説明

キースイッチ及びキーボード

【課題】従来のキースイッチ用リンク部材とベース部材はプラスチックス製が多いが、双方又は一方を金属製とし、新ベース構造の考案により低背化、ワブルレス化、サイレント化、放熱性の向上とコストの低減を図る。
【解決手段】キートップ20用の2箇のリンク部材40,50は直交して配置。リンク部材40,50は主軸42の長さが異なり、長リンク部材50が、短リンク部材40を抱え込んだ状態で直交配置され、短リンク部材40の一方のアーム40は、長リンク部材50の主軸42側、他方アーム40は反対側に配置され、キートップ20はベース30の主表面31に対し、実質的鉛直方向へ、操作面21を主表面31に平行のまま移動できる。キーボード用ハウジングパネルは複数箇のメタル製ベース30を一体化したもので、L字状の摺動支持片33が縦横に立設されており、剛性が高くサイレント化とメタル製であるため放熱効果を高めている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、打鍵操作されるキースイッチに関し、特にノート型パーソナルコンピュータやノート型ワードプロセッサ等の携帯用電子機器に装備された低背型キーボードで好適に使用されるキースイッチに関する。
さらに本発明は、そのようなキースイッチを多数備えた低背型のキーボードに関する。
【0002】
【従来の技術】従来この分野では、機器の携帯性を向上させる目的でのキーボードの低背化、操作性を向上させるためのキートップのワブルレス化、操作時のサイレント化、及びCPUの性能をアップするため放熱性の向上等の要求は強いが充分ではない。関連特許として▲1▼特開平9−27235号公報▲2▼特開平9−190735号公報▲3▼特開平9−63402号公報▲4▼特開平2000−76957号公報▲5▼特開平2000−246053号がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のキースイッチ用リンク部材とベース部材はプラスチックス成形品が多いが、本発明は双方又は一方を金属のプレス加工品とし、更に新しいベース構造の考案により低背化、ワブルレス化、サイレント化、放熱性の向上と共にコストの低減を図る。
【0004】
【課題を解決するための手段】キートップ20をベース30上で昇降方向へ案内支持する2箇のリンク部材40,50はお互いに直交して配置される。リンク部材40、50は主軸42の長さが異なり、長い主軸の長リンク部材50が、短い主軸42の短リンク部材40を抱え込んだ状態で直交配置されていて、短リンク部材40の一方のアーム40は、長リンク部材50の主軸42側、他方のアーム40はその反対側に配置されているので、キートップ20はベース30の主表面31に対し、実質的鉛直方向へ、操作面21を主表面31に略平行に配慮した所定の姿勢を保持しつつ、平行移動できる。キースイッチを複数箇使用したキーボード用ハウジングパネルは複数箇のメタル製ベース30を一体化したもので、L字状の摺動支持片33が縦横に立設されており、剛性が高く操作時のサイレント化とメタル製であるため放熱効果を高めている。
【発明の実施の形態】
【0005】
図1は、本発明の第1実施形態によるキースイッチ10を示す。キートップ20とキートップ20の下方に配置される矩形枠状のベース30と、キートップ20をベース30の主表面31上で、昇降方向へ案内支持する2箇のリンク部材40、50と、ベース30の下方に配置され、メンブレンスイッチを有するメンブレンシート61と、メンブレンシート61を支持する支持プレート70とを備える。
【0006】
キートップ20は略矩形平面形状を有した皿状の部材であり、操作面21の反対側の内面22に、二対の枢着部23が互いに直交方向に配置して形成される。
以下、キースイッチ10の前後左右方向を便宜的に、上記のように定義して説明するが、実際の使用時における前後左右方向が、この定義に限定されないことは言うまでもない。
【0007】
各枢着部23は、キートップ20の内面から直立状に突設される板状片からなり、板厚方向へ貫通する軸受穴24と、内面22に略直交する方向へ延びて、軸受穴24に連通する切欠き25とを備える。
【0008】
各摺動係着部32は、ベース30の上面31の中心部にむけて、折曲させた略L字状の摺動支持片33を、互いに直交して2箇立設して形成される。摺動支持片33の端面34は、各々のリンク部材40、50との間で適正なクリアランスを保って位置決めされる。
【0009】
互いに直交する2箇のリンク部材40,50は、互いに平行に延びる2個のアーム41と、それらアームの一端を互いに連結する略L字状の主軸42とを一体に備える。両アーム41の先端には、主軸42と反対側にそれぞれ支軸43が互いに同軸状に突設される。
【0010】
リンク部材40,50は、アーム41の先端に設けた支軸43を、キートップ20の各枢着部23の軸受穴24に回動自在にかん入し、主軸42をベース30の摺動係止部32に摺動自在にはめこむ。両リンク部材40,50は、主軸の長さが異なり短リンク部材40と、長リンク部材50とがあり、長リンク部材50は短リンク部材40を抱き込む状態で、互いに直交して配置される。主軸42はそれらリンク部材40,50の摺動部分を構成する。
【0011】
ベストな操作特性を求めるとドームスプリング60のセンターと、短リンク部材40の支軸センターが一致すると共に、長リンク部材50の支軸センターとも一致していることが望ましい。狭ピッチ(隣接するキースイッチ間隔が12.5mm程度)にも対応するためには、短リンク部材40の一方のアーム41は長リンク部材50の支軸センターより長リンク部材50の主軸側に、他方のアームはその反対側に配置していると操作特性は良好である。
【0012】
ベースの摺動支持片の両側端34と、リンク部材のアーム根元の両側端44との間には、適正なクリアランスを保ち、更にアーム先端部は片持はり形状なので、キートップの横方向のガタは短リンク部材40で、縦方向のガタは長リンク部材50で適正な値に規制される。キートップ20を押下すると、アームの支軸43は回転し、主軸42は摺動する。
キートップ20はベース30の主表面31に対し、実質的鉛直方向へ、操作面21を主表面31に略平行に配慮した所定の姿勢を保持しつつ平行移動できる。
リンク部材40,50の主軸42の摺動量を規制するため、ベース30に立設された摺動支持片33の略中央に、キートップとは反対方向に凸出部35を形成している。図3dはキートップの昇降に伴うリンク部材の軌跡と突出部の詳細形状を示している。
【0013】
キースイッチ10はさらに、キートップ20をベース30から離れる上方へ弾性的に付勢する付勢手段として、リンク部材40,50との間に配置された弾性部材であるドームスプリング60を備える。
【0014】
図7は本発明の第2実施形態によるキースイッチ100を示す。長、短リンク部材を金属板のプレス加工よりプラスチック成形品にしたもので、より軽量化を図った。図8は短リンク部材、図9は長リンク部材の全体図である。
【0015】
図10は本発明によるスイッチを多数箇使用したキーボードの全体図を示す。
図11はキーボードのハウジングパネル80の全体図を示す。ハウジングパネル80は多数箇のベース30が一体化されたもので、一枚の金属板をプレス加工により製作する。複数箇の摺動支持片33が縦、横に立設されているため、ハウジングパネル80の剛性が従来のプラスチック製と比較して、数倍高くなり、操作時に発生する音が低減される。
【0016】
図12はキーボードの支持プレートの全体図を示す。支持プレート70は、台座部72とU字状結合片73とからなるスタンド71を複数箇立設形成されている。ハウジングパネル80には、複数箇の角孔81が、スタンド71と相対して形成される。支持パネル70の上にメンブレンシート61をセットし、ハウジングパネル80をスタンド71のU字状結合片73が角孔81を貫通する様にセットした後に、U字状結合片を変形させて、ハウジングパネル80を支持パネル70に固定する。スタンド71には根元部にスリット部74が形成されていることにより、関連寸法の変動を吸収して完全固定が図られる。
【0017】
CPUから発生する熱は支持パネルが直接、間接的に受け、複数箇のスタンドを通して、ハウジング表面より放熱される。リンク部材がメタル製だと放熱効率は更に向上し、CPUの性能は飛躍的に改善する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例のキースイッチの全体図
【図2】キートップの全体図
【図3】ベースの全体図
【図4】短リンク部材の全体図
【図5】長リンク部材の全体図
【図6】ドームスプリングの全体図
【図7】第2実施例のキースイッチの全体図
【図8】プラスチック製短リンク部材の全体図
【図9】プラスチック製長リンク部材の全体図
【図10】本発明によるスイッチを多数箇使用したキーボードの全体図
【図11】キーボードのハウジングパネルの全体図
【図12】キーボードの支持プレートの全体図
【符号の説明】
10 第1実施例のキースイッチ 42 主軸
20 キートップ 43 支軸
21 キートップ操作面 44 アーム根元の両側端
22 キートップ内面 45 片持はり部
23 枢着部 50 長リンク部材
24 軸受孔 60 ドームスプリング
25 切欠き 61 メンブレンシート
30 ベース 70 支持プレート
31 ベースの主表面 71 スタンド
32 摺動係着部 72 台座部
33 摺動支持片 73 U字状結合片
34 摺動支持片の両側端 74 スリット部
35 突出部 80 ハウジングパネル
40 短リンク部材 81 角孔
41 アーム 100 第2実施例のキースイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと該ベース上に配置されるキートップと、各々が互いに連動すると共に、該ベース及び該キートップの双方に作用的に係合して、該キートップを該ベース上で昇降方向へ案内支持する2箇のリンク部材と、該キーボードの昇降動作に対応して電気回路の接点を開閉するスイッチング機構とを具備したキースイッチにおいて、前記2箇のリンク部材の各々は前記キートップに回動可能に係合すると共に、前記ベースに摺動変位可能に係合する摺動部分を有し、お互いに直交してベース上面に配置されることを特徴とするキースイッチ。
【請求項2】
前記リンク部材は主軸より互いにのびるアームとその先端には、外部にそれぞれ支軸が互いに同軸状に突設していて、前記ベースは互いに直交する2箇のL字状摺動係着部が形成されていて、その両端面部はリンク部材のアームの根元端面部との間で適正なクリアランスを備え、更にアーム先端部は片持はり形状であるため、一方のリンク部材はキートップの横方向のガタを所定量に規制すると共に、他方のリンク部材はキートップの縦方向のガタを所定量に規制しているか、いずれか一方のガタのみを所定量に規制していることを特徴とする。
請求項1に記載のキースイッチ。
【請求項3】
前記リンク部材は主軸の長さが異なり、長い主軸の長リンク部材が、短い主軸の短リンク部材を抱え込んだ状態で直交配置されていて、短リンク部材の一方のアームは長リンク部材の支軸センターより長リンク部材の主軸側に、他方のアームはその反対側に配置されていることを特徴とする。
請求項1又は2に記載のキースイッチ。
【請求項4】
リンク部材の摺動係着部として、ベース上に立設された摺動支持片の略中央に、下方に凸出部を形成してなる請求項1又は2に記載のキースイッチ。
【請求項5】
複数箇のキースイッチ用ベースを一体化してなるメタル製ハウジングパネルと、メンブレンシートを支持する支持パネルよりなるキーボードにおいて、ハウジングパネルと支持パネルとの間隔を保つための台座部と、両者を結合するU字状結合片とを形成する略L字状スタンドを、支持パネル上でキートップの内側壁より内側に複数箇立設してなるキーボード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2004−327409(P2004−327409A)
【公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−155960(P2003−155960)
【出願日】平成15年4月24日(2003.4.24)
【出願人】(399004614)株式会社 エコエルグ研究所 (2)
【Fターム(参考)】