説明

クラッカー利用遊具

【課題】クラッカー利用遊具であって、クラッカーが鳴るまでの時間を楽しむことのできるものを提供する。
【解決手段】クラッカー利用遊具1は、固定端と自由端とを有する弾性体21と、弾性体21の自由端にその一端が連結されて弾性体21の自由端をクラッカー10の引き紐の引き代以上に変位するように弾性変形させた状態で保持する張力が付与された仕掛糸8と、弾性変形させた状態の弾性体21の自由端にその引き紐が連結されるようにクラッカー10を支持できるクラッカー支持板4と、仕掛糸8と接触する位置に点火されると燃焼する導火体6を支持できる導火体支持部5とを備えている。クラッカー支持板4にクラッカー10を装着してその引き紐を弾性体21の自由端に連結し、導火体支持部5に導火体6を装着し、導火体6に点火すると、仕掛糸8が焼き切れて弾性体21の自由端が変位してクラッカー10の引き紐が引っ張られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッカー装着し、装着されたクラッカーを鳴らして楽しむための遊具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クラッカーは、紙で成る三角コーン形(三角錐形)の本体と、この本体内に収容された振動片及び火薬と、この火薬に一端が固め付けられ他端は本体の尖端から引き出された引き紐とで構成されている。クラッカーの引き紐を引っ張ると、引き紐と振動片との摩擦熱で内部の火薬がパンと音を立てて爆発し、その爆風によって本体前端の発射口が開口するように構成されている。クラッカーには、爆発音だけのものや、本体に火薬に加えて小巻テープや紙吹雪等の放出物を装填して爆風に伴って放出物を発射口から放出するように構成されたものがある。
【0003】
クラッカーは、例えば、パーティの演出などに用いられる。そこで、放出物、本体の形状、及び鳴らし方などに趣向を凝らしたクラッカーが知られている。例えば、特許文献1では、一度に複数のクラッカーを鳴らすように構成されたクラッカー付き遊技器具が開示されている。特許文献1に記載されたクラッカー付き遊技器具は、発射口が上方を向くように蓋体に取り付けられて引き紐が下方に引っ張られることで火薬体が爆発するクラッカーと、蓋体から上端部が突出して下方に押し込み可能な押し込み体とを備え、押し込み体と引き紐とが連結部材により連結され、押し込み体を下方へ押し込むことにより火薬が爆発するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−319472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されたクラッカー付き遊技器具は、通常のクラッカーと同じく作業者が引き紐を引っ張る操作を行うように構成されているので、クラッカーが鳴るまでの時間を楽しむことができない。クラッカーが鳴る一瞬と、これに加え、クラッカーが鳴るまでの時間を楽しむことができれば、場は更に盛り上がることが期待できる。
【0006】
そこで、本発明では、クラッカー利用遊具であって、クラッカーが鳴るまでの時間を楽しむことのできるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るクラッカー利用遊具は、固定端と自由端とを有する弾性体と、前記弾性体の自由端にその一端が連結されて前記弾性体の自由端をクラッカーの引き紐の引き代以上に変位するように弾性変形させた状態で保持する張力が付与された仕掛糸と、弾性変形させた状態の前記弾性体の自由端にその引き紐が連結されるようにクラッカーを支持できるクラッカー支持体と、前記仕掛糸と接触する位置に点火されると燃焼する導火体を支持できる導火体支持体とを備え、前記クラッカー支持体にクラッカーを支持させ、その引き紐を前記弾性体の自由端に連結し、前記導火体支持体に導火体を支持させて前記導火体に点火すると、前記導火体の燃焼により前記仕掛糸が焼き切れるように構成されているものである。
【0008】
上記構成によれば、クラッカー利用遊具に装着された導火体に点火すれば、導火体が燃焼するときにこれに接触している仕掛糸が焼き切れて仕掛糸に付与されている張力が開放される。これにより弾性体は弾性変形から回復するが、このときに弾性体の自由端の変位に伴って弾性体に連結されたクラッカーの引き紐がその引き代以上に引っ張られてクラッカーが鳴る。このように導火体に点火してからクラッカーが鳴るまでにタイムラグがあり、このタイムラグの間に導火体が燃焼する姿を見たり音を聞いたり、弾性体が弾性変形から回復する様子を見たり、仕掛糸が焼き切れる様子を見たりして、クラッカーが鳴る瞬間に加えクラッカーが鳴るまでの時間を楽しむことができる。
【0009】
前記クラッカー利用遊具において、前記クラッカー支持体は、前記弾性体の固定端が固定された基台と、前記基台に立設された支柱と、前記支柱に固定されてクラッカーをその尖端から挿入して支持できる孔を有する支持板とで構成することができる。
【0010】
また、前記クラッカー利用遊具において、前記導火体支持体は、前記支柱の前記支持板よりも上方に設けることができる。これにより、導火体が導火体支持体に装着し易くなり、また、火花を散らして燃焼する導火体の姿を装置の他の部分に遮られることなく見ることができる。
【0011】
さらに、前記クラッカー利用遊具において、前記弾性体は板バネであることがよい。これにより、遊具を簡易且つ安価に構成することができると共に、板バネの弾性回復時にそのダイナミックな動きを見て楽しむことができる。
【0012】
また、前記クラッカー利用遊具において、前記クラッカー支持体は複数のクラッカーを支持できるように構成し、前記複数のクラッカーと同じ複数の前記弾性体と前記仕掛糸とをそれぞれ備えることができる。これにより、1台のクラッカー利用遊具で複数のクラッカーを鳴らすことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、導火体に点火してからクラッカーが鳴るまでにタイムラグがあり、このタイムラグの間に導火体が燃焼する姿を見たり音を聞いたり、弾性体が弾性変形から回復する様子を見たり、仕掛糸が焼き切れる様子を見たりして、クラッカーが鳴る瞬間に加えクラッカーが鳴るまでの時間を楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係るクラッカー利用遊具の全体的な構成を示した斜視図である。
【図2】クラッカー利用遊具の側面図である。
【図3】クラッカー利用遊具の一部拡大図であり、(a)は導火体支持部の拡大断面図、(b)は弾性体を固定した基台近傍の拡大図である。
【図4】クラッカー利用遊具の変形例1を示す平面図である。
【図5】クラッカー利用遊具の変形例2を示す斜視図である。
【図6】図5に示すクラッカー利用遊具の平面図である。
【図7】クラッカー利用遊具にポップアップメッセージボードを組み合わせた例を示す側面図である。
【図8】ポップアップメッセージボードの動作を説明する側面断面図であり、図8(a)はポップアップ前、図8(b)はポップアップ後を示している。
【図9】導火体支持部の変形例を説明する側面断面図であり、図9(a)は導火体の燃焼前、図9(b)は導火体の燃焼後を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0016】
[クラッカー利用遊具1の構造]
まず、本実施の形態に係るクラッカー利用遊具1の構造から説明する。図1及び図2に示すように、クラッカー利用遊具1は、遊具本体7と、2個のクラッカー10(10a,10b)と、導火体6とで構成されている。導火体6とクラッカー10とは、遊具本体7に対して着脱可能に設けられており、使用のたびに新しいものと交換するようになっている。
【0017】
クラッカー10は、三角錐形の本体と、本体内に収容された振動片及び火薬と、この火薬に一端が固め付けられ他端は本体の尖端から引き出された引き紐とで構成された花火である。このクラッカー10の引き紐を所定の引き代の長さ分だけ引くと、引き紐と振動片との摩擦熱で内部の火薬がパンと音を立てて爆発し、その爆風によって本体前端の発射口が開口する。なお、クラッカー10の引き紐の引き代は製品によって異なるが、長くとも数cm程度である。クラッカー10の構造は公知であるのでこれ以上の詳細な説明は省略する。
【0018】
遊具本体7は、平板状の基台2と、基台2の略中央部分に略鉛直方向に立設された支柱3と、基台2にその一端が固定された2つの弾性体21(21a,21b)と、支柱3を貫通しその支柱3の上部に固定されたクラッカー支持板4と、支柱3のクラッカー支持板4より上方に突出した上端部分に設けられた導火体支持部5とを、備えている。なお、本実施の形態において、弾性体21として板バネを採用している。
【0019】
2つの弾性体21a,21bの一端は、基台2の支柱3の周りにおいて支柱3を挟んで対称となる位置にそれぞれ固定されて、固定端となっている。一方、これらの弾性体21a,21bの他端は自由端であり、この自由端の下面には、仕掛糸8(8a,8b)の端部が連結される第一連結部22(22a,22b)が設けられている。なお、仕掛糸8は、たこ糸や釣り糸などの熱で燃える又は溶ける素材で成る糸又は紐であって、クラッカー利用遊具1の使用のたびに新しいものと取り替えられる。
【0020】
クラッカー支持板4には、クラッカー利用遊具1に装着するクラッカー10の数に対応する2つのクラッカー支持孔41(41a,41b)が穿設されている。クラッカー支持孔41は、クラッカー10の最大直径よりも直径の小さい円形孔である。従って、このクラッカー支持孔41にクラッカー10をその尖端を下方に向けて上方から挿入すると、途中でクラッカー10の外周とクラッカー支持孔41の内周とが当接してクラッカー10のそれより下方への移動が規制されるので、クラッカー10はクラッカー支持孔41から抜け落ちない。なお、市販されている一般的なクラッカーは、軸方向長さが異なったとしても軸と母線の為す角に大きな個差はないので、市販されている一般的な小さめのクラッカーを支持できるようにクラッカー支持孔41の径を定めれば、市販されている殆どのクラッカーを装着することが可能となる。
【0021】
また、クラッカー支持板4のクラッカー支持孔41と支柱3との間には、仕掛糸8の端部が固定される第二連結部43(43a,43b)と、仕掛糸8の通路となる導通孔42(42a,42b)とが設けられている。本実施の形態に係る第一連結部22及び第二連結部43は、いずれも仕掛糸8の一端を巻き付けたうえ結びつけることのできる頭付きピン形状を有しているが、第一連結部22及び第二連結部43の形態はこれに限定されるものではなく、仕掛糸8の端部を固定することができればいかなる形態であってもよい。
【0022】
導火体6は、点火されると燃焼するものであって、例えば、竹ヒゴや金属でできた柄の先に火薬を付着させて成るスボ手の線香花火などを用いることができる。図3(a)にも示すように、この導火体6を支持できる導火体支持部5は、支柱3の先端において導火体6を立てた状態で支持できる導火体支持穴51を備えている。導火体6を柄の方から導火体支持穴51へ挿入すると、導火体6を導火体支持穴51へ突き立てることができる。この導火体支持部5はクラッカー支持板4よりも上方に設けられており、これにより導火体6を導火体支持部5へより容易に装着することができ、さらに、火花を散らして燃焼する導火体6の姿を装置の他の部分に遮られることなく見ることができる。
【0023】
さらに、導火体支持部5は、導火体支持穴51に立てられた導火体6と接触せずに周囲を覆うことのできる筒状部材52を備えている。筒状部材52は、支柱3の上端に設けられた導火体支持穴51の周囲にその下端が固定されており、この筒状部材52に導火体6が遊挿されている。筒状部材52は、1本目の仕掛糸8aを筒状部材52内へ導入する導入孔53と、その仕掛糸8aを筒状部材52内から導出させる導出孔54とを備えている。導入孔53と導出孔54との配置は、これらの孔53,54を通る仕掛糸8aが筒状部材52内で導火体6の火薬が付着している部分と接触できるように定められている。また、筒状部材52は、2本目の仕掛糸8bを筒状部材52内へ導入する導入溝55と、その仕掛糸8bを筒状部材52内から導出させる導出溝56とを備えている。導入溝55と導出溝56との配置は、これらの溝55,56を通る仕掛糸8bが筒状部材52内で導火体6の火薬が付着している部分と接触するように定められている。なお、本実施の形態に係る筒状部材52は、その上下中途部に導入孔53,導出孔54を有し、その上端部に導入溝55,導出溝56を有しているので、前述の通りこれらを通じる2本の仕掛糸8a,8bは筒状部材52内で上下に位置している。但し、導入孔53,導出孔54に代えて筒状部材52の上端部に同様に機能する溝を形成して、或いは、導入溝55,導出溝56に代えて筒状部材52の上下中途部に同様に機能する孔を形成して、2本の仕掛糸8a,8bを筒状部材52内で同一高さに配置しても良い。
【0024】
そして、1本目の仕掛糸8は、始端が弾性体21aの第一連結部22aに連結され、終端が第二連結部43aに連結され、始端と終端の間にクラッカー支持板4の導通孔42aと筒状部材52の導入孔53及び導出孔54とを通っている。ここで1本目の仕掛糸8aには、弾性体21aの第一連結部22aを備えた自由端が1個目のクラッカー10aの引き紐の引き代以上に上方へ変位するように弾性変形させた状態で保持する張力が付与されている。また、2本目の仕掛糸8bは、始端が弾性体21bの第一連結部22bに固定され、終端が第二連結部43bに連結され、始端と終端との間にクラッカー支持板4の導通孔42bと筒状部材52の導入溝55及び導出溝56とを通っている。ここで2本目の仕掛糸8bには、弾性体21bの第一連結部22bを備えた自由端が2個目のクラッカー10bの引き紐の引き代以上に上方へ変位するように弾性変形させた状態で保持する張力が付与されている。
【0025】
[クラッカー利用遊具1の使用手順]
ここで、クラッカー利用遊具1の使用手順を説明する。クラッカー利用遊具1を使用するに際して、遊具本体7にクラッカー10と導火体6とが装着される。1個目のクラッカー10aは、クラッカー支持板4のクラッカー支持孔41aに挿入されて支持され、その引き紐は1本目の仕掛糸8aの一端が連結された弾性変形後の弾性体21aの第一連結部22aに結びつけられる。2個目のクラッカー10bは、クラッカー支持板4のクラッカー支持孔41bに挿入されて支持され、その引き紐は2本目の仕掛糸8bの一端が連結された弾性変形後の弾性体21bの第一連結部22bに結びつけられる。導火体6は、導火体支持部5の導火体支持穴51に突き立てられる。なお、市販されている一般的なクラッカーは軸方向の大きさが異なったとしても引き紐の長さの個差は小さく、さらに、前述した通り軸と母線との角度の個差も小さいので、クラッカーのクラッカー支持板4から下側部分に表れる部分の長さ並びに引き紐の長さは個差が小さい。よって、クラッカー支持板4には市販されている一般的なクラッカーの殆どを取り付けることが可能であり、クラッカー利用遊具1の汎用性は高い。
【0026】
上記のようにクラッカー10と導火体6とを装着したクラッカー利用遊具1において、導火体6の先端に点火すると、花火である導火体6はバチバチと音と火花を出しながら先端から柄のある導火体支持部5の方へ向かって燃焼していく。そして、導火体6の燃焼位置が筒状部材52にさしかかると、導火体6の火及び熱により仕掛糸8が焼き切れる。まずは、筒状部材52内において上方に位置する仕掛糸8bが焼き切れて、この仕掛糸8bに掛かっていた張力が開放され、図3(b)に二点鎖線で示すように、弾性体21bは弾性変形から回復する。弾性体21bが弾性変形から回復するときに、弾性体21bの自由端の変位に伴って弾性体21bに連結されたクラッカー10bの引き紐が引っ張られて、クラッカー10bが発火してパンと鳴る。続いて、筒状部材52内において下方に位置する仕掛糸8aが焼き切れて、先ほどと同様にクラッカー10aが発火してパンと鳴る。なお、2本の仕掛糸8a,8bを筒状部材52内で同一高さに配置すれば、2本の仕掛糸8a,8bはほぼ同時に焼き切れるので、2個のクラッカー10a,10bをほぼ同時に鳴らすことができる。
【0027】
上述のように、本発明に係るクラッカー利用遊具1では、導火体6に点火してからクラッカー10が鳴るまでにタイムラグ(導入時間)があり、このタイムラグの間に導火体6が燃焼する姿を見たり音を聞いたり、弾性体21が弾性変形から回復する様子を見たり、仕掛糸8が焼き切れる様子を見たりして、クラッカー10が鳴る瞬間に加えクラッカー10が鳴るまでの時間を楽しむことができる。そして、このタイムラグの間において導火体6の燃焼位置が導火体支持部5側へ徐々に移動するときに、クラッカー10の鳴りを待つことで気分が高まるので場の雰囲気の盛り上がりが期待できる。さらに、仕掛糸8の筒状部材52内での高さ位置を選択することで、複数のクラッカー10を時間間隔をおいて断続的に鳴らしたり、複数のクラッカー10をほぼ同時に鳴らしたりすることができる。
【0028】
なお、弾性体21は板バネに代えて、引っ張りバネや、ゴムなどの弾性体であって、クラッカー10の引き紐の引き代に相当する変位が可能なものを利用することができる。但し、弾性体21として板バネを利用することは、クラッカー利用遊具1を簡易且つ安価に構成することができると共に、弾性体21の弾性回復時にそのダイナミックな動きを見て楽しむことができるので好ましい。
【0029】
[変形例]
上記のクラッカー利用遊具1において、クラッカー支持板4は複数のクラッカー10を支持できるように構成されており、このクラッカー10と同じ数の弾性体21と仕掛糸8とを備えている。このように1台のクラッカー利用遊具1で複数のクラッカー10を鳴らすように構成することができるが、クラッカー利用遊具1は装着できるクラッカー10が単数となるように構成しても良いし、装着できるクラッカー10が2よりも大きい複数となるように構成しても良い。以下に、クラッカー利用遊具1の変形例を説明する。
【0030】
(変形例1)
まず、クラッカー利用遊具1の変形例1を説明する。図4はクラッカー利用遊具の変形例1を示す平面図である。図4に示すように、変形例1に係るクラッカー利用遊具1は、4個のクラッカー10を装着することができる。このために、クラッカー支持板4は4個のクラッカー支持孔41と4個の導通孔42と4個の第二連結部43を備えており、基台2には4枚の弾性体21の固定端が固定されている。各弾性体21の自由端には、導火体支持部5の筒状部材52内を導火体6と接触しながら通過する仕掛糸8の一端と、クラッカー10の引き紐とが、それぞれに固定されている。係る構成のクラッカー利用遊具1において、導火体支持部5に支持された導火体6に点火すると、その火と熱により各仕掛糸8が焼き切れて、各弾性体21が弾性回復してその自由端が変位し、各クラッカー10が鳴る。ここで4本の仕掛糸8は筒状部材52内で上に配置されたものから順に焼き切れるので、4個のクラッカー10は、筒状部材52内で上側に配置された仕掛糸8に接続された弾性体21に引き紐が連結されたものから順に次々と鳴る。なお、4本の仕掛糸8を筒状部材52内で同一高さに配置すれば、4個のクラッカー10をほぼ同時に鳴らすことができる。
【0031】
(変形例2)
続いて、クラッカー利用遊具1の変形例2を説明する。図5はクラッカー利用遊具の変形例2を示す斜視図、図5はクラッカー利用遊具の変形例2を示す斜視図である。図5及び図6に示すように、変形例2に係るクラッカー利用遊具1は、4個のクラッカー10を装着することができる。このために、クラッカー支持板4は4個のクラッカー支持孔41と2個の導通孔42と2個の第二連結部43を備えており、基台2には2枚の弾性体21の固定端が固定されている。そして、各弾性体21の自由端には、導火体支持部5の筒状部材52内を導火体6と接触しながら通過する仕掛糸8の一端と、2個のクラッカー10の引き紐とが、それぞれに固定されている。係る構成のクラッカー利用遊具1において、導火体支持部5に支持された導火体6に点火すると、その火と熱により各仕掛糸8が焼き切れて、各弾性体21が弾性回復してその自由端が変位し、各クラッカー10が鳴る。ここで2本の仕掛糸8は筒状部材52内で上に配置されたものから順に焼き切れるので、先ず、筒状部材52内で上側に配置された仕掛糸8に接続された弾性体21に引き紐が連結された2個のクラッカー10が鳴り、続いて、筒状部材52内で下側に配置された仕掛糸8に接続された弾性体21に引き紐が連結された残りの2個のクラッカー10が鳴る。なお、2本の仕掛糸8を筒状部材52内で同一高さに配置すれば、4個のクラッカー10をほぼ同時に鳴らすことができる。
【0032】
複数のクラッカー10と同じ複数の弾性体21と仕掛糸8とをそれぞれ備える変形例1と、複数のクラッカー10とそれよりも少ない複数の弾性体21と仕掛糸8とをそれぞれ備える変形例2とで示されるように、同じ数のクラッカー10を装着できるクラッカー利用遊具1であっても弾性体21及び仕掛糸8の数が異なる構成とすることができる。つまり、クラッカー利用遊具1に装着できるクラッカー10の数と弾性体21及び仕掛糸8の数とは必ずしも一致させる必要はない。クラッカー利用遊具1に装着できるクラッカー10の数に対してクラッカー利用遊具1が備える弾性体21及び仕掛糸8の数を少なくすれば、装置の巨大化を抑えることができ、部品点数も少なくなるので、より価格を抑えて製品を提供することが可能となる。
【0033】
[組み合わせ例]
上記のクラッカー利用遊具1に、他の遊具を組み合わせることができる。以下では、ポップアップメッセージボードを組み合わせた例を説明する。図7はクラッカー利用遊具にポップアップメッセージボードを組み合わせた例を示す側面図であり、図8はポップアップメッセージボードの動作を説明する側面断面図であり、図8(a)はポップアップ前、図8(b)はポップアップ後を示している。
【0034】
図7及び図8(a)に示すように、クラッカー利用遊具1は支柱3の図7の紙面奥側にポップアップメッセージボード70を備えている。このポップアップメッセージボード70は、クラッカー10が鳴った後に、ゆっくりと上昇する。
【0035】
ポップアップメッセージボード70は、基台2に立設された支柱71と、支柱71の上端に接続された上下方向に延びる支持筒72と、支持筒72に軸状の基部76aが摺動可能に内挿されたメッセージ台76と、メッセージ台76の上部に取り付けられたメッセージボード75と、支持筒72に外装されたスプリング73とを備えている。
【0036】
メッセージ台76は、支持筒72に内挿された基部76aと、基部76aの上端に設けられたフランジ部76bと、フランジ部76bの周囲に設けられた仕掛糸固定部76cとを、一体的に備えている。フランジ部76bは支持筒72の外径よりも大きい外径を有し、フランジ部76bの下面と支持筒72の上端面とが当接することによってメッセージ台76の下方への移動が規制される。このフランジ部76bの下面にスプリング73の上端が当接し、支柱71と支持筒72の段差面にスプリング73の下面が当接して、ポップアップ前においてスプリング73はこれらの間で圧縮した状態にある(図8(a))。
【0037】
また、メッセージ台76に設けられた仕掛糸固定部76cは仕掛糸74を結びつけることのできる孔であって、メッセージ台76に二カ所設けられている。一方、クラッカー支持板4には、仕掛糸74が通る案内体44,44が仕掛糸固定部76cの数に合わせて設けられており、導火体支持部5の筒状部材52には仕掛糸74が導火体6と接触しながら通る挿通孔58,58が形成されている。そして、メッセージ台76の仕掛糸固定部76cよりも案内体44は低い位置にあり、案内体44よりも筒状部材52に形成された挿通孔58,58は高い位置にある。
【0038】
図8(a)に示すように、ポップアップ前のポップアップメッセージボード70において、仕掛糸74の一端はメッセージ台76の仕掛糸固定部76cの一方に固定され、ここから、一方の案内体44、筒状部材52に形成された挿通孔58,58、及び他方の案内体44を通って、他端は仕掛糸固定部76cの他方に固定されている。この仕掛糸74は、メッセージ台76のフランジ部76bと支持筒72とが当接する位置までスプリング73を圧縮させるように張力が付与されている。なお、仕掛糸74は、筒状部材52内においてクラッカー10を鳴らすための仕掛糸8よりも低い位置にあり、仕掛糸8よりも後で焼き切れることとなる。
【0039】
そして、クラッカー利用遊具1の導火体6に点火すると導火体6が燃焼し、まず、仕掛糸8,8が焼き切れてクラッカー10,10が鳴り、続いて、仕掛糸74が焼き切れる。すると、メッセージ台76は仕掛糸74の張力から解放され、圧縮されていたスプリング73は伸び始め、図8(b)に示すように、メッセージボード75がメッセージ台76と一体的に上昇し始める。ここで、支持筒72の内周とメッセージ台76の基部76aの外周とに摺動抵抗を付与するグリスを塗っておくと、メッセージボード75は比較的ゆっくりと時間をかけて上昇する。なお、ポップアップ後のメッセージボード75は、導火体支持部5の筒状部材52よりも高いところに位置して、メッセージが導火体支持部5で隠れないようにすることがよい。
【0040】
さらに、ポップアップしたメッセージボード75が導火体6の燃えかすで隠れないようにするために、例えば、燃焼後の導火体6が支柱3内に落下するようにクラッカー利用遊具1を構成することもできる。図9は導火体支持部の変形例を説明する側面断面図であり、図9(a)は導火体の燃焼前、図9(b)は導火体の燃焼後を示している。
【0041】
図9(a)に示す例では、クラッカー利用遊具1の支柱3は筒体で構成され、支柱3の上端に導火体支持部5の筒状部材52が固定されている。この支柱3の内周であって上部には、内周側へ突出する突部31が形成されている。この突部31の内周を導火体6が通過できるように、突部31の内径は導火体6の外径よりも大きい。一方、導火体6の柄の部分には、蝋や紙などの導火体6の熱で溶ける又は火で燃焼する材料で構成されて、支柱3の突部31の内径よりも大きい外径を有するフランジ61が取り付けられている。この導火体6を筒状部材52へ上方から挿入すると、支柱3の突部31の上面にフランジ61の下面が当接して、導火体6が支持される。
【0042】
上記構成において、導火体6が燃焼してフランジ61が溶ける又は燃えると、図9(b)に示すように、導火体6の燃えかすは支柱3内へ落下する。このようにして、燃焼後の導火体6をクラッカー利用遊具1の外観に表れないようにすれば、燃えたあとも美観を保つことができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係るクラッカー利用遊具は、装着できるクラッカーの数は上記に限定されることなく、単数又は複数のクラッカーを装着し、装着されたクラッカーを鳴らす装置として適宜形態を変化させて利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 クラッカー利用遊具
2 基台
3 支柱
4 クラッカー支持板
41 クラッカー支持孔
42 導通孔
43 第二連結部
5 導火体支持部
51 導火体支持穴
52 筒状部材
6 導火体
7 遊具本体
8 仕掛糸
10 クラッカー
21 弾性体
22 第一連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定端と自由端とを有する弾性体と、
前記弾性体の自由端にその一端が連結されて前記弾性体の自由端をクラッカーの引き紐の引き代以上に変位するように弾性変形させた状態で保持する張力が付与された仕掛糸と、
弾性変形させた状態の前記弾性体の自由端にその引き紐が連結されるようにクラッカーを支持できるクラッカー支持体と、
前記仕掛糸と接触する位置に点火されると燃焼する導火体を支持できる導火体支持体とを備え、
前記クラッカー支持体にクラッカーを支持させ、その引き紐を前記弾性体の自由端に連結し、前記導火体支持体に導火体を支持させて前記導火体に点火すると、前記導火体の燃焼により前記仕掛糸が焼き切れるように構成されている、クラッカー利用遊具。
【請求項2】
前記クラッカー支持体は、前記弾性体の固定端が固定された基台と、前記基台に立設された支柱と、前記支柱に固定されてクラッカーをその尖端から挿入して支持できる孔を有する支持板とで構成されている、請求項1に記載のクラッカー利用遊具。
【請求項3】
前記導火体支持体は、前記支柱の前記支持板よりも上方に設けられている、請求項2に記載のクラッカー利用遊具。
【請求項4】
前記弾性体は板バネである、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のクラッカー利用遊具。
【請求項5】
前記クラッカー支持体は複数のクラッカーを支持できるように構成されており、前記複数のクラッカーと同じ複数の前記弾性体と前記仕掛糸とをそれぞれ備えている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のクラッカー利用遊具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−98161(P2011−98161A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256334(P2009−256334)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(503219824)株式会社田中務補商事 (4)
【Fターム(参考)】