説明

キーユニットおよびそれを備える電子機器

【課題】プッシャーを有するライトガイドを使用しても、キートップの表示部をより均一に照光することのできるキーユニットおよびそれを備える電子機器を提供する。
【解決手段】1若しくは2以上のキートップ、または2以上のキートップ20を連接したキーシート10と、キートップまたはキーシート10の裏側に配置される透光性のライトガイド60とを少なくとも備えるキーユニット2であって、キートップ20に透光性の表示部21を備え、ライトガイド60に、シート61面から突出する台座62と、その台座62からさらに突出するプッシャー63と、ライトガイド60の表側若しくは裏側の少なくともいずれか一方の面に形成され、ライトガイド60の内部を伝播する光を表示部21に向けて反射する反射層と、を備え、台座62には、表示部21の平面視にて外側に、ライトガイド60のシート61面との段差62aを備えるキーユニット2である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キートップまたは2以上のキートップを連接したキーシートと、それらの裏側に配置される透光性のライトガイドとを少なくとも備えるキーユニット、および当該キーユニットを備える電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機器、携帯情報端末(PDA)、オーディオ機器等の電子機器において、操作面に設けられるキートップの所定部分を、内部に組み込んだLED等により照光して、暗所でも容易に操作できるようにした機器が多くなってきている。
【0003】
操作面を構成するキートップあるいは2以上のキートップを連接したキーシートを照光する方法として、例えば、PETあるいはウレタン製の透明フィルムをライトガイドとして利用し、その表方向にキートップやキーシートを配置し、当該ライトガイドの側面からLED等の光を導き、その光をライトガイドにおけるキートップの裏側の位置に形成した反射層にて反射させてキートップの抜き文字部分から出射する方法が知られている。このような照光式のキーユニットの場合、ライトガイドは、各キートップからの押圧を、ライトガイドを挟んで裏側に配置されるスイッチに伝える押圧伝達媒体としても機能させる必要がある。このため、通常、ライトガイドのシート面における各キートップ裏方向(スイッチ側、キートップ側のいずれか)に、プッシャー(押し子)が配置される(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−130506号公報
【特許文献2】特開2008−300153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来技術には、次のような問題がある。ライトガイドにプッシャーを形成すると、ライトガイドの内部を導光する光がプッシャーの側面で反射する。プッシャーの側面で反射した光(エッジライトという)は、キートップの表示部の輝度ムラの要因になる。
【0006】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであって、プッシャーを有するライトガイドを使用しても、キートップの表示部をより均一に照光することのできるキーユニットおよびそれを備える電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決するための本発明の一形態は、1若しくは2以上のキートップ、または2以上のキートップを連接したキーシートと、キートップまたはキーシートの裏側に配置される透光性のライトガイドとを少なくとも備えるキーユニットであって、キートップに透光性の表示部を備え、ライトガイドに、キートップの裏方向に配置されライトガイドのシート面から突出する台座と、その台座からさらに突出するプッシャーと、ライトガイドの表側若しくは裏側の少なくともいずれか一方の面に形成され、ライトガイドの内部を伝播する光を表示部に向けて反射する反射層を備え、台座において、表示部の平面視にて外側に、ライトガイドのシート面との段差を備えるキーユニットである。
【0008】
本発明の別の形態は、特に、プッシャーの少なくとも1つがキートップに向けて突出するように、ライトガイドをキートップまたはキーシートの裏側に配置したキーユニットである。
【0009】
本発明の別の形態は、さらに、台座を、ライトガイドのシート面からプッシャーに向かって傾斜するように形成したキーユニットである。
【0010】
本発明の別の形態は、さらに、ライトガイドを、熱硬化性ウレタン樹脂、紫外線硬化性樹脂あるいは電子線硬化性樹脂のいずれか1つによって構成したキーユニットである。
【0011】
本発明の別の形態は、さらに、反射層を、ライトガイドの内方に窪む複数の凹部にて形成し、複数の反射層の間で凹部の集積密度あるいは深さを異なるようにしたキーユニットである。
【0012】
本発明の一形態は、上述のいずれか1つのキーユニットを備える電子機器である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、プッシャーを有するライトガイドを使用した際に、キートップの表示部をより均一に照光することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の第一の実施の形態に係る電子機器の斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す電子機器に備えられるキーユニットの平面図である。
【図3】図3は、図2に示すキーユニットのA−A線断面図である。
【図4】図4は、図3に示すライトガイドを拡大して示す拡大断面図である。
【図5】図5は、図3に示すキーシートおよびライトガイドの各平面図である。
【図6】図6は、図5に示すライトガイドの表側にキーシートを重ねた状態の平面図である。
【図7】図7は、図2に示すキーユニットのキーシートの裏側から照光したときの状況を示す平面図である。
【図8】図8は、本発明の第二の実施の形態に係る電子機器に備えられるキーユニットの図3と同様の断面図である。
【図9】図9は、図8に示すライトガイドを拡大して示す拡大断面図である。
【図10】図10は、本発明の第三の実施の形態に係る電子機器に備えられるキーユニットの図3と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明に係るキーユニットおよびそれを備える電子機器の各実施の形態について説明する。
【0016】
<第一の実施の形態>
【0017】
図1は、本発明の第一の実施の形態に係る電子機器の斜視図である。図2は、図1に示す電子機器に備えられるキーユニットの平面図である。
【0018】
第一の実施の形態に係る電子機器の一例である携帯電話機器1は、開閉可能な折りたたみ式の構成を有し、開いた面の片側にキーユニット2を備える。図2に示すように、キーユニット2は、その最表面に、平面視にて略長方形の平面を有する板状のキーシート10を備える。キーシート10は、その表側の面に、表側に突出する合計19個のキートップ20を連接状態で備える。また、キーシート10は、平面視にて上方の左右略中央に、キーシート10と別体にて、四角枠状の多方向キー30と、当該多方向キー30の内側に略四角形の中央キー31とを備える。多方向キー30および中央キー31は、その外周に沿って隙間32を有しており、それらを裏側に向かって押圧したときでもキーシート10にその押圧動作を伝達しにくい構造である。キーシート10は、キートップ20同士の周囲に、キートップ20の天面より窪む溝22を備えている。溝22の裏側残部の厚さは非常に薄いので、各キートップ20をその表側から押圧しても、隣接するキートップ20にその力を伝達しにくい。なお、図2以降の図において、キートップ20や溝22のように、同じ符号を付す箇所が多数存在する場合に、一部の構成要素にのみ符号を付している図もあるが、図の見やすさを考慮して符号を省略している。
【0019】
キーシート10は、透光性に優れる樹脂、例えば、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、アクリル樹脂、紫外線硬化性樹脂(好ましくは、アクリルウレタン系の樹脂)から、好適に構成される。キーシート10は、その裏側に、遮光フィルムあるいは遮光塗料(この実施の形態では、代表して、「遮光フィルム」)50(図3を参照)を備える。遮光フィルム50は、キーシート10と同様の透光性に優れる樹脂から好適に構成されるが、これに限定されず、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)、熱硬化性ポリウレタンエラストマー(TSU)等の透光性と柔軟性の両方に優れるエラストマーから構成されても良い。遮光フィルム50の好適な厚さは、30〜200μmである。遮光フィルム50は、各キートップ20の位置に、キートップ20の裏側から表側に向けて透光するための文字、絵、記号等の抜き文字状の表示部21を有する。表示部21は印刷されていない部分である。これに対して、遮光フィルム50の表示部21以外の領域は、黒、銀等の遮光性のインク(顔料系、染料系のいずれでも良い)にて印刷されている。
【0020】
なお、キーシート10は、キートップ20も含めて、アルミニウムあるいはステンレススチールにて形成しても良い。その場合、表示部21をキートップ20の表裏方向に貫通する貫通孔にて形成し、その貫通孔に透明な樹脂を埋設するのが好ましい。このように表示部21を構成すると、遮光フィルム50を用いなくても、キーシート10の裏側からの光は、表示部21の領域からのみ表方向に出射可能になる。
【0021】
多方向キー30および中央キー31は、キーシート10と同様、透光性に優れる樹脂から構成しても良いが、この実施の形態では、多方向キー30および中央キー31自体から照光する必要が無くそれらの外周の隙間32から照光するので、金属から構成されている。金属には、例えば、アルミニウム、ステンレススチール等を用いることができる。多方向キー30および中央キー31を、キーシート10と同様の樹脂にて形成する場合には、隙間32の部分を薄肉の溝にてキーシート10と一体化しても良い。
【0022】
キーシート10の裏方向に配置されるスイッチ基板(後述する)には、光源の一例であるLED40が配置されている。LED40は、ライトガイド(後述する)の側面からライトガイド内に光を入射し、キートップ20の表示部21を照光するために用いられる。図2では、2個のLED40を表示しているが、1個あるいは3個以上のLED40を配置しても良い。さらには、LED40以外の光源を用いても良い。
【0023】
図3は、図2に示すキーユニットのA−A線断面図である。図4は、図3に示すライトガイドを拡大して示す拡大断面図である。
【0024】
図3に示すように、キーユニット2は、その表側から順に、キーシート10、遮光フィルム50、ライトガイド60、スイッチ基板70の順に積層配置した構成を有する。ライトガイド60は、透光性および柔軟性に共に優れた樹脂、好適には、熱硬化性ウレタン樹脂、紫外線硬化性樹脂あるいは電子線硬化性樹脂から構成される。紫外線硬化性樹脂若しくは電子線硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド系樹脂、あるいはこれらの2以上の複合樹脂を用いることができる。ライトガイド60を熱硬化性ウレタン樹脂、紫外線硬化性樹脂あるいは電子線硬化性樹脂から構成することにより、より薄型に成形しやすく、また、PC樹脂と異なり、後述の反射層をレーザ加工にて形成しても、変色しにくい。また、ライトガイド60は、単一の材料(一種類の材料であれば、ポリマーアロイでも良い)から構成されるのが好ましい。なお、ライトガイド60の材料に、上記樹脂以外に、例えば、ガラスを用いることも可能である。
【0025】
ライトガイド60は、板状のシート61の表側の面(すなわち、キーシート10側の面)に、キートップ20の裏側の位置に二段階に突出する領域を有する。当該二段階に突出する領域は、シート61から突出する台座62と、その台座62の平面視にて略中心からさらに突出するプッシャー63とをそれぞれ備える。台座62は、シート61との間に段差62aを有している。
【0026】
プッシャー63の高さ(H1)は、好ましくは、0.02〜0.1mm(20〜100μm)の範囲、より好ましくは0.04〜0.06mm(40〜60μm)の範囲である。台座62の段差62aの高さ(H2)は、好ましくは、0.01〜0.15mm(10〜150μm)の範囲、より好ましくは0.05〜0.10mm(50〜100μm)の範囲である。プッシャー63の天面からシート61の表側の面までの高さ(H3)は、好ましくは、0.03〜0.40mm(30〜400μm)の範囲、より好ましくは0.15〜0.25mm(150〜250μm)の範囲である。シート61の厚さ(H4)は、好ましくは、0.08〜0.20mm(80〜200μm)、より好ましくは0.10〜0.16mm(100〜160μm)の範囲である。プッシャー63の外径(D)は、好ましくは、1.5mm以下、より好ましくは1.0mm以下である。また、台座62は、水平であっても良いが、プッシャー63との境界から段差62aに向かって下方傾斜する方が好ましく、特に、シート61の表側の面となす角度(傾斜角度)を5度以下とするのが好ましい。このように、台座62を傾斜させることにより、プッシャー63のエッジライトをより低減することができる。
【0027】
一方、ライトガイド60のシート61は、その裏側の面(すなわち、スイッチ基板70側の面)において、各キートップ20の裏側の位置に内方に窪む複数の凹部64aを備える。凹部64aは、ライトガイド60の内部を透過する光を反射して、キートップ20側に屈折させる反射層64として機能する。ライトガイド60の反射層(凹部64aを集積させた領域)64以外の裏側の面および表側の面は、平均表面粗さ(Ra)にて1.5μm以下の鏡面とするのが好ましい。当該鏡面は、ライトガイド60の成形時に使用する金型の内面を鏡面仕上げにし、あるいはライトガイド60の成形後の鏡面研磨により実現可能であるが、成形後の後工程のない前者の方法による方が好ましい。また、鏡面に成形されたプラスチックフィルム面を成形時に転写しても良い。
【0028】
凹部64aは、好ましくは、レーザ加工(例えば、炭酸ガスレーザを用いた加工)によって形成される。凹部64aは、好ましくは、深さ0.03〜0.07mm(30〜70μm)、開口径0.1〜0.3mmで形成される。通常、LED40からの距離が長いほど、光量が少なくなる。そこで、複数の表示部21を均一に照光するため、LED40から遠いキートップ20の裏側ほど反射率を高める必要が有る。かかる必要から、凹部64aは、LED40からの距離が長くなるほど、高密度にあるいは深く形成するのが好ましい。
【0029】
スイッチ基板70は、キートップ20の裏側の位置に、スイッチの一例であるドームスイッチ71を備える。スイッチ基板70としては、好適には、ガラス繊維で編んだクロスにエポキシ樹脂を含浸させたガラスエポキシ製の基板である。ただし、スイッチ基板70として、ガラスコンポジット基板、アルミナ等から成るセラミックス基板を用いても良い。ドームスイッチ71は、キートップ20からの押圧を、ライトガイド60を介して受けることによって、ドームがつぶれ、その際にスイッチが入る構造を有する。ドームには、好適には、メタルドームを用いる。スイッチ基板70は、ドームスイッチ71を覆うように、ドーム被覆シート72を備える。
【0030】
図5は、図3に示すキーシートおよびライトガイドの各平面図である。図6は、図5に示すライトガイドの表側にキーシートを重ねた状態の平面図である。
【0031】
図5に示すように、ライトガイド60は、多方向キー30および中央キー31を除き、他のキートップ20の裏側の位置に台座62を有する。プッシャー63は、多方向キー30の上下左右4方向の裏側、中央キー31の裏側、各キートップ20の裏側に、それぞれ形成されている。プッシャー63の側面は、ライトガイド60を伝搬する光を反射しやすい箇所である。このため、キートップ20の表示部21は、プッシャー63の側面で光るエッジライトの影響を受けて、表示部21の存在箇所によって輝度ムラを生じ、あるいは1つの表示部21内での輝度ムラが生じやすい。これを防止するため、各キートップ20の裏側の位置に配置されるプッシャー63の高さをできるだけ低く形成し、その直下に台座62を形成している。台座62の段差62aもエッジライトを生じる要因になり得るが、段差62aは、平面視にて表示部21の外側になるようにライトガイド60に形成している。このため、当該段差62aでエッジライトが生じても、表示部21の輝度に影響を与えにくくなる。この実施の形態では、全ての台座62を平面視にて略同一の面積とし、どの台座62の段差62aも各キートップ20の表示部21の平面視にて外側になるように、台座62の大きさを決定している。ただし、台座62の大きさを略同一とせずに、各表示部21の大きさに応じて変更しても良い。
【0032】
一方、多方向キー30および中央キー31は、表示部21を備えていないため、プッシャー63の側面でエッジライトが生成しても、何ら問題は起きない。このため、この実施の形態では、多方向キー30および中央キー31の裏側に、台座62を形成せずに、プッシャー63のみを形成している。ただし、多方向キー30あるいは中央キー31に表示部21を備える場合には、各キートップ20と同様、当該表示部21の外側に段差62aがくるように台座62を形成し、その台座62の頂上近傍にプッシャー63を形成するのが好ましい。
【0033】
この実施の形態では、凹部64aを集積した反射層64は、キートップ20あるいは多方向キー30の各天面と同一若しくはそれより大きな面積で形成されている。しかし、反射層64の形態は、キートップ20の表示部21あるいは多方向キー30の外周にある隙間32を確実に取り囲む形態であれば良い。また、この実施の形態では、台座62は、平面視にて、反射層64と同じか、若しくはより内側に段差62aを配置するように形成されている。しかし、台座62は、その段差62aが反射層64の外側になるように形成されても良い。
【0034】
図7は、図2に示すキーユニットのキーシートの裏側から照光したときの状況を示す平面図である。黒塗り部分は遮光領域を、白抜き部分は照光領域を、それぞれ示す。
【0035】
図7に示すように、照光領域は、多方向キー30と中央キー31の両外周にある隙間32および各キートップ20の領域にある表示部21である。プッシャー63の高さを抑えその側面で生成するエッジライトを低減すると共に、段差62aを表示部21よりも平面視にて外側に存在させているため、複数の表示部21間での輝度ムラあるいは1つの表示部21内での輝度ムラは生じにくい。
【0036】
<第二の実施の形態>
【0037】
第二の実施の形態に係る電子機器およびそれに備えるキーユニットは、第一の実施の形態に係るそれらと異なり、キーユニットにおけるライトガイドのキーシート側の面に、複数の凹部からなる反射層を備える。これ以外の構成は、先に説明した第一の実施の形態と共通する。したがって、共通する構成には同じ符号を付し、かつ共通する構成の重複説明を省略する。
【0038】
図8は、本発明の第二の実施の形態に係る電子機器に備えられるキーユニットの図3と同様の断面図である。図9は、図8に示すライトガイドを拡大して示す拡大断面図である。
【0039】
図8および図9に示すように、第二の実施の形態に係るキーユニット2を構成するライトガイド60は、複数の凹部64aから形成される反射層64をプッシャー63および台座62側の面に備える。凹部64aを形成する領域は、平面視にて各キートップ20の表示部21の外側を取り囲む領域である。また、台座62は、その外周の段差62aを平面視にて表示部21の外側に存在するように形成される。凹部64aは、台座62の表側の面に形成される他、プッシャー63の天面にも形成されているが、プッシャー63の天面に形成されていなくても良い。
【0040】
<第三の実施の形態>
【0041】
第三の実施の形態に係る電子機器およびそれに備えるキーユニットは、第一の実施の形態に係るそれらと異なり、キーユニットにおいて、プッシャーがドームスイッチ側に向くように、ライトガイドを配置している。これ以外の構成は、先に説明した第一の実施の形態と共通する。したがって、共通する構成には同じ符号を付し、かつ共通する構成の重複説明を省略する。
【0042】
図10は、本発明の第三の実施の形態に係る電子機器に備えられるキーユニットの図3と同様の断面図である。
【0043】
図10に示すように、プッシャー63がドームスイッチ71側に向くように、ライトガイド60を配置しても、第一の実施の形態と同様に、表示部21,21間の輝度ムラあるいは1つの表示部21内の輝度ムラを低減できる。
【0044】
<キーユニットの製造例>
プッシャー63、台座62およびシート61を形成可能な凹部を備える金型(表面にクロムメッキを施した金型)内に、UVアクリル樹脂(品番:SP−17,大日精化工業製)を注入し、余剰分をスクレバーで掻き出し、金型内に所定量のUVアクリル樹脂を満たす。次に、当該UVアクリル樹脂の表面に、厚さ0.125mmのPETフィルム(品番:S−10,東レ製)をラミネートして、UV照射装置に入れた後、積算光量500mJ/mになる条件下で、PETフィルム側からUVを照射して、金型内のUVアクリル樹脂を硬化する。次に、PETフィルムをUVアクリル樹脂硬化体から剥がした後、当該硬化体を金型から離型し、UVアクリル樹脂のみから成るライトガイド60を得る。ライトガイド60は、厚さ0.13mmのシート61上に、段差62aが0.01mmの台座62を複数備え、各台座62の面内略中央に、外径1.2mmで高さ0.05mmの円柱形のプッシャー63を備える。台座62は、プッシャー63の根元から段差62aに向かって下方傾斜しており、その落差は0.05mmである。台座62の段差62aで囲まれる領域は、すべて共通の大きさであって、かつ後述の全ての表示部21の平面視で外側になる大きさに形成されている。また、ライトガイド60の表側および裏側の両面とも、平均表面粗さ(Ra)1.5μmの鏡面仕上げになっている。
【0045】
次に、ライトガイド60のプッシャー63側の面に、炭酸ガスレーザを用いたレーザ加工により、キートップ20の裏側の位置であってキートップ20の天面と同一の面積を持つ領域に複数の凹部64aから成る反射層64を形成する。LED40から遠い場所にある反射層64ほど、凹部64aの間隔(ピッチ)を狭く、かつ凹部64aの径を大きくして、少ない光量でも反射率を高めて、各反射層64の表側に位置する各表示部21間の輝度の差を低減するようにしている。具体的には、ピッチを0.5〜1.0mmの範囲で変化させ、凹部64aの径を0.1〜0.3mmの範囲で変化させる。
【0046】
次に、ドーム被覆シート72にて覆った複数のドームスイッチ71の真上にプッシャー63を配置するように、スイッチ基板70上にライトガイド60を配置する。スイッチ基板70は、図2に示すように、2箇所にLED40を備える。続いて、複数のキートップ20を連接した形状のPC製のキーシート10、アルミニウム製の多方向キー30およびアルミニウム製の中央キー31を、表示部21を除き遮光インクで遮光印刷した遮光フィルム50に貼り、遮光フィルム50側をライトガイド60に対向させて、キーシート10、多方向キー30および中央キー31をセットする。以上の工程にて、キーユニット2が完成する。
【0047】
かかる構成のキーユニット2は、LED40を点灯すると、各キートップ20の各表示部21において輝度ムラがほとんどなく、かつ1つの表示部21内での輝度ムラもないものとなる。
【0048】
<その他の実施の形態>
【0049】
以上、本発明のキーユニットおよびそれを備える電子機器の各実施の形態を説明してきたが、本発明は、上述の各実施の形態に限定されることなく、種々変形を施して実施可能である。例えば、ライトガイド60の表側に、複数のキートップ20を連接したキーシート10ではなく、個別独立したキートップ20を複数配置しても良い。また、表示部21,21間の輝度を異なるようにするために、各表示部21の裏側に配置される複数の凹部64aの密度、深さ等を変えても良い。
【0050】
また、1枚のライトガイド60中において、複数のプッシャー63の内の一部をキートップ20側に、他のプッシャー63をドームスイッチ71側に向けて形成しても良い。また、その場合、複数の凹部64aを、すべて、キートップ20側の面に形成し、あるいはドームスイッチ71側の面に形成しても良い。また、キートップ20に透光性の表示部21を備えるために、キートップ20の表側の面に、遮光フィルム50を配置しあるいは遮光印刷を施しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、ライトガイドを少なくとも備えるキーユニットを組み込んだ電子機器に利用できる。
【符号の説明】
【0052】
1 携帯電話機器(電子機器)
2 キーユニット
10 キーシート
20 キートップ
21 表示部
60 ライトガイド
61 シート
62 台座
62a 段差
63 プッシャー
64 反射層
64a 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1若しくは2以上のキートップ、または2以上の上記キートップを連接したキーシートと、
上記キートップまたは上記キーシートの裏側に配置される透光性のライトガイドと、
を少なくとも備えるキーユニットであって、
上記キートップは、透光性の表示部を備え、
上記ライトガイドは、
上記キートップの裏方向に配置され、上記ライトガイドのシート面から突出する台座と、
その台座からさらに突出するプッシャーと、
上記ライトガイドの表側若しくは裏側の少なくともいずれか一方の面に形成され、上記ライトガイドの内部を伝播する光を上記表示部に向けて反射する反射層と、
を備え、
上記台座は、上記表示部の平面視にて外側に、上記ライトガイドの上記シート面との段差を備えることを特徴とするキーユニット。
【請求項2】
前記プッシャーの少なくとも1つが前記キートップに向けて突出するように、前記ライトガイドは、前記キートップまたは前記キーシートの裏側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のキーユニット。
【請求項3】
前記台座は、前記ライトガイドの上記シート面から上記プッシャーに向かって傾斜していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のキーユニット。
【請求項4】
前記ライトガイドは、熱硬化性ウレタン樹脂、紫外線硬化性樹脂あるいは電子線硬化性樹脂のいずれか1つによって構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のキーユニット。
【請求項5】
前記反射層を、前記ライトガイドの内方に窪む複数の凹部にて形成し、
複数の上記反射層の間で、上記凹部の集積密度あるいは深さを異なるようにしていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のキーユニット。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項記載のキーユニットを備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−69317(P2012−69317A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211793(P2010−211793)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】