説明

ギヤポンプの残ゴム除去装置

【課題】ゴム吐出用のギヤポンプの歯底の残ゴムを自動で除去する。
【解決手段】 ゴム吐出用のギヤポンプの歯底の残ゴムを除去する装置であって、残ゴムを掴むピンセットを用い、第1のピストン機構30を前記ギヤポンプのギヤ22又は23の歯底に位置合わせした後、歯底の残ゴムGに向かってピンセットを前進させ残ゴムGを掴んで引き出し除去する。ピンセットの開閉は、邪魔板55を往復動させてその貫通穴の周壁でピンセットの両脚部を閉じ或いは拘束を解除して開かせることで行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ギヤポンプ、例えばスクリュー押出機とギヤポンプを備えたゴムの複合押出機におけるギヤポンプの歯底に残留するゴム(残ゴムという)を除去するための残ゴム除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴムの押出成型品は広く用いられている。例えば、自動車、とくに大型の建設車両などにおけるタイヤのトレッド部はリボン状ゴムを生カーカス上に巻き付けて成型し、その後加硫工程を得て製品タイヤを製造している。
これらのゴムの押出成型には、一般にスクリュー式の押出成型機が用いられている。
【0003】
この押出成型機は、ゴム材料を投入するホッパーと、投入されたゴム材料を混練するスクリュー押出機と、押出機の先端側に設けられたギヤーポンプと、ギヤーポンプのゴム押し出し側に設けられた成型用口金とを備えている。
図7は、従来のスクリュー式押出機の一例として特許文献1に記載されたものを示す。即ち、図中、110はスクリュー押出機、111はその押出し用スクリュー、111aは駆動軸、112はバレル、112aは吐出口、113は加硫性ゴム組成物の投入ホッパーである。
【0004】
ギヤーポンプ120は、ボディ121と上下一対のギヤー122、123とからなり、ギヤー122、123の供給側および反対の排出側にそれぞれゴム通路121aが直線状に設けられ、このギヤーポンプ120と前記スクリュー押出機110との間でゴム通路121aがゴム通路117b、118bを介してスクリュー押出機110の吐出口112aと連通している。また、ギヤーポンプ120の排出側にはダイヘッド124が接続されている。
【0005】
上記のスクリュー押出機110から吐出されたゴム組成物Gは、ブレーカー支持ブロック116のゴム通路118bに入り、ゴム通路117bを通ってギヤーポンプ120の供給側ゴム通路121aに進入する。ゴム組成物Gは、上下一対のギヤ122、123の噛合いにより、所定の排出速度で排出側のゴム通路121aを経てダイヘッド124に送られ、所望の断面形伏に成型加工される。
【0006】
ところで、ゴムの押出機では、押出成型するゴム種の切り替えやメンテナンス時には、ギヤポンプのギヤの歯底に残ったゴム即ち残ゴムを除去する必要がある。そのため、作業者は従来から例えばドライバーのような工具を使って歯一枚ずつ残ゴムを掻き出して除去している。この作業は手間が掛かり煩雑であるばかりではなく、通常、残ゴムの押出作業は作業員が一人で行うため、例えば、ゴム種の変更時には、この残ゴムの掻き出し作業のためにゴム種の切り替えのための他の作業を行うことはできない。
したがって、この残ゴムの掻き出し作業がゴム押出機のゴム種切り替え時間の短縮化を困難にしている。また、それだけではなく、上記掻き出し作業は工具を使って行うため、工具を不用意に歯や歯底に当ててギヤを傷つけてしまうこともある。
【0007】
【特許文献1】特開2001−150515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ゴムの押出機における上記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ゴム種の変更やメンテナンスなどのためにギヤポンプのギヤの残ゴムを人手によらず、自動で除去することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、ゴム吐出用のギヤポンプの残ゴム除去装置であって、残ゴムを保持する保持手段を備えた保持ヘッドと、該保持ヘッドを前記ギヤポンプのギヤに対して進退自在に駆動する第1の駆動手段と、前記保持手段を開閉駆動して残ゴムの保持及び解放を行う第2の駆動手段と、を有し、前記保持手段で残ゴムを保持して除去することを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載されたギヤポンプの残ゴム除去装置において、前記保持ヘッドを第1の駆動手段に対して旋回自在に支持する支持手段を有することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1ないし2のいずれかに記載されたギヤポンプの残ゴム除去装置において、前記保持手段は残ゴムに進入可能な尖端部を備えた残ゴムを掴む一対の脚部材を有することを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3に記載されたギヤポンプの残ゴム除去装置において、前記保持手段を開閉駆動して残ゴムの保持及び解放を行う第2の駆動手段は、前記保持手段の前記脚部材に押圧力を作用する位置と該押圧力を解除する位置間で移動する第1の押圧部材と、該第1の押圧部材を前記押圧及び押圧解除位置間で駆動する駆動手段と、から成ることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載されたギヤポンプの残ゴム除去装置において、前記保持手段が残ゴムを引き出して解放する際に、前記保持手段から残ゴムを強制除去する手段を備えたことを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項5に記載されたギヤポンプの残ゴム除去装置において、前記残ゴムを強制除去する手段は、前記保持手段の前記一対の脚部材から残ゴムを除去する第2の押圧部材と、該第2の押圧部材を駆動する第3の駆動手段を有することを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載されたギヤポンプの残ゴム除去装置において、前記第1の駆動手段を上下に揺動自在に駆動する第4の駆動手段を有することを特徴とする。
【0010】
(作用)
本発明の残ゴム除去装置は、ゴム吐出用ギヤポンプの歯底又は歯間に残留するゴム(残ゴム)を自動で除去する。この残ゴムの除去作業は、勿論ギヤを止めて行うこともできるが、ギヤを低速で回転しつつ行う。保持手段(したがって保持ヘッド)に回転するギアの回転力が作用すると、上記保持ヘッドを第1の駆動手段に対して旋回自在に支持する支持手段により、上記保持ヘッドはその回転に追従して旋回するため、無理なく除去作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ゴム種の変更やメンテナンス時に、ギヤポンプの残ゴムの除去を人手によらず自動化できるため、作業が迅速・確実かつ効率的に行える。また、人手を他の作業に振り向けることができるため、ゴム種の切り替え時間等が短縮できると共に、人手によるときのように、不用意に工具で歯に傷を付けることがなく、したがって、ギヤポンプを安定して確実に動作させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明のギヤポンプの残ゴム除去装置の1実施形態を概略的に示した側面図であり、図2はその平面図であり、図2Aはその全体を示し、図2Bは図2Aの円内の部分の拡大図である。また、図3は保持ヘッドの一例である掴みヘッドの側面図である。いずれもその構造を説明するために模式的に示したものである。
残ゴム除去装置10は、図1に示すように、一端部で支柱14に軸12を介して上下方向に旋回自在に枢着された支持板20と、この支持板20上でその他端側に取り付けられた往復運動機構である第1の駆動手段、ここでは、例えば油圧駆動されるピストンロッド30a及びシリンダ30bからなる第1のピストン機構30と、上記支持板20の下側にピストンロッド40aの一端が枢着され、他端側のシリンダ40bが上記軸12の下側で上記支柱14に軸42で枢着された第4の駆動手段、ここでは第1のピストン機構30と同様の構造の第4のピストン機構40とを備えている。
【0013】
上記第1のピストン機構30のピストンロッド30aの先端部には、ピストン端板36aが一体に設けられており、ピストン端板36aとシリンダ30bとの間には、図2A又は図2Bに示すように、ピストンロッド30aと平行にその両側(図示上下)に補助杆35が設けられている。
上記ピストン端板36aには、図2Bに示すように、掴みヘッド50のヘッド基板52側に後述するプランジャ取り付け板36bが取り付けられており、このプランジャ取り付け板36bには更に突部36cが設けられている。この突部36cと上記ヘッド基板52の対向面からチャンネル状に突出した部材52aが軸38により枢着されている。つまり、この実施形態では、ギヤポンプの残ゴムGを除去するための掴みヘッド50が、上記突部36c、チャンネル状の部材52a及び軸38からなる枢着部を介してピストンロッド30aに対して回動自在に取り付けられている。
【0014】
掴みヘッド50は、上記ヘッド基板52と、一対の第2のピストン機構57と、第2のピストン機構57のピストンロッド57aに接続された第1の押圧手段である第1の邪魔板55と、ヘッド基板52に取り付けられ、第3の駆動手段である第3のピストン機構67と、そのピストンロッド67aに接続された第2の押圧手段である第2の邪魔板65と、第1及び第2の邪魔板55,65を貫通する残ゴム保持手段の一例である複数のピンセット60を備えている。ここで、上記第2のピストン機構57と第1の邪魔板55は本願発明の第2の駆動手段を構成する。
【0015】
第1の邪魔板55はピンセット60が挿通する貫通孔55aを有しており、この貫通孔55aの径は、第1の邪魔板55が第2のピストン機構57によりピンセット60の脚部60a(図4参照)の外側に移動したとき、その脚部60aを内側に押し込んでピンセット60の先端部60bを閉じる大きさに設定されている。第1の邪魔板55がその位置からヘッド基板52側に戻るにしたがって、ピンセット60の脚部60aに作用する押し込み力は徐々に軽減され、ピンセット60は、第1の邪魔板55からの押圧力が軽減されるに伴い、自身の復元力で元の開放状態に復帰する。
【0016】
第2のピストン機構57は、図2とくに図2Bに拡大して示すように、そのシリンダ57bがヘッド基板52のやや両端寄りにそれぞれ一台ずつ固定されており、そのピストンロッド57aの先端部は第1の邪魔板55に連結され、第1の邪魔板55を、後述のようにギヤポンプの歯底に残ったゴムを掴み取るためのピンセット60の開位置と閉位置との間で往復動させる。
【0017】
第3のピストン機構67のシリンダ67bは、ヘッド基板52の中央部に固定されており、そのピストンロッド67aの先端部は第2の邪魔板65に連結され、その進退に伴って第2の邪魔板65を後述する待機位置とピンセット60が掴み出した残ゴムの剥がし位置との間で往復動させる。
なお、第2の邪魔板65の上記ピンセット60の貫通孔65aは、ピンセット
60の開放を妨げない大きさに設定されている。
【0018】
上記ヘッド基板52は、上記プランジャ取り付け板36bと一体の突部36cに軸38を介して枢着されており、プランジャ取り付け板36bには、図3に示すように、上下一対の、例えばガススプリングを備えたダンパとして機能するプランジャ機構77が取り付けられている。また、上記プランジャ機構77のプランジャ77a端は、図3に示すようにそれぞれ横長のヘッド基板52の中央部で上下に延在する腕部材52bの上下位置に枢止されている。
【0019】
上記プランジャ機構77は、掴みヘッド50(したがってピンセット60)を軸38の回りで図3に示す直線L、L間の角度範囲内で揺動自在に支持している。つまり、プランジャ機構77は、掴みヘッド50を第1のピストン機構30に対して旋回自在に支持する支持手段を構成している。
上記ピンセット60は、図2Bに示ように、ギヤポンプのギヤ間の歯底のゴム即ち残留ゴムGを掴むため、上記ヘッド基板52面に対して直角にかつ互いに等間隔に複数個(図示例では4個であるが1例である)配置されている。
【0020】
ここで、上記ピンセット60は、例えば、図4に示すように、所定長さの金属板の中央部を折り曲げて左右対称形の脚部60aを形成し、脚部60aの先端部60b同士を離隔対面させると共に、脚部60aを押さえ込んだときその先端部60bが接触すると共に、脚部60aの押さえ込みを解放すると上記先端部60bが互いに離間する構造のものであればよく、市販のものでよい。
【0021】
上記複数のピンセット60は、既に述べたように上記第1の邪魔板55及び第2の邪魔板65に設けたそれぞれの貫通孔55a、65aを貫通してその基端部が上記ヘッド基板52に取り付けられている。
【0022】
第4の駆動手段である第4のピストン機構40は、既に述べたように、その一端部が支柱14に回動自在に枢着されており、その他端側の端部は上記支持板20の下面に枢着されているため、そのピストンロッド40aを伸縮することにより、上記支持板20及び第1のピストン機構30を上下方向に自由に旋回させ、所定の角度位置に位置決めすることができる。
【0023】
次に、以上で説明した実施形態に係るギヤポンプの残ゴム除去装置の動作について説明する。
例えば、取り扱うゴム種を変更する場合、ギヤポンプをスクリュー押出機の吐出端から取り外し、スライドさせることでギヤポンプの内部を露出させ、露出したギヤの歯間の歯底部の残ゴムGを露出させる。なお、ギヤポンプとスクリュー押出機との具体的な結合や取り外しのための操作等は、特に説明はしないが従来のものと同様である。
【0024】
上記残ゴム除去装置10は、残ゴムGの除去作業開始時にギヤポンプのギヤ位置を検出する。このギヤ位置の検出は、例えば、第4のピストン機構40を作動して、第1のピストン機構30のピストンロッド30aの軸を対象となるギヤの中心に位置合わせして、その状態で一定の低速回転するギヤと同軸に設けたダミーギヤの歯底や突起部をセンサーで検知するか、或いは、上記ギヤとの距離を、例えばレーザ測長器を備えた周知の距離測定装置を用いて歯間のうち最も距離が長い位置を歯底と判断する等して、ギヤのピッチ及び回転速度から、第1のピストン機構30の動作タイミングとピストンロッド30aの突出量を決める。或いは、一旦ギヤの回転を止めて、ピンセット60の位置決めを行ってもよい。
【0025】
図5は、残ゴム除去作業における、残ゴム除去装置10におけるピンセット60の開閉動作と第1及び第2の邪魔板55、65の位置関係を説明するための平面図である。
なお、図5には、ヘッド基板52に対して平面略U字状の補助板52cを取り付け、これに第2のピストン機構57及び上記腕部材52bを取り付け、上記補助板52cとヘッド基板52とをそれぞれ端部近傍でネジなどにより一体化した構造が示されているが、これは図2に概略的に示したヘッド基板52の一例をより具体的に示したものである。
【0026】
上記複数のピンセット60は、既に述べたように上記第1の邪魔板55及び第2の邪魔板65に設けたそれぞれの貫通孔55a、65aを貫通してその基端部が上記ヘッド基板52に取り付けられている。第1の邪魔板55は、図5に示すように、第2のピストン機構57により、ピンセット60の脚部60aを外側から押さえ込んでその先端部60bを閉止させる閉位置Pと、上記脚部60aの押さえを解放してピンセット60の先端部60bを互いに離間させる開位置P間で前後方向(図5では上下方向)に往復駆動される。また、第2の邪魔板65は、第3のピストン機構67により、その待機位置Pと残ゴム剥がし位置P間で前後方向に往復駆動される。
【0027】
次に、上記残ゴム除去装置10による残ゴム除去手順を上記各図面及び図6に示すフロー図にしたがって説明する。
上記残ゴム除去装置10は、ギヤポンプをスクリュー押出機から取り外して、露出させたギヤの位置を上述のようにして検出すると(S101)、第1のピストン機構30を作動して、検出した歯底に合わせて第1のピストン機構30のピストンロッド30aを繰り出し(S102)、開放状態にあるピンセット60の脚部60aの先端部60bを残ゴムGに少し突き刺して固定する(S103)。同時に、第1のピストン機構30のピストンロッド30aを停止する(S104)。
【0028】
なお、予め得た歯底までの距離に基づき、ピンセット60の先端部60bを歯底の手前の位置で停止するように制御して、ピンセット60を必要以上に残ゴムG中に侵入させないようにする。
【0029】
続いて、上記第2のピストン機構57を作動して、第1の邪魔板55をそのピンセット開位置Pから前進させる(S105)。これにより、第1の邪魔板55の貫通孔55a周壁が前記ピンセット60の脚部60aの外側からその先端の先端部60bが閉止するように押さえ込んでいき、ピンセット閉位置Pでは、各ピンセット60の先端部60bで残ゴムGを挟んで圧縮し、他方、各ピンセット60間の残ゴムGを引き延ばしながら確実に上記残ゴムGを掴む(S106)。その位置つまりピンセット閉位置Pで上記第2のピストン機構57を停止して、第1の邪魔板55を停止する(S107)。
【0030】
続いて、第1のピストン機構30のピストンロッド30aを退却させることで上記残ゴムGを、ギヤポンプの歯底から引き出す(S108)。
残ゴムGを歯底からギヤ外に引き出した後、第2のピストン機構57を作動させて、第1の邪魔板55を前記ピンセット60の開位置Pまで戻す。第1の邪魔板55がピンセット60の開位置Pに達すると、前記ピンセット60の脚部60aの外側に作用する押圧力が解除されてピンセット60が開く(S109)。
【0031】
次に、第3のピストン機構67を作動して、邪魔板待機位置Pにある第2の邪魔板65をピンセット60の先端部60bが第2の邪魔板65の貫通孔65a内に収容される位置、即ち邪魔板65を邪魔板ゴム剥がし位置Pまで前進させる。そのとき残ゴムGは第2の邪魔板65で押されてピンセット60の先端部60bから強制的に引き剥がされ(S110)、受け部70に落下して収容される(S111)。その後、第3のピストン機構67を作動させて第2の邪魔板65を邪魔板待機位置Pに戻す。
なお、第2の邪魔板65のピンセット60の貫通孔65aは、ピンセット60の開閉に影響を与えないように、ピンセット60が最大に開いたときでもそれと接触しない大きさに形成されている。
【0032】
本実施形態に係る残ゴム除去装置10は、所定位置に位置設定した後はその位置で、ギヤポンプのギヤ22、23を一定の低速で回転させながら、上述の作業を繰り返し行い、例えば上側のギヤ22の全ての歯底から残留したゴムGを取り除いた後、下側のギヤ23の残留したゴムの除去を行う。
このゴムの除去作業中、低速で回転するギヤがピンセット60に当接すると、掴みヘッド50はその押圧力で上記プランジャ機構77の一方のプランジャ77aのガススプリングを圧縮しつつ軸38の周りで上下方向に傾斜する。そのため、ピンセット60は上記回転するギヤに無理なく追従することができる。
一方のギヤ22における残ゴムGの除去が終了したら、次に、掴みヘッド50の向きを変えて他方のギヤ23の残ゴムGを同様に除去していく。又、ギア23用として、別途1セット設けてもよい。この場合、除去作業時間が短縮できる。
【0033】
なお、残ゴムGの除去作業を、ギヤポンプのギヤを停止させて行うことも勿論可能である。この場合は、残ゴムGの除去作業が終了すると共にギヤを1ピッチだけ回転させて次の歯間の残ゴムG除去作業行う。この場合は、ピンセット60の先端部60bと歯底との相対位置関係は残ゴムGの除去作業中変わらないから、掴みヘッド50、したがってピンセット60は図3に示すように上・下方向に揺動できるようになっていなくともよい。
【0034】
なお、以上の残ゴム除去工程においては、ピンセット60の脚部60aの先端部60bを残ゴムGに突き刺すが、脚部60aの外側から力を加えたときに、先端部60bがゴムの表面を滑ることなくゴムを確実に掴めればよいから、その深さは僅かでよく、したがってその尖端が歯底に接触して傷を付ける恐れはない。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、例えば第1〜第4のピストン機構は、必ずしもこれに限定するものではなく、要は、往復駆動できる機構であれば他の従来周知の機構、例えば歯車電動機構、ネジ電動機構などを適宜用いることができる。
また、邪魔板を用いる代わりに、ピンセット60の脚部60aへの押圧力を付加又は解除可能な他の任意の加圧手段を採用することもできる。更に、残ゴムの保持手段としては、掴持するものに限らず、例えば、真空吸着手段により保持してもよく、周知の種々の保持手段を用いるもことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の1実施形態を示すギヤポンプの残ゴム除去装置を概略的に示した側面図である。
【図2】図2Aは残ゴム除去装置の平面図であり、図2Bはその一部を拡大した平面図である。
【図3】図1に示す残ゴム除去装置の掴みヘッドの拡大図である。
【図4】ピンセットを概略的に示す図である。
【図5】残ゴム除去装置におけるピンセットの開閉動作と第1及び第2の邪魔板の位置関係を説明する掴みヘッド部の平面図である。
【図6】本実施形態に係る残ゴム除去装置の操作手順を説明するフロー図である。
【図7】従来のスクリュー押出機とギヤポンプを備えたゴムの押出装置を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0037】
10・・・残ゴム除去装置、14・・・支柱、20・・・支持板、30・・・第1のピストン機構、35・・・補助杆、36a・・・ピストン端板、36b・・・プランジャ取り付け板、38・・・軸、40・・・第4のピストン機構、50・・・掴みヘッド、52・・・ヘッド基板、52a・・・チャンネル状に突出した部材、52b・・・腕部材、52c・・・補助板、55、・・・第1の邪魔板、55a・・・貫通孔、57・・・第2のピストン機構、60・・・ピンセット、65・・・第2の邪魔板、65a・・・貫通孔、67・・・第3のピストン機構、77・・・プランジャ機構、G・・・残ゴム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム吐出用のギヤポンプの残ゴム除去装置であって、
残ゴムを保持する保持手段を備えた保持ヘッドと、該保持ヘッドを前記ギヤポンプのギヤに対して進退自在に駆動する第1の駆動手段と、前記保持手段を開閉駆動して残ゴムの保持及び解放を行う第2の駆動手段と、を有し、
前記保持手段で残ゴムを保持して除去することを特徴とするギヤポンプの残ゴム除去装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたギヤポンプの残ゴム除去装置において、
前記保持ヘッドを第1の駆動手段に対して旋回自在に支持する支持手段を有することを特徴とするギヤポンプの残ゴム除去装置。
【請求項3】
請求項1ないし2のいずれかに記載されたギヤポンプの残ゴム除去装置において、
前記保持手段は残ゴムに進入可能な尖端部を備えた残ゴムを掴む一対の脚部材を有することを特徴とするギヤポンプの残ゴム除去装置。
【請求項4】
請求項3に記載されたギヤポンプの残ゴム除去装置において、
前記保持手段を開閉駆動して残ゴムの保持及び解放を行う第2の駆動手段は、前記保持手段の前記脚部材に押圧力を作用する位置と該押圧力を解除する位置間で移動する第1の押圧部材と、該第1の押圧部材を前記押圧及び押圧解除位置間で駆動する駆動手段と、から成ることを特徴とするギヤポンプの残ゴム除去装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載されたギヤポンプの残ゴム除去装置において、
前記保持手段が残ゴムを引き出して解放する際に、前記保持手段から残ゴムを強制除去する手段を備えたことを特徴とするギヤポンプの残ゴム除去装置。
【請求項6】
請求項5に記載されたギヤポンプの残ゴム除去装置において、
前記残ゴムを強制除去する手段は、前記保持手段の前記一対の脚部材から残ゴムを除去する第2の押圧部材と、該第2の押圧部材を駆動する第3の駆動手段を有することを特徴とするギヤポンプの残ゴム除去装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載されたギヤポンプの残ゴム除去装置において、
前記第1の駆動手段を上下に揺動自在に駆動する第4の駆動手段を有することを特徴とするギヤポンプの残ゴム除去装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−272947(P2008−272947A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−115649(P2007−115649)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】