説明

クランクシャフト

【課題】クランクシャフトに形成されるR部おける応力集中を緩和してクランクシャフトの耐久性を高める。
【解決手段】クランクシャフト14には、コネクティングロッドの端部側面が突き当てられる突き当て段部41,42が設けられており、突き当て段部41,42とピン33の端部との間には突き当てR部43,44が設けられている。それぞれのクランクアーム34,35とバランスウエイト36,37の内側対向面45,46には傾斜面45a,46aが形成され、傾斜面45a,46aと突き当てR部43,44との間には、突き当てR部43,44よりも曲率半径が大きな内側R部47,48が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内燃機関のクランクシャフトに関し、特に、クランクアームとクランクピンとが一体となった一体型のクランクシャフトに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関は、シリンダブロックに直線往復動自在に装着されるピストンと、ピストンにコネクティングロッドを介して連結されるクランクシャフトとを有しており、クランクシャフトはピストンの直線往復動によって回転駆動される。クランクシャフトはクランクケースに回転自在に支持されるジャーナルと、ピストンロッドの端部が組み付けられるピンと、ジャーナルからピンに向けて径方向に伸びて先端部にピンが設けられるアームとを有しており、アームの基端部にはバランスウエイトが径方向外方に突出して設けられている。
【0003】
クランクシャフトには、特許文献1に記載されるように、ピンとアームとが一体となった一体型のクランクシャフトと、特許文献2に記載されるように、ピンをアームの先端に圧入や焼き嵌めにより組み立てるようにした組立型のクランクシャフトとがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭47−21012号公報
【特許文献2】特開昭61−218823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
4サイクルエンジンには一体型のクランクシャフトが主として使用され、2サイクルエンジンには、ジャーナルにベアリングが装着されるので、組立型のクランクシャフトが使用されることが多い。エンジン発電機のような汎用エンジンであって、単気筒のエンジンが駆動源として使用される場合には、一体型と組立型のいずれも使用可能であり、単気筒エンジンのクランクシャフトは、コネクティングロッドの端部が装着されるピンとそれぞれクランクケースに支持される2つのジャーナルとの間に、2つのクランクアームが対をなして設けられており、クランクアームの基端部にはそれぞれバランスウエイトが設けられている。
【0006】
一体型のクランクシャフトは、鋼製の棒材を鍛造加工により所定の形状に加工した後に、コネクティングロッドが装着されるピンの外周面には、その耐摩耗性を高めるために、高周波焼き入れにより表面処理が施されており、高周波焼き入れによりピンの外周面には焼き入れ硬化層が形成される。ピンとクランクアームとの境界部には、ピンに装着されるコネクティングロッドの端面が突き当てられる突き当て段部が設けられており、ピンの外周面を高周波焼き入れすると、突き当て段部の円弧面形状の突き当てR部にも焼き入れ硬化層が形成されることになる。従来のクランクシャフトにおける対をなす2つのクランクアームの内側対向面は相互に平行となっており、クランクアームの内側対向面と段部の外周エッジとの間には、円弧面形状の内側R部が形成されている。
【0007】
クランクシャフトのピンにはピストンとコネクティングロッドを介して燃焼圧の負荷が加わるとともにピストンの往復動によってクランクシャフトにはねじり振動と曲げ振動が加わることになる。これら負荷と振動とがクランクシャフトに加わっても、突き当てR部には高周波焼き入れにより焼き入れ硬化層が形成されているので、突き当てR部に振動に起因した応力に対して突き当てR部はその強度が確保されることになる。
【0008】
一方、ピンの外周面に高周波焼き入れ処理を施しても、クランクアームの内側R部には焼き入れ硬化層が形成されずに、ピン部への焼き入れにより形成される硬化層よりもピン部の内部に形成され強度の劣る軟化層が露出することになる。これは、高周波焼き入れの焼き入れ境界の特性であり、内側R部に軟化層がかかるのは、クランクアーム部断面の急激な拡大により、伝熱が拡散することで焼き入れ温度の急激な低下があるためである。このように、内側R部に軟化層が存在すると、エンジン駆動時、燃焼圧の負荷やクランクシャフトにねじり振動や曲げ振動が加わることにより、内側R部に過度の応力集中が重なり亀裂が発生する恐れがあり、クランクシャフトの耐久性が低下することなる。そのため、クランクアームの厚みを十分に確保して内側R部が応力集中に起因して亀裂が発生しない程度の強度を確保するようにしている。エンジンの小型化のためにクランクシャフトの軸長を短くするには、クランクアームやバランスウエイトの厚みを薄くする必要があるが、クランクアームの内側R部における応力集中を緩和するには、それぞれの厚み寸法を薄くすることはできなかった。
【0009】
バランスウエイトは、エンジンの振動を抑えるため、所定の質量を確保して回転バランスを確保する必要があり、過度にバランスウエイトの厚みを薄くすると、回転バランスが低下し振動増大、エンジンの強化低下につながる。クランクアームが薄くなっても内側R部の曲率半径を大きくすれば、その部分における応力集中を緩和することが可能となるが、クランクアームの基端部の厚みが薄くなるので、バランスウエイトに所定の質量を確保するためにはバランスウエイトの厚みのみを大きくし、クランクアーム基端部との間に段差を設ける必要がある。その場合には段差部が応力集中部となってしまい、クランクシャフトの耐久性を低下させるとともに、段差部による鋳造性悪化の恐れがある。
【0010】
本発明の目的は、クランクシャフトに形成される内側R部おける応力集中を緩和し、クランクシャフトの耐久性を高めるとともに最適な回転バランスを確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のクランクシャフトは、クランクケースに回転自在に支持される2つのジャーナルと、ジャーナルに基端部が一体になり先端部にコネクティングロッドの端部が装着されるピンが一体となったクランクアームと、前記クランクアームの基端部に一体となったバランスウエイトとを有する一体型のクランクシャフトであって、前記コネクティングロッドの端部側面が突き当てられる前記クランクアーム先端部の突き当て段部と前記ピンの端部との間に設けられた突き当てR部と、前記クランクアームと前記バランスウエイトの内側対向面に設けられ、前記クランクアームの基端部からバランスウエイトの先端部に向かうに従って対をなす他のクランクアームと前記バランスウエイトに向けて接近する方向に傾斜した傾斜面と、前記傾斜面と前記突き当てR部との間に設けられ、前記突き当てR部よりも曲率半径が大きな内側R部とを有することを特徴とする。
【0012】
本発明のクランクシャフトは、前記ピンの外周面に形成される高周波焼き入れ硬化層の内側の軟化層を前記内側R部に位置させることを特徴とする。また、本発明のクランクシャフトは、前記内側R部の曲率半径を、前記突き当てR部の曲率半径の3倍以上とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、クランクシャフトは、相互に対向して対をなす2つのクランクアームと、クランクアームに一体となったバランスウエイトとを有し、クランクアームとバランスウエイトの相互に対向する内側対向面には、傾斜面が設けられているので、内側対向面に段差部を設けることなく、内側R部の曲率半径を突き当てR部よりも大きく設定することができる。これにより、エンジン駆動時に高周波焼き入れ軟化層と重なる内側R部に過度の応力が集中することなく、その部分に加わる応力を緩和することができる。これにより、クランクシャフトの耐久性を高めることができる。
【0014】
クランクアームとバランスウエイトの内側対向面に傾斜面を設けることにより、バランスウエイトに所定の質量を確保しつつクランクシャフトの軸長を短くしてエンジンを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態であるクランクシャフトを有するエンジンを示す断面図である。
【図2】図1に示されたクランクシャフトとこれに装着されたエンジン構成部品とを示す正面図である。
【図3】図1および図2に示されたクランクシャフトを示す斜視図である。
【図4】図3の正面図である。
【図5】図4の一部を示す拡大断面図である。
【図6】比較例1のクランクシャフトを示す一部切欠き正面図である。
【図7】比較例2のクランクシャフトを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1に示すエンジンは4サイクルの単気筒エンジンであり、エンジン発電機やランマー等の駆動源として使用される汎用エンジンである。このエンジン10は、図1に示されるように、シリンダ11が設けられたクランクケース12を有している。シリンダ11内には直線往復動自在にピストン13が設けられており、ピストン13はクランクケース12に回転自在に装着されたクランクシャフト14にコネクティングロッド15を介して連結されており、クランクシャフト14はピストン13の直線往復動によって回転駆動される。図2に示されるように、クランクシャフト14の端部は出力端14aとなっており、エンジン10が発電機やランマー等の汎用エンジンの動力源として使用される場合には、出力端14aは被駆動部材に連結されて被駆動部材を回転駆動することになる。
【0017】
シリンダ11にはシリンダヘッド16が取り付けられており、シリンダヘッド16には空気と燃料との混合気を燃焼室17に供給する吸気ポート18と、燃焼ガスを排出する排気ポート19とが形成されている。吸気ポート18を開閉するための吸気弁21と排気ポート19を開閉する排気弁22がそれぞれシリンダヘッド16に設けられている。シリンダヘッド16に取り付けられるロッカシャフト23には、吸気弁21を開閉駆動する吸気側のロッカアーム24aと、排気弁22を開閉駆動する排気側のロッカアーム24bとが揺動自在に装着されている。吸気弁21の弁軸部21aはロッカアーム24aの一端部に当接し、ロッカアーム24aの揺動により吸気ポート18を開閉する。排気弁22の図示しない弁軸部はロッカアーム24bの一端部に当接し、ロッカアーム24bの揺動により排気ポート19を開閉する。なお、符号20は点火プラグである。
【0018】
図2に示されるように、クランクシャフト14に平行にカムシャフト25が配置されており、カムシャフト25はシリンダヘッド16に回転自在に装着されている。カムシャフト25に設けられた動弁カム26には、それぞれのロッカアーム24a,24bの他端部が当接しており、カムシャフト25の回転により動弁カム26を介してそれぞれのロッカアーム24a,24bは揺動される。カムシャフト25に取り付けられたスプロケット27と、クランクシャフト14に取り付けられた図示しないスプロケットとの間にはタイミングベルト28が掛け渡されており、カムシャフト25はクランクシャフト14により回転駆動される。
【0019】
図2に示されるように、クランクシャフト14に隣り合ってガバナー29が配置されており、ガバナー29はクランクケース12に装着されてエンジン回転数を設定されたアクセル開度に対応した回転数に調整する。ガバナー29には、クランクシャフト14に取り付けられた駆動側歯車30aと噛み合う従動側歯車30bを有している。
【0020】
クランクシャフト14は、図3および図4に示されるように、それぞれクランクケース12に回転自在に支持される2つのジャーナル31,32を有しており、クランクシャフト14はジャーナル31,32の回転中心軸Oを中心に回転駆動される。クランクシャフト14はコネクティングロッド15の端部が装着されるピン33を有しており、ピン33の中心はジャーナル31,32の回転中心軸Oから偏心している。ピン33の両端部はジャーナル31,32のそれぞれの端部から径方向外方に延びるクランクアーム34,35の先端部と一体となっており、クランクアーム34,35を介してピン33はジャーナル31,32と一体となっている。
【0021】
クランクアーム34,35の基端部にはクランクアーム34,35に対して逆方向に径方向外方に突出するバランスウエイト36,37が一体に設けられている。このように、クランクシャフト14は、ジャーナル31,32とピン33とクランクアーム34,35とバランスウエイト36,37が全体的に一体となった一体型となっている。
【0022】
コネクティングロッド15の一端部は小径端部となっており、ここを貫通するピストンピン38によりコネクティングロッド15はピストン13に連結されることになる。一方、コネクティングロッド15の他端部は大径端部となっており、大径端部は半円形の凹面が形成されたロッド本体15aと、半円形の凹面を有しロッド本体15aにボルト39により締結される連結金具40とにより形成されている。
【0023】
クランクシャフト14には、コネクティングロッド15の大径端部の左右両側面が突き当てられる突き当て段部41,42がそれぞれのクランクアーム34,35の先端部に位置させて設けられている。したがって、コネクティングロッド15の大径端部がピン33に装着されたときには、大径端部の両側面は、突き当て段部41,42に対向した状態となる。突き当て段部41,42には、ピン33の端部に円弧状に連なる突き当てR部43,44が設けられており、それぞれの突き当てR部43,44はエンジンが駆動されたときにはコネクティングロッド15からクランクシャフト14に加わる推力により応力が集中する第1の応力集中部となる。
【0024】
クランクアーム34とこれと一体となったバランスウエイト36は、他方のクランクアーム35とこれと一体のバランスウエイト37と対をなしている。クランクアーム34とバランスウエイト36の内側対向面45は、他方のクランクアーム35とバランスウエイト37の内側対向面46に対向しており、これらの内側対向面45,46は相互に対向し合っている。相互に対向し合う2つの内側対向面45,46は、これらがそれぞれのバランスウエイト36,37の先端部に向かうに従って相互に接近する方向に傾斜している。それぞれの内側対向面45,46は、図4に示されるように、回転中心軸Oに対して直角方向の径方向線Vに対して傾斜角度θで傾斜した傾斜面45a,46aとなっている。この傾斜角度θは8〜15度に設定されている。
【0025】
それぞれの内側対向面45,46における傾斜面45a,46aと突き当てR部43,44との間には、これらを円弧状に連ならせる内側R部47,48が設けられている。それぞれの内側R部47,48は、突き当てR部43,44の曲率半径よりも大きな曲率半径を有する円弧状となっており、それぞれの内側R部47,48は第2の応力集中部となっている。
【0026】
クランクシャフト14は、図3および図4に示されるように、鍛造加工によって突き当てR部43,44、傾斜面45a,46aおよび内側R部47,48を有する一体形状に加工された後に、高周波焼き入れによりピン33の外周面に焼き入れ処理が施される。これにより、図5に示されるように、ピン33の外周部と突き当てR部43,44には所定の深さに焼き入れ硬化層51が形成される。この硬化層51は第1の応力集中部としての突き当てR部43,44にも形成されるので、突き当てR部43,44にコネクティングロッド15によって負荷が加えられても、その部分の強度が確保されてそこに亀裂が発生することを防止できる。
【0027】
一方、ピン33の外周面に高周波焼き入れ処理を施すと、焼き入れ硬化層51に対してピン33の内側には、硬化層51よりも硬度が低い軟化層52が形成されることになる。ピン33の外周面に高周波焼き入れ処理を施すと、硬化層51は突き当て段部41,42を介してクランクアーム34,35の先端部にも形成されることになり、硬化層51の内側に形成される軟化層52が内側R部47,48に露出することになる。このように、内側R部47,48に軟化層52がかかるのは、クランクアーム34,35の断面積がピン33の断面積よりも急激に拡大しているので、焼き入れ処理時の伝熱がクランクアーム34,35の先端部で拡散し、内側R部47,48の部分の焼き入れ温度が低下するためである。
【0028】
軟化層52が内側R部47,48に露出するようになっているが、それぞれの内側R部47,48の曲率半径が突き当てR部43,44の曲率半径よりも大きく設定されているので、コネクティングロッド15を介して燃焼圧の負荷がクランクシャフト14に加えられても、内側R部47,48には過度の応力集中が発生することなく、その部分の応力が緩和されることになる。これにより、クランクシャフト14の耐久性を向上させることが可能となった。
【0029】
内側R部47,48の曲率半径を突き当てR部43,44の曲率半径の3倍以上に設定すると、内側R部に過度の応力集中が発生することなく、応力が緩和されることが実験により判明した。図示する場合には、約5倍に設定されている。
【0030】
このように、内側R部47,48の曲率半径を突き当てR部43,44の曲率半径よりも3倍以上に設定しても、それぞれの内側対向面45,46に、傾斜面45a,46aを形成することによって、内側対向面45,46には段差部が発生することが防止されるので、段差部に起因した応力集中部が内側対向面45,46に形成されることが防止され、クランクシャフト14の耐久性を高めることが可能となった。
【0031】
図6は比較例1としてのクランクシャフト14を示す一部切欠き正面図であり、図7は比較例2としてのクランクシャフト14を示す正面図である。
【0032】
図6に示すように、内側対向面45,46に傾斜面を設けることなく、内側対向面45,46を回転中心軸Oに対して直角方向に形成すると、内側R部47,48の曲率半径を、突き当てR部43,44よりも大きく設定することができない。このため、ピン33の焼き入れ処理により軟化層52が内側R部47,48に露出することになるので、内側R部47,48にコネクティングロッド15を介して燃焼圧の負荷が加えられると、内側R部47,48が過度の応力集中部となることが避けられず、クランクシャフトの耐久性を高めることが困難であった。これに対して本発明のクランクシャフト14においては、内側R部47,48の曲率半径が突き当てR部43,44の3倍以上に設定されているので、内側R部47,48における応力集中が緩和され、クランクシャフト14の耐久性を高めることが可能となった。
【0033】
図7に示すように、内側R部47,48の曲率半径を突き当てR部43,44の曲率半径よりも大きくするために、クランクアーム34,35の厚みを薄くするとともに、バランスウエイト36,37のバランスファクターを確保するためにバランスウエイト36,37の厚みをクランクアーム34,35よりも厚くする試みがなされた。しかしながら、クランクシャフト14をこのような形状に加工すると、クランクアーム34,35とバランスウエイト36,37との間に段差部54,55を形成することが不可避となる。このため、図7に示す場合には、クランクシャフト14の形状が複雑化し、鍛造加工性が悪化するだけでなく、この段差部54,55が過度の応力が集中する応力集中部となってこの部分に亀裂が発生する恐れがあり、クランクシャフトの耐久性を高めることが困難であった。
【0034】
これに対して本発明のクランクシャフト14においては、内側対向面45,46に傾斜面45a,46aを形成することによってバランスウエイト36,37のバランス性を確保しつつ鍛造加工性も高めることができるとともに内側R部47,48に応力を集中させることなく、耐久性に優れたクランクシャフト14が得られた。しかも、クランクアーム34,35の厚みを大きくすることなく、R部における過度の応力集中の発生を防止して応力を緩和することかでき、軸長を短くし得る軽量のクランクシャフトが得られることになった。
【0035】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、本発明のクランクシャフトは単気筒用のクランクシャフトに限られず、一体型であれば多気筒用のクランクシャフトにも適用することができる。また、4サイクルエンジンのみならず、2サイクルエンジンのクランクシャフトとしても本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
11 シリンダ
12 クランクケース
13 ピストン
14 クランクシャフト
15 コネクティングロッド
31,32 ジャーナル
33 ピン
34,35 クランクアーム
36,37 バランスウエイト
41,42 突き当て段部
43,44 突き当てR部
45,46 内側対向面
45a,46a 傾斜面
47,48 内側R部
51 硬化層
52 軟化層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランクケースに回転自在に支持される2つのジャーナルと、ジャーナルに基端部が一体になり先端部にコネクティングロッドの端部が装着されるピンが一体となったクランクアームと、前記クランクアームの基端部に一体となったバランスウエイトとを有する一体型のクランクシャフトであって、
前記コネクティングロッドの端部側面が突き当てられる前記クランクアーム先端部の突き当て段部と前記ピンの端部との間に設けられた突き当てR部と、
前記クランクアームと前記バランスウエイトの内側対向面に設けられ、前記クランクアームの基端部からバランスウエイトの先端部に向かうに従って対をなす他のクランクアームと前記バランスウエイトに向けて接近する方向に傾斜した傾斜面と、
前記傾斜面と前記突き当てR部との間に設けられ、前記突き当てR部よりも曲率半径が大きな内側R部とを有することを特徴とするクランクシャフト。
【請求項2】
請求項1記載のクランクシャフトにおいて、前記ピンの外周面に形成される高周波焼き入れ硬化層の内側の軟化層を前記内側R部に位置させることを特徴とするクランクシャフト。
【請求項3】
請求項1または2記載のクランクシャフトにおいて、前記内側R部の曲率半径を、前記突き当てR部の曲率半径の3倍以上とすることを特徴とするクランクシャフト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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