説明

キャリーカートン

【課題】キャリーカートン専用紙に類する紙基材を使用してコストを低減させながら、収納された飲料缶を外観から確認できるしたキャリーカートンを提供すること。
【解決手段】複数本の飲料缶を収納して持ち運ぶためのキャリーカートンCであって、窓部11aを設けた紙基材と透明なフィルム基材13を貼り合わせた積層シートで組み立てられ、収納した飲料缶の側面が見える位置に窓部11aが位置している。フィルム基材13で塞がれた紙基材の窓部11aが飲料缶の側面に位置しているので、中の飲料缶の種類を外観から確認することができる。しかも、厚手の樹脂フィルムを基材に用いてキャリーカートン全体を形成する場合に比べると、キャリーカートン専用紙に類する紙基材を使用することでコストを低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコール飲料や清涼飲料水などが入った飲料缶を複数本まとめて運びやすくしたキャリーカートンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ビール、ジュース、お茶などの飲料を充填した各種の飲料缶が販売されており、通常これらの飲料缶は店頭や自動販売機で1本ずつ販売されるが、一方では、消費者がまとめて運びやすいように、複数本を収納したいわゆるキャリーカートンが販売されている。特に、缶ビールの場合、4本あるいは6本の飲料缶(350ml)を把手板の左右に振り分けて収納した形態のキャリーカートンが広く利用されている。
【特許文献1】実開平2−99769号公報
【特許文献2】実開平5−89223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記したキャリーカートンは、板紙からなる専用紙に印刷を施し、所定の形状に型抜きし、この型抜きしたものを折り畳んで糊付けすることで作製されている。その場合、通常のキャリーカートンは、350mlの缶ビールが4〜6本程度入っても安定して持ち運べるように、厚さが約0.4mm程度の専用紙を用いるため、必然的に通常は枚葉での印刷となっている。
【0004】
このキャリーカートン専用紙は、やはりあくまでも紙なので、中に収納した缶を外観から確認できない。そのため、店頭においてお客がキャリーカートンからたまたま1缶取り出してキチンと戻さなかった場合など、それを知らずに購入した客が自宅に持ち帰ってみたら中に違う銘柄が入っていたという不具合が生じることもあった。さらに言えば、例えば、同一銘柄でないものを1パッケージ化するような企画をビール会社が考えても、前述した理由により確認作業が煩雑、かつ店頭での陳列後に違う銘柄に入れ替えられてしまうことなどを考えると、実質的にそのような企画を実現することは困難であった。
【0005】
そこで、キャリーカートン専用紙の代わりに、収納した缶が透視できるようなポリプロピレン(PP)やポリエチレンテレフタレート(PET)等の透明な合成樹脂フィルムを採用したいという要望がある。一般に、延伸した合成樹脂フィルムは、同一の厚さであれば、紙より引っ張りや引き裂きの強度に優れているが、キャリーカートンとしては、まず安定して持ち運ぶために形状維持性が重視されるので、剛度や柔軟性と言われる強度に優れていることが望まれる。そして、この要求特性を勘案した結果、合成樹脂フィルムであってもキャリーカートン専用紙とほぼ近しい厚みが必要とされることから、これまでコスト面で折り合いが付かなかった。また、厚手の合成樹脂フィルムを基材として利用する場合、購入者がケースとしてリユースすることを想定して購入する可能性も高く、基材全面に広告的な印刷をしてしまうと逆にその価値が低減してしまうことから、フィルム基材自身には印刷はできず、多くの場合はキャリーカートンと飲料缶(例えば缶ビール)との間に広告用の印刷を施した薄紙を挿入することで対応せざるを得なかった。
【0006】
そのため、販促ノベルティ的な側面としては、樹脂フィルムを基材に使用することはある程度有効であるものの、コストが掛かりすぎるために、限られた予算から実際に展開できる量には自ずと限界があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、キャリーカートン専用紙に類する紙基材を使用してコストを低減させながら、収納された飲料缶を外観から確認できるしたキャリーカートンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数本の飲料缶を収納して持ち運ぶためのキャリーカートンであって、窓部を設けた紙基材と透明なフィルム基材を貼り合わせた積層シートで組み立てられ、収納した飲料缶の側面が見える位置に窓部が位置していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るキャリーカートンは、紙基材と透明なフィルム基材を貼り合わせた積層シートからなり、フィルム基材で塞がれた紙基材の窓部が収納した飲料缶の側面に位置しているので、中の飲料缶の種類を外観から確認することができる。しかも、厚手の樹脂フィルムを基材に用いてキャリーカートン全体を形成する場合に比べると、キャリーカートン専用紙に類する紙基材を使用することでコストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明に係るキャリーカートンの実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明に係るキャリーカートンの一例を示す斜視図、図2はキャリーカートンを組み立てるのに使用する積層シートを示す一部断面図である。
【0012】
図1のキャリーカートンCは、把手板1に把持用の孔1aが形成され、その把手板1の両サイドに設けた収納部2に350mlの缶ビールを2本ずつ収納するタイプであり、全体形状としては一般によく用いられているキャリーカートンと同様のもので、図2にその一部断面図を示す積層シート10の表面に印刷を施し、所定の形状に型抜きし、この型抜きしたものを折り畳んで糊付けすることで作製されている。
【0013】
図1のキャリーカートンCを組み立てる積層シート10は、図2に示すように、表裏2枚の紙基材11,12の間に透明な樹脂フィルム基材13をサンドイッチして三者を貼り合わせたものであり、表裏の紙基材11,12には同じ位置にそれぞれ窓部11a,12aが形成されている。例えば、紙基材11,12として0.2mm厚の包装用紙、樹脂フィルム基材13として0.05mm厚のポリプロピレン(PP)を用い、それぞれ窓部11a,12aを打ち抜いた紙基材11,12に接着剤14を塗布して、樹脂フィルム基材13の両面に貼り合わせる。なお、紙基材や樹脂フィルム基材の素材はこれらに限定されるものではない。
【0014】
そして、この積層シート10を用いてキャリーカートンCを組み立てるが、積層シート10から打ち抜く組み立て用のブランクシートは、収納した缶ビールの側面が見える位置に窓部11a,12aが位置するように設計する。このように組み立てたキャリーカートンCは、樹脂フィルム基材13で塞がれた紙基材11,12の窓部11a,12aが収納した缶ビールの側面に位置することになるので、これらの窓部11a,12aを通して中の缶ビールの種類を確認することができる。
【0015】
キャリーカートンCを組み立てる積層シート10において、樹脂フィルム基材13は少なくとも窓部11a,12aを覆うように配置されている必要があるが、望ましくは窓部11a,12aだけでなく、紙基材全面が貼り合わせられていることが好ましい。窓部11a,12aだけを覆うように樹脂フィルム基材13が配置されているだけだと、貼り合わせ方法によっては、組み立て工程内でフィルム端部がめくれ上がってしまったり、また結局は本来の折り曲げ位置で組み立てができない場合がある。
【0016】
なお、積層シートの層構成は、上記のような2枚の紙基材11,12の間に樹脂フィルム基材13をサンドイッチしたものに限定されず、例えば、1枚の紙基材と1枚の樹脂フィルム基材を貼り合わせたものでもよく、あるいは樹脂フィルム基材の代わりに透視可能なグラシン紙を用いてもよい。
【0017】
従来のキャリーカートンにおいて、収納した飲料缶の側面が見える位置に窓部を空けることは、物理的にも工程的にも十分に可能である。しかしながら、用紙をより厚くするなどして強度を上げないと、キャリーカートンとしての性能が低下してしまうため、結局は大幅なコストアップになる。また、特に大きな窓部を空けると当該部分の強度が低下することから、組み立て時のサック貼り工程で本来の折り曲げ線でない当該窓部分で折れ曲がってしまい、本来形状を実現しにくい。折り曲げ線がミシン目の場合、そのカット数やカット長を増やすなどにより、強度を窓部より低下させれば、折り曲げ加工可能と推察されるものの、当該折り曲げ線部分の強度自体が低下してしまい、キャリーカートンとしての強度が確保できなくなる虞がある。
【0018】
これに対し本発明のキャリーカートンは、窓部を設けた紙基材と透明なフィルム基材とを貼り合わせた積層シートを用いたことにより、キャリーカートン専用紙に類似する紙基材を使用して、窓部の強度を一定以上に維持することができ、組み立て時における折り曲げが正確に行われる。
【0019】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明によるキャリーカートンは、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは言うまでもないことである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るキャリーカートンの一例を示す斜視図である。
【図2】キャリーカートンを組み立てるのに使用する積層シートを示す一部断面図である。
【符号の説明】
【0021】
C キャリーカートン
1 把手板
1a 孔
2 収納部
10 積層シート
11,12 紙基材
11a,12a 窓部
13 樹脂フィルム基材
14 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の飲料缶を収納して持ち運ぶためのキャリーカートンであって、窓部を設けた紙基材と透明なフィルム基材を貼り合わせた積層シートで組み立てられ、収納した飲料缶の側面が見える位置に窓部が位置していることを特徴とするキャリーカートン。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−78833(P2009−78833A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−248921(P2007−248921)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】