説明

クラスト革およびなめし革におけるアルデヒド除去

【課題】なめしおよび仕上げ革製品からアセトアルデヒドおよびホルムアルデヒドの放出を制御する方法および組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、1種以上の水性酸官能性アクリル系またはビニルコポリマーと、ポリマーのカルボン酸の当量を基準にして0.03当量から1.0当量までの、アミノグアニジン、セミカルバジド、ジヒドラジン、グアナミン、ヒドラジンおよびこれらの塩から選択される1種以上の活性化合物とを含む水性フレッシュコーティング組成物を提供する。さらに、本発明は、コーティング組成物を革クラストまたはなめし革に適用する方法、およびそれから製造されるフレッシュコートされた革またはコートされた革クラストを提供する。本発明により製造される革クラストおよびなめし革、例えば、フレッシュコートされたまたは仕上げ革は、時間の経過により非常に低減された量のアルデヒドしか放出しないであろうし、特に自動車用途のための有孔革からアルデヒドを除去するのに価値があるであろう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は革クラストおよびなめし革におけるアルデヒドの量を低減させる方法、並びにそれにより製造される生成物、例えば、フレッシュコート(fleshcoated)または仕上げ革に関する。より詳細には、本発明は、1種以上の水性酸官能性アクリル系またはビニルポリマー、およびアミノグアニジン、セミカルバジド、ジヒドラジン、グアナミン、ヒドラジンおよびこれらの塩から選択される1種以上の活性成分を含む水性フレッシュコーティング組成物に関し、当該コーティングを革クラストまたはなめし革に適用する方法に関し、並びにそれにより製造されたフレッシュコート革またはコート革クラストに関する。
【背景技術】
【0002】
なめしおよび再なめし革クラストおよびこれらのクラストから製造された仕上げ革製品は過剰な残留量のアルデヒド、例えば、ホルムアルデヒド(FA)およびアセトアルデヒド(ACHO)をますます含むようになっている。アセトアルデヒドについての限度は、仕上げ革のVOC含有量を決定するための様々な分析方法を用いて、なめし革および仕上げ革の製造業者および再販業者によって近年確立され、特定されてきた。例えば、皮なめし業者はその顧客によって仕上げ(コート)およびなめし革、特に、自動車用途のためのものからのアルデヒド排出を限定させられてきた。さらに、自動車OEMおよびその納入業者は近年、革製品中にACHOを同定し、その納入業者、すなわち、皮なめし業者、再なめし剤(retans)の製造業者、コーティング物質の製造業者および革仕上げ業者に対してアセトアルデヒドを低減させるための責任を戻してきた。しかし、皮なめし業者および仕上げ革製品の納入業者はACHOのソースを把握する努力を続けてきた。
【0003】
FAおよびACHOを発生させる1つのソースには、なめしおよび仕上げ革に適用される熱がありうる。加熱は、クラストを乾燥させるための、およびその後に仕上げ段階を乾燥させるための一般的な手段であり;加熱乾燥は安価でかつ効果的なので、このような加熱は排除できそうにない。
【0004】
アルデヒドベースの植物性または鉱物を含まないなめし剤およびシンタン(syntans)はFAまたはACHOを発生する別のソースを含む。六価クロム含有なめし剤を使用し続けることによりこのソースの遊離アルデヒドを除去することができるが;これは生態学的に責任あるまたは持続的な解決策ではない。
【0005】
自動車OEMは近年、少なくとも部分的に、自動車内の空気循環を向上させるために有孔革製内張を提供し始めた。有孔革は、自動車が販売またはリースされた後で、ACHOおよびFAを排出し続ける場合がある。有孔革製内張からのACHOおよびFAの排出を排除する必要性が残っている。さらに、仕上げ革からのVOC排出を低減させるための、および特にアセトアルデヒド(ACHO)を低減させるための継続した必要性が残っている。
【0006】
Kittmerらへの米国特許第6,991,659B2号は、任意の所望のシークエンスで、仕上げられる前に、革をなめし、中和、マスキング、フィリング、再なめし、加脂、染色、固定および洗浄するプロセス中の任意の時点で、少なくとも1種のヒドラジン化合物と、アルデヒドベースのなめし安定性または定着向上剤とで革を処理することを提案する。Kittmerらのプロセスはアルデヒドベースの革処理剤の収率を向上させ、このような薬剤がFAに分解するのを回避することを追求する。しかし、Kittmerらはアルデヒドを回避するではなくアルデヒドの使用を提案する。さらに、Kittmerらは後の段階での、革クラスト、なめし革または仕上げ革からのFAまたはACHOの分解または排出を妨げることは何もしていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,991,659号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、革自体がFAおよびACHOの大きなソースである場合があることを見いだし、よって、使用中の、なめしおよび仕上げ革製品からの、特に、植物抽出物のような天然起源の物質でなめされまたは処理されたこれらの製品からの、およびさらにより詳細には後の使用のために有孔化されるこのような製品からの、ACHOおよびFAの放出を制御する方法および組成物を提供する課題を解決しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に従って、水性フレッシュコーティング組成物は、50〜90重量%の1種以上の疎水性コモノマーおよび10重量%〜50重量%の1種以上の共重合性親水性酸性コモノマーの共重合により形成された1種以上の酸官能性コポリマーバインダーと、酸官能性コポリマーバインダーにおけるカルボン酸の全当量数を基準にして0.03当量以上、例えば、0.05当量以上、および1.0当量以下、好ましくは、0.08当量以上または0.8当量以下の、アミノグアニジン、セミカルバジド、ジヒドラジン、グアナミンおよびヒドラジン並びにそれらの塩から選択される1種以上の活性化合物とを含む。活性化合物塩は活性化合物と酸または酸官能性ポリマーまたはオリゴマーとの塩である。好ましくは、活性化合物はアミノグアニジン塩、例えば、アミノグアニジン重炭酸塩またはアミノグアニジンアクリラート(コ)ポリマーまたはオリゴマーである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
組成物の全バインダー固形分は2重量%〜60重量%のバインダー固形分、好ましくは5重量%以上のバインダー固形分、または好ましくは、40重量%以下のバインダー固形分、より好ましくは、10重量%以上、または25重量%以下のバインダー固形分、または12.5重量%以上の固形分の範囲であり得る。例えば、35重量%のバインダー固形分の濃縮物はフレッシュコーティング組成物として使用するために水で希釈可能である。
【0011】
組成物は好ましくは、分解してアセトアルデヒド(ACHO)またはホルムアルデヒド(FA)を形成する物質を実質的に含まない(ポリマーの2.0重量%以下)水性酸官能性アクリル系ポリマーから本質的になる。このようなバインダーは(メタ)アクリル酸エチルまたは(メタ)アクリル酸メチルの重合残基を実質的に含まない。
【0012】
好ましくは、1種以上の活性化合物または塩はアミノグアニジン塩、例えば、アミノグアニジン重炭酸塩またはポリ(アミノグアニジンアクリラート)ポリマーまたはコポリマーである。
組成物は、1種以上の酸官能性ポリマー系分散剤をさらに含むことができる。
【0013】
別の実施形態においては、本発明は、ウェットエンド処理および乾燥して、なめし革またはクラストを形成し、次いで、水性フレッシュコーティング組成物をなめし革またはクラストに適用し、乾燥することを含む、なめし革またはクラストをコーティングする方法を含む。水性フレッシュコーティング組成物は、最終処理までの仕上げ段階で必要に応じて、ルセット(russet)に適用されるフレッシュコートとして適用されることができるか、またはなめし革もしくはクラストの銀面(grain side)に適用されるプレコートとして、すなわちベースコートのような仕上げコーティング前に適用されることができる。
【0014】
さらに別の実施形態においては、本発明は、本発明の水性フレッシュコーティング組成物で処理されたなめし革またはクラストを提供する。得られるフレッシュコートされたまたはプレコートされた生成物は、仕上げ後のクラストの後の段階での有孔化が、発生するACHOが少量であるのを変えないようにスクラブされ、すなわち、ACHOは仕上げ革全体から効果的に除去される(または、少なくとも有意に低減される)。好ましくは、本発明の水性フレッシュコーティング組成物で処理されたなめし革またはクラストは処理前、処理中または処理後に有孔化される。
【0015】
示される全ての範囲は境界値を含み組み合わせ可能である。例えば、2.0重量%以上、および60重量%以下、好ましくは5.0重量%以上、または40重量%以下の割合は、2.0重量%以上〜60重量%以下、5.0重量%以上〜60重量%以下、40重量%以上〜60重量%以下、2.0重量%以上〜40重量%以下、5.0重量%以上〜40重量%以下、および2.0重量%以上〜5.0重量%以下の範囲を包含する。
【0016】
他に示されない限りは、全ての圧力単位は標準圧力であり、全ての温度単位は室温をいう。
挿入語句を含む全ての語句は挿入事項を含むものおよび挿入事項がないもののいずれかまたは双方を示す。例えば、語句「(コ)ポリマー」には、選択的に、ポリマー、コポリマーおよびこれらの混合物が挙げられる。
本明細書において使用される場合、用語「アクリル系ポリマー」とは、アクリラートおよび/またはメタクリラートモノマーの重合生成物を含むポリマーをいう。
本明細書において使用される場合、語句「水性」は、水、水と1種以上の水混和性溶媒とを含む混合物を含む。
【0017】
本明細書において使用される場合、語句「固形分の全重量を基準にして」または「全固形分を基準にして」とは、ポリマー、界面活性剤、バインダーおよび任意の充填剤または顔料の全組成量の重量と比較した重量量をいう。
本明細書において使用される場合、他に示されない限りは、語句「(コ)ポリマー」は、独立して、コポリマー、ターポリマー、ブロックコポリマー、セグメント化コポリマー、グラフトコポリマー、およびこれらの混合物または組み合わせを含む。
【0018】
本明細書において使用される場合、用語「当量」とは、特定の使用条件下で、1当量のカルボン酸またはアルデヒドと反応するであろう特定の活性化合物または塩、例えば、アミノグアニジンカチオン、ヒドラジンカチオン、カルバジンカチオンの量をいう。例えば、ジヒドラジンは2ヒドラジン当量を有し、1当量のジヒドラジン化合物または塩は、その化合物または塩の1モルの約2分の1である。
【0019】
本明細書において使用される場合、用語「フレッシュコート(flesh coat)」は、革の繊維束を一緒に結合するためになめし革またはクラストに適用される処理をいい、かつ所望の場合には、有孔化中に繊維が引き抜かれるのを妨げるために、なめし革またはクラストに適用される処理をいう。
本明細書において使用される場合、用語「ガラス転移温度」または「Tg」は、その温度以上でガラス状ポリマーがポリマー鎖のセグメント運動をするであろう温度を意味する。他に示されない限りは、ポリマーのガラス転移温度はフォックス式、Bulletin of the American Physical Society 1,3ページ123(1956)を用いて計算される。
【0020】
本明細書において使用される場合、用語「(メタ)アクリラート」はアクリラート、メタクリラートおよびこれらの混合物を意味し、本明細書において使用される「(メタ)アクリル」はアクリル、メタクリルおよびこれらの混合物を意味する。
本明細書において使用される場合、他に示されない限りは、アクリル系ポリマーについての語句「分子量」とは、ポリアクリル酸標準に対する、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリマーの重量平均分子量をいい;ケイ素含有ポリマーについては、他に示されない限りは、語句「分子量」はポリスチレン標準に対する、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリマーの重量平均分子量をいう。
【0021】
本明細書において使用される場合、用語「なめし革(tanned leather)」または「クラスト(crust)」は、なめし剤、例えば、クロム、アルミニウム、ジルコニウム、鉄もしくはマグネシウムの塩;または好適な植物抽出物での処理により保存された動物の皮または皮膚をいう。なめし革は何らかのおよび全てのウェットエンド革処理(wet end leather treatments)で処理されたものであることができ、一方で、クラストは単になめされている。
本明細書において使用される場合、語句「重量%」は重量パーセントを示す。
【0022】
本発明者は、なめし革またはクラストを水性酸官能性ポリマーおよびアミノグアニジン、セミカルバジド、ジヒドラジン、グアナミンもしくはヒドラジン化合物またはそれらの塩から選択される1種以上の活性化合物でコーティングすることが、それをしなければ処理された革またはクラストから揮発するであろう、ほとんどまたは全てのアセトアルデヒド(ACHO)および少なくとも幾分かのホルムアルデヒド(FA)を効果的に除去するであろうことを見いだした。本発明の水性酸官能性ポリマーは革クラストに浸透し;このポリマーは多量、例えば、バインダー固形分を基準にして0.5重量%以上、および5.0重量%以下の活性化合物の導入、およびクラスト全体にわたる活性化合物の分布を可能にする。よって、本発明の水性フレッシュコーティング組成物は革またはクラストの内側からアルデヒドを効果的に除去する。
【0023】
好適なアミノグアニジン、セミカルバジド、ジヒドラジン、グアナミンまたはヒドラジン化合物には、アジポイルジヒドラジン、アリールグアナミン、例えば、ベンゾグアナミンまたはフェニルグアナミン、アリールヒドラジン、およびデカノイルグアナミンが挙げられうる。コーティング組成物は、クラストまたは革からFAをより効果的に除去するために、ホルムアルデヒド(FA)反応剤も含むことができる。
【0024】
活性化合物は活性化合物塩、例えば、重炭酸塩(AGB)またはHCl塩の形態で組成物中に添加されることができ、またはその塩は化合物、例えば、AGまたはAGBを、遊離の中和されていない酸を含む水性組成物に添加し、緩衝作用を介して水性媒体中のその飽和点までの高水準を達成することにより製造されうる。AGBまたはアミノグアニジン化合物の重炭酸塩は1つの好ましい活性化合物塩である。
【0025】
好適なアミノグアニジン、セミカルバジド、ジヒドラジン、グアナミンまたはヒドラジン塩化合物(活性化合物塩)は公知の化合物であり、例えば、アミノグアニジンを1種以上の塩形成性の酸もしくは本発明のバインダーであり得る酸官能性ポリマー、ポリマー分散剤、またはこれらの混合物もしくは組み合わせと混合することにより製造されうる。商業的に入手可能であれば、1種以上の塩、例えば、AGBは乾燥物質として添加されうる。あるいは、塩は、例えば、活性化合物またはその塩、水および分散剤の全水性混合物の5〜70重量%の範囲の乾燥物質含有量で、その塩形態の水性溶液または分散物の形態で製造されうる。強酸の、特に鉱酸(特に、硫酸、硝酸、塩化水素酸、リン酸)またはスルホン酸の活性化合物塩は、例えば、アミノグアニジン重炭酸塩または低分子カルボン酸(好ましくはギ酸または酢酸)のアミノグアニジン塩を、それぞれの鉱酸またはスルホン酸と反応させることにより製造されうる。好ましいAGBはアミノグアニジンおよび炭酸を水性媒体中で一緒に混合することにより製造されうる。
【0026】
不飽和の酸または酸官能性不飽和モノマーおよびそのオリゴマーもしくはポリマー、例えば、アクリル酸、(メタ)アクリル酸ホスホエチルおよび3つ以上の酸基を有するそのオリゴマーもしくはポリマーも、水不溶性からわずかに水可溶性の活性塩化合物、例えばアミノグアニジンアクリラート(エステル)、ポリアクリル酸ヒドラジンおよびマレイン酸ヒドラジン、またはアミノグアニジンホスホエチル(メタ)アクリラートを形成するために使用されうる。
【0027】
活性化合物のポリマーまたはポリマー分散剤塩、例えば、ポリ(アミノグアニジンアクリラート)は、酸官能性ポリマー、例えば、ポリアクリル酸またはポリマレイン酸を好ましくはその酸形態でまたは25%未満中和で、アミノグアニジン、セミカルバジド、ジヒドラジン、グアナミンまたはヒドラジン化合物と水性媒体中で混合することにより製造されうる。
【0028】
アミノグアニジン塩が好ましい。好適なアミノグアニジン化合物は、鉱酸のアミノグアニジン塩、例えば、アミノグアニジン重炭酸塩(AGB)、アミノグアニジンのC−C12カルボン酸塩、アミノグアニジンの芳香族カルボン酸塩、アミノグアニジンの不飽和カルボン酸塩、アミノグアニジン化合物と不飽和カルボン酸の(コ)ポリマーとの塩、アミノグアニジン化合物と水性酸官能性アクリル系コポリマーバインダーとの塩、C−C18アルキル置換アミノグアニジンの上記いずれかの塩、およびC−C18(アルキル)アリール置換アミノグアニジンの上記いずれかの塩から選択されうる。
【0029】
他の好適なアミノグアニジン塩化合物の例には、例えば、アミノグアニジンモノ−もしくはジ塩酸塩、アミノグアニジンヘミ硫酸塩もしくは硫酸塩、アミノグアニジン硝酸塩、アミノグアニジンギ酸塩、アミノグアニジン酢酸塩、アミノグアニジン4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸塩、アミノグアニジンナフタレン−1−もしくは−2−スルホン酸塩、アミノグアニジン4−、5−もしくは7−ヒドロキシナフタレン−1−スルホン酸塩、アミノグアニジン1−、6−、もしくは7−ヒドロキシナフタレン−2−スルホン酸塩、およびアミノグアニジン4−トルオルスルホン酸塩が挙げられうる。好ましくは、アミノグアニジン塩化合物はAGB、ポリ(アミノグアニジンアクリラート)、ポリ(アミノグアニジンアクリラート)−コ−メタクリル酸セチルエイコシル、およびポリ(アミノグアニジンアクリラート)−コ−アクリル酸エチルヘキシルである。
【0030】
活性化合物またはその塩を水性フレッシュコーティング組成物に溶解または分散させるのを助けるために、1種以上の水可溶性ポリマー分散剤が、活性化合物または塩の重量を基準にして、0.1〜5重量%、好ましくは、0.2重量%以上、または4重量%以下、およびより好ましくは、0.5重量%以上、および3重量%以下、または1〜2重量%の範囲の量で使用されうる。
【0031】
好適なポリマー分散剤は少なくとも1種のアニオン性モノマーから形成され水可溶性ポリマーを形成するものである。好適なアニオン性モノマーには、例えば、エチレン性不飽和酸モノマー、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸モノマー、リン含有酸(phosphorus acid)モノマーおよびスルホン酸モノマーが挙げられうる。ポリマー分散剤は非イオン性モノマーからの少なくとも1種の重合単位をさらに含むことができる。ある好適な非イオン性モノマーには、例えば、エチレン性不飽和非イオン性化合物、例えば、1以上の二重結合を有する化合物、例えば、オレフィン、置換オレフィン(例えば、ハロゲン化ビニルおよびビニルカルボキシラート)、ジエン、(メタ)アクリラート、置換(メタ)アクリラート、(メタ)アクリルアミド、置換(メタ)アクリルアミド、スチレン、置換スチレンおよびこれらの混合物が挙げられる。さらに好適な水可溶性ポリマーは、少なくとも2つのカルボン酸基、酸無水物基またはそれらの塩を含むポリカルボキシ付加(コ)ポリマーであり得る。エチレン性不飽和カルボン酸は、ポリマー分散剤の重量を基準にして約1重量%〜100重量%の量の範囲であり得る。
【0032】
ポリマー分散剤は、当該技術分野において知られている、任意の重合方法、例えば、溶液重合、塊状重合、不均一相重合(例えば、乳化重合および懸濁重合など)およびこれらの組み合わせにより製造されうる。このような水可溶性ポリマー種の分子量は、鎖調整剤(chain regulator)、例えば、硫黄化合物、例えば、メルカプトエタノールおよびドデシルメルカプタンなどの使用により、公知の方法で制御されうる。水可溶性ポリマーの分子量は好ましくは、約300〜約100,000、または約1,000〜100,000、より好ましくは、1,000〜20,000、または2,000〜20,000、およびさらにより好ましくは、2,000〜8,000である。
【0033】
多くの好適な市販のポリマー分散剤が利用可能であり、NHOHのような塩基を用いるような中和された形態で添加剤として使用されうる。好適な市販の分散剤としては、例えば、ロームアンドハースカンパニー(米国、ペンシルベニア州、フィラデルフィア)から入手可能な、Tamol(商標)、Orotan(商標)、Acumer(商標)、およびAcusol(商標)分散剤、例えば、Orotan(商標)731A、が挙げられる。
【0034】
別の実施形態においては、水性フレッシュコーティング組成物は、ACHOと共にホルムアルデヒド(FA)を除去するために、他の水可溶性成分、例えば、エチレン尿素およびフェノールのような非常に水可溶性の化合物、並びにアミノプラストおよびポリフェノールなどをさらに含むことができる。
【0035】
本発明の水性酸官能性コポリマーバインダーが選択されるが、この理由はそれがなめし革またはクラストに浸透するのが良好であり、それが革の繊維に定着し、そしてそれが完全に仕上げられた後で革全体をスクラビングするのに最も近接して活性化合物またはその塩を配置させるからである。さらに、水性酸官能性コポリマーバインダーはACHOまたはFAを生じさせるべきではない。水性酸官能性ポリマーがACHOまたはFAを発生させないことを確実にするために、組成物はACHOについては、その骨格に(メタ)アクリル酸エチルの重合残基を含むべきではないし、かつFAについては、その骨格に(メタ)アクリル酸メチルの重合残基を含むべきではない。
【0036】
水性フレッシュコーティング組成物に好適なバインダーは、50〜90重量%の1種以上の疎水性コモノマーと10重量%〜50重量%の1種以上の共重合性親水性酸性コモノマーの共重合により形成される、−100℃〜100℃のガラス転移温度を有する両親媒性コポリマーを含むことができる。好適な親水性モノマーは、水可溶性エチレン性不飽和、好ましくは、モノエチレン性不飽和の酸性モノマーまたはこれらの混合物から選択されうる。好適な親水性モノマーの例には、(メタ)アクリル酸;イタコン酸;フマル酸;マレイン酸およびこのような酸の無水物;酸置換(メタ)アクリラート、例えば、(メタ)アクリル酸ホスホアルキル、例えば、メタクリル酸ホスホエチル、メタクリル酸スルホエチルなど;および酸置換(メタ)アクリルアミド、例えば、2−アクリルアミド−2−メチルプロピルスルホン酸などが挙げられる。好ましくは、水可溶性親水性モノマーはメタクリル酸である。
【0037】
親水性モノマーの特性は、水性溶液中でそれと共に製造される両親媒性コポリマーの容易な分散を可能にし、かつそのコポリマーが革に浸透し、革に向上した美観、強度、テンパー(temper)および耐水性を与える能力に悪影響を及ぼすことなく、そのコポリマーが高いポリマー固形分で、操作可能または剪断可能な粘度で製造されるのを可能にする。
【0038】
好適な疎水性コモノマーはビニルモノマーであり、(メタ)アクリル酸長鎖アルキル、(メタ)アクリル酸長鎖アルコキシ(ポリエチレンオキシド)、(メタ)アクリル酸アルキルフェノキシ(ポリエチレンオキシド)、第1級アルケン、および長鎖アルキルカルボン酸のビニルエステル、およびこれらの混合物から選択されうる。好適な疎水性モノマーには、(メタ)アクリル酸C−C22アルキル、(メタ)アクリル酸C−C22アルコキシまたはC−C12アルキルフェノキシ(ポリエチレンオキシド);C12−C221−アルケンおよびC12−C22アルキルカルボン酸のビニルエステルが挙げられる。このような疎水性モノマーの例には、(メタ)アクリル酸ドデシル、メタクリル酸エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、ステアリン酸ビニル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシ(エチレンオキシド)1−20、オクタデセン、ヘキサデセン、テトラデセン、ドデセンおよび上記のものの混合物が挙げられる。好ましくは、最もよい耐水性をもたらすものと認められる疎水性モノマーは、(メタ)アクリル酸長鎖(C12−C20)アルキルおよびこれらの混合物、例えば、(メタ)アクリル酸C16−C20アルキル(以後、メタクリル酸セチルエイコシルについては「CEMA」と称される)の混合物などである。
【0039】
半量未満の他のエチレン性不飽和共重合性モノマーが、全疎水性コモノマー濃度の50重量%以下の濃度で、50重量%を超える上記疎水性モノマーの少なくとも1種と組み合わせて使用されうる。このような好適な追加の疎水性コモノマーは、それによるフレッシュコーティングフォームがクラストに浸透するのに悪影響を及ぼすことなく、他の疎水性コモノマーのための希釈剤として有用であることが見いだされている。このような有用な共重合性疎水性希釈コモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸低級(C−C)アルキル、スチレン、アルファ−メチルスチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリルおよびオレフィンが挙げられる。
【0040】
本発明の両親媒性コポリマーは任意の従来技術によって親水性および疎水性モノマーの共重合により製造されうる。このような技術には、例えば、水不溶性フリーラジカル開始剤を全モノマーに対して0.2重量%〜5重量%の濃度で用いる、水混和性アルコール、例えば、tertブタノールまたはブチルセロソルブ(商標)(ダウケミカルカンパニー、ミッドランド、ミシガン州、米国)中での重合が挙げられうる。使用されうる好適なフリーラジカル開始剤の例には、ペルエステルおよびアゾ化合物が挙げられる。重合は好ましくは50℃〜150℃の温度で、好ましくは、70℃〜100℃の温度で行われうる。分子量を制御するために、メルカプタンのような連鎖移動剤が場合によっては使用されることができる。重合は全てのモノマーを一緒に重合することにより、またはモノマーおよび開始剤を、重合が本質的に完了する(約98%を超える変換率)まで、1〜6時間にわたって徐々に添加することにより行われうる。重合は、室温で約100〜約1,000,000 Cpsのブルックフィールド粘度を有し、約20%の固形分から約75%の固形分である、溶媒中の両親媒性ポリマー固形分濃度をもたらす。
【0041】
オレフィン系疎水性モノマーを用いて形成されるコポリマーは公知の方法に従って製造されうる。
【0042】
水性フレッシュコーティング組成物は、添加剤、限定されないが、バインダーコポリマー、界面活性剤、顔料、例えば、水性シリカ分散物、増量剤、艶消し剤、例えば、アクリル系コポリマー艶消しビーズ(duller beads)またはシリカ、染料、真珠光沢剤(pearlescents)、接着促進剤、架橋剤、他の分散剤、消泡剤、分散剤、例えば、アニオン性ポリマー分散剤、湿潤剤、蛍光増白剤、紫外線安定剤、造膜助剤、レオロジー調節剤、防腐剤、殺生物剤、および酸化防止剤などをさらに含むことができる。好ましくは、組成物は分解または崩壊してホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドを発生させるあらゆる添加剤を含まず、かつエチレンオキシド、メチレンオキシド、エチルエーテルまたはメチルエーテル官能基を含む、ケイ素含有ポリエーテルおよび非イオン性界面活性剤などの界面活性剤を除いているべきである。このような組成物は、そのような分解または崩壊をしない添加剤から本質的になる。
【0043】
水性フレッシュコーティング組成物は、粉体としての活性化合物またはその塩、水性酸官能性ポリマーおよび任意のポリマー分散剤を、任意の順番で、単純に混合することにより製造されうる。活性化合物が塩形態でない場合には、それは一定時間、例えば60秒〜48時間の間、酸と予備混合されて、組成物にそれを添加する前に塩を形成する。あるいは、活性化合物は、塩形態でない場合には、少なくとも部分的に中和されていない水性酸官能性ポリマーおよび/または酸官能性ポリマー分散剤と一定時間混合されることができ、塩を形成し、その後、組成物の残部に混合する。
【0044】
水性組成物は貯蔵安定性であり、かつ「そのままで」または1種以上の他の成分、例えばバインダーコポリマーと組み合わせてまたは混合して基体に適用されうる。
【0045】
本発明の方法は水性フレッシュコーティング組成物をなめし革または革クラストに、ウェットエンド処理が完了した後の任意の時点で適用することを含む。水性フレッシュコーティング組成物は革またはクラスト基体に実際に浸透し、そこからACHOおよびFAを除くので、それらは適用される最終コーティングである必要はないし、かつ基体の両面に適用される必要もない。水性フレッシュコーティング組成物は、クラストまたはなめし革の銀面上のベースコートの前に適用される予備コートとして適用されることができるか、または最終処理までの何らかの仕上げ段階において、クラストもしくはなめし革のルセット(russet)または裏面に適用されるフレッシュコートコーティングとして適用されることができる。
【0046】
水性フレッシュコーティング組成物は、噴霧、ロールコーティング、および手作業での塗りつけ(hand swabbing)のような様々な方法によってなめし革上に適用されうる。革を水性フレッシュコーティング組成物と接触させた後、処理された革は乾燥させられるか、乾燥可能にさせられる。
【実施例】
【0047】
「バッグ試験」方法の概要および詳細:
8×10cmの革サンプルが、密封されたTedlar(商標)、ポリフッ化ビニル(PVF)膜バッグDuPont(ウィルミントン、デラウエア州)内に入れられた。そのバッグは革を試験する前に、窒素でパージされた(3回(8リットルN、30分、80℃))。そのバッグは、次いで、4Lの窒素で満たされ、65℃で2時間加熱され、次いで、下記カートリッジのロング床(300mg分析床)がそのバッグに面するように取り付けられている、2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)で被覆されたシリカゲルを含むインラインガラス管(SKC,Inc.,Eighty Four,ペンシルベニア州、米国(SKCカタログ番号226−119))、アルデヒドカートリッジを介して真空で排気された。DNPHはホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドのそれぞれと付加物を形成する。それぞれのカートリッジは取り外され、キャップされ、そしてフリーザーの中に配置され、DNPH−ACHOまたはDNPH−FA付加物を分析まで保存し、次いで室温に戻した後で分析した。
分析を行うために、Supelco Puller/Inserterツール(カタログ番号 2−2406)(Supelco,ベルホント、ペンシルベニア州、米国)を用いて、DNPH被覆シリカビーズがそれぞれのカートリッジから取り出され、4mLバイアル内に入れられた。次いで、デジタルピペットを用いて、2.5mLのFisher Scientific Optima(登録商標)LC/MSグレードアセトニトリル(ACN)がそれぞれのバイアルに添加され、そのバイアルは30秒間超音波処理され、続いて、10mm Whatman,Inc.フローハムパーク、ニュージャージー州、米国、Anotop10 0.2μmシリンジフィルターを備えた3mLシリンジに抽出物を入れてろ過して、シリンジからの1.5mLをオートサンプラーバイアルに入れた。抽出物はHPLCで360nmで分析された。それぞれのサンプルについて2回のインジェクションが行われた。
ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒド誘導体の濃度は、ACN中で、段階的に希釈されたアセトアルデヒド−DNPHおよびホルムアルデヒド−DNPHの標準物質に基づいて、DNPH誘導体HPLC法(後述)を用いて決定された。
【0048】
高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)法:
HPLCは上記抽出物の10μLのサンプルで、30℃で、1mL/分の流速で、VWD UV装置を伴うAgilent HP1100(Agilent Technologies,サンタクララ、カリフォルニア州、米国)を用い、Phenomenex Synergi MAX−RP、4μm、4.6mm×250mmカラム(Phenomenex、トランセ、カリフォルニア州、米国)を備え付けて行われた。カラムからの溶出(移動相)は体積で60ACN/40水の混合物であった。UV検出器は360nmの波長にセットされた。
抽出物中のアルデヒドの濃度は検量曲線式から決定された。
【0049】
実施例1および2:
以下の表1に示される混合物がクロム金属塩含有なめし剤でなめされたフルグレインクラストからアルデヒドを除くために設計される。AGBは水性酸官能性アクリル系コポリマーバインダーおよび水と混合されて、フレッシュコートを製造した。それぞれの混合物は革クラストの肉面(flesh side)上に、53.8g/m(5g/平方フィート)の湿潤生成物で噴霧された。次いで、革を1分間、85℃のオーブン中で乾燥させ、平衡化させた後で、R&Hの「バッグ試験」を用いた分析によって試験された。
【0050】
【表1】

【0051】
アクリル系ポリマーBのpHは5.2であった。実施例2−2のpHはpH6.4であった。
【0052】
【表2】

【0053】
上記表2に示されるように、約0.12当量アミノグアニジンカチオン/当量COOHでのAGBは、革クラストからの、30%〜80%を超えるアセトアルデヒドを効果的に除き、かつ約半分のホルムアルデヒドを除く。これに対して、アクリル系ポリマーAおよびアクリル系ポリマーCを含む水性フレッシュコーティング組成物は、革クラストから放出されるアセトアルデヒドおよびホルムアルデヒドの量を実際には増加させた。
【0054】
実施例3:
実施例3−1、3−2、3−3および3−4においては、全ての基体は、クロム金属塩でなめされ、ポリウレタン分散物仕上げ剤でトップコートされ、次いで下記の表3に示されるようにフレッシュコートされた、同じフルグレイン革クラストであった。フレッシュコートを製造するために、処理された基体の全ては、コートされていない肉面に実施例2−2の組成物が噴霧された。表3に示されるように、実施例3−4における基体は、クラスト中にホルムアルデヒドを発生させる副作用のあるアセトアルデヒドスカベンジャーで処理された。
【0055】
【表3】

【0056】
上記表3に示されるように、AGBを含む水性フレッシュコーティング組成物は様々な処理された革クラストから、ほぼ20%〜80%を超えるアセトアルデヒドを除き、かつほぼ20%〜ちょうど半分を超えるホルムアルデヒドを除く。アセトアルデヒドがあらかじめ除去された実施例3−4においてさえ、フレッシュコートは依然として、効果的に、FAおよびACHOの双方をより低い程度まで除去した。
【0057】
実施例4:有孔革クラストにおける有効性
実施例4−1、4−2および4−3においては、全ての基体は、クロム金属塩でなめされ、ポリウレタン分散物仕上げ剤でトップコートされ、次いで下記の表4に示されるように、コートされていない肉面を、アクリル系ポリマーB(35重量%固形分)中の1.5%重量%AGB(0.09当量/当量COOH)でフレッシュコートされた、同じフルグレイン革クラストであった。フレッシュコートを製造するために、処理された基体の全ては、コートされていない肉面にフレッシュコート組成物が噴霧された。試験前に、革を貫通する有孔化が、中空の針を備えた機械によってなされ、9mm離れた間隔の1mm孔のグリッドを生じさせた。その針がグリッドパターンを形成する。
【0058】
【表4】

【0059】
上記表4に示されるように、本発明のフレッシュコーティングは孔なし革からと同様に、有孔革から効果的にFAを除去する。さらに、実施例4−3に示されるように、フレッシュコーティングは孔なし革からと同様に、有孔革から約80%のACHOを除去する。この実施例は、フレッシュコーティングが革に浸透して革クラストの内側からホルムアルデヒドを除去するという証拠を提供する。
【0060】
実施例5:アミノグアニジンの様々な塩
実施例5−1、5−2、5−3、5−4および5−5においては、基体の全ては、クロム金属塩でなめされ、ポリウレタン分散物仕上げ剤でトップコートされた同じフルグレイン革クラストであった。実施例5−2、5−3、5−4および5−5における基体は、次いで、未コートの肉面上に下記の表5に示された配合物をフレッシュコートした。フレッシュコートを製造するために、処理された基体の全ては、フレッシュコート組成物でその未コートの肉面上が噴霧された。実施例5−2においては、AGBが添加されてスラリーを形成し、噴霧直前に浸透された。実施例5−3においては、2重量%のAGBが添加され、AGB粉体がフラスコの底部にろ別され、液体だけがフレッシュコートに使用された。実施例5−2におけるアミノグアニジンカチオンの当量数/当量COOHは0.12であり、実施例5−3および5−5のそれぞれのアミノグアニジンカチオンの当量数/当量COOHは0.09であった。
【0061】
【表5】

【0062】
上記表5に示されるように、実施例5−5および5−3における、アミノグアニジンカチオンの塩化水素塩および重炭酸塩はそれぞれ、ここで使用されるアミノグアニジンの濃度に関連して充分に等しく機能する。さらに、実施例5−4の結果は、アミノグアニジンカチオンの濃度が上昇するにつれてより良好に機能する。よって、アルデヒドを除去するのはアミノグアニジンカチオンである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
50〜90重量%の1種以上の疎水性コモノマーおよび10重量%〜50重量%の1種以上の共重合性親水性酸性コモノマーの共重合により形成された1種以上の酸官能性コポリマーバインダーと、酸官能性コポリマーバインダーにおけるカルボン酸の全当量数を基準にして0.03当量以上かつ1.0当量以下の、アミノグアニジン、セミカルバジド、ジヒドラジン、グアナミン、ヒドラジンおよびそれらの塩から選択される1種以上の活性化合物とを含む、水性フレッシュコーティング組成物。
【請求項2】
組成物が、酸官能性コポリマーバインダーにおけるカルボン酸の全当量数を基準にして0.08当量以上の1種以上の活性化合物またはそれらの塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
活性化合物が塩であり、当該塩が酸または酸官能性ポリマーもしくはオリゴマーの塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
活性化合物塩がアミノグアニジン重炭酸塩またはアミノグアニジンアクリラート(コ)ポリマーもしくはオリゴマーである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
分解してアセトアルデヒド(ACHO)またはホルムアルデヒド(FA)を形成する物質を実質的に含まない水性酸官能性アクリル系ポリマーから、水性酸官能性コポリマーバインダーが本質的になる、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
1種以上の酸官能性ポリマー分散剤をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
ウェットエンド処理し、乾燥させてなめし革またはクラストを形成し、次いで、請求項1の水性フレッシュコーティング組成物をなめし革またはクラストに適用し、乾燥させることを含む、なめし革またはクラストをコーティングする方法。
【請求項8】
水性フレッシュコーティング組成物が、最終処理までの仕上げ段階において必要に応じて、ルセットにフレッシュコートとして適用されるか、またはなめし革もしくはクラストの銀面にプレコートとして適用される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1の水性フレッシュコーティング組成物で処理されたなめし革またはクラスト。
【請求項10】
有孔の、請求項9に記載のなめし革またはクラスト。

【公開番号】特開2010−65218(P2010−65218A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−189891(P2009−189891)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】