説明

キャリーカートン

【課題】飲料缶の製造ラインは従来のままとしながら、低コストでかつ簡単に賞味期限の確認ができるようにすること。
【解決手段】複数本の飲料缶を収納して持ち運ぶためのキャリーカートンであって、表面側基材と裏面側基材の2枚を貼り合わせた積層シートで組み立てられ、表面側基材の一部を裏面側基材から剥がせるようにしたラベル部分が外から見える所定位置に設けられている。ラベル部分に賞味期限や製造年月日を印字することで、収納する飲料缶に何らの細工をすることなく、当該飲料缶の賞味期限を確認することができ、しかも、ラベル部分を剥がして缶の表面や冷蔵庫のドアなどに貼るという使い方ができる。従来の専用紙に代えて、2枚の基材を貼り合わせた積層シートを使用するだけでよいため、従来のままの製造ラインを使用し、余計なコストを掛けることなく製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコール飲料や清涼飲料水などが入った飲料缶を複数本まとめて運びやすくしたキャリーカートンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ビール、ジュース、お茶などの飲料を充填した各種の飲料缶が販売されており、通常これらの飲料缶は店頭や自動販売機で1本ずつ販売されるが、一方では、消費者がまとめて運びやすいように、複数本を収納したいわゆるキャリーカートンが販売されている。特に、缶ビールの場合、4本或いは6本の飲料缶(350ml)を把手板の左右に振り分けて収納した形態のキャリーカートンが広く利用されている。
【特許文献1】実開平2−99769号公報
【特許文献2】実開平5−89223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記したキャリーカートンは、板紙からなる専用紙に印刷を施し、所定の形状に型抜きし、この型抜きしたものを折り畳んで糊付けすることで作製されている。その場合、通常のキャリーカートンは、350mlの缶ビールが4〜6本程度入っても安定して持ち運べるように、厚さが約0.4mm程度の専用紙を用いるため、必然的に通常は枚葉での印刷となっている。
【0004】
一方で、缶ビールなどにおいては、生ビールの増加とともに、他社との差別化を図るために「鮮度」をセールスポイントとする銘柄が増えてきている。ビール会社としては、できるだけ新鮮なうちに飲んでもらった方がその商品本来のおいしさを楽しんでもらえるため、最終的にはリピート購入が期待できるとの狙いがある。
【0005】
しかしながら、缶ビールの賞味期限を記載する場所は通常はその缶の底である。これでは、消費者としては賞味期限を確認するために、缶をひっくり返して一本一本賞味期限を確認しなければならず、大変不便である。また、多くの場合は製造年月日ではなく、賞味期限が書いてあるだけなので、その日付を見ただけでは新鮮なのかどうかさえ分からないという問題がある。
【0006】
このような課題を解決する最も簡便な方法は、例えば缶のプルタブ(飲み口)側か、或いは缶の側面に賞味期限を設けることであるが、これを実現するのは容易ではない。というのも、賞味期限の印字などは多くの場合、インクジェット方式で行われているが、缶そのものは、その円筒形状を活かしてコンベア上を回転しながら搬送され、その経路中にプルタブの位置は考慮せずに印字されるため、プルタブ上にも印字されてしまう場合が生じるからである。これを解決するために、例えば食べられるインキで印字したとしても、口を付ける部分に印字があること自体が味にこだわるビール会社としては問題となる。
【0007】
また同様に、側面に印字する場合には、缶が回転しながら搬送されているときに印字するため、側面に設けられた絵柄に関係なく印字されてしまい、例えば、商品を最もアピールすべきロゴ部分などにかかってしまうとブランドイメージの低下に繋がるという問題がある。もちろん、内容物表示など、法令で記載が義務づけられている部分にかかると両者とも読みにくくなってしまうため、やはり側面への記載も難しい。
【0008】
もちろん、缶底近くに全周にわたるベルト状の白抜き部分を設け、この部分を賞味期限印字部分にすることは可能であるが、当然ながら、その分、缶全体に施される各種デザインなども小さくしなければならず、店頭でのアピール度が低下してしまう、という新たな問題が生じてしまう。
【0009】
さらに言えば、以上の問題について、例えば設備面や缶のデザインから解決する策を見出しても、例えば冷蔵庫に収納した缶の賞味期限を見ながら所望の缶を選定するためには、冷蔵庫のドアを一定時間にわたって開放しなければならず、このことで増加する電気代や電気使用量に伴って増加するCO2 量増加などの悪影響が懸念される。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、缶ビール等の飲料缶の製造ラインは従来のままとしながら、低コストでかつ簡単に賞味期限の確認ができるようにしたキャリーカートンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、複数本の飲料缶を収納して持ち運ぶためのキャリーカートンであって、表面側基材と裏面側基材の2枚を貼り合わせた積層シートで組み立てられ、表面側基材の一部を裏面側基材から剥がせるようにしたラベル部分が外から見える所定位置に設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るキャリーカートンは、ラベル部分に賞味期限や製造年月日を印字することで、収納する飲料缶に何らの細工をすることなく、当該飲料缶の賞味期限を確認することができ、しかも、ラベル部分を剥がして缶の表面や冷蔵庫のドアなどに貼るという使い方ができる。そして、このキャリーカートンを製造するに際しては、従来の専用紙に代えて、2枚の基材を貼り合わせた積層シートを使用するだけでよいため、従来のままの製造ラインを使用し、余計なコストを掛けることなく製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明に係るキャリーカートンの実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明に係るキャリーカートンの一例を示す斜視図、図2はキャリーカートンを組み立てる積層シートを示す一部断面図である。
【0015】
図1のキャリーカートンCは、把手板1に把持用の孔1aが形成され、その把手板1の両サイドに設けた収納部2に350mlの缶ビールを2本ずつ収納するタイプであり、形状としては一般によく用いられているキャリーカートンと同様のもので、図2にその一部断面図を示す積層シート10の表面に印刷を施し、所定の形状に型抜きし、この型抜きしたものを折り畳んで糊付けすることで作製されている。
【0016】
キャリーカートンCを組み立てる積層シート10は、図2に示すように、表面側基材11と裏面側基材12の2枚を粘着剤13を介して貼り合わせたものであり、表面側基材11にはその一部を裏面側基材12から剥がせるようにしたラベル部分11aが設けられている。具体的には、ラベルとして利用する表面側基材11の領域と接する裏面側基材12の部位に剥離層14を設けておき、表面側基材11と裏面側基材12のうちの一方に粘着剤13を全面塗布し、ほぼ乾燥してから両基材11,12を貼り合わせた後、所定形状で表面側基材11にハーフカット線αを設けることで、積層シート10にラベル部分11aを形成している。この方法であれば、ラベルとして利用する表面側基材11の領域と接する裏面側基材12の部位に剥離層14を設けておくだけで、同一の粘着剤13を全面に塗布して貼り合わせれはよいので、非常に効率的に製造することができる。
【0017】
ラベル部分11aを区画するハーフカット線αを設けるとき、図1のようにその一部がつながるようにしてミシン目状にすると、キャリーカートンCの製造時にラベル部分11aが浮き上がって不用意に剥がれるという事態を防止でき、また店頭でいたずらされて貼り替えられたりするようなことも防止できる。
【0018】
このラベル部分11aには、例えば図1の右側に示すように、缶ビールに同調した製造年月日を印字したり、または賞味期限を印字しておく。これにより、収納する缶ビールに賞味期限が分かる表示をしなくても、収納した缶ビールの賞味期限を確認できる。あるいは、図1の左側に示すようにキャンペーン応募シールなどを印刷することもできるし、白紙の付箋状のものとしたり、缶ビールの本数が分かるようなもの(例えば、「あと2本!そろそろ購入を!」的なもの)を印刷しておくこともできる。
【0019】
また、ハーフカット線αにより形成されるラベル部分11aの形状は、矩形や円形に限るものではなく自由に設定可能であり、もちろん設けるラベル部分11aの数も自由に設定可能である。例えば、4缶入りのキャリーカートンであれば、同数(=4)のラベル部分11aを設けることで、缶1本ずつに対して好きな位置に好きなラベルを貼ることが可能である。
【0020】
表面側基材11と裏面側基材12の素材はそれぞれ特に限定されないが、表面側基材11としては例えばコート紙を用いることができ、裏面側基材12としては例えば包装用紙を用いることができる。
【0021】
粘着剤13としては、2エチル・ヘキシル・アクリレート等を主成分とするエマルジョン型粘着剤が代表的ではあるが、その他にも用途に応じて自由に選定可能である。例えば、CO2 削減を狙って冷蔵庫のドアの無駄な開閉を無くすために、冷蔵庫のドアに賞味期限のラベルを貼るようにする場合には、やや強めの粘着力を有しながら冷蔵庫に糊残りしたりラベル基材が破壊しないように硬化剤などで粘着力を調整したものや、微球状エマルジョンを利用した再剥離再貼付型粘着剤などが好適に利用可能である。
【0022】
また当然のことながら、ラベルとして利用しない部分については、簡単に剥がれないことが重要になるので、前述した微球状エマルジョンを利用した粘着剤をラベル部分11aに利用する場合は、非ラベル部分には別の粘着剤を使用したり、或いは塗布量を増加させたりといった処置を追加して行うようにすることが好ましい。
【0023】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明によるキャリーカートンは、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは言うまでもないことである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るキャリーカートンの一例を示す斜視図である。
【図2】キャリーカートンを組み立てる積層シートを示す一部断面図である。
【符号の説明】
【0025】
C キャリーカートン
1 把手板
1a 孔
2 収納部
10 積層シート
11 表面側基材
11a ラベル部分
12 裏面側基材
13 粘着剤
14 剥離層
α ハーフカット線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の飲料缶を収納して持ち運ぶためのキャリーカートンであって、表面側基材と裏面側基材の2枚を貼り合わせた積層シートで組み立てられ、表面側基材の一部を裏面側基材から剥がせるようにしたラベル部分が外から見える所定位置に設けられていることを特徴とするキャリーカートン。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−78832(P2009−78832A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−248920(P2007−248920)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】