説明

クイック・トゥ・コネクト=クイック・トゥ・ディスコネクト流体カップリングおよび連結されたクイック・トゥ・コネクト=クイック・トゥ・ディスコネクト流体カップリングのステムシャトリング防止方法

本装置を採用するクイック・トゥ・コネクト=クイック・トゥ・ディスコネクト流体カップリングシステムは、クリップ、クリップを収容するように構成された環状クリップ溝を有する雄ステム、ポート内へのステムの挿入に際して、クリップを収容するように構成されたステップ溝を有する雌ポート、クリップに当接するように構成されステムの周りに摺動自在に配置されたスリーブを備え、ポート内のステムのシャトリングを最小にする。スリーブは、クリップに当接しているスリーブの先端から遠い位置に設けられたスリーブの肩部に当接しているダストシールにより、例えばクリップに向けて付勢される。また、スリーブは、ステムの環状溝内に圧縮されたクリップを例えば径方向に保持し、かつ/または、クリップに当接しているスリーブは、ポート内にステムを挿入するために、例えばクリップを安定させ、クリップをステムと軸方向に整列させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体としてはフレキシブルホースのカップリング(継手)に関する。特に、クイック・コネクト・ホース・カップリングに関し、具体的にはプッシュ・トゥ・コネクト=クイック・トゥ・ディスコネクトなフレキシブル・ホース・カップリングに関する。
【背景技術】
【0002】
クイック・コネクト・カップリングが知られている。このような継手において、ポートアダプタは、雌部やポートを備えていてもよく、関係する固定部、機械、あるいは装置に予め組み付けられていてもよい。あるいは雌部やポートは、関係する固定部、機械類や装置の一部として工作されていることもある。ホース挿入部とフェルール(ferrule)を含むホース連結部、すなわち雄部、あるいはホースステムは、通常固定部、機械類、装置に連結されるホースの開口端に取り付けられる。ホースステム部は、ホースの開口端に挿入されるホース挿入部を備える。フェルールやそれと同等のものは、通常挿入部が挿入されたホース端部の周りに圧縮され、これにより全ての部分が気密的に固定される。ホース連結部を雌部やポート内に押し込むだけで、ホースの連結は完了する。このようなクイック・コネクト・カップリングは、螺子留めを行う必要性や、ずれた螺合を行う危険性を無くし、そして利用可能なスペースに合わない付随する工具の利用の必要性を取り除くことから、容易にアクセスできない場所においてホースが連結される場合に特に求められる。ポートアダプタが予め組立処理において適正な位置に螺子付けられ、あるいはポートが関係する固定部や機械、装置に予め設けられることから、ポートを適正で準備が整った状態に保証することは容易である。更に、組立て時間を低減し同様に組立コストを削減する。
【0003】
歴史的には、このような継手デザインを導出してきた考察には、ポートデザインの複雑さ、発生する機械工作性、ステムデザインの複雑さ、Oリングや他の形状のシール部材などシーリング要素の複雑さと配置、様々な形状のクリップなどロック部品の複雑さと配置、継手を完成するのに必要な部品の総数、そしてポートとステムの幾何学的な相互作用が含まれてきた。これら全ては、このような継手の製作コストに大きく影響し、それらの経済的な実現性に大きなインパクトを与える。
【0004】
このような継手が安全かつ信頼性を持って使用できることを確実なものとすることも重要である。明らかに、このような継手の主要な課題の1つは、漏れがない連結を長期に持続させることである。しかし、時間の経過とともに、増大する重点は安全性に移る。このような継手の一般的な簡易脱離(クイックディスコネクト)特性は、重大な結果をもたらす意図しない突然の脱離の可能性を増大させる。これは、このよう継手の利用が特に要請される環境において特に重大な意味をもつ。これらの環境には、流体連結部の取付けが多く、密集し、そして殆どアクセスできない工業用機械や重機周りの環境が含まれ、隣接して多くの硬く重い物体の運動をともなう場所であり、継手が通常取り付けられる固定部が含まれる。クイック・トゥ・コネクト・カップリングに対して与えられる予期しない衝撃や、このような難しい場所でのメンテナンスは、意図しない脱離の可能性を増大させる。圧力が掛かったシステムにおける意図しない脱離は、予期せぬ機械の動きや高圧の極めて高温の流体の飛沫などによって、機械の損害や破損、建物の破壊、メンテナンス作業者や他の作業者に重大な怪我、更には死をもたらしかねない。
【0005】
プッシュ・トゥ・コネクト=クイック・トゥ・ディスコネクト・カップリングの一例は、ティムバー(Timbers)の米国特許第3,773,360号明細書に見られ、ここでこれは参照として組み入れられる。ティムバーは、コストを抑えるためにポートとステムのデザインを簡略化しながらも、簡単な押し込みによる連結操作と簡易脱離操作の両者を提供することを意図していると考えられる。ティムバーは、シール部品やロック部品、あるいはクリップを必要としない、簡略なポートのデザインの長所を開示する。しかし、開示されたステムは、全てのシール部品、ロック部品を含みより複雑である。更に、ロック部品は入り組んでおり、どちらかと言えば複雑である。重要な点として、開示された継手は、意図しない脱離に対して継手が耐性をもつように、付加的な部品、すなわち係止部材を必要とする。複雑さと付加的な部品は、継手のコストを増大させる。ティムバーの継手では、単に雄部を雌部に押し込むことで流体接続が完了する。係止部材を取り外し、雄部を雌部に更に挿入して、より深い嵌め合いとすることにより継手は脱離される。これはロック部品をポートにより圧縮させる。ロック部品の複雑な形状により、それはステムを掴んで圧縮された状態に維持され、ロック機能が解除される。そして2つの部分は分離される。
【0006】
一見してティムバーの継手は、多くの環境において、いとも簡単に意図せず脱離して安全とは言えないことが予想される。このため開示された継手では、係止部材が含まれている。係止部材は、雄部と雌部が押し込まれて、雄部と雌部の間のスペースが埋められ、より深い嵌め合いになると雄部と雌部に干渉する。係止部材を適正な場所に配置した継手では、意図しない脱離が防止されると考えられるかもしれない。
【0007】
しかし、係止部材の用途と形状は、継手が災害に至る意図しない脱離を起こす可能性を十分に残す。第1に、係止部材が、継手が使用される全ての期間に渡って継手に適正に取り付けられていることを保証することはできない。係止部材は、最初から付けられていないかもしれないし、継手の寿命のある時点で外れているかもしれず、何らかの不都合があるとする警告信号を残すこともない。そのような状況の下では、継手はもはや意図しない離脱に対する耐性をもたない。第2に、開示された係止部材の形状は、継手から径方向外側に延出するループ形状を含む。クイック・トゥ・コネクト=クイック・トゥ・ディスコネクト・カップリングの利用が特に求められる上述した状況の下では、ループには堆積物が集積され、移動する物体により引掛けられる。これは、係止部材が継手から抜け落ちる実際の可能性を増大させる。この場合にも、継手は意図しない脱離に対する耐性をもはや持ち得ない。
【0008】
安全性も、多くの工業用機械や重機類を用いた環境において、このような剛性ループの存在により損なわれる。堆積物や、工具、服、髪の毛、指の引っ掛かりを通して、損傷や怪我の直接の原因となり得る。更に、継手の連結が外される度に、係止部材などの金属ループが取り外され、危険な堆積物として遺失することが起こらないとは言えない。
【0009】
ティムバーや他の従来技術のクイック・トゥ・コネクト=ディスコネクト・カップリングなどにおけるクリップを採用する方法では、更に問題が発生する。クリップが環状の溝などにおいて、往復運動する可能性がある。この往復運動は、衝撃圧力、かつ/または横からの荷重が存在する使用状態において、継手あるいはステムの中心軸に沿って発生する可能性がある。この往復運動、すなわち「シャトリング」効果は、雄および雌継手部の保持部品の磨耗を加速させる可能性があることから望まれない。したがって、これは、連結部の潜在的な寿命に悪い影響を与え得る。このシャトリング効果は、クリップの断面の厚さが厚く、それにより環状溝の幅が広く、シャトリングが発生するより広い空間を与えるより大きなボアを有する継手において、より明白かつ顕著になり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、クイック・トゥ・コネクト=クイック・トゥ・ディスコネクト・カップリングを安定させ、圧力変動および衝撃の下でのポート内のステムの軸方向シャトリングを最小化するとともに、意図しない脱離に対する耐性を高めて安全性を大幅に強化する。意図しない脱離に対する耐性は、全ての安全を保護する部品が継手に装着されていることを保証するのに人が介在しなくともよいことが望ましい。
【0011】
意図しない脱離に高い耐性を有することで極めて高い安全性を示す継手の一例は、ゲーツ・クイックロック(商標)・ダイレクト・カップリング(Gates QuickLoc Direct couplings)に見ることができる。これらの継手の実際のものは、経済的な生産およびクイックコネクト/ディスコネクト・カップリングにおける有益性を維持しながらも、安全性を向上させたクイックコネクト=クイック・トゥ・ディスコネクト・ホース・カップリングを提供する。これらの継手は、例えばクリップ、このクリップを収容するように形成された環状溝を有する雄部、雌部、シール部品を採用する。このような継手のポートは、更に、雄部の雌部との連結のときにシール部品を圧縮するように形成されるとともに、雄部を雌部から分離する準備においてクリップを環状溝に押し込むデュアルファンクション円錐台部などを備えてもよい。これらの継手の具体例は、雄部の周りに摺動自在に配置され、環状溝内に圧縮されたクリップを捕捉するように構成されたスリーブを用いるかもしれない。しかし、クリップや環状溝などを採用するデザインは、上述したようなシャトリングを起こす可能性をもちうる。
【0012】
本発明の目的は、経済的な生産およびクイックコネクト=クイック・トゥ・ディスコネクト・ホース・カップリングの有益性を維持しながらもカップリング安定性を向上させたクイックコネクト=クイック・トゥ・ディスコネクト・ホース・カップリングを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、クリップ、クリップを収容するように構成された環状溝を有する雄部、雌部、そしてシール部品を備える形式のクイック・トゥ・コネクト=クイック・トゥ・ディスコネクト流体カップリングである。雄部はダストシールが配置される円錐溝を有する。溝は、ダストシールが摺動自在なスリーブの外側端部を密閉するように雄部に配置される。溝とダストシールは、取り付けられたときにはスリーブがクリップとステップ溝に向けて軸方向前方に押されように作用し合う。スリーブのこの前方への荷重は、リテイニング溝、あるいはステップ内、ステムの一部のクリアランスを埋め、これはカップリングの連結後、ステムのポートに対する自由な運動を規制し減衰する。更に、ポート内のステム、クリップ、そしてスリーブに与えられるこの前方への予荷重は、カップリングの雄部と雌部を整列させ、カップリングに横荷重が与えられたときに、ポートに対するステムの径方向の運動に対する耐性を与える。
【0014】
本発明に基づく実施形態の装置は、クイック・トゥ・コネクト=クイック・トゥ・ディスコネクト流体カップリングに連結して配置されるように構成される。本装置を採用するクイック・トゥ・コネクト=クイック・トゥ・ディスコネクト流体カップリングシステムは、クリップ、クリップを収容するように構成された環状クリップ溝を有する雄ステムおよびポート内へのステムの挿入に際して、クリップを収容するように構成されたステップ溝を有する雌ポートを備えてもよい。カップリングが連結されたとき、この装置の様々な実施形態は、ステムの周りに配置され、カップリングのポート部に形成された溝内に配置されたクリップに当接することが好ましい。好ましくは、クリップに当接しているこの装置は、ポート内でのステムのシャトリングを防止する。特に、クリップに当接しているこの装置は、圧力変動、衝撃、ステムの物理的な不適切な操作(ホースの移動により起こり得るものなど)の下におけるポート内でのステムのシャトリングを最小にする。装置は、例えばクリップに向けて付勢されており、ポートに形成された溝に対してステムを軸方向に保持する。
【0015】
装置は、カップリングのステム部の周りに摺動自在に配置されたスリーブの形式をとるかもしれない。付加的に、装置はステムに形成されたクリップから離して配置されるダストシール溝を採用してもよく、ダストシール溝にはダストシールが配置される。ダストシールは、例えばクリップに当接するスリーブの先端から遠い位置に配置されたスリーブの肩部に当接する。本発明の実施形態においては、ダストシールに当接するスリーブは、スリーブをクリップに向けて付勢し、それによりクリップに対するスリーブの当接を付勢する。
【0016】
カップリングの結合を容易にするために、この装置、すなわちスリーブは、ポートへのステムの挿入のために、ステムの環状溝内に圧縮されたクリップを径方向に保持、あるいは捕捉するように構成されていてもよい。付加的にあるいは代替的に、この装置、すなわちスリーブは、ポートへのステムの挿入のためにクリップを安定させ、クリップをステムと軸方向に整列させるためにポートへのステムの挿入に先立って、クリップに当接するように構成されていてもよい。クリップのステムに対するこの軸方向への整列は、ステムに形成されたリテイニング・ステップにクリップを着座させるであろう。ポート内へのステムの挿入時、この装置により軸方向に整列されたクリップは、ポート導入アングルに当接し、ポート導入アングルは、クリップを環状ステム・リテイニング溝内へと軸方向に圧縮し、クリップが完全にスリーブ装置の下に保持されない状態でのステムのポート内への挿入を可能にする。
【0017】
カップリングの取り外しを容易にするために、この装置は、ステムの環状溝内に圧縮されたクリップを径方向に保持するように構成されていてもよい。例えば、この装置は、ポートからステムを分離する準備段階において、ステムがポート内に更に挿入されるときに環状溝内に圧縮されたクリップを径方向に保持するように構成されていてもよい。より具体的には、ポートは更に、ポートからのステムの分離に備えるためにステムが更にポート内に挿入されるときに、ステムの環状クリップ溝内へとクリップを圧縮するように構成された円錐台ランプを備えていてもよく、スリーブは、例えばポートからステムを取り外すために環状溝内に圧縮されたクリップを径方向に保持するように構成された装置である。
【0018】
したがって、本発明の実施形態において、連結されたカップリングのポート内でのステムのシャトリングを防止する方法は、カップリングのステムの周りにスリーブを摺動自在に配置するステップと、ステムの周りに配置されたクリップをスリーブの先端に当接させるステップと、圧力変動、衝撃、ステムの物理的な不適切な操作などの下におけるポート内のステムのシャトリングを防止するためにポート部に形成された溝の壁面に対してクリップを保持するステップとを備えるであろう。更に、この方法は、クリップから離してステムに形成され、ダストシールが配置されるダストシール溝、およびダストシールに当接された先端から遠い位置に配置されたスリーブの肩部を採用してもよく、それによりクリップに向けてスリーブを付勢し、クリップに対するスリーブの当接を付勢する。
【0019】
このような方法の実施形態では、カップリングのステム部の周りに例えば摺動自在に配置されたスリーブは、クリップがステム部の環状溝内に圧縮された状態で、ステム部の周りに配置されたクリップを径方向に保持するために利用され、カップリングのポート部内へのステムの挿入を容易にする。このような挿入時において、スリーブの先端は、例えばポート部によって形成された円錐台ランプに当接し、それによりポート内へのスリーブの移動を停止し、クリップを径方向に解放する。続いて、スリーブの先端は、例えばクリップに当接し、上述したように、カップリングのポート部により形成された溝の壁面に対してクリップを保持し、ポート内のステムのシャトリングを防止する。
【0020】
方法の実施形態の別のものとしては、クリップを捕捉することなく、ステムの周りに配置され、ステムの環状溝に配置されたクリップに対して前記スリーブの先端を当接させ、クリップを安定させ、ポート内へのステムの挿入のためにクリップをステムと軸方向に整列させることにより、ステムのポートへの装填を容易にすることもできる。クリップをステムと軸方向に整列させることは、例えばステム・リテイニング・ステップにクリップを着座させ、ポート内へと更にステムを挿入するとき、クリップは例えばポート導入アングルに当接する。ポート導入アングルは、ステムの環状リテイニング溝内へと軸方向にクリップを圧縮する。このような実施形態によれば、クリップを完全にスリーブの下に保持しなくてもステムをポート内に装填することが可能になる。
【0021】
方法の実施形態において、ポートからステムを取り外すためにクリップをステムの環状溝内に圧縮するため、クリップは例えばスリーブにより径方向に保持される。この目的のため、上述されたような円錐台ランプが例えばポートに形成され、ポート内に更にステムを挿入することでクリップをステムに形成された環状クリップ溝内に圧縮し、ステムをポートから取り外すためにクリップが環状溝内に圧縮されるように、クリップはスリーブを用いて径方向に保持されてもよい。
【0022】
ここまでの説明は、本発明の特長や利点を順番に幾分広く概説したので、以下の発明の詳細な説明の方がよりよく理解できるであろう。本発明の付加的な特徴や利点は、以下に説明され、本発明の特許請求の範囲の対象となる。開示された着想や特定の実施形態は、本発明と同じ目的を達成するための変更や他の構成を設計する基礎として容易に利用できることは当業者によって当然理解される。また、添付される特許請求の範囲に明らかとされる本発明の趣旨および範囲から逸脱しない等価な構成が当業者において理解されるであろう。本発明の特徴であると考えられる新規な特徴は、その構成と操作方法により、更なる目的と利点とともに、添付された図面と関連して考察されるとき以下の説明からよりよく理解されるであろう。しかし、各図面は単に例示と説明の目的のために提供されたもので、本発明の限定を規定することを意図したものではないことは、明確に理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
この明細書に組み込まれその一部を構成し、同じ番号が同じ部品を示す添付図面は、本発明の実施形態を示し、説明とともに本発明の原理を説明するために用いられる。
【図1】本発明の実施形態を採用した連結されていないクイック・コネクト・カップリングの4分の1が全体的に取り除かれて一部が断面とされた図である。
【図2】本発明の実施形態を採用したクイック・コネクト・カップリングの4分の1が全体的に取り除かれて一部が断面とされた図であり、連結(挿入)操作の途中を示す。
【図3】安定化のため本発明の実施形態を採用したクイック・コネクト・カップリングの4分の1が全体的に取り除かれて一部が断面とされた図である。
【図4】図3の円で囲まれた部分の詳細図である。
【図5】本発明の実施形態を採用したクイック・コネクト・カップリングの4分の1が全体的に取り除かれて一部が断面とされた図であり、取り外しの準備としてフィッティングにおける更なる挿入を示す。
【図6】図5の円で囲まれた部分の詳細図である。
【図7】スナップリング型のロック部品の平面図である。
【図8】取り外し器具の側面図である。
【図9】図8の取り外し器具の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1には、本発明の実施形態100が、クイック・コネクト・カップリング101との関連で配置され、あるいはその一部として示される。カップリング101は、雌部、すなわちポート110と、ホースステム、すなわち雄部112を含む。スリーブ102は、ステム112に対して摺動自在な状態でステム112の上に取り付けられる。スリーブ102は、捕捉円筒部104と肩部106を備える。カップリング101が連結されるとき、スリーブの捕捉円筒部104は、後でより詳述に説明されるように、ステム112のポート110内でのシャトリングをなるべく防止する。更に、スリーブ102は、やはり後でより詳細に説明されるように、カップリング101の着脱に使用されることが好ましい。
【0025】
一例としての雌部、すなわちポート110は、考えられた実施形態の1つとして、また説明の便宜として、アダプタ114の一部として示される。また代わりに、そして好ましくは、ポート110は、固定部の本体、機械、あるいは装置(図示せず)に機械加工で作り付けられていてもよい。図示されるような、ポート110がアダプタ114として形成された例では、アダプタ114がポート110の基部となる。ポート110が固定部、機械、あるいは装置に形成された例では、これらが基部となる。ポート110は、インレット開口部122、アウトレット開口部124、流体通路126、第1円錐台ランプ128、第1円筒部130、環状壁132、第2円錐台ランプ136、そしてオプションとしての第2円筒部134を形成する内周面120を有する。図示された例では、第1円錐台ランプ128は、後述される連結操作および分離操作の両方で役割を果たすデュアルファンクションランプである。第2円錐台ランプ136は、ポート導入角を与える導入ランプであり、後述されるように、この取付け例における連結操作にとって重要であるかもしれない。
【0026】
更に図1を参照して、一般的なホースステム112は、ステム・インレット開口部142とステム・アウトレット開口部144を有するボア140が設けられたシャフト138を備える。シャフトは、第1環状シール溝148、環状クリップ溝150、環状リテイニング・ステップ溝152、第2環状シール溝(ダストシール溝154)、フランジあるいは防塵壁156、ホース係止部158、ホース挿入部160、環状スリーブ・リテイニング溝186を形成する外周面146を有する。
【0027】
ホース挿入部160は、対象となる流体を搬送するホース(図示せず)の開口端内に配置されるであろう。挿入は通常ホースの端部がホース係止部158に当接するまで進められる。ホースは、クランプやフェルール(図示せず)を用いた一般的な方法で固定される。
【0028】
第1環状シール溝148は、第1シール162とシールバッキングすなわち非突出リング164を保持する。第1シール162は、例えばOリングなどの形式のシール部品である。非突出リング164は、第1シール162を通した流体漏れを起こさないで継手が運用できる圧力をなるべく高める役割を果たす。本発明との互換性があり、他の継手構造でも利用できる他の利用可能なシールデザインも考えられる。
【0029】
クリップ166は、例えばスナップリング、台形などの形状を有するロック部品であり、図7に描かれる隙間168のような隙間があるものでもよい。他のクリップ形状、円形断面とは対照的な四角形なども考えられる。クリップ166は、隙間168が、クリップ166がステム外周面146を通り抜けるのに十分な大きさまで拡大するのに十分に小さな大きさとされる。しかし、クリップ166は、好ましくは、クリップ166がポート110の第1円筒部130を通り抜けるのに十分な程度まで径が縮小されるように隙間168が縮小されるような大きさともされる。好ましくは、クリップ166は、ポート110の第1ランプ128と、オプションによっては第2円筒部134とによって形成される空洞部の殆どの部分を埋めるのに十分な厚さとされる。このような寸法とされたとき、クリップ166は、ポート110の磨耗を最小にしてカップリング101の寿命を延ばす磨耗緩衝物としても作用し、後で更に十分に説明されるように、本発明と連携した形で展開されるときに特にそうである。隙間168は、クリップ溝150内のクリップ166が十分に縮小できるように十分に大きいことが好ましい。クリップ166は、ステム112がポート110と連結されていない初めの状態では、クリップ溝150内に緩い状態で保持できる。
【0030】
ステム112の第2環状シール溝、すなわちダストシール溝154は、好ましくは、ダストシール170などの第2シールを保持する。スリーブ102は、ステム112の外周面146の上に、ステム112に対して摺動自在な状態で取り付けられる。上述したように、スリーブ102は、捕捉円筒部104と肩部106を備える。スリーブ102がダストシール170に向けて移動されるとき、スリーブ肩部106がダストシール170に当接することにより、クリップ166がスリーブ102の先端178に突き当たった状態で、スリーブ102がクリップ溝150の一部を覆った状態に保持され(図2参照)、取り付けのための最初の準備に確りと備えた状態に保持される。ダストシール溝154は、スリーブ102によるダストシール170の移動を可能にする形状を与えるランプ面を含んでもよい。このようなランプ面は、スリーブ102の過度な動きを防止するために、ダストシールOリング自身の弾性張力を利用する。逆に、スリーブ102が、図1に描かれるように、ステム・アウトレット144に向けて前進するとき、クリップ166は、スリーブ円筒部104によってクリップ溝150内に捕捉される。出荷時やポートに挿入される前における連結されていないステムのクリップは、このような方法で保持されていることが好ましい。
【0031】
ダストシール170は、汚染物質の移動に対して外周面146とスリーブ102の間の境界面を密閉するとともに、スリーブ102の動きを減衰するための摩擦力を与える。図3に示されるように、カップリング101が連結されたときに、肩部106とポート110の間の隙間を広げておくため、捕捉円筒部104の周りに第3シール180が配置されてもよい。第3シール180は、捕捉円筒部104と第2ランプ136の境界面を汚染物質や同様のものに対して密閉する。
【0032】
捕捉円筒部104は、かしめ加工や押圧加工で得られる1つ以上の押圧スポット188を備えてもよく、移動規制用の戻り止めとして機能する。これらの移動規制用の戻り止めは、捕捉円筒部104に同様の形状を機械加工やモルディング加工によって形成できることも考えられる。押圧スポット188は、スリーブ102が外周面146上を滑って適正な位置へと配置できるように小さい。一旦適正位置に配置されると、リテイニング溝186と押圧スポット188の相互干渉は、スリーブ102が外周面146から外れることを制限する。
【0033】
カップリング101の連結は、ポート110に対するステム112の関係として図2に連結開始時の局面として描かれるように、ポート110へステム112を挿入することにより達成される。本発明の実施形態によれば、図1に描かれるように、ポート110へのステム112の挿入の準備のため、クリップ166は、スリーブ102によって捕捉される。ステム112の挿入は、図2に描かれた位置を経て(スリーブ102がクリップ166を覆って延出する状態またはしない状態で)、図3に描かれる位置へと続き、図4にその詳細が示される。挿入時、第1シール162は、第2ランプ136により第2円筒部130に対して位置決めされるようにガイドされることが好ましい。第1シール162は、その後、第1ランプ128によって圧縮され、第1シール162は、ステム112と流体通路126の間の十分な密閉を行う位置へと移動され得る。この密閉との関係から、流体通路126をシーリングボアと呼ぶこともできる。スリーブ102は、第1円筒部130に対して位置決めされるように第2ランプ136によってガイドされることも好ましい。挿入が進むにしたがって、スリーブ先端部178は第1ランプ128に当接する。スリーブ先端部178と第1ランプ128が当接すると、スリーブ102の挿入はこの当接により停止することが望まれるものの、ステム112のシャフト138の挿入は続けられる。これは、スリーブ102がダストシール170に向けて移動し、スリーブ102がクリップ66を開放し、そしてスリーブ肩部106がダストシール170を押圧して環状ダストシール溝154を這い上がらせる。このとき、クリップ166が通路126によって捕捉されることが好ましい。ステム112は、その後、図3に描かれる位置まで引き込む、あるいは引き込められ、ここでクリップ166は第1ランプ128と第2円筒部134によって残された空間内に拡張される。これでステム112とポート110は、軸方向にロックされた関係となる。例えば流体圧力の影響により、あるいはステム112が引っ張られ、ポート110からステム112が吐き出すように、あるいは引っ張られるように力が掛かると(許可されていない分離)、クリップ166は、壁面132によりステップ溝152に押し込まれる。このときクリップ166は、ステップ溝152と壁面132の間に引っ掛かり動かなくなる。ステム112は、ポート110から引き抜くことができない。
【0034】
挿入はスリーブ102がダストシール170に当接し、スリーブ先端部178がクリップ166に当接する開始位置から達成されることも考えられる(図2)。この構成では、クリップ166は、連結前にスリーブ102により捕捉されることはない。この例では、挿入の力には、第2ランプ136により第1シール162を圧縮し、その後第1ランプ128により第1シール162を圧縮するのに必要な力の他に、第2ランプ136によりクリップ166を圧縮するのに必要な追加的な力が含まれる。第2ランプ136によりクリップ166を圧縮するのに必要な力は、大きなものとなるかもしれず、特に上述されたクリップ166がスリーブ102により捕捉された構成(図1に初めに示された)を利用する場合に比べて大きなものとなり得る。それでも、本発明においては、スリーブ102のスリーブ肩部106に当接されたダストシール170の位置がスリーブをクリップ166に接触するように付勢し、これにより連結を容易にする。図2に示されるように配置されるとき、スリーブ先端部178は、クリップ166に当接し、挿入前において、クリップ166をより安定した、軸に沿って位置決めされた位置に保持する。挿入がこの構成を用いて開始されると、クリップ166は、第2ランプ136に沿って押し下げられ、同時にスリーブ102は、ダストシール170に向けて押し戻される。これは、ダストシール170を圧縮し、ダストシール170をダストシール溝154に沿って押し上げ、スリーブ102をクリップ166に向けて付勢する。このダストシール170、ダストシール溝154、スリーブ102、クリップ166の間の相互作用は、挿入および圧縮の局面において、クリップが第1円筒部130に達するまで、かつ壁面132に引っ掛かる前まで、クリップ166の位置決めが維持されることを保証する。
【0035】
軸方向にロックされた状態において繰り返されるカップリング101の許可されていない分離への試みは、壁面132およびクリップ溝150を一般に摩滅する。しかし、先に説明されたクリップ166の大きさや、ステップ溝152の存在は、磨耗防止の助けとなるが、スリーブ102の肩部106を押圧して、スリーブ先端部178をクリップ166に当接させ、カップリング(図3)に予め荷重を与えているダストシール170は、そのような磨耗を大幅に低減する。第1ランプ128と第2円筒部134により残された空洞内にぴったりと嵌合するのに十分な大きさとされたクリップを選択することは、クリップに保護インサートの付加機能を提供させる。小さい寸法とされたクリップは、許可されていない分離作用の影響の下で、壁面132に作用し、一般にクリップが形成された材料よりも柔らかいポート110が形成された材料を摩滅する。ステップ溝152の付加は、このような摩滅の兆候を示す順序立った方法で磨耗が発生するようにする。例えば、ポート110内に少ししか挿入されていない状態で収容されたステム112は、軸方向にロックされた状態において、カップリング101の連結に不具合がなくとも、第1円錐ランプ128を通して漏れを発生する。更に、本発明によれば、図3に示され、図4に詳細が示されるうに、スリーブ先端部178のクリップ166に対する当接が、クリップ溝150の周りにおけるステム112のポート110内における軸方向の運動を抑制し、それにより、ステム112とポート110の連結時、交互に変動する荷重を受ける状況の下、ステム112のポート110内のシャトリングを防止する。このシャトリング運動の抑制は、更にステップ溝152における摩滅の可能性を低減する。更に、少なくとも外周面146と第1円筒部130の間の空間を部分的に埋めるスリーブ102の捕捉円筒部104は、更にポート110に対する横方向の運動に対し、ステム112を安定化する。したがって、第1円筒部130は、本発明の実施形態において安定化ボアとなる。
【0036】
好ましくは、カップリング100の分離は、図5の矢印で示されるように、第1にステム112のポート110への挿入を増大することで成される。図5および図6は、中間の位置が描かれる。この第1分離ステップでは、第1ランプ128がクリップ166をステップ溝152からクリップ溝150に向けて移動させ、その後クリップ166をクリップ溝150内へと圧縮する。この分離の第1ステップにおいて、第1ランプ128は、脱離ランプと考えることができる。挿入はスリーブ先端部178が第1ランプ128に当接するまで続けられ、クリップ166は通路126内にはまる大きさまで圧縮される。スリーブ102は、その後、ステム112に対して、図1に描かれる位置まで軸方向に移動され、クリップ166を捕捉する。これは、スリーブ102を矢印方向に動かすのではなく、むしろシャフト138が図6の矢印により示される方向とは逆向きに引き抜かれときにスリーブ10が静止していることで作用される。実際には、これは例えば肩部106とフランジ156の間での割り込み動作を利用して達成される。マイナス(ブレード)スクリュードライバなどの工具(図示せず)は、肩部106とフランジ156の間にスクリュードライバの刃を挿入して捻ることで、割り込み作用を与えることができる。図8および9に描かれる特殊用途の工具800も割り込み動作を提供できる。歯801は、フランジ156と肩部106の間に挿入される。特殊工具800はその後、割り込み作用を与えるようにハンドル802に圧力を掛けることによりロックされる。一旦クリップ166がこのようにスリーブ102の下に捕捉されると、上述した壁面132とステップ溝152の間のクリップ166の引っ掛かりは起こり得ない。ステム112は、ポート110から自由に分離できるようになり、ステム112はポート110から引き抜くことができる。
【0037】
意図しない脱離に対して本質的にフェールセーフとする幾つかの工夫が本発明にはある。第1に、取り外しには自然には起こらない動作の組合せを必要とする。単にステム112を押すことは、分離に何の影響も持たない。ステム112および肩部106の両方を押したとしても脱離は起こらない。取り外しには、ステム112をポート110内へ押し込み、肩部106をフランジ156から離すように割り入る協調した作業が必要である。また、初めにステム112をポート110内へ更に挿入することなく捕捉スリーブ102をクリップ捕捉位置まで押し遣ることは、2つの補足的理由から全く効果がない。1つには、スリーブ先端部178は、むしろクリップ166に当接し、あるいはクリップ166をクリップ溝150よりも遠くに移動し、ステップ溝152に向けて戻そうとする。2つ目として、ステップ溝152は、クリップ166が通路126内に嵌入する大きさまで圧縮されるにはむしろ浅すぎる。好ましくは、スリーブ肩部106は、フランジ156の外径を超えて延出することはない。したがって、スリーブ102は、好ましくは簡単にグリップされことがなく、このクリップ捕捉位置へ押し出されることはない。このような工夫は更に、他のクイック・トゥ・コネクト=クイック・トゥ・ディスコネクトカップリングよりも相対的に安全で、同時に圧力変動、衝撃、かつ/またはこれと同等のものの下でのポート内の軸方向のステムのシャトリングを最小にし、ポートへのステムの挿入に対してクリップをステムと軸方向に整列させ、あるいはクリップを捕捉し、そして他の望ましい特徴を維持するクイック・トゥ・コネクト=クイック・トゥ・ディスコネクトカップリングを提供する。
【0038】
これまで本発明とその利点について詳細に説明したが、添付された特許請求の範囲において規定された本発明の趣旨と範囲を逸脱することなく、様々な変更、代用、改変がここにおいて可能であることは無論である。例えば、本発明は、他のカップリングのデザインにおいて採用することも可能である。特にスリーブ102は、別の構成のカップリングのステムに摺動自在な状態で搭載されることも可能であり、ダストシール170と環状ダストシール溝154は、上述されたシャトリングを防止し、かつまたは取り外しを補助するのと同様の結果を得るために、そのようなステムに搭載されたスリーブ102とともに採用されることも可能である。更に、このアプリケーションの範囲は、明細書で説明された特定のプロセスや、機械、製品、組成物、手段、方法、ステップの具体例に限定されるものではない。当業者であれば、本発明の開示から、現在存在し、あるいは将来に開発され、ここで説明される対応実施形態と実質的に同じ機能や実質的に同じ結果をもたらすプロセス、機械、製品、組成物、手段、方法、ステップを本発明にしたがって利用できることを容易に理解できるであろう。したがって、添付された特許請求の範囲は、そのようなプロセス、機械、製品、組成物、手段、方法、ステップをその範囲に含むことを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クイック・トゥ・コネクト=クイック・トゥ・ディスコネクト流体カップリングに連結して配置されるように構成された装置であって、前記装置は更に、前記カップリングのステムの周りに配置され、前記カップリングのポートに形成される溝に配置されるクリップに当接するように形成され、それにより前記クリップを前記ポートに形成される前記溝の壁面に保持する装置。
【請求項2】
前記クリップに当接している前記装置が、前記ステムの前記ポート内におけるシャトリングを防止することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記クリップに当接している装置が、圧力変動、衝撃、前記ステムの物理的な不適切な操作の下での前記ポート内の前記ステムのシャトリングを最小化することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記装置が前記クリップに向けて付勢され、それにより前記クリップへの前記装置の当接が付勢されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記装置の前記クリップへの当接に対する付勢は、前記ステムを前記ポートに形成された前記溝に対して軸方向に保持することにより、前記ポート内における前記ステムのシャトリングを防止することを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記装置が、前記ステムの前記ポートへの挿入のために、前記ステムの環状溝内に圧縮された前記クリップを径方向に保持するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記クリップに当接している前記装置は、前記クリップを安定させ、前記ポートへ前記ステムを挿入するために前記クリップを前記ステムと軸方向に整列させることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記クリップの前記ステムとの軸方向の整列が、前記クリップを前記ステムに形成されたリテイニング・ステップに着座させることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記装置により軸方向に整列された前記クリップが、前記ステムの前記ポートへの挿入に際して、ポート導入アングルに当接し、前記ポート導入アングルが前記クリップを軸方向に環状ステム・リテイニング溝内へと圧縮し、前記ステムを前記ポート内に装填可能とすることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記ステムの前記ポートからの取り外しのために、前記ステムの環状溝内に圧縮された前記クリップを径方向に保持するように前記装置が構成されたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記ポートから前記ステムを分離する準備として前記ステムが更に前記ポート内に挿入されるとき、前記環状溝内に圧縮された前記クリップが径方向に保持されるように前記装置が構成されたことを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記装置が、前記カップリングのステムの周りに摺動自在に配置されるスリーブであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記装置が更に、
前記ステムに形成され、クリップから隔てられたダストシール溝と、
前記シール溝内に配置されたダストシールを備え、前記ダストシールが前記クリップに当接している前記スリーブの先端から遠い位置にある前記スリーブの肩部に当接していることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ダストシール溝が、前記ダストシールの移動を可能にする傾斜面を備えることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記傾斜面が、前記スリーブの過度の運動を抑えるために前記ダストシールが与える弾性張力を利用することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記ダストシールに当接している前記スリーブが、前記スリーブを前記クリップに向けて付勢し、それにより前記クリップへの前記スリーブの当接を付勢していることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項17】
前記スリーブが、前記ポートへの前記ステムの挿入および前記ポートからの前記ステムの取り外しのために、前記ステムの環状溝内に圧縮された前記クリップを径方向に保持するように構成されたことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項18】
前記クリップが、前記クリップに当接している前記スリーブにより軸方向に配列され、そのように配列された前記クリップが、前記ステムの前記ポートへの挿入に際して、ポート導入アングルに当接し、前記ポート導入アングルが前記クリップを環状ステム・リテイニング溝内に圧縮し、前記クリップが前記スリーブの下に完全に保持されていなくとも、前記ステムが前記ポート内に装填可能であることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項19】
前記ポートが更に、前記ポートからの前記ステムの分離する準備に際して、前記ステムが前記ポート内に更に挿入されたとき前記ステムの前記クリップを環状クリップ溝内へと圧縮するように構成される円錐台形ランプを備え、前記スリーブが、前記ポートから前記ステムを取り外すために、前記環状溝内に圧縮された前記クリップを径方向に保持するように構成されることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項20】
クリップと、
前記クリップを収容するように構成された環状クリップ溝を備える雄ステムと、
前記ステムの前記ポートへの挿入に際して前記クリップを収容するように構成されたステップ溝と、
前記ステムの周りに摺動自在に配置され、前記クリップに当接し、前記クリップを前記ポートに形成された溝に保持するように構成されたスリーブと
を備えることを特徴とするクイック・トゥ・コネクト=クイック・トゥ・ディスコネクト流体カップリングシステム。
【請求項21】
前記クリップに当接している前記スリーブが前記ステムの前記ポート内でのシャトリングを防止することを特徴とする請求項20に記載のカップリングシステム。
【請求項22】
前記クリップに当接している前記スリーブが、圧力変動、衝撃、前記ステムの物理的な不適切な操作の下での前記ポート内の前記ステムのシャトリングを最小にすることを特徴とする請求項20に記載のカップリング。
【請求項23】
前記ステムが更に、前記環状溝から離れて配置されたダストシール溝を備え、前記シール溝がダストシールを収容し、前記ダストシールが、前記クリップに当接している前記スリーブの先端から離れた位置にある前記スリーブの肩部に当接していることを特徴とする請求項20に記載のカップリングシステム。
【請求項24】
前記ダストシール溝が、前記ダストシールの移動を可能にする傾斜面を備え、前記傾斜面が、前記スリーブの過度の運動を抑えるために前記ダストシールが与える弾性張力を利用することを特徴とする請求項23に記載のカップリングシステム。
【請求項25】
前記ダストシールに当接している前記スリーブが、前記スリーブを前記クリップに向けて付勢し、それにより前記クリップへの前記スリーブの当接を付勢していることを特徴とする請求項24に記載のカップリングシステム。
【請求項26】
前記スリーブの前記クリップへの当接に対する付勢は、前記ステムを前記ポート・ステップ溝に対して軸方向に保持し、それにより前記ポート内における前記ステムのシャトリングを防止することを特徴とする請求項25に記載のカップリングシステム。
【請求項27】
前記スリーブが、前記ポートへの前記ステムの挿入に際して、前記環状溝内に圧縮された前記クリップを径方向に保持するように構成されることを特徴とする請求項20に記載のカップリングシステム。
【請求項28】
前記スリーブが、前記クリップを前記環状クリップ溝の壁面に対して保持することで前記クリップを前記溝内に保持することを特徴とする請求項20に記載のカップリングシステム。
【請求項29】
前記スリーブが、前記クリップに当接するように構成され、前記ポートへの前記ステムの挿入に対して、前記クリップを安定させ、前記クリップを前記ステムと軸方向に整列させることを特徴とする請求項20に記載のカップリングシステム。
【請求項30】
前記クリップを前記ステムと軸方向に整列させることで、前記クリップがステム・リテイニング・ステップに着座し、前記ポート内への前記ステムの挿入に際して、前記クリップがポート導入アングルに当接し、前記ポート導入アングルが前記ステムの環状リテイニング溝内へと前記クリップを径方向に圧縮して、前記ポート内への前記ステムの装填を前記クリップが前記スリーブの下に完全に保持されなくとも可能にすることを特徴とする請求項29に記載のカップリングシステム。
【請求項31】
前記スリーブが、前記ポートからの前記ステムの取り外しのために、前記環状溝内に圧縮された前記クリップを径方向に保持するように構成されることを特徴とする請求項20に記載のカップリングシステム。
【請求項32】
前記ポートが更に、前記ポートから前記ステムを分離する準備として前記ステムが更に前記ポート内に挿入されるときに、前記クリップを前記環状クリップ溝内に圧縮するように構成された円錐台ランプを備え、前記スリーブが、前記ポートから前記ステムを取り外すために前記環状溝に圧縮されたクリップを径方向に保持するように構成されることを特徴とする請求項20に記載のカップリングシステム。
【請求項33】
カップリングのステム部の周りにスリーブを摺動自在に配置し、
前記ステムの周りに配置されたクリップを前記スリーブの先端に当接させ、
前記カップリングのポート部に形成された溝の壁面に前記クリップを保持し、圧力変動、衝撃、前記ステムの物理的な不適切な操作の下での前記ポート内での前記ステムのシャトリングを防止する
ことを特徴とする方法。
【請求項34】
クリップから離して前記ステムにダストシール溝を形成し、
前記ダストシール溝内にダストシールを配置し、
前記先端から遠い位置にある前記スリーブの肩部を前記ダストシールに当接させ、それにより、前記スリーブを前記クリップに向けて付勢し、前記スリーブの前記クリップへの当接を付勢する
ことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記ダストシール溝の形成が、抵抗しながらも前記ダストシールの移動を可能にする傾斜面を前記ダストシール溝内に形成することを含むことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ダストシールが前記ダストシール溝傾斜面を昇ることで与えられる弾性張力を利用し、前記スリーブの過度の運動に抵抗することを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記スリーブで前記クリップを径方向に保持し、
前記ステムの環状溝内に前記クリップを圧縮し、
前記ポートから前記ステムを取り外す
ことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記ポート内に円錐台ランプを形成し、
そして前記ポート内に前記ステムを挿入し、
前記円錐台ランプにより前記クリップを前記ステムに形成された環状クリップ溝内に圧縮し、
前記スリーブを用いて、前記クリップが前記環状溝に圧縮されているときに、前記クリップを径方向に保持し、
前記ポートから前記ステムを取り外す
ことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項39】
カップリングのステム部の周りにスリーブを摺動自在に配置し、
前記スリーブで、前記ステム部の周りに配置されたクリップを径方向に保持し、前記クリップが前記ステム部の環状溝内に圧縮され、
前記カップリングのポート部内に前記ステム部を挿入し、
前記ポート部に形成された円錐台ランプに対して前記スリーブの先端を当接し、前記ポート部内への前記スリーブの移動を停止して前記クリップを径方向に開放し、
前記スリーブの前記先端を前記クリップに当接して、前記クリップを前記カップリングのポート部に形成された溝の壁面に対して保持し、圧力変動、衝撃、前記ステム部の物理的な不適切な操作の下での前記ステム部の前記ポート部内におけるシャトリングを防止する
ことを特徴とする方法。
【請求項40】
クリップから離して前記ステム部にダストシール溝を形成し、
前記シール溝内にダストシールを配置し、
前記先端から遠い位置にある前記スリーブの肩部を前記ダストシールに当接させ、それにより、前記スリーブを前記クリップに向けて付勢し、前記スリーブの前記クリップへの当接を付勢する
ことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記ダストシール溝の形成が、抵抗しながらも前記ダストシールの移動を可能にする傾斜面を前記ダストシール溝内に形成することを含むことを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記ダストシールが前記ダストシール溝傾斜面を昇ることで与えられる弾性張力を利用し、前記スリーブの過度の運動に抵抗することを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記スリーブで前記クリップを径方向に保持し、
前記ステム部の環状溝内に前記クリップを圧縮し、
前記ポート部から前記ステム部を取り外す
ことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項44】
更に前記ポート部内に前記ステム部を挿入し、
前記円錐台ランプにより前記クリップを前記ステム部に形成された環状クリップ溝内に圧縮し、
前記環状溝に圧縮された前記クリップを前記スリーブで径方向に保持し、
前記ポート部から前記ステム部を取り外す
ことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項45】
カップリングのステム部の周りにスリーブを摺動自在に配置し、
前記スリーブの先端を前記ステムの周りに配置され前記ステムの環状溝内に配置されたクリップに当接し、
前記ポート内に前記ステムを挿入し、
前記スリーブの前記先端を前記クリップと当接した状態に維持して前記クリップを前記カップリングのポート部に形成された溝の壁面に対して保持し、圧力変動、衝撃、前記ステムの物理的な不適切な操作の下での前記ステムの前記ポート内におけるシャトリングを防止する
ことを特徴とする方法。
【請求項46】
前記ステムと軸方向に整列された前記クリップは更に、ステム・リテイニング・ステップの上に前記クリップを着座させ、前記ポートへの前記ステムの挿入は更に、前記ポート導入アングルとの前記クリップの当接を含み、前記ポート導入アングルは前記クリップを前記ステムの環状リテイニング溝内へと軸方向に圧縮し、前記クリップが完全に前記スリーブの下に保持されていなくとも前記ステムが前記ポートに装填されることを可能にすることを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項47】
クリップから離して前記ステムにダストシール溝を形成し、
前記ダストシール溝内にダストシールを配置し、
前記先端から遠い位置にある前記スリーブの肩部を前記ダストシールに当接させ、それにより、前記スリーブを前記クリップに向けて付勢し、前記スリーブの前記クリップへの当接を付勢する
ことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記ダストシール溝の形成が、抵抗しながらも前記ダストシールの移動を可能にする傾斜面を前記ダストシール溝内に形成することを含むことを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記ダストシールが前記ダストシール溝傾斜面を昇ることで与えられる弾性張力を利用し、前記スリーブの過度の運動に抵抗することを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記スリーブで前記クリップを径方向に保持し、
前記ステムの環状溝内に前記クリップを圧縮し、
前記ポートから前記ステムを取り外す
ことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項51】
前記ポート内に円錐台ランプを形成し、
そして前記ポート内に前記ステムを挿入し、
前記円錐台ランプにより前記クリップを前記ステムに形成された環状クリップ溝内に圧縮し、
前記環状溝に圧縮された前記クリップを前記スリーブで径方向に保持し、
前記ポートから前記ステムを取り外す
ことを特徴とする請求項45に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−507048(P2010−507048A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532441(P2009−532441)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/021864
【国際公開番号】WO2008/048506
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(504005091)ザ ゲイツ コーポレイション (103)
【Fターム(参考)】