸(ドラム軸62)の延在方向に略一致し、所定の平面はX調整プレート121と略並行な平面である。
【0036】
この場合、X調整プレート121、Θ調整プレート122、仰俯角調整プレート123およびスペーサプレート124は、いずれも方形の枠状に形成されており、X調整プレート121は、ヘッドプレート94に対しX軸方向に位置調整自在に搭載され、Θ調整プレート122は、X調整プレート121に対しΘ方向に角度調整自在に搭載され、仰俯角調整プレート123は、Θ調整プレート122に対し仰俯角調整自在に構成されている。また、スペーサプレート124は、X調整プレート121、Θ調整プレート122および装着開口142に内包されるように配設され、上端で仰俯角調整プレート123に固定され、下端でサブプレート95(印刷ヘッド76)を支持している。すなわち、複数の印刷ヘッド76を搭載したサブプレート95は、スペーサプレート124を介して仰俯角調整プレート123に支持され、仰俯角調整プレート123は、Θ調整プレート122およびX調整プレート121を介してヘッドプレート94に支持されている。
【0037】
X調整プレート121は、方形枠状のXプレート本体125と、Xプレート本体125に係合する「L」字状の前後一対の調整ブロック126と、を有している。一対の調整ブロック126は、Xプレート本体125を前後(X軸方向)に挟み込むようにして、ヘッドプレート94に固定されている。各調整ブロック126には、Xプレート本体125の端面(前端面または後端面)に突き当てられるX調整ねじ127が組み込まれており、Xプレート本体125は、このX調整ねじ127によりX軸方向に位置調整された後、前後両端部においてヘッドプレート94にねじ止めされる。なお、ヘッドプレート94には、Xプレート本体125の前端部側面および後端部側面が摺接する前記一対の摺接ピン128が設けられており、この一対の摺接ピン128がXプレート本体125の前後方向の位置調整におけるガイド(左右方向の位置決め手段)として機能する。また、Xプレート本体125の後端部上面には、Θ調整プレート122が係合する円弧凹部129が窪入形成されている。
【0038】
Θ調整プレート122は、方形枠状のΘプレート本体130と、Θプレート本体130の前端面とXプレート本体125の前端部内面との間に介設した楔状ブロック131と、Xプレート本体125の前端部に組み込まれたΘ調整ねじ132と、Θ調整プレート122後端部とXプレート本体125の後端部との間に介設された2つの戻しばね133と、を有している。Θプレート本体130の後端部には、Xプレート本体125の円弧凹部129に係合すると共に、円弧凹部129と相補的形状を為す円弧凸部134が立設されている。Θプレート本体130は、その円弧凸部134をXプレート本体125の円弧凹部129に係合するようにして、Xプレート本体125に搭載されている。この状態で、Θ調整ねじ132を締め込むと、楔状ブロック131のカム斜面とΘプレート本体130の前端面とのカム作用により、Θプレート本体130は、円弧凸部134が円弧凹部129にガイドされるようにして、図示の反時計廻りにΘ調整される。逆に、Θ調整ねじ132を緩めると、Θプレート本体130は、戻しばね133のばね力を受けて図示の時計廻りにΘ調整される。このようにΘ調整が為された後、Θプレート本体130は、前後両端部においてXプレート本体125にねじ止めされる。
【0039】
仰俯角調整プレート123は、方形枠状の仰俯角プレート本体135と、仰俯角プレート本体135の前端突出部136に組み込んだ仰俯角調整ねじ137と、この前端突出部136とΘプレート本体130の前端部との間に介設した調整ばね138と、を有している。仰俯角調整ねじ137は、仰俯角プレート本体135の前端突出部136を貫通して、Θプレート本体130の前端部に螺合しており、この仰俯角調整ねじ137に巻回するようにして、調整ばね138が設けられている。仰俯角プレート本体135の後端部は、Θプレート本体130の円弧凸部134の側面に上下方向に回動自在に取り付けられており、仰俯角調整ねじ137を締め込むと仰俯角プレート本体135の後端が浮き上がり、緩めると仰俯角プレート本体135の後端が沈み込んで、仰俯角の調整が為されるようになっている。一方、仰俯角プレート本体135の長辺側の一対の枠内壁には、それぞれ複数の貫通孔139が突設されている。この複数の貫通孔139は、サブプレート95の複数のねじ孔97に合致しており、仰俯角プレート本体135およびスペーサプレート124を貫通してサブプレート95のねじ孔97に螺合した複数本のねじにより、サブプレート95が微調整機構120に吊り下げ固定されている。なお、仰俯角調整後の仰俯角プレート本体135は、前端突出部136の側面に突き当てた止めねじにより、Θプレート本体130に固定される。
【0040】
スペーサプレート124は、方形のボックス状に形成され、上部がX調整プレート121およびΘ調整プレート122を逃げるべく、幅狭に形成されている。スペーサプレート124の高さは、サブプレート95の高さ位置を規制するものであり、ヘッドプレート94の下面とサブプレート95の上面との間に僅かに間隙が生ずるように、サブプレート95の高さ位置が規制されている。また、スペーサプレート124の長辺側の一対の内壁には、仰俯角プレート本体135の複数の貫通孔139に対応する(サブプレート95の複数のねじ孔97にも対応する)複数の挿通孔141が形成されている。すなわち、スペーサプレート124は、サブプレート95と共締め状態で、仰俯角調整プレート123にねじ止めされている。そして、スペーサプレート124の内部空間には、サブプレート95に搭載した複数の印刷ヘッド76が収容されるようになっている。
【0041】
ここで、微調整機構120による、複数の印刷ヘッド76を搭載したサブプレート95の位置調整について簡単に説明する。なお、別装置により、複数の印刷ヘッド76はサブプレート95に位置決め状態で固定されている。
先ず、調整ブロック126をヘッドプレート94に固定した後、X調整プレート121、Θ調整プレート122、および仰俯角調整プレート123をこの順でヘッドプレート94上に仮組みしておく。次に、印刷ヘッド76を搭載したサブプレート95にスペーサプレート124を載せ、この状態で、下側からスペーサプレート124をヘッドプレート94の装着開口142に挿通し、スペーサプレート124を仰俯角調整プレート123に突き当てる。ここで、上側からスペーサプレート124とサブプレート95とを仰俯角調整プレート123にねじ止めする。このようにヘッドプレート94を挿通するようにして、仰俯角調整プレート123、スペーサプレート124およびサブプレート95を一体化する。
【0042】
ここまでの作業は、ヘッドユニット83をキャリッジ82に装着する前に、適宜治具等を用いて行われる。もちろん、上記の作業を上下反転した状態で行なってもよい。また、ヘッドユニット83をキャリッジ82に装着するとき、各ヘッドユニット83の各構成部品ががたつかないように、X調整プレート121、Θ調整プレート122、および仰俯角調整プレート123を仮組み状態で、固定しておくことが好ましい。かかる場合には、以降のヘッドユニット83をキャリッジ82に装着した後の調整作業において、先ず固定用のねじを緩めてから、調整作業を実施する。詳細は後述するが、ヘッドユニット83は、位置決め状態でキャリッジ82に装着される。したがって、以降の作業は、ヘッドユニット83のオンマシンにおける最終の微調整となる。
【0043】
ヘッドユニット83をキャリッジ82に装着したら、先ず仰俯角調整プレート123の止めねじを緩めた後、仰俯角調整ねじ137を操作して、仰俯角調整プレート123の仰俯角調整を行う。適切な仰俯角に調整されたら、止めねじを締めて、仰俯角調整プレート123をΘ調整プレート122に固定する。続いて、Θ調整プレート122の固定ねじを緩め、Θ調整ねじ132を操作して、Θ調整プレート122のΘ調整を行う。Θ調整が為されたら、Θ調整プレート122を再度、X調整プレート121に固定する。最後に、X調整プレート121の固定ねじを緩めた後、X調整ねじ127を操作して、X調整プレート121のX軸方の位置調整を行う。そして、X調整が為された後、X調整プレート121を再度、ヘッドプレート94に固定する。なお、X・Θ・仰俯角の微調整において、ダイヤルゲージ(図示省略)を調整箇所に合せて設置し、これを調整の目安とする。
【0044】
図3、図5、および図6に示すように、ヘッドプレート94は、断面山型に形成された略長方形状のステンレス等の厚板であり、中央の頂点から延びる両側の斜面には、微調整機構120が遊嵌する一対の装着開口142が形成されている。各装着開口142は、下側からサブプレート95に覆われるように配設され、微調整機構120が挿通するに配設されている。また、各装着開口142の前後には、微調整機構120(X調整プレート121)を固定するための複数のねじ孔143が形成されると共に、上記の一対の摺接ピン128が設けられている。一方、ヘッドプレート94の表側の面における後方端部には、その表面から外側(ヘッドプレート94から離れる方向)に突出するように逆「U」字状の取っ手部144が取り付けられ、またこれに対応して、ヘッドプレート94の裏側の面における前方端部には、その面に長円形の浅溝としての指掛け部145が形成されている。作業者は、この取っ手部144および指掛け部145を把持して、自然な姿勢でキャリッジ82に対しヘッドプレート94の着脱を行えるようになっている。
【0045】
ヘッドプレート94の幅方向両端部には、後述するキャリッジ82のスライドガイド159に係合する一対のスライド係合部146が形成されている。一対のスライド係合部146は、相互に並行に且つ前後方向に長く延在している。一方、ヘッドプレート94の前端両側部には、スライド係合部146に連なると共にフック状に形成された一対の前方位置決め部(位置決め係合部)147が形成されている。各前方位置決め部147は、後述するキャリッジ82のサイドピン161に位置決め状態で係合する「U」字状の係合部147aと、各係合部147aとスライド係合部146の前端とを斜めに結ぶ係合ガイド部147bと、を有している。すなわち、ヘッドプレート94は、スライド係合部146の部分に比して前方位置決め部147の部分が幅広に形成されている。各係合ガイド部147bは、前方に向って外側に斜めに広がる傾斜部となっており、ヘッドプレート94をキャリッジ82にスライド装着してゆくと、上記のサイドピン161は、ラフにガイドされていたスライド係合部146から、係合ガイド部147bを経由して係合部147aに係合する。これにより、ヘッドプレート94の前部がキャリッジ82に位置決め状態で装着される。なお、図中の符号167は、装着後のヘッドプレート94をキャリッジ82に固定するためのボルト用の貫通孔167である。
【0046】
同様に、ヘッドプレート94の後端部中央には、後方位置決め部148が設けられている。後方位置決め部148は、前方位置決め部147と同様に、「U」字状に切欠き形成された係合部148aと、係合をガイドするために係合部148aに連なり後方に向って拡幅形成した係合ガイド部148bと、を有している。この後方位置決め部148は、ヘッドプレート94の装着時に後述するキャリッジ82の位置決めピン163と係合し、ヘッドプレート94をスライド方向および幅方向に位置決めする。なお、図中の符号149は、装着後のヘッドプレート94とキャリッジ82に固定するためのボルト用の切欠き溝149であり、各切欠き溝149は、後方位置決め部148が位置決めピン163と係合すると同時に、キャリッジ82に予め仮締めされている固定ねじ164に係合する。ところで、本実施形態における前方位置決め部147の係合部147aおよび後方位置決め部148の係合部148aは、いずれも「U」字状に形成されているが、これを「V」字状に形成してもよい。
【0047】
図7に示すように、キャリッジ82は、上記のキャリッジベース81の前面に配設されており、キャリッジベース81にスライド自在に支持された奥側(一方の側)のスライドベース151と、スライドベース151の幅方向両端部からブラケット様に手前側(他方の側)に突設した一対のサイドプレート152と、一対のサイドプレート152の下端部間に取り付けた方形枠状の支持ベース153と、を備えている。
【0048】
スライドベース151は、上下方向に長い長方形状の本体プレート部151aと、本体プレート部151aの背面に固定された左右のスライダー154と、を有し、キャリッジベース81に設けた一対のガイドレール155にスライド自在(回転ドラム61の外周面の法線方向)に支持されている。すなわち、キャリッジ82は、このスライドベース151を介して、上記のZ軸移動機構84により回転ドラム61の外周面の法線方向に昇降される。一対のサイドプレート152は、それぞれ上辺を前下がりの傾斜辺とする片台形状を為しており、本体プレート部151aの左右両端部から前方に並行に張り出している。
【0049】
支持ベース153は、各サイドプレート152の下端に固定され、前方に逆「U」字状に延在する厚板のベース本体153aと、ベース本体153aの前端間に渡した連結ビーム156と、を有している。連結ビーム156は、装着時におけるヘッドユニット83の印刷ヘッド76を逃げるべく、スペーサを介してベース本体153aの前端部に下側から取り付けられている。ベース本体153aは、左右一対のサイドベース部157と、一対のサイドベース部157を後端部において連結する連結プレート部158と、で一体に形成されている。
【0050】
そして、各サイドベース部157には、ヘッドユニット83の装着をガイドするスライドガイド159と、スライドガイド159前方に位置し、ヘッドユニット83を幅方向に位置決めするためのサイドピン161と、が設置されている。
ヘッドユニット83はスライドガイド159に沿って、キャリッジ82内をX軸方向(スライドガイド159の延在方向)にスライドして装着される。また、サイドピン161の前方には、ヘッドユニット83をキャリッジ82に固定するためのねじ孔162が形成されている。各スライドガイド159は、断面逆「L」字状に形成され内向きに配設されている(図8(c)参照)。ヘッドユニット83は、一対のサイドベース部157に載せ込まれ、これにオーバーハングするように臨む一対のスライドガイド159に案内されて着脱される。サイドピン161は、ヘッドユニット83の設置角度によって荷重を受ける方向にのみ設けられ、位置決めと同時にヘッドユニット83を支持している。もっとも、最上位に設置されたキャリッジ82においては、ヘッドユニット83が水平に設けられるため、サイドピン161は左右に2本設けられている。
【0051】
一方、連結プレート部158には、ヘッドユニット83をスライド方向および幅方向に位置決めする位置決めピン163が中央に設置され、左右両端部には、ヘッドユニット83をキャリッジ82に固定するための固定ねじ164(ねじ孔)が設けられている。固定ねじ164は、上方にサイドプレート152を越えて延在しており、サイドプレート152の上側から操作できるようになっている。そして、ヘッドユニット83をキャリッジ82に装着する段階では、装着を許容すべく仮締めされている。なお、請求項の「第1位置決め手段」とは、位置決めピン163を言い、「第2側位置決め手段」とは、サイドピン161を言う。
【0052】
ここで、図8を参照して、キャリッジ82へのヘッドユニット83の着脱作業、すなわち、ヘッドユニット83のキャリッジ82への装着およびキャリッジ82からの離脱について説明する。
装着に先立ちヘッドユニット83は、上述のように微調整機構120と複数の印刷ヘッド76を搭載した各サブプレート95とをヘッドプレート94に仮組みした状態にあり、各印刷ヘッド76には、サブタンクユニット(図示省略)に至る個別チューブ(図示省略)を接続しておく。作業者は、先ず取っ手部144と指掛け部145とを把持してヘッドユニット83をキャリッジ82に運び込み、ヘッドユニット83の先端(取っ手部144側)を、一対のサイドベース部157の前端部に載せ込む。ここで、ヘッドユニット83を支持ベース153に並行に保持すると共に、ヘッドプレート94の一対のスライド係合部146の先端を一対のスライドガイド159の前端に合わせ込む。続いて、取っ手部144を把持した方の持ち手を離しつつ、他方の持ち手でヘッドユニット83を押し込んでゆく(図8(a)参照)。
【0053】
ヘッドユニット83を、一対のスライドガイド159に案内させ一対のサイドベース部157上をスライドさせてゆくと、ヘッドプレート94の後方位置決め部148が連結プレート部158の位置決めピン163に突き当たるようにして係合すると共に、一方の前方位置決め部147がサイドピン161に突き当たるようにして係合する。作業者は、後方位置決め部148が位置決めピン163に、また前方位置決め部147がサイドピン161に係合を開始した時点でスライドの重みを感じ、続いて突き当てを感ずることで、ヘッドユニット83の装着完了を体感する。ヘッドユニット83の装着が完了したら、キャリッジ82後方の固定ねじ164を本締めすると共に、前方の貫通孔167をキャリッジ82のねじ孔162に合わせてねじ止めすることによって、ヘッドユニット83をキャリッジ82に完全に固定する(図8(b)参照)。
【0054】
ここで、印刷ヘッド76に接続された個別チューブを、インク流路に至るマニホールド(図示省略)にしっかりと接続すると共に、ヘッド制御基板モジュール(図示省略)に至るフラットフレキシブルケーブル(図示省略)のコネクタを印刷ヘッド76に接続する。次に、微調整機構120による、複数の印刷ヘッド76を搭載したサブプレート95の位置調整を行う。上述したように、仮組みされた微調整機構120において、上から仰俯角調整、X調整、Θ調整を順に行い、印刷ヘッド76の最終的な微調整が為される。これにより、キャリッジ82へのヘッドユニット83の装着が完了する。
【0055】
一方、ヘッドユニット83の取外し作業は、装着作業の逆の手順によってヘッドユニット83がキャリッジ82から取り外される。先ず、作業者は、個別チューブをマニホールドから取り外すと共に、ヘッド制御基板モジュールに至るコネクタの中継基板を印刷ヘッド76から取り外す。そして、前方および後方でヘッドユニット83を固定していた固定ねじ164を緩め、一方の持ち手でヘッドユニット83の指掛け部145に指を掛けて手前に引抜き、キャリッジ82とヘッドユニット83との係合を外す。ヘッドユニット83をそのままスライドガイド159に沿って引抜き、ヘッドユニット83がほぼスライドガイド159から外れた時点で、他方の持ち手で取っ手部144を把持し、完全にキャリッジ82から取り出す。この一連の作業によって、キャリッジ82へのヘッドユニット83の着脱が行われる。
【0056】
以上の構成によれば、複数のキャリッジユニット42を周方向に配置したセンタードラム式のインクジェット装置1であっても、回転ドラム61に対して様々な角度および高さで設置されたキャリッジ82に対して、ヘッドユニット83を簡単且つ円滑に装着することができる。
【符号の説明】
【0057】
42…キャリッジユニット 61…回転ドラム 76…印刷ヘッド 82…キャリッジ 83…ヘッドユニット 94…ヘッドプレート 120…微調整機構 144…取っ手部 145…指掛け部 146…スライド係合部 159…スライドガイド… 161…サイドピン 163…位置決めピン A…記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ヘッドをヘッドプレートに搭載したヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットを保持するキャリッジと、を備え、
前記ヘッドユニットは、前記キャリッジに対しスライド式で着脱自在に装着されていることを特徴とするキャリッジ装置。
【請求項2】
前記キャリッジは、
前記ヘッドユニットの着脱をガイドする一対のスライドガイドと、
スライド方向の一方の側において、装着状態の前記ヘッドユニットの位置を位置決めする第1位置決め手段と、
スライド方向の他方の側において、装着状態の前記ヘッドユニットの位置を位置決めする第2位置決め手段と、を有していることを特徴とする請求項1に記載のキャリッジ装置。
【請求項3】
前記第2位置決め手段は、前記ヘッドプレートの前記他方の側の一部に当接して、前記ヘッドユニットを位置決めするサイドピンを有していることを特徴とする請求項2に記載のキャリッジ装置。
【請求項4】
前記ヘッドプレートは、前記一対のスライドガイドに係合するスライド係合部と、前記スライド係合部に連なり前記スライド係合部より幅広に形成された位置決め係合部と、を有し、
前記ヘッドユニットは、装着完了直前に位置決め係合部が前記サイドピンに係合して位置決めされることを特徴とする請求項3に記載のキャリッジ装置。
【請求項5】
前記印刷ヘッドは、位置決め状態でサブプレートに装着され、前記サブプレートを介して前記ヘッドプレートに搭載されており、
前記ヘッドプレートと前記サブプレートとの間には、前記ヘッドプレートに対する前記サブプレートの、前記スライド方向の位置および所定の平面における前記サブプレートの回転位置並びに前記所定の平面に対する仰俯角を微調整する微調整機構を、さらに有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のキャリッジ装置。
【請求項6】
前記ヘッドプレートは、
前記一方の側において、前記ヘッドプレートの表側の面から外側に突出する取っ手部と、
前記他方の側において、前記ヘッドプレートの裏側の面に設けた指掛け部と、を有していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のキャリッジ装置。
【請求項7】
記録媒体を一方向に回転する回転ドラムの外周面に密着させて送る記録媒体送り手段と、
送られてゆく前記記録媒体に臨み、前記記録媒体にインクジェット方式で印刷を行う請求項1ないし6のいずれかに記載のキャリッジ装置の複数台と、を備え、
複数台の前記キャリッジ装置は、前記回転ドラムの放射方向に配設されていることを特徴とするインクジェット装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−93174(P2011−93174A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248496(P2009−248496)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】