説明

キャリヤー、ターゲッティング部分、および造影剤を含んでいる医療用イメージングのための接合体

この発明は、体への薬剤の送達に関する。このような薬剤の1つの特定の種類は、医療用イメージング技術において有用な造影剤である。これらの薬剤は、陽電子放出断層撮影(PET)を包む、磁気共鳴イメージング(MRI)または核イメージングにおける造影剤として、または放射線治療における治療薬として有用な金属であってもよい。これらの薬剤はあるいはまた、X線イメージングにおいて有用な造影剤であってもよい。本発明はまた、体への送達剤が、キャリヤーへ、および体内の特定の部位へ薬剤を向けるのに効果的なターゲティング部分へ連結されうる方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、体への薬剤の送達に関する。このような薬剤のある種類は、医薬用イメージング技術において有用な造影剤である。これらの薬剤は、陽電子放出断層撮影(PET)を包含する、磁気共鳴イメージング(MRI)、または核イメージングにおける造影剤として、または放射線治療における治療薬として有用な金属であってもよい。これらの薬剤は、あるいはまた、X線イメージングにおいて有用な造影剤であってもよい。本発明はまた、体へ送達される薬剤を、キャリヤーへ、および体内の特定の部位へ薬剤を向けるのに効果的なターゲッティング部分へ、結合する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
例えばMRIまたはX線イメージングなどの技術によって得られる画像のコントラストを、適切な造影剤の先行投与によって向上させることは知られている。X線イメージングの場合、このような薬剤は典型的には、極めて放射線不透過性の材料であり、一方、MRIの場合、これらは典型的には、これらが導入される媒質の緩和時間に影響を与える常磁性種である。核イメージングにおいて、放射性種が位置する体内の部位を視覚化するのに用いられる信号を発生させるために、放射性種が用いられる。
【0003】
改良された性能を示す造影剤を含有する新調合物を開発するために、多くの試みがなされてきた。このような改良は、体内での造影剤の滞留時間の増加、および薬剤が送達される特異性の改良、すなわち体内の特定の部位における薬剤の濃度を含みうる。
【0004】
核イメージングにおいて、放射性金属イオンは、キレート部分、例えばジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)を用いて、モノクローナル抗体(Mab)へ直接付着されてきた。しかしながらこの化学作用は、非特異的であることが発見されており、一般に、抗体結合活性の減少を生じ、この減少幅は、Mabへ連結される薬剤の増量とともに増加する。
【0005】
例えばモノクローナル抗体が、DTPA無水物(DTPAa)で標識され、この錯体は、[153Sm]塩化物をキレートするために用いられた(Bonifaceら、1989、J Nucl Med 30:683−691)。この錯体は、20の金属イオンが加えられた時、90%超の抗体結合活性を保持した。しかしながら金属イオンの数が50に増加した時、免疫反応性は、50%以下に低下した。金属での抗体の標識は、抗体結合活性が悪影響を受ける前に結合されうるモル比の点で、明らかに制限されている。
【0006】
ほかの研究者らは、2:1という低いDTPA:Mab比において、抗体結合活性の明確な損失が生じることを示している(Paikら、1987、J Nucl Med 24:1158−1163)。
【0007】
いくつかの商用抗体ベース製品を生成するために、抗体の直接標識が用いられてきた。例えばCEA−scan(商標)およびOnco−Scint(商標)は、癌をイメージングするために用いることができる、商品として入手しうる薬剤である。これらの薬剤は、99mTcで直接標識された抗体からなり、静脈投与した時、これらは、癌細胞に結合する。
【0008】
同様の手法が、MRIの分野においても取られ、この場合、初期の研究は、DTPAaを用いて、DTPA−Gdでモノクローナル抗体を標識することを調べた(Ungerら、1985、Investigative Radiol 20(7):693−700)。しかしながらGd積載のレベルは、非常に低く(1抗体分子あたり1.5Gd3+イオン)、抗体−DTPA−Gdによる画像の向上は、in vivoモデルにおいて見ることができなかった。MRIによって検出されるのに十分大きな信号を生成するために、少なくとも100Gd原子が各抗体分子へ結合される必要があるであろうと仮定された。
【0009】
同様な線に沿ったほかの手法が、文献において報告されている(例えば、Shahbazi−Gahroueiら、2002、Aust Phys and Eng Sci in Med 25(1):31−38、Matsumuraら(1994)、Acta neurochirurgica 60:356−358、Curtetら(1988)、Intl J Cancer2:126−132)。
【0010】
造影剤とターゲッティング部分、例えば抗体との直接接合に関わるすべての手法について共通の問題は、造影剤の添加は低レベルに維持されなければならないが、それは、さもなければ抗体の免疫反応性が悪影響を受けるからである。造影剤の積載量は、その結果として、さもなければ望ましい積載量よりも低くなることがあり、そのため所望のコントラスト作用よりも低くなることがある。同様に、治療薬がターゲッティング部分と接合される場合、この薬剤の有効性は、この薬剤の積載量を比較的低く維持する必要性によって弱められることがある。
【0011】
血液プールにおける造影剤の滞留時間を増加させるために、造影剤用のキャリヤーとして、ポリマー分子が用いられてきた。初期の実験においては、ヒトアルブミンやポリリジンなどのキャリヤーがDTPAで標識され、MRI造影金属を運ぶために用いられた(例えばポリリジンに結合されたDTPA−Gd、Gerhardら(1994)、MRM32:622−628参照)。ほかの研究においては、ウシ血清アルブミンおよびウシ免疫グロブリンが、DTPAおよびGdで標識され(Laufferら(1985)、Magnetic Resonance Imaging 3(1):11−16)、ポリ−L−リジン主鎖をベースとするポリペプチドが、DTPAaと反応させられ、イメージングの目的で111Inをキレートするために用いられた(Pimmら(1992)、Eur J Nucl Med 19:449−452)。これらの研究において、キャリヤー結合造影剤は、血液プール中でより長い滞留時間を有することが発見された。
【0012】
上に概略を示した2つの一般的な手法を組合わせるため、すなわちキャリヤー分子を利用して、造影剤の積載量を増加させ、ターゲッティング部分を用いて特異性を改良するための試みもなされてきた。
【0013】
1つの研究において(Gohr−Rosenthalら(1993)、Invest Radiol 28:789−795)、DTPA−Gdで標識されたポリリジンが、MRI造影剤として用いられた。平均して、1ポリマーあたり65Gdイオンという積載量が達成された。これは、モノクローナル抗体へ連結され、ヌードマウス上のヒト腫瘍を評価するために用いられた。過ヨウ素酸塩での抗体の活性化後、ポリマーの200倍モル過剰を用い、還元性アミド化によってMabがポリリジンDTPAへ連結された。ついでGd3+が、10倍モル過剰で添加された。抗体結合研究は、抗体結合活性が、遊離抗体と比較して60〜70%減少したことを示した。同様に、ポリリジン抗体接合体が免疫原性であり、主要器官、例えば肝臓および腎臓によって取り込まれることも注目された。
【0014】
DTPA−Gdを有するポリ(L−リジン)鎖とMabとの接合のもう1つの例は、Manabeら(1986)、Biochemica at Biophysica Acta 883(3):460−467によって記載された。
【0015】
同様な手法が、体への薬品の送達に関連して取られた。例えば、抗癌剤のメトトレキセート(MTX)が、ヒト結成アルブミンへ連結された(Pimmら、1988、「抗癌剤の開発におけるヒト腫瘍異種移植(Human tumour xenografts in anticancer drug development)」、pp95−98、publ Springer Verlag)。30までのMTX分子が、アルブミンへ化学的に連結され、その結果生じた接合体が、抗体へ化学的に連結された。しかしながら、抗体−アルブミン−MTX接合体は、遊離抗体と比較して、血液プールの半減期がはるかに短かった。
【0016】
MTXを用いた同様な研究が、Hartungら(1999)、Clin Cancer Res 5(4):753−759によってなされた。この中で、はるかに低いレベルのMTXが、HSA分子へ積まれた。この減少された薬品負荷を用いた場合、この薬品の半減期は、3週間までであると評価された。
【0017】
WO94/12218号および第US4,794,170号は、慢性B型肝炎の治療のために、肝臓へ抗ウイルスヌクレオシド接合体を向けるための、ラクトースアミノ化ヒトアルブミンの使用について記載している。WO90/01900号は、特異的細胞型へのMRI造影剤の標的送達のためのキャリヤー系について記載している。これは、常磁性材料のための錯化剤へ化学的に結合された細胞型用受容体特異的リガンドを含んでいる。ポリ(L−リジン)は、1ターゲッティング基あたりのキレート基の数を増加させるために、アシアログリコプロテイン標的剤へ連結される。しかしながらポリ(L−リジン)連結は、キレート基の付着の前に実施され、したがってこの錯体の結合活性に対する潜在的に有害な作用を有するポリ(L−リジン)キャリヤーおよびアシアログリコプロテイン標的剤の変性が、必然的に起こることになる。
【0018】
体への薬剤の標的化送達のほかの手法は、典型的には10μm未満の寸法を有する分子凝集体(例えばリポソーム)および粒子の使用を伴っていた。
【0019】
リポソームを用いて行なわれた研究の例には、次のものが含まれる:
米国特許第5,929,044号は、標的剤を用いた、細胞への生物活性化合物の送達について記載している。この生物活性剤は、リポソームまたはウイルスのどちらかの中において運ばれる。
【0020】
イメージング剤のキャリヤ−/標的キャリヤーとしてのリポソームの使用に関する多数の出版物が、Caride(1985)の「治療薬キャリヤー系における批判的評論(Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems)」、1(2)121−153、およびTilcock(1999)Adv Drug Deliv Reviews37:33−51によって記載されている。
【0021】
DTPA−Gdはステアリルアミンへ化学的に連結され、リポソーム膜の表面中に組み込まれてきた。これらの粒子は、DTPA−Gd単独と比較して、増加した緩和能(relaxivity)を有していた(Kunimasaら(1992)Chem and Pharm Bulletin(Japan)40(9):2565−2567)。
【0022】
多くの研究がなされているもう1つの分野は、造影剤を送達するためのナノ粒子の使用、および疾病部位へ薬剤を送達するためのこれらのナノ粒子の標的化である。
【0023】
ナノ粒子を用いて実施された研究例には、次のものが含まれる:
フィブリン標的Gd−DTPA−ビス−オレエートナノ粒子を用いた血栓のイメージング、およびフィブリンを用いたGd−DTPA−ホスファチジルエタノールアミン(PE)ナノ粒子での同様な標的化が、Winterら(2003)「医学における磁気共鳴(Magnetic Resonance in Medicine)」、50(2):411−416によって記載されている。
【0024】
いくつかのグループが、標的化酸化鉄ナノ粒子の使用について記載している。例えばSuwaら(1998)Intl J Cancer 75(4):626−634は、上皮成長因子に対して向けられた、Mabでコーティングされたスーパーパラマグネタイト(T2造影剤)のナノ粒子について記載した。同様な研究が、Mab標識ポリエチレングリコールコーティングされた鉄ナノ粒子を用いたSuzukiら(1996)の「脳腫瘍病理学(Brain Tumour Pathology)」によって行なわれた。
【0025】
別の手法において、Artemovら(2003)「医学における磁気共鳴」(Magnetic Resonance in Medicine)、49(3):403−408は、ビオチニル化されているMabを用いてチロシンキナーゼHer−2/neu受容体をまず標的化することについて記載した。ついでストレプトアビジン標識スーパーパラマグネタイトナノ粒子が、これらのビオチニル化癌細胞を標的とするために用いられた。これらのナノ粒子は、強いT2MRIコントラストを発生させた。
【0026】
多数のGd−DTPA錯体が外部表面上に組み込まれているフィブリン標的脂質カプセル化ペルフルオロカーボンナノ粒子からなるT1造影剤が、Yuら(2000)「医学における磁気共鳴」(Magnetic Resonance in Medicine)、44(6):867−872によって記載されている。これは、血塊へ強力に結合することが証明された。
【0027】
もう1つのペルフルオロカーボンベースのナノ粒子が、Andersonら(2000)Magnetic Resonance in Medicine 44(3):433−439によって記載された。この中で、Gd−ペルフルオロカーボンナノ粒子が、(特異的Mabを用いて)脈管形成性内皮上に存在するアルファ(v)ベータ(3)インテグリンへ標的化された。
【0028】
ヒト膀胱癌に対するMabが、Samten(1996)Chinese J Microbiol and Immunol 16:54−57によって、アドリアマイシン積載ヒトアルブミンナノ球へ連結された。
【0029】
キャリヤー/標的キャリヤーとしての微小球の使用が、いくつかの論文に記載されている。例えば、Klibanov(1999)Adv Drug Deliv Reviews 37:139−157は、標識することができ、かつ標的造影剤として用いることができる、ガス充填された超微粒気泡について記載した。WO03/015756号は、タンパク質材料の微小球の調製方法、および治療薬および造影剤のこれらの微小球中への組み込みについて記載している。
【0030】
アルブミン微粒子へ連結された薬品の送達について記載している多くの出版物があった。例えば細胞傷害性薬品(ドキソルビシンおよびミトマイシンc)が、40μmヒトアルブミン微小球上に積載され、結腸直腸肝臓転移を有する患者の肝臓へ投与されている(Kerrら(1992)EXS(スイス)61、339−345)。
【0031】
実施されてきた研究のボリュームにも関わらず、効果的な標的化のために、該薬剤を有する接合体の十分な積載、およびターゲッティング部分の結合活性の保持への相反する必要を満たす、体への送達剤の標的化接合体へのニーズが依然として存在する。
【0032】
したがって、キャリヤーと薬剤との接合、およびこの接合体を意図された作用部位へ向けるターゲッティング部分との接合による、薬剤、特に造影剤の体への標的化送達のための手段であって、この接合体がターゲッティング部分の十分に高い結合活性を維持しつつこの薬剤の高い積載量を受け入れる手段を提供することが、本発明の1つの目的である。
【0033】
本発明のもう1つの目的は、ターゲッティング部分との多数の共有結合の形成によって引き起こされることがあるターゲッティング部分の結合活性の破壊をともなわずに、多数の造影剤と1つまたはそれ以上のターゲッティング部分との結びつきを可能にすることである。
【0034】
金属イオンの体内での局在化における高度の特異性を維持しつつ、多量の金属イオンの体への標的化送達のための手段を提供することが、本発明のさらにもう1つの目的である。
【0035】
体への薬剤の送達用の標的化接合体の組立てのための方法であって、この接合体の標的化における高度の特異性を維持しつつ、これらの接合体が該薬剤の高い積載量を運ぶことを可能にする方法を提供することが、本発明のさらにもう1つの目的である。
【特許文献1】WO94・12218号
【特許文献2】WO90/01900号
【特許文献3】米国特許4,794,170号
【特許文献4】米国特許5,929,044号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0036】
本発明の第一の態様によれば、医療用イメージングにおける使用のための接合体であって、タンパク質分子またはタンパク質分子から形成された粒子の形態のキャリヤーを含み、このキャリヤーが、造影剤またはその前駆体へ、および体内の特定の部位との親和性を有するターゲッティング部分へ結合されている接合体が提供される。
【0037】
造影剤の「前駆体」とは、それ自体が造影剤として効果的でないが、使用前にいくつかのほかの種との反応または混合によって効果的にすることができる部分を意味する。このような前駆体の一例は、造影剤として機能する金属キレートを形成するように金属イオンとの結合を形成しうる金属キレート部分である。
【0038】
「医療用イメージング」とは、診断、研究、または治療的処理の目的で、人体または動物の体の内部区域を可視化するために用いられるあらゆる技術を意味する。このような技術には、主としてX線イメージング、MRI、および核イメージングが含まれ、PETも含まれる。このような技術を向上するのに有用な薬剤は、体内の特定の部位、器官、または疾病部位の可視化を可能にし、および/またはイメージング技術によって発生された画像の品質における何らかの改良につながる材料であり、これらの画像の改良された、またはより容易な解釈を与える。このような薬剤は、本明細書において造影剤と呼ばれ、これらの使用は、画像の異なる区域間の「コントラスト」を高めることによって、この画像の異なる部分の区別を容易にする。したがって「造影剤」という用語は、(例えばMRIの場合のように)このような薬剤の不存在下においても作られうる画像の品質を向上させるために用いられる薬剤、ならびに(例えば核イメージングの場合のように)画像の発生のための前提となっている薬剤を包含する。
【0039】
この接合体は「造影剤」および「ターゲッティング部分」を含んでいるが、実際には実質的に多数の造影剤(またはこれらの前駆体)が各キャリヤーに結合され、1つより多いターゲッティング部分がキャリヤーへ結合されてもよいと理解されるであろう。一般に、キャリヤーがタンパク質分子の形態を有する場合、各キャリヤーへ結合された造影剤の数は、数十、例えば10〜100、より好ましくは20〜60、例えば20〜50であってもよい。同様な数の造影剤が、粒子の形態のキャリヤーを構成する各タンパク質分子へ結合されてもよい。しかしながら1つの粒子が一般に、非常に多数の個々のタンパク質分子(おそらく103〜1011分子)から形成されるので、各粒子と結びついた造影剤の全体数は、それに対応して大きくなるであろう。キャリヤーがタンパク質分子の形態を有する場合、1キャリヤーあたりのターゲッティング部分の数は一般に5未満であり、たった1つであることもある。微粒子キャリヤーの場合、ターゲッティング部分の数はこれよりもかなり多くてもよく、一般にこれよりもかなり多いであろう。キャリヤーがタンパク質分子の形態にある場合、1つより多いキャリヤーが単一ターゲッティング部分へ連結されることも可能である。ただし、1ターゲッティング部分あたりのキャリヤーの数は一般に10未満であろうし、普通は1、2、または3である。一般に、少数のキャリヤーのみがターゲッティング部分へ結合されるのが好ましいが、それは、ターゲッティング部分とキャリヤーとの間の過剰な数の結合はターゲッティング部分の結合活性に対して悪影響を有することがあるからである。
【0040】
本発明による接合体は一般に、製薬的に許容しうる液体媒質を含んでいる調合物として体へ投与される。この媒質は一般に、水性媒質、最も普通には適切な賦形剤を含有する水溶液であろう。このような賦形剤は、1つまたはそれ以上の張性調節剤、防腐剤、界面活性剤、およびほかの従来の製薬賦形剤を含んでいてもよい。
【0041】
本発明による接合体は、液体媒質中に可溶であってもよく、この場合この調合物は一般にこの接合体の溶液であろう。あるいはまたキャリヤーが粒子である場合、この粒子、したがってこの接合体は一般に不溶性であろうし、この調合物は液体溶媒中のこの接合体の懸濁液または分散液であろう。
【0042】
したがって本発明の第二の態様によれば、本発明の第一の態様による接合体を、製薬的に許容しうる液体媒質と混合して含んでいる調合物が提供される。
【0043】
本発明による接合体および調合物は、多くの点で有利である。第一に、これらは造影剤の血流中の滞留時間を延ばすことができる。さらには、特定の器官または疾病部位との親和性を有するターゲッティング部分の存在は、その位置への造影剤の送達を向上させ、例えば造影剤を特定の器官または疾病部位(例えば肝臓または腫瘍中)に蓄積させることによって、これらの薬剤の生体分布を改変し、その器官または疾病部位を標的とし視覚化することを可能にする。造影剤のための「キャリヤー」の使用は、体内の所望の部位へ送達される造影剤の量を増加させることができる。このことは、背景(非疾病)組織に対する信号/ノイズ比の増加によって検出を向上させうる。ターゲッティング部分の使用は、正常/健康な組織への薬剤の送達を避ける。さらには下で説明されているように、多量の造影剤が、ターゲッティング部分の結合能力を損傷することなく、キャリヤーへ接合されうる。
【0044】
本発明において用いうるMRI造影剤には、金属イオン、特にガドリニウムが含まれる。このようなイオンは、キャリヤー材料へ共有結合されているキレート部分を介してキャリヤー材料へ連結されうる。
【0045】
同様に、核イメージングにおいて有用な金属、例えば99mTc、201Tl、および111Inもまた、直接または間接的(例えばキレート部分を介して)にキャリヤー材料へ連結されうる。
【0046】
造影剤として効果的な金属が本発明の第一の態様による接合体の形態で体に送達されうる方法と同様にして、ほかの金属もほかの目的のために体へ送達されてもよい。例えばいくつかの金属は直接治療効果を有しうる。例えば放射線治療において有用な放射性金属である。このような放射性金属の1つは67Cuであり、これはイメージング技術において用いられる金属と類似の方法においてキャリヤーへ結合されうる。その結果生じた接合体は、標的化された放射線治療に用いることができる。
【0047】
したがって本発明のもう1つの態様において、体への金属の送達のための接合体であって、タンパク質分子またはタンパク質分子から形成された粒子の形態のキャリヤーを含み、このキャリヤーがキレート剤を介して前記金属へ連結され、かつ体内の特定の位置との親和性を有するターゲッティング部分と接合されている、接合体が提供される。
【0048】
上記のように、この金属は例えばMRIまたは核イメージングにおける造影剤として有用な金属であってもよく、またはこれは治療において有用な金属、例えば放射線治療において有用な放射性金属であってもよい。1つより多い種類の金属(例えば造影剤(例えばガドリニウム)と放射線治療薬(例えば67Cu)との混合物)を含有する接合体を調製することも可能である。同様に、1つより多い接合体(例えば造影剤を含んでいる第一接合体、および放射線治療薬を含んでいる第二接合体)を含む調合物を調製することも可能である。このような手段によって、従来のイメージング技術を用いて体内でのこの薬剤の正確な送達および位置を決定し、そうすることにおいて放射性同位元素の首尾良い送達を確認することが可能である。
【0049】
放射性同位元素および/またはイメージング剤を運んでいてもよい、より大きいサイズ(例えば10μm以上)の粒子を調製することも可能であろう。これらは腫瘍の微小循環中へ(例えばカテーテルによって)送達することができ、したがって毛管遮断によって血液供給を減少させることができる。さらには、放射性同位元素が粒子上に存在する場合、これは腫瘍中に送達され(その結果細胞死を生じる)、造影剤、例えばガドリニウムの存在は、従来のイメージング技術(例えばMRI)を用いて経時的に腫瘍をイメージングすることを可能にするであろう。
【0050】
本発明の第一の態様による接合体は、ターゲッティング部分の不存在下において、キャリヤーと造影剤とを、またはこれの前駆体とを反応させ、その後ヘテロ二官能性架橋剤を用いてターゲッティング部分へキャリヤーを連結することによって調製することができる。この方法はより一般的に適用可能であり、多様なキャリヤーと体への送達剤との標的化された接合体の調製において有用である。したがって本発明のもう1つの態様によれば、体への送達剤とキャリヤーとの標的化された接合体の調製方法であって、
(a)体への送達剤またはこれの前駆体とキャリヤーとを反応させて中間接合体を形成すること、およびその後に
(b)(i)この中間接合体とヘテロ二官能性架橋剤とを反応させて中間接合体を活性化させ、ついでこの活性化された中間接合体とターゲッティング部分とを反応させること、または(ii)この中間接合体とヘテロ二官能性架橋剤との反応によって活性化されたターゲッティング部分とを反応させること、または(iii)この中間接合体、ヘテロ二官能性架橋剤、およびターゲッティング部分を、同時に互いに反応するようにさせること
を含む方法が提供される。
【0051】
キャリヤーと体への送達剤(またはこれの前駆体)との反応、およびヘテロ二官能性架橋剤との反応は、キャリヤー上に存在する2つの異なる種類の官能基を介するものであることが特に好ましく、このヘテロ二官能性架橋剤とターゲッティング部分との反応がターゲッティング部分上に存在する第三の種類の官能基を介して起こり、3つの型の官能基が互いに異なることが特に好ましい。
【0052】
本発明のこの態様による方法は、キャリヤーと体への送達剤(またはこれの前駆体)との反応、およびキャリヤーとターゲッティング部分との反応が、別々の工程において実施されるという点において有利である。したがってキャリヤーは、ターゲッティング部分と接合される前に体への送達剤と反応させられ、体への送達剤とターゲッティング部分との反応が避けられる。キャリヤー上、したがって最終接合体上の薬剤の高い積載量は、これによってターゲッティング部分の結合活性に対して最小限の悪影響しかともなわず、またはターゲッティング部分の結合活性に対する悪影響をまったくともなわずに達成することができる。この方法にしたがって調製された接合体は、したがって体への送達剤(またはこれの前駆体)のターゲッティング部分での不存在を特徴とするものであってもよい。言い方を変えると、この接合体は好ましくは体への送達剤(またはこれの前駆体)の少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%が、ターゲッティング部分へではなく、キャリヤーへ共有結合される。これによって結合活性の損失は最小限となり、本発明によって調製された接合体は、したがって接合体におけるターゲッティング部分の結合活性が、競合結合アッセイにおいて測定された場合、遊離ターゲッティング部分の結合活性の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、70%、80%、または少なくとも90%であることを特徴としうる。
【0053】
キャリヤーが粒子の形態を有する場合、本発明による方法は、粒子形成材料から粒子を形成する予備工程を含んでいてもよく、この粒子は、ついで体への送達剤(またはこれの前駆体)と、およびその後にターゲッティング部分と反応させられるキャリヤーを構成する。
【0054】
この方法の変形例において、粒子の形成工程は、体への送達剤またはこれの前駆体が粒子形成材料と反応させられた後に行なわれてもよい。
【0055】
キャリヤーが体へ送達されることになる薬剤の前駆体と反応させられる場合、この前駆体はその後薬剤へ転換される。このような転換は、この方法の工程(b)の前、その後、または同時に行なわれてもよい。前駆体がキレート剤であり、転換がキレート剤と金属イオンとの間のキレートの形成を伴う場合、金属イオンの添加の間は反応混合物のpHが5.0〜6.5に維持されることが好ましい。
【0056】
この方法は、キャリヤーがタンパク質性である接合体の調製へ特に適用可能である。
【0057】
架橋剤が、キャリヤー上に存在しかつターゲッティング部分に存在しない基(例えばスルフヒドリル基)との反応に特異的な1つの官能性、およびターゲッティング部分上に存在しかつキャリヤーに存在しない基(例えばアルデヒド基)との反応に特異的な第二の官能性を有することが非常に好ましい。これは、キャリヤーおよび/またはターゲッティング部分の互いの連結を生じるであろう望まれない副反応の発生を減少または排除する。この方法はまた、体への送達剤がカルボキシル基またはその誘導体を有するか、またはカルボキシル基またはその誘導体を含有する中間化合物または部分を介してキャリヤーへ連結される、接合体の調製へも特に適用可能であり、この場合キャリヤーとの連結は、これらのカルボキシル基とキャリヤー中に存在するアミノ基との間に形成されたアミド結合によるものであってもよい。
【0058】
ヘテロ二官能性架橋剤がキャリヤー上に存在するスルフヒドリル基と反応する場合、中間接合体上の遊離スルフヒドリル基がこの方法の工程(a)の間に可逆的にブロックされることが発見された。このような場合、この方法は好ましくは遊離スルフヒドリル基のアンブロッキングの中間工程を(工程(a)と(b)との間に)含む。このようなアンブロッキングは好ましくは、20〜50℃の温度において1〜24時間の間、中間接合体をインキュベーションすることによって実施される。
【0059】
本発明のさらにもう1つの態様によれば、医療用イメージング技術によって得られた画像のコントラストの向上方法であって、画像が得られる前に本発明の第一の態様による接合体または本発明の第二の態様による調合物を、画像が得られることになるヒトまたは動物被験者へ投与することを含む方法が提供される。さらには、医療用イメージング技術によって得られることになる画像のコントラストを向上させるための調合物の製造における、本発明の第一の態様による接合体の使用も提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
キャリヤー材料の性質
本発明の第一の態様による接合体は、造影剤およびターゲッティング部分用のキャリヤー材料としてタンパク質を含んでいる。
【0061】
キャリヤー材料として用いることができるタンパク質には、球状タンパク質および繊維状または構造タンパク質、およびこれらの混合物が含まれる。
【0062】
球状タンパク質の例には、合成または天然血清タンパク質、これらの天然または合成誘導体、塩、酵素的、化学的、またはほかの方法で変性されるか、切断されるか、短縮または架橋されるか、酸化されるか、または加水分解された、これらの誘導体またはサブユニットが含まれる。繊維状タンパク質または構造タンパク質の例には、合成または天然コラーゲン、エラスチン、ケラチン、フィブロイン、フィブリン、およびフィブロネクチン、これらの天然または合成誘導体、およびこれらの混合物が含まれる。血清タンパク質の例は、アルブミン、α−グロブリン、β−グロブリン、γ−グロブリン、トランスチレチン、フィブリノーゲン、トロンビン、およびトランスフェリンである。
【0063】
このタンパク質は最も好ましくは、単一の完全なまたは実質的に完全なタンパク質分子である。しかしながらこのタンパク質分子は、完全なまたは実質的に完全な接合タンパク質分子のオリゴマーであってもよい。このようなオリゴマーは、タンパク質ダイマー、またはトリマー、または例えば20以下の別々のタンパク質分子、より好ましくは10以下、または5以下の別々のタンパク質分子を含んでいる、より長いオリゴマーであってもよい。
【0064】
このタンパク質分子はあるいはまた完全タンパク質分子の断片であってもよく、これは天然由来のタンパク質分子中に見られるアミノ酸の配列に対応するが長さがより短いアミノ酸の配列を含んでいる分子を意味する。しかしながらこのような断片は好ましくは、天然由来タンパク質分子の長さの50%超、60%超、70%超、80%超、または90%超、最も好ましくは95%超の長さを有し、かつ天然由来タンパク質分子の対応部分と、80%超、90%超、または最も好ましくは95%超の相同性の程度を有するアミノ酸の配列を含んでいる。
【0065】
トランスフェリンは、多くの潜在的連結部位を有し、本発明による接合体の血液脳関門を通る輸送を容易にすることができ、そしてこれは組換え生成物として調製されうるという点で、キャリヤー材料として特別な利点を有しうる(例えば、MacGillivrayら、2002、「分子鉄および細胞鉄輸送(Molecular and Cellular Iron Transport)、Templeton(Ed)、Marcel Dekker,Inc.p41、およびMasonら、1993、「生化学(Biochemistry)」、32:5472参照)。
【0066】
特に好ましいキャリヤー材料は、下に詳細に記載された理由から、アルブミンである。
【0067】
これらの接合体が人体への投与を意図している場合、このキャリヤー材料は好ましくはヒト起源である。すなわち実際にヒトに由来するか、または構造がヒト起源のタンパク質と同一である(または実質的に同一である)。したがって特に好ましいキャリヤー材料は、ヒト血清アルブミンである。
【0068】
ヒト血清アルブミンは血清由来であってもよく、例えば献血された血液から得られてもよい。しかしながら、血液由来物中に存在しうる潜在的汚染物質(例えばウイルスまたはほかの有害な薬剤)の感染のリスク、ならびに献血された血液から単離された材料と関連する供給の潜在的制約を排除または減少させるために、キャリヤー材料(例えばヒト血清アルブミン)が、キャリヤー材料を発現するために形質転換されるかまたはトランスフェクションされている微生物(細胞株を包含する)、遺伝子導入植物または動物、に由来する組換え生成物であるのが好ましい。
【0069】
本発明における使用のために現在最も好ましいキャリヤー材料は、したがって、組換えヒト血清アルブミン(rHA)である。rHAの適切な形態は、英国ノッティンガムのデルタ・バイオテクノロジー社(Delta Biotechnology Ltd)から商品として入手することができる。
【0070】
rHAの調製方法は一般に、当業者によく知られているであろうし、例えばWO96/37515号およびWO00/44772号に記載されている。
【0071】
rHAの調製の好ましい方法において、初期rHA溶液は、発酵培地中でrHAエンコードヌクレオチド配列で形質転換された菌類を培養することによって得られた菌培養培地に由来し、これによって前記菌類は、rHAを発現し、これをこの培地中に分泌する。この菌類は、糸状菌、例えばAspergillus種であってもよい。好ましくはこの菌類は酵母である。より好ましくは、この菌類は、Saccharomyces(例えばS.cerevisiae)属、Kluyveromyces属(例えばK.lactis)、またはPichia属(例えばP.pastoris)のものである。
【0072】
rHAは好ましくは、遊離−SH(スルフヒドリルまたはチオール)基を有する分子の実質的部分を含有する。これは、下記のように、ターゲッティング部分へのrHA分子の接合の特に有用な手段を提供する。
【0073】
本発明による接合化学が非タンパク質キャリヤーへ適用される場合、多様なキャリヤー材料のどれでも用いることができる。このキャリヤー材料は生物適合性であるべきであり、キャリヤー材料とターゲッティング部分との接合体が、使用前、および生体内でのこれらの有効寿命の間一体性を維持するようなものであるべきである。このキャリヤー材料は2つの異なる種類の官能基を有し、体への送達剤(またはこれの前駆体)への連結、およびターゲッティング部分へのキャリヤー材料との連結のために異なる化学的方法を用いることができるようにすることが非常に好ましい。
【0074】
キャリヤー材料として用いることができるほかの非タンパク質性材料には、多糖類、ならびに適切な合成ポリマーが含まれる。
【0075】
しかしながらこのキャリヤー材料は、最も好ましくはタンパク質性である。キャリヤーが微粒子形態である場合、このキャリヤー材料(または粒子形成材料)は不溶性であってもよく、またはこの粒子は可溶性材料から形成されてついでその後の処理(例えば熱誘導架橋)によって不溶性にされてもよい。例えばこのキャリヤー材料は、コラーゲンまたはゼラチンであってもよい。
【0076】
このキャリヤーが微粒子形態でない場合、このキャリヤー材料は好ましくは可溶性である。
【0077】
アルブミンは、次の理由から可溶性接合体および微粒子接合体の両方にとって、現在のところ最も好ましいキャリヤー材料である:
a)アルブミンは、水性媒質中に可溶である;
b)アルブミンの粒子は、容易に不溶性にすることができる;
c)アルブミン分子中に存在する遊離スルフヒドリル基は、ターゲッティング部分への選択的連結のための手段を提供する;および
d)アルブミンは、体への送達剤のための連結部位を供給するペンダントアミノ基(具体的にはリジン残基)を有する多くのアミノ酸残基を含有する。
【0078】
粒子の形成
粒子形成材料の粒子はいかなる適切な技術によって生成されてもよく、多くのこのような技術は当業者によく知られているものであろう。
【0079】
本発明による粒子の製造のために特に好ましい方法は次の工程を含む:
i)粒子形成材料の懸濁液を形成する工程;および
ii)前記懸濁液をスプレー乾燥する工程。
【0080】
工程(i)、すなわち粒子形成材料の懸濁液の形成は好ましくは、まず粒子形成材料を溶媒中に溶解し、ついでこのように形成された溶液へ粒子形成材料用の非溶媒を添加し、粒子形成材料の沈殿をもたらすようにすることによって実施される。「非溶媒(non−solvent)」とは、粒子形成材料のその中での溶解性が、粒子形成材料の溶媒中での溶解性よりも実質的に小さいが、溶媒と混和しうる液体を意味する。
【0081】
この非溶媒は好ましくは過剰に添加される。すなわち、溶媒へ添加された非溶媒の容積は好ましくは粒子形成材料の溶媒中溶液の容積よりも大きい。換言すれば、工程ii)においてスプレー乾燥される溶媒/非溶媒混合物は最も好ましくは、非溶媒を50%v/vより多く、より好ましくは60%v/vより多く、おそらくは70%v/vより多く含んでいる。
【0082】
最も普通には、溶媒は水である。好ましい非溶媒はエタノールである。しかしながら一般に、非溶媒の添加が粒子形成材料の沈殿を引起こす所望の効果を有し、この溶媒と非溶媒とが用いられた割合で混和しうるならば、溶媒と非溶媒とのいかなる適切な組合わせを用いてもよい。
【0083】
溶媒は最も普通には水であるが、これはあるいはまた例えば有機溶媒であってもよい。このような場合、非溶媒は水であってもよく、非溶媒の使用はその場合、おそらくは可燃性の有機溶媒を含有する懸濁液のその後のスプレー乾燥に関連したリスクの減少において有利になりうる。
【0084】
この粒子形成材料がタンパク質性材料である場合(これが最も普通の場合であるが)、非溶媒の添加による沈殿は好ましくは、懸濁粒子の凝集を防ぐかまたは最小限にするように、およびスプレー乾燥後容易に分散しやすい親水性粒子を生成するために、等電点から離れたpHで実施される。このようにして、同じ目的を達成するために追加の界面活性剤を用いることを回避できる。
【0085】
工程(ii)、すなわち工程i)において形成された懸濁液のスプレー乾燥は、一般に従来の方法で、一般に従来の種類の装置を用いて実施することができる。概略的にはこのスプレー乾燥プロセスは、加熱ガス、最も普通には空気、を含有するチャンバー中に懸濁液をスプレーすることを伴う。このことにより、溶媒/非溶媒混合物は蒸発し、固体粒子を生成する。ガスはチャンバーから引き出され、ガス中で運ばれる粒子は例えばサイクロン分離機またはフィルター配列のなんらかの形態を用いて、ガスから分離される。ついでこれらの粒子は適切な容器中に回収される。
【0086】
スプレー乾燥プロセスによって得られた粒子の性質はいくつかの要因に依存する。これらには、スプレー乾燥装置を通るガスの流量、懸濁液中の粒子形成材料の濃度、溶媒および非溶媒の種類、懸濁液がスプレー乾燥装置中に供給される速度、およびチャンバー中のガスの温度が含まれる。通常、小さいサイズ分布は、低い懸濁液供給速度、適切なノズル設計、高い微粒子化度、および高いガス流量の組合わせによって達成することができる。
【0087】
工程i)と工程ii)との間に、すなわち懸濁液の形成後であるがスプレー乾燥前に、懸濁液の(例えば機械的攪拌による)均質化を行うことが特に好ましい。この結果、懸濁液中の粒子のより均一なサイズ分布、およびこれに対応した工程ii)において形成される粒子のより小さくより均一なサイズ分布が生じる。
【0088】
この懸濁液は好ましくは(特に粒子形成材料がアルブミンである時)、粒子形成材料0.1〜50%w/v、より好ましくは1〜20%w/v、最も好ましくは2〜10%w/vを含有する。粒子形成材料の混合物が用いられてもよい。この場合、上記の数字は粒子形成材料の総含量を表わす。
【0089】
これらの粒子のスプレー乾燥後、これらの粒子が不溶性にされることが必要であるか、または望ましいことがある。これは、粒子形成材料の架橋によって達成されうる。これは、それ自体知られている多様な技術によってもたらされうる。好ましい方法において、これらの粒子は熱処理(例えば150℃より高い温度で、30分間より長く、例えば1時間又は数時間)によって不溶性にされる。
【0090】
上記のような粒子の好ましい調製方法は、このプロセスの2段階(懸濁液の形成およびスプレー乾燥)が、粒子の所望の形態およびサイズ分布を達成するために別々に最適化されうるという点において有利である。これは、これらの粒子の特性に対して高度の制御を与える。特に、このプロセスは特に小さいサイズおよび特に狭いサイズ分布の粒子の生産を可能にする。この方法によって生産された粒子は、例えば大部分が4μm未満の粒子サイズ、および1μm未満のモードピークを有する数サイズ(number size)、および2μm未満の平均サイズ(コールターカウンターを用いて測定された場合)を有しうる。このように小さいサイズの粒子は、これらが非常に小さい血管(毛管)に入ることができ、および/または肺の中に深く浸透しうるという点で有利である。より大きいサイズの粒子(例えば鼻腔投与用)を生成することも可能であろう。
【0091】
これらの粒子は最も一般的には実質的に球形であるから、これらの粒子の「サイズ」への言及は通常、これらの粒子の「直径」を意味することが理解されるであろう。しかしながら、これらの粒子が球形でなくてもよいことも理解されるであろう。この場合、サイズは非球形粒子の質量に等しい質量を有する概念的球形粒子の直径として解釈されうる。
【0092】
薬剤のキャリヤー材料への連結
体への送達剤のキャリヤー材料への連結は、とりわけ薬剤の種類およびキャリヤー材料の種類に応じて、多くの手段のいずれで実施してもよい。しかしながら一般に連結は、キャリヤー材料と薬剤との間の、またはキャリヤー材料と薬剤それ自体と化学的または物理的結合を形成しうる連結部分との間の共有結合の形成を伴う。
【0093】
1つの好ましい連結方法、特に金属(例えばMRIまたは核イメージングで用いられる金属)の連結、または放射線治療で用いられる放射性金属の連結に適した方法は、金属を結合しうるキレート剤とキャリヤー材料との接合を伴う。
【0094】
1つの特に好ましい実施形態において、このキレート剤はキャリヤー材料(例えばアルブミン等のタンパク質性キャリヤー材料)中に存在するアミン基と反応してキレート剤をキャリヤー材料へ連結するアミド結合を形成するカルボキシル基またはその誘導体を含む。ついで金属の適切な塩の溶液が添加されてもよく、接合されたキレート剤による金属のキレートを生じる。
【0095】
用いることができるキレート剤には、複数のアミン基を含有する化合物の酢酸誘導体が含まれる。例には、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、およびこれらの誘導体(例えばジエチレントリアミン五酢酸無水物)が含まれる。使用しうるキレート剤のほかの種類には大環状キレート剤が含まれる。大環状キレート剤の例は次のものである:
1,4,7−トリアザシクロノナン−N,N’,N’’−三酢酸(NOTA)
1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N’,N’’,N’’’−四酢酸(DOTA)
1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン−N,N’,N’’,N’’’−四酢酸(TETA)。
【0096】
キレート剤をキャリヤー材料へ連結するためのほかの方法は、当業者には明らかであろう。適切な化学作用は最も一般的には、キャリヤー材料および/またはキレート剤中に存在するアミン、チオール、カルボニル、カルボキシル、またはヒドロキシル基による連結の形成を伴う。
【0097】
この薬剤が、金属キレートの形態でキャリヤーへ連結される場合、このキレートは製造プロセスの一部として形成されてもよく、あるいはまた金属はあとで(例えば使用の直前に)添加されてもよい。特にこの金属が放射性金属である場合、金属イオンを使用の直前に調合物へ添加することが望ましいことがある。
【0098】
同様に有機剤(例えばX線造影剤として用いられる以下で言及されているヨウ素含有化合物)は、有機剤とキャリヤー材料との間の共有結合の形成によってキャリヤー材料へ直接連結されてもよい。有機剤をキャリヤー材料へ連結する方法もまた当業者には明白であり、キャリヤー材料および/または有機剤中に存在するアミン、チオール、カルボニル、カルボキシル、またはヒドロキシル基による連結の形成を包含してもよい。
【0099】
一般に、有機剤またはキレート剤の1つ以上の分子がキャリヤーへ連結される。より好ましくはこのような分子が10より多く、またはこのような分子が20より多く連結される。タンパク質性キャリヤー材料の好ましい場合(例えばアルブミン)、10〜100、より好ましくは20〜60の有機剤またはキレート剤の分子を各タンパク質分子へ連結する(例えば1タンパク質分子あたりこのような薬剤の20〜50分子を連結する)ことも可能であろう。これは、放射線治療における使用のためのMRI造影剤または放射性金属についての従来の送達系と比較して、このような薬剤のかなり増加した密度を生じる。多くの例では、キャリヤー上の有機剤またはキレート剤の積載量ができるだけ高くなることが望ましいこともありうる。ほかの場合、積載量をより低いレベルに制限することも有利になりうる。
【0100】
ターゲッティング部分の性質
キャリヤー材料は体内の特定の器官または疾病部位との親和性を有するターゲッティング部分と接合される。このようなターゲッティング部分には、抗体、ほかのタンパク質、およびペプチドが含まれる。好ましいターゲッティング部分は、抗体、特にモノクローナル抗体である。多くの適切なターゲッティング部分(例えば抗体)が、商品として入手しうる。
【0101】
本発明におけるターゲッティング部分として有用になりうる抗体の例には、次のものが含まれる:

腫瘍型 標的抗原 抗体
────────────────────────────────────────
結腸直腸癌 CEA hMN−14
乳癌 MUC1 HuBrE3
膀胱癌 MUC1 C595
前立腺癌 PSMA J591
腎細胞癌 糖タンパク質 chG250
【0102】
キャリヤー材料と接合されうる抗体のほかの例には、次のものが含まれる:
a)バイタクシン(Vitaxin)(登録商標) − 腫瘍中に新たに形成された血管上に発現されたアルファ−vベータ−3に結合するヒト化抗体;
b)ヒト化CD22抗体(通常、非ホジキンリンパ腫の治療のためにイットリウム−90で標識されている);および
c)すべての造血細胞(特にリンパ球上)に発現されるチロシンホスファターゼCD45へのαCD45抗体。
【0103】
ターゲッティング部分のほかの形態の例には、次のものが含まれる:
a)血塊をイメージングするためのフィブリン;
b)フィブリンへ結合する結合部分;
c)親油性有機分子および両親媒性有機分子;
d)受容体リガンド;
e)ステロイド;
f)脂質;
g)ホルモン;
h)肺癌上のソマトスタチン受容体へ結合する合成ペプチド(ダイアタイド(Diatide)から商品として入手しうる);
i)白血球抗原に対して誘導された抗体断片 − 感染病を検出するため;および
j)細胞死の時に放出されるホスファチジルセリンを結合するアネクシン(Annexin)V − 心臓病をイメージングし、化学療法への応答を評価するためのマーカー。
【0104】
ターゲッティング部分の効果は、体内の所望の位置(例えば特定の器官または腫瘍等の疾病部位)に造影剤または治療薬が積載されている接合体を濃縮することである。
【0105】
ターゲッティング部分へのキャリヤーの連結
ターゲッティング部分のキャリヤー材料への連結方法はそれ自体公知であり、当業者にはよく知られているであろう。適切な化学作用は最も一般的には、キャリヤー材料および/またはターゲッティング部分中に存在するアミン、チオール、カルボニル、カルボキシル、またはヒドロキシル基による連結の形成を伴う。
【0106】
このキャリヤーは、ヘテロ二官能性架橋剤を用いてターゲッティング部分へ連結される。好ましくはこの架橋剤は、キャリヤー上に存在しかつターゲッティング部分には存在しない官能基に特異的な1つの反応性、およびターゲッティング部分上に存在しかつキャリヤーには存在しない官能基に特異的なもう1つの反応性を有する。既に記載されているように、このことは、望まれない副反応(例えばキャリヤー分子間または粒子間の連結、架橋剤の両方の官能性とキャリヤーまたはターゲッティング部分との反応等)の発生を排除する。
【0107】
架橋剤はまず中間接合体(すなわち体への送達剤またはその前駆体との反応後のキャリヤー)と反応させられ、これによって中間接合体を活性化し、ついでヘテロ二官能性架橋剤のもう一方の末端と反応するターゲッティング部分(例えば抗体)を添加してもよい。あるいはまた、この架橋剤をまずターゲッティング部分と反応させ、活性化されたターゲッティング部分をついで中間接合体と反応させてもよい。中間接合体、ターゲッティング部分、および架橋剤が、単一工程において互いに反応させられることも可能であろう。適切なヘテロ二官能性架橋剤は、商品として入手しうる。
【0108】
キャリヤー上の−SH(スルフヒドリルまたはチオール)基を介した反応に好ましい架橋剤は、スルフヒドリル基と特異的に反応する基を有する。このような基の1つの好ましい例は、マレイミド基である。ほかの例は、2−ピリジルジチオ、ハロアセテート、またはハロアセトアミド、特にヨード誘導体、アジリジン、アクリロイル/ビニル、4−ピリジルジチオ、および2−ニトロベンゾエート−5−ジチオである。
【0109】
遊離チオール基を含有しないキャリヤー材料の場合、このような基は(例えばジチオトレイトールでの還元によって)キャリヤー上で発生させることができ、またはチオレート化剤(例えばイミノチオランまたはN−スクシンイミジルS−アセチルチオアセテート(SATA))を用いて導入することができる。
【0110】
特にターゲッティング部分が抗体またはほかのタンパク質である場合、架橋剤とターゲッティング部分とを反応させる好ましい方法は、ターゲッティング部分上の炭水化物部分を介する。穏やかな酸化条件下において、炭水化物中に見られるシス−ジオールはアルデヒド基へ転換することができ、これに対してはヒドラジド基が特異的な反応性を有する。
【0111】
本発明における使用のために特に好ましいヘテロ二官能性架橋剤には、したがって、SH−反応性官能基(例えばマレイミドまたは2−ピリジルジチオ)、およびアルデヒド反応性官能基(例えばヒドラジド)の両方が含まれる。
【0112】
本発明における使用のために好ましいヘテロ二官能性架橋剤は、したがって次のものである:
マレイミドカプロン酸ヒドラジド(通常、EMCHと呼ばれる)
3−(2−ピリジルジチオ)−プロピオニルヒドラジド(PDPH)
マレイミドプロピオン酸ヒドラジド(MPH)
N−(κ−マレイミドウンデカン酸)ヒドラジド(KMUH)
4−(4−N−マレイミドフェニル)酪酸ヒドラジド(MPBH)。
【0113】
ヒドラジド基を含む架橋剤は、これらの酸付加塩、特に塩酸塩の形態で利用されてもよい。
【0114】
上記のように、キャリヤー材料がrHAである好ましい場合、ターゲッティング部分をrHA分子へ連結するのに特に有用な方法は、rHA上に存在する遊離スルフヒドリル(チオール)基による連結による方法である。各rHA分子上にわずか1つだけこのような遊離スルフヒドリル基があるので、1つのrHA分子は1つのみのターゲッティング部分へ連結するであろう。
【0115】
rHAは好ましくは、エルマン試薬である5,5’−ジチオビス−(2−ニトロベンゾエート)(DTNB)を用いて測定された時、少なくとも0.85、0.8、0.75、0.7、0.65、または0.60モルSH/モルタンパク質の遊離チオール含量を有し、この試薬は遊離スルフヒドリル基(例えばcys−SH(rHAの場合Cys−残基34))を検出する特異的手段である。この反応は、412nmに吸収極大を有する5−チオ−2−ニトロベンゾエートイオンTNB2-を放出する。412nmにおける吸光度の増加を測定し、412nmにおけるTNB2-イオンのモル吸収係数によって割ることによって、rHAの遊離スルフヒドリル含量を計算することができる。
【0116】
好ましくは抗体ターゲッティング部分は、抗体の可変領域の特異的結合活性を保持するために、抗体の定常部における連結部位を介してキャリヤー材料へ連結される。
【0117】
造影剤の性質
本発明による接合体および調合物は造影剤の送達のために有用である。造影剤が用いられるイメージング技術には、MRI、X線イメージング技術、および核イメージングが含まれ、これにはPETが含まれる。
【0118】
本発明において用いることができるX線造影剤は、このような使用に適した性質を有する多様なヨウ素含有化合物が含まれる。このような化合物は一般に可溶性であり、イオン性または非イオン性であってもよい。このようなX線造影剤の1つの例は、イオパミドールとして知られているものである。ほかの公知のX線造影剤には、イオメプロール、イオプロミド、イオベルソール、イオジキサノール、およびイオヘキソールが含まれる。
【0119】
用いることができるMRI造影剤には、常磁性金属イオンを含む多様な化合物が含まれる。適切なこのようなイオンには、マンガン、および特にガドリニウムが含まれる。
【0120】
金属もまた、核イメージングに用いられる。この用途に適した金属は一般に、放射性γ−放射体である。例には、99mTc、201Tl、および111Inが含まれる。
【0121】
金属に加えて、イメージングにおいて有用な非金属原子をキャリヤー材料へ連結すること(またはこのような原子を含有するか、またはこのような原子が導入されうる化合物を連結すること)も可能であろう。このような原子の例には、123Iおよび121Iが含まれる。
【0122】
放射線治療において有用な金属
本発明による接合体および調合物はまた、放射線治療において有用な放射性金属を送達するために用いられてもよい。このような金属は一般に、β−粒子の放射体であり、例には、67Cu、153Sm、90Y、191Pt、193Pt、および195Ptが含まれる。
【0123】
これらの調合物の投与
本発明による接合体および調合物は、多様な経路によって投与されてもよい。これらの調合物は、例えば静脈内投与されてもよい。これらの調合物はまた、経口または鼻腔吸入によって(例えば霧状にされた溶液として)投与されてもよい。適切な場合、これらの調合物はカテーテルを介して疾病部位へ直接送達されてもよい。
実施例
本発明はここで、次の実施例および添付図面を参照して、例証としてのみ、より詳細に記載される。実施例1〜10は、可溶性rHAをベースとする接合体に関し、実施例11〜19は、不溶性rHA粒子をベースとする接合体に関する。
【0124】
実施例1〜10についての一般的方法
遊離チオールアッセイ
遊離チオール濃度は、放出された5−チオ−2−ニトロベンゾエートの13600M-1cm-1の吸光係数を用いて、pH8におけるDTNBとの反応そして412nmにおける吸光度測定によって決定した。
【0125】
タンパク質アッセイ
rHA濃度は、1g.L-1吸光係数(0.53)を用いて、280nm近くのピークにおける吸光度測定によって決定した。IgG濃度は同様に決定したが、1g.L-1吸光係数は1.43を用いた。
【0126】
GPHPLC
GPHPLCは、TSKゲルG3000SWXL0.78×30cmカラムおよびガード(トーソー・バイオセップ(Tosoh Biosep))を用いて実施し、PBS中1mL.分-1で溶離された。
【0127】
材料
DTPAaおよび塩化ガドリニウムは、シグマ(Sigma)から入手した。リコンブミン(Recombumin)(登録商標)−25(25%(w/v)rHA)は、英国ノッティンガムのデルタ・バイオテクノロジー社から入手した。マグネビスト(Magnevist)(商標)(0.5MのGd−DTPAキレート)は、商業的供給源から入手でき、対照として用いた。
【実施例1】
【0128】
MRI造影剤(ガドリニウムキレート)で標識された可溶性rHAの調製
この方法は、DTPAついでガドリニウム(Gd)で標識された可溶性rHAをベースとした、MRI造影剤の開発について記載する。
【0129】
1.1 MRI造影剤(rHA−DTPA−Gd)で標識されたrHAの調製
rHAを、水中20g.L-1rHAへ希釈し、DTPAa(0.3grHAあたり1g)を、約30分間にわたって一定攪拌を行なってゆっくりと添加した。この間、5MのNaOHを添加し、pHを8.0のできるだけ近くに維持した。攪拌は、最終DTPAa添加後30分間続行し、ついでpHを5MのHClで7.0に調節した。可溶性rHA−DTPAを約120容積の水に対して一晩透析し、過剰な遊離DTPAを除去した。
【0130】
Gd標識は0.1MのGdCl3での滴定によって実施した。結果として錯体形成およびアルブミンの沈殿を生じる、過剰なGdCl3の添加を避けるように注意した。沈殿点は、利用可能なDTPAの尺度であると考えられた。Gd誘導の沈殿点から決定された、生じた結合DTPAレベルは、46モル.モル-1rHAであった。
【0131】
1.2 MRI造影剤(Gd−DTPA)で標識されたrHAのイメージング特性
可溶性rHA−DTPA−Gdは基本的に上記のようにして調製したが、次の修正をともなった:
a)DTPA標識のためのrHA濃度は、25g.L-1であった;
b)DTPAa添加時間は、約25分であった;
c)透析は、約350容積の水に対して18時間、ついで約100容積に対して2時間実施した;
d)Gd−誘導の沈殿点から決定された、生じた結合DTPAレベルは、45モル.モル-1rHAであった。
【0132】
その生じた材料を、0.2μmで濾過し、限外濾過(ソーバール(Sorvall)RT6000B遠心分離機で、3,300rpmでのビバスピン(Vivaspin)20 10000MWCO遠心濃縮器)によって約90g.L-1rHA(初期rHA基準)に濃縮し、5%(w/v)マンニトール中50g.L-1rHAへ調製した。その結果生じたGd濃度は限外濾過の間に損失がないと仮定して計算された。調合された材料を、−30℃浴中に静かな攪拌を行ないながら2mLアリコートとして冷却し、必要とされるまで冷凍保存した(約−20℃)。
【0133】
磁気共鳴イメージングを、可溶性rHA−DTPA−Gd、および水で約2mLに希釈されたマグネビスト(商標)対照を、8mL0.5%アガロースと混合して規定のGd濃度となったものを用いて実施した。緩和率(R1およびR2)は、各サンプルについて、ある範囲の反復時間(TR)およびエコー時間(TE)を用いて、このデータを次のどちらかへフィットさせることによって決定した:
M=M∞(1−e-R1.TR)またはM=M0(e-R2.TE
(ここで、Mは、時間Tでの測定された信号であり、
0は、T=0における信号であり、かつ
M∞は、T=∞における信号である)。
【0134】
この可溶性rHA−DTPA−Gdのin vitroMRI特性を、Gd−DTPAをベースとする商用MRI造影剤であるマグネビスト(登録商標)の特性と比較した(図1)。R1およびR2緩和率の両方が、マグネビスト(登録商標)を用いて得られたものよりも有意に大きかった。このことは、可溶性rHA−DTPA−Gdが、特にrHAベースの材料について予想されたクリアランス率における顕著な減少から考えて、同じGd濃度においてマグネビスト(登録商標)を用いて見られたものと同等またはこれよりも良好なin vivo画像を生成することを示した。あるいはまたこれは、可溶性rHA−DTPA−Gdが、マグネビスト(登録商標)よりも低いGd用量で用いることができるであろうことを示唆した。
【実施例2】
【0135】
DTPAで標識された可溶性rHAへの銅イオンの結合
(実施例1において調製された)DTPAで標識された組換えヒトアルブミンは、放射性金属、例えば銅、インジウム、テクネチウム、およびほかのもののためのキャリヤーとして用いることができる。
【0136】
これを確認するために、(上記実施例1のように調製された)DTPA−標識されたアルブミンが、銅イオンへ結合することを証明することができる(この実施例にために、非放射性銅を用いた)。
【0137】
2.1 rHA−DTPAの調製
rHA−DTPAのサンプルは、実施例1.3において上記されているように調製したが、次の修正をともなった:
a)DTPAa添加時間は、約20分であった;
b)DTPAa添加後の攪拌時間は、約20分であった;
c)透析は、約350容積の水に対して4時間、ついで約350容積に対して16時間、および約100容積に対して3時間実施した;
d)調製は、GdCl3滴定の前に停止した;
e)rHA−DTPAの小さいサンプルでのGd−誘導の沈殿点から測定された、生じた結合DTPAレベルは、46モル.モル-1rHAであった。
【0138】
2.2 分光光度Cu2+滴定
rHA−DTPAの5mLアリコートを、0.5MのNaOHでpH6に調節し、総容積を記録した。A700測定のためにサンプルを採取し、ついでバルクに戻した。0.1MのCuSO4の12の50μLアリコートを、pH調節を行なって添加し、各回添加後に上記のようなA700測定を行なった。測定された吸光度値を5mLの容積へ補正し、添加されたCuの量に対してプロットした。回帰線を滴定の2つの相へフィットさせ、これらの交差点を終点として考えた。
【0139】
図2に示されるように、銅結合の量(交差点として考えられたもの)は、ガドリニウム結合(上記実施例1に記載されているように、沈澱終点によって決定された)に対して得られた図にそっくりであった。
【実施例3】
【0140】
キャリヤー積載の最適化
最大の効果を得るために、このキャリヤーが、薬剤(例えばMRIへの使用のためのGd3+)または核イメージングまたは治療で使用される放射性金属の最大積載量を運ぶことが、多くの場合重要である。この方法は、rHAに対するGd3+結合能力の最適化について記載する。
【0141】
3.1 rHA−DTPAの合成
rHAの4つの0.6gアリコートを、各々水中24mLに希釈した。2、1、0.5、または0.2gのDTPAaを、一定攪拌を行ないながらそれぞれ25、20、12、および9分にわたって各々に添加し、pHを5MのNaOHの添加によってpH8.0のできるだけ近くに維持した。これらの溶液を、最終添加後約30分間攪拌し、3MのHClでpH7に調節した。すべてのサンプルを、11Lの水の4回交換に対して、全部で44時間、共に透析した。
【0142】
3.2 Gd3+結合能力の測定
Gd3+結合能力を、XO指示薬での錯滴定によって決定した。この指示薬は約pH6において、遊離Gd3+の存在下で黄色から紫色に変わる。XO色はまたpHに依存し、大きなpH変化が、非緩衝溶液中でrHA−DTPAのGdCl3滴定の間に発生することが見られたので、信頼しうる結果を得るためには滴定中の良好なpH制御が必要とされた。
【0143】
各rHA−DTPAサンプル1mLを、0.2mLの0.2Mヘキサミン、および5μLの0.1%(w/v)XO(出発pH5.9〜6.1)と混合し、0.1MのGdCl3で最初の持続的色彩変化(最終pH5.4〜5.6)まで滴定した。これらの結果の有効性を確認するために、各サンプルを実施例2と同様に、CuSO4での分光光度滴定に付した。両方の滴定剤を、10mMのEDTA二ナトリウム塩(フィッシャー(Fisher))の標準容積溶液に対して標準化した。
【0144】
これらの結果(表1および図3)は、これら2つの方法の間の優れた一致を示し、両方が利用可能なDTPA基の信頼しうる尺度であることを示す。これらはまた、基本的に最大Gd3+結合能力を得るためにはDTPAa添加の最高レベル(3.33gのDTPAa.g-1rHA;10モルのDTPAa.モル-1rHA−NH2に等しい)が必要とされることも示した。
【0145】
【表1】

【実施例4】
【0146】
過剰反応物質の除去の最適化
キャリヤー分子の標識後、過剰な反応物質を除去することが望ましい。この目的のための透析の使用は、効率的な除去を達成するために、極端に長い時間および極端に大きい容積を必要とすることが発見された(例えば実施例3.1参照)。ゲル濾過の使用は、時間および容積の劇的な節約を与える。この方法は、rHA−DTPAからの過剰DTPAの除去のためのゲル濾過の開発について記載する。
【0147】
4.1 rHA−DTPAの合成
0.3gのrHAを水中12mLに希釈し、一定攪拌を行ないながらpHを5MのNaOHの添加によってpH8のできるだけ近くに維持しながら、1gのDTPAaを約30分にわたって添加した。溶液を、最終添加後約60分間攪拌し、3MのHClでpH7に調節した。この材料の遊離チオールアッセイは、出発rHAについての0.68モル.モル-1rHAの値と比較して、0.10モル.モル-1rHAの値を生じた。
【0148】
4.2 セファデックス(Sephadex)G25クロマトグラフィー
0.5mLのrHA−DTPAを、PD10カラム(アマシャム・バイオサイエンシーズ(Amersham Biosciences)からのセファデックスG25媒質の予め充填された8.3mLカラム)上へロードし、0.9%(w/v)NaCl中で平衡化した。このカラムを、0.5mLアリコート0.9%(w/v)NaClで溶出し、最初の4つは廃棄し、残りはアッセイのために回収した。rHA−DTPAの溶離プロフィールを決定するために、適切なフラクション0.1mLを1mLの水で希釈し、280nmにおける吸光度を測定した。過剰遊離DTPAの溶離プロフィールを決定するために、適切なフラクション20μLを、20mMのヘキサミンpH5中の1mLの4mMCuSO4で希釈し、700nmにおける吸光度を測定した。これらの結果(図4a)は、過剰遊離DTPAからのrHA−DTPAのベースライン分離が、比較的低いカラムロード(6%カラム容積)にもかかわらず達成されないことを示した。
【0149】
4.3 セファデックスG25クロマトグラフィー(小規模)
PD10カラムを空にし、セファデックスG50媒質(アマシャム・バイオサイエンシーズ)で、同じベッド容積に再充填した。このカラムを0.9%(w/v)NaCl中で平衡化し、0.5mLのrHA−DTPAをロードした。カラムを溶離し、これらのフラクションを上記のようのアッセイした。これらの結果(図4b)は、たとえ自己充填されたカラムが商品として充填されたカラムよりも効率性が低く、その結果として有意により大きいピーク幅を生じるにしても、比較的高い多孔度マトリックスによる2つのピークの分離における顕著な改良を示した。
【0150】
4.4 検出波長
0.18MのDTPA pH7の吸光度スペクトル(rHA/DTPAa反応の終了時のおよその濃度およびpH)は、270nm以上で無視しうる吸光度を示し、有意な吸光度は260nm以下で現れた。したがってrHA−DTPAおよび遊離DTPAの両方の検出を可能にするため、カラム流出物の監視のために、254nmの検出波長が選ばれた。
【0151】
4.5 セファデックスG50クロマトグラフィー(大規模)
XK16/40カラム(アマシャム・バイオサイエンシーズ)を、0.9%(w/v)NaCl中セファデックスG50媒質で37cmのベッド高さに充填し、254nmおよび2AUフルスケールに設定された2mmフローセル(アマシャム・バイオサイエンシーズ)を有するUV−1モニターへ連結した。rHA−DTPAの新鮮なサンプルを上記のように調製するが、最終添加とpH7への調節との間の攪拌時間は約30分に減少させた。この材料をカラム上にロードし、2.85mL.分-1で0.9%(w/v)NaClで溶離した。結果(図4c)は、高いカラムロード(20%カラム容積)でさえ、過剰遊離DTPAからのrHA−DTPAのベースライン分離が容易に達成され、精製rHA−DTPAはカラム溶離の開始から10分以内に生成されることを示した。
【実施例5】
【0152】
可溶性rHA誘導体中の遊離チオール回復のための条件の開発
以前の結果(実施例4参照)は、rHA遊離チオールがDTPAaとの反応によって大幅にブロックされることを示した。このチオールが架橋剤付着部位として用いられることになるならば、架橋剤との効率的な反応のためにrHA遊離チオールの回復が必要とされた。この方法は、rHAとDTPAaとの反応(rHA−DTPA)、またはrHA−DTPAへのGd3+の結合(rHA−DTPA−Gd)後に、この目的を達成するための条件の開発について記載する。
【0153】
5.1 rHA−DTPA遊離チオールに対する保存の効果
実施例4からのrHA−DTPAの遊離チオール含量を、6週間の冷蔵保存後に再アッセイし、0.10から0.29モル.モル-1rHAへと上昇していることが分かった。このことは、遊離チオールの回復が、適切な条件下に可能であろうことを示唆した。
【0154】
5.2 rHA−DTPAの合成
rHA−DTPAの合成を、実施例4のセファデックスG50クロマトグラフィー(大規模)と同様にして行い、rHA−DTPAピークが、溶離の開始の2〜9分後に収集された。出発rHA中の遊離チオールレベルは、0.70モル.モル-1rHAであった。
【0155】
5.3 rHA−DTPA−Gdの合成
9.8mLのrHA−DTPAを30μLの0.1%(w/v)XOと混合し、pHを1MのNaOHでpH5.5〜pH6.0に終点(黄色から紫色への最初の変化によって示される;48モルGd3+.モル-1rHA)まで維持し、0.1MのGdCl3で滴定した。
【0156】
余剰Gd3+を結合するためにさらに0.1mLのrHA−DTPAを添加すると、色彩は黄色に戻り、溶液は1MのNaOHでpH7に調節された。
【0157】
5.4 遊離チオールの回復
rHA−DTPAおよびrHA−DTPA−Gdの両方の6つの1mLアリコートを採取した。各々の型の3つを、必要に応じてHClまたはNaOHで、pH5、pH6、またはpH8に調節し、残りの3つをpH7に放置した。すべてのサンプルを、水で1.1mLとした。各々の型の2つのpH7サンプルを、35℃または45℃でインキュベーションし、残りのサンプルをすべて25℃でインキュベーションした。遊離チオールアッセイを、出発rHA−DTPAおよびrHA−DTPA−Gdに対して実施し、ついで指定された時間にインキュベーションの各々に対して実施した。結果(図5)は、両方のサンプル中の遊離チオールを、簡易なインキュベーションによって回復することができることを示した。ただし、回復率は、rHA−DTPAの場合よりも、rHA−DTPA−Gdの場合の方がはるかに高かった。両方の反応はなんらかのpH依存性を示した。ただし温度の増加は、反応速度を増加させる上でより効果的であった。最大回復(約80%の出発遊離チオールに等しい)は、45℃で、rHA−DTPA−Gdについて約2時間後、rHA−DTPAについて20時間後に達成された。
【実施例6】
【0158】
可溶性rHA誘導体との架橋剤反応
本発明による方法において、ターゲッティング部分およびキャリヤー分子は各々、明確な生成物を生成する選択的架橋剤反応のために、別個の化学基を含有する。抗体ターゲッティング部分およびrHAキャリヤー分子という特定の場合においては、これらの基は好ましくは、それぞれ炭水化物および遊離チオールである。この方法は、rHA−DTPAおよびrHA−DTPA−Gdと、これらの基との使用に適した2つの架橋剤、すなわちPDPHおよびEMCHとの反応について記載する。
【0159】
6.1 rHA−DTPAの合成
0.3gのrHA(遊離チオールレベル0.67モル.モル-1rHA)を水中12mLに希釈し、pHを5MのNaOHの添加によってpH8のできるだけ近くに維持しながら、1gのDTPAaを一定攪拌を行ないながら約30分にわたって添加した。溶液を、最終添加後約30分間攪拌し、3MのHClでpH7に調節し、0.9%(w/v)NaCl中で平衡化したセファデックスG50媒質カラム(1.6×37cm)へ適用した。溶離は、254nmにおける検出をしながら2.84mL.分-1で実施した。rHA−DTPAピークが溶離の開始の2〜9分後に収集され、これは、0.07モル.モル-1rHAの遊離チオールレベルを示した。rHA−DTPAを45℃で20時間インキュベーションしチオールをアンブロックすると、0.57モル.モル-1rHAの遊離チオールレベルを生じた。
【0160】
6.2 rHA−DTPA−Gdの合成
a)DTPAaを約35分間にわたって添加し;b)セファデックスG50カラムを2.7mL.分-1で溶離し;c)rHA−DTPAピークは、溶離開始の2〜10分後に収集され、0.14モル.モル-1rHAの遊離チオールレベルを示したこと、以外は上記と同様にして0.3gのrHA(遊離チオールレベル0.70モル.モル-1rHA)をrHA−DTPAへ転換した。1mLのrHA−DTPAを除去し、60μLの0.1%(w/v)XOを残りに添加した。終点(48モルGd3+.モル-1rHA)までpHを1MのNaOHでpH5.5とpH6.0の間に維持しながら、DTPA基を0.1MのGdCl3で滴定した。0.3mLの保管されたrHA−DTPAを余剰Gd3+を結合するために添加し、溶液を1MのNaOHでpH7に調節し、ついで45℃で2時間インキュベーションしてチオールをアンブロックすると、0.51モル.モル-1rHAの遊離チオールレベルを生じた。
【0161】
6.3 PDPHとの反応
2mLのrHA−DTPAを、0.15mLの0.2M Na2HPO4および0.05mLの0.2M NaH2PO4と混合した。1mLサンプルを採取し、343nmにおけるその吸光度を、0.1mLの10mM PDPH(ピアス(Pierce))の添加の直前に測定し、その後20分間2分毎に測定した。測定はPDPH自体の吸光度について補正し、反応の程度は放出された2−チオピリジンについて8080M-1.cm-1の吸光係数を用いて計算した。実験は、rHA−DTPA−Gdを用いて繰り返した。結果は、PDPHとの反応が、どちらの場合にも迅速かつ効率的であり、最初の2分の時点で96〜98%完了し、反応の最終程度は、遊離チオールアッセイによって測定された程度の約90%であることを示した。
【0162】
6.4 EMCHとの反応
4mLのrHA−DTPA−Gdを、0.3mLの0.2M Na2HPO4および0.1mLの0.2M NaH2PO4と混合し、0.44mLの10mM EMCH(ピアス)を添加した。1mLサンプルを、添加の15、30、60、および120分後に採取し、50mMリン酸ナトリウムpH7中で平衡化されたPD10カラムへ直ちに適用し、過剰EMCHを除去した。高分子量フラクションを、溶離開始後1.5〜3.5mLから収集した。溶離物を、直接的に、およびまた(EMCH除去を評価するため)一定量のDTTでスパイクして、遊離チオールアッセイに付し、(rHA回収を評価するため)タンパク質アッセイに付した。測定された回収率は、DTTについては98〜104%、rHAについては102〜104%の範囲内にあり、このことは、EMCHの完全な排除およびrHAの回収を確認した。直接遊離チオールアッセイについての結果は、EMCHとの反応が、迅速かつ同時に効率的であり、遊離チオールレベルが最初の15分の時点で0.02モル.モル-1rHAへ減少することを示した。
【実施例7】
【0163】
抗体との架橋剤反応
この実施例は、2つの抗体αCD45およびC595と架橋剤PDPHとの反応について記載する。
【0164】
7.1 PDPHとのαCD45反応
1mLのαCD45(セロテック(Serotec)MCA43G;IgG濃度1.0mg.mL-1)を、2.3mgのKlO4へ添加し、室温において暗所で30分間混合した。溶液をPBSで平衡化されたPD10カラムへ適用し、高分子量フラクションを、溶離開始後1.5〜3.5mLから収集した。溶離物を、PBSで予め洗浄されたナノセップ(Nanosep)10Kオメガ(Omega)遠心濃縮器(ポール(Pall))を用いて1mLの最終容積に濃縮し、1.0mgのPDPHへ添加し、室温で21時間混合した。αCD45−PDPHをPD10カラムを用いて精製し、この溶離物を上記のように1mLに再濃縮すると90%の全体でのIgG回収率が得られた。反応の程度を、10μLの10mM DTTの添加の直前、およびその後15分間1分毎に、343nmにおける吸光度測定によって8080M-1.cm-1の吸光係数を用いて、結合PDPHの還元の時に放出された2−チオピリジンから決定した。結果(図6)は、PDPHがαCD45と首尾良く反応し、2.3モルPDPH.モル-1IgGの化学量論を生じたことを示した。分析GPHPLC(280nmの検出波長での50μL注入)は、生じたαCD45−PDPHが高いモノマー純度を保持し、約8.4分のピーク溶離時間をともなうことを示した。
【0165】
7.2 PDPHとのC595反応
0.35mLのC595(ノッティンガム大学から入手;IgG濃度3.2mg.mL-1)を0.65mL PBSで希釈し、2.4mgのKlO4へ添加し、室温において暗所で30分間混合した。溶液をPBSで平衡化されたPD10カラムへ適用し、高分子量フラクションを溶離の開始後1.5〜3.5mLから収集した。溶離物を、PBSで予め洗浄されたナノセップ10Kオメガ遠心濃縮器を用いて1mLの最終容積に濃縮し、1.0mgのPDPHへ添加し、室温で19時間混合した。C595−PDPHをPD10カラムを用いて精製し、溶離物を上記のように1mLに再濃縮すると、85%の全体でのIgG回収率が得られた。反応の程度を、10μLの10mM DTTの添加の直前、およびその後15分間1分毎に、343nmにおける吸光度測定によって8080M-1.cm-1の吸光係数を用いて、結合PDPHの還元の時に放出された2−チオピリジンから決定した。結果(図7)は、PDPHがC595と首尾良く反応し、2.5モルPDPH.モル-1IgGの化学量論を生じたことを示した。分析GPHPLC(280nmの検出波長での50μL注入)は、結果として生じたC595−PDPHが高いモノマー純度を保持し、ピーク溶離時間が約8.5分であることを示した。
【実施例8】
【0166】
rHA−DTPA/rHA−DTPA−Gdの精製
ターゲッティング部分とキャリヤー分子との接合体は個々の成分のどちらよりも明らかに大きく、したがって未反応の個々の成分のどれからの接合体の精製もゲル透過クロマトグラフィーによって達成可能であるはずである。rHAキャリヤー分子の特定の場合、ヒトアルブミンがダイマーおよびより長いオリゴマーを形成する傾向は、非標的キャリヤー分子からの標的接合体の首尾良い精製を危うくすることがあるであろう。この方法は、この接合体のその後の精製を単純化するために、ターゲッティング部分との反応の前にモノマーrHA−DTPAおよびrHA−DTPA−Gdを精製することについて記載する。
【0167】
8.1 分取GPHPLC
rHA誘導体の精製は、高い生産性を生じるために大きい注入容積(200μL)、および高いrHA濃度におけるピーク吸光度を減少させるために準最適検出波長(254nm)を用いた。
【0168】
8.2 rHA−DTPAの精製
rHA−DTPAの分取GPHPLCは、約6.6分におけるダイマーピーク、および約7.6分におけるモノマーピークを特徴としていた。モノマーrHA−DTPAの精製のために、7.2〜9.0分で溶離する材料を収集した。収集された材料の分析GPHPLC(280nmの検出波長での50μL注入)は、高度のモノマー純度がこの方法によって達成されたことを確認した。
【0169】
8.3 rHA−DTPA−Gdの精製
rHA−DTPA−Gdの分取GPHPLCは、約6.9分におけるダイマーピーク、および約8.1分におけるモノマーピークを特徴としていた。モノマーrHA−DTPAの精製のために、7.7〜9.0分で溶離する材料を収集した。収集された材料の分析GPHPLC(254nmの検出波長での100μL注入)は、高度のモノマー純度がこの方法によって達成されたことを確認した。
【実施例9】
【0170】
αCD45−PDPH−rHA−DTPA−Gdの調製
合成における個々の工程の以前の開発に基づいて(実施例1〜8)、この方法は標的化薬剤の完全調製について記載する。この方法において、キャリヤー分子(rHA)をDTPAついでGdで高いレベル標識し、標的化MRI造影剤としての使用に適するようにする。
【0171】
9.1 rHA−DTPAの合成
0.3gのrHA(遊離チオールレベル0.70モル.モル-1rHA)を水中12mLに希釈し、pHを5MのNaOHの添加によってpH8のできるだけ近くに維持しながら、1gのDTPAaを一定攪拌を行ないながら約35分にわたって添加した。溶液を最終添加後30分間攪拌し、3MのHClでpH7に調節し、0.9%(w/v)NaClで平衡化されたセファデックスG50媒質カラム(1.6×37cm)へ適用した。溶離は、254nmでの検出をしながら2.7mL.分-1で実施した。rHA−DTPAピークは、溶離開始の2〜10分後に収集され、これは0.14モル.モル-1rHAの遊離チオールレベルを示した。
【0172】
9.2 rHA−DTPA−Gdの合成
1mLのrHA−DTPAを除去し、60μLの0.1%(w/v)XOを残りに添加した。pHを1MのNaOHでpH5.5〜pH6.0に終点(黄色から紫色への最初の変化によって示された;48モルGd3+.モル-1rHA)まで維持しながら、DTPA基を0.1MのGdCl3で滴定した。0.3mLの保管されたrHA−DTPAを、余剰Gd3+を結合するために添加し、色彩は黄色に戻り、溶液を1MのNaOHでpH7に調節し、ついで45℃で2時間インキュベーションしてチオールをアンブロックすると、0.51モル.モル-1rHAの遊離チオールレベルを生じた。
【0173】
9.3 αCD45−PDPHの合成
1mLのαCD45を2.3mgのKlO4へ添加し、室温において暗所で30分間混合した。溶液をPBSで平衡化されたPD10カラムへ適用し、高分子量フラクションを、溶離開始後、1.5〜3.5mLから収集した。溶離物をPBSで予め洗浄されたナノセップ10Kオメガ遠心濃縮器を用いて1mLの最終容積まで濃縮し、1.1mgのPDPHへ添加し、室温で5時間混合した。αCD45−PDPHを、上記のように用いられているPD10カラムを用いて精製した。
【0174】
9.4 rHA−DTPA−Gdの精製
モノマーrHA−DTPA−Gdを、254nmにおける検出をしながら200μLの注入を用いて分取GPHPLCによって精製した。クロマトグラフィーは8サイクル実施し、注入の7.7〜9.0分後に生成物を収集した。この生成物のrHA濃度は、1.1g.L-1であった。この生成物の高いモノマー純度が、280nmにおける検出とともに50μL注入を用いて分析GPHPLCによって確認された。
【0175】
9.5 αCD45−PDPH−rHA−DTPA−Gdの合成
精製されたrHA−DTPA−Gdを、約10モルrHA.モル-1IgGでαCD45−PDPHへ添加し、溶液を、PBSで予め洗浄されたビバスピン(Vivaspin)20 10K遠心濃縮器(サートリウス(Sartorius))を用いて1mLに濃縮し、室温で24時間混合した。αCD45−PDPH−rHA−DTPA−Gdの形成は、280nmでの検出をしながら20μL注入を用いた分析GPHPLC上の新たな高分子量ピークの出現によって確認された。2.3の想定rHA:αCD45化学量論(PDPH:αCD45について実施例7で測定されたように)は、Gd3+:rHA化学量論の測定値48ともに、この錯体についての予測Gdレベルとして約110モルGd3+.モル-1IgGを与える。
【0176】
9.6 αCD45−PDPH−rHA−DTPA−Gdの精製
αCD45−PDPH−rHA−DTPA−Gdを、上記のように分取GPHPLCによって精製したが、約95μLの10回注入、280nmにおける検出、6.0〜7.2分からの生成物収集を用いた。この生成物は、2つのナノセップ10Kオメガ遠心濃縮器を用いて1mLに濃縮し、純度は、280nmにおける検出をしながら50μLの注入を用いた分析GPHPLCによって確認された。最後にこの生成物を、−30℃浴中に約150μLアリコートとして冷凍し、−20℃で保存した。
【0177】
9.7 抗体結合活性
αCD45−PDPH−rHA−DTPA−Gdの抗体活性は、発蛍光団標識されたαCD45に対する競合結合アッセイにおいて、白血球共通抗原CD45を発現するラットの脾臓細胞(splenocyte)を用いて測定した。これらの細胞の蛍光強度は、一定の0.2μg蛍光抗体を用いαCD45−PDPH−rHA−DTPA−Gdの量を増やしながら、フローサイトメトリーによって測定した。非標識αCD45は、正の対照として同様にアッセイした。結果(図8)は、αCD45−PDPH−rHA−DTPA−Gdが、非標識αCD45と同様に蛍光抗体を置換させることができることを示し、このことは、接合体が抗体結合活性を保持したことを証明した。
【0178】
9.8 磁気共鳴特性
αCD45−PDPH−rHA−DTPA−Gdは、2テスラにおけるT1およびT2の緩和時間として、それぞれ92および95msを与えた。これは、同時に測定された時に193および177msの値を生じる0.5mMのオムニスキャン(Omniscan)(商標)(アマシャムからの非標的化ガドリニウムベースのMRI造影剤)よりも約2倍良好であった。このことは、この接合体についての優れた緩和の向上を示している。
【実施例10】
【0179】
C595−PDPH−rHA−DTPAの調製
この方法は、標的化された薬剤の調製であって、キャリヤー分子(rHA)が高レベルでDTPAで標識されるが、金属イオンを用いず、これを標的化核イメージングまたは治療薬としての使用のために適した放射性金属の積載に適したものにする調製について記載する。
【0180】
10.1 rHA−DTPAの合成
0.3gのrHA(遊離チオールレベル0.67モル.モル-1rHA)を水中12mLに希釈し、pHを5MのNaOHの添加によってできるだけpH8の近くに維持しながら、1gのDTPAaを一定攪拌を行ないながら約30分にわたって添加した。溶液を、最終添加後約30分間攪拌し、3MのHClでpH7に調節し、0.9%(w/v)NaClで平衡化したセファデックスG50媒質カラム(1.6×37cm)へ適用した。溶離は、254nmにおける検出とともに2.84mL.分-1で実施した。rHA−DTPAピークが、溶離の開始の2〜9分後に収集され、これは、0.07モル.モル-1rHAの遊離チオールレベルを示した。rHA−DTPAを45℃で20時間インキュベーションしてチオールをアンブロックすると、0.57モル.モル-1rHAの遊離チオールレベルを生じた。上記のようなGdCl3での錯滴定によってこの材料の4mLアリコートに対して測定されたDTPAレベルは、44モル.モル-1rHAであった。
【0181】
10.2 C595−PDPHの合成
C595(ノッティンガム大学から入手;IgG濃度3.2mg.mL-1)をPBS中1.0mg.mL-1IgGに希釈し、1mLを2.3mgのKlO4へ添加し、室温において暗所で30分間混合した。この溶液をPBSで平衡化されたPD10カラムへ適用し、高分子量フラクションを、溶離の開始後1.5〜3.5mLから収集した。溶離物を、PBSで予め洗浄されたナノセップ10Kオメガ遠心濃縮器を用いて1mLの最終容積に濃縮し、1.1mgのPDPHへ添加し、室温で5時間混合した。C595−PDPHを、上記のように用いられているPD10カラムを用いて精製した。
【0182】
10.3 rHA−DTPAの精製
モノマーrHA−DTPAを、TSKゲルG3000SWXL0.78×30cmカラムおよびガード上の200μL注入を用いて、分取GPHPLCによって精製し、254nmにおける検出とともにPBS中1mL.分-1で溶離した。クロマトグラフィーの6サイクルを実施し、注入の7.2〜9.0分後に生成物を収集した。この生成物のrHA濃度は、1.0g.L-1であった。この生成物の高いモノマー純度は、上記の分取GPHPLCと同様であるが、280nmにおける検出をしながら50μL注入を用いた分析GPHPLCによって確認された。
【0183】
10.4 C595−PDPH−rHA−DTPAの合成
精製されたrHA−DTPAを、約10モルrHA.モル-1IgGでC595−PDPHへ添加し、この溶液をPBSで予め洗浄されたビバスピン20 10K遠心濃縮器を用いて1mLに濃縮し、室温で18時間混合した。C595−PDPH−rHA−DTPAの形成は、280nmにおける検出とともに20μL注入を用いた分析GPHPLCでの新たな高分子量ピークの出現によって確認された。2.5の想定rHA:C595化学量論(PDPH:C595について実施例7において測定されたように)は、測定Gd3+:rHA化学量論である44とともに、この錯体について予測されたGdレベルとして約110モルGd3+.モル-1IgGを与える。
【0184】
10.5 C595−PDPH−rHA−DTPAの精製
C595−PDPH−rHA−DTPAを、上記のような分取GPHPLCによって精製したが、約95μLの10回注入、280nmにおける検出、5.7〜6.6分からの生成物収集を用いた。この生成物を2つのナノセップ10Kオメガ遠心濃縮器を用いて1mLに濃縮し、純度は280nmにおける検出とともに50μLの注入を用いて分析GPHPLCによって確認された。最後に生成物を、−30℃浴中に約115μLアリコートとして冷凍し、−20℃で保存した。
【実施例11】
【0185】
MRI造影剤(ガドリニウムキレート)で標識されたrHA粒子の調製
11.1 方法
11.1.1 rHA粒子の調製
次のようにして、rHA粒子の1バッチをrHA懸濁液のスプレー乾燥によって生成した:
200mLの25%(w/v)rHAを、5Lのピロゲンフリー精製水に対して室温で一晩透析して過剰な塩化ナトリウムを除去し、320mLの最終容積を生じた。52mLの透析タンパク質を1MのNaOHでpH8.0に調節し、磁気攪拌機での一定混合を行ないながらエタノールをゆっくりと乳状懸濁液が形成されるまで添加した(80mLエタノール)。連続的に攪拌された懸濁液を、次の条件下、シュリック(Schlick)2−流体噴霧ノズル(モデル970/0)が取り付けられたブキ・ミニスプレードライヤー(Buchi Mini Spray Dryer)(モデルB−191)を用いてスプレー乾燥した:
入口温度 100℃
出口温度 67℃
供給率 3mL.分-1
噴霧圧力 ゲージ圧6バール(6barg)
結果として生じた微粒子(4.0g)をサイクロン収集ジャーから回収し、176℃で55分間熱固定して不溶性にし(3.5gを生じる)、7.0gのマンニトールと混合し、5bargの流入圧力および3bargのミル圧力を有するアトライター6in流体エネルギーミルを用いて解凝集した。
【0186】
11.1.2 DTPAaとの接合
調合された粒子をエタノールで湿潤させ、遠心分離(ソルヴァル(Sorvall)RT6000)によって水で完全に洗浄し、賦形剤のマンニトールを除去した。洗浄後、アリコートを乾燥重量測定のために採取し、(この測定を基準にして)rHA粒子を水中20g.L-1に希釈した。DTPAa(0.3gの粒子につき1g)を、約25分間にわたって一定攪拌を行ないながらゆっくりと添加した。この間に、5MのNaOHを添加し、pHをできるだけ8.0の近くに維持した。攪拌は、最終DTPAa添加後30分間続行し、ついでpHを5MのHClで7.0に調節した。rHA−DTPA粒子を、遠心分離と8g.L-1(当初乾燥重量を基準にして)への再懸濁によって、0.9%(w/v)NaClで2回、水で2回洗浄し、最後に60g.L-1に再懸濁した。
【0187】
11.1.3 Gdでの標識
rHA−DTPA粒子懸濁液の乾燥重量を測定し、DTPA標識による質量増加を決定すると、32.4モル.モル-1rHAの値が得られた。Gd標識のために、この懸濁液のもう1つのアリコートを水で希釈し、0.1MのGdCl3を一定攪拌を行ないながら添加して全体として2.5倍の希釈となり、乾燥重量測定によって決定されたDTPAレベルに等しい最終Gd濃度を生じた。混合を10分間続行し、懸濁液を水でさらに1.5倍希釈し、rHA−Gd粒子を遠心分離によって沈降させ、ペレットを水中に60g.L-1(当初乾燥重量を基準にして)に再懸濁した。その結果生じた懸濁液を、50g.L-1、5%(w/v)マンニトールへ調合し、凍結乾燥した。
【0188】
11.2 粒子の性質決定
11.2.1 これらの粒子の磁気共鳴特性
磁気共鳴イメージングを、Gd−DTPA標識粒子に対して実施した。これらの粒子およびマグネビスト(登録商標)対照を、水で約2mLに希釈し、ついで8mLの0.5%アガロースと混合して、規定のGd濃度を生じた。各サンプルについての緩和率(R1およびR2)を、実施例1に記載されているように決定した。
【0189】
rHA−Gd粒子のin vitroMRI特性を、Gd−DTPAをベースとする商用MRI造影剤であるマグネビスト(登録商標)の特性と比較した。微粒子rHA−Gdでの緩和率(図9)は、マグネビスト(登録商標)を用いて得られたものと同等である(R1について)か、またはこれよりも有意に大きかった(R2について)。このことは、rHA−Gd粒子が、特に微粒子材料に対して予測されたクリアランス率の顕著な減少から考えて、同じGd濃度においてマグネビスト(登録商標)を用いて見られたものと同等であるか、これよりも良好なin vivo画像を生成するはずであることを示した。あるいはまたこれは、これらの粒子を、マグネビスト(登録商標)よりも低いGd用量で用いることができることを示唆した。
【0190】
11.2.2 サイズ分布分析
この標識方法が、有意な凝集レベルを生じたかどうかを決定するために、クールターサイズ分析を行なった。図10に示されている結果は、このサイズ分布(Gd−DTPA標識後)が有意に変わってはいなかったことを確認する。
【0191】
11.2.3 再懸濁特性
光学顕微鏡法(図11)は、Gd−DTPA標識粒子が非凝集であり、再懸濁されて適切な懸濁液を生じることを確認した。
【実施例12】
【0192】
MRI造影剤での可溶性rHAの標識、ついで粒子の製造
この実施例は、粒子が予めGd−キレートで標識されている可溶性rHA分子から形成される、本発明の方法の変形例を例証する。
【0193】
12.1 方法
rHAの1.5gアリコートを、水中20g.L-1に希釈し、5gのDTPAaで処理し、約40分間にわたって一定攪拌を行ないながら、ゆっくりと添加した。この間、5MのNaOHを添加してpHを8.0のできるだけ近くに維持した。攪拌は、最終DTPAa添加後30分間続行し、ついでpHを、5MのHClで7.0に調節した。
【0194】
標識された(+DTPA)サンプルを10.5Lの水に対して透析して、5時間後に交換して、全部で21時間透析した。必要とされるGd添加を評価するために、+DTPAサンプルの5mLアリコートを、最初の持続的曇りに至るまで1MのGdCl3で滴定した。これに基づいて、可溶性rHAで得られたDTPAレベルは、47モル.モル-1であった。+DTPAサンプルのもう1つの5mLアリコートを除去し、残りのサンプルを最初の持続的曇りに至るまで1MのGdCl3で滴定し、未滴定アリコートを、あらゆる過剰Gdを結合するために戻した。
【0195】
ついでGd標識サンプルを0.2μmで濾過して、あらゆる残留不溶性材料を除去した。これらのサンプルを、シュリック2流体ノズルを有するブキ・スプレードライヤーを用いて、入口温度110℃、噴霧圧力0.5バール、および供給率3.5mL.分-1でスプレー乾燥し、約79℃の出口温度を生じた。収集されたサンプルの重さを測って、回収率を計算し、ついで175℃で全部で5時間半、熱固定した。
【0196】
DTPA標識の不存在下、rHA粒子は175℃55分の後で不溶である。しかしながらこれは、Gd標識サンプルの場合には当てはまらず、材料の不溶性を達成するために、追加の固定が必要とされた。
【実施例13】
【0197】
微粒子rHAの遊離チオール含量
標的化された薬剤としての使用のために、これらの粒子が、ターゲッティング部分の化学的連結に適した反応性基を含有することが重要である。粒子形成材料としてのrHAの場合、cys34における遊離チオールはこの目的に非常に適した基である。この方法は、これらの粒子を不溶にするために用いられる高温熱固定にもかかわらず、これが反応のために依然として利用可能であることを確認するために、rHA粒子の遊離チオール含量の測定について記載する。
【0198】
13.1 rHA粒子の調製
100mLの25%(w/v)rHAを、20Lの水に対して室温で一晩透析し、その結果生じたタンパク質濃度を、1g.L-1吸光係数である0.53を用いて、280nmにおける吸光度測定によって決定した。この透析されたタンパク質(24.4g)を、水で12.5%(w/v)に希釈し、NaOHでpH8.0に調節した。275mLのエタノールを添加し、その結果生じた懸濁液を、入口温度100℃、出口温度72℃、流量3mL.分-1、および噴霧圧力6bargでスプレー乾燥した。生じた微粒子(13.4g)を175℃で1時間熱固定し(11.1gを生じる)、22.2gのマンニトールと混合し、入口圧力5bargおよびミル圧力3bargを有する流体エネルギーミルを2回通した。
【0199】
13.2 遊離チオールアッセイ
遊離チオール濃度は、放出された5−チオール−2−ニトロベンゾエートの吸光係数である13600M-1.cm-1を用いて、pH7でのDTNBとの反応、および412nmにおける吸光度測定によって決定した。反応を室温で1時間実施し、これらの粒子は上澄み液への吸光度測定の前に遠心分離によって沈降させた。DTNBの吸光度、および未沈降粒子からの残留濁度の両方について補正を行なった。測定された遊離チオールレベルは、0.36モル.モル-1rHAであり、このことは、遊離チオールが熱固定工程によって完全には破壊されず、ターゲッティング部分の連結に適したレベルにおいて存在することを確認した。
【実施例14】
【0200】
粒子積載の最適化
最大の効果を得るために、この粒子が、薬剤(例えばMRIへの使用のためのGd3+)または核イメージングまたは治療における使用のための放射性金属の最大積載量を運ぶことが多くの場合重要である。この方法はrHA粒子に対するGd3+結合能力の最適化について記載する。
【0201】
14.1 DTPA−標識rHA粒子の合成
rHA粒子のアリコートを水中に懸濁し、pHを5MのNaOHの添加によってpH8のできるだけ近くに維持しながら、様々な量のDTPAa(約0.5〜5g.g-1rHAの範囲をカバーする)を、一定攪拌を行ないながらそれぞれ約10〜40分にわたって添加した。これらの懸濁液を、最終添加後約30分間攪拌し、3MのHClでpH7に調節した。すべてのサンプルを、遠心分離および再懸濁によって完全に洗浄し、未結合DTPAを除去した。
【0202】
14.2 Gd3+結合能力の測定
Gd3+結合能力はXO指示薬を用いた錯滴定によって決定する。pHを、適切な緩衝液(例えばヘキサミン)の使用によって、または適切なアルカリ(例えばNaOH)での調節によって、滴定の間pH5.0〜6.5の範囲内に制御する。XOを、既知量のDTPA標識rHA粒子を含有する懸濁液へ添加し、滴定を、標準化GdCl3溶液を用いて最初の持続的色彩変化に至るまで実施する。
【実施例15】
【0203】
微粒子rHA誘導体における遊離チオール回収のための条件の開発
可溶性rHAでの結果(実施例4参照)は、rHA遊離チオールがDTPAaとの反応によって大幅にブロックされることを示している。このチオールが架橋剤付着部位として用いられることになるならば、rHA遊離チオールの回収が架橋剤との効率的な反応のために必要とされる。この方法は、rHA粒子とDTPAa(DTPA標識されたrHA粒子)との反応後、またはGd3+(Gd標識されたrHA粒子)の結合後に、この目的を達成するための条件の開発について記載する。
【0204】
15.1 標識されたrHA粒子の合成
DTPA標識されたrHA粒子を、基本的に実施例11に記載されているように作製する。Gd標識されたrHA粒子は、基本的には実施例11に記載されているようにDTPA標識されたrHA粒子から生成されてもよい。あるいはまたこれらは、実施例14に記載されているように、XOの存在下、GdCl3での錯滴定を用いて生成されてもよく、余剰Gd3+を結合するために滴定の最後にDTPA標識されたrHA粒子のさらなる少量の添加をともなう。
【0205】
15.2 遊離チオールの回収
DTPA標識されたrHA粒子およびGd標識されたrHA粒子の両方のアリコートをある範囲のpH値および/またはある範囲の温度においてインキュベーションし、インキュベーションの開始時およびその後周期的にサンプルを採取した。これらを遊離チオールアッセイに付し、各粒子型での遊離チオールの回収のための最適条件を決定する。
【実施例16】
【0206】
微粒子rHA誘導体との架橋剤反応
本発明による方法において、ターゲッティング部分および粒子は各々、明確な生成物を生成するために、架橋剤反応のための独自の化学基を含有する。抗体ターゲッティング部分およびrHA粒子という特定の場合、これらの基はそれぞれ、炭水化物および遊離チオールである。この方法は、DTPA標識されたrHA粒子およびGd標識されたrHA粒子と、これらの基との併用に適した2つの架橋剤(PDPHおよびEMCH)との反応について記載する。
【0207】
16.1 標識されたrHA粒子の合成
DTPA標識されたrHA粒子およびGd標識されたrHA粒子の両方を、基本的に実施例15に記載されているように合成し、遊離チオールを実施例15において決定された最適条件を用いてアンブロックする。
【0208】
16.2 PDPHとの反応
標識rHA粒子の両方の型のアリコートを、リン酸塩緩衝液の添加によってpH約7で緩衝させる。サンプルを、PDPHの添加の直前およびその後周期的に、利用可能な遊離チオール基よりも有意なモル過剰で採取する。これらのサンプルを直ちに遠心分離し、343nmにおける上澄み液吸光度を測定する。測定値は、PDPHそれ自体の吸光度および非沈降粒子からの残留濁度の両方について補正し、反応の程度を、放出された2−チオピリジンについての吸光係数である8080M-1.cm-1を用いて計算する。これらのデータは、PDPHを各々の粒子型へ連結するための最適反応条件を決定するために用いる。
【0209】
16.3 EMCHとの反応
標識されたrHA粒子の両方の型のアリコートを、リン酸塩緩衝液の添加によって約pH7で緩衝させる。サンプルを、EMCHの添加の直前およびその後周期的に、利用可能な遊離チオール基よりも有意なモル過剰で採取する。これらのサンプルを直ちに遠心分離し、ペレットを完全に洗浄して、遊離チオールアッセイの前に過剰EMCHを除去する。これらのデータは、EMCHを各々の粒子型へ連結するための最適反応条件を決定するために用いる。
【実施例17】
【0210】
抗体/Gd標識されたrHA粒子の調製
合成における個々の工程の以前の開発に基づいて(実施例11〜16)、この方法は、標的された薬剤の調製であって、粒子(rHA)を、DTPAついでGdで高レベルに標識し、ついで抗体へ連結し、これを標的化されたMRI造影剤としての使用に適したものにする調製について記載する。
【0211】
17.1 架橋剤を用いた、および用いない、Gd標識されたrHA粒子の合成
Gd標識されたrHA粒子およびGd標識されたrHA粒子+架橋剤(PDPHまたはEMCH)を基本的に実施例16に記載されているように合成する。ついでこれらの粒子を遠心分離および再懸濁によって完全に洗浄し、過剰な反応体を除去する。
【0212】
17.2 架橋剤を用いた、および用いない、過ヨウ素酸塩酸化された抗体の合成
過ヨウ素酸塩酸化された抗体を、基本的に実施例7に記載されているように、KlO4での抗体のインキュベーション、PD10クロマトグラフィー、および遠心濃縮によって合成する。PDPH架橋剤の過ヨウ素酸塩酸化された抗体への連結、およびその後のPD10クロマトグラフィー、および遠心濃縮もまた、基本的に実施例7に記載されているように実施する。EMCH架橋剤の連結も同様に実施することができる。
【0213】
17.3 抗体/Gd標識されたrHA粒子の合成
抗体/Gd標識されたrHA粒子は、反応体の次の3つの組合わせのいずれかをインキュベーションすることによって作製することができる。
【0214】
1.(Gd標識されたrHA粒子+架橋剤)+(過ヨウ素酸塩酸化された抗体)
2.(Gd標識されたrHA粒子)+(過ヨウ素酸塩酸化された抗体+架橋剤)
3.(Gd標識されたrHA粒子)+(過ヨウ素酸塩酸化された抗体)+(架橋剤)
どの合成経路が用いられても、結果として生じる粒子を遠心分離および再懸濁によって完全に洗浄し、過剰な反応体を除去する。
【実施例18】
【0215】
抗体/DTPA標識されたrHA粒子の調製
この方法は、標的化された薬剤の調製であって、金属イオンを用いずに粒子(rHA)を高レベルでDTPAで標識し、ついで抗体へ連結し、これを標的化された核イメージングまたは治療薬としての使用に適した放射性金属の積載に適したものにする調製について記載する。
【0216】
18.1 架橋剤を用いた、および用いない、DTPA標識されたrHA粒子の合成
DTPA標識されたrHA粒子およびDTPA標識されたrHA粒子+架橋剤(PDPHまたはEMCH)を、基本的に実施例16に記載されているように合成する。ついでこれらの粒子を遠心分離および再懸濁によって完全に洗浄し、過剰な反応体を除去する。
【0217】
18.2 架橋剤を用いた、および用いない、過ヨウ素酸塩酸化された抗体の合成
過ヨウ素酸塩酸化された抗体を、基本的に実施例7に記載されているように、KlO4での抗体のインキュベーション、PD10クロマトグラフィー、および遠心濃縮によって合成する。PDPH架橋剤の過ヨウ素酸塩酸化された抗体への連結、およびその後のPD10クロマトグラフィーおよび遠心濃縮もまた、基本的に実施例7に記載されているように実施する。EMCH架橋剤の連結も同様に実施することができる。
【0218】
18.3 抗体/Gd標識されたrHA粒子の合成
抗体/DTPA標識されたrHA粒子は、反応体の次の3つの組合わせのいずれかをインキュベーションすることによって作製することができる。
【0219】
1.(DTPA標識されたrHA粒子+架橋剤)+(過ヨウ素酸塩酸化された抗体)
2.(DTPA標識されたrHA粒子)+(過ヨウ素酸塩酸化された抗体+架橋剤)
3.(DTPA標識されたrHA粒子)+(過ヨウ素酸塩酸化された抗体)+(架橋剤)
どの合成経路が用いられても、生じる粒子を遠心分離および再懸濁によって完全に洗浄し、過剰な反応体を除去する。
【図面の簡単な説明】
【0220】
【図1】ガドリニウム−ジエチレントリアミン五酢酸(Gd−DTPA)で標識されたrHAのin vitroでのMRI特性を示している。
【図2】DTPA標識されたアルブミンへの銅イオンの結合を示している。
【図3】反応において用いられているDTPAaの量の関数としての、rHA−DTPA接合体のGd3+−結合能を示している。
【図4】異なるクロマトグラフィー方法による、過剰DTPAからのrHA−DTPAの分離の実行可能性を示している。
【図5】rHA−DTPAおよびrHA−DTPA−Gdのサンプル中の遊離チオールの回収を示している。
【図6】放出された2−チオピリジンの測定によって示されている、抗体とPDPHとの反応の程度を示している。
【図7】異なる抗体についての図6と同様なプロットである。
【図8】本発明による接合体についての結合活性の保持を示している。
【図9】Gd−DTPAで標識されたrHA粒子のin vitroMRI特性を示している。
【図10a】Gd−DTPAでの標識の前のrHA粒子の粒子サイズ分布を示している。
【図10b】Gd−DTPAでの標識の後のrHA粒子の粒子サイズ分布を示している。
【図11】水中への再懸濁後にGd−DTPAで標識されたrHA粒子の顕微鏡写真である。
【0221】
省略形
αCD45 マウス抗ラットCD45
C595 MUC1抗原に特異的なモノクローナル抗体
DTNB エルマン試薬(5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸))
DTPA ジエチレントリアミンペンタアセテート
DTPAa ジエチレントリアミン五酢酸無水物
DTT ジチオトレイトール
EMCH N−(ε−マレイミドカプロン酸)ヒドラジド
GPHPLC ゲル浸透高速液体クロマトグラフィー
IgG 免疫グロブリンG
Mab モノクローナル抗体
MRI 磁気共鳴イメージング
PBS リン酸緩衝生理食塩水(0.9%(w/v)NaCl、15mMのNa2HPO4、5mMのNaH2PO4
PDPH 3−(2−ピリジルジチオ)−プロピオニルヒドラジド
rHA 組換えヒトアルブミン
XO キシレノールオレンジ
【図1−1】

【図1−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用イメージングにおける使用のための接合体であって、タンパク質分子またはタンパク質分子から形成された粒子の形態のキャリヤーを含み、前記キャリヤーが、造影剤またはその前駆体、および体内の特定の部位との親和性を有するターゲッティング部分へ結合されている接合体。
【請求項2】
磁気共鳴イメージングにおける使用のための、請求項1に記載の接合体。
【請求項3】
前記造影剤が常磁性金属イオンを含んでいる、請求項2に記載の接合体。
【請求項4】
前記金属イオンがGd3+イオンを含んでいる、請求項3に記載の接合体。
【請求項5】
前記金属イオンが、キャリヤーに共有結合されているキレート部分を介してキャリヤーへ連結されている、請求項3または4に記載の接合体。
【請求項6】
核イメージングにおける使用のための、請求項1に記載の接合体。
【請求項7】
前記造影剤が、放射性金属イオンを含んでいる、請求項6に記載の接合体。
【請求項8】
前記放射性金属が、99mTc、201Tl、および111Inからなる群から選択される、請求項7に記載の接合体。
【請求項9】
前記金属が、キャリヤーへ共有結合されているキレート部分を介してキャリヤーへ連結されている、請求項7または8に記載の接合体。
【請求項10】
前記キレート部分が、キャリヤー中のアミン基と反応してアミド結合を形成するカルボキシル基またはその誘導体を含んでいる、請求項5または9に記載の接合体。
【請求項11】
前記キレート部分が、複数のアミン基を含んでいる化合物の酢酸誘導体である、請求項10に記載の接合体。
【請求項12】
前記キレート部分が、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、およびこれらの誘導体からなる群から選択される、請求項11に記載の接合体。
【請求項13】
体への金属の送達のための接合体であって、
タンパク質分子またはタンパク質分子から形成された粒子の形態のキャリヤーを含み、
前記キャリヤーが、キレート剤を介して前記金属へ連結され、体内の特定の部位への親和性を有するターゲッティング部分へ接合されている、
接合体。
【請求項14】
10乃至100個のキレート部分が各タンパク質分子へ連結されている、請求項5または請求項9乃至13のいずれか1項に記載の接合体。
【請求項15】
20乃至60個のキレート部分が各タンパク質分子へ連結されている、請求項14に記載の接合体。
【請求項16】
X線イメージングにおける使用のための、請求項1に記載の接合体。
【請求項17】
前記造影剤がヨウ素化合物である、請求項16に記載の接合体。
【請求項18】
前記タンパク質分子が、完全または実質的に完全な単一のタンパク質分子である、前記いずれかの請求項に記載の接合体。
【請求項19】
前記タンパク質分子が、接合された完全または実質的に完全なタンパク質分子のオリゴマーである、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の接合体。
【請求項20】
前記オリゴマーが、2乃至20の離散タンパク質分子、より好ましくは10まで、または5までの離散タンパク質分子を含んでいる、請求項19に記載の接合体。
【請求項21】
前記タンパク質が、ヒトに由来するか、または構造がヒト起源のタンパク質と同一であるかまたは実質的に同一である、前記いずれかの請求項に記載の接合体。
【請求項22】
前記タンパク質がアルブミンである、前記いずれかの請求項に記載の接合体。
【請求項23】
前記アルブミンがヒト血清アルブミンである、請求項22に記載の接合体。
【請求項24】
前記アルブミンが組換えヒト血清アルブミンである、請求項23に記載の接合体。
【請求項25】
可溶性であり、前記キャリヤーがタンパク質分子を含んでいる、前記いずれかの請求項に記載の接合体。
【請求項26】
前記キャリヤーが、タンパク質分子から形成された粒子の形態にある、請求項1乃至24のいずれか1項に記載の接合体。
【請求項27】
ターゲッティング部分が、抗体、ほかのタンパク質、およびペプチドからなる群から選択される、前記いずれかの請求項に記載の接合体。
【請求項28】
前記ターゲッティング部分が抗体である、請求項27に記載の接合体。
【請求項29】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項28に記載の接合体。
【請求項30】
前記キャリヤー分子が、ヘテロ二官能性架橋剤によってターゲッティング部分へ連結されている、前記いずれかの請求項に記載の接合体。
【請求項31】
前記架橋剤が、キャリヤー上に存在しかつターゲッティング部分に存在しない官能基に特異的な1つの反応性、およびターゲッティング部分上に存在しかつキャリヤーに存在しない官能基に特異的なもう1つの反応性を有する、請求項30に記載の接合体。
【請求項32】
前記架橋剤が、キャリヤー上の−SH基へ反応性がある基を含んでいる、請求項31に記載の接合体。
【請求項33】
前記架橋剤が、マレイミド、2−ピリジルジチオ、ハロアセテート、ハロアセトアミド、アジリジン、アクリロイル/ビニル、4−ピリジルジチオ、および2−ニトロベンゾエート−5−ジチオからなる群から選択された基を含んでいる、請求項32に記載の接合体。
【請求項34】
前記架橋剤が、ターゲッティング部分上に存在する炭水化物部分またはその誘導体へ反応性がある基を含んでいる、請求項31に記載の接合体。
【請求項35】
前記架橋剤がヒドラジド基を含んでいる、請求項34に記載の接合体。
【請求項36】
前記架橋剤が、
マレイミドカプロン酸ヒドラジド;
3−(2−ピリジルジチオ)−プロピオニルヒドラジド;
マレイミドプロピオン酸ヒドラジド;
N−(κ−マレイミドウンデカン酸)ヒドラジド;および
4−(4−N−マレイミドフェニル)酪酸ヒドラジド
からなる群から選択される、請求項30乃至35のいずれか1項に記載の接合体。
【請求項37】
1つより多いキャリヤーがターゲッティング部分へ連結されている、請求項25に記載の接合体。
【請求項38】
1つのターゲッティング部分につき2乃至10個のキャリヤーを含んでいる、請求項37に記載の接合体。
【請求項39】
1つのターゲッティング部分につき2乃至5個のキャリヤーを含んでいる、請求項38に記載の接合体。
【請求項40】
前記ターゲッティング部分が抗体であり、抗体の定常部における連結部位を介してキャリヤーへ連結されている、前記いずれかの請求項に記載の接合体。
【請求項41】
接合体中に存在する体への送達剤(またはその前駆体)の少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%が、キャリヤーへ共有結合されている、前記いずれかの請求項に記載の接合体。
【請求項42】
競合結合アッセイにおいて測定された場合、遊離ターゲッティング部分の結合活性の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、70%、80%、または少なくとも90%の、接合体中のターゲッティング部分の結合活性を有する、前記いずれかの請求項に記載の接合体。
【請求項43】
前記いずれかの請求項に記載の接合体を、製薬的に許容しうる液体媒質と混合して含んでいる調合物。
【請求項44】
前記液体媒質が水性である、請求項43に記載の調合物。
【請求項45】
キャリヤーを有する体への送達剤の標的化された接合体の調製方法であって、
(a)体への送達剤またはその前駆体とキャリヤーとを反応させて中間接合体を形成すること、およびその後
(b)(i)前記中間接合体とヘテロ二官能性架橋剤とを反応させて前記中間接合体を活性化させ、ついで前記活性化中間接合体とターゲッティング部分とを反応させること、または(ii)前記中間接合体と、ヘテロ二官能性架橋剤との反応によって活性化されているターゲッティング部分とを反応させること、または(iii)前記中間接合体、ヘテロ二官能性架橋剤、およびターゲッティング部分を、同時に互いに反応するようにさせること
を含む方法。
【請求項46】
前記キャリヤー材料がタンパク質性である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記キャリヤー材料がアルブミンである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記アルブミンがヒト血清アルブミンである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記アルブミンが組換えヒト血清アルブミンである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記ターゲッティング部分が抗体である、請求項45乃至49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記架橋剤が、キャリヤー上に存在しかつターゲッティング部分に存在しない基との反応に特異的な1つの官能性、およびターゲッティング部分上に存在しかつキャリヤーに存在しない基との反応に特異的な第二の官能性を有する、請求項45乃至50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記架橋剤が、スルフヒドリル基と反応性がある基を含んでいる、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記架橋剤が、マレイミド、2−ピリジルジチオ、ハロアセテート、ハロアセトアミド、アジリジン、アクリロイル/ビニル、4−ピリジルジチオ、および2−ニトロベンゾエート−5−ジチオからなる群から選択された基を含んでいる、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記架橋剤が、炭水化物部分またはその誘導体と反応性がある基を含んでいる、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記架橋剤がヒドラジド基を含んでいる、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
体への送達剤が、カルボキシル基を有するか、またはカルボキシル基を含有する中間体化合物または部分を介してキャリヤーへ連結されている、請求項45乃至55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
工程(b)の前に、キャリヤー上に存在するスルフヒドリル基のアンブロッキングが行なわれる、請求項52に記載の方法。
【請求項58】
工程(a)がキャリヤーとキレート剤との反応を伴う、請求項45乃至57のいずれか1項に記載の方法であって、さらに、キャリヤー材料へ結合されたキレート剤と、反応混合物へ添加された金属イオンとの間のキレートの形成も含み、該反応混合物のpHが、前記金属イオンの添加の間、5.0乃至6.5に維持される方法。
【請求項59】
前記キャリヤーが可溶性タンパク質分子を含んでいる、請求項45乃至58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記キャリヤーが粒子である、請求項45乃至58のいずれか1項に記載の方法であって、粒子形成材料から粒子を形成する予備工程を含む方法。
【請求項61】
前記粒子が、
i)粒子形成材料の懸濁液を形成する工程;および
ii)前記懸濁液をスプレー乾燥する工程
を含む方法によって形成される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
粒子形成材料の懸濁液が、溶媒中に前記粒子形成材料を溶解し、ついで粒子形成材料のための非溶媒を添加して、粒子形成材料の沈殿をもたらすことによって形成される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
請求項1乃至42のいずれか1項に記載の接合体の調製のための、請求項45乃至62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
請求項45乃至63のいずれか1項に記載の方法によって調製された接合体。
【請求項65】
医療用イメージング技術によって得られた画像のコントラストを向上させる方法であって、画像が得られる前に、請求項1乃至42のいずれか1項または請求項64に記載の接合体、または請求項43乃至44のいずれか1項に記載の調合物を、画像が得られることになるヒトまたは動物被験者へ投与することを含む方法。
【請求項66】
医療用イメージング技術によって得られる画像のコントラストを向上させるための調合物の製造における、請求項1乃至42のいずれか1項または請求項64に記載の接合体の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用イメージングにおける使用のための接合体であって、
タンパク質分子またはタンパク質分子から形成された粒子の形態のキャリヤーを含み、
前記キャリヤーが、造影剤またはその前駆体、および体内の特定の部位との親和性を有するターゲッティング部分へ結合されており、
前記キャリヤー分子が、キャリヤー上に存在しかつターゲッティング部分上に存在しない官能基に特異的な1つの反応性、およびターゲッティング部分上に存在しかつキャリヤーに存在しない官能基に特異的なもう1つの反応性を有するヘテロ二官能性架橋剤によって、ターゲッティング部分へ連結される
接合体。
【請求項2】
磁気共鳴イメージングにおける使用のための、請求項1に記載の接合体。
【請求項3】
前記造影剤が常磁性金属イオンを含んでいる、請求項2に記載の接合体。
【請求項4】
前記金属イオンがGd3+イオンを含んでいる、請求項3に記載の接合体。
【請求項5】
前記金属イオンが、キャリヤーに共有結合されているキレート部分を介してキャリヤーへ連結されている、請求項3または4に記載の接合体。
【請求項6】
核イメージングにおける使用のための、請求項1に記載の接合体。
【請求項7】
前記造影剤が、放射性金属イオンを含んでいる、請求項6に記載の接合体。
【請求項8】
前記放射性金属が、99mTc、201Tl、および111Inからなる群から選択される、請求項7に記載の接合体。
【請求項9】
前記金属が、キャリヤーへ共有結合されているキレート部分を介してキャリヤーへ連結されている、請求項7または8に記載の接合体。
【請求項10】
前記キレート部分が、キャリヤー中のアミン基と反応してアミド結合を形成するカルボキシル基またはその誘導体を含んでいる、請求項5または9に記載の接合体。
【請求項11】
前記キレート部分が、複数のアミン基を含んでいる化合物の酢酸誘導体である、請求項10に記載の接合体。
【請求項12】
前記キレート部分が、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、およびこれらの誘導体からなる群から選択される、請求項11に記載の接合体。
【請求項13】
体への金属の送達のための接合体であって、
タンパク質分子またはタンパク質分子から形成された粒子の形態のキャリヤーを含み、
前記キャリヤーが、キレート剤を介して前記金属へ連結され、体内の特定の部位への親和性を有するターゲッティング部分へ接合されている、
接合体。
【請求項14】
10乃至100個のキレート部分が各タンパク質分子へ連結されている、請求項5または請求項9乃至13のいずれか1項に記載の接合体。
【請求項15】
20乃至60個のキレート部分が各タンパク質分子へ連結されている、請求項14に記載の接合体。
【請求項16】
X線イメージングにおける使用のための、請求項1に記載の接合体。
【請求項17】
前記造影剤がヨウ素化合物である、請求項16に記載の接合体。
【請求項18】
前記タンパク質分子が、完全または実質的に完全な単一のタンパク質分子である、前記いずれかの請求項に記載の接合体。
【請求項19】
前記タンパク質分子が、接合された完全または実質的に完全なタンパク質分子のオリゴマーである、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の接合体。
【請求項20】
前記オリゴマーが、2乃至20の離散タンパク質分子、より好ましくは10まで、または5までの離散タンパク質分子を含んでいる、請求項19に記載の接合体。
【請求項21】
前記タンパク質が、ヒトに由来するか、または構造がヒト起源のタンパク質と同一であるかまたは実質的に同一である、前記いずれかの請求項に記載の接合体。
【請求項22】
前記タンパク質がアルブミンである、前記いずれかの請求項に記載の接合体。
【請求項23】
前記アルブミンがヒト血清アルブミンである、請求項22に記載の接合体。
【請求項24】
前記アルブミンが組換えヒト血清アルブミンである、請求項23に記載の接合体。
【請求項25】
可溶性であり、前記キャリヤーがタンパク質分子を含んでいる、前記いずれかの請求項に記載の接合体。
【請求項26】
前記キャリヤーが、タンパク質分子から形成された粒子の形態にある、請求項1乃至24のいずれか1項に記載の接合体。
【請求項27】
ターゲッティング部分が、抗体、ほかのタンパク質、およびペプチドからなる群から選択される、前記いずれかの請求項に記載の接合体。
【請求項28】
前記ターゲッティング部分が抗体である、請求項27に記載の接合体。
【請求項29】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項28に記載の接合体。
【請求項30】
前記架橋剤が、キャリヤー上の−SH基へ反応性がある基を含んでいる、前記いずれかの請求項に記載の接合体。
【請求項31】
前記架橋剤が、マレイミド、2−ピリジルジチオ、ハロアセテート、ハロアセトアミド、アジリジン、アクリロイル/ビニル、4−ピリジルジチオ、および2−ニトロベンゾエート−5−ジチオからなる群から選択された基を含んでいる、請求項30に記載の接合体。
【請求項32】
前記架橋剤が、ターゲッティング部分上に存在する炭水化物部分またはその誘導体への反応性を有する基を含んでいる、前記いずれかの請求項に記載の接合体。
【請求項33】
前記架橋剤がヒドラジド基を含んでいる、請求項32に記載の接合体。
【請求項34】
前記架橋剤が、
マレイミドカプロン酸ヒドラジド;
3−(2−ピリジルジチオ)−プロピオニルヒドラジド;
マレイミドプロピオン酸ヒドラジド;
N−(κ−マレイミドウンデカン酸)ヒドラジド;および
4−(4−N−マレイミドフェニル)酪酸ヒドラジド
からなる群から選択される、請求項30乃至33のいずれか1項に記載の接合体。
【請求項35】
1つより多いキャリヤーがターゲッティング部分へ連結されている、請求項25に記載の接合体。
【請求項36】
1つのターゲッティング部分につき2乃至10個のキャリヤーを含んでいる、請求項35に記載の接合体。
【請求項37】
1つのターゲッティング部分につき2乃至5個のキャリヤーを含んでいる、請求項36に記載の接合体。
【請求項38】
前記ターゲッティング部分が抗体であり、抗体の定常部中の連結部位を介してキャリヤーへ連結されている、前記いずれかの請求項に記載の接合体。
【請求項39】
接合体中に存在する体への送達剤(またはその前駆体)の少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%が、キャリヤーへ共有結合されている、前記いずれかの請求項に記載の接合体。
【請求項40】
競合結合アッセイにおいて測定された場合、遊離ターゲッティング部分の結合活性の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、70%、80%、または少なくとも90%の、接合体中のターゲッティング部分の結合活性を有する、前記いずれかの請求項に記載の接合体。
【請求項41】
前記いずれかの請求項に記載の接合体を、製薬的に許容しうる液体媒質と混合して含んでいる調合物。
【請求項42】
前記液体媒質が水性である、請求項41に記載の調合物。
【請求項43】
キャリヤーを有する体への送達剤の標的化された接合体の調製方法であって、
(a)体への送達剤またはその前駆体とキャリヤーとを反応させて中間接合体を形成すること、およびその後
(b)(i)前記中間接合体とヘテロ二官能性架橋剤とを反応させて前記中間接合体を活性化させ、ついで前記活性化中間接合体とターゲッティング部分とを反応させること、または(ii)前記中間接合体と、ヘテロ二官能性架橋剤との反応によって活性化されているターゲッティング部分とを反応させること、または(iii)前記中間接合体、ヘテロ二官能性架橋剤、およびターゲッティング部分を、同時に互いに反応するようにさせることを含み、
前記架橋剤が、キャリヤー上に存在しかつターゲッティング部分に存在しない基との反応に特異的な1つの官能性、およびターゲッティング部分上に存在しかつキャリヤーに存在しない基との反応に特異的な第二の官能性を有する
キャリヤーを有する体への送達剤の標的化された接合体の調製方法。
【請求項44】
前記キャリヤー材料がタンパク質性である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記キャリヤー材料がアルブミンである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記アルブミンがヒト血清アルブミンである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記アルブミンが組換えヒト血清アルブミンである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記ターゲッティング部分が抗体である、請求項43乃至47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記架橋剤が、スルフヒドリル基との反応性を有する基を含んでいる、請求項43乃至48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記架橋剤が、マレイミド、2−ピリジルジチオ、ハロアセテート、ハロアセトアミド、アジリジン、アクリロイル/ビニル、4−ピリジルジチオ、および2−ニトロベンゾエート−5−ジチオからなる群から選択された基を含んでいる、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記架橋剤が、炭水化物部分またはその誘導体と反応性がある基を含んでいる、請求項43乃至48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記架橋剤が、ヒドラジド基を含んでいる、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
体への送達剤が、カルボキシル基を有するか、またはカルボキシル基を含有する中間体化合物または部分を介してキャリヤーと連結されている、請求項43乃至52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
工程(b)の前に、キャリヤー上に存在するスルフヒドリル基のアンブロッキングが行なわれる、請求項49に記載の方法。
【請求項55】
工程(a)が、キャリヤーとキレート剤との反応を伴う、請求項43乃至54のいずれか1項に記載の方法であって、
さらに、キャリヤー材料へ結合されたキレート剤と、反応混合物へ添加された金属イオンとの間のキレートを形成することも含み、
該反応混合物のpHが、前記金属イオンの添加の間、5.0乃至6.5に維持される
請求項43乃至54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記キャリヤーが可溶性タンパク質分子を含んでいる、請求項43乃至55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記キャリヤーが粒子である、請求項43乃至55のいずれか1項に記載の方法であって、粒子形成材料から粒子を形成する予備工程を含む、請求項43乃至55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記粒子が、
i)粒子形成材料の懸濁液を形成する工程;および
ii)前記懸濁液をスプレー乾燥する工程
を含む方法によって形成される、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
粒子形成材料の懸濁液が、溶媒中に粒子形成材料を溶解し、ついで粒子形成材料のための非溶媒を添加して、粒子形成材料の沈殿をもたらすことによって形成される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
請求項1乃至40のいずれか1項に記載の接合体の調製のための、請求項43乃至59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
請求項43乃至60のいずれか1項に記載の方法によって調製される接合体。
【請求項62】
医療用イメージング技術によって得られた画像のコントラストを向上させる方法であって、画像が得られる前に、請求項1乃至40のいずれか1項または請求項61に記載の接合体、または請求項41乃至42のいずれか1項に記載の調合物を、画像が得られることになるヒトまたは動物被験者へ投与することを含む、医療用イメージング技術によって得られた画像のコントラストを向上させる方法。
【請求項63】
医療用イメージング技術によって得られることになる画像のコントラストを向上させるための調合物の製造における、請求項1乃至40のいずれか1項または請求項61に記載の接合体の使用。

【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11】
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【公表番号】特表2006−518727(P2006−518727A)
【公表日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502275(P2006−502275)
【出願日】平成16年2月17日(2004.2.17)
【国際出願番号】PCT/GB2004/000582
【国際公開番号】WO2004/071536
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(504060838)アッパートン リミテッド (1)
【Fターム(参考)】