説明

キレート剤の混合物を含む洗剤組成物

本出願は、洗濯洗浄での使用に適したキレート剤の混合物を含むコンパクト液体洗剤組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キレート剤の混合物を含む洗濯洗浄に使用されるコンパクト液体洗剤に関する。
【背景技術】
【0002】
金属イオンの存在のため、キレート剤が洗剤に調合されることが多いが、これは最終性能に弊害をもたらし得る。高度に着色された染みの多くが、金属を組み込む。金属の除去は多くの場合染みを脱色することができ、及び/又はその構造を不安定化させることにより除去を容易にする。金属イオンは、製剤中の漂白剤を触媒的に分解して、性能の大幅な低下をももたらし得る。特に、遷移金属ラジカルイオン、例えばFe、Cu及びMnは、洗浄及び漂白中に漂白剤及び過酸化物の分解を加速させ得る。硬水イオン、例えばCa及びMgも、洗浄製剤に使用される界面活性剤との有害な相互作用を起こす可能性があり、利用可能な有効濃度の低下をもたらし得る。脂肪酸は、カルシウム石鹸として沈澱して石鹸かすの形成をもたらし得る。
【0003】
キレート剤は、金属をキレート化することにより洗剤製品中の金属イオンの悪影響を制御する、広く使用されている化学物質である。キレート剤は有機化合物であることが多く、これは単一の金属イオンと多重結合を形成する。キレート剤は、酸の形態又は塩の形態で洗剤に導入されることができるが、通常、塩の形態は、キレート剤の水溶性を増大させる。しかしながら、ナトリウムイオンは洗剤組成物の脂肪酸と相互作用して、固体石鹸の形成をもたらす。したがって、キレート剤は、できる限り少量のナトリウムイオンを含有しながらなおキレート剤の溶解度を維持する組成物に調合される必要がある。キレート剤に対するもう1つの条件は、その溶解度である。選択されたキレート剤は、可溶性であり、洗剤組成物に水を加える必要なしに可溶性のままでなければならない。加えて、キレート剤は、保管の間、溶液中で安定である必要がある。
【0004】
リン酸塩はアルカリ土類金属を封鎖することができるため、リン酸塩を含有するキレート剤が広く使用されてきた。しかしながら、様々な国での法律により、洗剤におけるリン酸塩の濃度は、著しく低減される必要がある。あるいは、洗剤製造者は、リン酸塩を含まない洗剤をより多く供給する。したがって、洗剤組成物製剤は、様々な国における規制要件の条件を満たす必要がある。
【0005】
コンパクト液体洗剤組成物の調合の際、キレート剤は、金属イオンを制御する基準を満たす、洗剤組成物中で可溶性である、調製及び保管中に安定である、並びに規制要件を満たすように選択されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの問題に対処するに当たり、出願人は驚くべきことに、ナトリウム塩形態のキレート剤ジエチレントリアミン五酢酸塩(DTPA)を2−アミノエタノールで中和された形態又はナトリウム塩形態のS,S−エチレンジアミン−N,N’−二コハク酸(EDDS)と組み合わせることにより、キレート剤の全体的な量を低減すると同時に、良好な溶解度及び高活性濃度を維持することができることを発見した。更に、コンパクト液体洗剤組成物にもたらされる望ましくないナトリウムイオンの量が低減されるため、望ましくないナトリウム石鹸の形成が低減される。本発明のコンパクト液体洗剤組成物は、より広い規制要件も満たし、国際的製剤として使用できる。
【0007】
キレート剤は、洗浄組成物に組み込まれていることで知られている。例えば、国際公開第2009/013534号(Innospec Limited)では、エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)の塩が、過酸化水素を安定させるために使用されている。国際公開第2009/013539号(Innospec Limited)では、エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)のマグネシウム塩が、水溶性かつ非含水性の固体の形態で洗剤組成物に使用されている。国際公開第2009/013541号(Innospec Limited)では、キレート剤である1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)とエチレンジアミン二コハク酸(EDDS)との混合物が洗剤組成物に使用されている。欧州特許第1280882号(Procter & Gamble)では、液体布地柔軟化組成物にキレート剤が使用されている。国際公開第01/83668号及び同第02/074893号(両方ともProcter & Gamble)では、洗剤製品にキレート剤が使用されてきた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
コンパクト液体洗剤組成物であって、その組成物の25重量%未満の水とキレート剤の混合物とを含み、第1のキレート剤は、エチレンジアミン−N,N’−二コハク酸のナトリウム塩、2−アミノエタノールで中和されたエチレンジアミン−N,N’−二コハク酸、及びこれらの混合物からなる群から選択され、第2のキレート剤は、ジエチレントリアミン五酢酸塩のナトリウム塩である、コンパクト液体洗剤組成物。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の洗剤製品は、水溶性パウチ、より好ましくは多区画の水溶性パウチ、又は容器に保存された従来の液体洗剤として使用されるのに適したコンパクト液体洗剤である。水溶性パウチは、存在する場合、水溶性フィルム、並びに少なくとも第1の、及び任意に第2の区画を含む。第1の区画は、キレート剤の混合物を含む第1の組成物を含む。第2の区画は、第2の組成物を含む。好ましくは、パウチは、第3の区画及び第3の組成物を含む。任意に第2及び第3の組成物は、互いに及び第1の組成物とは目に見えて異なっているのが好ましい。
【0010】
コンパクト液体洗剤組成物
本発明の組成物は、コンパクト液体である。用語「液体」は、液体、ペースト、ろう状又はゲル状組成物を含むことを意味する。液体組成物は、固体を含んでもよい。固体としては、粉末又は粒塊、例えばマイクロカプセル、ビーズ、ヌードル若しくは1つ以上の真珠光沢のあるボール、又はこれらの混合物を挙げることができる。そのような固体要素は、洗浄を通して、又は前処理成分、遅延放出成分若しくは順次放出成分として、技術的効果をもたらすことができる。あるいは、固体要素は、審美的な効果も提供し得る。
【0011】
用語「コンパクト」は、組成物の25重量%未満の水を含む、液体、ペースト、ろう状又はゲル状組成物を含むことを意味する。
【0012】
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、水溶性パウチ、より好ましくは多区画パウチの形態である。水溶性パウチは、存在する場合、水溶性フィルム、並びに少なくとも第1の、及び任意に第2の区画を含む。第1の区画は、キレート剤の混合物を含む第1の組成物を含む。第2の区画は、第2の、好ましくは異なる組成物を含む。
【0013】
キレート剤
キレート剤は、金属イオン含有量を制御する、洗浄溶液中及び保管中の漂白剤を安定させる、並びに染みから金属イオンを取り去ることによって染み除去を増大させるために、本発明で使用される。
【0014】
キレート剤は、金属イオンと配位共有結合してキレートを形成する分子である。キレートは、配位化合物であり、この場合、中央金属原子が、配位子と呼ばれる少なくとももう1つの分子又はイオンの1つ以上の原子と結合し、その結果、少なくとも1つの複素環が、各環の一部として金属イオンを有して形成される。キレート剤は、洗剤、石鹸、洗浄製品及び水処理において広く使用される。キレート剤は典型的には多価分子、通常は少なくとも2つの結合部位を有するアミノカルボン酸塩である。キレート剤の有効性は、様々な金属との結合定数を測定することにより評価されることができる。限度内で、キレート剤は通常、キレート剤のプロトン化を防ぐ洗浄溶液のpHの増大に、より有効である。
【0015】
出願人は、ナトリウム塩形態のキレート剤ジエチレントリアミン五酢酸塩(DTPA)を2−アミノエタノール(MEA)で中和された形態又はナトリウム塩形態のS,S−エチレンジアミン−N,N’−二コハク酸(EDDS)と組み合わせることにより、キレート剤間に相乗効果(synenergy)が生まれ、キレート剤の量を低減すると同時に、高活性濃度及び所望の溶解度を維持することができることを発見した。これは製剤における更なる柔軟性を可能にする。更に、コンパクト液体洗剤組成物にもたらされる望ましくないナトリウムイオンの量が低減される。キレート剤の濃度の低下により、キレート剤の溶解度及び安定性が改善され、コンパクト液体洗剤組成物においてキレート剤の混合物の使用が可能となる。キレート剤はリン酸塩を含有しないので、本発明のコンパクト液体洗剤組成物は、より広い規制要件も満たす。
【0016】
キレート剤は完全に中和された形態であるのが好ましいが、酸の形態又は部分的に中和された形態が、本発明に包含される。
【0017】
EDDSは、遷移金属及び重金属の有効なキレート化剤である。遷移金属は、過酸化物種の分解を起こし得るので、漂白剤を含有する組成物に問題を起こす可能性がある。これは漂白性能の低減、並びに繊維損傷及び製品安定性の低下をもたらし得るヒドロキシルラジカルの生成を起こす可能性がある。EDDSは、2つの立体中心(stereogenic centers)を有し、そのため3つの可能な立体異性体を有する。本発明のキレート剤の混合物は、任意の立体異性体を含んでよい。したがって、[R,R]−EDDS、[R,S]−EDDS、[S,S]−EDDS及びこれらの任意の組み合わせから選択されることができる。EDDSは、実質的に[S,S]形態で存在するのが好ましい。EDDSの好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%が[S,S]構造である。EDDSの[S,S]−EDDS形態は生分解性であり、そのため最も好ましい立体異性体である。
【0018】
EDDSは、コンパクト液体洗剤組成物に、ナトリウム塩の形態で又はMEAで中和された形態で、好ましくはMEAで中和された形態で存在することができる。
【0019】
DTPAは、遷移金属及び重金属の有効なキレート化剤である。DTPAは、5つのカルボキシメチル基で修飾されたジエチレントリアミン主鎖からなるポリアミノカルボン酸である。DTPAは、金属カチオンに対して親和性が高い、その共役塩基として使用される。
【0020】
DTPAは、コンパクト液体洗剤組成物に、好ましくは金属塩の形態のDTPAで存在することができる。より好ましくは、DTPAは、コンパクト液体洗剤組成物に、DTPA 1モル当たり2〜5モルのナトリウムを含むナトリウム塩の形態で存在する。
【0021】
キレート剤は、好ましくは液体形態で組成物に加えられ、また調製、保管、及び使用中に液体形態のまま維持されるのが好ましい。DTPAは、ナトリウムと1:2の割合で水溶性であり、EDDSは、アミノエタノールで中和された形態で又はナトリウムと1:2の割合で水溶性である。
【0022】
好ましい実施形態では、本発明のキレート剤の組み合わせは、DTPAナトリウム塩1モル当たりMEAで中和された形態のEDDS 10モル〜DTPAナトリウム塩10モル当たりMEAで中和された形態のEDDS 1モルを含む。
【0023】
本発明の組成物は、組成物の0.05重量%〜5重量%、好ましくは組成物の0.1重量%〜4重量%、最も好ましくは組成物の0.5重量%〜2.0重量%のキレート剤の混合物を含む。
【0024】
コンパクト液体洗剤組成物の任意成分
本発明の組成物は、下記のものなどの1つ以上の成分を含んでよい。
【0025】
溶媒系
本発明のコンパクト液体洗剤組成物の溶媒系は、有機溶媒の混合物であってよい。本組成物は、添加水を含有しない。水分含有量が高いと、フィルム特性に望ましくない効果を及ぼし得る。更に、水分含有量が高すぎるか又は低すぎると、洗剤組成物に悪影響を、即ち相分離をもたらすことにより、及ぼし得る。組成物中の水は、原材料に由来する。好適な有機溶媒には、1,2−プロパンジオール、エタノール、グリセロール、ジプロピレングリコール、メチルプロパンジオール、及びこれらの混合物が挙げられる。また、他の低級アルコール、モノエタノールアミン及びトリエタノールアミンのようなC〜Cアルカノールアミンも使用することができる。溶媒系は、例えば本発明の無水固形物の実施形態のように、なくてもよいが、より典型的には0.1%〜98%、好ましくは少なくとも1%〜50%、より通常的には5%〜25%の範囲の濃度で存在する。
【0026】
水は通常、コンパクト液体洗剤組成物の5重量%〜25重量%、好ましくは7重量%〜20重量%、より好ましくは8重量%〜15重量%の範囲の濃度で存在する。
【0027】
界面活性剤
本発明の組成物は界面活性剤を含んでもよく、これは本発明において、汚れ懸濁を目的とする洗浄性界面活性剤として使用される。
【0028】
使用される界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、双性イオン性、両性、若しくはカチオン性の種類のものであってもよく、又は相容性のこれらの種類の界面活性剤の混合物を含んでもよい。より好ましくは、界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、組成物は、ベタイン界面活性剤を実質的に含まない。本明細書で有用な洗浄性界面活性剤は、米国特許第3,664,961号(Norris、1972年5月23日発行)、同第3,919,678号(Laughlinら、1975年12月30日発行)、同第4,222,905号(Cockrell、1980年9月16日発行)、及び同第4,239,659号(Murphy、1980年12月16日発行)に記載されている。アニオン性及び非イオン性の界面活性剤が好ましい。
【0029】
有用なアニオン性界面活性剤は、それら自体が、幾つか異なる種類の界面活性剤であってもよい。例えば、高級脂肪酸の水溶性塩、即ち「石鹸」は、本明細書の組成物において有用なアニオン性界面活性剤である。これには、8〜24個の炭素原子、好ましくは12〜18個の炭素原子を含有する高級脂肪酸の、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、及びアルキルアンモニウム塩のような、アルカリ金属石鹸類が含まれる。石鹸は、脂肪及び油の直接鹸化によって、又は遊離脂肪酸の中和によって製造することができる。特に有用であるのは、ココヤシ油及び獣脂から誘導される脂肪酸の混合物のナトリウム塩及びカリウム塩、即ち、ナトリウム又はカリウム獣脂及びココヤシ石鹸である。
【0030】
本明細書で用いるのに好適な、石鹸以外の更なるアニオン性界面活性剤としては、その分子構造内に10〜20個の炭素原子を含有するアルキル基とスルホン酸又は硫酸エステル基とを有する有機イオウ反応生成物の、水溶性塩類、好ましくはアルカリ金属及びアンモニウム塩が挙げられる。(用語「アルキル」には、アシル基のアルキル部分が含まれる。)この群の合成界面活性剤の例は、a)アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸カリウム、及びアルキル硫酸アンモニウム、特に、獣脂又はココヤシ油のグリセリドの還元によって生成されるもののような高級アルコール(C〜C18炭素原子)の硫酸化によって得られるもの、b)アルキルポリエトキシレート硫酸ナトリウム、アルキルポリエトキシレート硫酸カリウム、及びアルキルポリエトキシレート硫酸アンモニウム、特に、アルキル基が10〜22個、好ましくは12〜18個の炭素原子を含有し、ポリエトキシレート鎖が1〜15個、好ましくは1〜6個のエトキシレート部分を含有するもの、並びにc)アルキル基が直鎖又は分枝鎖構造中に9〜15個の炭素原子を含有する、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びアルキルベンゼンスルホン酸カリウム、例えば、米国特許第2,220,099号及び同第2,477,383号に記載の種類のものである。とりわけ価値があるのは、アルキル基の平均炭素原子数が11〜13個の、C11〜C13LASと略される線状の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩である。
【0031】
好ましい非イオン性界面活性剤は、式R(OCOHのものであり、式中、Rは、C10〜C16アルキル基又はC〜C12アルキルフェニル基であり、nは3〜80である。特に好ましいのは、C12〜C15アルコールと、アルコール1モル当たり5〜20モルのエチレンオキシドとの縮合生成物であり、例えば、C12〜C13アルコールをアルコール1モル当たり6.5モルのエチレンオキシドで縮合したものである。
【0032】
本発明の組成物は、組成物の1重量%〜80重量%の界面活性剤を含む。界面活性剤は、第1の組成物の構成成分である。好ましくは、この第1の組成物は、組成物の5重量%〜50重量%の界面活性剤を含む。第2及び第3の組成物は、存在する場合、界面活性剤を0.1〜99.9%の濃度で含んでよい。
【0033】
選択された界面活性剤がLASであるとき、組成物は、好ましくはコンパクト液体洗剤組成物の5重量%〜30重量%のLAS、より好ましくはコンパクト液体洗剤組成物の7重量%〜25重量%のLASを含む。
【0034】
界面活性剤増進ポリマー
本発明の組成物は、任意にポリマーを含んでもよい。本発明に適したポリマーは、界面活性剤の有効性を増進させることができるため、界面活性剤増進ポリマーと呼ばれる。界面活性剤の最も一般的な目的は、1つの液相を別のものに、通常は油相を水中に乳化又は分散させることである。2つの不混和性の液体が接触すると、それらの間に境界が形成される。境界面を増大させると、1つの相がもう1つの中に分散して小さい液滴となる。界面張力が低いほど、1つの相が他方に、より乳化される。したがって、低い界面張力は、洗浄及び洗濯における洗浄効率と相関性がある。界面活性剤増進ポリマーという用語は、界面活性剤の界面張力平衡に達する時間を減少させることができるポリマーを意味する。
【0035】
更に、界面活性剤増進ポリマーは、脂肪上のミセル崩壊を助ける。界面活性剤増進ポリマーの主要な特徴は、その両親媒性である。これらは疎水性構造要素と親水性構造要素とのバランスのとれた割合を有する。それ故に、これらは第1に、疎水性の汚れを吸収し、かつ界面活性剤で表面からそれを除去するほどに、十分に疎水性である。第2に、これは、分離した親水性の汚れを洗濯及び洗浄液中に保持し、かつその汚れが表面に再び付着するのを防ぐほどに、十分に親水性である。例えば、ポリエチレングリコールポリ酢酸ビニル(PEG−PVAc)ポリマーでは、PEG−PVAcポリマーの疎水性PVAcの部分により、界面活性剤と疎水性の油しみとが確実に相互作用し、一方PEG−PVAcポリマーの親水性のポリエチレングリコールPEGの部分により、ポリマー−界面活性剤構造の水中での分散が維持される。
【0036】
本発明における両親媒性界面活性剤増進ポリマーは、ビニルエステル成分の重合により形成された親水性主鎖及び疎水性側鎖としての水溶性ポリアルキレンオキシドベースであるのが好ましい。このポリマーは、好ましくはアルキレンオキシド単位50につき平均1つ以下のグラフト部位及び3000〜100,000の平均モル質量Mを有する。
【0037】
本発明に最も好ましい界面活性剤増進ポリマーは、BASF Aktiengesellschaft、Ludwigshafen、Germanyにより販売されている、商品照会名Sokalan PG101(PEG−PVAc)、Sokalan及びSokalan HP22で知られている。本明細書で有用な界面活性剤増進ポリマーは、国際公開第2007/138053号(BASF Aktiengesellesschaft)、同第2007/138054号(Procter & Gamble Company)に記載されている。
【0038】
本出願のコンパクト液体洗剤組成物は、コンパクト液体洗剤組成物の0.1重量%〜10重量%の界面活性剤増進ポリマー、好ましくはコンパクト液体洗剤組成物の3重量%〜8重量%の界面活性剤増進ポリマー、より好ましくはコンパクト液体洗剤組成物の約4重量%の界面活性剤増進ポリマーを含む。
【0039】
乳白剤
コンパクト液体洗剤組成物は、乳白剤を含んでもよい。本発明による乳白剤は、固体の不活性化合物であり、組成物中で溶解せず、ほとんどの光波長を屈折、散乱又は吸収する。
【0040】
乳白剤は、スチレン/アクリレートラテックス、二酸化チタン、二酸化スズ、任意の形態の修飾されたTiO、例えば炭素修飾されたTiO又は金属ドープされた(例えば、白金、ロジウム)TiO又は酸化第二スズ、オキシ塩化ビスマス若しくはオキシ塩化ビスマスでコーティングされたTiO/雲母、シリカでコーティングされたTiO又は金属酸化物でコーティングされた、及びこれらの混合物からなる群から選択されるのが好ましい。特に好ましいスチレン/アクリレートラテックスは、Rohm & Haas Companyから入手可能であり、商標Acusolで販売されているものである。ラテックスは、約2〜約3のpHにより特徴付けられ、水中およそ40%の固形物を有し、粒径は約0.1〜約0.5マイクロメートルである。とりわけ好ましいAcusol.RTMポリマーには、Acusol.RTM.OP301(スチレン/アクリレート)ポリマー、Acusol.RTM.OP302(スチレン/アクリレート/ジビニルベンゼンコポリマー)、Acusol.RTM.OP303(スチレン/アクリルアミドコポリマー)、Acusol.RTM.OP305(スチレン/PEG−10マレアート/ノノキシノール−10マレアート/アクリレートコポリマー)及び(スチレン/アクリレート/PEG−10ジマレアートコポリマー)並びにこれらの混合物が挙げられる。好ましい種は、1000〜1 000 000、より好ましくは2000〜500 000、最も好ましくは5000〜20 000の分子量を有する。
【0041】
乳白剤は、それが組み込まれている組成物を白色のままに維持するのに十分な量で存在するのが好ましい。乳白剤が無機乳白剤である場合(例えば、TiO又はその修飾物)、乳白剤は好ましくはコンパクト液体洗剤組成物の0.001重量%〜1重量%、より好ましくは0.01重量%〜0.5重量%、最も好ましくは0.05重量%〜0.15重量%の濃度で存在する。
【0042】
乳白剤が有機乳白剤である場合(例えば、スチレン/アクリレートラテックス)、乳白剤は好ましくはコンパクト液体洗剤組成物の0.001重量%〜2.5重量%、より好ましくは1重量%〜2.2重量%、最も好ましくは1.4重量%〜1.8重量%の濃度で存在する。
【0043】
酸化防止剤
コンパクト液体洗剤組成物は、酸化防止剤を含んでもよい。第2の及び第3の組成物も、存在する場合、酸化防止剤を含んでよい。理論に制限されることを望まないが、出願人らは、酸化防止剤の存在が、製剤中、例えば、経時的に及びより高い温度で酸化される傾向があり黄変をもたらし得る香料中の反応性化合物の反応を低減又は好ましくは阻止すると考えている。
【0044】
本発明による酸化防止剤は、他の分子の酸化を遅らせる又は防ぐことができる分子である。酸化反応は、フリーラジカルを生成でき、それが分解の連鎖反応を開始し得る。酸化防止剤は、フリーラジカル中間体を除去し、それ自体が酸化されることによって他の酸化反応を阻止することにより、それらの連鎖反応を終了させる。結果として、酸化防止剤は還元剤であることが多い。酸化防止剤は、ブチル化ヒドロキシルトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシルアニソール(BHA)、トリメトキシ安息香酸(TMBA)、α、β、λ及びδトコフェノール(ビタミンEアセテート)、6ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラ−メチルクロマン−2−カルボン酸(トロロックス)、1,2,ベンズイソチアゾリン−3−オン(プロキセルGLX)、タンニン酸、没食子酸(galic acid)、Tinoguard AO−6、Tinoguard TS、アスコルビン酸、アルキル化フェノール、エトキシキン(ethoxyquine)2,2,4トリメチル,1−2−ジヒドロキノリン、2,6ジ又はtert又はブチルヒドロキノン、tert、ブチル、ヒドロキシルアニソール、リグノスルホン酸及びその塩、ベンゾフラン、ベンゾピラン、ソルビン酸トコフェロール、ブチル化ヒドロキシル安息香酸及びその塩、没食子酸(galic acid)及びそのアルキルエステル、尿酸、その塩及びアルキルエステル、ソルビン酸及びその塩、ジヒドロキシフマル酸及びその塩、並びにこれらの混合物からなる群から選択されるのが好ましい。好ましい酸化防止剤は、アルカリ及びアルカリ土類金属亜硫酸塩及びヒドロ亜硫酸塩、より好ましくは亜硫酸ナトリウム又はヒドロ亜硫酸ナトリウムからなる群から選択されるものである。
【0045】
酸化防止剤は、好ましくはコンパクト液体洗剤組成物の0.01重量%〜2重量%、より好ましくは0.1重量%〜1重量%、最も好ましくは0.3重量%〜0.5重量%の濃度で存在する。
【0046】
無機乳白剤が使用される場合、乳白剤及び酸化防止剤は、好ましくは0.1〜0.5、より好ましくは0.12〜0.35の割合で存在する。一方、有機乳白剤が使用される場合、乳白剤及び酸化防止剤は、好ましくは2〜6、より好ましくは3〜5の割合で存在する。
【0047】
レオロジー変性剤
好ましい実施形態では、コンパクト液体洗剤組成物は、レオロジー変性剤を含む。レオロジー変性剤は、非ポリマー結晶性、ヒドロキシ官能性材料、ポリマーレオロジー変性剤からなる群から選択され、組成物の水性液体マトリックスにずり減粘特性を付与する。結晶性、ヒドロキシ官能性材料はレオロジー変性剤であり、それはマトリックス中のその場での結晶化により組成物のマトリックスの全体にわたって糸状構造系を形成する。具体的な、好適な結晶性、ヒドロキシル含有レオロジー変性剤の例としては、ヒマシ油及びその誘導体が挙げられる。特に好ましいものは、硬化ヒマシ油及び水素添加ヒマシ蝋などの硬化ヒマシ油誘導体である。市販のヒマシ油系、結晶性、ヒドロキシル含有レオロジー変性剤としては、Rheox,Inc.(現Elementis)製のTHIXCIN(登録商標)が挙げられる。ポリマーレオロジー変性剤は、好ましくはポリアクリレート、ポリマーゴム、その他の非ゴム多糖類、及びこれらのポリマー材料の組み合わせから選択される。好ましいポリマーゴム材料としては、ペクチン、アルギネート、アラビノガラクタン(アラビアゴム)、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガム、グアーガム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0048】
布地ケア有益剤
コンパクト液体洗剤組成物は、布地ケア有益剤を含んでもよい。本明細書で使用するとき、「布地ケア有益剤」は、その材料が適切な量で衣類/布地の上にあるときに、布地ケアに効果を与えるあらゆる材料を指し、例えば、布地柔軟化、着色保護、毛玉/毛羽削減、磨耗防止、皺防止、などの効果を衣類及び布地、特に綿及び綿が多い衣類並びに布地に対して与える。布地ケア有益剤の非限定的な例としては、カチオン性界面活性剤、シリコーン、ポリオレフィンワックス、ラテックス、油性糖誘導体、カチオン性多糖類、ポリウレタン、脂肪酸、及びこれらの混合物が挙げられる。コンパクト液体洗剤組成物に存在するとき、布地ケア有益剤は、適切には、コンパクト液体洗剤組成物の30重量%まで、より典型的には1重量%〜20重量%、好ましくは2重量%〜10重量%の濃度である。
【0049】
洗浄用酵素
本明細書で用いる好適な洗浄用酵素には、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ及びエンドグルカナーゼを含むカルボヒドラーゼ、並びにこれらの混合物が挙げられる。酵素は、その技術分野で教示される濃度、例えば、ノボ(Novo)及びジェネンコア(Genencor)のような供給元によって推奨される濃度で使用することができる。コンパクト液体洗剤組成物における典型的な濃度は、0.0001%〜5%である。酵素が存在するとき、本発明の特定の実施形態では、酵素を非常に低い濃度、例えば0.001%以下で使用することができ、又は本発明による、より強力型の洗濯洗剤製剤では、酵素をより高濃度、例えば0.1%以上で使用することができる。「非生物学的」洗剤を好む消費者もいるため、本発明は酵素含有の実施形態と酵素を含まない実施形態の両方を含む。
【0050】
沈着助剤
本明細書で使用するとき、「沈着助剤」は、洗濯中に布地ケア有益剤の布地への沈着を顕著に高める、あらゆるカチオン性ポリマー又はカチオン性ポリマーの組み合わせを指す。好ましくは、沈着助剤はカチオン性又は両性ポリマーである。本発明の両性ポリマーは、やはりカチオン性の正味電荷を有し、即ち、これらのポリマー上にあるカチオン性電荷の合計が、アニオン性電荷の合計を上回る。沈着増強剤の非限定的例は、カチオン性多糖類、キトサン及びその誘導体、並びにカチオン性合成ポリマーである。好ましいカチオン性多糖類としては、カチオン性セルロース誘導体、カチオン性グアーガム誘導体、キトサン及び誘導体、並びにカチオン性デンプンが挙げられる。
【0051】
ビルダー
コンパクト液体洗剤組成物は、任意にビルダーを含んでもよい。好適なビルダーとしては、米国特許第3,923,679号、同第3,835,163号、同第4,158,635号、同第4,120,874号、及び同第4,102,903号に記載のもののような、環状化合物、特に脂環式化合物を含むポリカルボン酸塩ビルダーが挙げられる。特に好ましいのは、クエン酸塩ビルダー、例えばクエン酸及びその可溶性塩(特にナトリウム塩)である。その他の好ましいビルダーとしては、アルミノケイ酸塩、例えばゼオライトA、B又はMAP;脂肪酸又はその塩、好ましくはナトリウム塩、好ましくはC12〜C18の飽和及び/又は不飽和脂肪酸;並びにアルカリ又はアルカリ土類金属炭酸塩、好ましくは炭酸ナトリウムが挙げられる。
【0052】
本出願のコンパクト液体洗剤組成物は、コンパクト液体洗剤組成物の2重量%〜20重量%の脂肪酸、好ましくはコンパクト液体洗剤組成物の5重量%〜15重量%の脂肪酸、最も好ましくはコンパクト液体洗剤組成物の6重量%〜10重量%の脂肪酸を含む。
【0053】
漂白剤系
本明細書に好適な漂白剤には、塩素漂白剤及び酸素漂白剤が挙げられ、特に無機過水和物塩、例えば、過ホウ酸ナトリウム一水和物及び四水和物、並びに制御された放出速度を提供するために任意にコーティングされた過炭酸ナトリウム(例えば、硫酸塩/炭酸塩コーティングについては英国特許第A−1466799号を参照のこと)、予備形成有機ペルオキシ酸及び有機ペルオキシ酸漂白剤前駆体とのこれらの混合物、並びに/又は遷移金属含有漂白触媒(特に、マンガン又はコバルト)が挙げられる。無機過水和物塩は、典型的には、コンパクト液体洗剤組成物の1重量%〜40重量%、好ましくは2重量%〜30重量%、より好ましくは5重量%〜25重量%の範囲の濃度で組み込まれる。本明細書に使用するために好ましいペルオキシ酸漂白剤前駆体には、過安息香酸及び置換型過安息香酸の前駆体;カチオン性ペルオキシ酸前駆体;過酢酸前駆体、例えばTAED、アセトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びペンタアセチルグルコース;過ノナン酸(pernonanoic acid)前駆体、例えば、3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(イソ−NOBS)及びノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(NOBS);アミド置換型アルキルペルオキシ酸前駆体(欧州特許第A−0170386号);並びにベンゾオキサジンペルオキシ酸前駆体(欧州特許第A−0332294号及び同第A−0482807号)が挙げられる。漂白剤前駆体は、典型的には、組成物の0.5重量%〜25重量%、好ましくは1重量%〜10重量%の範囲の濃度で組み込まれ、一方予備形成有機ペルオキシ酸自体は、典型的には、コンパクト液体洗剤組成物の0.5重量%〜25重量%、より好ましくは1重量%〜10重量%の範囲の濃度で組み込まれる。本明細書に用いるのに好ましい漂白触媒には、トリアザシクロノナンマンガン及び関連錯体(米国特許第A−4246612号、同第A−5227084号);ビスピリジルアミンコバルト、ビスピリジルアミン銅、ビスピリジルアミンマンガン、及びビスピリジルアミン鉄、及び関連錯体(米国特許第A−5114611号);並びにペンタミンアセテートコバルト(III)及び関連錯体(米国特許第A−4810410号)が挙げられる。
【0054】
増白剤
コンパクト液体洗剤組成物は、増白剤を含んでもよい。そのような染料は、洗濯洗浄サイクル中好ましい着色効率を示し、洗濯中過度の望ましくない蓄積を示さないことがわかった。増白剤が、洗剤を含有する溶液中で洗浄される布地に対する着色効果をもたらすのに十分な量で、総洗濯用洗剤組成物中に含まれる。一実施形態では、多区画パウチは、コンパクト液体洗剤組成物の0.0001重量%〜1重量%、より好ましくは0.0001重量%〜0.5重量%、更により好ましくはコンパクト液体洗剤組成物の0.0001重量%〜0.3重量%を含む。
【0055】
真珠光沢剤
本発明のコンパクト液体洗剤組成物は、真珠光沢剤を含んでもよい。かかる真珠光沢剤は有機又は無機であり得るが、好ましくは無機である。最も好ましくは、真珠光沢剤は、雲母、TiO被覆雲母、オキシ塩化ビスマス、又はこれらの混合物から選択される。
【0056】
香料
本発明のコンパクト液体洗剤組成物に香料が組み込まれるのが好ましい。香料は、プレミックス液体として調製することができ、シクロデキストリンのようなキャリア材料と連結させてもよく、あるいはカプセル封入してもよい。カプセル封入される場合、香料は、メラミン/ホルムアルデヒドコーティングにカプセル封入されるのが好ましい。
【0057】
その他の添加剤
その他の好適な洗浄添加剤物質の例としては、これらに限定するものではないが、酵素安定化系;アニオン性染料のための固定剤、アニオン性界面活性剤のための錯化剤、及びこれらの混合物などの除去剤;光学的光沢剤又は蛍光剤;汚れ放出ポリマー;分散剤;抑泡剤;染料;着色剤;例えばトルエンスルホン酸塩、クメンスルホン酸塩及びナフタレンスルホン酸塩などのヒドロトロープ;色スペックル;着色ビーズ、スフェア又は押出品;粘土柔軟化剤及びこれらの混合物が挙げられる。
【0058】
組成物の調製
本明細書のコンパクト洗剤組成物は一般に、成分を共に混合することにより調製されることができる。真珠光沢材料を使用する場合、混合の後の方の段階で添加するべきである。レオロジー変性剤を使用する場合、プレミックスを最初に形成することが好ましく、レオロジー変性剤は、組成物を構成するために最終的に用いられる、水及び所望により他の配合成分の一部に分散される。プレミックスは、構造化された液体を形成するこのような方法で形成される。次に、この構造化したプレミックスを、プレミックスを攪拌しながら添加することができ、水及びあらゆる任意の洗剤組成物助剤と共に、界面活性剤及び必須の洗濯助剤材料を使用できる。
【0059】
パウチ材料
コンパクト液体洗剤組成物がパウチに詰められる場合、パウチは好ましくは、水中で可溶性又は分散性のフィルム材で作られ、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、又は更には少なくとも95%の水溶性を有する。水溶性は、20マイクロメートルの最大孔径を有するガラスフィルターを使用した後、ここで説明される方法により測定される:50グラム±0.1グラムのパウチ材料が、予め秤量された400mLのビーカーに加えられ、245mL±1mLの蒸留水が加えられる。これは、600rpmに設定された磁性攪拌器上で、30分間激しく攪拌される。その後、混合物を、上記で定義した孔径(最大20マイクロメートル)の折り重ねた定性的な焼結ガラスフィルターで濾過する。回収した濾液からいずれかの従来法によって水を乾燥させ、残った材料の重量を測定する(これが溶解又は分散画分である)。次いで、溶解度又は分散度のパーセンテージを計算することができる。
【0060】
好ましいパウチ材料は、ポリマー材料、好ましくはフィルム又はシートに成形されるポリマーである。パウチ材料は、当該技術分野において既知であるように、例えば、ポリマー材料のキャスティング、吹込成形、押出成形、又は吹込押出成形により得ることができる。
【0061】
パウチ材料としての使用に適した好ましいポリマー、コポリマー又はそれらの誘導体は、国際公開第03/045812号(Procte & Gamble Company)、同第04/085586号(Procter & Gamble Company)及び同第07/130684号(Procter & Gamble Company)に記載されている。
【0062】
好ましくは、パウチ材料中のポリマー、例えばPVAポリマーの濃度は、少なくとも60%である。ポリマーは、任意の重量平均分子量を有することができるが、好ましくは1000〜1,000,000、より好ましくは10,000〜300,000、更により好ましくは20,000〜150,000である。
【0063】
ポリマーの混合物もまた、パウチ材料として使用することができる。これは、その用途及び必要とされるニーズに応じて、区画又はパウチの機械的性質及び/又は溶解特性を制御するのに有益であり得る。好適な混合物には、例えば、1つのポリマーが別のポリマーよりも高い水溶性を有し、及び/又は1つのポリマーが別のポリマーよりも高い機械強度を有する混合物が挙げられる。異なる重量平均分子量を有するポリマーの混合物も好適である。
【0064】
当然のことながら、異なるフィルム材及び/又は異なる厚さのフィルムを、本発明の区画を作製するために用いることができる。異なるフィルムを選択することにおける利益は、得られる区画が、異なる溶解度特性又は放出特性を呈することができるということである。
【0065】
最も好ましいパウチ材料は、MonoSol LLC(米国、インディアナ州ゲーリー)より販売されている商品照会名Monosol M8630として既知のPVAフィルム、並びに相当する溶解度特性及び変形特性のPVAフィルムである。本明細書で使用するのに好適な他のフィルムには、Aicello社により供給される商品照会名PTフィルム若しくはK−シリーズとして知られるフィルム、又はKurarayにより供給されるVF−HPフィルムとして知られるフィルムが挙げられる。
【0066】
また、本明細書のパウチ材料は、1つ以上の添加剤成分を含むことができる。例えば、可塑剤、例えばグリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、及びこれらの混合物を添加することは有益であり得る。他の添加剤には、洗浄水に送達されることになる機能的洗剤添加剤、例えば有機ポリマー分散剤などが挙げられる。
【0067】
変形性の理由で、液体である構成成分を収容するパウチ又はパウチ区画は、好ましくは、この区画の容積スペースの最大50%、好ましくは最大40%、より好ましくは最大30%、より好ましくは最大20%、より好ましくは最大10%の体積を有する気泡を含む。
【0068】
水溶性パウチを作るためのプロセス
水溶性パウチを作るプロセスは、任意の好適な機器及び方法を使用して行なうことができる。単一区画のパウチは、縦の、しかし好ましくは当該技術分野において既知の水平形式の充填技術を用いて作られる。
【0069】
水溶性パウチを作るためのプロセスは、欧州特許第1504994号(Procter & Gamble Company)及び国際公開第02/40351号(Procter & Gamble Company)に記載されている。多区画の水溶性パウチを作るためのプロセスは、同時係属の特許出願第09161692.0号(2009年9月出願、Procter & Gamble Company)に記載されている。
【0070】
二次パッケージング
好ましくは、本発明の多区画パウチは更に、外側パッケージ中にパッケージングされる。かかる外側パッケージは、例えば、透明又は半透明の袋、タブ、カートン又はボトルなどの容器を透過して、あるいは部分的に透過して見ることができる。このパックは、輸送の間にパウチを保護するのに十分な強度を有する材料であるならば、プラスチック又は任意の他の好適な材料から作製できる。この種類のパックは更に、ユーザーがパックを開けて、どの程度の数のパウチが残っているのか確認する必要がなくなることから、非常に有用である。あるいは、パックは透視できない外側パッケージ、恐らくパックの視覚的に典型的な内容物を表すしるし又は図柄を備える外側パッケージを有することもできる。
【0071】
洗浄プロセス
本発明のコンパクト液体洗剤は、洗濯洗浄用途に好適である。コンパクト液体洗剤は、手による洗浄又は機械による洗浄の条件に好適である。機械による洗浄の場合、コンパクト液体洗剤は、分配トレーから供給されてもよいし、又は水溶性パウチの形態若しくはコンパクト液体の形態のいずれかで洗濯機のドラム内に直接加えられてもよい。
【実施例】
【0072】
以下は、本発明のパウチ製品の例である。
【表1】

H−EDDS:エチレンジアミン−N,N’−二コハク酸
性能:
キレート剤の性能は、ワイン及び茶で測定された。ワイン及び茶の染みが綿布に塗布され、EMC(US)から得られた。染み及び0.5kgのTシャツからなるバラスト負荷をMiniWasherに加えて、中位の米国洗浄条件を表した。洗浄水を32.2℃±1℃及び1mmol/L(6gpg)の硬度に設定し、すすぎ水を15.5℃±1℃に設定した。水量は15リットルであり、洗浄時間は12分間であった。
【0073】
染み及びバラストは、各サイクルの終わりで、高速及び高熱で乾燥され、クールダウンサイクルを伴った。次いで、除去された染みの量を計算することができる方法である画像解析によって、結果が分析された。染みは、洗浄前及び洗浄後で撮像される。撮像により、染み除去指数(SRI)の量が計算される。SRI 100は、完全な除去を意味し、SRI 0は、全く除去されなかったことを意味する。
【0074】
Laundry Image Analysisシステム(Merlin画像解析システム)は、専門的な染みの見本上の染み除去を測定する。このシステムは、見本のカラー画像を得るためにビデオカメラを利用する。見本の画像は、見本の洗浄前及び洗浄後で撮られる。次いで、得られた画像は、コンピューターソフトウェア(Global R&D computing)により解析される。このソフトウェアは、洗浄されていない染みを洗浄された染みと、並びに洗浄されていない布地を洗浄された布地と比較し、染み除去を表す5桁の価値を提示する。次いで、データを統計的に分析して、洗剤性能間の統計的な有意差を判定する。
【0075】
染み除去指数は、洗浄されていない染みと洗浄された染みとの間の色の差を判定するための参考として、初期の布地を使用する。値が高いほど、洗浄及び染み除去が良好であり、それ故により優れた洗剤であることを示す。標準偏差は1である。
【表2】

【0076】
製品安定性:
製品(I〜III)は、組成物Cと3つの異なるキレート剤の組み合わせとを組み合わせることによって調製された。製品(75g)を4℃、20℃、及び35℃にてガラス瓶(容量100mL)内で4週間保管した。次いで、製品安定性を視覚的に評価した。目で見える沈澱又は製品の分相があった場合は、安定性は不合格であると見なされる。保管期間中に変化の兆候がない場合は、安定性は合格であると見なされる。
【表3】

【表4】

【0077】
安定性試験は、キレート剤DTPAとEDDSとの間の相乗効果(synenergy)を示す。0.7%のNa−DTPAを含むコンパクト液体洗剤組成物は安定しているが、所望の洗浄有効性を提供しない。Na−DTPAの量を効果的な濃度まで増加させると、この組成物は安定性条件を満たさない。0.7%のNa−EDDSと0.7%のNa−DTPAとの組み合わせは、所望の洗浄有効性を提供し、かつ安定性条件を満たす。
【0078】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく制限されるものとして理解されるべきでない。それよりむしろ、特に指定されない限り、各こうした寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンパクト液体洗剤組成物であって、
前記組成物の25重量%未満の水とキレート剤の混合物とを含み、第1のキレート剤が、エチレンジアミン−N,N’−二コハク酸のナトリウム塩、2−アミノエタノールで中和されたエチレンジアミン−N,N’−二コハク酸、及びこれらの混合物からなる群から選択され、第2のキレート剤が、ジエチレントリアミン五酢酸塩のナトリウム塩である、コンパクト液体洗剤組成物。
【請求項2】
前記キレート剤混合物が、ジエチレントリアミン五酢酸塩及びエチレンジアミン−N,N’−二コハク酸又はそれらの塩のモル比1:10から、ジエチレントリアミン五酢酸塩及びエチレンジアミン−N,N’−二コハク酸又はそれらの塩のモル比10:1を含む、請求項1に記載のコンパクト液体洗剤組成物。
【請求項3】
前記液体洗剤組成物が、前記組成物の0.05重量%〜5重量%のキレート剤混合物、好ましくは前記組成物の0.1重量%〜4重量%のキレート剤混合物、より好ましくは前記組成物の0.5重量%〜2重量%のキレート剤混合物を含む、請求項1又は2に記載のコンパクト液体洗剤組成物。
【請求項4】
前記コンパクト液体洗剤組成物が、乳白剤及び酸化防止剤を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のコンパクト液体洗剤組成物。
【請求項5】
水溶性パウチにカプセル封入された、請求項1〜4のいずれか一項に記載のコンパクト液体洗剤組成物。
【請求項6】
前記コンパクト液体洗剤組成物が、2つ以上の区画を含む水溶性パウチの形態であり、第2の区画が、着色剤を含むが乳白剤を含まない、請求項1〜5のいずれか一項に記載のコンパクト液体洗剤組成物。

【公表番号】特表2012−508307(P2012−508307A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535801(P2011−535801)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/046716
【国際公開番号】WO2011/034701
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】