説明

クラッチおよびそれを備えた鞍乗型車両

【課題】高回転域での伝達トルクを大きくすることが可能なクラッチの耐久性の向上および構成の容易化を図る。
【解決手段】クラッチ54は、クラッチハウジング1と、クラッチボス2と、フリクションプレート3とクラッチプレート4とからなるプレート群34と、遠心機構5とを備えている。遠心機構5は、プレート群34の左側に設けられている。一方、プレート群34の右側には、クラッチスプリング9によって左向きに付勢されたプレッシャプレート8が設けられている。遠心機構5は、メイン軸55と共に回転する支持部材5aと、支持部材5aに軸方向にスライド自在に支持されるプレートプレッシャ5cと、支持部材5aとプレートプレッシャ5cとに挟持された遠心錘5bとを備えている。プレートプレッシャ5cは、メイン軸55の回転数が所定値以上となると、遠心錘5bに付勢されて右方向にスライド移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッチおよびそれを備えた鞍乗型車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動二輪車等の鞍乗型車両において、常時噛み合い式の変速装置を採用したものが知られている。この常時噛み合い式の変速装置は、メイン軸およびドライブ軸にそれぞれ設けられたギアを備えており、チェンジペダルの操作により、これらのギアの組み合わせを選択的に変更させることにより変速を行う。
【0003】
このような常時噛み合い式の変速装置では、エンジンからの駆動力がクラッチを介してメイン軸に作用している。そのため、シフトチェンジの際には、通常、一旦クラッチを切断させて、メイン軸に作用しているエンジン駆動力を開放させてから、ギアチェンジを行うようにしている。また、クラッチの切断は、通常、ハンドル付近に設けられたクラッチレバーを操作することにより行われる。
【0004】
ところで、近年、鞍乗型車両において、例えば1000cc以上の大排気量かつ高トルクのエンジンが多く用いられている。このようなエンジンでは、伝達トルクを増大させるために大容量のクラッチが必要となる。
【0005】
そこで、フリクションプレートおよびクラッチプレートを大径に形成し、クラッチの容量を上げるという手法が考えられる。しかし、この手法では、クラッチが大型化するため、車幅の狭い鞍乗型車両においては好ましくない。
【0006】
また、クラッチスプリングの荷重を上げることにより、クラッチの容量を上げることも考えられる。しかしながら、クラッチスプリングの荷重を上げると、クラッチレバーにかかる荷重も上がる。そのため、当該手法では、クラッチ操作を行う際、操作者(鞍乗型車両の乗員)にかかる負荷が大きくなり、操作性に劣るという問題があった。
【0007】
そこで、遠心錘を用いて、回転上昇に伴って伝達トルクを増大させるクラッチが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
当該特許文献1に記載のクラッチは、駆動軸に接続された複数のフリクションプレートと、従動軸に接続された複数のクラッチプレートとが、従動軸の軸方向(以下、単に軸方向と称する。)に交互に配置されている。また、これら複数のフリクションプレートとクラッチプレートとからなるプレート群の軸方向一方側には、両プレートを接触または離間させるプレッシャプレートと、当該プレッシャプレートを、常時、軸方向他方側向きに付勢する第1のスプリングとが設けられている。また、上記クラッチはこれらの構成に加えて、プレッシャプレートの軸方向他方側に、駆動軸の回転が高回転域に達すると当該プレッシャプレートを軸方向一方側へと付勢する遠心機構が設けられている。遠心機構は、プレッシャプレートと対峙する様に形成されたカム面を有するキャリアプレートと、キャリアプレートとプレッシャプレートとの間に配置され、キャリアプレートに固定された皿ばねと、キャリアプレートのカム面と皿ばねとの間に挟まれる様に配置された遠心錘と、を備えている。また、上記クラッチには、キャリアプレートの軸方向他方側に、キャリアプレートを軸方向一方側向きに付勢する第2のスプリングが設けられている。
【0009】
上記クラッチでは、駆動軸の回転が低回転域にある場合、遠心錘は皿ばねによってキャリアプレートに形成された凹部の最深部に位置するように規制されている。そして、駆動軸の回転数の上昇に伴い、遠心錘にかかる遠心力は大きくなる。これにより、遠心錘はやがて皿ばねの付勢力に抗して従動軸の径方向外側へと移動する。そして、キャリアプレートは軸方向他方側に押し付けられ、第2のスプリングが圧縮される。そして、第2のスプリングによる反発力はキャリアプレートを軸方向一方側向きに付勢し、当該付勢力は、遠心錘および皿ばねを介してプレッシャプレートに作用する。これにより、フリクションプレートとクラッチプレートとの圧接力がこの付勢力分だけ付加されることとなる。したがって、上記クラッチによれば、高回転域における伝達トルクを大きくすることが可能となる。
【特許文献1】特公昭62−18771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示されたクラッチでは、低回転域において遠心機構が機能しない様に皿ばねを用いている。皿ばね等の弾性体は磨耗し易い性質を有しており、また、磨耗するとその特性が変化してしまう。そのため、上記クラッチでは、長年の使用により皿ばねの特性が変化し、遠心錘を押さえることができなくなることが想定される。このような場合、低回転域においても遠心機構が機能してしまうおそれがある。そうすると、低回転域においても伝達トルクが増大させてしまい、半クラッチ等の複雑な操作を必要とする低回転域において、クラッチ操作量を増大させてしまうという問題があった。
【0011】
また、上記クラッチでは、皿ばねをキャリアプレートに金具等を用いて固定している。また、当該皿ばねは、低回転域において、遠心錘をキャリアプレートに押し付ける様に固定されなければならない。そのため、上記クラッチでは、構成が複雑となり、組み立てや分解作業が困難となるという問題があった。また、遠心機構のメンテナンスを行う際に、遠心錘等の着脱が容易に行えない為、メンテナンスに手間がかかるという問題もあった。
【0012】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、高回転域における伝達トルクを増大することが可能なクラッチにおいて、耐久性の向上および構成の容易化を図ることを目的とする。また、本発明の他の目的は、耐久性に優れた鞍乗型車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るクラッチは、回転軸が挿通され、前記回転軸とともに回転するクラッチボスと、クラッチハウジングと、前記クラッチボスに取り付けられたクラッチプレートと、前記クラッチハウジングに取り付けられ、前記クラッチプレートと前記回転軸の軸方向に対向するフリクションプレートとからなるプレート群と、前記プレート群の前記回転軸の軸方向一方側に設けられ、前記プレート群と当接自在なように前記回転軸の軸方向に移動自在なプレッシャプレートと、前記フリクションプレートと前記クラッチプレートとを圧着させるように、前記プレッシャプレートを前記回転軸の軸方向他方側に付勢するクラッチスプリングと、を備えたクラッチであって、前記プレート群の前記回転軸の軸方向他方側に設けられ、前記回転軸と共に回転する支持部材と、前記支持部材と前記プレート群との間に配置されるとともに、前記支持部材に前記回転軸の軸方向にスライド自在に支持され、前記プレート群に当接するプレートプレッシャと、前記支持部材と前記プレートプレッシャとに挟持された遠心錘と、を有する遠心機構を備え、前記支持部材および前記プレートプレッシャの互いに対峙する面の少なくとも一方には、前記遠心錘が遠心力を受けて前記回転軸の径方向外側へ移動する程、前記遠心錘が前記プレートプレッシャを前記プレート群側に押す力が大きくなるようなカム面が形成されているものである。
【0014】
上記クラッチでは、プレート群の回転軸の軸方向一方側にプレッシャプレートが設けられ、他方側に遠心機構が設けられている。そのため、遠心機構には、プレート群およびプレッシャプレートを介してクラッチスプリングによる軸方向他方側向きの力が付勢されている。これにより、上記クラッチでは、回転軸が所定の回転数に達するまでは、プレートプレッシャが遠心錘に押し出されて軸方向一方側へ移動することはない。そのため、上記クラッチによれば、従来のクラッチのように、プレート群と逆向きに遠心錘を押し付ける皿ばね等の弾性体からなる押し付け部材を設けることなく、遠心機構が低回転域においては作用せず、高回転域において作用する様に構成することができる。したがって、上記クラッチによれば、弾性体を用いることによる遠心機構の機能低下を防止することができ、耐久性の向上を図ることができる。
【0015】
また、上記クラッチでは、遠心錘とプレート群との間に介在するプレートプレッシャは、支持部材に固定されず、回転軸の軸方向にスライド自在に支持されている。そのため、上記クラッチでは、従来のクラッチに比べ、遠心機構を容易に構成することができる。これにより、遠心機構を容易に組み立てることができる。したがって、上記クラッチによれば、組み立てまたは分解が容易となり、メンテナンスを容易に行うことができる。
【0016】
本発明に係る鞍乗型車両は、前記クラッチを備えたものである。
【0017】
このことにより、メンテナンス容易であり、耐久性に優れた鞍乗型車両を提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、高回転域における伝達トルクを増大することが可能なクラッチにおいて、耐久性の向上および構成の容易化を図ることが可能となる。また、耐久性に優れた鞍乗型車両を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
《自動二輪車10の構成》
まず、本実施形態に係る自動二輪車10の構成について図1および図2を用いて説明する。なお、図1は、自動二輪車10の側面図であり、図2は、自動二輪車10の駆動系の構成図である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態に係る自動二輪車10は、骨格をなす車体フレーム11と、乗員が着座するシート12とを備えている。シート12に着座した乗員は、車体フレーム11を跨いで乗車する。なお、以下の説明では、前後左右の方向は、シート12に着座した乗員から見た方向を言うものとする。
【0022】
車体フレーム11は、ヘッドパイプ13と、ヘッドパイプ13から下方に向かって延びるダウンチューブ14と、ダウンチューブ14よりも上方においてヘッドパイプ13から後方に向かって延びるメインチューブ15とを備えている。ダウンチューブ14は、中途部において後方に向かって湾曲している。一方、メインチューブ15は、中途部において下方に向かって湾曲し、ダウンチューブ14の後端部に連結されている。メインチューブ15の下端部には、ピボット軸16を介してリヤアーム17の前端部が揺動自在に連結されている。ヘッドパイプ13の下端部には、フロントフォーク18を介して前輪19が支持されている。また、リヤアーム17の後端部には、後輪20が支持されている。
【0023】
ヘッドパイプ13の上端部には、ハンドル41が設けられている。ハンドル41の右グリップ41R(図2参照)は、アクセルグリップを構成している。また、図2に示すように、右グリップ41Rの近傍には、ブレーキレバー103が設けられている。一方、ハンドル41の左グリップ41Lの近傍には、クラッチレバー104が設けられている。なお、前輪19(図1参照)は、ハンドル41の右グリップ41R近傍に設けられたブレーキレバー103を操作することにより制動される。また、クラッチレバー104を操作することで後述するクラッチ54が断続される。
【0024】
図1に示すように、車体フレーム11には、後輪20を駆動するエンジン21が支持されている。エンジン21の種類は何ら限定されないが、本実施の形態では、エンジン21は水冷式4サイクル並列4気筒型のものとして説明する。本エンジン21は、クランク軸52を収容するクランクケース22が車幅方向の両側で車体フレーム11に懸架されることにより、車体フレーム11に支持されている。
【0025】
また、エンジン21には、変速装置30が設けられている。図2に示すように、変速装置30は、クランク軸52と平行に配設されたメイン軸55と、メイン軸55と平行に配設されたドライブ軸58と、複数段の変速ギア57,59と、シフトカム79とを備え、図1に示すクランクケース22に一体に組み付けられている。メイン軸55の右端部55aには、クラッチ54が取り付けられている。クラッチ54は、変速ギア57,59を切り替える際に回転伝達を断続させる。
【0026】
図1に示すように、ドライブ軸58にはドライブスプロケット38aが設けられ、このドライブスプロケット38aと後輪20に設けたドリブンスプロケット38bとにチェーン37が巻き掛けられている。これにより、エンジン動力がチェーン37を介して後輪20に伝達される。
【0027】
また、図1には示していないが、自動二輪車10の右側の下部には、後輪20を制動させるためのブレーキペダルが設けられている。さらに、自動二輪車10の左側の下部には、変速装置30の変速ギア57,59を切り替えるためのチェンジペダル23が設けられている。なお、本実施形態では、チェンジペダル23の操作により、シフトポジションをニュートラルから最高ギア段である6速ギア段までの間で増加または減少させることができる。
【0028】
以上が自動二輪車10の全体構成である。次に、図2を参照しながら、変速装置30の詳細な説明をする。
【0029】
《変速装置30について》
変速装置30は、メイン軸55と、ドライブ軸58と、複数段の変速ギア57,59と、シフトカム79とを備えている。クランク軸52は、クラッチ54を介してメイン軸55に連結されている。メイン軸55には、多段(図2では6段)の変速ギア57が装着されている。メイン軸55に装着された各変速ギア57は、ドライブ軸58上に装着された変速ギア59と噛み合っている。なお、図2では、説明の便宜上、変速ギア57と変速ギア59とを分離して示している。
【0030】
これら変速ギア57および変速ギア59は、選択されたギア以外は、いずれか一方または両方がメイン軸55またはドライブ軸58に対して空転状態で装着されている。したがって、メイン軸55からドライブ軸58への駆動力の伝達は、選択された一対の変速ギアのみを介して行われる。なお、一対の変速ギア57、59が、メイン軸55からドライブ軸58へ駆動力が伝達される状態で噛み合っている状態はギアイン状態である。
【0031】
変速ギア57および変速ギア59を選択してギアチェンジを行う動作は、シフトカム79により行われる。シフトカム79には、複数(図2では3本)のカム溝60が形成され、各カム溝60にシフトフォーク61が装着される。各シフトフォーク61は、それぞれメイン軸55およびドライブ軸58の所定の変速ギア57、59に係合している。シフトカム79が回転することにより、シフトフォーク61がカム溝60に沿ってメイン軸55およびドライブ軸58に平行な方向に移動する。そして、このシフトフォーク61の移動に連動して、メイン軸55およびドライブ軸58に対してスプライン嵌合されている所定の変速ギア57、59がメイン軸55またはドライブ軸58の軸方向に移動する。そして、軸方向に移動した変速ギア57、59が、メイン軸55およびドライブ軸58に空転状態で装着されている他の変速ギア57、59と係合することによりギアチェンジが行われる。このようなギアチェンジは、チェンジペダル105(図1参照)を操作することにより行われる。
【0032】
次に、図3を用いて、クラッチ54について詳細に説明する。なお、以下、メイン軸55の軸方向Xを単に「軸方向」と称する。また、図3に矢印で示すように、軸方向に関し一方側を右側、他方側を左側と称する。なお、ここで説明する「軸方向」には、メイン軸55に平行な方向も含まれることとする。
【0033】
《クラッチ54について》
本実施形態のクラッチ54は、クラッチハウジング1と、クラッチボス2と、摩擦板である複数のフリクションプレート3およびクラッチプレート4からなるプレート群34と、遠心機構5とを備えている。
【0034】
クラッチハウジング1は、メイン軸55回りに設けられた筒状のボス部1aと、ボス部1aに固定され、ボス部1aよりも大径の筒状のハウジング部1bとを有している。ボス部1aは、メイン軸55に相対回転可能かつ軸方向にスライド不能に支持されている。ハウジング部1bの内周面には、フリクションプレート3を係合させるための係合部が形成されている。本実施形態では、当該係合部は、軸方向に延びる複数の溝1cにより構成されている。
【0035】
ボス部1aの内側には、ギア51が設けられている。ギア51の内周面には歯51aが形成されている。歯51aは、ボス部1aの外周側に形成された歯1dと噛み合わされている。また、ギア51の外周面に形成された歯51bは、クランク軸52の外周側端部に形成された歯52aと噛み合わされている。このような構成により、クランク軸52の回転力はギア51を介してクラッチハウジング1に伝達され、クラッチハウジング1がメイン軸55回りに回転することとなる。
【0036】
各フリクションプレート3は、リング状の薄板状に形成されており、外周縁には複数の歯3aが形成されている。当該複数の歯3aは、ハウジング部1bの溝1cとスライド自在に係合している。これにより、フリクションプレート3は、クラッチハウジング1と、メイン軸55回りに相対回転不能かつ軸方向にスライド自在に係合することとなる。なお、各フリクションプレート3は、各クラッチプレート4と軸方向に対向し、各フリクションプレート3の板面が軸方向に対して略直角となるように配置されている。
【0037】
クラッチボス2は、略筒状に形成されている。また、クラッチボス2の外周面には、クラッチプレート4を係合させるための係合部が形成されている。本実施形態では、当該係合部は、軸方向に延びる複数の溝2aにより構成されている。クラッチボス2は、遠心機構5と係合しており、遠心機構5と一体となってメイン軸55回りに回転する。
【0038】
各クラッチプレート4は、リング状の薄板状に形成されており、フリクションプレート3の間に配置されている。つまり、フリクションプレート3とクラッチプレート4とは軸方向に交互に配置されている。クラッチプレート4の内周縁には複数の歯4aが形成されており、当該複数の歯4aはクラッチボス2の溝2aとスライド自在に係合している。これにより、クラッチプレート4は、クラッチボス2と、メイン軸55回りに相対回転不能かつ軸方向にスライド自在に係合することとなる。なお、各クラッチプレート4は、各クラッチプレート4の板面が軸方向に対して略直角となるように配置されている。
【0039】
遠心機構5は、支持部材5aと、遠心錘5bと、プレートプレッシャ5cとを備えている。
【0040】
支持部材5aは、メイン軸55に相対回転不能かつ軸方向にスライド不能に取り付けられている。支持部材5aのメイン軸55の径方向外側端部には、遠心錘5bを支持する支持面7aが形成されている。支持面7aは、支持部材5aに溝部を形成する。
【0041】
プレートプレッシャ5cは、メイン軸55の径方向において、クラッチハウジング1の係合部である溝1cとクラッチボス2の係合部である溝2aとの間に配置されている。プレートプレッシャ5cは、支持部材5aの支持面7aにより形成された溝部内に載置されており、支持部材5aにメイン軸55回りに相対回転不能、かつ、軸方向にスライド自在に支持されている。プレートプレッシャ5cは、メイン軸55の径方向外側へ向かう程、軸方向の厚みが大きくなるように形成されている。また、本実施形態では、プレートプレッシャ5cは、金属によって形成されている。
【0042】
プレートプレッシャ5cには、支持部材5aの支持面7aと対峙するカム面7bが形成されている。本実施形態では、メイン軸55の径方向外側へ向かう程、左側へ傾斜する様に形成されている。
【0043】
遠心錘5bは、支持部材5aの支持面7aとプレートプレッシャ5cのカム面7bとの間に配置され、支持部材5aとプレートプレッシャ5cとにより挟持されている。本実施形態では遠心錘5bは、球状に形成されている。
【0044】
プレート群34の右側には、プレッシャプレート8が設けられている。プレッシャプレート8は、メイン軸55内に収納されたプッシュロッド56の右端部56aに固定されている。プッシュロッド56の右端部56aは、メイン軸55の右端部55aよりもさらに右側に位置している。プレッシャプレート8は、リング状の薄板状に形成された押圧部8aを有している。押圧部8aは、プレート群34と当接自在なように軸方向に移動自在に設けられている。押圧部8aは、後述するクラッチスプリング9により、フリクションプレート3とクラッチプレート4とを圧着する方向、本実施形態では左向きに付勢される。
【0045】
プレッシャプレート8の右側面8bには、クラッチスプリング9の一端部が当接している。本実施形態では、クラッチスプリング9としてコイルばねが用いられている。クラッチスプリング9の他端部は、支持部材5aに固定されたボルト70により、左向きに押さえ付けられている。これにより、前述のように、クラッチスプリング9は、常時、プレッシャプレート8を左向きに付勢し、フリクションプレート3とクラッチプレート4とは、常時圧着した状態におかれることとなる。
【0046】
このような構成により、プレート群34の右側には、クラッチスプリング9によって左向きに付勢されたプレッシャプレート8が設けられ、プレート群34の左側には、メイン軸55の回転数が所定値以上となると、プレートプレッシャ5cを右向きにスライド移動させる遠心機構5が設けられることとなる。
【0047】
図2に示すように、プッシュロッド56の左端部56bは、筒状のメイン軸55の左端部から突出している。プッシュロッド56の上記突出した左端部56bは、レリーズ機構50を介してクラッチレバー104と接続されている。レリーズ機構50は、乗員がクラッチレバー104を握ると、プッシュロッド56をメイン軸55に沿ってクラッチ54側方向(図3において右方向)に押し出す様に構成されている。このような構成により、クラッチレバー104とレリーズ機構50とプッシュロッド56とは、フリクションプレート3とクラッチプレート4との圧着を強制的に解除する解除機構を構成している。
【0048】
以上がクラッチ54の構成である。次に、クラッチ54の作用について説明する。
【0049】
《クラッチ54の作用》
乗員がクラッチレバー104を握らず、離した状態にあるとき、クラッチ54は接続状態となる。プレッシャプレート8は、クラッチスプリング9により、常時左向きに付勢されている。そのため、フリクションプレート3とクラッチプレート4とには、常時左向きの荷重が加えられる。そして、両プレート3,4は、遠心機構5のプレートプレッシャ5cとプレッシャプレート8の押圧部8aとによって挟み込まれ、圧着させられる。これにより、両プレート3,4の間に摩擦力が発生し、クラッチプレート4はフリクションプレート3に従動することとなる。このようにして、クラッチハウジング1からクラッチボス2へのトルク伝達が可能となる。
【0050】
一方、乗員がクラッチレバー104を握ったとき、クラッチ54は切断されて非接続状態となる。クラッチレバー104が握られると、レリーズ機構50を介してプッシュロッド56が図3の右側に押し出される。これに伴い、プレッシャプレート8が図3の右側に移動する。そして、プレッシャプレート8の押圧部8aが、プレッシャプレート8の押圧部8aに最も近いところに位置するフリクションプレート3と離反し、フリクションプレート3とクラッチプレート4との圧着が解除される。そのため、各フリクションプレート3と各クラッチプレート4との間には、トルクを伝達できる摩擦力が発生しなくなる。
【0051】
このようにして、クラッチレバー104による乗員の操作力とクラッチスプリング9の付勢力との大小によって、プレッシャプレート8は軸方向一方側または他方側(図3においては右側または左側)方向に移動する。そして、この移動に応じてクラッチ54は動力を伝達できる接続状態、または、動力を伝達できない非接続状態になる。
【0052】
なお、本自動二輪車10のクラッチ54には遠心機構5が設けられている。当該遠心機構5は、メイン軸55の回転数が所定値以上となり高回転域に達すると、クラッチハウジング1からクラッチボス2への伝達トルクを増大させる様に作用する。以下、その作用を具体的に説明する。
【0053】
クラッチ54が接続状態となり、クラッチボス2の回転数が上昇するにつれて、遠心錘5bはメイン軸55の径方向外側向きに遠心力を受けて、径方向外側に移動する。ここで、遠心錘5bは、プレートプレッシャ5cに形成されたカム面7bに沿って移動することとなるが、当該カム面7bは、上述のように、径方向外側へ向かう程、左側に傾斜するように形成されている。そのため、遠心錘5bの移動に伴い、プレートプレッシャ5cは遠心錘5bから右向きの力を受ける。そして、プレートプレッシャ5cは、右方向へ僅かに移動する。これにより、遠心錘5bおよびカム面7bによって生じた右向きの力は、プレートプレッシャ5cを介してフリクションプレート3およびクラッチプレート4に伝達されることとなる。
【0054】
以上のようにして、高回転域に達すると、フリクションプレート3およびクラッチプレート4は、クラッチスプリング9から左向きの荷重を受けるだけでなく、遠心錘5bおよびプレートプレッシャ5cとを有する遠心機構5から、クラッチスプリング9による荷重と対向する右向きの荷重を受けることとなる。これにより、両プレート3,4は、低回転域にある場合に比べ、より圧着させられることとなる。そのため、クラッチハウジング1からクラッチボス2への伝達トルクは増大することとなる。
【0055】
次に、クラッチスプリング9、遠心錘5bおよびプレートプレッシャ5cの取り外し手順について説明する。
【0056】
まず、クラッチスプリング9は、ボルト70を外すだけで取り外すことが可能となる。そして、ナット95を取り外してプレッシャプレート8をプッシュロッド56から取り外し、次に、フリクションプレート3およびクラッチプレート4を取り外す。両プレート3,4は、それぞれクラッチハウジング1およびクラッチボス2に対し、軸方向にスライド自在に係合されているため、それぞれ右向きにスライドさせることにより容易に取り外すことができる。また、両プレート3,4を取り外すと、プレートプレッシャ5cは、支持部材5aには取り付けられておらず、支持部材5aの溝部に載置されているため、両プレート3,4と同様にスライドさせることにより容易に取り出すことができる。そして、プレートプレッシャ5cを取り出すと、遠心錘5bも同様にスライドさせるだけで容易に取り出すことができる。
【0057】
以上のように、本自動二輪車10のクラッチ54は、遠心機構5を備えている。そのため、メイン軸55の回転数が所定値以上の高回転域に達すると、遠心機構5のプレートプレッシャ5cは右側へ移動する。これにより、軸方向に関するプレートプレッシャ5cとプレッシャプレート8との間隔が狭くなり、クラッチスプリング9はさらに大きな付勢力で両プレート3,4を圧着させることとなる。したがって、本クラッチ54によれば、メイン軸55の回転上昇に伴い、伝達トルクを増大させることが可能となる。
【0058】
また、本クラッチ54では、プレート群34の一方側(右側)にプレッシャプレート8が設けられ、他方側(左側)に遠心機構5が設けられている。そのため、遠心機構5には、プレート群34およびプレッシャプレート8を介してクラッチスプリング9による左向きの力が付勢されることとなる。これにより、本クラッチ54では、メイン軸55の回転数が所定値に達するまでは、プレートプレッシャ5cが遠心錘5bに押し出されて右方向へ移動することはない。そのため、本クラッチ54によれば、従来のクラッチのように、プレート群34と逆向きに遠心錘5bを押し付ける皿ばね等の弾性体からなる押し付け部材を設けることなく、遠心機構5が低回転域においては作用せず、高回転域において作用する様に構成することができる。したがって、本クラッチ54によれば、弾性体を用いることによる遠心機構5の機能低下を防止することができ、耐久性の向上を図ることができる。
【0059】
また、本クラッチ54では、遠心錘5bとプレート群34との間に介在するプレートプレッシャ5cは、支持部材5aに固定されず、軸方向にスライド自在に支持されている。そのため、本クラッチ54では、従来のクラッチに比べ、遠心機構5を容易に構成することができる。そのため、本クラッチ54によれば、遠心機構5を容易に組み立てまたは分解することができ、メンテナンスを容易に行うことができる。
【0060】
また、本クラッチ54では、フリクションプレート3はクラッチハウジング1と軸方向にスライド自在に係合し、クラッチプレート4はクラッチボス2と軸方向にスライド自在に係合している。そのため、両プレート3,4からなるプレート群34を容易に着脱することが可能となる。
【0061】
また、本クラッチ54のプレートプレッシャ5cは、メイン軸55の径方向において、クラッチハウジング1の係合部である溝1cとクラッチボス2のクラッチボス2の係合部である溝2aとの間に配置されている。また、プレートプレッシャ5cは、支持部材5aに形成された溝部の支持面7a上に載置されている。そのため、プレート群34を取り外した後、プレートプレッシャ5cを、溝1cと溝2aの間を右方向にスライドさせるだけで、容易にクラッチ54から取り出すことができる。また、これにより、遠心錘5bも同様にして取り出すことが可能となる。そのため、本クラッチ54では、容易に遠心機構5を分解することができ、また、組み立てることができる。したがって、本クラッチ54によれば、遠心錘5bおよびプレートプレッシャ5cのメンテナンスを容易に行うことができる。また、このことにより、耐久性の向上を図ることができる。
【0062】
本クラッチ54によれば、遠心錘5bにより摩耗するおそれのあるカム面7bが取り外し容易なプレートプレッシャ5cに形成されている。そのため、本クラッチ54によれば、遠心機構5のメンテナンスを容易に行うことができ、耐久性の向上を図ることができる。また、複雑な形状のカム面7bを、複雑な形状の支持部材5aではなくプレートプレッシャ5cに形成することにより、遠心機構5を容易に製作することができる。
【0063】
また、本クラッチ54では、プレートプレッシャ5cは、メイン軸55の径方向外側へ向かう程、軸方向の厚みが大きくなるように形成されている。そのため、プレートプレッシャ5cの内、より強く遠心錘5bに押圧される部分が、軸方向に分厚く形成されることとなる。これにより、プレートプレッシャ5cの剛性を高めることができる。したがって、本クラッチ54によれば、耐久性の向上をより一層図ることができる。
【0064】
また、本クラッチ54では、前述のとおり、プレート群34の一方側にプレッシャプレート8、他方側に遠心機構5を配置することにより、遠心錘5bを皿ばね等によって押さえ付けなくてもよい。そのため、プレートプレッシャ5cを剛性の高い金属によって形成することができる。したがって、耐久性に優れた遠心機構5を構成することができ、ひいては、クラッチ54全体の耐久性を向上させることが可能となる。
【0065】
図3に示すように、本クラッチ54は、メイン軸55の右端部55aに取り付けられている。また、クラッチスプリング9の一端部は、プッシュロッド56の右端部56aに固定されたプレッシャプレート8の右側面8bに当接している。つまり、クラッチスプリング9は、プレッシャプレート8の少なくとも一部分よりも右側に位置しており、クラッチ54の右端部に位置することとなる。そのため、クラッチ54全体またはクラッチ54の他の構成要素を取り外すことなく、クラッチスプリング9を容易に取り出すことができる。したがって、本クラッチ54によれば、クラッチスプリング9のメンテナンスを容易に行うことができる。また、このことにより、クラッチ54自体の耐久性の向上を図ることができる。
【0066】
本クラッチ54では、クラッチスプリング9としてコイルばねが用いられている。このことにより、耐久性に優れ、荷重の大きなクラッチスプリング9を提供することができる。したがって、本クラッチ54によれば、小型で大容量のクラッチ54を提供することができる。
【0067】
本クラッチ54は、複数のフリクションプレート3およびクラッチプレート4からなるプレート群34を備えた多板式のクラッチである。一般的に、多板式のクラッチは、単板式のクラッチに比べ、分解や組み立て作業が煩雑となる。しかし、本クラッチ54によれば、構成が容易であるため、多板式であっても容易に分解または組み立てを行うことが可能となる。
【0068】
また、本クラッチ54を備えることにより、メンテナンス容易であり、耐久性に優れた自動二輪車10を提供することができる。
【0069】
なお、上記実施形態では、クラッチスプリング9としてコイルばねを用いていた。しかし、本発明に係るクラッチのクラッチスプリングは、コイルばねに限定されない。例えば、図4に示すように、皿ばね90であってもよい。当該変形例においても、プレッシャプレート8の右側面8bには、クラッチスプリングとしての皿ばね90の一端部が当接し、皿ばね90の他端部は、ボルト70の右端部により左向きに押さえつけられている。なお、当該変形例において、ボルト70の左端部はクラッチボス2に固定され、右端部はプレッシャプレート8を貫通してプレッシャプレート8よりも右側に配置されている。このような場合であっても、上記コイルばねを用いた場合と同様の効果を奏することができる。
【0070】
また、上記実施形態では、クラッチボス2を遠心機構5の支持部材5aと係合させ、クラッチボス2と遠心機構5とが一体となってメイン軸55回りに回転する様にしていた。しかし、クラッチボス2と遠心機構5とはそれぞれ個別にメイン軸55に接続されていてもよい。さらに、クラッチボス2と遠心機構5の支持部材5aとを一体形成し、これをメイン軸55に接続することとしてもよい。
【0071】
上記実施形態では、カム面7bがプレートプレッシャ5cに形成されていた。しかし、カム面7bは支持部材5aに形成されていてもよい。この場合、カム面7bを、メイン軸55の径方向外側へ向かう程、右側へ傾斜する様に形成することが必要となる。また、上記実施形態では、プレートプレッシャ5cは金属により形成されていたが、他の材料により形成することとしてもよい。
【0072】
上記実施形態では、遠心錘5bは球状に形成されていた。しかし、遠心錘5bの形状は球状に限定されず、遠心力を受けてカム面7bに沿って転がるいかなる形状のものであってもよい。例えば、断面が円形の棒状体等であってもよい。このような場合であっても、上述の効果と同様の効果を奏することができる。
【0073】
また、上記実施形態では、クラッチハウジング1のハウジング部1bの内周面に形成された係合部は、軸方向に延びる溝1cにより構成されており、フリクションプレート3の外周縁に形成された歯3aと係合することとしていた。しかし、ハウジング部1bの係合部を、軸方向に延びる凸部により構成し、フリクションプレート3の外周縁に凹部を設け、これらを係合させることとしてもよい。また、同様に、クラッチボス2の外周面に形成された係合部を、軸方向に延びる凸部により構成し、クラッチプレート4の内周縁に凹部を設け、これらを係合させることとしてもよい。このような場合であっても、フリクションプレート3は、クラッチハウジング1に軸方向にスライド自在に係合され、クラッチプレート4は、クラッチボス2に軸方向にスライド自在に係合されることとなる。そのため、両プレート3,4を着脱容易に構成することが可能となり、プレートプレッシャ5cを容易に取り外すことができる。
【0074】
さらに、上記実施形態では、多板式のクラッチ54について説明していたが、クラッチ54は、フリクションプレート3とクラッチプレート4とをそれぞれ一つずつ備える単板式のクラッチであってもよい。このような単板式のクラッチであっても上述の効果と同様の効果を奏することができる。
【0075】
本発明において、鞍乗型車両の形状としては、図1に示したものに限定されず、所謂モペット型や四輪バギー等の鞍乗型車両であってもよい。また、鞍乗型車両の最高速度や排気量、車両の大小等も本実施形態のものに限定されない。
【0076】
《用語等の定義》
上述の説明で用いた「軸方向」には、メイン軸55の軸心方向だけでなく、メイン軸55に平行な方向も含まれることとする。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上説明したように、本発明は、クラッチ、特に、高回転域での伝達トルクを大きくすることが可能なクラッチおよびそれを備えた鞍乗型車両について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】実施形態に係る自動二輪車の側面図である。
【図2】図1に示した自動二輪車の駆動系の構成図である。
【図3】クラッチの断面図である。
【図4】変形例に係るクラッチの断面図である。
【符号の説明】
【0079】
1 クラッチハウジング
1c 溝(凹部、係合部)
2 クラッチボス
2a 溝(凹部、係合部)
3 フリクションプレート
3a 歯(凸部)
4 クラッチプレート
4a 歯(凸部)
5 遠心機構
5a 支持部材
5b 遠心錘
5c プレートプレッシャ
7a 支持面
7b カム面
8 プレッシャプレート
9 クラッチスプリング
10 自動二輪車(鞍乗型車両)
21 エンジン
34 プレート群
52 クランク軸(駆動軸)
54 クラッチ
55 メイン軸(回転軸)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸が挿通され、前記回転軸とともに回転するクラッチボスと、
クラッチハウジングと、
前記クラッチボスに取り付けられたクラッチプレートと、前記クラッチハウジングに取り付けられ、前記クラッチプレートと前記回転軸の軸方向に対向するフリクションプレートとからなるプレート群と、
前記プレート群の前記回転軸の軸方向一方側に設けられ、前記プレート群と当接自在なように前記回転軸の軸方向に移動自在なプレッシャプレートと、
前記フリクションプレートと前記クラッチプレートとを圧着させるように、前記プレッシャプレートを前記回転軸の軸方向他方側に付勢するクラッチスプリングと、
を備えたクラッチであって、
前記プレート群の前記回転軸の軸方向他方側に設けられ、前記回転軸と共に回転する支持部材と、
前記支持部材と前記プレート群との間に配置されるとともに、前記支持部材に前記回転軸の軸方向にスライド自在に支持され、前記プレート群に当接するプレートプレッシャと、
前記支持部材と前記プレートプレッシャとに挟持された遠心錘と、を有する遠心機構を備え、
前記支持部材および前記プレートプレッシャの互いに対峙する面の少なくとも一方には、前記遠心錘が遠心力を受けて前記回転軸の径方向外側へ移動する程、前記遠心錘が前記プレートプレッシャを前記プレート群側に押す力が大きくなるようなカム面が形成されているクラッチ。
【請求項2】
請求項1に記載のクラッチであって、
前記クラッチボスは、前記クラッチハウジングよりも前記回転軸の径方向内側に配置されており、
前記クラッチハウジングには、前記回転軸の軸方向に延びる凸部または凹部からなる係合部が形成され、
前記クラッチボスには、前記回転軸の軸方向に延びる凸部または凹部からなる係合部が形成され、
前記フリクションプレートの外周縁には、前記クラッチハウジングに形成された係合部にスライド自在に係合する凸部または凹部が形成され、
前記クラッチプレートの内周縁には、前記クラッチボスに形成された係合部にスライド自在に係合する凸部または凹部が形成され、
前記プレートプレッシャは、前記回転軸の径方向において、前記クラッチハウジングに形成された係合部と前記クラッチボスに形成された係合部との間に配置されているクラッチ。
【請求項3】
請求項1に記載のクラッチであって、
前記プレートプレッシャは、前記支持部材に形成された溝部内に載置されているクラッチ。
【請求項4】
請求項1に記載のクラッチであって、
前記カム面は、前記プレートプレッシャに形成されているクラッチ。
【請求項5】
請求項4に記載のクラッチであって、
前記プレートプレッシャは、前記回転軸の径方向外側へ向かう程、前記回転軸の軸方向の厚みが大きくなっているクラッチ。
【請求項6】
請求項1に記載のクラッチであって、
前記プレートプレッシャは、金属によって形成されているクラッチ。
【請求項7】
請求項1に記載のクラッチであって、
前記クラッチは、前記回転軸の軸方向一方側端部に取り付けられており、
前記クラッチスプリングは、前記プレッシャプレートの前記回転軸の軸方向一方側の面に当接している、クラッチ。
【請求項8】
請求項1に記載のクラッチであって、
前記クラッチスプリングはコイルばねであるクラッチ。
【請求項9】
請求項1に記載のクラッチであって、
前記プレート群は、前記フリクションプレートと前記クラッチプレートとをそれぞれ複数備えるクラッチ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一つに記載のクラッチを備えた鞍乗型車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−240810(P2008−240810A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−79581(P2007−79581)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】