説明

クラウン冷却ジェットを備えたピストン

ピストン(10,10′)は、上側燃焼ドーム(18,18′)を備えた上側クラウン部(16,16′)を有するピストン本体(12,12′)を含む。燃焼力は、上側燃焼ドーム(18,18′)に対して作用する。上側燃焼ドーム(18,18′)の下側は、アンダークラウン領域(60,60′)を含む。ピストン本体(12,12′)は、間隔をおいて離され連接棒に枢動可能に隣接するための1対のピンボス(36,38)を備えた下側クラウン部(26,26′)も含む。外側オイルギャラリー(31,31′)は、上側(16,16′)および下側クラウン部(26,26′)間に包含されるものとして形成される。外側オイルギャラリー(31,31′)は、オイル入口(50,50′)とオイル出口(52,52′)とを有する。管状のオイルジェット(54,54′)は、オイル出口(52,52′)と流体連通に取付けられ、オイルがピストン(16,16′)の往復直線運動中に吐出される場所であるアンダークラウン領域(60,60′)に向かって延在する。外側オイルギャラリー(33)からの冷却オイルは、オイルジェット(54,54′)によってアンダークラウン領域(60,60′)へ流されて、補助的な冷却を受動的に作動されるシステムにおいてもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2009年4月10日に出願されその開示全体がこの明細書中に引用により援用される米国仮特許出願第61/168,291号の優先権を主張する。
【0002】
発明の背景
発明の分野
この発明は概して、内燃機関のためのピストンに関し、より特定的には、内部オイル冷却機能を有するディーゼルピストンに関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術
ディーゼルエンジンのための中空ピストン構造は、冷却能力の向上をもたらすことで知られており、これによりさらには排ガスの改善および耐用寿命の延長がもたらされることが多い。これらの用途において、ピストンの熱いヘッドまたは具体的にはアンダークラウン領域およびピストンの外側リングベルト領域を(対流的に)冷却するのを助けるために、通常のエンジン潤滑オイルが用いられる。中空ピストン構成の中には、リングベルト領域付近の単一の外側冷却ギャラリー、またはクラウン領域の下の中心オイルギャラリー、または開放幾何学的配置と閉鎖幾何学的配置とのさまざまな組合せで対になった2つのギャラリー(デュアルギャラリー)が用いられているものもある。デュアルギャラリーピストンは典型的に、上側クラウン部と下側クラウン部との間に形成された、環状で径方向に外側の冷却ギャラリーと、開放中心冷却ギャラリーとを有する。外側ギャラリーと中心ギャラリーとは、互いから隔離されているか、介在リブを貫通する多数のオイル通路を介して相対的に開放流体連通して配置されているかのいずれかであり得る。加えて、ギャラリーの一方または両方からリストピンまで延在するピン潤滑剤通路を設けることが知られている。この潤滑剤通路は、たとえばピンボスのリストピン穴の中へおよび/または横方向に間隔をおいて配置されたピンボス間に延在し得る。外側ギャラリーは、単一ギャラリー構造として形成されたものであれデュアルギャラリー構成として形成されたものであれ、ピストンのリングベルト領域を冷却するのにとりわけ適している。中心ギャラリーが存在する場合、中心ギャラリーは、熱い燃焼ガスに直接さらされる燃焼ボウル壁またはドームによって部分的に形成される中心クラウン領域を冷却するのにとりわけ適している。
【0004】
燃焼ドームおよび下にある中心クラウン領域(すなわちアンダークラウン)は、使用の際極度の熱にさらされる。このアンダークラウン領域における熱を適正に管理しない場合、いくつかの問題が結果として生じるおそれがある。たとえば、アンダークラウンへのカーボン蓄積が時間と共に形成される可能性がある。このカーボン蓄積は、ピストンに加重し、不均衡を引起すおそれがあり、次第に剥落するおそれがある。ばらになったカーボン薄片は、可動部品間に挟まり、引っ掻き傷を付けるおそれがある。アンダークラウン領域における過度の熱蓄積に関連する別の問題は、排ガスに関する。ディーゼルエンジンにおいて燃焼温度が厳しく制御されていない場合、燃焼プロセスを効率および排気の問題にむけて最適に調整することができない。さらに、ピストン温度をあまりに高く上昇させてしまった場合、潤滑オイルは、過熱状態になり、はやばやと化学的に分解し始め、その耐用寿命が短くなるおそれがある。
【0005】
よって、中心ギャラリーは、アンダークラウン領域の温度を適正に調整するために、冷却液、たとえば潤滑オイルの十分な流れを供給する必要がある。長年に亘って、エンジン設計者は、中心クラウン領域に十分なオイル流を提供しつつ、同時に過熱によるオイルの劣化を回避して、上述の問題を回避するよう努めてきた。アンダークラウン領域に向けてのオイルの供給が不十分な場合、またはこの領域にオイルをあまりに長く留まらせてしまった場合、オイルは過熱し、その冷却機能および潤滑機能は減少されてしまう。
【0006】
それゆえ、当該技術においては、改良されたピストン設計、特にディーゼルピストン設計の需要がある。そのピストン設計は、使用中にアンダークラウン領域を潤滑オイルで冷却するのに適したものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上側クラウン部と下側クラウン部とを有する、内燃機関のためのピストンを企図する。上側クラウン部は、上側燃焼壁を含み、燃焼力は、この上側燃焼壁に対して作用する。上側クラウン部は、上側燃焼壁の下面に形成されたアンダークラウン面も含む。下側クラウン部は、連接棒に連結するための少なくとも1つのピンボスを含む。外側冷却ギャラリーは、上側クラウン部と下側クラウン部との間に形成されている。オイル入口は、オイルを外側冷却ギャラリーの中に導くために、冷却ギャラリーと直接連通している。オイル出口は、入口と間隔をおいて配置されており、オイルを外側冷却ギャラリーから外へ導くために外側冷却ギャラリーと直接連通している。オイルジェットは、外側冷却ギャラリーから出て行くオイルのうち少なくとも一部分を出口を通してアンダークラウンに向かって導くために出口と直接連通して設けられている。オイルジェットは、オイルが外側冷却ギャラリーから循環され、動作中のピストンの往復直線運動に応答して概ねアンダークラウンに向けて噴霧されることを可能にする。冷却性能の向上に加えて、オイルジェットは、オイルが過熱しないように十分なオイルをアンダークラウンに供給するのによく適している。
【0008】
この発明の別の局面に従って、内燃機関において往復ピストンをオイルで冷却する方法が提供される。この方法は、燃焼力が作用する上側燃焼壁と、内部の外側オイルギャラリーと、上側燃焼壁の直下かつ外側冷却ギャラリーに対して概ね同心状に配置されたアンダークラウン領域とを有するピストンを設けるステップを含む。このピストンを、内燃機関において中心往復軸に概ね沿って往復直線運動させる。往復直線運動させるステップと同時に、冷却オイル流を外側オイルギャラリーの中へ方向付ける。外側オイルギャラリー内の冷却オイルを、出口を通って排出させる。この方法は、さらに、外側オイルギャラリーから排出された冷却オイルをアンダークラウンにオイルジェットを通じて循環させるステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
この発明のこれらのおよび他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付の図面に関連して考慮されるとより容易に理解されるであろう。
【図1】この発明の1つの実施例に従って構築されたデュアルギャラリーピストンのピン穴軸に概ね沿ってとった断面図である。
【図2】図1の2−2線に概ね沿ってとった断面図である。
【図3】代替的な単一ギャラリーピストン実施例のピン穴軸に概ね直交してとった断面図である。
【図4】図3の4−4線に概ね沿ってとった断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
好ましい実施例の詳細な説明
図面を参照して、図中、同様の番号は同様または対応する部品をいくつかの図面に亘って示しており、図1には、この発明の1つの実施例に従って構築されたデュアルギャラリー型ディーゼルピストン10が説明されている。ピストン10は、シリンダボア(図示せず)内のピストン10の往復経路と概ね一致する中心軸14に沿って延在するピストン本体12を有する。ピストン本体12は、上側クラウン部16を含む。この上側クラウン部は、これに限定されないが例示的にここでは凹んだ燃焼ボウル20を有するものとして表わす上側燃焼壁またはドーム18を有する。燃焼力は、シリンダボア内でこの上側燃焼壁に対して直接作用し、これにより、極度の熱生成ための場所が与えられる。アンダークラウン60は、上側燃焼壁18の反対側、燃焼ボウル20の下に形成されている。好ましくは、上側クラウン部16は、別個のまたはばらの1点として形成され、その後ピストン10の一部として組立てられる。上側クラウン部16は、その初期のばらの状態において、少なくとも1つの、ここでは一対のものとして示される環状上側リブ22、24を有する。以後、これらのリブを上側内側リブ22および上側外側リブ24と称する。各リブは、上側燃焼壁18からそれぞれの自由端部(組立前の状態において)まで垂下している。
【0011】
ピストン本体12は、さらに、下側クラウン部26を含む。好ましくは、この下側クラウン部も、構成部品として予め形成され、その後上側クラウン部16に組付けられる。下側クラウン部26は、少なくとも1つの、ここでは一対のものとして示される環状の下側リブ28、30を有する。以後、これらのリブを下側内側リブ28および下側外側リブ30と称する。これらのリブは、上側内側および外側リブ22、24のそれぞれの自由端部と固定当接するように位置合せされて配置されたそれぞれの自由端部(組立前の状態において)まで延在して、外側冷却ギャラリー31を形成し、外側冷却ギャラリー31を中心冷却ギャラリー33とも称される中心クラウン領域から分離する。これらの対向するリブを、たとえば摩擦溶接、抵抗溶接、撹拌溶接、接着、機械的噛み合せなどを含めて、任意の適切な手段で接合することができる。
【0012】
下側クラウン部26は、この例においては、下側内側リブ28から中心往復軸14に向かって径方向に内方に延在する環状フランジ34によって与えられる内側ギャラリー床32を有する。下側クラウン部26は、下側内側リブ28と下側外側リブ30との間に横方向に延在する外側ギャラリー床48を有する。少なくとも1つの、しかし通常は1対のピンボス36、38は、概ね外側および中心ギャラリー31、33から垂下して、ピン軸44に沿って位置合せされリストピンまたはガジオンピン(図示せず)を枢動可能に接続するためのリストピン穴40、42を与える。ピンボス38、40間に設けられた空間46は、連接棒の小端部(図示せず)を通常のように収容する。
【0013】
図2に示すように、外側ギャラリー床48は、オイル入口50を与えてオイルが従来の方法のうちいずれかの方法で外側ギャラリー31の中に入ることを可能にする貫通開口部を有する。別の貫通開口部は、オイル出口52を与えて、オイルが外側ギャラリー31から出て行くことを可能にする。以後、オイルジェット54と称されるオイルジェットは、オイル出口52からアンダークラウン60に向かって径方向に内方に、かつこの実施例においては中心オイルギャラリー33の中へも延在する。オイルジェット54は、外に向かって流れるオイルを外側オイルギャラリー31からアンダークラウン60に受動的に流す。より具体的には、ピストン10の上向きの運動中、慣性力が外側ギャラリー31内に閉じ込められたオイルに作用し、これは、オイルを床48に向けて、かつオイル出口52を通して外へ押す影響を及ぼす。必然的に、オイルは、出口52を通ってオイルジェット54の中へ自由に移動する。往復ピストンの力は、オイルがオイルジェット54を通って比較的高速で押されるのに十分に大きく、アンダークラウン面60へのオイルの力強い噴射をもたらす。オイルジェット54は、好ましくは管状の形状であるが、任意の適切な装置または方法で形作られてもよい。したがって、燃焼ボウル20の下でオイル流が改善されて、オイルを過熱させることなく、冷却の向上がアンダークラウン領域60にもたらされる。
【0014】
上側クラウン部16は、この例においては、内側および外側リブ自由端部から上側リングベルト領域58の中へ上向きに延在する環状の外側オイルギャラリーポケット56を有するものとして表わされている。しかしながら、これらの特定の設計細部は、特定の用途または他のパラメータに応じて修正の対象となる。
【0015】
下側クラウン部26は、鋳造または鍛造プロセスにおいて鋼鉄または他の金属から形成されてもよく、内側および外側リブ自由端部から下側リングベルト領域64の中へ下向きに延在する環状の外側オイルギャラリーポケット62を有する。上側クラウン部16を下側クラウン部26に取付けると、ここでは実質的に閉鎖された外側オイルギャラリー31として表わされている環状外側オイルギャラリーと、開放内側または中心冷却ギャラリー33とが形成される。外側オイルギャラリー31は、外側リブ24、30および内側リブ22、28と境を接しており、中心オイルギャラリー33は、その外周で内側リブ22、28と、かつその上側面でドーム18と境を接している。
【0016】
適当な状況において、1つ以上の補助オイル流通路を下側リブ32、34におよび/または環状内側リブ22、28を通して設けることが望ましいことがある。たとえば、図1および図2に示されるように、補助オイル通路66を下側内側リブ28を通して、好ましくは、外側オイルギャラリー31の最も低い部分からフランジ34によって形成される中心オイルギャラリーポケット33の床まで上りになっている関係で形成してもよい。ピストンが往復直線運動するにつれて、(1つまたは複数の)上りになっている通路66により、付加的な冷却オイルが揺り動かされて外側ギャラリー31から中心ギャラリー領域33の中へ通ることが可能になる。スロッシング効果により、中心ギャラリー領域33内のオイルは、アンダークラウン60に跳ね当った後、フランジ34の内側の中央開口部を通って落下し、最終的にはエンジン内の潤滑オイルの全体の蓄えと再び一緒になる。
【0017】
ピストン10の冷却を促進するために、入口オイル流開口部50および出口オイル流開口部52は、それぞれ、互いに対して任意の適切な配置で向けられていてもよい。図2には、これらの特徴が外側オイルギャラリー31の床48を互いに直径方向に対向する関係で貫通し、かつリストピン軸44から概ね45度ずれて形成されていることが示されている。しかしながら、これは1つの例であり、他の幾何学的関係が容認できる性能をもたらしてもよいことが企図される。いずれにしても、エンジンクランクケースからのオイルは、外側オイルギャラリー31の中へ入口開口部50を通って上向きに流れ、その際、このオイルは、外側オイルギャラリー31を回って循環され、外側オイルギャラリー31から外へ下向きに出口開口部52およびオイルジェット54を通って流され、このオイルジェットでこのオイルは、アンダークラウン60に対して力強く噴射される。ピストン10が任意選択的なオイル流通路66または他の補助的な出口特徴を備えている場合は、オイルジェット54を通って流されない外側ギャラリー31内のオイルは、オイル通路66を通って出て行く。
【0018】
好ましくは、オイルジェット54は、一方の端部68が外側ギャラリー床48に連結部69で取付けられている。連結部69は、出口開口部52と流体連通している。オイルジェット54の対向する端部70は、片持ち梁式に、中心オイルギャラリー33に向かっておよび/または中心オイルギャラリー33の中まで延在している。オイルジェット54の連結部69は、任意の適切な手法を用いて取付けることができ、ほんの数例を挙げれば、スナップ嵌め、圧力嵌め、噛み合わせ、ねじ付け、接着、または溶接である。オイルジェット54のその長さに沿った下側クラウン部26への補助的な取付けは、所望される場合ブラケット(bracket)またはクリップ(図示せず)などによってなされてもよい。オイルジェット54の設置は、下側クラウン部26を上側クラウン部16に接合する前または接合後に行なうことができる。オイルジェット54は、任意の適切な種類の金属からまたは高温定格の高分子プラスチック材料から構築することができる。動作中に慣性がオイルジェット54、連結部69および任意の取付金具類(bracketry)に及ぼす影響を低減するためには、軽量材料が好ましいであろう。
【0019】
オイルジェット54を、特定の設備または用途に適するために所望されるだけ多く構成することができる。オイルジェット54は、図1および図2においては概ねU字型に曲げられ、内径が概ね均一であるものとして示されている。当然ながら、オイルジェット54の長さおよび通路構成を、オイルを外側ギャラリー31から上向きにアンダークラウン領域60により効果的に噴霧するために必要に応じて再構成してもよい。したがって、外側ギャラリー31から流れるオイルは、再循環されて、オイルを過熱することなくアンダークラウン領域60の温度を管理するのに役立つ。
【0020】
図3は、代替的な単一ギャラリーピストン実施例10′のピンボア軸44′に概ね直交してとった断面図である。便宜のために、この代替的な実施例において、類似または対応する参照番号は再使用されるが、図3と図4との両方を通じて′を付して表示される。読者は、前出の文章を図3および図4に参照される構成部品の完全な説明について参照されたい。
【0021】
この代替的な実施例において、ピストン10′は、中心オイルギャラリーを有さない。したがって、この用途においては、オイルジェット54′は、他のやり方では可能ではないであろう、オイルのアンダークラウン領域60′への意図的で有意義かつ信頼性のある塗布を可能にする。前出の例におけるように、オイルジェット54′は、一方の端部68′で外側オイルギャラリー31′の床48′に連結部69′を介して取付けられている。オイルジェット54′の対向する端部70′は、アンダークラウン領域60′に向かって内方へかつ上向きに配されている。図4には、最初に説明された実施例と同様に、オイルジェット54′の場所をピンボスとの干渉を回避するように選択する仕方が説明されている。好ましくは、オイルジェット54′の端部70′からの吐出は、中心往復軸14′と交差するベクトルに沿ったものである。
【0022】
最初に説明された例と同様に、オイルジェット54′は、受動的システムとして働き、ピストン10′の往復直線運動に直接応答してオイルを自動的に流す。これは、慣性力の結果もたらされる。この慣性力は、往復ピストン10′によって生成され、外側ギャラリー31′内のオイルに作用し、エンジンRPMの変化によって生じる慣性変動を伴う。ピストン10′が速く往復直線運動するほど(すなわち、RPMが高いほど)、循環されるオイルが多くなり、より大きな熱伝達が可能となる。
【0023】
明らかに、この発明の多くの改変例および変更例が上記の教示に鑑みて可能である。たとえば、ピストン10、10′を二部構成の(すなわち、関節で繋がっている)部材として、または単一の鋼鉄鋳造プロセスにおいて形成されるなどによって一体となった材料片として構築し得ることが企図される。加えて、複数のオイルジェット54、54′を所望の如く組込み得ることが企図される。他の構成も同様に可能である。したがって、添付の特許請求の範囲の範囲内で、この発明は、具体的に説明されたのとは違うやり方で実施されてもよいことが理解されるべきである。
【0024】
前述の発明は、関連する法規に従って説明されたものであり、よってこの説明は、本質的に、限定的ではなく例示的である。開示された実施例の変更例および改変例は、当業者には明らかとなり、この発明の範囲内であってもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のためのピストン(10,10′)であって、
燃焼力が作用する上側燃焼壁(18,18′)と、前記上側燃焼壁(18,18′)の下面に形成されたアンダークラウン面(60,60′)とを含む上側クラウン部(16,16′)と、
連接棒端部に連結するための少なくとも1つのピンボス(36,38)を含む下側クラウン部(26,26′)と、
前記上側クラウン部(16,16′)と前記下側クラウン部(26,26′)との間に形成された外側冷却ギャラリー(31,31′)と、
前記下側冷却ギャラリー(31,31′)と直接連通し、オイルを前記外側冷却ギャラリー(31,31′)の中に導くためのオイル入口(50,50′)と、
前記入口(50,50′)から間隔をおいて配置され、前記外側冷却ギャラリー(31,31′)と直接連通し、オイルを前記外側冷却ギャラリー(31,31′)から外へ導くためのオイル出口(52,52′)と、
前記出口(52,52′)と直接連通し、前記外側冷却ギャラリー(31,31′)から出て行くオイルのうち少なくとも一部分を前記出口(52,52′)を通して前記アンダークラウン(60,60′)に向かって導くためのオイルジェット(54,54′)とを備える、ピストン。
【請求項2】
前記オイルジェット(54,54′)は、概ね管状の部材を含む、請求項1に記載のピストン。
【請求項3】
前記外側冷却ギャラリー(31,31′)は、床(48,48′)を有し、前記オイル出口(52,52′)は、前記床(48,48′)に配置されており、
前記オイルジェット(54,54′)は、前記オイル出口(52,52′)と隣接する一方の端部(68,68′)と、前記アンダークラウン(60,60′)に向かって吐出するように向けられた対向する端部(70,70′)との間に延在する、請求項1に記載のピストン。
【請求項4】
前記上側クラウン部(16,16′)と、前記下側クラウン部(26,26′)とは、共通中心往復軸(14,14′)に沿って延在する単体のピストン本体(12,12′)として接合され、
概ね管状の前記オイルジェット(54,54′)の前記対向する端部(70,70′)は、概ね前記中心往復軸(14,14′)に向けて方向付けられている、請求項3に記載のピストン。
【請求項5】
前記オイルジェット(54,54′)の前記一方の端部(68,68′)と前記外側冷却ギャラリー(31,31′)の前記床(48,48′)との間に連結相互接続部(69,69′)をさらに含む、請求項3に記載のピストン。
【請求項6】
前記アンダークラウン面(60,60′)の少なくとも一部分の直下に中心冷却ギャラリー(33)をさらに含む、請求項1に記載のピストン。
【請求項7】
前記中心冷却ギャラリー(33)は、中心開口部の開いている内側ギャラリー床(32)を含み、
前記オイルジェット(54,54′)は、前記中心開口部を通って前記中心冷却ギャラリー(33)の中へ延在する、請求項6に記載のピストン。
【請求項8】
前記中心冷却ギャラリー(33)は、前記内側ギャラリー床(32)と前記中心開口部とを分離する環状フランジ(34)を含む、請求項7に記載のピストン。
【請求項9】
前記外側冷却ギャラリー(31,31′)は、床(48,48′)と、内側環状壁(22,22′,28,28′)と、外側環状壁(24,24′,30,30′)と、前記上側燃焼壁(18,18′)の一部分によって規定される天井とを有し、
前記アンダークラウン面(60,60′)は、前記外側冷却ギャラリー(31,31′)に対して概ね同心状に配置されており、
中心開口部は、前記内側環状壁(22,22′,28,28′)内に概ね同心状に配置されており、
前記オイルジェット(54,54′)は、前記中心開口部を通って延在する、請求項1に記載のピストン。
【請求項10】
前記下側クラウン部(26,26′)は、1対の間隔をおいて離れて配置されたピンボス(36,38)を含み、前記ピンボス(36,38)は、ピン穴軸(44,44′)に沿って互いに位置合せされたピン穴(40,42)を有する、請求項1に記載のピストン。
【請求項11】
前記上側クラウン部(16,16′)と前記下側クラウン部(26,26′)とは、別個のばらの部材として各々予め形成され、その後共通中心往復軸(14,14′)に沿って延在する単体のピストン本体(12,12′)として接合される、請求項1に記載のピストン。
【請求項12】
前記アンダークラウン面(60,60′)の直下にかつ前記外側冷却ギャラリー(31,31′)に対して概ね同心状に配置された中心冷却ギャラリー(33)と、
前記中心冷却ギャラリー(33)と前記外側冷却ギャラリー(31,31′)とを分離する内側環状壁(22,22′,28,28′)と、
内側環状壁(22,22′,28,28′)を通って前記外側冷却ギャラリー(31,31′)と前記中心冷却ギャラリー(33)との間に延在する補助オイル通路(66)とをさらに含む、請求項1に記載のピストン。
【請求項13】
前記外側オイルギャラリー(31,31′)は、前記上側クラウン部(16,16′)と前記下側クラウン部(26,26′)との間に包含されるものとして形成される、請求項1に記載のピストン。
【請求項14】
前記上側燃焼壁(18,18′)は、概ね環状の凹んだ燃焼ボウル(20,20′)を含む、請求項1に記載のピストン。
【請求項15】
圧縮点火内燃機関のためのピストン(10,10′)であって、
燃焼力が作用する上側燃焼壁(18,18′)と、前記上側燃焼壁(18,18′)の下面に形成されたアンダークラウン面(60,60′)とを含む上側クラウン部(16,16′)を備え、前記上側燃焼壁(18,18′)は、概ね環状の凹んだ燃焼ボウル(20,20′)を含み、
連接棒端部に連結するための1対の間隔をおいて離れて配置されたピンボス(36,38)を含む下側クラウン部(26,26′)をさらに備え、前記ピンボス(36,38)は、ピン穴軸(44,44′)に沿って互いに位置合せされたそれぞれのピン穴(40,42)を有し、
前記上側クラウン部(16,16′)と前記下側クラウン部(26,26′)とは、別個のばらの部材として各々予め形成され、その後共通中心往復軸(14,14′)に沿って延在する単体のピストン本体(12,12′)として接合され、
前記上側クラウン部(16,16′)と前記下側クラウン部(26,26′)との間に包含されるものとして形成された外側オイルギャラリー(31,31′)をさらに備え、前記外側オイルギャラリー(31,31′)は、床(48,48′)と、内側環状壁(22,22′,28,28′)と、外側環状壁(24,24′,30,30′)と、前記上側燃焼壁(18,18′)の一部分によって規定される天井とを有し、
前記外側オイルギャラリー(31,31′)と直接連通し、オイルを前記外側オイルギャラリー(31,31′)の中に導くためのオイル入口(50,50′)と、
前記入口(50,50′)から間隔をおいて配置され、前記外側オイルギャラリー(31,31′)と直接連通し、オイルを前記外側オイルギャラリー(31,31′)から外へ導くためのオイル出口(52,52′)と、
前記オイル出口(52,52′)と直接連通し、オイルを前記外側オイルギャラリー(31,31′)から受け、前記オイルを前記ピストン(10,10′)の往復直線運動に直接応答して前記アンダークラウン(60,60′)に向かって導くための一方の端部(68)を有する概ね管状の受動オイルジェット(54,54′)とをさらに備え、前記オイルジェット(54,54′)は、その端部(68)を前記外側冷却ギャラリー(31,31′)の前記床(48,48′)に相互接続する連結部(69,69′)を含む、ピストン。
【請求項16】
内燃機関において往復ピストンをオイルで冷却する方法であって、
燃焼力が作用する上側燃焼壁(18,18′)と、内部の外側オイルギャラリー(31,31′)と、前記上側燃焼壁(18,18′)の直下かつ前記外側冷却ギャラリー(31,31′)に対して概ね同心状に配置されたアンダークラウン(60,60′)とを有するピストン(10,10′)を設けるステップと、
前記ピストン(10,10′)を内燃機関において中心往復軸(14,14′)に概ね沿って往復直線運動させるステップと、
前記往復直線運動させるステップと同時にオイル流を前記外側オイルギャラリー(31,31′)の中に導くステップと、
前記オイルを前記外側オイルギャラリー(31,31′)から出口(52,52′)を通して排出させるステップと、
前記外側オイルギャラリー(31,31′)から排出された前記オイルを直接前記アンダークラウン(60,60′)にオイルジェット(54,54′)を通して流すステップとを備える、方法。
【請求項17】
前記排出させるステップおよび流すステップは、前記往復直線運動させるステップに直接応答していることによって、前記ピストン(10,10′)の前記中心往復軸(14,14′)に沿った往復直線運動により、前記オイルが前記オイルジェット(54,54′)を通して移動する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記流すステップは、冷却する前記オイルを前記オイルジェット(54,54′)の対向する端部(70,70′)から、前記中心往復軸(14,14′)と交差するように概ね方向付けられたベクトルに沿って吐出するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ピストン(10,10′)を設けるステップは、上側クラウン部(16,16′)と下側クラウン部(26,26′)とを別個のばらの部材として予め形成するステップと、その後前記上側クラウン部(16,16′)と前記クラウン部(26,26′)とを単体ピストン本体(12,12′)として接合するステップとを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記その後上側クラウン部(16,16′)と下側クラウン部(26,26′)とを接合するステップは、溶接するステップを含む、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−523524(P2012−523524A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−504859(P2012−504859)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/030378
【国際公開番号】WO2010/118223
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(599058372)フェデラル−モーグル コーポレイション (234)
【Fターム(参考)】