説明

クラゲ由来のコラーゲン及びその分解物

【課題】 本発明は、安全性の面で問題がなく、安価かつ安定した供給が可能な原料から
コラーゲンおよびコラーゲン分解物を提供することを目的とする。
【解決手段】
[1]クラゲを60〜150℃の温水により抽出して得られるクラゲ由来のコラーゲン。
[2]酸、アルカリ及びプロテアーゼ活性を有する複数の酵素からなる群より選ばれるい
ずれか1つによりクラゲを処理して得られる、クラゲ由来のコラーゲン分解物。
[3]上記[1]に記載のクラゲ由来のコラーゲンを処理して得られる、上記[2]に記
載のクラゲ由来のコラーゲン分解物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラゲ由来のコラーゲン及びその分解物に関し、特に、吸湿性の高いクラゲ
由来のコラーゲン及びその分解物に関する。
【背景技術】
【0002】
コラーゲンは、高等動物中の全タンパクの1/3を占めるタンパクであり、動物の結合
組織を構成する主要タンパクである。動物の骨、皮膚、靭帯又は腱を酸又はアルカリで処
理することにより、粗コラーゲンが得られ、こうして得られた粗コラーゲンを加熱抽出し
て得られたコラーゲン抽出物、コラーゲン分解物等の変性コラーゲンは、医薬品や化粧品
に広く使用されてきた。すなわち、カプセルの材料、可塑性ゼラチンの基礎剤等として医
薬の分野において、また、ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸等のムコ多糖との相溶性、
及びエタノールとの相溶性に優れるため、化粧品の分野においても種々の化粧品に配合さ
れてきた。
【0003】
従来、こうした変性コラーゲンの原料としては、食肉加工する際の副産物として安価に
入手できるため、牛や豚等の大動物の骨や皮膚が用いられてきた(以下、従来例1という
、非特許文献1参照)。
【0004】
しかし、近年、牛においては狂牛病が、また、豚においては豚コレラやニパウイルスに
よる感染症の発生等が確認されており、コラーゲンの原料として用いる牛や豚がウイルス
に感染していないことが確認されない限り、安全性が保障されないというリスクがある。
そして、こうしたリスクは、こうした動物由来の変性コラーゲンにマイナスのイメージを
与えるものともなっている。
【0005】
このため、最近では、コラーゲン及び変性コラーゲンの原料として牛や豚の骨や皮膚を
使用せず、鮭等の魚類の皮や鱗を原料として使用する技術が開発されている(以下、従来
例2という、特許文献1参照)。
【非特許文献1】新田ゼラチン株式会社ホームページ“3.ゼラチンの原料(コラーゲン)”、インターネット<http://www.nitta-gelatin.co.jp/gelatin_labo/3.html>
【特許文献1】特開2001−200000号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、牛や豚における感染症等の発生に起因して、コラーゲンの原料として
牛や豚の骨や皮膚等を使用した場合には、従来例1に示されるような方法を採用する限り
、製品の安全性をどのように保障していくかという問題がある。
【0007】
また、鮭等の魚類の皮や鱗を使用するという従来例2は、こうした感染症の危険性を排
除するという観点からは優れた方法である。しかし、コラーゲンの原料の安定した確保と
いう面からは問題が残る。
【0008】
したがって、安全性の面で問題がなく、安価かつ安定した供給が可能な原料からコラー
ゲンを調製することについての要望が大きくなってきている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発明者らは、上記のような事情の下で鋭意研究を重ねた結果、クラゲ由来のコ
ラーゲンが本発明の目的に適うことを見出した。
さらに検討を続けた結果、クラゲ由来のコラーゲンに対して特定の処理を行うことによ
り、優れた物性を有するコラーゲン分解物が得られることを見出し、本発明を完成するに
至った。
【0010】
すなわち本発明は、
[1]クラゲを60〜150℃の温水により抽出して得られるクラゲ由来のコラーゲンを
提供するものであり、
[2]酸、アルカリ及びプロテアーゼ活性を有する複数の酵素からなる群より選ばれるい
ずれか1つによりクラゲを処理して得られる、クラゲ由来のコラーゲン分解物を提供する
ものであり、
[3]上記[1]に記載のクラゲ由来のコラーゲンを処理して得られる、上記[2]に記
載のクラゲ由来のコラーゲン分解物を提供するものであり、
[4]前記クラゲは、鉢虫綱根口クラゲ目に属するクラゲ又は鉢虫綱旗口クラゲ目に属す
るクラゲであることを特徴とする、上記[2]または[3]のいずれかに記載のクラゲ由
来のコラーゲン分解物を提供するものであり、
[5]前記クラゲは、エチゼンクラゲ、ミズクラゲ、ホワイトタイプクラゲ、チャイナタ
イプクラゲ、セミチャイナタイプクラゲ、キャノンボールタイプクラゲ及びボールタイプ
クラゲからなる群から選ばれるクラゲであることを特徴とする、上記[1]に記載のクラ
ゲ由来のコラーゲンを提供するものであり、
[6]前記クラゲは、エチゼンクラゲ、ミズクラゲ、ホワイトタイプクラゲ、チャイナタ
イプクラゲ、セミチャイナタイプクラゲ、キャノンボールタイプクラゲ及びボールタイプ
クラゲからなる群から選ばれるクラゲであることを特徴とする、上記[2]〜[4]のい
ずれかに記載のクラゲ由来のコラーゲン分解物を提供するものであり、
[7]前記複数の酵素は、少なくとも、エンドプロテアーゼ活性を有する酵素であって、
至適pH6〜8.5、至適温度45〜70℃であることを特徴とする、上記[2],[3
],[4]または[6]のいずれかに記載のクラゲ由来のコラーゲン分解物を提供するも
のであり、
[8]前記複数の酵素は、少なくとも、ロープ菌由来のエンドプロテアーゼと、種麹由来
のエンドプロテアーゼとを含むことを特徴とする、上記[2],[3],[4],[6]
または[7]のいずれかに記載のクラゲ由来のコラーゲン分解物を提供するものであり、
[9]前記複数の酵素による処理は、40〜60℃にて12〜24時間攪拌するものであ
ることを特徴とする、上記[2],[3],[4],[6],[7]または[8]のいず
れかに記載のクラゲ由来のコラーゲン分解物を提供するものであり、
[10]分子量が、7,000〜9,000であることを特徴とする、上記[2],[3
],[4],[6],[7],[8]または[9]のいずれかに記載のクラゲ由来のコラ
ーゲン分解物を提供するものであり、
[11]クラゲに当該クラゲの重量の40〜60重量%の水と、
所定量の酸、アルカリ及びエンドプロテアーゼ活性を有する複数の酵素からなる群から
選ばれるいずれか1つと、
を添加する分解物添加工程と、
40〜70℃で12〜24時間攪拌して抽出液を得る攪拌抽出工程と、
得られた抽出液を乾燥する乾燥工程と、
を備える、クラゲ由来のコラーゲン分解物の製造方法を提供するものであり、
[12]前記所定量の複数の酵素は、当該クラゲの重量の0.5〜2重量%のエンドプロ
テアーゼ活性を有する酵素と、1.5〜3.5重量%の少なくともエンドプロテアーゼ活
性を有する他の酵素とであることを特徴とする、上記[11]に記載のクラゲ由来のコラ
ーゲン分解物の製造方法を提供するものであり、
[13]前記複数の酵素の一方は、ロープ菌由来のエンドプロテアーゼ活性を有する酵素
であり、前記他の酵素は、種麹由来の少なくともエンドプロテアーゼ活性を有する酵素で
あって、いずれのエンドプロテアーゼも至適pH6〜8.5、至適温度45〜70℃であ
ることを特徴とする、[11]に記載のクラゲ由来のコラーゲン分解物の製造方法を提供
するものであり、
[14]前記乾燥工程は、スプレードライ法又は凍結乾燥法によって行われることを特徴
とする、[11]〜[13]のいずれかに記載のクラゲ由来のコラーゲン分解物の製造方
法を提供するものであり、
[15]クラゲに、当該クラゲの重量の50重量%の水と、
当該クラゲの重量の1重量%のロープ菌由来のエンドプロテアーゼ活性を有する酵素と

当該クラゲの重量の2.5重量%の種麹由来の少なくともエンドプロテアーゼ活性を有
する他の酵素と、
を添加する酵素添加工程と、
50℃で17時間攪拌して抽出液を得る攪拌抽出工程と、
得られた抽出液を乾燥する乾燥工程と、
を備える、クラゲ由来のコラーゲン分解物の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、安全性の面で問題がなく、安価かつ安定した供給が可能なコラーゲン
を提供することができる。さらには吸湿性および保湿性の高いクラゲ由来のコラーゲン分
解物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
まず本発明に使用するクラゲについて説明する。
本発明に使用するクラゲとしては、例えば、刺胞動物鉢虫綱(Scyphomedusae)根
口クラゲ目(Rhizostomeae)に属する食用のクラゲ、胞動物鉢虫綱(Scyphomedusae)旗
口クラゲ目(Semaeostomeae)に属する食用のクラゲ等を挙げることができる。
【0013】
前記刺胞動物鉢虫綱根口クラゲ目に属する食用のクラゲは、口が口腕上にあり、傘縁に
触手がないことが特徴的である。
【0014】
この目に属するクラゲのうち、通称、「ホワイトタイプ」、「チャイナタイプ」、「セ
ミチャイナタイプ」、「キャノンボールタイプ」及び「ボールタイプ」と総称されている
5種類を、原料入手の容易性から好適に使用することができる。
【0015】
ここで、「ホワイトタイプ」と総称されるクラゲは、インドネシア、マレーシア、タイ
、ミャンマー、フィリピン、ベトナムの近海で水揚げされるものであり、東南アジアで水
揚げされるクラゲの大部分を占める。傘の形状が半球形で、透明に近い乳白色であること
から、このように総称される。このタイプのクラゲは、中国で水揚げされる葉腕海▲テツ
▼(Lobonema smithi)、擬葉腕海▲テツ▼(Lobonemoides gracilis)等と同種である。
【0016】
「チャイナタイプ」と総称されるクラゲは、マレーシア、インドネシア等の近海で水揚
げされるものであり、形状、特徴及び品質が中国産クラゲに似ていることからこのように
呼ばれている。我国の備前クラゲ(Rhopilema esculetum)に類似している。
【0017】
「セミチャイナタイプ」と総称されるクラゲは、マレーシア、インドネシア、ベトナム
等の近海で水揚げされるものであり、外観と形状とが上記のチャイナタイプに似ているこ
とからこのように呼ばれている。備前クラゲの一種である。
【0018】
「キャノンボールタイプ」と総称されるクラゲは、メキシコの近海で水揚げされるもの
であり、傘の形はベレー帽であることからこのように呼ばれている。越前クラゲ(Stomol
ophus)の一種である。
【0019】
「ボールタイプ」と総称されるクラゲは、インド、ミャンマー等の近海で水揚げされる
ものであり、深い半球状の形状を有することからこのように呼ばれている。
【0020】
前記根口クラゲ目や前記旗口クラゲ目に属する食用のクラゲとしては、具体的には、タ
コクラゲ、エビクラゲ、ビゼンクラゲ、エチゼンクラゲ、サカサクラゲ、ミズクラゲ、ユ
ウレイクラゲ、アカクラゲ等を挙げることができる。
【0021】
本発明に使用する前記クラゲは、エチゼンクラゲ、ミズクラゲ、ホワイトタイプクラゲ
、チャイナタイプクラゲ、セミチャイナタイプクラゲ、キャノンボールタイプクラゲ、ボ
ールタイプクラゲ等が好ましい。
前記クラゲは一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0022】
上述したクラゲは、海中から水揚げしたものをそのまま本発明の原料として使用するこ
ともできるし、水揚げ後、前記クラゲを食塩、ミョウバン、重炭酸ナトリウムを用いて処
理し、最終的に塩分濃度16〜17%の塩蔵品としたクラゲ等を本発明の原料として使用
するこもできる。
塩蔵品を使用する場合には、前記塩蔵品を水に漬けて塩抜きし、水切りを行い、この水
切り後のクラゲを使用することが好ましい。
【0023】
まず前記クラゲから温水によりコラーゲンを抽出する方法について説明する。
前記温水によりコラーゲンを抽出する操作の前に、前記クラゲは細かく刻んでおくこと
が好ましい。
前記クラゲを細かく刻む方法としては、例えば、前記クラゲを裁断機、ミンチ機、サイ
レン、カッター等の一種もしくは二種以上の装置を用いて行う方法を挙げることができる

次に前記クラゲに対し、水切りした後の前記クラゲの重量を基準として、1/10〜3
0倍、好ましくは1/3〜1倍の範囲の重量の温水により抽出する。
前記温水の温度範囲は、60〜150℃が好ましく、70〜130℃の範囲がより好ま
しく、90〜110℃の範囲であればさらに好ましい。
100℃以上の温水は、加圧釜等を用いて容器内部の圧力を1気圧以上に設定する等の
方法により得ることができる。
前記クラゲから温水によりコラーゲンを抽出する時間は、5分〜6時間の範囲であるこ
とが好ましく、30分〜2時間の範囲であればさらに好ましい。
【0024】
上記温水による抽出操作の後、不溶分を濾過により除いてから、得られた抽出液からス
プレードライによる方法、凍結乾燥による方法等により水分を除去することにより、本発
明のクラゲ由来のコラーゲンを得ることができる。
前記抽出液から水分を除去する際には、予め浸透膜等を利用した逆浸透操作、蒸留操作
等の方法により前記抽出液を濃縮する操作を実施することができる。
【0025】
次に本発明のクラゲ由来のコラーゲン分解物について説明する。
本発明の「クラゲ由来のコラーゲン分解物」は、コラーゲンの立体構造である三重らせ
んが壊れた、いわゆるゼラチンのほか、グルタミンやアスパラギンのアミド基の−NH2
が失われているものや共有結合が切断されたもの、及び色素等をも含む変性コラーゲンを
意味する。本明細書中においては、「クラゲ由来のコラーゲン分解物」は、上記の意味で
使用するものとする。
【0026】
クラゲ由来のコラーゲン分解物は、先に説明した温水により抽出して得られるクラゲ由
来のコラーゲンを使用して得ることもできるし、前記クラゲから得ることもできる。
前記温水により抽出して得られるクラゲ由来のコラーゲンを使用してコラーゲン分解物
を得る場合には、上述したクラゲ由来のコラーゲンに所定量の水と複数のプロテアーゼと
を加えて、所定の温度で所定の時間攪拌し、ここで得られた抽出物を乾燥することによっ
て得ることができる。
同様に前記クラゲからコラーゲン分解物を得る場合には、上述したクラゲを細かく刻み
、ここに所定量の水と複数のプロテアーゼとを加えて、所定の温度で所定の時間攪拌し、
ここで得られた抽出物を乾燥することによって得ることができる。
【0027】
前記クラゲに対し添加する水の量は、細かく刻んだクラゲの重量の約40〜60重量%
であることが、抽出効率及び作業性の面から好ましい。水の量が約40重量%未満では、
固形物の濃度が高くなりすぎて攪拌が困難となり、逆に60重量%以上となると、固形物
の濃度が低くなりすぎて抽出効率が低下することによる。細切りしたクラゲの重量の約4
5〜55重量%の水を添加することがさらに好ましく、約50重量%の水を添加すること
が最も好ましい。
なお、前記温水により抽出して得られるクラゲ由来のコラーゲンを使用する場合には、
前記温水抽出前のクラゲの重量と得られたコラーゲンの重量との割合から算出された前記
温水抽出前のクラゲの重量の約40〜60重量%の水を使用すればよい。
【0028】
また、添加するエンドプロテアーゼは、少なくとも基質特異性の異なる2種類とするこ
とが、分解効率、得られた分解物の保湿性、味及び製造コストの面から好ましい。
【0029】
ここで、少なくとも2種類の酵素を使用する場合には、例えば、ロープ菌由来のエンド
プロテアーゼと、種麹由来のエンドプロテアーゼであって、至適pHが6〜8.5、至適
温度が約45〜約70℃のものを組み合わせると、高い分解効率の下で保湿性に優れる分
解物を得られること、得られた分解物の味がよいことから応用範囲が広がること、及びコ
ストパフォーマンスがよいという利点がある。
【0030】
上記のようなロープ菌由来のエンドプロテアーゼと、種麹由来のエンドプロテアーゼと
では、基質特異性が異なるために、これらを組み合わせることにより、クラゲから抽出さ
れた粗コラーゲンを効率よく分解して、コラーゲン分解物を得ることができるという利点
がある。
【0031】
ロープ菌としては、Bacillus licheniformis等を挙げることができる。種麹としては、
Aspergillus oryzae、Aspergillus niger等を挙げることができる。
【0032】
こうした菌をいずれもサブマージ醗酵によりそれぞれ増殖させ、その中から上記のよう
な特性を有する株を選択し、使用することができる。
【0033】
上記のような2種類のエンドプロテアーゼに、さらに、種麹由来のエキソペプチドチダ
ーゼ活性を有する酵素であって、上記と同様の至適温度及び至適pHを有数するものを組
み合わせることにより、所望の分子量のコラーゲン分解物を、容易に得ることが可能とな
る。
【0034】
こうしたプロテアーゼとしては、具体的には、アルカリプロテアーゼであるAlcalase(
登録商標、Nobozymes社製)、呈味性を向上させるFlavourzyme(登録商標、Nobozymes社
製)等の市販品を使用してもよい。
【0035】
例えば、上記のAlcalaseとFlavourzymeとを組み合わせて使用する場合には、上述した
クラゲの重量の約0.5〜約2重量%のAlcalaseと、約1.5〜約3.5重量%のFlavo
urzymeとを組み合わせて、所定の処理条件の下で処理することにより、所望の分子量のク
ラゲ由来のコラーゲン分解物を得ることができる。
【0036】
ここで、Alcalaseの添加量を上述したクラゲの重量の約0.5〜約2重量%としたのは
、0.5重量%未満では苦味が出るため味覚の面から好ましくない。一方、2重量%を超
えても効果は2重量%以下の場合と相違がなく、コストのみが上昇するからである。Alca
laseの添加量は、分解効率と好ましい味の分解物を得られるかどうかとの関係から、約0
.75〜1.5重量%とすることが好ましく、上述したクラゲ重量の約1重量%とするこ
とが最も好ましい。
【0037】
また、Flavourzymeの添加量を上述したクラゲの重量の約1.5〜約3.5重量%とし
たのは、1.5重量%未満では所望の分解物が得られず、3.5重量%を超えても効果は
3.5重量%以下の場合と相違がなく、コストのみが上昇するだけだからである。Flavou
rzymeの添加量は、約2〜3重量%とすることが得られる分解物の量と保湿性とのバラン
スの関係からより好ましく、上述したクラゲ重量の約2.5重量%とすることが最も好ま
しい。
【0038】
ここで例示したAlcalaseはエンドプロテアーゼであるが、Flavourzymeは、エンドプロ
テアーゼ活性とエキソペプチドチダーゼ活性という2つの酵素活性を有しており、酵素の
複合製剤である。このため、基質特異性が異なり、Alcakaseではプロリンやグルタミン酸
、Flavourzymeではアルギニンやスレオニンとなっている。このため、これらを併用する
と、後述するような分子量のコラーゲン分解物を得ることが可能となる。
【0039】
Alcalase及びFlavourzymeは、至適温度が約45℃〜約60℃の範囲にあるが、酵素の
失活を防ぎつつ、効率良くクラゲ由来のコラーゲン分解物を得るために、約47〜約55
℃で処理を行うことが好ましく、約50℃で処理を行うことが最も好ましい。
【0040】
また、この処理は、約12〜約24時間、攪拌しながら行うことが好ましい。12時間
未満では十分な量のクラゲ由来のコラーゲン分解物を得ることができず、また、24時間
以上行ってもクラゲ由来のコラーゲン分解物の収量は増加しないことによる。より好まし
くは約14〜約20時間であり、約17時間処理することが最も好ましい。
【0041】
例えば、こうした処理は、HSIANGTAI社製のDC‐4Eに攪拌翼を取り付けて、攪拌速度を
100回転/分として17時間行うこととすると、分解効率の面から好適である。
【0042】
そして、この攪拌によって得られた抽出液を乾燥することによって、本発明のクラゲ由
来のコラーゲン分解物を得ることができる。この乾燥は、例えば、スプレードライ法やフ
リーズドライ法等によって行うことができる。
【0043】
以上のような処理を行うことによって、所望の分子量のクラゲ由来のコラーゲン分解物
を得ることができる。例えば、分子量7,000Da〜9,000Daのコラーゲン分解
物を得ることができる。
【0044】
なお、以上の説明においては、クラゲからコラーゲン分解物を得るに際して、水と酵素
とを使用したが、水に代えて、酸やアルカリを使用して、本発明のコラーゲン分解物を得
ることもできる。
【0045】
こうした酸としては、例えば、4〜50%の濃度の塩酸、硝酸、リン酸等の無機酸、酢
酸や乳酸等の有機酸を使用することができる。また、アルカリとしては、例えば、1〜1
5%濃度の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等を使
用することもできる。
【0046】
また、クラゲからコラーゲン分解物を得るに際して、前記酵素を使用する前に、クラゲ
を60〜150℃の温水で加熱した混合物、または湯切りをした加熱後のクラゲを使用す
ることができる。前記温度は80〜120℃の範囲であることが好ましく、90〜110
℃の範囲であればさらに好ましい。
前記温水によりクラゲを加熱する時間は、5分〜6時間の範囲であることが好ましく、
30分〜2時間の範囲であればさらに好ましい。
なお、加圧容器を使用することにより100℃を超える温水を得ることができる。
前記酵素を使用する際には、前記酵素が失活しない温度まで前記加熱後のクラゲを冷却
してからコラーゲン分解操作を行うことが好ましい。
【0047】
以下に、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例
に何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0048】
クラゲ由来のコラーゲンの製造
(1)原料
原料としては、瀬戸内海から水揚げされたミズクラゲを使用した。コラーゲン抽出に用
いる水は水道水を利用した。
(2)コラーゲンの抽出
上述した800gのミズクラゲを、裁断機、ミンチ機又はサイレンとカッターを用いて
細かく刻み、ここに400gの水を加えて、沸騰状態(約100℃)にて1時間100回
転/分で攪拌し、コラーゲンを含有する抽出液を得た。
【0049】
攪拌は、HSIANGTAI社製のDC-4Eのシャフトに攪拌翼をつけて使用した。加熱には、恒温
槽(ASONE社製、TR-1A)を使用した。
【0050】
ついで不溶物を濾過により除き、得られた濾過液を小型スプレードライ機L−8を用い
て、流量約1kg/時間、熱風入口温度を180℃、出口温度を100℃に設定して、ス
プレードライ法により乾燥し、クラゲ由来のコラーゲンを得た。
得られた抽出液の乾燥には、小型スプレードライ機L−8(大川原化工機株式会社製)
を使用した。
【実施例2】
【0051】
クラゲ由来のコラーゲン分解物の製造
(1)原料及び試薬等
原料としては、漂白加工前のホワイトタイプクラゲ(塩蔵品、マルトモ(株)製)を使
用した。
【0052】
また、酵素とともに用いる水は、水道水を使用した。クラゲコラーゲンの分解に使用す
る酵素としては、Alcalase及びFlavourzyme(いずれもNobozyme社製)を購入し、使用し
た。Alcalase及びFlavourzymeの性質は下記の通りである。
【0053】
Alcalaseは、Bacillus licheniformisから選択された株をサブマージ醗酵して得られた
タンパク質分解酵素である。この酵素は、主要なコンポーネントをズブチリシンA(また
は、Subtilisin Carisberg)とする、分子量27,300のエンドペプチドチダーゼであ
る。
【0054】
至適温度は55℃〜70℃、至適pHは6.5〜8.5であり、基質によって異なる。
触媒部位はセリンであり、インスリン3のβ鎖の酸化の際には、4−5、9−10、11
−12、15−16、及び26−27の結合をアタックする。
【0055】
Flavourzymeは、遺伝子組換のされていない種麹(Aspergillus oryzae)の株をサブマ
ージ醗酵して得られたプロテアーゼとペプチドチダーゼの複合産物であり、エンドプロテ
アーゼ活性とエキソペプチドチダーゼ活性の双方の活性を備えている。
【0056】
Flavourzymeの至適pHは5.0〜7.0であるが、エキソペプチドチダーゼ活性の至
適pH範囲は、ほぼ7.0である。至適温度は、約50℃である。
【0057】
攪拌は、HSIANGTAI社製のDC-4Eのシャフトに攪拌翼をつけて使用した。加熱には、恒温
槽(ASONE社製、TR-1A)を使用した。
【0058】
得られた抽出液の乾燥には、小型スプレードライ機L−8(大川原化工機株式会社製)
を使用した。
【0059】
また、得られたコラーゲン分解物の分子量測定には、ATTO ラピダス・ミニスラブ電気
泳動装置(AE-6350MCP)を使用した。
【0060】
(2)コラーゲン分解物の抽出
上述した漂白加工前のホワイトタイプクラゲ800gを、2,400mlの水に30分
程度浸漬後笊切りし、これを2〜3度繰り返して塩抜きをした。塩抜き後のクラゲの重量
は800gであった。
【0061】
塩抜き後のクラゲを、裁断機、ミンチ機又はサイレンとカッターを用いて細かく刻み、
ここに400gの水と、上記のAlcalase8.0g及びFlavourzyme20gを加えて、50
℃にて17時間、上記の装置を用いて、100回転/分で攪拌し、コラーゲン分解物を含
有する抽出液を得た。
【0062】
ついで、この抽出液の一部を得られたコラーゲン分解物の分子量測定用に取り分け、残
りを、上述した小型スプレードライ機L−8を用いて、流量約1kg/時間、熱風入口温
度を180℃、出口温度を100℃に設定して、スプレードライ法により乾燥し、クラゲ
由来のコラーゲン分解物(サンプル1)を得た。
【実施例3】
【0063】
クラゲ由来のコラーゲン分解物の物性の検討
(1)クラゲ由来のコラーゲン分解物の分子量の測定
分子量の測定は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によって行っ
た。上述したATTO ラピダス・ミニスラブ電気泳動装置を使用し、実施例2で得られ
たクラゲ由来のコラーゲン分解物(サンプル1)について下記の条件で測定を行った。
【0064】
<測定条件>
変性 95℃ 5分間
ゲル濃度 15%
定電圧 300V、40mA
染色 銀染色
マーカーとしては、トリオースリン酸イソメラーゼ(26,625Da)、ミオグロビ
ン(16,950Da)、α−ラクトアルブミン(14,437Da)及びアプロチニン(
6,512Da)を使用した。分子量の測定を行った結果を図1に示す。
【0065】
図1に示すように、7,000〜9,000Da付近にメインバンドが検出され、得ら
れたコラーゲン分解物の分子量は約8,000Daと推定された。
【0066】
なお、コラーゲン分解物のうち、右側のクロマトグラム2は上記のクロマトグラム1に
比較して1/3の量を吸着させた後に測定を実施したものであり、クロマトグラム1およ
び2は最初の吸着量に違いがあるだけで使用した内容は全く同じである。
【0067】
(2)吸湿性および保湿性の比較検討
ついで、実施例2で得られたコラーゲン分解物の吸湿性について試験を行った。下記表
1〜3に記載されたクラゲコラーゲンは、実施例2で得られたクラゲ由来のコラーゲン分
解物を意味する。
各種の動物に由来するコラーゲン分解物の吸湿性と比較するために、分子量の比較的近
い下記の試料1〜5を使用した。また、ヒアルロン酸については、優れた吸湿性を有する
ため、クラゲ由来のコラーゲン分解物の吸湿性の判断指標とするために、対照試料として
使用した(試料番号6)。
【0068】
【表1】

【0069】
各試料1〜5を約1gずつ秤量し(n=4)、直径80mmの耐熱灰化皿上に均一に広
げ、40℃、湿度90%の条件下で24時間放置し、経時的な重量の変化を調べた。
【0070】
重量の測定には、電子天秤(JP-160、Chyo Balance Corporation製)を使用した。測定
結果は、各資料1g当たりの吸湿量(g)に換算し、吸湿量で示した。結果を表2及び図
2に示す。
【0071】
【表2】

【0072】
*:( )内は、試験開始後3時間のヒアルロン酸の吸湿量を1としたときの割合を表す。
【0073】
表2及び図2に示されるように、試験開始後3時間におけるヒアルロン酸の吸湿量を1
とすると、試料No.1(クラゲ由来のコラーゲン分解物)を除いて、0.5〜0.7と
ヒアルロン酸よりも吸湿性が低いことが示された。一方、試料No.1(クラゲ由来のコ
ラーゲン分解物)は、3時間後の吸湿量が約3と高い値を示し、吸湿性の高いことが示さ
れた。
【0074】
また、ヒアルロン酸の吸湿量は、24時間後に1.25まで増加していた。試料No.
1のその後の重量の変化を見ると、24時間後で3.63と吸湿量はさらに増加しており
、試料No.1の吸湿量は、ヒアルロン酸とほぼ同様であることが示された。
【0075】
同様に、各サンプルを40℃90%RHの湿度で吸湿させた後、25℃30RHの湿度
にて24時間静置した後の重量変化を測定した。この重量変化は各サンプルの保湿性に対
応するものである。結果を表3に示す。
【0076】
【表3】

【0077】
以上より、クラゲ由来のコラーゲン分解物は、他の動物由来のコラーゲン分解物に比べ
て非常に高い吸湿性を有するとともに、保湿性にも優れるものであることが示された。
【実施例4】
【0078】
酵素の配合比と分解率、吸湿性及び食味との関係の検討
(1)酵素の配合比と分解率との検討
各酵素の配合量をクラゲの重量に対して、下記表3に示すように変更した他は、実施例
2と同様にしてコラーゲンの分解率を検討した。
【0079】
AlcalaseとFlavourzymeとの比を1.0:2.5としたときの値を100として、各配
合割合における分解率(%)を示した。
【0080】
【表4】

【0081】
表4に示されるように、Alcalaseの配合割合を1.0重量%とすると、Flavourzymeの
配合割合が5.0重量%までは、分解効率は配合割合の上昇に依存して上昇し、7.5重
量%となると低下が見られた。また、Flavourzymeの配合割合を2.5重量%とした場合
には、Alcalaseの配合割合が2.0重量%に達するまでは分解効率は上昇し、4.0重量
%では低下が見られた。
【0082】
以上より、Alcalaseの配合割合を0.5重量%以上4.0重量%未満、Flavourzymeの
配合割合を1.25重量%以上7.5重量%未満の範囲とすると、分解効率が高いことが
示された。
(2)酵素の配合比と吸湿性との検討
各酵素の配合量をクラゲの重量に対して、下記表4に示すように変更した他は、実施例
2と同様の処理を行い、得られた各分解物の吸湿量(g)を、実施例2と同様にして測定
した。
【0083】
【表5】

【0084】
表5に示されるように、吸湿量は、Alcalaseの配合割合を1.0重量%とすると、Flav
ourzymeの配合割合の上昇につれて増加することが示された。また、Flavourzymeの配合割
合を2.5重量%とすると、Alcalaseの配合割合の上昇につれて増加することが示された

【0085】
(3)酵素の配合比と食味の変化の検討
各酵素の配合量をクラゲの重量に対して、下記表5に示すように変更した他は、実施例
1と同様に処理し、得られた分解物の食味を、6名のパネラーにより5段階で評価した。
数値が大きいほど、味がよいことを示す。
【0086】
【表6】

【0087】
表6に示されるように、食味は、Alcalaseの配合割合が高くなると改善され、また、Fl
avourzymeの配合割合が2.5重量%のときに最も良い評価となった。
【実施例5】
【0088】
上述した漂白加工前のホワイトタイプクラゲ(塩蔵品)を用いて、実施例2の場合と同
様の工程により塩抜きを実施した。
ついで塩抜きしたホワイトタイプクラゲを用いて、実施例1の場合と全く同様の工程に
よりクラゲ由来のコラーゲンを得た。これをサンプル2とする。
【実施例6】
【0089】
実施例1により得られたクラゲ由来のコラーゲン(サンプル4とする。)を用いて、実
施例2の場合と同様の工程によりクラゲ由来のコラーゲン分解物を得た。これをサンプル
3とする。
【実施例7】
【0090】
サンプル1(実施例2で得られたクラゲ由来のコラーゲン分解物)、サンプル2(実施
例5で得られたクラゲ由来のコラーゲン)、サンプル3(実施例6で得られたクラゲ由来
のコラーゲン分解物)およびサンプル4(実施例1で得られたクラゲ由来のコラーゲン)
を用いて、実施例3の表2の場合と全く同様に吸湿試験を行った。
前記サンプル1の3時間後の増加重量を100とし、前記サンプル1と同じ重量を秤量
した場合の、前記サンプル1に対する各サンプルの重量割合の経時的変化を表7に示した

また、この結果を図3に示した。
【0091】
【表7】

【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明により得られたクラゲ由来のコラーゲンおよびクラゲ由来のコラーゲン分解物は
、安全性が高いとともに、保湿性に優れており、医薬品、または化粧品の分野において、
保湿剤や水分調節剤として有用である。さらに、本発明のクラゲ由来のコラーゲンの製造
方法および本発明のクラゲ由来のコラーゲン分解物の製造方法によれば、上記のような性
質を有するコラーゲンおよびコラーゲン分解物をそれぞれ効率よく製造することができる

【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】クラゲ由来のコラーゲン分解物の分子量分布を示す、ゲル電気泳動の結果を表す図面代用写真である。
【図2】各試料1〜6の吸湿量の比率の経時変化を表す図である。
【図3】各サンプル1〜4の吸湿量の比率の経時変化を表す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラゲを60〜150℃の温水により抽出して得られるクラゲ由来のコラーゲン。
【請求項2】
酸、アルカリ及びプロテアーゼ活性を有する複数の酵素からなる群より選ばれるいずれ
か1つによりクラゲを処理して得られる、クラゲ由来のコラーゲン分解物。
【請求項3】
請求項1に記載のクラゲ由来のコラーゲンを処理して得られる、請求項2に記載のクラ
ゲ由来のコラーゲン分解物。
【請求項4】
前記クラゲは、鉢虫綱根口クラゲ目に属するクラゲ又は鉢虫綱旗口クラゲ目に属するク
ラゲであることを特徴とする、請求項2〜3のいずれかに記載のクラゲ由来のコラーゲン
分解物。
【請求項5】
前記クラゲは、エチゼンクラゲ、ミズクラゲ、ホワイトタイプクラゲ、チャイナタイプ
クラゲ、セミチャイナタイプクラゲ、キャノンボールタイプクラゲ及びボールタイプクラ
ゲからなる群から選ばれるクラゲであることを特徴とする、請求項1に記載のクラゲ由来
のコラーゲン。
【請求項6】
前記クラゲは、エチゼンクラゲ、ミズクラゲ、ホワイトタイプクラゲ、チャイナタイプ
クラゲ、セミチャイナタイプクラゲ、キャノンボールタイプクラゲ及びボールタイプクラ
ゲからなる群から選ばれるクラゲであることを特徴とする、請求項2〜4のいずれかに記
載のクラゲ由来のコラーゲン分解物。
【請求項7】
前記複数の酵素は、少なくとも、エンドプロテアーゼ活性を有する酵素であって、至適
pH6〜8.5、至適温度45〜70℃であることを特徴とする、請求項2,3,4また
は6のいずれかに記載のクラゲ由来のコラーゲン分解物。
【請求項8】
前記複数の酵素は、少なくとも、ロープ菌由来のエンドプロテアーゼと、種麹由来のエ
ンドプロテアーゼとを含むことを特徴とする、請求項2,3,4,6または7のいずれか
に記載のクラゲ由来のコラーゲン分解物。
【請求項9】
前記複数の酵素による処理は、40〜60℃にて12〜24時間攪拌するものであるこ
とを特徴とする、請求項2,3,4,6,7または8のいずれかに記載のクラゲ由来のコ
ラーゲン分解物。
【請求項10】
分子量が、7,000〜9,000であることを特徴とする、請求項2,3,4,6,
7,8または9のいずれかに記載のクラゲ由来のコラーゲン分解物。
【請求項11】
クラゲに当該クラゲの重量の40〜60重量%の水と、
所定量の酸、アルカリ及びエンドプロテアーゼ活性を有する複数の酵素からなる群から
選ばれるいずれか1つと、
を添加する分解物添加工程と、
40〜70℃で12〜24時間攪拌して抽出液を得る攪拌抽出工程と、
得られた抽出液を乾燥する乾燥工程と、
を備える、クラゲ由来のコラーゲン分解物の製造方法。
【請求項12】
前記所定量の複数の酵素は、当該クラゲの重量の0.5〜2重量%のエンドプロテアー
ゼ活性を有する酵素と、1.5〜3.5重量%の少なくともエンドプロテアーゼ活性を有
する他の酵素とであることを特徴とする、請求項11に記載のクラゲ由来のコラーゲン分
解物の製造方法。
【請求項13】
前記複数の酵素の一方は、ロープ菌由来のエンドプロテアーゼ活性を有する酵素であり
、前記他の酵素は、種麹由来の少なくともエンドプロテアーゼ活性を有する酵素であって
、いずれのエンドプロテアーゼも至適pH6〜8.5、至適温度45〜70℃であること
を特徴とする、請求項11に記載のクラゲ由来のコラーゲン分解物の製造方法。
【請求項14】
前記乾燥工程は、スプレードライ法又は凍結乾燥法によって行われることを特徴とする
、請求項11〜13のいずれかに記載のクラゲ由来のコラーゲン分解物の製造方法。
【請求項15】
クラゲに、当該クラゲの重量の50重量%の水と、
当該クラゲの重量の1重量%のロープ菌由来のエンドプロテアーゼ活性を有する酵素と

当該クラゲの重量の2.5重量%の種麹由来の少なくともエンドプロテアーゼ活性を有
する他の酵素と、
を添加する酵素添加工程と、
50℃で17時間攪拌して抽出液を得る攪拌抽出工程と、
得られた抽出液を乾燥する乾燥工程と、
を備える、クラゲ由来のコラーゲン分解物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−84528(P2007−84528A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−188943(P2006−188943)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年4月1日 日本栄養・食糧学会発行の「第60回 日本栄養・食糧学会大会 講演要旨集」に発表
【出願人】(590006398)マルトモ株式会社 (23)
【Fターム(参考)】